JP3746413B2 - 超音波探傷結果表示方法及び超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探傷結果表示方法及び超音波探傷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波探傷結果の表示技術に係り、特に、超音波ホログラフィ法による探傷結果の表示方法及び超音波探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波探傷結果を画像表示する方法には、従来からAスコープ法(Aスキャン図形)、Bスコープ法(Bスキャン図形)及びCスコープ法(Cスキャン図形)が用いられている。
ここで、Aスコープ法とは、時間軸上に反射波の強度を縦軸にとって表示する方法である。
【0003】
次に、Bスコープ法は、Aスコープ法による図形を輝度変調して線で表し、検査対象上における位置と音波伝播時間を直角座標(X、Z軸)に表示する方法で、探傷結果を被検査体の断面図として表現することができるものである。
そして、Cスコープ法は、探傷結果を被検査体の上から見た平面図(X、Y軸)の形式で表現するものである。
【0004】
ところで、これらBスコープ法やCスコープ法による探傷結果の表示は、本来3次元形状である被検査体の探傷結果を、ある平面上に射影した形の2次元表示にすぎず、従って、探傷結果の3次元的な表示を実現するためには、受信された超音波の強度だけでなく、超音波の位相情報に注目した探傷方法と表示方法が必要であり、この方法として、光学ホログラフィの原理を応用した、超音波ホログラフィ法が知られている。
【0005】
この光ホログラフィ法の原理は、レーザ光のような位相の揃った光を物体に照射し、物体により散乱された光の位相情報を、入射光と散乱光の干渉模様として得、これをフィルムに記録し、その後、そのフィルムに光を当てることで、再び散乱光の位相情報を再現するものである。
【0006】
ここで、一般に、ホログラムと呼ばれるのは、上記の干渉模様を記録したフィルムのことで、これには物体の3次元幾何情報が含まれており、このとき、物体からの反射波と干渉させる光(この例では入射波)を参照波と呼ぶ。
【0007】
そして、このホログラムに光を当て、干渉模様から物体の3次元幾何情報を再現する処理のことがホログラムの再生と呼ばれ、このときホログラム再生のためにホログラムに当てた光は再生参照波と呼ばれる。
【0008】
ここで、初期の超音波ホログラフィ法では、光学ホログラフィと同様、受信波と参照波を干渉させてホログラムを作成するようになっており、この方法を用いて探傷結果を表示することにより、3次元的な映像を得ることができる。
【0009】
しかし、この場合、参照波と干渉させるのに数μ秒から数10μ秒のパルス幅を持った超音波(sin波)が必要で、このためsin波送信のための発振器や電力増幅器が必要となるので、装置が大型化する。
【0010】
また、この場合には、時間的にかなり広がった送信波となるので、通常の鋭いパルス波を用いる場合と異なり、受信波の時間分解能が低下して、反射位置が異なっている波の弁別が難しくなり、探傷結果の測定精度が低下する。
【0011】
ところで、このような初期の超音波ホログラフィ法の問題点を解決する方法として、特開昭54−8584号公報では、ディジタル方式超音波ホログラフィ探傷方法について提案している。
【0012】
このディジタル方式超音波ホログラフィ探傷方法は、送信波にスパイク状のパルスを用い、参照波と干渉させるのではなく、受信波とクロックパルスとのコインシデンスによってホログラムを作成するようになっており、このため、装置の小型化や、受信波の時間分解能の向上が得られ、この結果、探傷結果の測定精度が向上されることになる。
【0013】
また、特開平11−295277号公報では、パルスに代えて、超音波の受信時間から数値的に参照波との干渉波を計算し、ホログラムを作成する数値的ホログラフィ法について開示している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超音波探傷結果表示技術には、上述した2次元、3次元の表現形式とは別に、さらに2つの問題がある。
まず、第一の問題は、超音波のモード変換によって探傷結果に誤認が生じてしまうことである。
【0015】
被検査体に送信された超音波にはモード変換が現れる。例えば、縦波の超音波を水中から鋼中に入射すると、鋼中では、縦波だけではなく、それがモード変換した横波の超音波も現れてしまう。
ここで、このモード変換は、使い方によつては有用で、例えば縦波では到達できない位置でも、モード変換した横波により探査することができる。
【0016】
ところが被検査体内部の傷などの反射源の数が1個であっても、モード変換が現れた場合、送信に使用した超音波モードによるエコーと、モード変換により生じたエコーの両方が探触子で受信され、あたかも複数個の反射源が存在するかの如きインジケーション(図形)が現れてしまう。
【0017】
このモード変換による問題は、上述したディジタル方式超音波ホログラフィ探傷方法や数値的ホログラフィ法によっても解決できない。
つまり、反射源から複数個のエコーが受信されてしまった場合、それらのエコーのうち、探傷に用いたモード(例えば、縦波)によるエコーと、モード変換により生じたモード(例えば、横波)によるエコーは識別できない。
【0018】
そのため、探傷結果に基づいた反射源の位置及び個数を正しく表示することができず、超音波探傷結果の診断に誤りを生じやすく、検査員は高度の熟練を要求されることになる。
【0019】
第二の問題は、超音波の受信時間の正確な測定が困難になってしまうことである。
この問題は、特に、被検査体に直接超音波探触子を接触させて検査する場合に顕著である。
ホログラムの作成には、超音波の正確な受信時間の測定が必須である。
【0020】
しかし、従来技術で使用されている超音波探触子は、被検査体内部の反射源の位置や形状、或いは超音波探触子と被検査体の音響的な特性の違いによって、被検査体内及び超音波探触子内での超音波伝播径路が複雑に変化し、受信時間の正確な測定が困難で、受信時間に誤差が含まれる虞れが生じ、ホログラフィによる欠陥映像の精度が本来得られるべき精度より低下する可能性があった。
【0021】
