JP7204290B2 - インダイレクトスポット溶接用の溶接電極 - Google Patents

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Description

本発明は、インダイレクトスポット溶接に用いられる溶接電極に関する。
自動車の組立工程では、金属板からなる複数の部品をスポット溶接によって接合することにより、車体が組み立てられる。スポット溶接としては、複数の金属板を一対の電極で挟み込んで通電するダイレクトスポット溶接が多く用いられる。しかし、部品の形状によっては、複数の金属板を一対の電極で挟み込むことができず、ダイレクトスポット溶接を適用できる部位に制約がある。また車体の組み立て工程において使用されるスポット溶接として、一対の電極を複数の金属板に一方側から押し当てて通電することにより、2箇所を同時に溶接するシリーズスポット溶接が存在する。しかしこのシリーズスポット溶接に関しても、隣接した2点の溶接点が必要となるため、溶接できる場所に制約がある。
そこで、上記のような制約を受けないスポット溶接として、インダイレクトスポット溶接がある。インダイレクトスポット溶接では、複数の金属板の接合予定部を一方側から溶接電極で加圧すると共に、接合予定部と異なる部位にアース電極を当接させた状態で、両電極間に通電することによって溶接する。このようなインダイレクトスポット溶接では、適用する部位の構造的制約が少なく、設計の自由度を拡大することができる。
上記のインダイレクトスポット溶接に用いられる電極として、特許文献1では、図7に示すように、先端に設けられた平坦面130と、テーパ面120とを有する略円錐台形状の先端部を有する電極100が開示されている。平坦面130の直径W2は、1.5~3.0mmに設定される。
特開2006-198676号公報
インダイレクトスポット溶接では、溶接電極とアース電極とが離れて配置されることが多いため、重ね合わせされた金属板の内部で電流の流れが不均一になり易く、安定した品質で溶接を行うことが困難であった。特に、被溶接部材同士に存在する隙間の大小により、溶接時の被溶接部材同士の接触状態が変化して、溶接箇所の通電状態も変化してしまうため、溶接の品質が大きく変化してしまう。
インダイレクトスポット溶接の一例として、図8(a)に示すように、金属板121と金属板122との間に隙間がほとんどない場合に、溶接電極100によって加圧通電して溶接する場合を説明する。なお、図示を省略しているが、図示された接合予定部と異なる部位に、アース電極が当接している。
この場合、溶接電極100に押圧されて下方へ湾曲した金属板121の部分は、下側の金属板122に直ちに当接する。従って、図8(b)に示すように、押圧面である平坦面130の直径W2と略同じ幅である当接範囲Wcで、金属板121と金属板122とが当接する。また、元々、金属板121と金属板122との間に隙間がないことから、当接範囲Wc以外の箇所でも、部分的に金属板121と金属板122とが当接する。このように金属板121、122同士の当接部分が大きくなってしてしまうと、当接部分に大きな電流密度で電流を流すことができず、所定の時間だけ溶接を行っても、金属板121と金属板122とを十分に溶接できなくなってしまう。例えば、図8(c)に示すように、ナゲットNがほとんど金属板121にのみ形成されて金属板122の側まで成長せず、金属板121と金属板122との溶接が不十分になってしまう。
一方、図9(a)に示すように、部品の公差や取付誤差等によって、金属板121,122に隙間Xが存在している場合には、溶接電極100によってその上面から押圧された金属板121は、図9(b)に示すように、隙間Xだけ下方へ湾曲した部分が金属板122に当接する。従って、平坦面130の直径W2よりも狭い当接範囲Wdで、金属板121が金属板122に当接し、その他の部分については、元々、金属板121と金属板122との間に形成されていた隙間により、非接触となる。このように、金属板同士に一定の隙間が元々存在している場合には、限定的な当接範囲Wdが設けられる。従って、一定以上の電流密度で電流を流しながら溶接することができ、図9(c)に示すように、金属板121と金属板122に跨った十分な大きさのナゲットNを形成することができる。
