JP3747666B2 - 結晶成長方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室温で固体の溶融溶媒に溶解し、融解温度あるいは気化温度で分解劣化しやすい、例えば、多環式芳香族化合物などの有機結晶の成長に適した結晶成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
無機結晶は分解温度が高いため、融剤を用いて結晶原料を高温で溶解し、溶融液中で結晶を成長させる再結晶法が知られている。この方法は温度変化による目的結晶の溶解度の差を利用して結晶を成長させる方法であり、例えば、PbO、PbF2 、KCl−NaCl等の融剤を用いてチタン酸バリウム、フェライト、ルビーなどの無機結晶を成長するものである。これらの融剤の融点は900℃に近いものである。この融点は大半の有機結晶を分解する温度であるため、この方法を有機結晶の成長に適用することはできない。
【0003】
また、密閉容器内に結晶原料を収容し、これを加熱して気化させる一方、容器内の一部を低温にして結晶を析出させる気相成長法が知られている。この方法は一般的に欠陥の少ない良質な単結晶を得ることができるが、容器内を高真空にしたり、不活性ガスで置換したりする必要があり、1〜3週間かけてゆっくり成長するため、結晶化効率が悪い。さらに、結晶原料が気化しにくい物質であったり、気化温度が結晶の分解温度に近い物質に対してはこの方法を適用することはできない。したがって、比較的低温で分解劣化しやすい有機結晶の成長には適した方法ではない。
【0004】
さらに、結晶原料を加熱溶融し、種結晶を溶融液に浸漬して引き上げる結晶引上法や、成長容器内で結晶原料を溶融した後、容器の一端を低温にして成長核をつくり、その部分に温度勾配を維持しながら溶融液を冷却固化する方法などがあるが、加熱・溶融で分解劣化しやすい有機結晶の成長にはこの方法を適用することは難しく、その上結晶成長の温度制御や種結晶の引上制御が難しく、良質の結晶を得ることは極めて困難であった。
【0005】
そこで、一般的には、室温で液体の溶媒に結晶原料を加熱しながら溶解した後、徐冷して温度による溶解度の差を利用して結晶を析出させる、室温で液体の溶媒を用いた再結晶法が採用されてきた。この方法は目的結晶の融解温度あるいは昇華温度よりはるかに低い温度で結晶を析出できるため、有機結晶の成長に適した方法である。
しかし、成長の過程で結晶中に溶媒の不純物や溶媒成分が取り込まれ、結晶欠陥やひずみの原因となる場合がある。また、有機結晶の種類によっては適当な溶媒がなく、上記の方法を採用できないものも少なくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解消し、室温で液体の通常の溶媒には溶けず、融解温度あるいは気化温度で分解しやすい物質についても、結晶の融点や沸点よりもはるかに低温で成長させることができ、良質で大きな結晶を製造できる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の手段を採用することにより、上記の課題の解決に成功した。
(1) 室温において固体で目的結晶より融点が低い溶融溶媒を用い、結晶原料とともに成長容器に充填し、これを加熱して溶融した前記溶融溶媒で前記結晶原料を溶解して溶液を調製した後、前記溶液の目的結晶成分を過飽和にして前記目的結晶を成長させる結晶成長方法であって、前記目的結晶が有機結晶であることを特徴とする結晶成長方法。
【0008】
(2) 前記溶融溶媒として、前記目的結晶に先行して結晶化するものを用い、前記成長容器を温度勾配炉内に配置し、低温側の一端から前記溶融溶媒を結晶化させ、高温側の前記溶液中に結晶成分の過飽和領域を形成して結晶を析出させることを特徴とする前記(1) 記載の結晶成長方法。
(3) 前記温度勾配を保持したまま、10℃/時間以下の冷却速度で徐冷することを特徴とする前記(2) 記載の結晶成長方法。
【0009】
(4) 前記溶融溶媒として、前記溶液から蒸発しやすいものを用い、前記成長容器を温度勾配炉内に配置し、前記溶融溶媒を蒸発させることにより前記溶液中の前記目的結晶成分を相対的に過飽和にすることを特徴とする前記(1) 記載の結晶成長方法。
