JP3747896B2 - 車両外板パネルの接合構造 - Google Patents

車両外板パネルの接合構造 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の外板となる一方のパネルの端部と、車両の外板となる他方のパネルの端部と、を重ね合わせてスポット溶接により接合する車両外板パネルの接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両の外板パネル等は、いわゆる一体物としてプレス成形されることが多いが、例えば、図7(A) 、(B) に示すように、一定以上に全長が長く設定された車種の外板パネルにおいては、2枚以上のパネルWa、Wbに分割してプレス成形し(図7(A) )、それらを溶接により接合することで外板パネルを形成するように構成されている(図7(B) )。
【0003】
このような車両の外板パネルは、車両ボディの外板面を形成するものであるから、接合部分の面品質には高い精度が要求される。そのため、分割されたパネルWa、Wbを接合する方法として、例えば、図8(A) に示すように、パネルWa、Wbのそれぞれの端部Wa’、Wb’をL字形状に車両内方向に折り曲げ、両者の折り曲げ部同士を突き合わせることによりできる重ね合わせ部分Pをスポット溶接する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような図8(A) に示すような接合方法によると、図8(B) に示すように、接合される両パネルWa、Wb間に段差S1ができやすい。また図8(C) の左図に示すように、両パネルWa、Wb間に隙間S2ができると、この隙間S2を埋めるため両パネルWa、Wbを押しつぶすように加圧し溶接するので、パネルWa、Wbが引っ張られ、車両外側に向けて歪S3ができやすい(図8(C) の右図)。そのため、このような段差S1や歪S3が、接合部分の面品質を低下させるという問題がある。また、このように低下した外板面の面品質は、後工程による修正作業により向上させることも可能ではあるが、当該修正に伴う作業工数の増大を招くという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、接合部分の面品質の低下を抑制し得る車両外板パネルの接合構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1の車両外板パネルの接合構造では、車両の外板となる一方のパネルの端部と、車両の外板となる他方のパネルの端部と、を重ね合わせてスポット溶接により接合する車両外板パネルの接合構造であって、前記一方のパネルと前記他方のパネルとが段差のない面一の外板面を形成するように、前記他方のパネルの端部の板厚分相当の段差を前記一方のパネルの端部に設け、前記両パネルの端部同士を板厚方向に重ね合わせ、該重ね合わせた部位の内板側にあたる前記一方のパネルの端部に、当該一方のパネルの端部の一般部より外板面反対側に一段高い座面を部分的に形成し、該座面を押しつぶしてスポット溶接することにより前記両パネルを接合するようにしたことを技術的特徴とする。
【0007】
請求項1の発明では、一方のパネルと他方のパネルとが段差のない面一の外板面を形成するように、他方のパネルの端部の板厚分相当の段差を一方のパネルの端部に設け、両パネルの端部同士を板厚方向に重ね合わせ、該重ね合わせた部位の内板側にあたる一方のパネルの端部に、当該一方のパネルの端部の一般部より外板面反対側に一段高い座面を部分的に形成し、該座面を押しつぶしてスポット溶接することにより両パネルを接合する。これにより、押しつぶされた座面は、例えば球面状に変形して他方のパネルに対して点当たりするので、当該変形した座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間には点状に絞られた通電経路が形成される。そのため、この通電経路を流れる溶接電流の密度を高めることができる。また通常のスポット溶接よりも遥かに低い加圧力で溶接することで板間の接触抵抗を高くすることができる。これらにより両パネルの境界に溶け込み(ナゲット)を生じさせることなく溶接が可能となり、通常のスポット溶接よりも溶接部の発熱が小さいため溶接部の熱ひずみも小さく、パネルの面品質の低下を抑えることができる。また、これにより、低下した面品質を修正するのに要する作業工数を削減することができる。
【0008】
なお、当該変形した座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間に、略147Nの加圧力が加えられている間、略10kAの溶接電流を略5/60秒間、通電して重ね合わせ部位を溶接するようにした車両外板パネルの接合構造であっても良い。これにより、両パネルの境界に溶け込み(ナゲット)を生じさせることなく、両パネルの界面付近を一方のパネルの金属結晶粒と他方のパネルの金属結晶粒とが互いに混じり合った状態にすることができる(図6(A) 参照)。
