JP3747500B2 - 易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体、または液体を収納する紙層を基材とした積層材料からなる直方体状の紙製容器に関するもので、さらに詳しくは、上部に形成される三角形状の耳部を、はさみ等の道具を使用しないで開封可能とした易開封性紙製容器の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙層を基材として、両側にポリエチレン等のプラスチックフィルム層を設けた積層材料を、所定の位置に設けた罫線から折り曲げて形成した紙製容器は、液体用器として汎用されている。
この紙製容器の形状として、牛乳用として広く使用されている屋根型の容器、その他、上部の左右に三角形状の耳部を容器本体の側面に固定した直方体状の容器が使用されている。
【0003】
この直方体状の容器から、内容物を取り出す時は、三角形状の耳部を、容器本体から剥離し、耳部の先端をはさみ等の道具を使用して開口していた。
【0004】
三角形状の耳部を開口する手段として、前記のように道具を使用する以外に、実開昭62−177625号公報に示されるように、前後の上面板から三角形状の折曲げ片に到達するように、上辺に切れ目と、これに続くミシン目線とが設けられた構成が、提案されている。
そして、開口の際は、折り曲げ片を容器本体から剥離し、切れ目からミシン目線に沿って、上側から斜め下方向に手で切り裂いて開口する。
【0005】
このような、易開封性紙製容器用のブランク板としては、従来原反からブランク板を打ち抜くと同時に、罫線付けを行うことにより、製造されていた。
【0006】
このようにブランク板の外形を打ち抜く際には、その抜き型には、罫線付けの罫線歯のみが設けられる。切れ目用のノッチ歯は、打ち抜き工程の前または後の別工程で行われる半切れ加工の抜き型に、半切れ歯に隣接して設けられている。よって、切れ目の位置は、半切れ加工時に位置決定され、ブランク外形の打ち抜きと連動していないため、図7の通り、折り罫線5に対して左右対象に設けられない場合が生じ、その場合には、図8に示すように、頂部をシールする際に表裏で切れ目(e)の位置がずれてしまうことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、切れ目を形成する工程と、ブランク外形の打ち抜きの工程が、別工程で行われることにより、図7に示すように、切れ目(e)がブランク板の罫線5に対して、対象に位置しないで設けられる場合が発生するので、ブランク板を折り曲げて頂部をシールをする際は、図8のように切れ目が重ならず、ずれて接着されてしまう。切れ目がずれて形成された易開封性紙製容器は、開封時に力の応力が分散してしまい、切れ目がきちんと重なっている容器と比較して、開封に必要以上の力が必要であるばかりでなく、きれいに開封することができない。
【0008】
そこで、本発明は、シールされた頂部に形成される、三角形状の耳部の上端縁の切れ目が、正確に重なるように形成され、開封する際に、余計な力を必要とせず、切り口がきれいに切れる易開封性紙製容器に関するものであり、特にブランク板を打ち抜き形成する際の製造方法に関するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の請求項1に記載の発明によれば、紙を基材とし、その基材の両側に少なくともプラスチック層が設けられた積層材料からなるブランク板を、所定の位置に設けた罫線から折り曲げ、頂部が密封シールされた上部の両側に形成される三角形状の耳部の上端縁に切れ目が形成され、前記耳部が容器本体の側面に固定された、直方体状の易開封性液体容器で、前記ブランク板が頂部密封シール部の、少なくとも一方の耳部を形成する部分の端縁に切れ目が2か所設けられ、且つこの切れ目からシール部にそれぞれ延びる外側から紙層の中間まで達する半切れ状の開封開始部、およびこの開封開始部の下端同士を結ぶ開口予定部を形成した易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法において、上記ブランク板を原反から打ち抜くのと同時に前記切れ目を設けることを特徴とする易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法を提供することにより、上記課題が解決される。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記半切れ状の開封開始部が、ミシン目状であることを特徴とする請求項1記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法を提供することにより、上記課題が解決される。
【0011】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記開封開始部と前記開口予定部とが、連続する半切れであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法を提供することにより、上記課題が解決される。