(5) 前記成長容器の上部を閉じ、蒸発した前記溶融溶媒を前記容器の上部に析出させることを特徴とする前記(4) 記載の結晶成長方法。
【0010】
(6) 常温で液体の溶剤を用いて前記溶融溶媒の結晶を溶解し、前記目的結晶を回収することを特徴とする前記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載の結晶成長方法。
【0011】
(7) 前記目的結晶が多環式芳香族化合物であることを特徴とした前記(1) 〜(6) のいずれか1つに記載の結晶成長方法。
【0012】
(8) 前記溶融溶媒の融点が常圧で30〜500℃の範囲にあることを特徴とする前記(1) 〜(7) のいずれか1つに記載の結晶成長方法。
(9) 前記溶融溶媒が多環式芳香族化合物であることを特徴とする前記(8) 記載の結晶成長方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、室温において固体で目的結晶より融点の低い溶融溶媒を用いて目的結晶を成長させる方法であり、その詳細は、以下図面により説明する。
図1は、目的結晶に先行して結晶化する溶融溶媒を用いる結晶成長方法の説明図である。結晶原料と溶融溶媒を混合してアンプルに収容した後密閉する。なお、成長容器内は真空にするか、不活性ガスでパージしてから密閉してもよい。次いで、アンプルを縦型炉内にセットし、加熱して溶融した溶融溶媒で結晶原料を完全に溶解する。そして、上端を溶融溶媒の結晶化温度に、下端は結晶原料が溶融溶媒により溶解する温度に設定した後、その温度傾斜を保持しながら全体を一定の冷却速度で徐々に冷却し、アンプルの上端から溶融溶媒を結晶化させ、下部の溶液中の結晶成分を過飽和にして結晶を析出させるものである。
【0014】
なお、アンプルは開放系にしてもよい。開放系にすると、大気と接触して成長結晶表面が酸化したり劣化するおそれがあるが、溶融溶媒結晶の隙間に結晶が成長するときには、上記の酸化や劣化を受けにくいので、必ずしもアンプルを密閉する必要はない。また、図1の温度勾配を上下逆にして底部から溶融溶媒を結晶化してアンプルの上部に結晶を析出させてもよいし、横型温度勾配炉中に設置して結晶成長を行ってもよい。
この方法においては、目的結晶が例えば多環式芳香族化合物などの板状結晶系であるときには、溶融溶媒も板状結晶系のものを選択し、溶融溶媒結晶の隙間に目的結晶を成長させることができ、良質の大きな結晶を得るのに適した方法である。
【0015】
図2は、蒸発しやすい溶融溶媒を用いて結晶成長を行うときの説明図である。結晶原料と溶融溶媒の混合物をアンプルに収容して密閉する。その際、成長容器内を真空に引いた後密閉することが好ましい。次いで、アンプルを縦型炉内にセットし、加熱して溶融した溶融溶媒で結晶原料を完全に溶解する。そして、アンプルの下部は溶液から溶融溶媒の蒸発する温度に保持しながら、上端を溶融溶媒の蒸気の凝縮温度以下に冷却することにより、アンプルの下部の溶液中の溶融溶媒量を少なくし、目的結晶成分を過飽和にして結晶を析出させるものである。結晶が成長した後は空冷あるいは急冷してよい。
【0016】
本発明の結晶成長方法は有機結晶の成長に適している。特に、一般的な有機溶媒には溶解しない溶媒耐性をもつが、溶融溶媒に溶解する性質を有し、昇華温度が高く、融解温度あるいは気化温度で分解劣化しやすい有機化合物の結晶成長に適している。例えば、フタロシアニン系化合物、ペリレン系化合物、ピレン系化合物、キナクリドン系化合物、スクアリウム化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリスアゾ化合物、ビスアゾ顔料、縮環芳香族系顔料、インジコ顔料などの多環式芳香族化合物を挙げることができる。具体的には、Cu−フタロシアニン、Ni−フタロシアニン、Mg−フタロシアニン、TiO−フタロシアニン、Al−フタロシアニンクロライド、Fe−フタロシアニン、Al−キノリナードなどが挙げられる。
【0017】