【0009】
即ち、変形した座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間に、略147Nの加圧力が加えられ、略10kAの溶接電流が略5/60秒間、通電されることにより、ナゲットが形成される前段階において両パネルを接合することができ、溶接部の熱ひずみを小さくすることができ、また一方のパネルに溶接電極を加圧接触させても、その加圧力が通常のスポット溶接による加圧力よりも遥かに低いので、他方のパネルの表面に押圧される押さえ板等による押圧痕がさらにできにくくなり、接合部分の面品質の低下をより抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両外板パネルの接合構造の一実施形態について図を参照して説明する。
図1には、車両外板パネルの接合構造を適用した外板パネルの溶接装置20および当該外板パネルを構成するパネルWa、Wbが図示されている。なお、図1に示すパネルWa、Wbは、簡略化されて表現されているため、両パネルWa、Wbの重ね合わせ部WWにおいては段差があるように見えるが、実際には図2(B) に示すように、パネルWa(一方のパネル)とパネルWb(他方のパネル)とが段差のない面一の外板面Mを形成するように両パネルWa、Wbの端部同士が板厚方向に重ね合わせられていることに留意されたい。
【0011】
まず、溶接装置20の構成を図1および図3(A) に基づいて説明する。
図1に示すように、溶接装置20は、主に、電極チップ26、27と、この両電極チップ26、27を支持するとともにそれぞれ加圧するシリンダ24、25と、この両シリンダ24、25を手首部22aにより支持するロボットアーム22を備えたロボットと、電極チップ26、27に加圧、溶接されるパネルWa、Wbを電極チップ26、27の反対側から受ける押さえ板28と、そして電極チップ26、27に溶接電流を供給可能な図略の溶接トランスと、から構成されている。なお、本実施形態の場合、パネルWa、Wbには、例えば板厚は0.8mmに設定された鋼板が用いられる。
【0012】
図3(A) に示すように、電極チップ26、27は、その先端部26a、27aがそれぞれ球面に形成されており、両電極チップ26、27は所定の間隔を隔てて並行に位置するように、シリンダ24、25にそれぞれ支持されている。例えば電極チップ26、27の先端部26a、27aの直径である先端径D0 が16mmに形成されている場合には、両電極チップ26、27の離隔距離は35mm程度に設定される。
【0013】
シリンダ24、25は、支持している電極チップ26、27を上下方向に移動可能に構成されており、特に、下方向、即ちパネルWa、Wb方向には、所定の加圧力によって電極チップ26、27を押し下げる役割を有する。これにより、重ね合わせた2枚のパネルWa、WbのうちのパネルWaの表面に、離間する一対の電極チップ26、27を加圧接触させることができる。
【0014】
ロボットアーム22は、その手首部22aにシリンダ24、25を支持固定しており、それぞれのシリンダ24、25に支持された電極チップ26、27をパネルWaの一般部35より一段高く形成された凸部30上の所定位置に移動させる役割を有する。なお、この凸部30については後で詳述する。
【0015】
押さえ板28は、パネルWbに当接する平坦面を有する板状の銅板で、電極チップ26、27に加圧、溶接されるパネルWa、Wbを電極チップ26、27の反対側から受ける役割を有するものである。なお、この押さえ板28は、1点の溶接箇所に対し1枚づつ分割して設けられているため、両電極チップ26、27に通電される溶接電流が流れる電流経路として、当該押さえ板28を経由した経路が構成されることを防止している。
【0016】
図略の溶接トランスは、電極チップ26、27に接続された電流ケーブルを介して所定の溶接電流を供給し得るように構成されている。この溶接トランスは、シリンダ24、25による加圧時期に合わせて溶接電流を通電し得るように、図略の制御装置に制御されており、例えば、(5/60)秒間の単発的な通電パターンや、(15/60)秒間の通電を(45/60)秒毎に繰り返す等の通電パターン等を任意に設定できるようになっている。また本実施形態の場合、通電電流は、例えば10kAに設定されているが、7kA〜11kAであっても良い。
【0017】
このように溶接装置20を構成することで、重ね合わせられた2枚のパネルWa、Wbのうちの一方のパネルWaの表面に離間する一対の電極チップ26、27を加圧接触させて両電極チップ26、27間に溶接電流を流すことができる。
【0018】
次に、パネルWa、Wbの構成を図2および図3に基づいて説明する。
