JP3747111B2 - 複合シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合シートに関し、特に、透湿性および耐水性に優れるとともに、機械的強度に優れるため、薄くても所要の強度を発揮することができ、柔軟性および触感に優れ、さらに簡便に製造することができ、衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の各種用途に有用な透湿・耐水性シート、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、紙おむつ等の衛生材料は、体液を吸収して保持する吸収材を、吸収性物品の内側に配置されるフェーシング材と、外側に配置されるバックシートとで包み、内包する構造を有する。内側に配置されるフェーシング材は、肌と接触し、排出される体液を透過させて内部の吸収材に吸収させるとともに、吸収材から体液を逆戻りさせない機能が求められる。一方、バックシートは、内部の吸収材に吸収された体液を外部に漏らさないとともに、外側からは液体を内部に透過させない機能が求められる。さらに、このような衛生材料等の吸収性物品は、使用中に内側に生じる湿気によるムレを防止し、吸収性物品の内部の湿気を透過させて外部に逸散させるために、適度な透湿性を有することが求められる。
また、このバックシートは、衛生材料の外表面を構成するため、風合いに優れ、良好な触感を有することが求められる。
【0003】
このバックシートとして、従来、良好な触感を得るために、外表面として不織布を使用し、吸収材と接する内側の層として多孔質のポリエチレンフィルムを使用し、不織布と多孔質のポリエチレンフィルムをホットメルト接着剤で接着してなる複層シートが知られている。さらに、ホットメルト接着剤を用いず、非多孔質ポリエステルエラストマーを、直接、不織布上に押出ラミネーション成形してなる、柔軟性、防臭性等に優れた複合シートも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の複層または複合シートは、いずれも透湿性の向上に限界があり、用途によってはさらなる透湿性の向上が求められていた。
【0005】
また、従来の複層シートは、通常、ホットメルト接着剤による接着工程等の多数の工程を要し、工程が煩雑となり、コストの低減が困難であった。
【0006】
そこで本発明の第1の目的は、透湿性および耐水性に優れるとともに、機械的強度に優れるため、薄くても所要の強度を発揮することができ、柔軟性および触感に優れ、衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の各種用途に好適な複合シートを提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、前記複合シートを、従来の複合シートの製造方法に比して簡便な工程で製造することができる方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の第3の目的は、前記複合シートからなり、透湿性および耐水性に優れるとともに、構成樹脂自体がエラストマーとしての特性を有し、しかも従来品より薄くても所要の機械的強度を有するため、柔軟性および触感に優れ、しかも安価に製造することができる衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の各種用途に好適な透湿・耐水性複合シートを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、不織布からなる表面層と、該表面層に積層された、ポリアミドエラストマーを主成分とする、非多孔で耐水性能に優れた透湿性フィルム層とを有し、前記不織布がポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂からなり、前記透湿性フィルム層が、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤とを含有し、透湿度が5000g/m2 ・日(JIS P−0208に準拠)以上であり、かつ耐水圧が170cm(JIS K−6328に準拠)以上である複合シートを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記複合シートを製造する方法として、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂からなる不織布の上部に、ポリアミドエラストマーを主成分とし、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤とを含有する透湿性フィルムを押出しラミネーション成形して一体的に積層成形する工程を含む、透湿度が5000g/m2 ・日(JIS P−0208に準拠)以上であり、かつ耐水圧が170cm(JIS K−6328に準拠)以上である複合シートの製造方法をも提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、前記の複合シートからなる透湿・耐水性シートを提供するものである。
【0012】
以下、本発明の複合シート(以下、「本発明のシート」という)およびその複合シートの製造方法、ならびにその複合シートからなる透湿・耐水性シートについて詳細に説明する。
【0013】
本発明のシートは、不織布からなる表面層と、透湿性フィルム層とを積層した構造を有するものである。
【0014】
本発明のシートの表面層を構成する繊維として、ポリオレフィン繊維が挙げられる。ポリオレフィン繊維は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンの2種以上からなる共重合体、またはこれらのα−オレフィンと他の共重合性単量体との共重合体からなるポリオレフィン樹脂を主成分とする繊維である。ポリオレフィン樹脂の具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン樹脂からなる繊維を構成繊維とする不織布が、好ましい。
【0015】
このポリオレフィン樹脂からなる不織布は、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法等の原料樹脂を溶融または溶解した後、繊維化かつ不織布に成形する方法、あるいはポリオレフィン樹脂からなるフィルムを機械的に繊維化した後、不織布に成形する方法等のいずれの方法にしたがって製造したものでもよい。特に、柔軟性に優れ、引張強度に優れる複合シートが得られるため、スパンボンド法によって製造された不織布が、好ましい。これらのポリオレフィン樹脂からなる不織布は、表面層に積層される透湿性フィルムとの密着性を改善するために、プラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理、ポリエチレンイミンやウレタン等の表面処理コーティングなどの表面処理を1種または2種以上を併用して施してもよい。