本発明で用いられる溶融溶媒は、室温(15℃)において固体で、溶融した状態で結晶原料を溶解し、目的の成長結晶より融点が低いものであればその種類を問わない。さらに、溶融溶媒として結晶化しやすいものを選択するときには、目的結晶に先立って溶融溶媒が結晶化するにしたがって溶融状態の溶媒量が少なくなるため、目的結晶成分を容易に過飽和にすることができる。また、溶融溶媒として蒸発しやすいものを選択するときには、結晶原料を溶解した溶液から溶融溶媒を蒸発させることにより、溶液中の溶融溶媒量を減少させ、目的結晶成分の濃度を上昇させることができ、容易に前記濃度を過飽和にすることができる。
他方、溶融溶媒の結晶は室温で液体の溶剤で容易に溶解するものが好ましい。かかる溶融溶媒を用いるときには、結晶成長を終了した後、前記溶剤で溶融溶媒結晶のみを溶解して目的結晶を簡単に回収することができる利点がある。
【0018】
特に、目的結晶として多環式芳香族化合物などの有機結晶を得るためには、融点が室温以上、好ましくは融点が30〜500℃、より好ましくは50〜350℃の多環式芳香族化合物の溶融溶媒を使用することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ビフェニル、ターフェニル、ピレン、ペリレン、フェナントレン、フェナントロレンなどを使用することができる。
これらの溶融溶媒は、室温で液体である一般的な有機溶媒を用いる結晶化法とは異なり、溶媒分子が比較的大きな構造をもつため、目的結晶中に溶媒分子がとりこまれることがなく、欠陥の少ない高純度の結晶を得ることができる。
【0019】
溶融溶媒の配合量は、溶融溶媒の融点以上の適当な温度において、原料結晶を完全に溶解できる量即ち目的結晶成分を飽和させる溶融溶媒量よりも少し多くする必要がある。室温で固体の溶融溶媒が加熱されて液体となり、原料結晶を溶解するときに、原料結晶の一部が固体で残ると、それらが核となり微結晶が多く析出するため、大きな結晶を得ることが難しくなる。
【0020】
本発明において結晶原料を溶解する温度は、溶融溶媒の融点以上で、目的結晶の分解温度より低い範囲で適宜選択することができる。フラックス法とは異なり、温度による溶解度の相違を利用して結晶を析出させるだけではなく、例えば、溶融溶媒自身が成長容器の他端で冷却されて結晶化したり、蒸発することにより、溶液中の溶融溶媒量が減少して目的結晶成分の濃度を高め、過飽和状態にして結晶を成長させることができ、温度により溶解度が大きく変化しない結晶も本発明により成長することができる。
【0021】
図1の方法において、成長容器内の温度分布は、当初は下部を結晶原料の溶解温度である比較的高温に、上部は溶融溶媒を析出させる比較的低温にする。その後、成長容器全体を徐冷して溶融溶媒の析出を進行させて溶液中の溶融溶媒量を低下させ、下部の溶液中の目的結晶成分濃度を高める。その際、成長容器の最下部に近い部分に急峻な温度勾配をつけることにより、大半の溶融溶媒を結晶化させ、最下部の溶液中の目的結晶成分濃度を一層高めて結晶成長を促進させてもよい。この急峻な温度勾配を得るために、成長容器の底部を平らに近い形状にして底部から加熱してもよい。
【0022】
成長容器の底部と上部の温度差は3〜50℃の範囲、好ましくは5〜20℃の範囲が適当である。温度差が少ないと、成長容器を徐冷する過程で系全体がほぼ同時に固化するおそれがあり、目的結晶成分を過飽和に調整することが難しく、溶融溶媒の結晶中に目的結晶を成長させることができないまま、溶媒とともに固化するおそれがある。他方、温度差が大きすぎて下部の温度が高くなりすぎ、下部の溶融溶媒が蒸発しやすい場合は、回収する前に成長した目的結晶を空気中に露出させるおそれがある。
【0023】
本発明において、成長容器を徐冷する機構はいかなるものでもかまわないが、徐冷速度は目的結晶の種類により適宜選択すればよいが、例えば10℃/h以下、好ましくは2℃/h以下が適当である。
本発明で用いられる結晶成長容器は、溶融溶媒自身が蒸発する場合があるため封入管の方がよい。また、ガラスアンプルや石英アンプルなどの割れやすい容器の方がよい。アンプルを割って、目的結晶が固体の溶融溶媒結晶中に取り込まれた状態で取り出すことができるからである。
