JP3747080B2 - オクタキス(2−置換エテニル)フタロシアニン誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学記録体、光導電性材料等のオプトエレクトロニクス関連分野に有用なフタロシアニン誘導体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フタロシアニン系化合物は堅牢性及び耐久性に優れるため電子写真用感光体の光導電性材料として広く使用されているが、光ディスクや光カードのような光学記録体の光吸収性材料としてはあまり実用化されていない。その原因の一つは、これらは一般に溶媒に対する溶解性が低く、簡便な溶液塗布法による薄膜の作製が困難だからである。
【0003】
また、光ディスクや光カード等の光学記録体には、光源として安価な半導体レーザーが利用されるが、一般にフタロシアニンは、波長700〜800nmの近赤外領域における光吸収能及び780〜830nmでの反射率が低く、半導体レーザー光に対する感度が不充分であるからである。
【0004】
光記録薄膜に適したフタロシアニン誘導体としては、アルコキシフタロニトリルを原料に用いるフタロシアニン誘導体が知られている。しかしながら、例えば、特公平7-30257号公報に記載されているテトラアルコキシ金属フタロシアニン誘導体は、実用レベルでの溶解性向上が見られるが、波長700〜800nmの近赤外領域における光吸収性についてはまだ改善の余地がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、波長700〜800nmの近赤外領域における光吸収性に優れ、溶解性に優れるフタロシアニン誘導体及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式
【0007】
【化3】
【0008】
[式中、Lは、式-CH=CH-(CH=CH)n-R(式中、Rは非置換もしくは置換アルキル基、または非置換もしくは置換フェニル基であり、そしてnは0または1である。)で表わされる2-置換エテニル基であり、Mは、2個の水素原子、2価の金属原子、3価の1置換金属原子または4価の2置換金属原子である。]
で表わされるオクタキス(2-置換エテニル)フタロシアニン誘導体を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
本発明のオクタキス(2-置換エテニル)フタロシアニン誘導体は、式
【0010】
【化4】
【0011】
[式中、Lは上記と同意義である。]
で表わされる4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジフタロニトリル誘導体を4量化させることにより製造することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のオクタキス(2-置換エテニル)フタロシアニン誘導体は、式(I)で示す構造を有する化合物である。
【0013】
式(I)において、Lは、式-CH=CH-(CH=CH)n-R[式中、R及びnは上記と同意義である。]で示される、2-置換エテニル基であり、フタロシアニン核の2位、3位、9位、10位、16位、17位、23位及び24位に置換している。
【0014】
Rは、炭素数3〜20個の非置換もしくは置換アルキル基、または炭素数6〜12の非置換もしくは置換フェニル基であることが好ましい。具体的には、ベンズアルデヒド、o-,m-,p-アニスアルデヒド、2,3-ジメトキシベンズアルデヒド、3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド、o-,m-,p-エトキシベンズアルデヒド、o-,m-,p-トルアルデヒド、p-(イソプロピル)ベンズアルデヒド、o-,m-,p-クロロベンズアルデヒド、o-,m-,p-クロロトルアルデヒド、p-フルオロベンズアルデヒド及びp-トリフルオロメチルベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒドの残基、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド(カプロンアルデヒド)、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド(カプリルアルデヒド)、ノニルアルデヒド(ペラルゴンアルデヒド)、デカナール(カプリンアルデヒド)、ウンデカナール及びドデシルアルデヒド(ラウリンアルデヒド)のようなアルキルアルデヒドの残基、及びシンナムアルデヒドの残基等が例示できる。好ましくは、ベンズアルデヒド、オクタナール及びシンナムアルデヒドの残基である。
【0015】
また、以下の式に示す2-置換エテニル基若しくは4-置換-1,3-ブタジエニル基はLに含まれる。
【0016】
【化5】
【0017】
式中、R1には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基及びセカンダリブチル基のような炭素数1〜4のアルキル基;塩素原子及びフッ素原子のようなハロゲン原子;メトキシ基及びエトキシ基のような炭素数1〜4のアルコキシ基;及びトリフルオロメチル基のような炭素数1〜5のハロアルキル基が含まれる。R2には、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ターシャリオクチル基、ノニル基及びドデシル基のような炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基;塩素原子及びフッ素原子のようなハロゲン原子で置換されたハロアルキル基;メトキシ基及びエトキシ基のような炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたアルコキシアルキル基が含まれる。
【0018】
具体的には、上記式(a)で示される非置換又は置換フェニルエテニル基としては、
【0019】
【化6】
【0020】
等が例示できる。
【0021】
上記式(b)で示される4-置換-1,3-ブタジエニル基としては、
【0022】
【化7】
【0023】
等が例示できる。
【0024】
上記式(c)で示される非置換又は置換アルキルエテニル基としては、
-CH=CH-C3H7
-CH=CH-C4H9
-CH=CH-C5H11