図2(A) に示すように、パネルWa、Wbは、スポット溶接により接合されることによって車両外板パネルを構成するもので、車両の外板となる、一方のパネルWaの端部Wa’と他方のパネルWbの端部Wb’とが重ね合わせられて溶接により接合される。そのため、図2(B) に示すように、両パネルWa、Wbは、段差のない面一の外板面Mを形成するように、端部Wa’、Wb’が板厚方向に重ね合わせられ、当該重ね合わせ部WWの内板側のパネルWaに、部分的に一般部35より一段高い座面30aを形成し、後述するように、この座面30aを押しつぶしてスポット溶接することにより両パネルWa、Wbを接合している。
【0019】
即ち、図3(B) 、(C) に示すように、電極チップ26、27により加圧される側のパネルWaに一般部35より一段高く形成される凸部30は、パネルWaの一般部35から縮径しながら盛り上がるように形成されるテーパ部30bを介して、頂部に円形状の平坦面に形成される座面30aを有するように構成されている。このように頂部に位置する座面30aは、円形に形成されているため、後述するように、電極チップ26、27の先端部26a、27bにより、座面30aを球面状に容易に変形させることができる。なお、図2(A) 、(B) には、電極チップ26、27により押しつぶされた後の凸部30等が図示されている。また図2(B) には、押さえ板28が二点鎖線により図示されている。
【0020】
具体的には、凸部30は、パネルWaにプレス加工を施すことにより形成され、例えば、座面30aの直径である座面径D1 を18mmに設定した場合、凸部30の直径である凸部径D2 は28mmに設定され、また一般部35から座面30aまでの高さである座面高Hは0.7mm〜1.0mmに設定されている。なお、座面30aの座面径D1 は、14mm〜18mmの範囲で設定される。
【0021】
次に、このような重ね合わせ部WWに形成される凸部30の座面30aに施されるスポット溶接の各工程等を図1、図4〜図6に基づいて説明する。なお図4および図5では、当該スポット溶接の各工程を順番にそれぞれの各分図(A) 〜(C) により示している。また図5(D) には、図5(C) に示す一点鎖線円5D内を拡大して模式的に表したもの、さらに図6(A) には図5(D) に示す一点鎖線円6A内を拡大して模式的に表したものがそれぞれ図示されている。
【0022】
図1、図4(A) に示すように、重ね合わせ部WWのパネルWaの端部Wa’に形成された凸部30の上方に位置するように、ロボットアーム22による電極チップ26、27の移動および位置決めが完了すると、次にシリンダ24、25により電極チップ26、27が凸部30の座面30a方向に押し下げられる。
【0023】
そして、シリンダ24、25による電極チップ26、27の押し下げにより、電極チップ26、27の先端部26a、27aが座面30aに当接しても、さらにシリンダ24、25によって電極チップ26、27の加圧が進むため、これにより、座面30aはパネルWb方向に向かって押しつぶされる。
【0024】
即ち、図4(B) に示すように、凸部30が存在することにより、パネルWaとパネルWbとの間に形成される空間部Kを狭くするように、シリンダ24、25により加圧された電極チップ26、27が凸部30の座面30aを押しつぶす。一方、電極チップ26、27の先端部26a、27aは、前述の如く、球面に形成されているため、座面30aは、先端部26a、27aと同様の球面形状に変形しながら、パネルWb側に向かって押しつぶされる。これにより、座面30aには球面状の窪みを有する凹部が形成されるため、座面30aの裏側にはパネルWbに向かって球面状に突出する接触面30cが形成されることになる。
【0025】
図5(C) に示すように、さらにシリンダ24、25による電極チップ26、27の加圧が進むことによって座面30aが電極チップ26、27により押しつぶされる。そして、電極チップ26、27による加圧力が490N〜735Nに設定されることによって、座面30aの裏側に形成される球面状の接触面30cは、その頂部(点接触部30d)がパネルWbに接触した状態、つまり接触面30cのうちの最も突出した部分(点接触部30d)が他の部分よりもいち早くパネルWbに点接触した状態を維持することができる。これにより、パネルWaに形成される座面30aの裏側にあたる接触面30cは、このような点接触部30dを介してパネルWbに点接触し、ここに点状に絞られた通電経路、つまり接触抵抗の大きい通電経路が形成されることになる。なお、図5(D) には、図5(C) に示す一点鎖線円5D内を拡大し模式的に表しているので、点接触部30dが所定範囲に拡がって見える。
【0026】
