JP3747377B2 - 半導体ウエハなどの保管方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体ウエハなどの保管物が汚染されることがないように外部と絶縁して保管する為の保管方法の改良に関する。
【0002】
現在、半導体装置は、高集積化が進み、配線ルールや膜厚などが細分化され、また、表面の平坦化が強く要求されている。従って、半導体装置の製造に用いる半導体ウエハは、その保管中に有機系ガス、酸性ガス、アルカリ系ガスで表面汚染されたり、或いは、酸素の存在で自然酸化膜が成長されたり、或いは、ゴミに依って表面汚染されたりすることが無いようにしなければならず、その為には、保管庫を改良する必要がある。
【0003】
【従来の技術】
一般に、半導体ウエハなどの保管庫としては、不活性ガス保管庫、或いは、クリーン・ベンチ型などのストッカが用いられている。
【0004】
不活性ガス保管庫は、樹脂などで作製された扉付棚に一箇所の供給口から例えば窒素ガスを少量ずつ供給するようにしてあり、半導体ウエハなどの保管物を不活性ガス中で保管するようになっている。
【0005】
クリーン・ベンチ型などのストッカは、棚の裏面にULPA(ultra low penetration air filter)などの高性能のフィルタを装着して棚部分全体にクリーン・エアを供給し、保管物の清浄保管を行うようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の不活性ガス保管庫に於いては、少量の不活性ガスしか用いていないにも拘わらず、保管物を出し入れする際の庫内の不活性ガス置換が充分ではなく、また、ゴミ濃度の低減も充分ではない。
【0007】
このようなことは、取り扱い者の不手際に依るものではなく、保管庫の設計上から招来される問題であり、従って、保管物の表面汚染を完全に無くすることは不可能に近いことであり、また、保管庫は不活性ガスを流したままの状態にしてあるから、ランニング・コストが高くなるのは避けられないことである。
【0008】
この他に、保管庫の設置場所の気密性が高い場合、保管庫に流れた不活性ガスが滞留して危険な状態になるので注意しなければならない。
【0009】
従来のクリーン・ベンチ型などのストッカに於いては、例えば、有機系ガス、酸性ガス、アルカリ性ガス、酸素、水分などの分子はUPLAフィルタを通過するので、保管物の表面に汚染が発生し、また、停電などで動作が停止した場合、ゴミが逆流して表面汚染が発生するから、そのまま保管を持続することはできない。
【0010】
前記したように汚染された半導体ウエハは、半導体装置の製造歩留りを低下させ、また、その汚染を除去する為には費用がかかるから、製造コストの上昇を招来する。
【0011】
本発明は、外部との絶縁を徹底した環境下で半導体ウエハなどの保管物を保管することで、保管物の表面に汚染を発生させず、且つ、保管庫のランニング・コストも低減できるようにする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、半導体ウエハなどの保管物を外部空間とは絶縁して保管するようにし、また、有機系ガス、酸性ガス、アルカリ性ガス、酸素、水分を吸着するユニットを介して供給されるクリーン・ドライ・ガスを更に高性能のフィルタで濾過してから保管物の存在空間に供給し、半導体ウエハなどの表面に汚染が発生したり、或いは、自然酸化膜が生成されるのを防止し、しかも、外部空間とは絶縁してあることから、前記クリーン・ドライ・ガスは保存され、その結果、ランニング・コストは低減されることが基本になっている。
【0013】
尚、本発明に於いて、「クリーン・ドライ・ガス」、とは、夾雑物を含まず、且つ、乾燥されている稀ガスや窒素ガス、或いは、クリーン・ドライ・エアを含むものと定義する。エアは不活性ガスに比較すると好ましいとは言えないが、清浄化され且つ乾燥されたものは、保管物の種類に依って、不活性ガスと同様、かなり高いパフォーマンスを発揮することができる。
【0014】
このようなことから、本発明に依る半導体ウエハなどの保管方法に於いては、
(1)
壁面を覆って設けられた給気側フィルタ及び同じく壁面を覆って設けられた排気側フィルタと、保管物を出し入れする扉が設けられた保管室内に半導体ウエハなどの保管物を収納し、給気側のバルブ及び排気側のバルブを開放し且つ強制排気ファンを駆動して保管室内の排気を行いつつクリーン・ドライ・ガス供給用ユニットからクリーン・ドライ・ガスを供給してガス置換を行い、ガス置換が終わった段階で排気側のバルブ及び給気側のバルブを閉成し保管室内にクリーン・ドライ・ガスを充満させたまま密閉状態として保管物の保管を行うことを特徴とするか、或いは、
(2)
壁面を覆って設けられた給気側フィルタ及び同じく壁面を覆って設けられた排気側フィルタと、保管物を出し入れする扉が設けられた保管室内に半導体ウエハなどの保管物を収納し、強制排気ファンを駆動して保管室内の排気を行いつつクリーン・ドライ・ガス供給用ユニットからクリーン・ドライ・ガスを供給してガス置換を行い、ガス置換が終わった段階で前記強制排気ファンの駆動を停止させ、保管物の保管を行うことを特徴とする。
【0016】
【作用】