-CH=CH-C6H13
-CH=CH-C7H15
-CH=CH-C8H17
-CH=CH-CH2CH(C2H5)C4H9
-CH=CH-C9H10
-CH=CH-C10H21
-CH=CH-C11H23
-CH=CH-C12H25
-CH=CH-C2H4OC4H9
等が例示できる。
【0025】
式(I)において、Mは2個の水素原子(2H)、2価の金属原子、3価の1置換金属原子または4価の2置換金属原子である。
【0026】
ここでいう「2個の水素原子」とは、それぞれ窒素基に結合した2個の水素原子をいう。したがって、この場合、Mは式(I)の中心部の相対する窒素原子と共に2個のイミノ基(=N-H)を形成する独立した2個の水素原子を表わす。この場合、本発明のオクタキス(2-置換エテニル)フタロシアニン誘導体は、所謂無金属フタロシアニンとなる。
【0027】
2価の金属原子の例としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pb、Pt、Pd、Mn、Sn、Mg、Ba、Ca、TiおよびBeなどが挙げられる。好ましくはCuおよびPdである。
【0028】
ここでいう「3価の1置換金属原子」とは、式(I)の中心部の相対する窒素原子に2個の原子価で結合し、残りの1個の原子価で置換基と結合する3価金属原子をいう。3価金属原子の例としてはAl、Ga、In、Ti、Mn、Fe等が挙げられる。好ましくはAl、Ga等である。置換基の例としては、Cl、F、BrおよびIのようなハロゲン基、メトキシ、エトキシおよびプロポキシのようなアルコキシ基、フェノキシ基、およびヒドロキシ基等が挙げられる。
【0029】
ここでいう「4価の2置換金属原子」とは、式(I)の中心部の相対する窒素原子に2個の原子価で結合し、残りの2個の原子価で置換基と結合する4価金属原子をいう。4価金属原子の例としてはCr、Si、Ge、V、MnおよびTi等が挙げられる。好ましくはGe、Si、VおよびTi等である。更に好ましくはTiおよびVである。置換基の例としては、上記3価金属原子の置換基と同様なもの、および酸素原子等が挙げられる。「4価の2置換金属原子」の例としては、GeCl2、SiF2、TiCl2、Si(O-アルキル)2、Ge(O-アルキル)2、Si(O-フェニル)2、Ge(O-フェニル)2およびGe(OH)2等、置換基が酸素原子である場合は、V=O、Mn=O、Ti=O等のようにMを形成する。
【0030】
本発明のオクタキス(2-置換エテニル)フタロシアニン誘導体は当業者に周知の方法により製造できる。例えば、式(II)で表わされる4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジフタロニトリル誘導体を4量化させることにより製造しうる。
【0031】
式(II)で表わされる4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジフタロニトリル誘導体は、溶媒中で加熱することにより容易に4量化する。この反応は当業者に周知である。
【0032】
溶媒としてアルコールを用い、強塩基の存在下に加熱することにより無金属フタロシアニンが得られる。アルコールとしては、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-アミルアルコール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-メトキシエチルアルコール及び2-エトキシエチルアルコールのような沸点が90℃以上、好ましくは100℃以上の1価のアルコールがよい。これらのアルコール溶媒の使用量は、一般に、原料に用いるフタロニトリル誘導体の5〜20重量倍、好ましくは8〜15重量倍である。
【0033】
反応促進剤として用いる強塩基としては、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)、あるいはDBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5)が用いられる。これらの強塩基の使用量は、原料に用いるフタロニトリル誘導体に対して等モル以上あればよく、好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
【0034】
溶媒として、沸点180℃以上の高沸点有機溶媒を用い、金属もしくは金属誘導体の存在下に加熱することにより金属フタロシアニンが得られる。高沸点有機溶媒としては、この種反応に用いる公知の不活性有機溶媒、例えば、キノリン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、又はトリクロルベンゼン等用いることができる。使用量は特に限定されないが、一般に、原料に用いるフタロニトリル誘導体の5〜20重量倍、好ましくは8〜15重量倍である。
【0035】
金属もしくは金属誘導体としては、Cu、Zn、Ni、Co、Fe、Ge、Sn、Pb、Cr、Mn、Al、In及びTiのような金属;CuCl、CuCl2、SnCl2、ZnCl2、InCl3・4H2O、AlCl3、FeCl3、CrCl3、TiCl4、SiCl4及びGeCl4のような金属塩化物;PbO2、PbO及びMnO2のような金属酸化物が用いられる。これらの使用量は、原料に用いるフタロニトリル誘導体に対して等1/4モル以上あればよく、好ましくは1/3〜2/5倍モルである。
【0036】
式(II)で表わされる4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジフタロニトリル誘導体は、以下のスキームに示す工程により調製できる。この工程のより詳細な条件は特願平7-136841号に記載の通りである。
【0037】
【化8】
【0038】
本発明の方法に用いるのに好ましい4,5-ビス(2-置換エテニル)-1,2-ジフタロニトリル誘導体の例を以下に示す。
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0053】
合成例1
4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン[C16H25O6Br2P2=535.8]の合成
