JP3747793B2 - 燃料噴射制御方法と連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムの再生制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの燃料噴射制御方法と、この燃料噴射制御方法を利用した、粒子状物質を捕集して排気ガスを浄化する連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシテスムの再生制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(PM:パティキュレート:以下PMとする)の排出量は、NOx,COそしてHC等と共に年々規制が強化されてきており、このPMをディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter :以下DPFとする)と呼ばれるフィルタで捕集して、外部へ排出されるPMの量を低減する技術が開発されている。
【0003】
このPMを直接捕集するDPFにはセラミック製のモノリスハニカム型ウォールフロータイプのフィルタや、セラミックや金属を繊維状にした繊維型タイプのフィルタ等があり、これらのDPFを用いた排気ガス浄化装置は、エンジンの排気管の途中に設置され、エンジンで発生する排気ガスを浄化して排出している。
【0004】
しかし、このPM捕集用のフィルタは、PMの捕集に伴って目詰まりが進行し、PMの捕集量に比例して排気ガス圧力(排圧)が上昇するので、このDPFからPMを除去する必要があり、幾つかの方法及びシステムが開発されている。
【0005】
そのうちの一つに、電気ヒータやバーナーでフィルタを加熱して、PMを燃焼除去したり、エアを逆方向に流して逆洗したりするシステムがあるが、これらのシステムの場合には、外部から加熱用のエネルギーを供給してPM燃焼を行うので、燃費の悪化を招くという問題や再生制御が難しいという問題がある。
【0006】
また、これらのシステムを採用した場合には、DPFを備えた2系統の排気通路を設け、交互に、PMの捕集とフィルタの再生を繰り返す場合が多く、そのため、システムが大きくなり、コストも高くなり易い。
【0007】
これらの問題に対処するために、図5〜図7に示すような連続再生型DPFシステムが提案されている。
【0008】
図5は、二酸化窒素(NO2 )による連続再生型DPFシステム(NO2 再生型DPFシステム)の例であり、この連続再生型DPFシステム1Aは、ウオールフロータイプのフィルタ3Abとその上流側に配置されたから酸化触媒3Aaとから構成され、この上流側の白金等を担持した酸化触媒3Aaにより、排気ガス中の一酸化窒素(NO)を酸化(2NO+O2 →2NO2 )して二酸化窒素(NO2 )とし、この二酸化窒素(NO2 )で、下流側のフィルタ3Abに捕集されたPMを酸化(2NO2 +C→2NO+CO2 )して二酸化炭素(CO2 )とし、PMを除去している。
【0009】
この二酸化窒素(NO2 )によるPMの酸化は、酸素(O2 )によるPMの酸化より、エネルギー障壁が低く低温で行われるため、外部からのエネルギーの供給が低減されるので、排気ガス中の熱エネルギーを利用することで連続的にPMを捕集しながらPMを酸化除去してフィルタの再生を行うことができる。
【0010】
また、図6に示す連続再生型DPFシステム(一体型NO2 再生DPFシステム)1Bは、図5のシステム1Aを改良したものであり、酸化触媒32Aをウオールフロータイプの触媒付フィルタ3Bの壁表面に塗布し、この壁表面で、排気ガス中の一酸化窒素(NO)の酸化と二酸化窒素(NO2 )によるPMの酸化を行うようにしている。これにより、システムを簡素化している。
【0011】
そして、図7に示す連続再生型DPFシステム(PM酸化触媒付DPFシステム)1Cは、白金(Pt)等の貴金属酸化触媒32Aと、PM酸化触媒32BをウオールフロータイプのPM酸化触媒付フィルタ3Cの壁表面に塗布し、この壁表面でより低い温度からPMの酸化を行うようにしている。
【0012】
このPM酸化触媒32Bは排気ガス中の酸素(O2 )で直接PMを酸化する触媒であり、二酸化セリウム(CeO2 )等で形成される。
【0013】