【0012】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記切れ目がI字状、Y字状、あるいはV字状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法を提供することにより、上記課題が解決される。
【0013】
すなわち、本発明の製造方法によれば、紙製容器用の積層材料である原反をブランク板に打ち抜く際に、切れ目用のノッチ歯と、罫線用の罫線歯が一緒に設けられているブランク外形の抜き型を使用し、打ち抜きと同時に切れ目と、折り罫線を形成することにより、切れ目と打ち抜きが連動することとなり、図4のように耳部を形成するための罫線(5)に対して、切れ目(e)を対象に設けることができるので、トップシールの際に2つの切れ目は、完全に一致するので、力を掛けた時に、力が分散することなく、一点に集中するので、切り裂きやすくなる。
【0014】
本発明によれば、切れ目形成と、半切れ形成とは、加工が分離するため、半切れ線の延長線上に、切れ目が位置しない場合も生じるが、切れ目の位置が表裏で一致していれば、切れ目と、半切れ線がずれても、容易に開口できることが実験により明らかになっている。
【0015】
すなわち、本発明は、切れ目が精度よく重なっていれば、切れ目と、最初の開口開始部あるいは開封予定線とにずれが生じたとしても、開封時に最初にかかる力が開封開始部で分散されることがないので、必要以上に力を必要とすることなく、綺麗に開口することができる。
【0016】
そして、前記ブランク板を構成する積層材料は、紙層の内側に、バリア性を付与するため、アルミニウム箔、または金属、もしくは金属酸化物蒸着フィルムを設けたり、容器全体の剛性を向上されるため、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムを設けることが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の製造方法により得られるブランク板を用いて作成される易開封性紙製容器である。図2は、本発明の製造方法により得られる易開封性紙製容器のブランク板であり、図3は開口開始状態を示す説明図、図4は、図2の要部拡大図、図5は、耳部形成途中の部分拡大図、図6は、本発明の製造方法で得られるブランク板の他の実施例、図7は従来の製造方法で作成した場合のブランク板の不良例を示す要部拡大図、図8は、図7のブランク板を形成した場合のブランク板の不良例を示す要部拡大図である。
【0018】
図1に示す通り、本発明により得られる易開封性紙製容器Aは、密封シールされた上部の両側に形成される三角形状の耳部の上端縁に切れ目(e)が形成され、それに連続するように、半切れ状の開封開始部(f)と、半切れ状の開封予定部(g)とが形成されている。
容器Aは、側面に固定された耳部を側面から離し、図3のように、上部シールを倒立させて、上面板を持ち上げるようにひっぱり上げ、鋏等の道具を使用せず、切れ目(e)に力をかけて、開封開始部(f)、開封予定部(g)に沿って手で破断して開封する。図示の場合は、半切れ状の開封開始部(f)がミシン目の半切れ状の場合を示している。
【0019】
この容器Aのブランク板A’は、図2に示すように、上端シール部(1)を構成するシール板(1a)、(1b)、(1c)、(1d)と、頂部(2)を構成する上面板(2a)、(2c)と折り返し板(2b)、(2d)、側壁部(3)を構成する側面板(3a)、(3b)、(3c)、(3d)と、底部(4)を構成する底板(4a)、(4b)、(4c)、(4d)が、折り罫線を介して連設されている。そして、前記折り返し板(2b)、(2d)には傾斜角が45度の折り罫線6が設けられ、上端シール部のシール板(1b)、(1d)には、シール板(1b)、(1d)それぞれの中央に設けられた折り罫線(5)に対して左右対象となるように、その上端縁に、切れ目(e)が設けられている。そして、図4に示すように、切れ目(e)の下端から連続するように、半切れ状の開封開始部(f)と、U字状に下方に彎曲した半切れ状の開口予定線(g)とが形成されている。図2において示される半切れ状の開口予定線(g)は、ミシン目状である。そして、前記底部の底板(4b)、(4d)には、底部形成時に折り込むための折り罫線7が設けられている。
【0020】
本発明の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法を説明すると、まず、坪量が280g/m2 の板紙の上側に、押出しラミネート加工法で厚さ25μmのポリエチレン層を形成し、このポリエチレン層上に文字や絵柄を印刷し、そして、板紙の下側に、厚さ7μmのアルミニウム箔層/厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート層/厚さ60μmのポリエチレン層構成の積層フィルムを、押出しラミネート加工法による厚さ25μmのポリエチレン層で貼り合わせ、ブランク板の原反を製造する。
【0021】
次に、原反に対して半切れ状の開封開始部(f)を並列に形成し、その下端を結ぶU字状の半切れ状の開口予定部(g)を形成する。その際に、液漏れやガスバリア性を考慮して、容器に形成した際に内面側となる積層フィルムには達しないように、半切れ状の開封開始部(f)と開口予定部(g)は外側表面となる側から、紙基材の途中まで入れるようにする。
