JP3747464B2 - 計器の照明構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車やオートバイに搭載される計器に関し、特にその照明構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の計器には、指針を備えた文字板をフロントカバーで覆ったものがある。また、このフロントカバーを光透過率が約25%の暗色系の半透明としたものがある。このフロントカバーを備えた計器は、イグニッションスイッチがオフの時には、フロントカバーによって文字板や指針が見えないようになっている。しかし、イグニッションスイッチをオンにすると文字板や指針が発光して文字板や指針が見えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−116595号公報(図1、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような計器の照明構造では、文字板の背後に光源がほぼ均等間隔で設けられているが、フロントカバーを通して文字板を視認すると、輝度が不均一で照明ムラを生じる虞があった。これは、文字板の輝度はフロントカバーを通さなければ輝度は均一であるが、フロントカバーが文字板に対して、傾斜した状態で設けられているので、フロントカバーと文字板間の間隔は均一ではない。このため、フロントカバーと文字板との間隔が短い部分は明るく、間隔が長い部分は暗くなる。また、フロントカバーの板厚がほぼ均一であっても、フロントカバーの断面形状が文字板側に突き出るような曲線形状の場合は、フロントカバーの曲線による傾斜の角度によって、文字板に対する垂直方向の板厚が異なるため、板厚の薄い部分と板厚の厚い部分では光透過率が異なるため、輝度の不均一を招き、照明ムラを生じる虞があった。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、暗色に着色された前面カバーを文字板に対して、傾斜させて設けた計器装置において、文字板を均一に照明することが可能な計器の照明構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、指針と、この指針の背後に設けられる文字板と、前記文字板を透過照明し前記文字板の背後に設けられる複数の点状光源と、暗色に着色され前記文字板に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が前記文字板側に突き出るような曲線形状によって前記文字板に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバーとを備えた計器の照明構造において、前記文字板と前記前面カバーの距離が短く板厚の薄い部分に対応する文字板部分を照明する前記複数の点状光源間の間隔に比べて前記文字板と前記前面カバー間の距離が長く板厚が厚い部分に対応する文字板部分を照明する前記複数の点状光源間の間隔を短くしたものである。
【0007】
また、指針と、この指針の背後に設けられる文字板と、前記文字板を透過照明し前記文字板の背後に設けられる複数の点状光源と、暗色に着色され前記文字板に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が前記文字板側に突き出るような曲線形状によって前記文字板に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバーとを備えた計器の照明構造において、前記文字板と前記前面カバー間の距離が長くなるとともにその板厚が厚くなるに従って前記複数の点状光源間の間隔を短くしたものである。
【0008】
また、前記点状光源を発光ダイオードとしたものである。
【0009】
また、前記複数の点状光源を収納する照明空間を形成する照明室を前記文字板の背後に設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明による計器装置は、指針7と、この指針7の背後に設けられる文字板8と、文字板8を透過照明し文字板8の背後に設けられる複数の点状光源9bと、暗色に着色され文字板8に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が文字板8側に突き出るような曲線形状によって文字板8に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバー18とを備えた計器の照明構造において、文字板8と前面カバー18間の距離L1が短く板厚の薄い部分に対応する文字板18部分を照明する複数の点状光源9b間の間隔D1に比べて、文字板8と前面カバー18間の距離L2が長く板厚の厚い部分に対応する文字板18部分を照明する複数の点状光源9b間の間隔D3を短くしたものである。このように構成したことにより、暗色に着色された前面カバー18を文字板8に対して、傾斜させて設けた計器装置において、文字板8を均一に照明することが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【0011】