そして、この連続再生型DPFシステム1Cは、低温酸化域(350℃〜450℃程度)では酸化触媒32Aの一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2 )に酸化する反応を利用してPMを二酸化窒素(NO2 )で酸化し、中温酸化域(400℃〜600℃程度)では、PM酸化触媒32Bの排気ガス中の酸素(O2 )でPMを直接酸化する反応(4CeO2 +C→2Ce2 O3 +CO2 ,2Ce2 O3 +O2 →4CeO2 等)によりPMを酸化し、PMが排気ガス中の酸素(O2 )で燃焼する温度より高い高温酸化域(600℃程度以上)では、排ガス中の酸素(O2 )によりPMを酸化している。
【0014】
これらの連続再生型DPFシステムにおいては、触媒や、二酸化窒素によるPMの酸化を利用することによって、PMを酸化できる温度を下げて、PMを捕集しながらPMを酸化除去している。
【0015】
しかしながら、これらの連続再生型DPFシステムにおいても、まだ、排気ガス温度を350℃程度に昇温させる必要があるため、排気温度が低いエンジンの運転状態や一酸化窒素(NO)の排出が少ないエンジンの運転状態においては、触媒の温度が低下して触媒活性が低下したり、一酸化窒素(NO)が不足するので、上記の反応が生ぜず、PMを酸化してフィルタを再生できないため、PMのフィルタへの堆積が継続されて、フィルタが目詰まりするという問題がある。
【0016】
例えば、アイドル運転時や下り坂におけるエンジンブレーキ作動運転時等の低速や極低負荷運転においては、燃料が殆ど燃焼しない状態となり、低温の排気ガスが連続再生型DPF装置に流れ込むため、触媒の温度が低下して触媒活性が低下してしまう。
【0017】
特に、この連続再生型DPFシステムを搭載した自動車が、宅配便等に使用され市街地走行が多い場合には、排気ガスの温度が低いエンジンの運転状態が多いため、再生モード運転において、排気ガスを昇温させるための制御を行う必要が生じる場合が多い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、エンジンの燃料噴射において、噴射時期の遅延操作を行って、排気ガス温度の上昇を図ったり、噴射時期の進角操作等を行って、排気ガス中のNOx量の増加を図っている。
【0019】
しかしながら、この噴射時期の遅延操作で排気ガス温度を上昇させると、エンジンから排出されるNOxが低減してしまうために、NO2 によるPM酸化反応を利用することができないという問題があり、また、噴射時期の進角操作等で排気ガス中のNOx量を増加させると、排気ガス温度が低下してしまうために、PMの酸化反応が生じなくなるという問題がある。
【0020】
従って、アイドルや極低負荷のエンジン運転状態を継続すると、PMの捕集が進行するにもかかわらず、PMを酸化除去できる排気ガスの条件、即ち、NOxの存在と排気ガスの昇温という両方の条件を満たす排気ガスを供給できないため、PMを酸化除去できず、そのままPMの捕集が継続されるので、フィルタの目詰まりが進行する。
【0021】
そして、このフィルタの目詰まりの進行により、排圧が上昇するので、燃費が悪化する。また、更に、目詰まりが進行し、排圧が高くなり過ぎると、エンジンの停止となり、最悪の場合には、再始動の不能に発展する。
【0022】
また、燃料噴射制御において、これらの遅延操作や進角操作を行うと燃料の熱エネルギーがエンジンの出力以外のものに使用されてしまうため、出力トルクの減少が生じ、フィルタの再生制御時にトルク変動が発生するので乗り心地性能が悪化するという問題もある。
【0023】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、エンジンの発生トルク量を変えることなく、排気ガス温度の昇温とNOx量の増加とを同時に行うことができる燃料噴射制御方法を提供することにある。
【0024】
また、更なる目的は、連続再生型DPFシステムにおいて、アイドルや極低負荷等の排気ガス温度が低いエンジン運転状態であっても、エンジンの燃料噴射制御により、排気ガス温度の昇温とNOx量の増加とを同時に行うことができて、PMの酸化除去を可能とする連続再生型DPFシステムの再生制御方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための燃料噴射制御方法は、次のように構成される。
【0026】
1)エンジンの排気通路に設けられ、前記エンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集すると共に、該捕集した前記粒子状物質を触媒作用により酸化除去する連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムの再生の際に行う再生制御で、
