JP3746666B2 - 火災感知器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の温度検出素子と熱伝導構造によって火災時の温度上昇の度合を判断して火災を検出する差動式熱感知を行う火災感知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、火災の熱気流を受けた際の温度を検出して火災を発報する火災感知器としては、所定の火災温度に達した時に発報する定温式熱感知器と、火災による温度の上昇度合を判断して発報する差動式火災感知器が知られている。
【0003】
このうち差動式熱感知器としては、ダイアフラムを使用した差動式熱感知器が古くから使用されており、近年にあっては温度検出にサーミスタを使用した差動式熱感知器も実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のダイアフラムを使用した差動式熱感知器は、チャンバー構造をもっているために小型化しにくい問題がある。またサーミスタを使用した差動式熱感知器は、ダイアフラム式に比べると小型化できるが、差動式熱感知のために感知器の外部と内部にサーミスタを設けており、サーミスタの配置により感温特性が変化するなどの問題がある。
【0005】
一方、生産設備等での温度異常を監視する超小形の半導体センサとして、差動式の感温センサが知られている(特許第2697938号公報)。この感温センサは、例えばシリコン基板などをエッチングして感熱部の厚みを変化させ、厚みの厚いところと厚みの薄いところに形成されたそれぞれの温度センサの出力差分から温度変化を算出している。
【0006】
しかしながら、このような構造の感温センサでは、感度に方向依存性が生じ、方向性のないことが要求される火災感知では安定性に欠ける問題がある。また、このような構造の感温センサは、検出感度を高めるために緩やかな温度上昇でも大きな差動出力が得られるようになっている。このため本来火災感知器が作動してはならない室温の温度上昇で大きな差動出力を生じて発報し、国内の差動式熱感知器の検定規格を満足することができず、火災感知器として適していない。
【0007】
本発明は、構造が簡単で火災感知器として必要にして十分なサイズに小型化でき、感度の方向依存性がない差動式熱感知を行う火災感知器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
【0009】
本発明の火災感知器は、基板、保護ケース及び温度検出素子で構成される。基板は、外側を熱気流を受ける感熱面とし内側を温度検出素子形成面とする。保護ケースは、基板内側に密封空間を形成すると共に、基板内側の外周部に熱的に接触し、熱気流を受けた際に基板内面の中央部の温度が高く周囲に行くほど温度が低下する温度勾配を作り出すヒートシンクとして機能する。また温度検出素子として、少なくとも一組の温度検出素子を、保護ケースによる密閉空間に位置する基板内面の中央部と周辺部とに配置し、基板内面の温度勾配による高温部と低温部の温度を検出する。これにより少なくとも一組の温度検出素子の検出信号から温度差を検出して差動式熱感知を行う。ここで、保護ケースは、基板よりも熱容量が大きく、火災発生時の保護ケースの温度変化は基板の温度変化よりも遅れを生じさせる構造及び又は材質をもつ。
【0010】
このような構成をもつ本発明の火災感知器は、火災による熱気流を受けると、基板の外周側は保護ケースによるヒートシンクに熱的に接続されているため、基板中央部からヒートシンクが位置する基板周辺部に向って熱の流れが起きる。その結果、平常時の基板に温度分布が生じていない状態から、火災時には基板中央部の温度が高く周囲のヒートシンクに向かうほど温度が低くなる温度勾配が発生する。
【0011】
本発明は、この火災時に基板内に生じる温度勾配に対し、温度の高い中央部と温度が低くなる周辺部との温度を基板内側に配置した1又は複数組の温度検出素子で検出し、その温度差分に基づき差動式熱感知を行う。
【0012】