本発明の目的は、上記した従来の超音波ホログラフィ法の問題を克服し、複数のモードによる超音波の探傷結果から実際に存在する反射源だけが識別でき、実際に即した正しい探傷図形を高い精度の2次元又は3次元の像として表示することができるようにした信頼性の高い超音波探傷結果映像表示方法と超音波探傷装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、探触子から被検査体に所定モードの超音波を送信し、内部の傷等による反射源から反射されたエコーを受信し、前記エコーの受信時間から前記反射源の位置を求めて反射源図形を表示するため、前記探触子を走査しながら送受信を繰り返して送受信位置毎に前記エコーの受信時間を含む探傷データを収集し、1ライン走査の探傷データからBスコープ図形データを作成し、前記Bスコープ図形を再生領域とすると共に、前記探傷データに対して前記被検査体の中を伝播する縦波又は横波の何れかの指定モードの超音波の音速をV、探傷に使用する超音波の周波数をfとしたとき、k=n×2π×f/V ( nは自然数 ) 決まる波数kの参照波を数値的に干渉させて指定モードの超音波の音速毎のホログラムを作成し、これら音速毎のホログラム像を前記再生領域に再生し、再生した像を画面表示する方式の超音波探傷結果表示方法において、前記探触子から発射すべき超音波が、当該探触子が前記被検査体の表面に接触する部分に一旦焦点を結び、この焦点が点状超音波源となって前記被検査体の表面を移動し、前記探触子の焦点位置を基準として、前記受信時間を含む探傷データが収集されるように、前記探触子が構成され、前記指定モードの超音波の音速が、縦波と横波、及び縦波と横波の平均値のそれぞれについて設定され、各音速による再生像が重畳表示されるようにして達成される。
【0023】
このとき、画面表示は2次元又は3次元による。また、前記探傷データに前記エコーの信号強度を含んでもよい。
これによれば、各エコーの実際の音速と、指定モードの超音波によるホログラム再生の音速が一致する場合にのみ、ホログラム参照波の位相が揃ってホログラム再生像が結像され、音速が不一致の場合は再生像が得られないため、本来反射源のない位置にあらわれる反射源のインジケーションが自動的に消去され、実際に存在する反射源の映像が正しい位置に表示される。
【0024】
また、このとき、前記所定モードの超音波は通常は縦波で、入射縦波のモード変換による横波も用いられる。
更に前記探触子の有する焦点を受信時間の基準とし、探触子の有する焦点位置を被検査体の表面に設定する。
これにより、反射源による反射波の受信時間を、反射源の位置や形状によらず常に正確に測定でき、精度の高いホログラフィ及び再生像が得られる。
【0025】
一方、前記指定モードの超音波音速は縦波および/または横波の値を設定し、或いは前記指定モードの超音波の音速は縦波、横波の他に、縦波と横波の平均値を設定し、複数の指定モードによる再生像は重畳表示される。
この場合、同一の反射源からの再生像は一致または近接する。
【0026】
また、上記目的は、被検査体に所定モードの超音波を送信し内部の傷等による反射源から反射されたエコーを受信する探触子と、前記探触子を前記被検査体上の所定の走査経路に従って走査する探触子移動機構部と、前記エコーの受信時間から前記反射源の位置を求めて反射源の図形データを作成する探傷図形表示処理部と、作成された図形データを画面表示する表示装置を備えた超音波探傷装置において、前記探触子は、当該探触子から発射すべき超音波が、当該探触子が前記被検査体の表面に接触する部分に一旦焦点を結び、この焦点が点状超音波源となって前記被検査体の表面を移動するように構成され、前記探傷図形表示処理部は、前記探触子移動機構部で走査される前記探触子から送受信位置毎に前記エコーの受信時間を含む探傷データを収集し、1ライン走査の探傷データからBスコープ図形データを作成し、前記Bスコープ図形を再生領域とし、指定モードの超音波の音速毎に超音波ホログラフィ法によるホログラム像の再生を行い、再生した像を2次元又は3次元で画面表示するように構成され、前記表示装置は、前記指定モードの超音波音速が複数指定され、各音速による再生像が一致或いは近接した場合、一致或いは近接した再生像同士を、一致しない再生像とは異なる色を用いて表示するようにして達成される。
【0027】
このとき、前記探触子の有する焦点を基準として受信時間を測定する手段、地塁は焦点位置を被検査体の表面に設定する手段を設けてもよく、これにより、反射源から反射された反射波の受信時間を、常に正確に測定でき、精度の高いホログラム及び再生像を得ることができる。
【0028】
また、前記表示装置は、前記指定モードの超音波の被検査体中の音速を任意に選択するための入力画面を具備し、表示する再生像を任意に、かつ1から複数、選択できるようにしている。
【0029】
更に、前記指定モードの超音波音速が複数指定される場合、前記表示装置は、各音速による再生像が一致あるいは近接した場合に、一致した再生像同士を、一致しない再生像とは異なる色を用いて表示する。
或いは、各音速による再生像が、一致あるいは近接した場合にのみ、その再生像を表示することを特徴とする。
【0030】
これにより、本来反射源のない位置に現れる反射源のインジケーションと、実際に反射源のある位置に現れる反射源のインジケーションが明確に区別され、反射源の映像を位置精度よく表示させることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
ここで、始めに本発明による超音波探傷結果の映像表示方法について、図1を参照して概略的に説明する。
本発明では、まず、図1(a)に示すように、被検査体102の探傷を行う探触子(プローブ)として、超音波振動子の振動面107から発射された超音波が、当該探触子101が被検査体102の表面に接触する部分に焦点106を結ぶように構成した探触子101を用いる。
【0032】
この結果、探触子101を被検査体102の表面に接触させたとき、焦点106を点音源とする超音波のパルスが、被検査体102の表面から内部に斜めに入射されることになる。
【0033】
そうすると、被検査体102の内部に傷などの欠陥部があったときには、これを反射源3として縦波104及び横波105の反射波(エコー)が現れ、これらの反射波によるエコー信号が探触子101で受信される。