前記エンジンの燃料噴射を二段以上の複数段に分割した多段噴射とすると共に、該複数段の燃料噴射における前期の燃料噴射の噴射時期を、通常運転の適正噴射時期より早い時期としてNOxの発生量を増加させ、後期の燃料噴射の噴射時期を、通常運転の適正噴射時期より遅い時期として排気温度を上昇させるように構成される。
【0027】
ここでいう通常運転の適正噴射時期とは、排気温度の上昇やNOx増加を特に考慮しないで、所定のエンジン回転数とトルクを発生させる場合における、燃料噴射を行う時期をいう。
【0028】
そして、このエンジンの燃料の噴射制御方法によれば、NOxの発生量の増加と排気ガス温度の上昇とを同時に実現した排気ガスを発生することができる。
【0029】
2)そして、上記の燃料噴射制御方法において、前記多段噴射による燃料噴射量を、通常運転の燃料噴射量より増加して、発生トルクを通常運転のエンジン運転時に発生するトルクと同じにするように構成する。
【0030】
前期の燃料噴射を早期実施すると、前期の燃料噴射における燃料が発生する熱エネルギーのトルクへの変換量が、通常運転のトルクへの変換量より減少する(負の出力が発生する)ので、このトルク減少分を後期の燃料噴射量を増加することで補って、前期の燃料噴射の負の出力に打ち勝つ正の出力が取り出せる量の燃料を噴射することにより、通常運転で発生するトルクと同じ発生トルクを発生させることができる。
【0031】
従って、前期の燃料噴射量と後期の燃料噴射量をバランスよく増加することにより、通常運転で発生するトルクと同じ発生トルクを発生させながら、排気温度の昇温とNOxの発生量の増加を行うことができる。
【0032】
そして、この燃料噴射制御方法によれば、前期の燃料噴射の噴射量と噴射タイミングの制御により、NOxの発生量を調整し、後期の燃料噴射の噴射量と噴射タイミングの制御により、排気温度を調整できる。また、それと共に、前期の燃料噴射の噴射量と後期の燃料噴射の噴射量とを制御することにより、発生トルク、即ち、エンジンの出力も制御できることになる。
【0033】
また、前期の燃料噴射を増加して早期噴射することにより、シリンダ内の作動ガスの温度が著しく上昇するので、後期の燃料噴射の時期を大幅にリタードさせても、後期に噴射される燃料を失火させることなく燃焼できるようになる。
【0034】
この前期の燃料噴射量と後期の燃料噴射量のバランスは、実験的に求めることができ、この実験から得られるデータをマップデータ等で、燃料噴射制御装置に記憶させておき、この燃料噴射制御を行う時に、必要に応じて、このデータから前期の燃料噴射量と後期の燃料噴射量を求めることで、容易にこの燃料噴射制御を行うことができる。
【0035】
そして、この燃料噴射制御方法を、連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムの再生制御方法に組み入れて利用することができる。
【0036】
3)この再生制御方法は、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集すると共に捕集した粒子状物質を触媒作用により酸化除去する触媒付フィルタを備えた連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムにおいて、前記触媒付フィルタの再生の際に行う再生制御に、前記燃料噴射制御方法を含んで構成される。
【0037】
連続再生型DPFシステムにおいて、上記の噴射制御方法を使用することにより、フィルタの再生が必要になった時が、アイドルや極低負荷のエンジン運転状態であっても、排気ガス温度の昇温とNOx量の増加とを同時に行うことができるので、フィルタに捕集されて堆積したPMを酸化除去することが可能となる。
【0038】
しかも、通常のエンジン運転における回転数及びトルクを維持しながら、NOxの発生量を増加し、且つ、排気温度を上昇することができるので、エンジンのトルクに変動を生じさせることなく、PMを触媒作用を利用して酸化しフィルタを再生できる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の燃料噴射制御方法と連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステム(以下連続再生型DPFシステムとする)の再生制御方法について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
先ず、最初に、燃料噴射制御方法について説明する。
【0041】