このように、特に被溶接部材同士の隙間が小さい場合には、所定以上の電流密度を確保することが困難なため、溶接電極に通電する電流値を大きくして、十分な電流密度を確保することが考えられる。しかし反対に、電流値を大きくすると、隙間が大きい場合に電流密度が大きくなりすぎて、被溶接部材の溶け落ちするという別の問題が生じてしまう。以上のように、想定される被溶接部材同士の隙間の全範囲に対して、良品を得るための電流値を設定することが難しかった。
図10は、良品を得られる電流値の範囲を示す図で、横軸に示す各電流値において、縦軸に溶接後の剥離径を測定した結果を示している。図の黒丸が被溶接部材同士の隙間が無い場合、図の白丸が一定の隙間が存在する場合を示している。また、図の基準値Cが、良品とみなす剥離径の最小値を示している。
図10に示すように、隙間無しでは、電流値が小さい場合に十分な剥離径が得られず、およそ2.9kA以上の電流値で、基準値Cを超えるようになった。一方、一定の隙間が存在する場合には、安定して良品を得られているが、電流値が3.2kAを超える図のバツ印の位置では、被溶接部材の溶け落ちが発生してしまった。以上のような結果から、溶接電極に通電する電流値として、隙間の大きさに関わらず良品を得られる有効範囲Dが狭くなってしまい、良品を得るための溶接電極の電流値の管理が困難になるという問題があった。
このような事情から、本発明では、被溶接部材同士の隙間等の溶接条件の違いに影響されず、安定した品質でインダイレクトスポット溶接を行うことを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、第一傾斜面と、前記第一傾斜面よりも先端側に設けられ、軸方向断面における傾斜角が前記第一傾斜面よりも大きい第二傾斜面と、先端に平坦面とを有した先細りの先端形状を備えたインダイレクトスポット溶接用の溶接電極であって、前記先端形状の周方向の所定の位置において、前記平坦面の半径が、前記第二傾斜面の一端から他端までの軸方向に直交する方向である径方向の距離よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、第一傾斜面よりも傾斜角の大きい第二傾斜面を溶接電極の先端に設けることで、傾斜の急な第二傾斜面を有する、幅の狭い先端部によって被溶接部材を押圧することができ、局所的に強い圧力を加えることができる。従って、狭い加圧範囲において被溶接部材同士を確実に当接させると共に、加圧箇所周辺において、被溶接部材同士に隙
間を形成することができ、被溶接部材同士の当接範囲を限定することができる。このため、この当接部分において、所定以上の電流密度の電流を流しながら溶接を行い、被溶接部材同士を十分に溶接することができ、溶接電極の有効な電流値の範囲を広げることができる。また、傾斜の相対的に緩やかな第一傾斜面を溶接電極の基部側に設けることで、溶接電極が被溶接部材に過剰に食い込むことを防止できる。
本発明によれば、所定以上の電流密度で電流を流しながら溶接を行うことができ、溶接の品質を安定させることができる。
