JP3747099B2 - 熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイ - Google Patents
熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイにかかわり、更に詳しくはホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂から成るマンドレルの成形時に、潤滑油や、それにかかわる付帯設備を使用することなく製造でき、成形速度を速くしても断面形状に歪みの少ないマンドレルを安定して成形出来るホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホースの製造時に用いる樹脂マンドレルのような熱可塑性樹脂の長尺状の棒状物を押出し成形する場合は、押出し機のダイから棒状に押出しされた溶融熱可塑性樹脂を、サイジングダイに通して棒状に成形するのが一般的である。
この場合、チューブのような中空品の成形であれば、樹脂の吐出量や引取り速度の若干の変動は、肉厚の変化により吸収できるが、棒状物の場合には、その逃げ場がなく、樹脂の吐出量や引取り速度に若干の変動が生じると、サイジングダイに入る溶融樹脂の形状が変化し、樹脂とサイジングダイの摩擦力や、樹脂の冷却状態が変化するので、成形品の断面形状が歪んだり、脈動が発生し、成形品の外径が変動する等の問題があった。
【0003】
そこで、入口をテーパ形状とし、続いてランド形状としたサイジングダイを用い、そのテーパ形状とした部分には、潤滑油を使用してサイジングダイに溶融樹脂が安定して導入できるような押出成形装置用サイジングダイが提案されている(特開平4−152122号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上記のようなテーパ形状部とランド形状部とからなるサイジングダイを用いる場合には、サイジングダイに入る溶融樹脂の形状が変化したり、成形速度を速くすると、断面形状の歪みが大きくなる欠点があり、また潤滑油を使用する場合は、サイジングダイの構造が複雑になり、付帯設備を必要とすると同時に、作業環境面から好ましいものではなかった。
【0005】
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、押出し機から押出された熱可塑性樹脂をサイジングダイで所定寸法の断面形状を有するマンドレルに成形する際、サイジングダイの入口から出口までを段階的に絞り込むように成形することで、潤滑油や、それにかかわる付帯設備を使用することなく製造でき、成形速度を速くしても断面形状に歪みの少ないマンドレルを安定して成形出来るホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するため、サイジングダイの入口径A側から出口径Cまでの断面積を段階的に、かつ連続的に絞り込み、その絞り込みを、サイジングダイの入口(入口径A)から中間位置までの長さDを前記出口径Cの0.8〜2.5倍に設定すると共に、入口側 2a の入口断面積( a) と中間位置( 2b) の断面積(b)との関係(a/b)が、1.1〜1.5の範囲で絞り込むように構成し、更に、前記中間位置( 2b) から出口 (2c) までの長さEを、出口径Cの3〜15倍となるように設定し、前記中間位置 (2b) の断面積bと、出口断面積cとの比(b/c)を、1.05〜1.5となるように絞り込むように構成したことを要旨とするものである。
【0007】
この発明は、上記のように構成され、ホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイにおいて、押出し機から押出される溶融熱可塑性樹脂を、サイジングダイの入口側から出口までの断面積を段階的に絞り込み、正規寸法の断面円形状に成形するものである。
また、サイジングダイの入口側から出口までの断面積を段階的に絞り込み、その絞り込みを、サイジングダイの入口断面積aと、サイジングダイの入口からの距離が出口径の0.8〜2.5倍の中間位置2bの断面積bとの関係が、a/b=1.1〜1.5となるように絞り込み、更に、前記位置2bの中間位置から出口までの長さを、出口径の3〜15倍となるように設定し、前記断面積bと、出口断面積cとの比を、b/c=1.05〜1.5となるように絞り込むように構成することで、潤滑油や、それにかかわる付帯設備を使用することなく製造でき、成形速度を速くしても断面形状に歪みの少ないマンドレルを安定して成形出来るものである。
【0008】