前記した手段を採ることに依り、保管室内に在る半導体ウエハなどの保管物に表面汚染や自然酸化膜成長などが発生しないのは勿論のこと、停電など本来ならば保管庫の動作が停止するような事態が起こっても、保管室に塵埃が逆流することは皆無であり、従って、保管物は清浄な状態に保たれ、また、保管状態では、保管庫に於ける全ての動力源は断つことができるから、省エネルギの面からも大変有効であり、ランニング・コストを低く抑えることができる。
【0017】
【実施例】
図1は本発明一実施例に於ける主要な部分を解説する為の保管庫を表す要部説明図である。
図に於いて、1は保管室、1Aは保管室側壁、2は保管室扉、3は高性能の天井側フィルタ、4は高性能の床側フィルタ、5は吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット、5Aはクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5に於ける外気吸引口、6はクリーン・ドライ・ガス供給流量調整バルブ、7はクリーン・ドライ・ガス遮断及び導通制御用外部バルブ、8は大型のゲート・バルブ、9はゲート・バルブ駆動用エア・シリンダ、10は排気管、11は排気流量調整バルブ、12は強制排気ファン、13は排気口、14は酸素濃度センサとして用いられている酸素濃度計、15は湿度センサとして用いられている湿度計、16は半導体ウエハなどの保管物をそれぞれ示している。
【0018】
この保管庫に於いて、保管室1は不純物を発生しない材料である保管室側壁1Aで構成され、その天井には、不純物を発生しない材料で構成され、ゴミの侵入を防いで層流ダウン・フローをなすクリーン・ドライ・ガスを供給することができる高性能の天井側フィルタ3が設置され、その床には、不純物を発生しない材料で構成され、外部のゴミの逆流を防ぐ高性能の床側フィルタ4が設置され、側壁1Aの一部には、不純物を発生しない材料で構成され、保管物16の出し入れを行う保管室扉2が取り付けられている。
【0019】
保管室1には、有機系ガス、酸性ガス、アルカリ性ガス、酸素、水分を吸着する吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5がクリーン・ドライ・ガス供給流量調整バルブ6及びクリーン・ドライ・ガス遮断及び導通制御用外部バルブ7を介して結合されていて、吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5には外気吸引口5Aから外部のエアが供給される。
【0020】
また、保管室1は、ゲート・バルブ駆動用エア・シリンダ9で開閉される大型のゲート・バルブ8を介して排気管10と連通し、排気管10には排気流量調整バルブ11を介して強制排気ファン12が取り付けられて排気口13に至っている。
【0021】
図2は図1について説明した本発明一実施例の主要な部分を組み込んだ具体的応用例を解説する為の保管庫系の要部説明図であり、図1に於いて用いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持つものとする。
【0022】
図に於いて、17は移載ロボット、18はロボット・ハンドをそれぞれ示している。
この保管庫系では、複数の保管室1が積み重ねられた構造になっていて、図では三段分が完全に表れている。
【0023】
下から一段目の保管室1は保管室扉2が閉じられ、保管物16が保管されている状態が示され、また、下から二段目の保管室1は保管室扉2が開かれ、それと共に保管物16が保管室1の外に現れている状態が示されている。
【0024】
この保管庫系では、保管室側壁1Aは例えば鏡面仕上げのステンレス鋼で構成され、不純物は発生しない。
天井側フィルタ3並びに床側フィルタ4は共に高純度の石英不織布などで製作されたULPAであって、不純物は含まれない。
【0025】
保管室扉2には保管物16のホルダが取り付けられ、保管物16の出し入れを移載ロボット17を用いて行う為、エア・シリンダで開閉される。このような構成を採ると、保管物16の出し入れで発塵することはない。
【0026】
保管室1内は天井側フィルタ3及び床側フィルタ4で隔離されていて、保管物16の挿入後、吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5と強制排気ファン12を同時に稼働させ、クリーン・ドライ・ガス遮断及び導通制御用外部バルブ7及び大型のゲート・バルブ8を開き、クリーン・ドライ・ガスを天井側フィルタ3から層流ダウン・フローとして加圧供給すると共に床側フィルタ4を介して減圧排気することに依って保管室1内の雰囲気をクリーン・ドライ・ガスで速やかに置換する。ここでは、置換時間をタイマで制御しているが、酸素濃度計14で酸素濃度を検出し、また、湿度計15で湿度を検出し、それぞれが規定値以下になったら置換を停止する制御を行うようにしても良い。
【0027】
置換時間が終了したら、クリーン・ドライ・ガス遮断及び導通制御用外部バルブ7及び大型のゲート・バルブ8を閉じ、吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5及び強制排気ファン12の稼働を停止させ、保管室1内のクリーン・ドライ・ガスを保存状態にする。この状態では、一切の動力は必要とせず、また、床側フィルタ4は排気口13からのゴミの逆流を有効に防いでいる。
【0028】