複数の金属板からなる部品に対してインダイレクトスポット溶接を施す様子を示す断面図である。 本実施形態の溶接電極の側面図である。 第1の金属板と天板部の間に形成される隙間を示す断面図である。 本実施形態の溶接時の電流パターンを示す図である。 本実施形態の溶接電極による溶接の様子を示す断面図である。 本実施形態の溶接電極による溶接の様子を示す断面図である。 従来の溶接電極を示す側面図である。 従来の溶接電極による溶接の様子を示す断面図である。 従来の溶接電極による溶接の様子を示す断面図である。 従来の溶接電極を用いたインダイレクトスポット溶接において、有効な電流値の幅を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、自動車の車体の組立工程において行われるインダイレクトスポット溶接方法を示す。具体的には、例えば図1に示すような車体の骨格部品50を溶接する場合を示す。この骨格部品50は、図1の紙面直交方向に延びるフレーム状の部品である。骨格部品50は、略平板状を成した第1の金属板1と、断面ハット形状を成した第2の金属板2と、第1の金属板1と第2の金属板2とで構成される中空部に配された断面ハット形状を成した第3の金属板3とで構成される。
第1の金属板1と第2の金属板2のフランジ部2aとは、ダイレクトスポット溶接によって予め溶接された既溶接点Q1を介して、接合されている。第2の金属板2の底部2bと第3の金属板3のフランジ部3aとは、ダイレクトスポット溶接によって予め溶接された既溶接点Q2を介して、接合されている。
第3の金属板3の天板部3bと第1の金属板1とが、本発明の一実施形態に係るインダイレクトスポット溶接方法により接合される。具体的には、第1の金属板1と第3の金属板3の天板部3bとの接合予定部Pを、厚さ方向一方側(図中上側)から溶接電極10で加圧すると共に、骨格部品50の接合予定部Pと異なる部位にアース電極20を当接させた状態で、両電極10,20間に通電することにより、接合予定部Pを溶接する。図示例では、第2の金属板2の底部2bに下方からアース電極20を当接させている。
このインダイレクトスポット溶接方法は、上記の溶接電極10及びアース電極20を有するインダイレクトスポット溶接装置と、インダイレクトスポット溶接装置に接続され、溶接電極10の加圧力及び両電極10,20間の電流値を制御する制御装置とを備えた設備で行われる。インダイレクトスポット溶接装置は、溶接電極10を軸線方向に駆動して金属板を加圧する加圧手段を備える。加圧手段としては、エアシリンダや電動シリンダを使用することができ、本実施形態ではエアシリンダが使用される。
次に、上記のインダイレクトスポット溶接用電極である溶接電極10について、その先端部の詳細な形状を、図2を用いて説明する。
図2に示すように、溶接電極10の先端部には、その先端側へ向けて、第一テーパ面(第一傾斜面)11と、第二テーパ面(第二傾斜面)12と、平坦面13とが設けられており、溶接電極10は、先端側へ向けて縮径する形状をしている。
平坦面13は、溶接電極10の先端側に設けられた端面であり、本実施形態では、その直径W1が1.0mmに設定される。
第二テーパ面12の傾斜角βは第一テーパ面11の傾斜角αよりも大きな値に設定されている。なお、ここでいう傾斜角とは、溶接電極10の軸方向断面における傾斜角のことである。本実施形態では、第二テーパ面12の傾斜角βが29度、第一テーパ面の傾斜角αが20度に設定されている。
第二テーパ面12および第一テーパ面11は、溶接電極10の外周面全周に設けられている。つまり、溶接電極10の先端部は、第一テーパ面11を外周面とする略円錐台形状の土台部14の先端側に、第二テーパ面12を外周面とする略円錐台形状の凸部15が設けられた二段構成をしている。
図2の拡大図に示すように、第一テーパ面11と第二テーパ面12との間は第一R面16によって、第二テーパ面12と平坦面13との間は第二R面17によって、それぞれつながれている。溶接電極10の表面に角部が設けられていると、溶接時に、角部によって押圧された金属板表面に圧力が集中して、金属板の強度低下を招く恐れがある。本実施形態では、各部をR面によって滑らかにつなぐことで、金属板の強度低下を防止できる。
凸部15の高さHは、本実施形態では1.8mmに設定される。なお高さHは、厳密には、第二テーパ面12と第一テーパ面11とをつなぐ第一R面16を含む高さで、第一R面16の下端部から平坦面13までの高さを示している。