【0016】
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、通常、10〜22μm程度であり、指先で触れた際のひっかかり感を低減する点で、好ましくは10〜18μmである。
【0017】
この表面層を構成する不織布の目付量は、3〜40g/m2 、好ましくは10〜30g/m2 であり、さらに好ましくは10〜25g/m2 である。
【0018】
この不織布からなる表面層の厚さは、通常、10〜200μm程度であるが、用途により強度が必要な場合には、さらに厚くすることも可能である。
【0019】
また、本発明のシートにおいて、前記表面層に積層される透湿性フィルム層は、ポリアミドエラストマーを主成分とするものである。透湿性フィルム層の主成分であるポリアミドエラストマーとしては、例えば、(a)ポリアミド形成成分と(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとの反応によって得られる、ブロックまたはグラフト共重合体が挙げられる。
(a)ポリアミド形成成分の具体例としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム等のラクタム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩等のジアミン−ジカルボン酸の塩などが挙げられ、特に、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩が好ましく用いられる。
【0020】
(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、あるいはエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合体などが挙げられる。本発明において、この(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの数平均分子量は、200〜6000、特に400〜4000の範囲であるのが好ましい。
【0021】
さらに、(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと組み合わせて、下記式(1)〜(3)で表されるジオール化合物を用いることができる。
【化1】
Figure 0003747111
【0022】
前記式(1)、(2)および(3)において、R1 およびR2 は、エチレンオキシド基またはプロピレンオキシド基であり、Yは炭素数1〜6のアルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキリデン基、アリールアルキリデン基、O、SO、SO2 、CO、S、CF2 、C(CF3 2 またはNHであり、mは2以上の整数、nは2以上の整数であり、複数のR1 またはR2 は同一でも異なっていてもよい。
【0023】
この式(1)、(2)または(3)で表されるジオール化合物の具体例としては、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール類のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド付加物、ならびにそれらのブロック(共)重合体、4,4’−(ヒドロキシ)ビフェニルのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アミンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アミンのプロピレントキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのエチレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのプロピレンオキシド付加物、4,4’−ジヒドロキシベンゾフィノンのエチレンオキシド付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのエチレンオキシド付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール類を挙げることができる。
【0024】
好ましいジオール化合物としては、ハイドロキノンのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシド付加物およびそのブロック重合体であり、特に、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物およびそのブロック重合体が好ましい。また、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物等を用いることにより、透湿性フィルム層の難燃性を向上させることができる。
【0025】
また、前記式(1)〜(3)で表されるジオール化合物は、芳香環の水素の一部をアルキル基、アルキレン基、アリール基、ハロゲン、SO3 Na等に置き換えたもの、あるいは芳香環をシクロヘキサン環に置き換えたものを用いることもできる。
【0026】
これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールと式(1)〜(3)で表されるジオール化合物は、1種もしくは必要に応じて2種以上用いることができる。
【0027】
透湿性フィルム層において、式(1)〜(3)で表されるジオール化合物の含有量は、特に制限されず、ジカルボン酸と共重合して得られるポリエーテルエステル単位で0〜60重量%の範囲が好ましい。
【0028】
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、他のジオール化合物を用いることができる。他のジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール化合物等が挙げられる。
【0029】
透湿性フィルム層の主成分であるポリアミドエラストマーは、(a)ポリアミド形成成分と、(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとを反応させ、(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの末端基に応じて、エステル反応またはアミド反応によって得られるものである。