【0034】
そして、この探傷結果から、時間tを横軸にして、信号強度である振幅Aを縦軸にして表示すると、図1(b)に示すように、超音波の送信パルス108に対して、被検査体102の表面エコー109と底面エコー112、及び反射源103からの縦波エコー110と横波エコー111が表示されているAスコープ図形が得られる。
【0035】
ここで、表面エコー109は、振動面107から焦点106までの伝播時間により現れるものであり、従って、例えば縦波エコー110の伝播時間113は、図示のように、表面エコー109との時間差から求めることができる。このとき反射源103で縦波からモード変換した横波エコーが現れ、これが受信された場合は、これが縦波エコー110と横波エコー111の間に表示される。
【0036】
次に、図1(c)に示すように、各点のエコー信号のデータに、例えばcos関数の参照波を数値的に干渉させ、一致と不一致を記録することによりホログラムを作成する。
すなわち、まず、エコー信号の受信時間から、図に線分118、119で示してある片道伝播距離(Zij)を求める。
【0037】
次に、この片道伝播距離(Zij)を基にして、処理開始位置116から処理終了位置117で定められる探傷領域の間の各送受信位置(xi、yj)において、数値的に参照波と干渉させたホログラムH(xi、yj)を1ライン(1次元)にわたって集積するのである。
【0038】
この結果、縦波のホログラム再生領域114と横波のホログラム再生領域115に対応して、縦波のホログラム120と横波のホログラム121が得られることになる。
【0039】
そこで、図1(d)に示すように、これらのホログラム120、121から、指定モードの音速毎に、再生領域に像を再生する。この結果、例えば指定モードが縦波の再生像122と横波の再生像123が表示される。
このとき、反射源103で縦波から横波にモード変換した反射波によるエコーの再生像124は、指定モードの選択外となって消去される。
【0040】
このように、本発明によれば、超音波のモード変換等による実際のエコーの音速と一致しない虚像は消去され、実際の探傷に作用した縦波及び/又は横波のエコーによる再生像が正しい位置に再現でき、同一反射源であれば、同一又は近似位置に表示されるので、反射源の数や位置の誤認が防止できる。
【0041】
そして、このとき、本発明では、探触子101が超音波の焦点106を結び、これが点状の超音波源となるので、超音波探触子内での超音波伝播径路が複雑に変化する虞れが無く、常に高精度の探傷結果が容易に得られることになる。
【0042】
次に、以下、本発明について、複数の実施の形態により、更に具体的に説明する。
ここで、以下の説明では、Bスコープ図形データから本発明に従った超音波ホログラフィ法により補正された図形を表示するようにした場合の実施形態により説明を進めることにする。なお、このBスコープ図形とは、既に図1(a)に示した通り、検査対象上における位置と片道音波伝播距離を直角座標に表示させたものである。
【0043】
<実施形態1>
図2は、本発明による超音波探傷システムの機能ブロック図で、このシステムは、探傷機構部100と、探傷図形表示処理部200に大別される。
そして、まず探傷機構部100は、焦点106を有する探触子101と探触子移動機構211それに超音波探傷器212で構成されている。
【0044】
次に、探傷図形表示処理部200は、超音波ホログラフィ法による図形表示を行うもので、このため、画像表示装置201と画像表示データ演算装置202、記憶媒体203、制御装置204、ピーク検出処理演算部205、データ記憶部206、探傷データメモリ207、A/D変換器208、それに受信器209で構成されている。
【0045】
探触子101は、探触子移動機構211により、被検査体102の表面に予め設定してある所定の走査径路に沿ってXY平面上を走査する。
このとき探触子101は、図示ように、超音波が一旦、探触子101が被検査体102の表面に接触する部分に焦点106を結び、この焦点106が点状超音波源として被検査体102の表面を移動するようになっている。
【0046】
このように、超音波が焦点106を結ぶようにした探触子101について、図4により説明する。
まず、図4(a)は、PZTなどの圧電素子401で発生した超音波を、サファイアなどで作られた音響レンズ402により屈折させ、超音波の焦点106が作り出されるように構成した探触子101の例である。なお、音響レンズまわりの伝達物質として、例えば音速の異なる石英ガラスなどを用いる。
【0047】
次に、図4(b)は、PZTなどからなる小型の圧電素子を複数個、空間的に曲線を描いた状態に配列した圧電素子列501を用い、これディレイ回路502により、それぞれの圧電素子に電気的に位相がずれた信号を与えることにより、焦点106が作り出されるように構成した探触子101の一例である。なお、探触子101内の伝達物質として、例えばアクリルなどの樹脂を用いる。
ここで、この実施形態では、何れの探触子101を用いてもよい。
【0048】
図2に戻り、超音波探傷器212は、被検査体102の材質、或いは映像化したい反射源103の大きさに対応して適切な周波数を選定し、パルス信号を発生して探触子101を励振し、超音波を発生させる。
このときの周波数としては、例えば、被検査体102がステンレス鋼、映像化したい反射源103の大きさが数mm程度であった場合には、5MHzの周波数が選定される。
【0049】
制御装置204は、入力装置208からデータ記憶部206に入力された探傷条件、例えば探傷開始位置、探傷終了位置、探触子移動ピッチ、走査径路等のデータに従って探触子移動機構211を制御し、探触子101を走査するもので、このため、探触子移動機構211は、例えばステッピングモータを駆動源に用いて構成されている。
また、この制御装置204は、探触子101を移動させながら、探触子位置をデータ記憶部206に供給して記憶させる処理も行う。
【0050】
探触子101から発射される超音波は、焦点106から被検査体102の中に入射され、内部を伝播した後、反射或は透過した成分が探触子101でエコー信号として受信され、電気信号に変換される。