【0024】
成長容器から取り出した溶融溶媒結晶から目的結晶を分離回収する方法は、結晶を壊さない方法であればどのような方法でもかまわない。固化した溶融溶媒の結晶を機械的に割り、中に取り込まれた目的結晶を取り出してもよいし、溶融溶媒の結晶を優先的に溶かす溶剤を用いて周囲からゆっくり取り除いて、目的結晶を取り出してもよい。後者の方法は目的結晶を取り出すときに、結晶の損傷を最小限に止めることができ、かつ目的結晶の表面を同時に洗浄できる利点もある。
【0025】
このように、本発明によれば、従来の溶媒を用いる結晶化法に比べ、不純物の取り込みが極めて少なく高純度の結晶を得ることができる。また、電子写真感光材料として用いられるフタロシアニンなどの結晶は、従来アシッドペースティング法などで製造したため、結晶中に酸が混入することを回避できず、電子写真感光体の電荷発生層に用いるときに、優れた静電複写特性を提供できないという問題があったが、本発明の結晶は酸を含まず高純度であるため、光感度、帯電性、暗減衰性等の電子複写特性が優れ、単層型や積層型のOPC感光体を作製するのに有利である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
溶融溶媒のアントラセン(アルドリッヒ社製)2部と、Cu−フタロシアニン(和光純薬社製)0.005部を混合してガラスアンプル中に封入し、縦型温度勾配炉に設置して下端を220℃に、上端を210℃になるよう加熱してCu−フタロシアニンを完全に溶解した。その後、アンプル全体を冷却速度を2℃/hで徐冷して結晶を成長させた。室温まで冷却した後、ガラスアンプルを割り、内容物を取り出してアセトンでアントラセンを溶解した。その結果、約5mm長×0.1mm巾×0.02mm厚の赤紫色Cu−フタロシアニン単結晶0.004部を得た。
【0027】
(比較例1)
比較のために、Cu−フタロシアニン(和光純薬社製)3部を0℃の濃硫酸60部に溶解した後、5℃の蒸留水450部中に滴下して結晶を析出させた。得られた結晶を希アンモニア水と蒸留水で十分に洗浄した後、乾燥してCu−フタロシアニン結晶2.5部を得た。
【0028】
(評価)
実施例1及び比較例1で得たCu−フタロシアニン結晶を用いて以下の方法で感光層プレートを作成した。即ち、前記結晶を自動乳鉢で5.5時間粉砕し、得られたCu−フタロシアニン結晶粉末0.1部をポリブチラール(積水化学社製:エスレックBM−S)1部及びシクロヘキサノン10部と混合し、ガラスビーズとともにペントシェーカーで1時間処理して上記結晶粉末を分散した塗布液を調整した。次いで、導電性アルミニウム基板を塗布液中に浸漬して塗布し、100℃で5分間加熱乾燥して、膜厚が約20μmの感光層プレートを作製した。
【0029】
得られた感光層プレートに対して感光層表面に+5kVコロナギャップ10mmのコロナ放電により正電荷を30秒与え、コロナ放電を停止して30秒経過した後、3000゜Kのタングステン光源で20Luxの照度で露光し、最大表面帯電量、帯電終了後5秒経過した時の電位に対して30秒経過した後の電位の暗減衰率、及び、露光直前の電位の10%に表面電位を低下させるのに必要な照射量を測定した。
【0030】
その結果、実施例1の感光層プレートの表面帯電量が750V、暗減衰率は19.5%、照射量は70Lux/secと良好な電子写真特性を示した。他方、比較例1の感光層プレートの表面帯電量は550V、暗減衰率は40.0%、照射量は78Lux/secと電子写真特性の低下を示した。これは比較例1のCu−フタロシアニン結晶中に溶媒の硫酸が混入したためと思われる。
【0031】
(実施例2)
溶融溶媒のピレン(アルドリッヒ社製)2部と、トリス(8─ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(アルドリッヒ社製、AlQ3 )0.005部を混合してガラスアンプル中に封入し、縦型温度勾配炉に設置して下端を160℃に、上端を150℃になるよう加熱してトリス(8─ヒドロキシキノリノ)アルミニウムを完全に溶解した。その後、冷却速度を2℃/hで徐冷して結晶を成長させた。室温まで冷却した後、ガラスアンプルを割り、内容物を取り出してn−ヘキサンでピレンを溶解し、約6mm長×0.03mm巾×0.03mm厚の黄色のトリス(8─ヒドロキシキノリノ)アルミニウム単結晶0.004部を得た。