また本発明の火災感知器は、ヒートシンクとして機能する保護カバーを基板内側に配置することで、基板内側に密閉空間が形成され、この密閉空間に位置する基板内に温度検出素子を配置することで、温度検出素子を外気から遮断し、湿気や腐食性ガスによる検出素子の劣化を防ぎ、高い耐久性を得る。
【0013】
また基板に対する保護カバーの熱的接触部分および複数組の温度検出素子の中央部と周辺部との配置を略円形状または熱的関係が対称となるように配置して感度の方向依存性をなくす。更に、基板厚み、断面形状及び又は材質と、保護ケースの構造及び又は材質により、基板から保護ケースへ流れる熱流量を最適化して1又は複数組の温度検出素子による差動式熱感知に最適な基板内面の温度勾配が得られるようにする。
【0014】
このため基板や保護ケースの形状、材質等により、火災による熱気流を受けたときの基板の温度勾配を最適化し、国内の差動式熱感知器に必要な検定規格を満足することができる。
【0015】
ここで国内の差動式熱感知器(第1種)の検定規格は、次のようになる。
(1)ステップ上昇試験
(作動試験):試験機内温度を+20℃ステップ変化させた場合、30秒以内に発報すること。
(不作動試験):試験機内温度を+10℃ステップ変化させた場合、60秒以内に発報しないこと。
(2)直線上昇試験
(作動試験):温度上昇速度15℃/分の場合、4.5分以内に発報すること。
(不作動試験):温度上昇速度3℃/分の場合、15分以内に発報しないこと。
【0016】
本発明で基板に配置する温度検出素子は、サーミスタ、熱電堆(サーモパイル)又は白金等の金属抵抗体とする。また基板、保護ケース及び温度検出素子により差動式熱感知器を構成し、他の検出構造をもつ光電式火災感知器、定温式熱感知器等に組込んで複合型火災感知器とする。
【0017】
また本発明の火災感知器は、更に、温度検出素子の近傍の基板内側にマイクロヒーターを設け、火災感知器自体の性能の自動試験機能を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による火災感知器の基本的な実施形態を示した説明図であり、図1(A)に内部構造を示す断面図を、図1(B)にそのA−A断面を示している。
【0019】
本発明の火災感知器は、図1(A)のように、基板3、保護ケース4及び温度検出素子で構成される。
【0020】
図1(B)で示す温度検出素子は、温度差から熱起電力を発生するサーモパイルを想定したものであり、温接点(Hot Junction) となる温接点検出素子HJ2aと冷接点(Cold Junction)となる冷接点検出素子CJ2bで構成される。基板3としては、耐腐食性の高いセラミック基板などを使用している。これ以外にガラス、合成樹脂などの基板を用いることもできる。基板3は、外側を熱気流を受ける感熱面3aとしており、内側を温度検出素子形成面3bとしている。
【0021】
保護ケース4は基板3より熱容量の大きな部材であり、耐腐食性に優れた合成樹脂やセラミックなどを使用しており、保護ケース4の単体の熱時定数は例えば数秒から数百秒程度となるように材質及び寸法を決めている。この保護ケース4は、内部に円筒状にくり抜いた空洞部を備えており、基板3の温度検出素子形成面3b側に空洞部の周囲端面となる接合面4aによって接着固定され、基板3との間に密閉空間1を形成する。
【0022】
保護カバー4の装着によって基板3の内側に形成された密閉空間1に位置する温度検出素子形成面3b上には、温度検出素子を構成する温接点検出素子HJ2aと冷接点検出素子CJ2bが配置されている。この温接点検出素子HJ2aと冷接点検出素子CJ2bの配置は、図1(A)のA−A断面を示す図1(B)から明らかなように、保護ケース4の接続面4aの内側の密閉空間1に位置した温度検出素子形成面3bの中央部に、この実施形態にあってはリング状に8つの温接点検出素子HJ2aを配置し、中央部の温接点検出素子HJ2aから外周側に所定距離だけ離れた位置には、この実施形態にあっては7つの冷接点検出素子CJ2bがリング状に配置されている。
【0023】
図1(B)は温度検出素子としてサーモパイル(熱電堆)を想定したものを示しているが、それ以外の温度検出素子としては、金属抵抗体、サーミスタなどが使用される。要するに、温度変化を電気信号に変換できるものであれば、何でも良い。