α,α',4,5-テトラブロモ-o-キシレン21.1g(50mmol)、トリエチルホスファイト17.2ml(100mmol)を3口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で徐々に加熱し、1時間をかけて150℃にした。この間に副成する塩化エチルを、反応系外へ除去した。さらに150℃で1時間加熱撹拌を行った後、反応混合物を氷/水バスを用いて0〜5℃に冷却して水30mlを加えることにより反応を完結させた。
【0054】
得られた反応混合物から有機物を50mlのエーテルを用いて3回抽出し、エーテル層を水と飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去して黄色固体を得た。この固体を熱ヘキサン100mlを用いて洗浄して精製した。1H-NMR、13C-NMR、IR、質量及び融点の分析を行い、得られたものは、式
【0055】
【化22】
【0056】
で示す、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は22.0g(41.1mmol)、収率は82.1%であった。
【0057】
合成例2
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2a)[C22H16Br2=439.8]の合成
合成例1で得た4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)とテトラヒドロフラン(THF)30ml(100mmol)との混合液にナトリウムメチラート5.8g(28%メタノール溶液、30mmol)を-15〜-20℃で加え、1時間この温度で撹拌した。次いで、この混合溶液にベンズアルデヒド2.3ml(22mmol)を-15〜-20℃でゆっくり加え、室温で5時間撹拌した。反応を完了後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液(sat.NH4Cl)30mlを用いて冷却した。
【0058】
得られた反応混合物から生成物を50mlのエーテルを用いて3回抽出し、得られたエーテル層を水、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。引続き無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去して固体を得、この固体を熱ヘキサン(100ml)中ですりつぶして、精製した。1H-NMR、13C-NMR、IR、質量及び融点の分析を行い、得られたものは、式
【0059】
【化23】
【0060】
で示す、4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は3.93g、収率は89.4%であった。
【0061】
合成例3
4,5-ビス(2-p-メトキシフェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2b)[C24H20O2Br2=499.8]の合成
合成例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン1.07g(2.0mmol)及びアニスアルデヒド0.47ml(4.4mmol)に代え、合成例2と全く同様な操作を施し精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0062】
【化24】
【0063】
で示す、4,5-ビス(2-p-メトキシフェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は0.8g(1.6mmol)、収率は80.0%であった。
【0064】
合成例4
4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2c)[C26H20Br2=491.8]の合成
合成例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン10.7g(20.0mmol)及びシンナムアルデヒド5.8ml(44mmol)に代え、合成例2と全く同様な操作を施し精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0065】
【化25】
【0066】
で示す、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は8.6g(17.5mmol)、収率は87.4%であった。
【0067】
合成例5
4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2d)[C24H36Br2=483.8]の合成
合成例2で用いた4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン5.36g(10mmol)及びベンズアルデヒド2.3ml(22mmol)を、4,5-ビス(ジエチルホスホリルメチル)-1,2-ジブロモベンゼン10.7g(20.0mmol)及びオクチルアルデヒド5.63ml(44mmol)に代え、合成例2と全く同様な操作を施し、クロマト精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0068】
【化26】
【0069】
で示す、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼンであることを確認した。収量は3.4g(7.02mmol)、収率は36.2%であった。
【0070】
合成例6
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジシアノベンゼン(3a)[C24H16N2=332.0]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2a)2.64g(5.96mmol)とシアン化銅1.62g(18mmol)との混合物をDMF中、8時間還流した。反応混合物を冷却後、濃いアンモニア水(conc.NH4OH)100mlに投入して、水蒸気を通して12時間バブルした。反応物を濾過してクロロホルム50mlを用いて3回抽出した。得られた有機層を薄いアンモニア水で洗浄し、次いで水洗し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去して固体を得た。この固体を熱ヘキサン中ですりつぶして精製した。1H-NMR、13C-NMR、IR、紫外/可視光、質量及び融点の分析を行い、得られたものは、式