次に、溶接電極10を用いたインダイレクトスポット溶接により、被溶接部材である第3の金属板3の天板部3bと第1の金属板1(図1参照)とが溶接される過程について説明する。
ところで、図1に示すように、溶接電極10によって溶接される天板部3bと第1の金属板1とは、隙間なく重ね合わせされるように設計されている。しかし、図3に誇張して示すように、部品の公差や組み付け誤差等により、天板部3bの上面と第1の金属板1の下面との間に隙間Xが形成される場合がある。なお、本実施形態では、隙間Xが最大で1mmになる。そして、この隙間Xの大小により、溶接時の両部材の接触状態が変化し、両部材の溶接状態にも影響を与える。そこで、以下の説明では、天板部3bと第1の金属板1との間に隙間がない場合(以下、単に隙間なしの場合とも呼ぶ)、そして、隙間Xが最大の1mmの場合(以下、単に隙間1mmの場合とも呼ぶ)について、それぞれ溶接の過程を説明する。なお、隙間無しの場合であっても、厳密には両者の間に部分的に隙間が存在し、両者がその全面で接触しているとは限らない。
制御装置の指令により、図4に示すパターンで溶接電極に電流が流された溶接電極10によって、所定の圧力で接合予定部Pを加圧することにより、インダイレクトスポット溶接が行われる。図4は横軸に時間、縦軸に溶接電極に流す電流値を示している。溶接電極に流れる電流は電流値B1、B2、B3と三段階に変化し、溶接の終期に向かうほど、その電流値が大きくなる。
まず、隙間無しの場合について、その溶接の過程を図5(a)~(c)を用いて説明する。
図5(a)に示すように、一段階目の電流値B1(図4参照)を通電された状態の溶接電極10を、第1の金属板1の上面に押し当てて加圧通電する。これにより、第1の金属板1を軟化させつつ天板部3bの方へ湾曲させ、第1の金属板1と天板部3bとの当接面積を拡大させていく。なお、この段階で、溶接電極10に相対的に低い電流値B1を通電することにより、スパッタの発生を防止できる。
上記の加圧動作の際に、本実施形態の溶接電極10は、部分的に突出した凸部15によって第1の金属板1を押圧することにより、第1の金属板1に対して局所的に強い圧力を加えることができる。つまり、例えば図7の溶接電極100のように、一段階のテーパ面しか設けられておらず、先端面が相対的に幅広の溶接電極と比較すると、本実施形態の溶接電極10は、図2に示すように、第一テーパ面11よりも傾斜の急な第二テーパ面12、そして、相対的に幅の狭い平坦面13を有しており、限定的な範囲で強い加圧状態を形成することができる。
このような溶接電極10による加圧通電により、加圧部分を中心にして第1の金属板1を下方へ湾曲させ、図5(a)の範囲Waにおいて、天板部3bに当接させることができる。一方で、範囲Wa以外の部分においては、第1の金属板1と天板部3bとの変形量の違いから、両者の間に隙間を形成することができる。この際、溶接電極10による加圧量が大きいことで、より確実に、第1の金属板1と天板部3bとの間に隙間を形成することができる。以上により、第1の金属板1と天板部3bとの間に元々隙間が無い場合であっても、第1の金属板1と天板部3bとの間に限定的な当接範囲Waを形成することができる。
そして、図5(b)に示すように、溶接電極10は、第1の金属板1への加圧状態を継続すると共に、二段階目の電流値B2を接合予定部Pへ通電する。これにより、第1の金属板1と天板部3bとの当接範囲を拡大すると共に、金属板1と天板部3bとの当接部分を溶融させ、当接部分を中心にナゲットNを形成していく。この際、電流値B3よりも相対的に小さな電流値B2を通電させて、急激な電流値の上昇を避けることで、当接箇所において、過度な発熱による金属板の割れや溶け落ちを防止できる。
さらに、図5(c)に示すように、最も大きな三段階目の電流値B3を流して第1の金属板1と天板部3bとの溶融を進行させることで、両者の間に十分な大きさのナゲットNを形成することができる。