【0024】
温度検出素子を構成する温接点検出素子HJ2aと冷接点検出素子CJ2bはリードパターン2cにより接続されている。このリードパターン2cによる接続は、例えば中央の温接点検出素子HJ2aと外周側の冷接点検出素子CJ2bを交互に直列接続し、14組の温接点と冷接点の組合せを直列接続している。
【0025】
図1に示すように、サーモパイルにおいては、基板3の中央部に形成された温接点検出素子HJ2aと基板3の外周側に形成された冷接点検出素子CJ2bの温度差による熱起電力が、直接、温度検出信号としてリードパターン2cを介して、図示しない感知器回路に与えられる。このリードパターン2cにより14組の温接点と冷接点の組合せを直列接続していることから、加算された温度差による熱起電力が温度検出信号として出力される。
【0026】
また図12に示すように、温度検出素子として金属抵抗体を用いる場合は、中央部の検出素子20aで検出した温度信号から外周側の検出素子20bで検出した温度信号を差し引くことで温度差を算出し、この温度差に基づき差動式熱感知による火災検出を行う。
【0027】
また基板3は、感度の方向依存性をなくすために円形形状としている。もちろん、円形でなくてもほぼ円形であれば問題ない。また基板3の平面形状は、円形であることが望ましいが、円形でなくとも基板3の温度検出素子形成面3b上に密閉空間1を形成する保護ケース4の接続面4a側をほぼ円形状とすれば、熱を受けたときの感度の方向依存性をなくすことができる。
【0028】
図2は、図1に示した本発明の火災感知器による検出原理の説明図である。図2(A)は図1(A)の本発明による火災感知器の構造であり、火災時には熱気流を基板3の外側の感熱面3a側に受けることで、矢印で示す熱5が基板3に外側から入力する。
【0029】
ここで基板3は、その外周を接続面4aによって保護ケース4に接触しており、保護ケース4の熱容量は基板3に対し十分大きいことから、保護ケース4は熱的に見てヒートシンクとして機能する。このため基板3の外側から加わった矢印の熱5の入力は、基板3内を伝達して接続面4aから周囲のヒートシンクとしての保護カバー4に流れる熱の伝導現象が起こる。
【0030】
このように外部から加わった熱が基板3を通ってヒートシンクとしての保護カバー4に流れると、そのときの基板3の内側の温度検出素子形成面3bの温度分布は図2(B)の実線の温度分布8のようになる。ここで、破線の温度分布7は定常時の温度分布であり、基板3の位置によらず一定であり、当然に保護ケース4側も同じ温度となっている。そして火災時には外側からの熱の入力を受けて温度分布8が生ずることになる。
【0031】
この温度分布8から明らかなように、基板3の温度検出素子形成面3bの温度は基板3の中央部が最も高い温度TH を示し、外周へ向かうほど温度が低下した温度勾配を持つ分布となる。ここで基板3の温度検出素子形成面3bの中央部には温接点検出素子HJ2a又は検出素子20aが配置され、外周部分には冷接点検出素子CJ2b又は検出素子20bが配置されているため、温度分布8における中央の最も高い温度TH が例えば温接点である温接点検出素子HJ2a又は検出素子20aで検出され、それより低い外側の温度TC が冷接点検出素子CJ2b又は検出素子20bで検出される。
【0032】
そして、この中央部の温接点検出素子HJ2a又は検出素子20aと外周側の冷接点検出素子CJ2b又は検出素子20bとの検出温度の温度差(TH −TC )を算出し、この温度差に基づき差動式熱感知を行って火災を判断する。
【0033】
図3は、図1に示した本発明の火災感知器の取付状態の説明図であり、各部の寸法を示している。本発明の火災感知器はサイズが小さい場合には、光電式煙感知器等の他の火災感知器に取付けられて複合型火災感知器を構成し、サイズが大きい場合には、図3のように、直接天井面に取付けられる。
【0034】
図3において、図1の構造を持つ本発明の火災感知器10は、基板3と保護ケース4の形状で決まる直径Hを持っており、この直径Hは例えばH=1〜100mmの範囲の大きさとすることができる。天井面への設置を行う場合は、図3のように、取付カバー12に基板3側を外側に向けて装着され、取付カバー12をビス13により天井面11に固定する。