【0071】
【化27】
【0072】
で示す、4,5-ビス(2-フェニルエテニル)フタロニトリルであることを確認した。収量は1.12g、収率は56.6%であった。
【0073】
合成例7
4,5-ビス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]フタロニトリル(3b)[C26H24O2N2=396]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2a)を、4,5-ビス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]-1,2-ジブロモベンゼン(2b)0.40g(0.8mmol)に代え、合成例6と同様な操作を施し精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0074】
【化28】
【0075】
で示す、4,5-ビス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]フタロニトリルであることを確認した。収量は0.16g、収率は51.0%であった。
【0076】
合成例8
4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フタロニトリル(3c)[C28H20N2=384.0]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2a)を、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン7.4g(15.0mmol)に代え、合成例6と同様な操作を施し精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0077】
【化29】
【0078】
で示す、4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フタロニトリルであることを確認した。収量は4.06g(10.6mmol)、収率は70.5%であった。
【0079】
合成例9
4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フタロニトリル(3d)[C26H36N2=376.0]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン(2a)を、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)-1,2-ジブロモベンゼン3.4g(7.03mmol)に代え、合成例6と同様な操作を施し精製した。同様に分析を行い、得られたものは、式
【0080】
【化30】
【0081】
で示す、4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フタロニトリルであることを確認した。収量は1.65g(4.39mmol)、収率は62.4%であった。
【0082】
実施例1
オクタキス(2-フェニルエテニル)無金属フタロシアニン(4a-1)[C96H66N8=1330]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジシアノベンゼン(3a)0.332g(1.0mmol)とアミルアルコール3mlとの混合液に1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)0.17ml(1.1mmol)を加え、還流下、混合物を5時間撹拌した。反応物を3.0μm PTFE(テフロン)メンブランフィルタで濾過して得られた固体をジメチルフォルムアミド(DMF)、アセトン、メタノールの順で洗浄し、真空乾燥して0.15gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-フェニルエテニル)無金属フタロシアニンであることを確認した。収率は45.1%であった。赤外吸収スペクトルを図1に、可視/近赤外吸収スペクトルを図2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例2
オクタキス(2-フェニルエテニル)チタニルフタロシアニン(4a-2)[C96H66N8TiO=1392]の合成
4,5-ビス(2-フェニルエテニル)-1,2-ジシアノベンゼン(3a)0.34g(1.02mmol)、チタニウム(IV)クロリド0.1g及びキノリン5mlの混合液を、180〜190℃で5時間撹拌した。次いで、反応物を3.0μmテフロンメンブランフィルタを用いて熱時濾過した。得られた固体をDMF、アセトン、メタノールの順で洗浄し、真空乾燥して0.174gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-フェニルエテニル)チタニルフタロシアニンであることを確認した。収率は49.1%であった。赤外吸収スペクトルを図3に、可視/近赤外吸収スペクトルを図4に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
実施例3
オクタキス(2-スチリルエテニル)無金属フタロシアニン(4c-1)[C112H90N8=1546]の合成
4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フタロニトリル(3c)0.4g(1.04mmol)、アミルアルコール5ml及びDBU0.17ml(1.1mmol)を用いること以外は実施例1と同様して、0.184gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-スチリルエテニル)無金属フタロシアニンであることを確認した。収率は45.7%であった。赤外吸収スペクトルを図5に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例4
オクタキス(2-スチリルエテニル)チタニルフタロシアニン(4c-2)[C112H88N8TiO=1608]の合成