【0022】
そして、ブランク外形打ち抜き歯と、切れ目用のノッチ歯と、罫線用の罫線歯を有するブランク外形打ち抜き型により、前記原反からブランク板の外形を打ち抜く。この時、切れ目(e)と、罫線は、ブランク板の外形打ち抜きと同時に行われこととなるので、折り罫線(5)に対し、切れ目が対象に位置するブランク板A’を得ることができる。
【0023】
上記のように、罫線付けと、切れ目(e)と、ブランク板の外形打ち抜きとが同時に行われることにより、上端シール部(1)に設けられた折り罫線(5)に対して、左右の切れ目(e)、(e)を等距離に形成することができる。このことは、折り罫線(5)を中心として折り曲げた際に、左右の切れ目(e)、(e)がずれることなく正確に重ねられて、頂部シールを行うことができることを意味するものである。
【0024】
次に、ブランク板の各折れ線を折り曲げ、胴部を筒状にサック貼りし、底部を形成し、上面を開放した直方体状に製函し、内容物を充填し、上端シール部(1)に設けられた折り罫線(5)を外側に折り曲げ、上端シール部(1)の内面同士を合わせて熱接着し、図3のように形成する。
このように、本発明は、上端シール部(1)を接着した際に、前後の切れ目は、ずれることなく、きちんと重なってシールされる。そして、それぞれ三角形状に形成した三角形の耳部を下に折り曲げ、容器胴部の側板に固定し、易開封性紙製容器が形成される。
【0025】
以上のように、本実施例では、耳部を形成する上端シール部(1)の上縁は、一直線に形成されているが、他の実施例として耳部を形成する部分だけ、上方に突出して設けてもよい。また、切れ目をV字状あるいはY字状に形成してもよい。また、これらを組み合わせて、例えば図6のように耳部を形成する部分だけを上方に突出させ、切れ目をY字状に形成していもよい。
切れ目をV字状にした場合は、罫線より折り曲げて切れ目を重ねた際に、折り曲げ加工による多少のずれが生じたとしても切り口の開口部は重なり、切り裂くきっかけを損なうことはなくなる。また、Y字状とすることにより、きっかけを損なうことがないだけでなく、小さな力で開封が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1乃至請求項3の発明によれば、ブランク板を打ち抜くのと同時に、罫線と、罫線に対して左右対象に切れ目を設けることができる。そのことによって、折り罫線を折り曲げて、切れ目を重ねて上部を密封シール部する際に、切れ目がずれることなく重なり、開封開始時に係る力の応力を集中させることができるので、切れ目から半切れ部へとスムーズに連続して開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により得られる易開封性紙製容器の説明図。
【図2】本発明の製造方法により得られる易開封性紙製容器の展開ブランク板の説明図。
【図3】開口開始状態を示す説明図。
【図4】図2の要部拡大図。
【図5】本発明の耳部形成途中の部分拡大図。
【図6】本発明の他の実施例を示す図。
【図7】従来の製造方法で作成した場合のブランク板の不良例を示す要部拡大図。
【図8】図7のブランク板を成形した場合の耳部形成途中の部分拡大図。
【符号の説明】
A…本発明の製造方法により得られる易開封性紙製液体容器
A’…本発明の製造方法により得られる易開封性紙製液体容器のブランク板
1…上端シール部
2…頂部
3…側壁部
4…底部
5…折り罫線
e…切れ目
f…開封開始部
g…開口予定線
Claims (4)
- 紙を基材とし、その基材の両側に少なくともプラスチック層が設けられた積層材料からなるブランク板を、所定の位置に設けた罫線から折り曲げ、頂部が密封シールされた上部の両側に形成される三角形状の耳部の上端縁に切れ目が形成され、前記耳部が容器本体の側面に固定された、直方体状の易開封性液体容器で、前記ブランク板が頂部密封シール部の、少なくとも一方の耳部を形成する部分の端縁に切れ目が2か所設けられ、且つこの切れ目からシール部にそれぞれ延びる外側から紙層の中間まで達する半切れ状の開封開始部、およびこの開封開始部の下端同士を結ぶ開口予定部を形成した易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法において、上記ブランク板を原反から打ち抜くのと同時に前記切れ目を設けることを特徴とする易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法。
- 前記半切れ状の開封開始部が、ミシン目状であることを特徴とする請求項1記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法。
- 前記開封開始部と前記開口予定部とが、連続する半切れであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法。
- 前記切れ目がI字状、Y字状、あるいはV字状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の易開封性紙製容器用ブランク板の製造方法。
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