この電気信号は受信器209を介してA/D変換器208でディジタル信号に変換され、送受信時間及び波高値などを表わすデータとして探傷データメモリ207に記憶される。
【0051】
このとき、A/D変換器208によるサンプリング周波数及びサンプリング点数は、使用されている超音波の周波数及び被検査体内の伝播音速に対応して適切な値に選択される。
例えば、上記したように、周波数が5MHzで被検査体102がステンレス鋼の場合は、サンプリング周波数は25Mzから100MHzにし、サンプリング点数は1024点から4096点にする。
【0052】
こうしてA/D変換器208によりディジタル化された超音波信号は、探傷データメモリ207に一旦、格納された後、ピーク検出処理演算部205により、所定の時間領域(被検査体102の表面と底面の間の時間差領域)で、振幅がしきい値(閾値)以上を示す受信波形のピークを検出し、波形毎に受信時間を求め、被検査体102の表面からの受信時間と波形毎の受信時間の差から、画像表示処理におけるホログラム作成に必須な伝播時間データ2063を求め、画像表示データ演算装置202に送る。
【0053】
ここで探傷条件や画像表示処理に用いるパラメータは、入力装置208によってデータ記憶部206に設定されるが、このときのパラメータには、後述する画像表示処理の特徴的処理に必須な音速データ2061と、再生像の解像度を調整するための波数kの倍数n2062も含まれる。
【0054】
また、このデータ記憶部206には、制御装置204から送られてくる探触子位置(x、y)と超音波の送信時間T0 も記憶され、これらも画像表示データ演算装置202で使用され、これにより、画像表示データ演算装置202は、収集した探傷データを基に画像データの演算処理を行い、1ライン走査の探傷に対する画像データをBスコープで表示する。
【0055】
そして、画像表示データ演算装置202は、探触子101が探傷領域内の走査を実行している間、収集した探傷データの演算処理と探傷結果の表示を繰り返えし、1ライン分、又は全探傷領域の走査が終わった後、走査径路での探傷結果から超音波ホログラフィ法による画像データを作成し、2次元又は3次元図形による探傷結果の表示を行う。
【0056】
図3は、超音波探傷システムのハード構成の一例で、この例では、探傷図形表示処理部200は、計算機10、ディスプレイ装置11、計算機10の本体とバスで接続されたインターフェース装置12で構成されている。
【0057】
ここで、インターフェース装置12は、A/D変換器208でディジタル変換された超音波信号を演算装置202の演算部に受け渡し、探触子移動機構211を制御装置204により制御させ、更には探触子101の位置データを収録してデータ記憶部206に受け渡す働きをする。
【0058】
このとき、探傷図形表示処理部200に対する入力装置210としては、キーボード210Aとポインティングデバイス210Bが設けてあるが、図5は、このときのパラメータ入力画面の一例で、この画面によって探触子内部の音速(シュー内音速)や、被検査体や媒質の材質と音速が設定される。
【0059】
例えば、被検査体102がSUS304(JIS規格によるステンレス鋼の一種)の場合は、縦波音速VL=6000m/sで、横波音速VT=3000m/sが設定され、媒質が水の場合、その縦波音速VL=1500m/sが設定される。
そして、これらの媒質の音速と探触子内部の音速から、被検査体102内での縦波及び横波が屈折角で算出される。
【0060】
次に、この実施形態による超音波探傷システムのオンライン処理について、図6の概略フローにより説明する。
まず、処理S10で初期パラメータを読み込む。
ここで、探傷図形表示処理部200は、入力装置210から与えられる初期パラメータを取り込み、データ記憶部206に記憶する。
また、画像表示データ演算装置202は、ここで処理に用いるため、音速を含むパラメータをデータ記憶部206から読み込む。
【0061】
これにより、探触子101が探傷開始位置にセットされ、処理S20で、画像表示データ演算装置202によるオンライン処理が実行される。
【0062】
超音波探傷の初期設定に関するデータには、探傷に用いる超音波の周波数f、被検査体102の縦波及び横波音速V、探触子内部の音速(シュー内音速)V0 、A/D変換器208のサンプリング周波数fsample、X軸とY軸のそれぞれの探触子走査ピッチδx、δy、XY平面の探傷開始位置xs、ys、終了位置xe、yeなどが含まれる。
【0063】
このとき、ピーク検出処理演算部205は、信号強度がしきい値以上で、表面エコーから底面エコーの時間領域にあるピーク波形を検出する。
このときのピーク検出処理演算部205による検出波形は図8に示すようになっており、ここでは、図示のように、反射源103による縦波と横波の各反射波による受信信号を検出するようになっている。
ここで縦波ピークの受信時間はTij,1、横波ピークの受信時間はTij,2である。
【0064】
処理30では、画像表示データ演算装置202は、制御装置204が発行する探触子位置、本例では被検査体102表面(焦点)からの超音波エコーに対する受信時間、ピーク検出処理を経た超音波受信データの受信時間からなる探傷データを収集する。
そして処理S40では、サンプリング点、更には1ラインの画像データの演算処理(1)を行う。
【0065】
処理S50では、Bスコープ図形データの作成が行なわれ、これが画像データメモリ203に蓄積され、これと共に、画面表示装置201にBスコープ表示を行う。そして、この処理S50は、制御装置204から探傷終了が通知されるまで、つまり処理S60の判定により、探触子101が探傷終了位置に到達するまで繰り返される。
【0066】
このときの探傷結果に関するデータは、探触子位置信号Xi、Yi、被検体表面(焦点)からのエコーに対する受信時間TS、受信波形のうちでピーク検出処理演算部205により検出されたピーク波形の受信時間Tij,m、及び受信信号強度Iij,mを含む。ここで、受信時間TS は、図8に示すように、探触子101内で、その振動面107から被検査体表面(焦点106)までの超音波の伝播時間である。
【0067】
探傷が終了すると、画像表示データ演算装置202は、処理S70で画像データメモリ203からBスコープ図形データを取り出し、超音波ホログラフィ法による演算処理(2)を行い、S80で、ホログラフ再生像による反射源図形の2次元又は3次元表示を行って処理を終了するのである。