このエンジンの燃料噴射制御方法では、図1に示すように、エンジンの燃料噴射を二段以上の複数段に分割した多段噴射(図1では2段噴射)とし、この複数段階の燃料噴射の前期の燃料噴射F1の噴射時期t1を、通常運転の適正噴射時期tnより早い時期とし、後期の燃料噴射F2の噴射時期t2を、通常運転の適正噴射時期tnより遅い時期とする。
【0042】
この前期の段階の噴射(2段階噴射の場合には第1噴射)F1が早期噴射ということで進角しているので排出NOxが増加する。また、同時に、この後期の段階の噴射のリタード(遅延)により、排気ガス温度を上昇させることができる。
【0043】
なお、前期の段階の早期噴射F1によりシリンダ内作動ガス温度が上昇するので、後期の段階の噴射(2段階噴射の場合には第2噴射)F2の噴射時期t2のリタード量を増加できる。
【0044】
そして、図1に示すように、前期の噴射F1の噴射時期t1を通常運転の適正噴射時期tnより早い時期としているため、発生NOx量が増加するが、負の仕事が発生するため、後期の燃料噴射F2で、前期の噴射F1で生じた負の仕事をカバーできる正の仕事を発生できるように燃料量を増加して噴射する。
【0045】
これらの噴射制御によって、前期の噴射F1によって行われる負の仕事量と、後期の噴射F2の噴射量の増加により増加した正の仕事量とのバランスを保つことにより、発生トルク量(エンジン出力)を制御できる。つまり、エンジン出力の制御が、前期の噴射(1段目)F1と後期の噴射(2段目)F2の噴射量とその割合を制御することにより可能となる。
【0046】
そのため、発生トルクを低くしたままでも、NOxを増加させたり、排気ガス温度を上昇させたりすることができ、このエンジンの燃料の噴射制御方法により、低負荷でもPM再生に必要なNOx量と排気ガス温度を確保できるようになる。
【0047】
次に、この噴射制御方法を使用する連続再生型DPFシステムの再生制御方法について、説明する。
【0048】
図2に、この連続再生型DPFシステム1の構成を示す。この連続再生型DPFシステム1は、エンジンEの排気通路2に設けられた触媒付フィルタ3と、再生制御手段40とからなる。
【0049】
この触媒付フィルタ3は、図3に示すように、多孔質のセラミックのハニカムのチャンネルの入口と出口を交互に千鳥状に目封じしたモノリスハニカム型ウオールフロータイプのフィルタで形成され、このフィルタ3の多孔質壁面30に、触媒32を担持する多孔質触媒コート層31を設ける。
【0050】
この触媒32は、HC,CO及びPMに対して酸化活性を持つ、白金(Pt)やパラジウム(Pd)や銅(Cu)等の貴金属触媒32Aと二酸化セリウム(CeO2 )等のPM酸化触媒32Bとで形成される。
【0051】
また、再生制御手段40は、通常、エンジンEの運転の全般的な制御を行う制御装置(ECU:エンジンコントロールユニット)50に含めて構成され、触媒付フィルタ3の排気入口側のDPF入口排気ガス温度センサ51と、触媒付フィルタ3の前後の差圧を検出するDPF差圧センサ52からの出力を入力して、触媒付フィルタ3の再生用の制御を行う。
【0052】
次に、上記の構成の連続再生型DPFシステム1における再生制御方法について説明する。
【0053】
この再生制御方法は図4に例示するような再生制御フローに従って行われる。
【0054】
例示したこれらのフローは説明し易いように、エンジンEの制御フローと並行して、繰り返し呼ばれて実施されるフローとして示している。
【0055】
つまり、エンジンEの運転制御中は並行して、このフローが一定時間後に繰り返し呼ばれて実行され、エンジンEの制御が終了すると、このフローも呼ばれなくなり実質的にこのフィルタ再生制御も終了するものとして構成している。
【0056】
本発明の再生制御フローでは、図4に示すように、ステップS10で、再生モード運転の開始の判定をフィルタの目詰まり度をPM累積推定値PMsでチェックして行い、このPM累積推定値PMsが所定の判定値PMsmax を超えた場合には、ステップS20で再生Aモード運転や再生Bモード運転を行って、触媒付フィルタ3を再生する。
【0057】
先ず、この再生制御フローがスタートすると、ステップS10の再生モード運転開始の判定に入り、ステップS11で、PM捕集値PMtを算出する。このPM捕集値PMtは、エンジンEの運転状態を示すトルクQとエンジン回転数Ne、及び、DPF入口排気ガス温度センサ51で計測されるDPF入口排気ガス温度T1等を基にして、予め入力されたPM排出マップのマップデータ等から算出されるPM排出量とPM浄化量との差から算出する。