このように電極チップ26、27による加圧力が490N〜735Nに設定される状態においては、パネルWaの変形した座面30aとこの座面30aに接触するパネルWbとの間には、略147Nの加圧力が加えられていることが本願発明者らにより確認されている。この略147Nによる加圧の間に、略10kAの溶接電流を略5/60秒間、両電極チップ26、27に通電するように図略の制御装置を制御する。即ち、図5(C) 、(D) に示すように、変形した座面30aとこれに接触するパネルWbとの間に、略147Nの加圧力を加え、略10kAの溶接電流を略5/60秒間、通電する。
【0027】
これにより、図6(A) に示すように、ナゲットが形成される前段階において、両パネルWa、Wbの境界に溶け込み、即ちナゲットを生じさせるなく、両パネルWa、Wbの界面X付近を一方のパネルWaの金属結晶粒αと他方のパネルWbの金属結晶粒βとが互いに混じり合った状態、つまり両パネルWa、Wbを接合することができる。そのため、通常のスポット溶接よりも遥かに低い発熱で溶接することができ、熱ひずみを抑え、接合部分の面品質の低下を抑制することができる。また通常のスポット溶接による加圧力(例えば1960N)よりも遥かに低い加圧力で重ね合わせ部WWを接合することができるので、一方のパネルWaに電極チップ26、27を加圧接触させても、その加圧力が通常のスポット溶接による加圧力よりも遥かに低く、他方のパネルWbの表面に押圧される押さえ板28による押圧痕ができにくくなる。したがって、接合部分の面品質の低下をより抑制することができる。
【0028】
なお、図6(B) には、両パネルWa、Wb間に加えられる加圧力が不足した場合等における図5(D) の6A円内拡大模式図が示されている。この模式図には、両パネルWa、Wbの金属結晶粒α、βに、断続的に接合されていない部分γが存在し、金属結晶粒α、βが十分に混じり合っていない状態が図示されている。このような状態では、両パネルWa、Wbの接合が不十分であるため、要求される所定の接合強度を得られないことが本願発明者らにより確認されている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る車両外板パネルの接合構造によると、一方のパネルWaと他方のパネルWbとが段差のない面一の外板面Mを形成するように、両パネルWa、Wbの端部Wa’、Wb’同士を板厚方向に重ね合わせ、該重ね合わせ部WWの内板側のパネルWaに、部分的に一般部35より一段高い座面30aを形成し、該座面30aを押しつぶしてスポット溶接することにより両パネルWa、Wbを接合する。これにより、押しつぶされた座面30aは、例えば球面状に変形して他方のパネルWbに対して点当たりするので、当該変形した座面30aとこの座面30aに接触する他方のパネルWbとの間には点状に絞られた通電経路が形成される。そのため、この通電経路を流れる溶接電流の密度を高めることができるので、通常のスポット溶接よりも遥かに低い発熱で溶接することができ、熱ひずみを抑え、接合部分の面品質の低下を抑制することができる。また通常のスポット溶接に必要な加圧力よりも遥かに低い加圧力(例えば147N)を一方のパネルWaと他方のパネルWbとの間に加えても両パネルWa、Wbを接合することができる。したがって、他方のパネルWbの表面に押圧される押さえ板28による押圧痕ができにくくなるので、接合部分の面品質の低下をさらに抑制することができる。また、これらにより低下した面品質を修正するのに要する作業工数を削減することができる。
【0030】
なお、上述した実施形態から、「重ね合わせた2枚のパネルの一方の表面に、離間する一対の電極を加圧接触させて両電極間に溶接電流を流し、これらの2枚のパネルを溶接するシリーズスポット溶接方法であって、前記一方のパネルの前記電極を加圧接触させる部位に、部分的に一般部より一段高い座面を形成するとともに、前記電極は先端を球面に形成し、当該電極を前記座面に、前記座面を押しつぶすように加圧接触させて溶接するシリーズスポット溶接方法において、前記電極に押しつぶされ球面状に変形した座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間には、略147Nの加圧力が加えられており、この加圧力が加えられている状態において略10kAの溶接電流が略5/60秒間、前記両電極間に通電されることを特徴とするシリーズスポット溶接方法」の発明を技術的思想の創作として抽出することもできる。
【0031】
このシリーズスポット溶接方法の発明では、重ね合わせた2枚のうちの一方のパネルの電極を加圧接触させる部位に、部分的に一般部より一段高い座面を形成するとともに、電極は先端を球面に形成し、電極を座面に、座面を押しつぶすように加圧接触させて溶接する。これにより、加圧された電極の先端は、一般部より一段高い座面を押しつぶすことで、まず座面を球面状に変形させ、次いでこの球面状に変形した座面を他方のパネルに対して点当たりにすることができる。