【0068】
図7は、図6の処理S40と処理S70での画像データ演算処理の詳細フローを示したもので、ここで、まず、S40の画像データ演算(1)として、被検査体の伝播速度を読み込む(S401)。
この実施形態では、この伝播速度は、縦波速度VLと横波速度VTの2種になっている。
次に、ピーク検出された探傷データから、Bスコープ図形データを作成して図形データメモリ203に記憶する(S402)。
【0069】
このときのBスコープ図形データは、A/D変換において何番目(i,j)のデータ点数で、ピーク検出においては何番目(m)のエコーになるかを示すインデックス(i,j,m)と、信号の送受信位置データ(xi,yi)、被検査体102の表面(焦点)からエコーまでの受信時間(TS)、及びピーク検出されたエコーの受信時間(Tij,m)を含む。
【0070】
次に、図9を参照して、Bスコープ図形の作成方法について説明する。
まず、(数1)により、探触子移動機構110から供給される探触子101の位置信号(Xij,Yij)と、X軸とY軸の移動ピッチ(δx、δy)から超音波送受信位置(xi、yj)を計算する。
【0071】
【数1】
Figure 0003746413
次に、(数2)により、被検査体102の表面(焦点)からエコーまでの受信時間TS と、受信時間Tij,1、Tij,2及びA/D変換器208のサンプリング周波数(fsample)から、送受信位置(xi,yj)における探触子101から反射源103までの片道伝播時間△tij,1、△tij,2を計算する。
【0072】
【数2】
Figure 0003746413
更に、(数3)により、片道伝播時間△tij,mと検査体102中の伝播速度Vにより、m番目のエコーに対する送受信位置(xi,yj)の表面から反射源103までの片道伝播距離Zij,mを計算し、Bスコープ図形の中の1点のデータを求める。
なお、m番目のエコーとは、ピーク検出処理演算部205によって選択される時間領域内に存在するエコーの順番である。
【0073】
【数3】
Figure 0003746413
ここで、受信されるエコーの数は、反射源の数や超音波の屈折角によって変わる。
そこで、まず、探傷に使用する超音波の縦波音速をVL、横波音速をVTとする。
そして、上記した点データを走査経路の1ライン(yj を一定として、xi のi=始点〜終点までのライン)について集積すると、図9に示すように、反射源103に対して縦波音速VLを用いた演算結果から図形901が表示され、横波音速VTの演算結果からは図形902が表示される。
【0074】
次に、図6における画像データ演算(2)の処理S70について、図7により、ホログラム再生領域の計算処理S701とホログラム作成処理S702、ホログラム再生演算処理S703、それに音速毎の画像表示データの作成処理S704の順で説明する。
ここでは、まず縦波音速VLで演算し、ついで横波速度VTにより演算処理する。
【0075】
まず図10は、ホログラム再生領域作成の説明図で、(数3)によって得たBスコープ図形データは、図のXZ座標における点の集合(図形901,902)として表現される。
そこで、この1点1点に対して、その点をX軸に射影した点を中心として、超音波の屈折角θに等しい角度で回転変換を行う。
【0076】
まず、超音波の屈折角θにより、Bスコープ図形901、902の各点を回転させ、(数4)により、XZ断面におけるホログラム再生領域114、115を演算する。
【0077】
【数4】
Figure 0003746413
さらに、走査軸Yの値yj を変え、各yに対してXZ断面におけるホログラム再生領域を作成する。
こうして演算したホログラム再生領域のデータは、図形データメモリ203に一時記憶される。
【0078】
次に図11は、ホログラム作成の説明図で、この実施形態では、パルス波を用いた超音波ホログラフィ法を採用している。
そして、この実施形態では、参照波に相当するものとして、例えばcos関数のような振動関数を用い、受信パルス波の受信時間をcos関数の引数とすることにより参照波と受信波を干渉させる効果を数値的に与え、ホログラムを作成するようになっている。
【0079】
このとき、ホログラムHは、(数5)の演算によって作成される。すなわち、受信時間に比例する量である片道伝播距離(Zij)を基に、処理開始位置116から処理終了位置117で定められる探傷領域の間の各送受信位置(xi,yj)において、数値的に参照波と干渉させたホログラムH(xi,yj)を、(数5)により演算するのである。
【0080】
【数5】
Figure 0003746413
この(数5)の演算では、数値的な干渉に用いる参照波(cos関数)の波数kとして、k=n×2πf/Vが用いられているが、ここで、Vは鋼中を伝播するモードの超音波音速、fは探傷に使用する超音波の周波数、nは自然数であり、n=1の場合、送信される超音波の周波数と計算上の参照波の周波数が同じになり、k=2π/λとなる。
【0081】
この分解能調整用の数値nは、ユーザにより入力装置210から入力され、データ記憶部206の波数倍数設定部2062に格納された上で、画像表示データ演算装置202が参照するようになっているが、この場合、nの値を大きくすることで、より高い周波数を持つ参照波との干渉を数値的に計算することができ、分解能を調整することができる。
【0082】
この(数5)から求まるホログラムH(xi,yj)は、送受信位置xi、yj における1点、1点の値であり、従って、これらの各点の値を集積することにより、1次元ホログラム120、121が再生される。
そして、このときのホログラムの再生方法は2通りあり、第1の方法は簡易な再生方法である。
【0083】
まず、この第1の簡易な方法について説明すると、この場合、1ライン走査の探傷の度に、1次元ホログラム120及び121を、XZ断面におけるホログラム再生領域114、115上で像を再生することになる。
このときの像の再生は、ホログラム上の全点から再生領域上の1点に対して、ホログラムによる重みを付けた平面波を加算(積分)することにより得られる。
【0084】
この操作を再生領域の全点に対して行うと、再生領域の中で、反射源に近い部分では、ホログラムからの平面波の位相が揃い、積分値が大きくなり再生像が結像する。