即ち、押出し機のサイジングダイから丸棒状に押出された溶融熱可塑性樹脂を、内径の収縮率が大きいサイジングダイの入口側で表面を冷却固化させ、続いて表面は固化しているが、内部は溶融状態である丸棒の体積収縮率に合わせて、内径の縮小が緩やかな部分で冷却固化を行うようにすることで、常に樹脂表面とサイジングダイ内面とが密着しており、断面形状(真円)に歪みの少ないマンドレルを安定して成形出来るようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明にかかる熱可塑性樹脂マンドレルを成形するためのサイジングダイ1の第1実施形態を示す断面図を示し、前記熱可塑性樹脂マンドレルは、ホースの製造時に芯体として用いる熱可塑性樹脂(例えば、ナイロン,ポリエステル等)により真円に成形されるものである。
【0010】
前記サイジングダイ1は、円筒状に形成され、内径部2は、入口側2aから出口2cまでの内径断面積を、段階的(この実施形態では2段階であるが、特に限定されるものではなく、3段階以上としたり、また図2に示すように入口側2aの断面形状が湾曲した曲線形状のものであっても良い)に縮小する形状に形成し、出口部分の断面積が、製品断面積と同等、若しくはそれより若干大きく形成されている。この出口部分の断面積は、例えば、製品断面積の100〜110%にするのが良い。また、熱可塑性樹脂を円滑に通すために、入口側2aや内径部2内の角部を曲面状に面取りしても良い。
【0011】
即ち、サイジングダイ1の入口側2aから出口2cまでの断面積を2段階的に絞り込み、第1番目の絞り込みを、サイジングダイ1の入口2a(入口径A)から中間位置2bまでの長さDが、出口径Cの0.8 〜2.5 倍(0.8 〜2.5 ×C)で、入口断面積aと断面積bとの断面積比率(a/b)を1.1〜1.5 の範囲で絞り込むように構成するものである。
【0012】
また、第2番目の絞り込みを、中間位置2b(径B)から出口2cの長さEが、出口径Cの3〜15倍(3〜15×C)で、中間位置2bの断面積bと出口断面積cとの断面積比率(b/c)を、1.05〜1.5 の範囲で絞り込むように構成するものである。ここで、第1番目の絞り込み((A−B)/2D)よりも第2番目の絞り込み((B−C)/2E)が小さくなるように構成されている。
【0013】
上記第1番目の絞り込みの範囲以外では、成形速度が遅い場合に溶融熱可塑性樹脂が詰まったり、成形速度が速い場合には、マンドレルの成形が安定しないからである。また、第2番目の絞り込みの範囲以外では、成形速度が遅い場合に溶融熱可塑性樹脂が詰まったり、成形速度が速い場合には、マンドレル成形品の断面形状に歪みを生じるからである。
【0014】
即ち、押出し機のサイジングダイ1から丸棒状に押出された溶融熱可塑性樹脂を、内径の収縮率が大きいサイジングダイ1の入口側2aから中間位置2bまでの間で表面を冷却固化させ、続いて表面は固化しているが、内部は溶融状態である丸棒の体積収縮率に合わせて、内径の縮小が緩やかな部分(2b−2c)で冷却固化を行うようにすることで、常に樹脂表面とサイジングダイ内面2とが密着しており、断面形状(真円)に歪みや、変形の少ないマンドレルを安定して成形出来るようにしたものである。
【0015】
また、図2に示す入口側2aの断面形状が曲線状であるサイジングダイ1も上記図1と同様の数値範囲で、A〜E,断面積a〜cを設定することが出来、このサイジングダイ1は、サイジングダイ1を通る熱可塑性樹脂に対する摩擦力や応力集中を低減することが出来るものである。
【0016】
次に、この発明の図1に於ける形状のサイジングダイの実施例1〜5を、下記の表1に示す。
なお、下記の表1において、Aはサイジングダイ1の入口径,aはサイジングダイ1の入口断面積、Bはサイジングダイ1の中間位置2b(径B),bは中間位置2bにおける断面積、Cはサイジングダイ1の出口径,cは出口部の断面積、Dはサイジングダイ1の入口2aから中間位置2bまでの長さ、Eは中間位置2bから出口(出口部2c)までの長さを示している。また、マンドレル材料としては、ポリエステル系樹脂を使用した。
【0017】
成形速度の評価は、製品断面形状の歪み量を成形品の長径と短径の差とした場合、製品断面形状の歪み量が目標外径の0.5%未満で成形できる速度が、1.2m/min以上を○、0.7m/min以上,1.2m/min 未満を△、0.7m/min未満を×とした。
【0018】
安定性の評価は、製品断面形状の歪み量が目標外径の0.5%未満で成形できる状態が、常に再現できるものを○、比較的再現性良く成形できるが径時変化により乱れるものを△、再現性の悪いものを×として現した。