【0032】
(実施例3)
溶融溶媒のアントラセン(アルドリッヒ社製)2部と、N,N’−ジメチルペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)(BASF社製、DM−PBDCI)0.005部を混合してガラスアンプル中に封入し、縦型温度勾配炉に設置して下端を220℃に、上端を210℃になるよう加熱してN,N’−ジメチルペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)を完全に溶解した。その後、冷却速度を2℃/hで徐冷して結晶を成長させた。室温まで冷却した後、ガラスアンプルを割り、内容物を取り出してシセトンでアントラセンを溶解し、約4mm長×0.1mm巾×0.05mm厚の赤色のN,N’−ジメチルペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)単結晶0.005部を得た。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、気化しにくく、融解温度あるいは気化温度で分解しやすい物質、例えば有機結晶などについても、結晶の融点や沸点よりもはるかに低温で結晶成長させることができるようになった。そして、従来の再結晶法とは異なり、結晶中に溶媒分子を取り込むことがなく、高純度の大きな結晶を得ることができるようになった。特に、フタロシアニン等の多環式芳香族化合物結晶はナフタレン等の多環式芳香族化合物を溶融溶媒として用い、電子写真特性等の優れた結晶を得ることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、結晶化しやすい溶融溶媒を用いて目的結晶を成長する方法の説明図である。
【図2】本発明において、蒸発しやすい溶融溶媒を用いて目的結晶を成長する方法の説明図である。
Claims (9)
- 室温において固体で目的結晶より融点が低い溶融溶媒を用い、結晶原料とともに成長容器に充填し、これを加熱して溶融した前記溶融溶媒で前記結晶原料を溶解して溶液を調製した後、前記溶液の目的結晶成分を過飽和にして前記目的結晶を成長させる結晶成長方法であって、前記目的結晶が有機結晶であることを特徴とする結晶成長方法。
- 前記溶融溶媒として、前記目的結晶に先行して結晶化するものを用い、前記成長容器を温度勾配炉内に配置し、低温側の一端から前記溶融溶媒を結晶化させ、高温側の前記溶液中に結晶成分の過飽和領域を形成して結晶を析出させることを特徴とする請求項1記載の結晶成長方法。
- 前記温度勾配を保持したまま、10℃/時間以下の冷却速度で徐冷することを特徴とする請求項2記載の結晶成長方法。
- 前記溶融溶媒として、前記溶液から蒸発しやすいものを用い、前記成長容器を温度勾配炉内に配置し、前記溶融溶媒を蒸発させることにより前記溶液中の前記目的結晶成分を相対的に過飽和にすることを特徴とする請求項1記載の結晶成長方法。
- 前記成長容器の上部を閉じ、蒸発した前記溶融溶媒を前記容器の上部に析出させることを特徴とする請求項4記載の結晶成長方法。
- 常温で液体の溶剤を用いて前記溶融溶媒の結晶を溶解し、前記目的結晶を回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
- 前記目的結晶が多環式芳香族化合物であることを特徴とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
- 前記溶融溶媒の融点が常圧で30〜500℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の結晶成長方法。
- 前記溶融溶媒が多環式芳香族化合物であることを特徴とする請求項8記載の結晶成長方法。
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