また、本発明は、指針7と、この指針7の背後に設けられる文字板8と、文字板8を透過照明し文字板8の背後に設けられる複数の点状光源9bと、暗色に着色され文字板8に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が文字板8側に突き出るような曲線形状によって文字板8に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバー18とを備えた計器の照明構造において、文字板8と前面カバー18間の距離が長くなるとともにその板厚が厚くなるに従って複数の点状光源9b間の間隔を短くしたものである。このように構成したことにより、暗色に着色された前面カバー18を文字板8に対して、傾斜させて設けた計器装置において、文字板8を均一に照明することが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【0012】
また、本発明は、点状光源9bを発光ダイオードとしたものである。このように構成したことにより、点状光源9bをコンパクトにすることができ、計器の小型化を図ることが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、複数の点状光源9bを収納する照明空間10を形成する照明室11を文字板8の背後に設けたものである。このように構成したことにより、指向性の強い発光ダイオードを点状光源9bに用いても、照明室11の照明空間10内で発光ダイオード9bからの光を十分に拡散させることが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【0014】
【実施例】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施例を説明する。なお、一実施例は、本発明を車載用の計器装置に適用したものである。
【0015】
図1において、本実施例を採用した計器装置1は、速度計2、回転計3、燃料計4、水温計5と表示器6とから構成されている。
【0016】
本実施例を、速度計2を例にとって説明する。図1から図3で示すように、速度計2は、指針7と、この指針7の背後に設けられる文字板8と、指針7や文字板8を透過照明し文字板8の背後に設けられる複数の点状光源9a,9bと、照明空間10を形成する照明室11を備えたフレーム12と、ガラスエポキシ樹脂からなる硬質の回路基板13と、この回路基板13の背後に設けられる計器本体14と、各種計器2〜5の各文字板8の一部を露出する開口15を備えた見返し16と、この見返し16に一体に形成し周囲を囲むフード17と、文字板8に対して傾斜してフード17に設けられた暗色に着色された前面カバー18と、回路基板13の背後を覆う背面カバー19とを備えている。
【0017】
指針7は、光透過性合成樹脂からなり文字板8の板面に沿って延びる指示部71と、指針7の回転中心部を覆う略カップ型の遮光性合成樹脂からなる指針キャップ72とで構成されている。
【0018】
文字板8は、それぞれが透明体からなる基材の表面に、遮光性印刷層からなる地色部B(図1参照)と、透光性印刷層からなり各指針7の指示対象となる目盛、文字、マーク等の表示部M(図1参照)とが形成され、表示部Mは地色部Bを除いた部位に設けられている。また、速度計2の文字板8には、その下方に、液晶表示器6が露出する開口21を備えている。
【0019】
点状光源9a,9bは本実施例において、チップ型の発光ダイオードであり、回路基板13に実装されている。回路基板10にはフレーム12も固定されており、このフレーム12に文字板8が固定されている。このフレーム12は白色の合成樹脂によって形成されており、フレーム12には、指針7を照明する点状光源9aと文字板8を照明する光源9bとを仕切る円筒状の仕切り壁22を備えており、また、文字板8照明用の点状光源9bを収納する収納空間10を形成する照明室11を備えており、この照明室11は、仕切り壁22とお椀状の反射壁23とで構成されている。この照明室11は、図3で示すように、正面から見るとC字状に形成されている。指針照明用の点状光源9aは、指針7の回転中心を軸とした円上に等間隔で設けられている。また、文字板照明用の点状光源9bは、指針7の回転中心を軸として円上に設けられており、点状光源9b間の間隔は均等ではなく、不等間隔で設けられている。図3で示すように、点状光源9bの間隔は、間隔D1>間隔D2>間隔D3のように設定されている。
【0020】