また、以下の表2は、図3及び図4に示すサイジングダイ1a,1bの比較例1,比較例2を示し、比較例1のサイジングダイ1aは、内径部3が、テーパ部3aと、ランド部3b(ストレート部)とからなるものであり、また比較例2のサイジングダイ1bは、内径部4が、入口から出口までがテーパ部4aに形成されたものである。
【0019】
また、図3及び図4において、Aはサイジングダイ1の入口径(入口断面積a)、Cはサイジングダイ1a,1bの出口径,cは出口部の断面積、図3において、Dはサイジングダイ1aの入口2aから中間位置2bまでの長さ、Eは中間位置2bから出口までの長さを示している。また、図4において、Dはサイジングダイ1bの入口2aから出口2cまでの長さを示している。
【0020】
なお成形速度の評価及び安定性の評価は、上記実施例と同様に行って評価した。
【0021】
【発明の効果】
この発明は上記のように、サイジングダイの入口径A側から出口径Cまでの断面積を段階的に、かつ連続的に絞り込み、その絞り込みを、サイジングダイの入口(入口径A)から中間位置までの長さDを前記出口径Cの0.8〜2.5倍に設定すると共に、入口側 2a の入口断面積( a) と中間位置( 2b) の断面積(b)との関係(a/b)が、1.1〜1.5の範囲で絞り込むように構成し、更に、前記中間位置( 2b) から出口 (2c) までの長さEを、出口径Cの3〜15倍となるように設定し、前記中間位置 (2b) の断面積bと、出口断面積cとの比(b/c)を、1.05〜1.5となるように絞り込むように構成したので、押出し機から押出された熱可塑性樹脂をサイジングダイで所定寸法の断面形状を有するマンドレルに成形する際、潤滑油や、それにかかわる付帯設備を使用することなく製造でき、生産性の向上を図ることが出来、また成形速度を速くしても断面形状に歪みの少ないマンドレルを安定して成形出来、製品精度の向上を図ることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる熱可塑性樹脂マンドレルを成形するためのサイジングダイの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明にかかる熱可塑性樹脂マンドレルを成形するためのサイジングダイの第2実施形態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施例に対する比較例1のサイジングダイの断面図である。
【図4】この発明の実施例に対する比較例2のサイジングダイの断面図である。
【符号の説明】
1 サイジングダイ 2 内径部
2a 入口 2b 中間位置
2c 出口
A サイジングダイの入口径 a サイジングダイの入口断面積
B 中間位置2bにおける内径
b 中間位置2bにおける断面積
C サイジングダイの出口径
c 出口部の断面積
D 入口から中間位置までの長さ
E 中間位置2bから出口までの長さ
Claims (1)
- 押出し機から押出される溶融熱可塑性樹脂を賦形するホースの製造時に用いる熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイにおいて、
前記サイジングダイの入口径A側から出口径Cまでの断面積を段階的に、かつ連続的に絞り込み、その絞り込みを、サイジングダイの入口(入口径A)から中間位置までの長さDを前記出口径Cの0.8〜2.5倍に設定すると共に、入口側 2a の入口断面積( a) と中間位置( 2b) の断面積(b)との関係(a/b)が、1.1〜1.5の範囲で絞り込むように構成し、更に、前記中間位置( 2b) から出口 (2c) までの長さEを、出口径Cの3〜15倍となるように設定し、前記中間位置 (2b) の断面積bと、出口断面積cとの比(b/c)を、1.05〜1.5となるように絞り込むように構成したことを特徴とする熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイ。
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JP23953996A JP3747099B2 (ja) | 1996-09-10 | 1996-09-10 | 熱可塑性樹脂マンドレルの成形用サイジングダイ |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1086211A JPH1086211A (ja) | 1998-04-07 |
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