そこで、この再生像を2次元表示すると、図1(c)に示した画面が得られることになる。
【0085】
さらに、XZ断面での再生像をY軸方向に重ね合わせて、3次元的な再生像Gを作成すれば、3次元の表示も可能である。
この方法によれば、像再生に必要な計算時間及びメモリを大幅に削減できるので、探傷結果表示の簡易な方法として採用される。
【0086】
第2の再生方法は、より高精度な再生方法であり、この場合、図1(c)のXZ断面におけるホログラム再生領域(面)114、115及びホログラム120、121を、探傷が終了するまでデータ記憶部206に記憶し、探傷終了後に再生領域を2次元的に再構成し、XY平面上の探傷領域に割り付けられた2次元ホログラムを再生する。
この第2の方法によるホログラム再生のための計算式は、(数6)に示す通りになる。
【0087】
【数6】
Figure 0003746413
ここでも、第1の再生方法の場合と同様、ホログラム上の全点から、再生領域上の1点に対して、ホログラムHで重み付けた球面波を加算(積分)することになり、この操作を再生領域の全点に対して行う。但し、このとき積分領域は2次元になる。
【0088】
この場合、再生領域の中で反射源に近い部分では、ホログラムからの平面波の位相が揃うので積分値が大きくなり、従って再生像Gが結像される。
ここで、この(数6)の演算を計算機上で行うためには、離散化して数値積分したり、式を変形して高速フーリエ変換するなどの計算手法を用いればよい。
【0089】
このときホログラム再生計算に用いる再生参照波の波数kの値としては、ホログラム作成に用いる参照波に対して使用した波数kと同様の値を使用すれば良いが、k=n×2πf/Vとして、nの値を大きくすることで、より高い周波数を持つ参照波との干渉によるホログラムを数値的に再生計算できる。
【0090】
この第2の方法は、第1の再生方法と異なり、2次元的に再生処理を行うことになるため、必要な処理時間とメモリ容量は大きくなるが、より精度の高い再生像を得ることができる。
【0091】
このとき、縦波音速VLを用いたホログラム再生の演算結果では、反射源103に対し横波で入射して横波で反射した横波エコー或いは縦波で入射し横波で反射した横波エコーによる再生像124は消去され、反射源103に対し縦波で入射し縦波で反射した図形114の再生像122のみが結像される。
【0092】
また、横波音速VTを用いたホログラム再生の演算結で果は、縦波エコーによる図形114や反射時の横波変換による再生像は消去され、反射源103に対し横波で入射し、横波で反射した図形115に対する再生像123のみが得られることになる。
【0093】
これは、ホログラム作成処理で使用した伝播音速と再生処理で使用した伝播音速に違いがあると、実際の反射源が存在する位置付近で再生波の位相が揃わず、互いに打ち消し合う結果となるためである。
【0094】
この実施形態では、図7に示す処理S704の後、再生像のデータを表示データとして一旦、画像データメモリ203に記憶し、図6の処理S80で縦波及び横波の各再生像を重ね合わせて2次元又は3次元による画像の表示を行う。
【0095】
そして、2次元画像の重畳表示では、図1(d)に示すように、一致又は近接した再生像122、123についてだけ同じ色による表示とし、他の再生像と色で区別して画像表示装置201に出力するが、或いは、再生像が一致した場合のみ画像表示装置201に出力するようにしてもよい。
これにより、実際の反射源に対する映像を正確に表示することができ、傷の数や位置の誤認を少なくできる。
【0096】
次に、この実施形態において、再生像として表示させたい画像を選択するメニュー画面の一例について、図12に示す。
この実施形態では、この図12の入力画面により、縦波音速として処理した場合に得られる画像データの表示、横波音速として処理した場合に得られる画像データの表示、縦波から横波にモード変換した音速で処理した場合に得られる画像データの表示など各種の表示がユーザにより容易に且つ任意に選択することができる。ここで、複数入力の場合は重畳表示となる。
【0097】
次に、ホログラム再生像の計算結果を3次元的な映像として表示する方法について説明する。
この場合には、図7に示した処理S703に代えて、図13に示す処理S7031とS7032が実行されるように構成する。
予め所定のスレッシュホールドレベルHmin を設定しておき、図7のS702の後、(数6)で求めた再生像に対して、スレッシュホールドレベルHmin を越えたか否かを判定し(S7031)、越えた座標を再生像として採用する処理を実行する(S7032)のである。
【0098】
従って、以上に説明した実施形態1によれば、縦波音速によるホログラムと横波音速によるホログラムを作成し、再生するようにしたので、再生演算に用いた音速と異なる伝播速度によるインジケーションに対しては、ホログラム再生参照波の位相がそろわず、ホログラム再生像が結像しないようにできる。
このため、本来の反射源と異なった位置に現れてしまう反射源のインジケーション(虚像)は消去でき、実際の反射源のある位置に対応した反射源の映像(実像)だけが表示できる。
【0099】
また、縦波と横波で計算した各々の再生像を重ね合わせて表示するようにしているので、その重なりの程度から、実在する反射源を高い信頼性をもって確認することができる。
さらに、Bスコープデータを屈折角で回転補正してホログラム再生領域を求めているので、超音波の広がりの影響を低減し、位置精度よく反射源の映像を表示できる。
【0100】
また、この実施形態1では、ホログラムの作成に必須のデータである伝播時間△tij(被検査体表面と反射源の間の超音波の片道伝播時間)を計算する際、被検査体表面(焦点)からのエコーによる受信時間TS が(数2)により考慮されるようになっている。
ここで、この受信時間TS は、既に図8で説明したように、探触子101内の振動面107から被検査体表面(焦点106)までの超音波の伝播時間である。
【0101】
本発明では、探触子が被検査体表面に焦点を有する点が特徴であり、実施形態1でも焦点106を有しており、このため、被検査体102内での反射源103の位置によらず、探触子101から被検査体103に超音波が入射する位置が常に一定した位置、すなわち、焦点106になっている。