本実施例では、間隔D1は50度、間隔D2は40度、間隔D3は30度である。この間隔は、指針7の回転中心を中心とした角度である。なお、この点状光源9b間の間隔は、発光点である素子9c間の距離である。
【0021】
このように照明室11を設けたことにより、指向性の強い発光ダイオードを用いても、照明室11の照明空間10内で発光ダイオードからの光を十分に拡散させることができる。
【0022】
なお、図2中、24は指針7用の導光体であり、点状光源9aからの光を指針7に導くものである。また、25は文字板8用の導光体であり、点状光源9bからの光を反射壁23方向に導き、文字板8を照明するものである。
【0023】
計器本体14は本実施例では、交差コイル式計器を採用している。この計器本体14は指針軸26を備えており、この指針軸26の端部に指針7が固定されている。そして、この指針軸26を回転させることによって、指針7を回転させて、指針7の指示部71と文字板8の表示部Mとを対比させて、速度を指示する。なお、計器本体14は、本実施例の交差コイル式計器であるが、本実施例に限定されるものではなく、指針7を駆動させることができるものであれば、どのような計器本体を用いても良いが、他の計器本体としては、ステッピングモータなどがある。
【0024】
本実施例においては、表示器6は液晶表示器6であり、速度計2の文字板8の下側部分に設けられている。この液晶表示器6は、液晶表示素子20a、液晶ホルダ20b、点状光源20c及びフレキシブルケーブル20dとで構成されている。液晶表示素子20aはフレキシブルケーブル20dによって、回路基板13と電気的に接続されている。
【0025】
見返し16とフード17は遮光性で黒色の合成樹脂からなり、一体に形成されたこの見返し16とフード17は、フレーム12に固定されている。また、背面カバー19は、遮光性で白色の合成樹脂からなり、見返し16やフード17と同様にフレーム12に固定されている。
【0026】
また、フード17の前方に前面カバー18が固定されている。この前面カバー18は、例えば、黒色で着色されており、透過率が低いものである。なお、色は黒に限定されず、透過率が低いと黒ずんで見え、暗色に着色されたように見える。文字板8に対して傾斜してフード17に設けられている。特に、本実施例においては、前面カバー18は文字板2側に突出するように湾曲している(図2参照)。
【0027】
本実施例では、文字板18の位置によって、前面カバー18と文字板8との距離が異なり、文字板18の上側の部分と前面カバー18間の距離L1は、文字板18の下側の部分と前面カバー18間の距離L2に比べて短くなっており、本実施例では、文字板8の上側から下側に向かうに従って、文字板8と前面カバー18間の距離は長くなっている。このため、文字板8の下側部分が奥まっているため、暗く見えやすい。
【0028】
さらに、本実施例では、前面カバー18は、文字板8側に湾曲しているため、図2中のL1線部分のL1線方向の前面カバー18の厚みT1に対して、L2線部分のL2線方向の前面カバー18の厚みT2は厚く、本実施例では、前面カバー18の上側から下側に向かうに従って、前面カバー18の厚みは厚くなっていく、このため、通常では、文字板8の下側部分は、暗く見える。しかし、本実施例では、前述したように、文字板照明用の点状光源9bは、点状光源9b間の間隔は均等ではなく、図3で示すように、点状光源9bの間隔は、間隔D1>間隔D2>間隔D3のように、下側ほど点状光源9bの間隔D3が狭くなるように設けられているため、文字板8と前面カバー18間の距離は長く、文字板8の下側部分が奥まっており、さらに、前面カバー18が湾曲したことによって、前面カバー18の厚みが厚くなっている場合でも、前面カバー18を介して文字板8の表示部Mを視認すると、均一な明るさを有して視認される。
【0029】
なお、本実施例では、文字板8と前面カバー18間の距離は長い場合と、前面カバー18が湾曲した場合とが2つ重なったが、どちらか一方の場合のみでも、本発明を採用することで、均一な照明を行うことが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【0030】
また、本実施例のように、文字板8と前面カバー18間の距離が離れている部分に液晶表示器6などが設けられ、照明室11や点状光源9bの配置に制限がある場合でも、本実施例を採用することにより、液晶表示器6近傍部分の輝度を高めることができ、前面カバー18を通して文字板8を視認する場合に、均一に照明することができる。
【0031】