【0032】
そして、電極に押しつぶされ球面状に変形した座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間には、略147Nの加圧力が加えられており、この加圧力が加えられている状態において略10kAの溶接電流が略5/60秒間、両電極間に通電される。このため、一方のパネルと他方のパネルとの間には、球面状に変形した座面により点状に絞られた通電経路が形成され、この通電経路を流れる溶接電流の密度を高めることができ、このような通電経路を流れる溶接電流を略10kA、通電時間を略5/60秒に設定することにより、一方のパネルと他方のパネルとの間に溶け込み(ナゲットの形成)までには到ることなく、双方のパネルを形成する金属結晶粒が互いに混じり合った状態(図6(A) 参照)にすることができる。
【0033】
即ち、電極に押しつぶされた座面とこの座面に接触する他方のパネルとの間に略147Nの加圧力が加えられ、略10kAの溶接電流が略5/60秒間、両電極間に通電されることにより、ナゲットが形成される前段階において双方のパネルを接合することができるので、通常のスポット溶接による加圧力(例えば1960N)よりも遥かに低い加圧力で重ね合わせた2枚のパネルを接合することができる。これにより、一方のパネルに電極を加圧接触させても、その加圧力が通常のスポット溶接による加圧力よりも遥かに低いので、他方のパネルの表面に押圧される押さえ板等による押圧痕ができにくくなる。したがって、所定の接合強度を維持しつつ、接合部分の面品質の低下を抑制することができる。また、これにより、低下した面品質を修正するのに要する作業工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両外板パネルの接合構造を適用した外板パネルの溶接装置および当該外板パネルを構成するパネルを示す説明図である。
【図2】図2(A) は、本実施形態に係る外板パネルの接合構造を車室内側から見た斜視図で、図2(B) は図2(A) に示す2B−2B線断面図である。
【図3】図3(A) は、本実施形態に係る外板パネルの溶接装置に用いられる電極チップ先端の側面図、図3(B) は、パネルWaに形成される座面の平面図、図3(C) は、図3(B) に示す座面の側面図である。
【図4】本実施形態に係る外板パネルの溶接装置による溶接工程を示す説明図で、図4(A) は電極チップの加圧による変形前の座面、図4(B) は電極チップの加圧による変形途中の座面をそれぞれ示すものである。
【図5】本実施形態に係る外板パネルの溶接装置による溶接工程を示す説明図で、図5(C) は押しつぶされ球面状に変形した座面が他方のパネルに対して点当たりしている状態を示すもの、図5(D) は図5(C) に示す一点鎖線円5D内を拡大したものである。
【図6】図6(A) は、図5(D) に示す一点鎖線円6A内を拡大した説明図で、両パネルの金属結晶粒が十分に混じり合った状態を模式的に示すもので、図6(B)は両パネルの金属結晶粒が十分に混じり合っていない状態を模式的に示すものである。
【図7】一定以上に全長が長く設定された車種における外板パネルの構成例を示す説明図で、図7(A) は分割された溶接前のパネル、図7(B) は溶接により接合されたパネル、をそれぞれ示すものである。
【図8】従来のスポット溶接により接合されるパネルの接合構造例を示す説明図で、図8(A) は良好な接合例、図8(B) はパネル間に段差ができた接合例、図8(C) はパネル間に隙間ができた接合例、をそれぞれ示すものである。
【符号の説明】
20 溶接装置
26、27 電極チップ
26a、27a 先端部
28 押さえ板
30 凸部
30a 座面
35 一般部
Wa パネル (一方のパネル、内板側のパネル)
Wa’ 端部 (一方のパネルの端部)
Wb パネル (他方のパネル)
Wb’ 端部 (他方のパネルの端部)
WW 重ね合わせ部 (重ね合わせた部位)
M 外板面

Claims (1)

  1. 車両の外板となる一方のパネルの端部と、車両の外板となる他方のパネルの端部と、を重ね合わせてスポット溶接により接合する車両外板パネルの接合構造であって、
    前記一方のパネルと前記他方のパネルとが段差のない面一の外板面を形成するように、前記他方のパネルの端部の板厚分相当の段差を前記一方のパネルの端部に設け、前記両パネルの端部同士を板厚方向に重ね合わせ、該重ね合わせた部位の内板側にあたる前記一方のパネルの端部に、当該一方のパネルの端部の一般部より外板面反対側に一段高い座面を部分的に形成し、該座面を押しつぶしてスポット溶接することにより前記両パネルを接合するようにしたことを特徴とする車両外板パネルの接合構造。
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