【0102】
従って、探触子101を直接、被検査体103に接触させることにより、探触子101の内部での超音波の経路の影響を受ける虞れは全く無く、この結果、被検査体表面からのエコーに対する受信時間TS と、時間領域内で受信される超音波の受信時間との差から正確な伝播時間を求めることができ、より高精度な映像を得ることができる。
【0103】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について説明する。
この実施形態2が、実施形態1と相違している点は、縦波から横波へのモード変換によるエコーが受信されるケースを考慮し、超音波ホログラフィ法に用いる音速Vとして、縦波音速、横波音速の外に、縦波と横波の平均音速を用いる点にある。
【0104】
図14は、この実施形態2の適用事例をイメージで示したもので、内部に反射源301を有している被検査体102の送受信位置に探触子101があり、これにより、縦波往復径路302によるエコーが受信される場合を同図14(a)に、縦波から横波へモード変換した径路303によるエコーが受信される場合を同図(b)に、そして、横波往復径路304によるエコーが受信される場合を同図(c)に示してある。
【0105】
図15は、この実施形態2におけるパラメータ入力画面で、ここでもSUS304が被検査体102で、音速として縦波音速、横波音速及び平均音速を用いるようになっており、このとき平均音速には、(数7)によって与えられる調和平均値Vave が用いられている。
【0106】
【数7】
Figure 0003746413
図16は、この実施形態2におけるAスコープ図形で、1番目の縦波エコーと3番目の横波エコーの間に、縦波からモード変換した横波による2番目のエコーが表われている点が、図8の場合と異なっている。
図17はBスコープ図形で、1番目、2番目及び3番目のエコーを、それぞれ1ライン分集積して得た3種の図形305、306、307が示されている。
【0107】
図18はホログラム再生領域を示す。
ここでは、Bスコープ図形の図形305〜307の各点を屈折角θだけ回転させ、再生領域308〜310を求めるようになっており、図18には、図形306に対する再生領域309のみを示している。
【0108】
次に、この実施形態2によるホログラム作成方法について、図19により説明すると、図示のように、送受信位置(xi,yj)における片道伝播距離Zij から、(数5)による演算を行い、処理開始位置から処理終了位置で定められる探傷領域に、ホログラム3101、3102及び3103を作成する。このとき、数値的な干渉に用いる参照波の波数k=n×2πf/Vを用いるが、このときの音速Vとして、縦波音速、横波音速、及び平均音速の3種を用いることになる。
【0109】
そして、(数5)による演算の後、(数6)によるホログラムの像再生に関する演算を実行するのであるが、このときも縦波音速、横波音速、及び平均音速の3種を用い、計算結果を映像として表示するのであるが、ここで、この映像として表示する方法は、実施形態1の場合と同じでよいので、説明は割愛する。
【0110】
実施形態2によれば、被検体中の縦波、横波、及び縦波と横波の平均音速の3種を用いてホログラムを作成し、再生するので、被検査体102の内部で縦波と横波のモード変換が生じている場合でも、本来反射源のない位置に現れる虚像のインジケーションを自動的に消去できる。
【0111】
また、被検査体に複数の反射源が存在し、かつ、被検査体102への超音波入射時のモード変換(例えば、縦波から横波)や、反射源からの反射時のモード変換(縦波から横波、横波から縦波)が発生する場合でも、この実施形態2のように縦波、横波、及び縦波と横波の平均音速の3種を用いてホログラムを作成し、再生するようにしてやれば、1個の反射源に対する各波音速の演算結果が同一乃至は近似位置を示すので、実際の反射源だけを正確に表示でき、信頼性の高い探傷が可能になる。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、Bスコープ表示データからホログラムを作成し再生する場合に、演算に用いる超音波音速を縦波または横波のモードに特定し、音速の一致する伝播経路のホログラムのみが像再生されるので、超音波のモード変換によって実在とは異なる位置に表われる虚像を消去でき、被検査体内部の傷の数と位置が正確に表示できる。
【0113】
また、演算に用いる超音波音速を縦波及び横波、さらには縦波と横波の平均音速として、各音速に対応した像再生が行われる場合、それらを重畳表示することで1つの反射源に対する複数の演算結果を反映することができ、より高信頼な探傷結果の図形表示を実現できる。
【0114】
また、超音波の受信時間を測定する際、探触子が超音波の焦点をもっているので、これを時間測定の基準にすることができ、被検査体内部の反射源の位置及び形状、あるいは探触子と被検査体の音響的な性質の違いの影響を受けず、常に正確な受信時間を測定することが可能となり、より精度の高いホログラム及び再生像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による超音波ホログラフィ法の処理イメージを示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態による超音波探傷システムを示すブロック図である。
【図3】超音波探傷システムの一例を示すハード構成図である。
【図4】本発明の一実施形態における超音波探触子の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態における音速データ入力画面の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態による超音波探傷システムの処理手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態による超音波探傷システムの処理手順を示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態によるAスコープ図形の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態によるBスコープ図形の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態によるホログラム再生領域の説明図である。