【0035】
このように火災感知器10の外形Hを1〜100mmとした場合、基板3の厚さtはt=0.01〜5mmとなる。また基板3の内側の温度検出素子形成面に図1(B)のように配置している中央部の温接点検出素子HJ2aと外周部の冷接点検出素子CJ2bとの間の径方向の間隔hは、差動式熱感知器について定められた国内の検定規格を満足しつつ、且つ非火災報を低減するように間隔hを決めると、h=1〜50mm程度を空けて配置すればよい。
【0036】
図4は本発明の火災感知器の直径Hを例えば10mm程度として既存の光電式煙感知器に装着して複合型火災感知器とした場合の説明図である。
【0037】
図4の既存の光電式煙感知器14は、ベース側の直径が約10cm程度であり、下部の煙流出口を備えた外カバーの先端部に本発明の火災感知器10を装着することができる。
【0038】
図5は図4の既存の光電式煙感知器14と本発明による火災感知器10を並べてその大きさを対比している。既存の例えば光電式煙感知器14に対し、本発明の火災感知器10は最終的に十分に小さく、光電式煙感知器14の構造を僅かに変えるだけで複合型火災感知器とすることができる。
【0039】
ここで図1の実施形態にあっては、基板3として厚さを均一にしたものを使用しているが、国内の検定規格を満足する図2(B)のような火災による熱を受けたときの基板3の温度傾斜の分布の最適化を図るためには、図2(A)に示す外部から入力した熱5が基板3内の熱流6となってヒートシンクとしての保護カバー4に流れる熱伝導特性を最適な状態に調整する必要がある。
【0040】
この基板3を流れる熱流6を調整するため、本発明の火災感知器にあっては基板3の厚み断面形状及びまたは材質、更には保護ケース4の構造及びまたは材質により、基板3からヒートシンクとしての保護ケースに流れる熱流量を最適化し、国内の検定規格を満足する差動式熱感知となる基板内面の温度勾配が得られるようにする。このための実施形態を説明すると次のようになる。
【0041】
図6は本発明の第2実施形態であり、この実施形態にあっては基板3の外側中央部に円筒状の溝15aを加工形成し、内側に温接点検出素子HJ2aを配置している。基板3の中央部の厚さを薄くし、外部から熱を受けた場合の中央部の温接点検出素子HJ2aのみの温度上昇が素早くできるようにしたことを特徴とする。
【0042】
図7は本発明の第3実施形態であり、この第3実施形態にあっては図6と同様、基板3の外側の中央部に円筒状の溝15bを加工形成しているが、図6に対し溝15bを更に大きくし、基板3の内側の中央部及び外周部についても基板3の厚みを薄くしたことを特徴とする。
【0043】
この図7の第3実施形態は、温度検出素子が形成される部分の基板3の厚さを薄くしたものであり、温接点検出素子HJ2a及び冷接点検出素子CJ2bの両方の温度上昇が素早くなり、感知器としての応答速度が早くなる特徴がある。
【0044】
図8は本発明の第4実施形態であり、中央部の温接点検出素子HJ2aと外周部の冷接点検出素子CJ2bの間となる基板3の外側にリング溝16aを形成し、その間を薄くしている。
【0045】
このリング溝16aの形成によって中央部から外周部に対する熱伝導が制限されるため、図2(B)の温度分布8は、図1の場合に比べて中央の温度TH がより高い温度となる。
【0046】
図9は本発明の第5実施形態であり、この実施形態は外周側の冷接点検出素子CJ2bの外側となる基板3の部分にリング溝16bを形成して薄くしている。このため、図8と同様に、図2(B)の中央の温度TH がより高い温度となると同時に、リング溝16bにより薄くなった分、外周側の冷接点検出素子CJ2bの温度上昇が素早くなるために、大きな温度差を確保しながら、非火災報を低減できる特徴をもつ。
【0047】
図10は本発明の第6実施形態であり、基板3の内側に設けている冷接点検出素子CJ2bの外に位置して基板3の外側にリング溝16cを加工形成している。このリング溝16cの形成によって冷接点検出素子CJ2bから外側のヒートシンクとして機能する保護カバー4側への熱の流れが制限され、中央部の温接点検出素子HJ2aと外周側の冷接点検出素子CJ2bによる温度勾配と熱応答速度を変化させることができる。