【0058】
あるいは、DPF差圧センサ52で検出されたDPF損失差圧と、予め入力されたDPF差圧マップとの比較から触媒付フィルタ3に捕集されたPM堆積量PMtを算出する。
【0059】
そして、次のステップS12で、このPM堆積量PMtの時間を考慮して累積計算することにより、PM累積推定値PMsを算出する。
【0060】
このステップS13の判定では、PM累積推定値PMsが所定の判定値PMsmax 以上であるか否かで、再生モード運転開始の要否を判定する。この判定で、再生モード運転開始が必要であると判定された場合には、ステップS20の再生モード運転に移り、再生モード運転が必要では無いと判定された場合には、そのままリターンする。
【0061】
このステップS20の再生モード運転は次のようにして行われる。
【0062】
先ず、ステップS21で、DPF入口排気ガス温度Teをチェックし、所定の排気温度Te1より高いか否かを判定する。
【0063】
このステップS21で、DPF入口排気ガス温度Teが、所定の排気温度Te1(例えば350℃程度)より低い温度、即ち、低温酸化域以下にある場合には、ステップS22の再生Aモード運転を行う。
【0064】
本発明では、この低温域における再生Aモード運転中で、多段噴射の燃料噴射制御を行い、NOxの発生量を増加しながら、排気ガス温度を上昇させるので、このNOxの増加と排気ガス温度の上昇を利用してPMを酸化して除去することができる。
【0065】
そして、スナップS21に戻り、DPF入口排気ガス温度Teが、所定の排気温度Te1より高くなるのを待つ。
【0066】
このスナップS21で、DPF入口排気ガス温度Teが、所定の排気温度Te1より高くなった場合、又は最初から高い場合には、ステップS23で再生Bモードを行う。
【0067】
この再生モード運転は、排気ガス温度が低温酸化域以上(例えば400℃以上)、即ち、酸化触媒やPM酸化触媒、あるいは直接燃焼によりPMを酸化できる温度以上になっているので、それぞれの温度にあった燃料噴射制御により、PMを酸化除去する。
【0068】
そして、排気ガス温度Teが低温酸化温度域(350℃〜450℃程度)にある場合には、酸化触媒32Aにより、NOをNO2 に酸化し、このNO2 でPMを酸化除去できるので、燃料の噴射時期を適正噴射時期より早い時期にして、NOx量を増加する燃料噴射制御を行う。
【0069】
また、排気ガス温度Teが中温酸化温度域(400℃〜600℃程度)にある場合には、PM酸化触媒により、排気ガス中のO2 でPMを酸化除去できるので、排気ガス温度を中温酸化域以上に維持するエンジン運転制御を行い、PM酸化触媒32Bにより、触媒付フィルタ3に捕集されたPMを排気ガス中のO2 で酸化し除去する。
【0070】
そして、排気温度Teが高温酸化域以上(例えば、600℃以上)の温度である場合には、排気ガス中のO2 で直接PMが燃焼する。
【0071】
そして、この再生Bモード運転をし、排圧Peが所定の排圧値Pe1より小さくなったか否か等の判定で、フィルタの再生が終了したか否かをチェックする。
【0072】
フィルタの再生が終了していない場合には、ステップS21に戻り再生モード運転を続行し、フィルタの再生が終了している場合には、再生モード運転を終了して、ステップS25で、燃料噴射を元の噴射モードに戻したり、PM累積推定値PMsをリセットしたりする(PMs=0)等の再生モード終了操作を行い、リターンする。
【0073】
上記の再生制御方法を使用することにより、フィルタの再生が必要になった時が、アイドルや極低負荷のエンジン運転の排気温度が低い状態であっても、再生Aモード運転の多段噴射(スプリット噴射)の燃料噴射制御により、排気ガス温度の昇温とNOx量の増加とを同時に行って、フィルタに捕集されて堆積したPMを酸化除去することができる。
【0074】
しかも、通常のエンジン運転における回数数及びトルクを維持しながら、NOxの発生量を増加し、且つ、排気温度を上昇することができるので、エンジンのトルクに変動を生じさせることがない。
【0075】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係わるエンジンの燃料噴射制御方法によれば、前期の燃料噴射の噴射量と噴射タイミングの制御により、NOxの発生量を調整し、後期の燃料噴射の噴射量と噴射タイミングの制御により、排気温度を調整できる。それと共に、前期の燃料噴射の噴射量と後期の燃料噴射の噴射量とを制御することにより、発生トルク、即ち、エンジンの出力も制御できる。