このように、本実施形態の溶接電極10を用いたインダイレクトスポット溶接では、溶接の初期段階で、図5(a)に示すように、隙間無しの場合でも第1の金属板1と天板部3bとの限定的な当接範囲Waを安定して確保することができる。このため、一定以上の安定した電流密度の電流を、この当接部分に通電しながら、溶接を行うことができる。従って、図5(c)に示すように、第1の金属板1と天板部3bとに跨る十分な大きさのナゲットNを形成することができ、両部材を十分に溶接することができる。
なお、図5(c)に示すように、溶接の終期には、溶接電極10の押圧による第1の金属板1の湾曲が進むことで、第1の金属板1が、傾斜のより緩やかな第一テーパ面11に当接して、第一テーパ面11に沿う形になる。これにより、第1の金属板1や天板部3bの過剰な湾曲、言い換えると、溶接電極10の第1の金属板1や天板部3bに対する過剰な食い込みを防止できる。第1の金属板1や天板部3bが湾曲しすぎると、両者の当接範囲が必要以上に拡大し、その電流密度が小さくなることで、ナゲットNの形成を阻害するおそれがある。本実施形態の溶接電極10では、第1の金属板1や天板部3bの過剰な湾曲を防止することで、第1の金属板1と天板部3bとに跨るナゲットNを形成し、両者を確実に溶接することができる。
このように、本実施形態の溶接電極10は、溶接の初期から終期にかけて、第1の金属板1に強い圧力を加えるための、相対的に傾斜角の大きな第二テーパ面12と、溶接の終期において、第1の金属板1や天板部3bの過剰な湾曲を抑制するための、相対的に傾斜角の小さな第一テーパ面11とを有する二段構成をしている。これにより、溶接の初期から終期にかけて、第1の金属板1と天板部3bとの当接範囲を適正な範囲に制御し、両者の当接部分に流れる電流密度を適正に制御することができる。これにより、両者の間に適当な大きさのナゲットNを形成し、溶接の品質を確保することができる。
ところで、上記のように、当接範囲を適正に制御するために、平坦面13の直径W1、凸部15の高さH、第二テーパ面12の角度β、そして第一テーパ面11の角度α(図2参照)を適切に設定することが必要である。
まず、平坦面13の直径W1を大きく設定しすぎると、第1の金属板1と天板部3bとの当接範囲が大きくなりすぎて、十分な電流密度で電流を流すことができなくなる。また、直径W1を小さく設定しすぎると、凸部15の強度が不足したり、その加工が困難になってしまう。以上のことを考慮して、平坦面13の直径W1は、0.5mm~2.0mmの範囲で設定することが好ましい。本実施形態では、直径W1を1.0mmに設定している。
また、角度βについては、小さくなりすぎると、溶接電極10が第1の金属板1に対して十分な圧力を加えることができず、逆に角度βが大きくなりすぎると、圧力が過剰になって第1の金属板1の湾曲量が大きくなり、いずれの場合にも、第1の金属板1と天板部3bとの当接範囲を適切に設定することができなくなってしまう。以上のことを考慮して、角度βは25度以上35度以下の範囲で設定することが好ましい。本実施形態では、角度βを29度に設定している。
また角度αが小さくなりすぎると、溶接の終期で、湾曲した第1の金属板1が第一テーパ面11に当接せず、第1の金属板1や天板部3bの過剰な湾曲を抑制する効果が得られなくなってしまう。また、角度αが大きくなりすぎると、つまり、第一テーパ面11が急な傾斜になり過ぎると、そもそも上記の過剰な湾曲を抑制する効果が得られなくなってしまう。以上のことを考慮して、角度αは、15度以上25度未満の範囲で設定することが好ましい。本実施形態では、αを20度に設定している。
さらに、凸部15の高さHによって、湾曲した第1の金属板1がいずれのタイミングで第一テーパ面11に当接するかが変化するため、高さHを適切に設定する必要がある。この高さHは、想定される隙間Xによっても変化するが、本実施形態では、凸高さを1.0~2.0mmの範囲で設定することで、溶接の終期に、湾曲した第1の金属板1を第一テーパ面11に当接させることができる。本実施形態では、高さHを1.8mmに設定している。