【0048】
図11は本発明の第7実施形態であり、この実施形態にあってはヒートシンクとして機能する保護カバー4側の構造を変えたことを特徴とする。この実施形態にあっては保護カバー4の基板3との接合面4aの上にリング状の溝17を形成し、基板3から保護カバー4に流れる熱流量を制限するようにしている。
【0049】
このように基板3から保護カバー4に流れ込む熱流量を肉厚を薄くして制限することで、熱時定数を実質的に大きくすることができる。また基板3からヒートシンクとして機能する保護カバー4への熱の流れを最適化するための調整は、上記の実施形態に限定されず、必要に応じて適宜の形状、構造、部材の材質などを組合わせることにより行う。
【0050】
図12は本発明の火災感知器の基板3の内側に形成する温度検出素子の他の実施形態であり、金属抵抗体として白金を使用した場合を例にとっている。
【0051】
図12において、基板3の内側となる温度検出素子形成面3b上の保護ケース4の接合面4aで囲まれる密閉空間1に位置する温度検出素子形成面には、中央に白金抵抗体による検出素子20aを形成し、その外側の所定距離離れた位置に他の白金抵抗体による検出素子20bを形成し、それぞれリード20cで引き出している。
【0052】
ここで図1(B)のサーミスタを使用した場合と同様、中央の白金抵抗体の検出素子20aに対し外側の白金抵抗体の検出素子20bを円形に形成することで、感度の方向依存性をなくしている。また本発明におけるサーミスタ、金属抵抗体、サーモパイル(熱電堆)などによる温度検出素子の基板上の形成には、スパッタ法、蒸着法、CVD法などによる成膜形成も含む。
【0053】
図13は、本発明の火災感知器の基板3の内側にマイクロヒーター21を配置した実施形態である。マイクロヒーター21を発熱させることにより、擬似的に火災が発生したと同じ温度差を基板3内に生じさせ、火災感知器としての性能確認を行うことができる。特別な感知器試験機を使用する必要がなく、遠隔からの自動試験が可能となる特徴をもつ。マイクロヒーター31の材料としてはPt等があり、スパッタ法や蒸着法などにより形成する。但し、これ以外の材質、成膜手法によりマイクロヒーター21を形成しても良い。
【0054】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、基板と保護カバーの構造によって、基板外部からの火災による熱の入力に対し、基板内側周辺に配置したヒートシンクとしての保護カバーに向って熱が流れ、基板の中央で温度が高く基板外周に向かって温度が低くなる温度勾配を持った温度分布を作り出し、この温度勾配を基板内側中央部とその周囲に設けた少なくとも1組の温度検出素子により検出して、温度差から差動式熱感知による火災検出を行うことで、差動式熱感知を構造的に実現する火災感知器を得ることができる。
【0056】
またヒートシンクとして機能する保護カバーにより基板内側の温度検出素子を配置する部分が密閉され、温度検出素子を外気から遮断することで高い耐腐食性と耐久性が得られる。
【0057】
また基板に対する保護カバーの熱的接触形状及び温度検出素子の中央部と周辺部の配置をほぼ円形状とすることで、火災検出における感度の方向依存性をなくすことができる。
【0058】
また基板の厚み、断面形状、材質、あるいは保護カバーの構造や材質によって、火災による熱を受けた際の基板からヒートシンクとしての保護カバーに流れる熱流量を最適化することができ、これによって国内の差動式熱感知器に要求されている検定規格を満足する最適な差動式熱感知器としての性能を構造的に実現することができる。
【0059】
更に本発明の火災感知器は、コインサイズもしくはボタンサイズ程度に容易に小型化できるため、既存の光電式煙感知器や定温式火災感知器のカバー部分に簡単に組み付けることができ、これによって複合型火災感知器を容易に実現することができる。
【0060】