本発明の他の実施例として、図4,5に示すものがある。なお、前記実施例と同一及び相当箇所には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。本実施例は、前記一実施例の計器装置1に向かって速度計2の左隣にある回転計3に採用されている。この回転計3の前面を覆う前面カバー18は、前記一実施例と同様に、図1中下方向に向かうに従って、文字板8から離れている。さらに、本実施例では、図1のB−B線の方向では、左に向かうに従って、文字板8から離れるように傾斜するとともに、文字板8側に突出するように湾曲している。つまり、前面カバー18は図1に示した正面図において、上下左右に湾曲しており、これにともなって前面カバー18と文字板8との間隔L1,L2は上下左右の方向で異なっている。さらに、図4に示すように、右側の距離L3に比べて左側の距離L2が長くなっている。よって、回転計3の前面カバー18は、回転計3を正面視した状態で、回転計3の右上部分の前面カバー18と文字板8間の距離が短く、左下部分の前面カバー18と文字板8間の距離が長くなるように形成されている。また、本実施例においても、前面カバー18は、文字板8側に突出するように湾曲しているので、前面カバー18の厚みも、回転計3を正面視した状態で、右上部分の厚みT3が薄く、左下部分の厚みT4が厚くなるように形成されている。
【0032】
このような前面カバー18の形状や配置において、文字板8を透過照明する点状光源9bの配置は、図5で示すような配置となる。すなわち、左下部分の点状光源9bの間隔がD6と狭く、この間隔D6が2つ続き、そこから、時計回りに点状光源9bの間隔が間隔D6に対してD5,D4と広くなり、さらに時計回りに下側に移動するに従い、間隔D4に対して間隔がD5,D6と狭くなっていく。このように配置することにより、前記実施例と同様に、点状光源9b間の間隔D6が短い部分は明るく、間隔D4が長い部分は暗くなり、前面カバー18を介して文字板8の表示部Mを視認すると、均一に照明することができる。
【0033】
なお、前記各実施例においては、点状光源9bは、各計器のそれぞれ指針7の回転中心付近に設けてあったが、前記実施例に限定されるものではなく、文字板8の周辺部に設けてもよい。
【0034】
【発明の効果】
以上、本発明により、所期の目的を達成することができ、暗色に着色された前面カバーを文字板に対して、傾斜させて設けた計器装置において、文字板を均一に照明することが可能な計器の照明構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の計器装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施例で図1のA−A線に沿った断面図である。
【図3】同実施例の点状光源の配置を示す正面図である。
【図4】本発明の他の実施例で図1のB−B線に沿った断面図である。
【図5】同実施例の点状光源の配置を示す正面図である。
【符号の説明】
1 計器装置
2 速度計
3 回転計
6 表示器(液晶表示器)
7 指針
8 文字板
9a,9b 点状光源
10 照明空間
11 照明室
18 前面カバー
D1,D2,D3,D4,D5,D6 点状光源間の間隔
L1,L2,L3,L4 文字板と前面カバー間の距離
T1,T2,T3,T4 前面カバーの厚み
Claims (4)
- 指針と、この指針の背後に設けられる文字板と、前記文字板を透過照明し前記文字板の背後に設けられる複数の点状光源と、暗色に着色され前記文字板に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が前記文字板側に突き出るような曲線形状によって前記文字板に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバーとを備えた計器の照明構造において、前記文字板と前記前面カバーの距離が短く板厚の薄い部分に対応する文字板部分を照明する前記複数の点状光源間の間隔に比べて前記文字板と前記前面カバー間の距離が長く板厚が厚い部分に対応する文字板部分を照明する前記複数の点状光源間の間隔を短くしたことを特徴とする計器の照明構造。
- 指針と、この指針の背後に設けられる文字板と、前記文字板を透過照明し前記文字板の背後に設けられる複数の点状光源と、暗色に着色され前記文字板に対して傾斜して設けられるとともにその断面形状が前記文字板側に突き出るような曲線形状によって前記文字板に対する垂直方向の板厚が異なる前面カバーとを備えた計器の照明構造において、前記文字板と前記前面カバー間の距離が長くなるとともにその板厚が厚くなるに従って前記複数の点状光源間の間隔を短くしたことを特徴とする計器の照明構造。
- 前記点状光源を発光ダイオードとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計器の照明構造。
- 前記複数の点状光源を収納する照明空間を形成する照明室を前記文字板の背後に設けたことを特徴とする請求項3に記載の計器の照明構造。
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