図3は床側フィルタの有無に依る保管庫内の塵埃濃度に関するデータを表す線図であり、縦軸には塵埃濃度〔個/約28リットル〕を、また、横軸には保存経過時間〔時間〕をそれぞれ採ってある。
図に於いて、●はULPAの床側フィルタ4を用いた場合のデータ線、■は床側フィルタなしの場合のデータ線をそれぞれ示している。
【0029】
このデータは、粒径が略0.03〔μm〕以上の塵埃を計測することができる核凝縮カウンタ(condensation nucleus counters:CNC)を用いて測定されたものである。
図に依ると、床側フィルタを設置した場合と設置しない場合とでは、塵埃濃度の高低に格段の差を生ずることが看取できる。
【0030】
本発明は、前記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱することなく、多くの改変を実現することができる。
例えば、前記実施例では、フィルタを天井側と床側に設けたが、必要あれば、保管室の側面に設置しても良く、扉を取り付ける壁面を除き、残りの壁面全てにフィルタを設けることができる。
【0031】
また、給気側のフィルタ及び排気側のフィルタの何れの背後にもガス流路の横断面が同面積である大型のダクト及びバルブを設けることで、保管室のガス置換を殆ど瞬時に実現することもできる。
【0032】
【発明の効果】
本発明に依る半導体ウエハなどの保管方法に於いては、壁面を覆って設けられた給気側フィルタ及び同じく壁面を覆って設けられた排気側フィルタと、保管物を出し入れする扉が設けられた保管室内に半導体ウエハなどの保管物を収納し、強制排気ファンを駆動して保管室内の排気を行いつつクリーン・ドライ・ガス供給用ユニットからクリーン・ドライ・ガスを供給してガス置換を行い、ガス置換が終わった段階で前記強制排気ファンの駆動を停止させ、保管物の保管を行うようにしている。
【0033】
保管室内に在る半導体ウエハなどの保管物に表面汚染や自然酸化膜成長などが発生しないのは勿論のこと、停電など本来ならば保管庫の動作が停止するような事態が起こっても、保管室に塵埃が逆流することは皆無であり、従って、保管物は清浄な状態に保たれ、また、保管状態では、保管庫に於ける全ての動力源は断つことができるから、省エネルギの面からも大変有効であり、ランニング・コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例に於ける主要な部分を解説する為の保管庫を表す要部説明図である。
【図2】図1について説明した本発明一実施例の主要な部分を組み込んだ具体的応用例を解説する為の保管庫系の要部説明図である。
【図3】床側フィルタの有無に依る保管庫内の塵埃濃度に関するデータを表す線図である。
【符号の説明】
1 保管室
1A 保管室側壁
2 保管室扉
3 高性能の天井側フィルタ
4 高性能の床側フィルタ
5 吸着剤を用いたクリーン・ドライ・ガス供給用ユニット
5A クリーン・ドライ・ガス供給用ユニット5に於ける外気吸引口
6 クリーン・ドライ・ガス供給流量調整バルブ
7 クリーン・ドライ・ガス遮断及び導通制御用外部バルブ
8 大型のゲート・バルブ
9 ゲート・バルブ駆動用エア・シリンダ
10 排気管
11 排気流量調整バルブ
12 強制排気ファン
13 排気口
14 酸素濃度センサとして用いられている酸素濃度計
15 湿度センサとして用いられている湿度計
16 半導体ウエハなどの保管物
17 移載ロボット
18 ロボット・ハンド
Claims (2)
- 壁面を覆って設けられた給気側フィルタ及び同じく壁面を覆って設けられた排気側フィルタと、保管物を出し入れする扉が設けられた保管室内に半導体ウエハなどの保管物を収納し、
給気側のバルブ及び排気側のバルブを開放し且つ強制排気ファンを駆動して保管室内の排気を行いつつクリーン・ドライ・ガス供給用ユニットからクリーン・ドライ・ガスを供給してガス置換を行い、
ガス置換が終わった段階で排気側のバルブ及び給気側のバルブを閉成し保管室内にクリーン・ドライ・ガスを充満させたまま密閉状態として保管物の保管を行うこと
を特徴とする半導体ウエハなどの保管方法。 - 壁面を覆って設けられた給気側フィルタ及び同じく壁面を覆って設けられた排気側フィルタと、保管物を出し入れする扉が設けられた保管室内に半導体ウエハなどの保管物を収納し、
強制排気ファンを駆動して保管室内の排気を行いつつクリーン・ドライ・ガス供給用ユニットからクリーン・ドライ・ガスを供給してガス置換を行い、
ガス置換が終わった段階で前記強制排気ファンの駆動を停止させ、保管物の保管を行うこと
を特徴とする半導体ウエハなどの保管方法。
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JP00301093A JP3747377B2 (ja) | 1993-01-12 | 1993-01-12 | 半導体ウエハなどの保管方法 |
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- 1993-01-12 JP JP00301093A patent/JP3747377B2/ja not_active Expired - Lifetime
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