【図11】本発明の一実施形態によるホログラム作成の説明図である。
【図12】本発明の一実施形態における音速選択のメニュー画面の説明図である。
【図13】本発明の一実施形態によるホログラム再生計算結果から3次元画像データを作成する処理のフロー図である。
【図14】本発明の他の一実施形態による適用例の説明図である。
【図15】本発明の他の一実施形態における音速データ入力画面の説明図である。
【図16】本発明の他の一実施形態によるAスコープ図形の一例を示す説明図である。
【図17】本発明の他の一実施形態によるBスコープ図形の一例を示す説明図である。
【図18】本発明の他の一実施形態によるホログラム再生領域の説明図である。
【図19】本発明の他の一実施形態によるホログラム作成の説明図である。
【符号の説明】
10 計算機
11 ディスプレイ装置
12 インターフェース装置
101 探触子(超音波探触子)
102 被検査体
103 反射源
105 反射径路
106 焦点
107 振動面
108 送信パルス
109 表面(焦点)からのエコー
110 反射源からのエコー(縦波)
111 反射源からのエコー(横波)
112 底面からのエコー
113 伝播時間
114 ホログラム再生領域(縦波)
115 ホログラム再生領域(横波)
116 探傷開始位置
117 探傷終了位置
120 ホログラム(縦波)
121 ホログラム(横波)
122 再生像(縦波による縦波再生像)
123 再生像(横波による横波再生像)
124 再生像(縦波による横波再生像)
200 探傷図形表示処理部
201 画像表示装置
202 画像表示データ演算装置
203 画像データメモリ
204 制御装置
205 ピーク演算装置
206 データ記憶部
207 探傷データメモリ
208 A/D変換器
209 受信器
211 探触子移動機構
212 超音波探傷器
401 圧電素子
402 音響レンズ
501 圧電素子列
502 ディレイ回路

Claims (3)

  1. 探触子から被検査体に所定モードの超音波を送信し、内部の傷等による反射源から反射されたエコーを受信し、前記エコーの受信時間から前記反射源の位置を求めて反射源図形を表示するため、前記探触子を走査しながら送受信を繰り返して送受信位置毎に前記エコーの受信時間を含む探傷データを収集し、1ライン走査の探傷データからBスコープ図形データを作成し、前記Bスコープ図形を再生領域とすると共に、前記探傷データに対して前記被検査体の中を伝播する縦波又は横波の何れかの指定モードの超音波の音速をV、探傷に使用する超音波の周波数をfとしたとき、
    k=n×2π×f/V ( nは自然数 )
    決まる波数kの参照波を数値的に干渉させて指定モードの超音波の音速毎のホログラムを作成し、これら音速毎のホログラム像を前記再生領域に再生し、再生した像を画面表示する方式の超音波探傷結果表示方法において、
    前記探触子から発射すべき超音波が、当該探触子が前記被検査体の表面に接触する部分に一旦焦点を結び、この焦点が点状超音波源となって前記被検査体の表面を移動し、前記探触子の焦点位置を基準として、前記受信時間を含む探傷データが収集されるように、前記探触子が構成され、
    前記指定モードの超音波の音速が、縦波と横波、及び縦波と横波の平均値のそれぞれについて設定され、各音速による再生像が重畳表示されることを特徴とする超音波探傷結果表示方法。
  2. 被検査体に所定モードの超音波を送信し内部の傷等による反射源から反射されたエコーを受信する探触子と、前記探触子を前記被検査体上の所定の走査経路に従って走査する探触子移動機構部と、前記エコーの受信時間から前記反射源の位置を求めて反射源の図形データを作成する探傷図形表示処理部と、作成された図形データを画面表示する表示装置を備えた超音波探傷装置において、
    前記探触子は、当該探触子から発射すべき超音波が、当該探触子が前記被検査体の表面に接触する部分に一旦焦点を結び、この焦点が点状超音波源となって前記被検査体の表面を移動するように構成され、
    前記探傷図形表示処理部は、前記探触子移動機構部で走査される前記探触子から送受信位置毎に前記エコーの受信時間を含む探傷データを収集し、1ライン走査の探傷データからBスコープ図形データを作成し、前記Bスコープ図形を再生領域とし、指定モードの超音波の音速毎に超音波ホログラフィ法によるホログラム像の再生を行い、再生した像を2次元又は3次元で画面表示するように構成され、
    前記表示装置は、前記指定モードの超音波音速が複数指定され、各音速による再生像が一致或いは近接した場合、一致或いは近接した再生像同士を、一致しない再生像とは異なる色を用いて表示するように構成されていることを特徴とする超音波探傷装置。
  3. 被検査体に所定モードの超音波を送信し内部の傷等による反射源から反射されたエコーを受信する探触子と、前記探触子を前記被検査体上の所定の走査経路に従って走査する探触子移動機構部と、前記エコーの受信時間から前記反射源の位置を求めて反射源の図形データを作成する探傷図形表示処理部と、作成された図形データを画面表示する表示装置を備えた超音波探傷装置において、
    前記探触子は、当該探触子から発射すべき超音波が、当該探触子が前記被検査体の表面に接触する部分に一旦焦点を結び、この焦点が点状超音波源となって前記被検査体の表面を移動するように構成され、
    前記探傷図形表示処理部は、前記探触子移動機構部で走査される前記探触子から送受信位置毎に前記エコーの受信時間を含む探傷データを収集し、1ライン走査の探傷データからBスコープ図形データを作成し、前記Bスコープ図形を再生領域とし、指定モードの超音波の音速毎に超音波ホログラフィ法によるホログラム像の再生を行い、再生した像を2次元又は3次元で画面表示するように構成され、
    前記表示装置は、前記指定モードの超音波音速が複数指定され、各音速による再生像が一致或いは近接した場合にだけ、その再生像を表示するように構成されていることを特徴とする超音波探傷装置。
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