次に、隙間が1mmの場合について、図6(a)~(c)を用いて説明する。
図6(a)に示すように、第1の金属板1と天板部3bとの間の隙間が大きい場合には、第1の金属板1が溶接電極10による押圧箇所を中心にしてその隙間分だけ下方へ湾曲し、範囲Wbにおいて天板部3bに当接する。一方、第1の金属板1のその他の部分は、元々、天板部3bとの間に設けられていた隙間により、天板部3bと非接触になる。このように、隙間が1mmの場合でも、限定的な当接範囲Wbを確保し、第1の金属板1と天板部3bとの間に一定以上の密度の電流を流すことができる。
特に隙間1mmの場合には、第1の金属板1をこの隙間分だけ湾曲させて天板部3bの上面に当接させる必要がある。この点、本実施形態の溶接電極10を用いて、第1の金属板1に局所的に強い圧力を加えることにより、早い段階で第1の金属板1を天板部3bに当接させることができる。従って、第1の金属板1と天板部3bとを溶融させてナゲットNを形成するための時間をより長く設けることができる。
そして、図6(b)~図6(c)に示すように、隙間無しの場合と同様、加圧状態を維持して、第1の金属板1と天板部3bとの当接範囲を拡大しながら、各段階の電流値を通電することにより、第1の金属板1と天板部3bとの間に十分な大きさのナゲットNを形成することができる。
以上のように、本実施形態の溶接電極10を用いた場合には、隙間無し、隙間1mmのいずれの場合でも、第1の金属板1と天板部3bとの間に一定以上の電流密度で電流を流しながら溶接することができる。従って、第1の金属板1と天板部3bとに跨った十分な大きさのナゲットNを形成することができ、両者を十分に溶接できる。特に、隙間無しの場合に、十分に電流密度を確保することができるため、有効な電流範囲を拡大することができる(つまり、図10の電流値2.9kAよりも手前側でも、基準値Cを超える剥離径を実現することができ、電流値の有効な範囲Dを拡大することができる)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
以上の実施形態では、図2に示すように、溶接電極の先端形状として、第一テーパ面11および第二テーパ面12を設けた場合を示した。しかし、本発明の傾斜面はこれに限らず、例えば、外周面が曲面によって構成されるような構成であってもよい。この場合、第二傾斜面における最大角が、第一傾斜面における最大角よりも大きくなるように各曲面を設定する。
1 第1の金属板
2 第2の金属板
3 第3の金属板
3a フランジ部
3b 天板部
10 溶接電極(インダイレクトスポット溶接用の溶接電極)
11 第一テーパ面(第一傾斜面)
12 第二テーパ面(第二傾斜面)
13 平坦面
14 凸部
15 土台部
16 第一R面
17 第二R面
20 アース電極
N ナゲット
P 接合予定部
X 隙間
α、β 傾斜角

Claims (2)

  1. 第一傾斜面と、前記第一傾斜面よりも先端側に設けられ、軸方向断面における傾斜角が前記第一傾斜面よりも大きい第二傾斜面と、先端に平坦面とを有した先細りの先端形状を備えたインダイレクトスポット溶接用の溶接電極であって、
    前記先端形状の周方向の所定の位置において、前記平坦面の半径が、前記第二傾斜面の一端から他端までの軸方向に直交する方向である径方向の距離よりも小さいことを特徴とするインダイレクトスポット溶接用の溶接電極。
  2. 前記第一傾斜面と前記第二傾斜面との間が第一R面により、前記第二傾斜面と前記平坦面との間が第二R面により、それぞれつながれている請求項1記載のインダイレクトスポット溶接用の溶接電極。
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