4,5-ビス(2-スチリルエテニル)フタロニトリル(3c)0.4g(1.04mmol)、チタニウム(IV)テトラクロリド0.1g及びキノリン5mlを用いること以外は実施例2と同様にして、0.295gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-スチリルエテニル)チタニルフタロシアニンであることを確認した。収率は70.4%(0.183mmol)であった。赤外吸収スペクトルを図6に示す。
【0089】
【表4】
【0090】
実施例5
オクタキス(2-ヘプチルエテニル)無金属フタロシアニン(4d-1)[C104H146N8=1506]の合成
4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フタロニトリル(3d)0.22g(0.585mmol)とアミルアルコール3mlとの混合液にDBU0.1mlを加え、還流下、5時間撹拌した。次いで、20mlのメタノールを反応物に加え、1時間還流した。反応物を3.0μmテフロンメンブランフィルタで濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄乾燥して0.118gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-ヘプチルエテニル)無金属フタロシアニンであることを確認した。収率は53.8%であった。赤外吸収スペクトルを図7に、可視/近赤外吸収スペクトルを図8に示す。
【0091】
【表5】
【0092】
実施例6
オクタキス(2-ヘプチルエテニル)銅フタロシアニン(4d-2)[C104H144N8=1567.5]の合成
4,5-ビス(2-ヘプチルエテニル)フタロニトリル(3d)0.376g(1.0mmol)、キノリン5ml及びCuCl20.04g(0.3mmol)の混合液を180〜190℃で5時間撹拌した。次いで、20mlのメタノールを反応物に加え、1時間還流した。反応物を3.0μmテフロンメンブランフィルタで濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄した。乾燥して0.201gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス(2-ヘプチルエテニル)銅フタロシアニンであることを確認した。収率は51.3%であった。赤外吸収スペクトルを図9に、可視/近赤外吸収スペクトルを図10に示す。
【0093】
【表6】
【0094】
実施例7
オクタキス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]無金属フタロシアニン(4b-1)[C104H82N8O8=1570]の合成
4,5-ビス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]フタロニトリル(3b)1.0g(2.6mmol)とアミルアルコール20mlとの混合液にDBU0.44mlを加え、還流下、混合物を5時間撹拌した。70℃まで冷却後、メタノール50mlを加え、30分間さらに還流撹拌した。反応物を3.0μmテフロンメンブランフィルタで濾過し、メタノール及びアセトンで洗浄、乾燥して0.41gの固体を得た。以下の分析結果から、得られたものはオクタキス[2-(p-メトキシフェニル)エテニル]無金属フタロシアニンであることを確認した。収率は40.0%であった。赤外吸収スペクトルを図11に、可視/近赤外吸収スペクトルを図12に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
【効果】
本発明の無金属又は金属フタロシアニンの最大吸収波長は、例えば、特公平7-30257に開示されている中心金属がPd、Pt、V=O、或いはCuであるテトラアルコキシフタロシアニンのものに比べ約30〜50nm長波長にシフトしている。また、無金属フタロシアニンについては、本発明の無金属フタロシアニンの最大吸収波長が、約730nm以上であったのに対して、テトラターシャリブチル無金属フタロシアニンでは約700nmであった。
【0097】
また、分子吸光係数での比較においても、本発明のフタロシアニンがLogε=4.30〜5.21であったのに対して、テトラターシャリブチル無金属フタロシアニンではLogε=4.19であった。このように本発明のフタロシアニン誘導体は従来のフタロシアニン誘導体に比べて、近赤外線領域での光吸収性に優れる。
【0098】
有機溶剤に対する溶解性は、上記Lがアルキルエテニル基であるものが特に良好であった。また、Lがスチリルエテニル基(4-フェニル-1,3-ブタジエニル基)のものは、有機溶剤に対して不溶なので、電子写真感光体等に用いる電荷発生剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の無金属フタロシアニンのIRスペクトルである。
【図2】 実施例1の無金属フタロシアニンの可視/近赤外スペクトルである。
【図3】 実施例2のチタニルフタロシアニンのIRスペクトルである。
【図4】 実施例2のチタニルフタロシアニンの可視/近赤外スペクトルである。
【図5】 実施例3の無金属フタロシアニンのIRスペクトルである。
【図6】 実施例4のチタニルフタロシアニンのIRスペクトルである。
【図7】 実施例5の無金属フタロシアニンのIRスペクトルである。
【図8】 実施例5の無金属フタロシアニンの可視/近赤外スペクトルである。
【図9】 実施例6の銅フタロシアニンのIRスペクトルである。
【図10】 実施例6の銅フタロシアニンの可視/近赤外スペクトルである。
【図11】 実施例7の無金属フタロシアニンのIRスペクトルである。
【図12】 実施例7の無金属フタロシアニンの可視/近赤外スペクトルである。
Claims (5)
- 前記Rが炭素数3〜20の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基、または炭素数6〜12の非置換もしくは置換フェニル基である請求項1記載のオクタキス(2−置換エテニル)フタロシアニン誘導体。
- 前記Mが2個の水素原子である請求項1記載のオクタキス(2−置換エテニル)フタロシアニン誘導体。
- 前記Mが2価の金属原子、3価の1置換金属原子及び4価の2置換金属原子からなる群から選択される請求項1記載のオクタキス(2−置換エテニル)フタロシアニン誘導体。
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