【0030】
また、この反応において、ジカルボン酸やジアミン等の第3成分を用いることもできる。
【0031】
第3成分として用いられるジカルボン酸としては、炭素原子数4〜20のものが好ましく用いられ、具体的には、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸(デカンジカルボン酸)等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸およびドデカンジカルボン酸が、重合性、色調および物性の点から好ましく用いられる。
【0032】
また、第3成分として用いられるジアミンとしては、例えば、芳香族、脂環式、脂肪族ジアミンが挙げられる。これらの中でも、脂環式ジアミンであるヘキサメチレンジアミンが、経済的な理由から好ましく用いられる。
【0033】
ポリエーテルエステルまたはポリエーテル成分は、ポリアミドエラストマーの構成単位で90〜10重量%の範囲で用いられ、90重量%を超える場合は、ポリアミドエラストマーの機械的特性が劣り、10重量%未満では、透湿性フィルム層の透湿性が劣る。
【0034】
また、この透湿性フィルム層は、ポリアミドエラストマー以外の他の成分として、成形性の改良のため、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂を1種単独でもしくは2種以上の組合せなど含み、さらに分散助剤として、極性基含有ポリオレフィン、特に、酸変性ポリオレフィン等を含む。分散助剤として極性基含有ポリオレフィンを含有する透湿性フィルム層は、ポリオレフィン樹脂からなる不織布との押出ラミネーションによる積層による成形を容易に行うことができるため、有効である。好ましく用いられる酸変性ポリオレフィンの具体例としては、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。透湿性フィルム層がポリアミドエラストマー以外の他の成分を含有する場合、その含有量は、通常、2〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。透湿性フィルム層が分散助剤を含有する場合、その含有量は、5重量%以下である。
【0035】
この透湿性フィルム層の厚さは、通常、3〜40μm程度であり、適度の透湿性および耐水性と、強度を有する点で、好ましくは5〜20μm程度である。
【0036】
本発明の複合シートは、透湿度が5000g/m2 ・日以上、かつ耐水圧が170cm以上のものである。
【0037】
本発明の複合シートの製造は、ポリオレフィン樹脂からなる不織布の上部に、ポリアミドエラストマーを主成分とし、ポリオレフィン樹脂と極性基含有オリオレインからなる分散助剤とを含有する透湿性フィルムを押出しラミネーションして一体的に積層成形する工程を有する方法にしたがって製造することができる。
【0038】
本発明の方法において、ポリオレフィン樹脂からなる不織布と、ポリアミドエラストマーを主成分とし、ポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤とを含有する透湿性フィルムとを積層する工程は、ポリアミドエラストマーを主成分とし、ポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンとを含有する樹脂混合物原料(以下、「樹脂原料」という)を、押出機に供給して溶融混練し、Tダイにて薄膜フィルムに成形した後、ホットメルト接着剤で熱接着する方法、あるいは得られた薄膜フィルムを熱エンボスロールにて熱接着する方法、フィルムを成形すると同時に、不織布と一体的に積層成形する押出ラミネーション成形方法等の方法にしたがって行うことができる。これらの中でも、押出ラミネーション成形方法が、成形プロセスを簡略化でき、コスト低減のために有効であるため、好ましい。
【0039】
本発明の複合シートは、衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の各種用途に用いられる透湿・耐水性複合シートとして、有用である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例により、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例における成形性、接着強度、透湿度および耐水圧の評価または測定は、下記の方法にしたがって行った。
【0041】
成形性
下記の基準で評価した。
○:均一な厚さでラミネーション成形を行うことができた。
△:一部に耳ゆれ等の脈動があった。
×:脈動が大きく、場合によってはフィルム切れがあった。
【0042】
接着強度
引張試験機を用いて、50mm/minの引張速度でTピール試験を行い、接着強度を測定した。
【0043】
透湿度
JIS P−0208に準拠して測定した。
【0044】
耐水圧
JIS K−6328に準拠して測定した。
【0045】
(実施例1)
ポリアミドエラストマー(荒川化学工業社製、商品名:AE−86、[η]:2.1dl/g、融点:200℃)90重量部、およびLDPE(メルトインデックス:11g/10分、三井石油化学工業(株)製、登録商標:ミラソン、銘柄名11P)9重量部、および酸変性ワックス(融点:104℃、溶融粘度:150cP、三井石油化学工業(株)製、登録商標ハイワックス、銘柄1105A)1重量部の割合で混合して調製した混合物を、押出機(スクリュー径:65mmφ)に供給して230℃で溶融混練して、T−ダイ(リップ径:1mm)から30m/分の速度で移動しているポリプロピレン不織布(スパンボンド不織布、目付量:20g/m2 、三井石油化学工業(株)製、登録商標シンテックス、銘柄P−02)の上に押出し、不織布からなる表面層と、該表面層に積層された透湿性フィルム層を有する複合シートを製造した。このとき、成形性を評価した。得られた複合シートについて、表面層と透湿性フィルム層との間の接着強度、透湿度および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
(実施例2)
ポリプロピレン不織布をロールコータによりポリエチレンイミン(分子量:1000)の水/アルコール混合溶液(ポリエチレンイミン/水/エチルアルコール:1.75/78.75/19.5(重量比))でプライマー処理し、80℃で1分間乾燥し、表面親水化処理したものを用いた以外は、実施例1と同様にして複合シートの製造を行った。このとき、成形性を評価した。