更に、基板の内側にマイクロヒーターを設置することにより、火災感知器としての性能確認を遠隔からの自動試験によって行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施形態の説明図
【図2】本発明の検出原理の説明図
【図3】本発明の取付構造と各部寸法の説明図
【図4】本発明の火災感知器を既存の光電式煙感知器に組込んで複合型とした説明図
【図5】図5における本発明の火災感知器と既存の光電式煙感知器を対比した説明図
【図6】基板中央に溝を形成して薄くした本発明の第2実施形態の説明図
【図7】基板中央に大きく溝を形成して薄くした本発明の第3実施形態の説明図
【図8】中央部と周辺部の温度検出素子の間を薄くするリング溝を形成した本発明の第4実施形態の説明図
【図9】周辺部の温度検出素子の部分を薄くするリング溝を形成した本発明の第5実施形態の説明図
【図10】温度検出素子配置位置の外側を薄くするリング溝を形成した本発明の第6実施形態の説明図
【図11】保護カバーの内側に溝を形成した本発明の第7実施形態の説明図
【図12】温度検出素子として白金抵抗体を基板に形成した本発明の説明図
【図13】基板内にマイクロヒーターを配置した本発明の実施形態の説明図
【符号の説明】
1:密閉空間
2:温度検出素子
HJ2a:温接点検出素子
CJ2b:冷接点検出素子
2c:リード部
3:基板
3a:感熱面
3b:温度検出素子形成面
4:保護カバー
4a:接続面
5:熱
6:熱流
7:定常時の温度分布
8:火災時の温度分布
10:火災感知器
11:天井面
12:取付部材
13:ビス
14:光電式煙感知器
15a,15b:溝
16a〜16c:リング溝
20a,20b:白金抵抗体(金属抵抗体)の検出素子
21:マイクロヒーター

Claims (7)

  1. 外側を熱気流を受ける感熱面とし内側を温度検出素子形成面とした基板と、
    前記基板内側に密封空間を形成すると共に、基板内側の外周部に熱的に接触し、熱気流を受けた際に基板内面の中央部の温度が高く周囲に行くほど温度が低下する温度勾配を作り出すヒートシンクとして機能する保護ケースと、
    前記密閉空間に位置する前記基板内面の中央部と周辺部に配置され、前記温度勾配による高温部と低温部の温度を検出する少なくとも一組の温度検出素子と、を備え、前記少なくとも一組の温度検出素子の検出信号から温度差を検出して差動式熱感知を行うことを特徴とする火災感知器。
  2. 請求項1記載の火災感知器に於いて、前記保護ケースは前記基板よりも熱容量が大きく、火災発生時の保護ケースの温度変化は基板の温度変化よりも遅れを生じさせる構造及び又は材質であることを特徴とする火災感知器。
  3. 請求項1記載の火災感知器に於いて、前記基板に対する保護カバーの熱的接触部分および複数組の温度検出素子の中央部と周辺部との配置を略円形状または熱的関係が対称となるように配置して感度の方向依存性をなくしたことを特徴とする火災感知器。
  4. 請求項1記載の火災感知器に於いて、前記基板の厚み、断面形状及び又は材質、と、前記保護ケースの構造及び又は材質により、前記基板から保護ケースへ流れる熱量を最適化して前記温度検出素子による差動式熱感知に最適な基板内面の温度勾配が得られるようにしたことを特徴とする火災感知器。
  5. 請求項1記載の火災感知器に於いて、前記温度検出素子は、サーミスタ、熱電堆または金属抵抗体であることを特徴とする火災感知器。
  6. 請求項1記載の火災感知器に於いて、前記基板、保護ケース及び温度検出素子により差動式熱感知器を構成し、他の検出構造をもつ火災感知器に組込んで複合型火災感知器としたことを特徴とする火災感知器。
  7. 請求項1記載の火災感知器に於いて、更に、温度検出素子の近傍の基板内側にマイクロヒーターを設け、火災感知器自体の性能の自動試験機能を有することを特徴とする火火災感知器。
JP2000249389A 2000-08-21 2000-08-21 火災感知器 Expired - Fee Related JP3746666B2 (ja)

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