【0076】
従って、NOxの発生量の増加と排気ガス温度の上昇とを同時に実現した排気ガスを発生することができる。また、前期の燃料噴射量と後期の燃料噴射量をバランスよく増加することにより、通常運転で発生するトルクと同じ発生トルクを発生させながら、排気温度の昇温とNOxの発生量の増加とを同時に行うことができる。
【0077】
また、本発明の連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステム(連続再生型DPFシステム)の再生制御方法によれば、従来の再生制御技術では、排気ガス温度または排出NOx量が不足して、PMの酸化によるフィルタ再生が困難であった、アイドルや低負荷等の排気温度が低いエンジン運転領域であっても、トルクの増加を招くことなく、排気ガス温度の昇温と排出NOx量の増量とを共に満足できるので、フィルタに捕集されたPMの酸化が可能となり、フィルタを再生できる。しかも、再生制御によるトルク変動が生じない。
【0078】
従って、何時でもフィルタを再生できるので、排圧の上昇を抑えることができる。そのため、燃費を向上でき、また、高排圧に起因するエンジンストロールの発生等の不具合も回避できる。更に、PMの過剰蓄積も回避できるので、このPMの過剰蓄積の次に続くPM酸化時に発生し易いフィルタ溶損も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の燃料噴射制御の模式的な説明図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の連続再生型パティキュレートフィルタシステムの構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の触媒付フィルタの模式的な構成図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の連続再生型パティキュレートフィルタシステムの再生制御方法を示すフロー図である。
【図5】従来技術の酸化触媒を配設した連続再生型DPFシステムの一例を示す構成図である。
【図6】従来技術の酸化触媒付フィルタを備えた連続再生型DPFシステムの一例を示す構成図である。
【図7】従来技術のPM酸化触媒付フィルタを備えた連続再生型DPFシステムの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
E ディーゼルエンジン
1 連続再生型パティキュレートフィルタシステム
2 排気通路
3 触媒付フィルタ
F1 前期の燃料噴射
F2 後期の燃料噴射
t1 前期の燃料噴射の噴射時期
t2 後期の燃料噴射の噴射時期
tn 通常運転の適正噴射時期
Claims (3)
- エンジンの排気通路に設けられ、前記エンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集すると共に、該捕集した前記粒子状物質を触媒作用により酸化除去する連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムの再生の際に行う再生制御で、
前記エンジンの燃料噴射を二段以上の複数段に分割した多段噴射とすると共に、該複数段の燃料噴射における前期の燃料噴射の噴射時期を、通常運転の適正噴射時期より早い時期としてNOxの発生量を増加させ、後期の燃料噴射の噴射時期を、通常運転の適正噴射時期より遅い時期として排気温度を上昇させることを特徴とする燃料噴射制御方法。 - 前記多段噴射による燃料噴射量を、通常運転の燃料噴射量より増加して、発生トルクを通常運転の燃料噴射量より増加して、発生トルクを通常運転のエンジン運転時に発生するトルクと同じにすることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射制御方法。
- エンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集すると共に捕集した粒子状物質を触媒作用により酸化除去する触媒付フィルタを備えた連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムにおいて、前記触媒付フィルタの再生の際に行う再生制御に、請求項1又は2に記載の燃料噴射制御方法を含むことを特徴とする連続再生型ディーゼルパティキュレートフィルタシステムの再生制御方法。
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