得られた複合シートについて、表面層と透湿性フィルム層との間の接着強度、透湿度および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1において、LDPEと酸変性ワックスを用いず、ポリアミドエラストマーのみを押出成形し、実施例2と同様に表面親水化処理したポリプロピレン不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして複合シートの製造を行った。このとき、成形性を評価した。
得られた複合シートについて、表面層と透湿性フィルム層との間の接着強度、透湿度および耐水圧を測定した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例
ポリアミドエラストマーの代わりにポリエステルエラストマー(デュポン社製、登録商標ハイトレル、銘柄3548L)を用いた以外は、実施例1と同様にして複合シートの製造を行った。
得られた複合シートについて、透湿度および耐水圧を評価または測定した。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例
LLDPE(メルトインデックス:2g/10分、三井石油化学工業(株)製、登録商標:ウルトゼックス、銘柄名:2201L)45重量部、および炭酸カルシウム(平均粒径:2.8μm、竹原化学(株)製、銘柄名:WS#1500)55重量部の混合物を、押出機(スクリュー径:40mmφ)に供給し、220℃で溶融混練した。溶融物をT−ダイ(リップ径:1mm)から5m/分の速度で押出し、厚さ60μmの原反フィルムを調製した。次に、原反フィルムを80℃で縦方向に4倍延伸することにより、厚さ35μmの多孔質の透湿性フィルムを得た。
【0050】
得られた透湿性フィルムと、実施例1で用いたものと同じポリプロピレン不織布とを、ホットメルト接着剤(融点:70℃、日本精ロウ(株)製、パラフィンワックス)の微粉(平均粒径:20μm)を用いて、3g/m2 、90℃で接着して、複合シートの製造を行った。
得られた複合シートについて、表面層と透湿性フィルム層との間の接着強度、透湿度および耐水圧を評価または測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003747111
【0052】
【発明の効果】
本発明の複合シートは、高透湿性を有し、かつ耐水性に優れるとともに、機械的強度に優れるため、薄くても所要の強度を発揮することができ、柔軟性および触感に優れ、衛生材用、衣料用、農業用、産業用等の各種用途に好適なものである。
【0053】
また、本発明の製造方法によれば、前記の本発明の複合シートを、前記複合シートを、従来の複合シートの製造方法に比して簡便な工程で製造することができる。
【0054】
さらに、本発明の前記複合シートからなる透湿・耐水性シートは、透湿性および耐水性に優れるとともに、構成樹脂自体がエラストマーとしての特性を有し、しかも従来品より薄くても所要の機械的強度を有するため、柔軟性および触感に優れ、しかも安価に製造することができるものである。そのため、紙おむつ用バックシート等に好適なものである。

Claims (10)

  1. 不織布からなる表面層と、該表面層に積層された、ポリアミドエラストマーを主成分とする、非多孔で耐水性能に優れた透湿性フィルム層とを有し、前記不織布がポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂からなり、前記透湿性フィルム層が、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤とを含有し、透湿度が5000g/m2 ・日(JIS P−0208に準拠)以上であり、かつ耐水圧が170cm(JIS K−6328に準拠)以上である複合シート。
  2. 前記ポリアミドエラストマーが、ポリアミドに由来する構造単位と、脂肪族ポリエーテルに由来する構造単位とを有する重合体である請求項1に記載の複合シート。
  3. 前記不織布が、ポリプロピレン樹脂からなり、前記透湿性フィルム層が、低密度ポリエチレン樹脂を含んでなる請求項1または2に記載の複合シート。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂からなる不織布が、表面処理を施したものである請求項1〜3のいずれかに記載の複合シート。
  5. 前記透湿性フィルム層に含有される、前記ポリアミドエラストマーと前記ポリオレフィン樹脂および極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤との重量比(ポリアミドエラストマー/ポリオレフィン樹脂および極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤)が98/2〜90/10であり、かつ前記極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤が5重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の複合シート。
  6. 前記表面層が、目付量が3〜40g/m2 、かつ厚さ10〜200μmであるものである請求項1〜5のいずれかに記載の複合シート。
  7. 前記不織布層と透湿性フィルム層とを、押出ラミネーションによって積層してなる請求項1〜6のいずれかに記載の複合シート。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートの製造方法であって、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂からなる不織布の上部に、ポリアミドエラストマーを主成分とし、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリオレフィン樹脂と極性基含有ポリオレフィンからなる分散助剤とを含有する透湿性フィルムを押出しラミネーション成形して一体的に積層成形する工程を含む、透湿度が5000g/m2 ・日(JIS P−0208に準拠)以上であり、かつ耐水圧が170cm(JIS K−6328に準拠)以上である複合シートの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートからなる透湿・耐水性シート。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の複合シートからなる耐水性を有する衛生用または衣料用材料。
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