JP3746317B2 - ボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インキ筒の末端が開放されているボ−ルペンにおいては、単にインキのみを充填しただけではペン先を上向きまたは横向きにして放置するとインキが逆流して漏れてしまったり、少しの衝撃でもインキが飛散して衣服を汚したり、インキが蒸発してなくなってしまう恐れがある。これらの問題を解決するために、インキ筒末端部にインキと連続させてインキ逆流防止剤またはインキ追従体と呼ばれる組成物が充填されている。
【0003】
このようなボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物に求められる性能としては、インキとの相溶性がないことの他、次の項目に挙げられる性能も求めらる。
(1) 高温性能
輸送中などにおける80℃程度の雰囲気においても基油とゲル化剤が分離しないこと、およびインキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動またはインキ筒外に流出しないこと。
(2) 追従性
筆記によるインキの消耗に伴いインキが減少した場合において、インキの末端に充填されているインキ逆流防止剤組成物もインキの減少に追従して移動すること。
(3) 耐衝撃性
ボ−ルペンが落下した場合等の衝撃が加わっても、インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動したり、インキ筒外へ流出しないこと。
【0004】
従来インキ逆流防止剤組成物としては種々の組成物が開示されているが、近年において、インキの組成およびインキ筒の形状は多岐にわたり、上記の必要性能全てを満足させる組成物はなく、その改善が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、優れた高温性能、追従性および耐衝撃性を兼ね備えたボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明に係るボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物は次のように構成したことを特徴とする。すなわち、25℃で100〜10000cStの動粘度を有するジメチルシリコ−ン油1種または2種以上の混合物からなる基油85〜98.9質量%と、親水性超微粒子シリカ1〜10質量%と、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル0.1〜5質量%とからなることを特徴とし、具体的には、親水性超微粒子シリカのBET比表面積が185m2 /g以上であることを特徴とし、更に具体的には、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルの平均分子量が5,000〜16,000であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のインキ逆流防止剤組成物に使用できるジメチルシリコ−ン油の動粘度は25℃で100〜10000cSt、好ましくは1000〜6000cStであり、その混合率はインキ逆流防止剤組成物に対し85〜98.9質量%である。動粘度が100cStより低い場合はジメチルシリコ−ン油が親水性超微粒子シリカと分離しインキと混合しやすく、動粘度が10000cStより高い場合はインキへの追従性が悪い。
【0008】
本発明に用いる親水性超微粒子シリカはBET法による比表面積が185m2 /g以上のものであり、その混合率はインキ逆流防止剤組成物に対し1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%である。親水性超微粒子シリカのBET法による比表面積が185m2 /gより小さい場合は組成物中においてジメチルシリコ−ン油と分離しやすい。親水性超微粒子シリカの混合量が1質量%より少ない場合はインキ逆流防止剤組成物がインキ筒より流出しやすく、10質量%より多い場合はインキへの追従性が悪い。疎水性超微粒子シリカを使用すると組成物中においてジメチルシリコ−ン油と疎水性超微粒子シリカとが分離しやすく、また、インキへの追従性も悪い。
【0009】
本発明に用いるポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルはゲル構造安定剤として重要であり、その平均分子量は5000〜16000であり、その混合率はインキ逆流防止剤組成物に対し0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜1質量%である。ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルが0.1質量%より少ない場合はゲル構造安定剤として効果がなく、ジメチルシリコ−ン油と親水性超微粒子シリカとが分離しやすくなる。特に水性ボ−ルペンに使用した場合において、このポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルが0.1質量%より少ないとジメチルシリコ−ン油と親水性超微粒子シリカとが分離するばかりでなく、分離した親水性超微粒子シリカが水性インキと混合してしまう。すなわち、単にジメチルシリコ−ン油を親水性超微粒子シリカでゲル化したのみでは所望の高温性能は得られず、このポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルが本発明には特に重要である。
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルが5質量%より多い場合はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル自体がボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物から分離しやすい。
また、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルの分子量が5000より小さい場合はゲル構造安定剤としての効果がなく、分子量が16000より大きい場合は経済的価格で入手困難であるばかりでなく、かなり粘稠状であるためインキ逆流防止剤組成物に混合しにくいので不適当である。
また、本発明のボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物は必要に応じて酸化防止剤、防錆剤等の添加剤を添加することができる。
【0010】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。
表1および表2に実施例の配合割合および性状を示し、表3および表4に比較例の配合割合および性状を示す。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
実施例および比較例に用いられた各種薬品(原料)は次に示される市販品を用いた。
ジメチルシリコ−ン油(1)25 ℃ 100cSt 商品名 KF96-100 信越化学工業製
ジメチルシリコ−ン油(2)25 ℃ 1000cSt 商品名 KF96-1000 同上
ジメチルシリコ−ン油(3)25 ℃ 3000cSt 商品名 KF96-3000 同上
ジメチルシリコ−ン油(4)25 ℃ 6000cSt 商品名 KF96H-6000 同上
ジメチルシリコ−ン油(5)25 ℃ 10000cSt 商品名 KF96H-10000 同上
ジメチルシリコ−ン油(6)25 ℃ 50cSt 商品名 KF96-50 同上
ジメチルシリコ−ン油(7)25 ℃ 30000cSt 商品名 KF96H-30000 同上
メチルフェニルシリコ−ン油 25 ℃3000cSt 商品名 KF50-3000 同上
α−オレフィン油 40℃ 472cSt 商品名 SHF-401モ−ビル石油製
ポリブテン 油 40℃ 205cSt 商品名ポリブテンLV-100日本石油化学製
親水性超微粒子シリカ(1) 商品名アエロジル200 日本アエロジル製
BET 比表面積 200m2/g
親水性超微粒子シリカ(2) 商品名アエロジル130 同上
BET 比表面積 130m2/g
疎水性超微粒子シリカ 商品名アエロジルR812 同上
BET 比表面積 260m2/g
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル(1)
平均分子量 13000 商品名ユニル−ブ75DE-2620 日本油脂製
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル(2)
平均分子量 5000 商品名ユニル−ブ75DE-170 同上
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル(3)
平均分子量 16000 商品名ユニル−ブ75DE-5000 同上
ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル(4)
平均分子量 3000 商品名ユニル−ブ75DE-60 同上
【0016】
表1、2、3、4に示す割合で各種薬品(原料)を配合し、よく混合した後、3段ロ−ルミルを2回通過させて、実施例1〜11および比較例1〜12の組成物を得た。
表5に示す市販ボ−ルペンを入手し、充填してあるインキ逆流防止剤組成物を注射器を用いて吸い取り、インキ筒内壁に付着している前記インキ逆流防止剤組成物も拭き取った後、実施例1〜11および比較例1〜12の組成物を表5に示す量だけ前記市販ボ−ルペンのインキ末端部にインキと連続するように充填し、各表に示される高温特性試験、追従性試験および耐衝撃性試験を行った。
【0017】
【表5】
【0018】
高温特性試験は、インキ筒内径の異なる市販ボ−ルペンA、B、Cを利用し、前記の如く実施例および比較例の組成物をインキと連続するように充填し、ボ−ルペンのペン先を上向きにして80℃恒温空気浴に30日間静置後外観を観察したものであり、インキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動するかまたはインキ筒から流出したり、基油とゲル化剤の分離が観察されるものを不合格とし、それ以外のものを合格とした。
【0019】
追従性試験は、前記の如く実施例および比較例の組成物をインキと連続するように充填したボ−ルペンを10cm/secの速度でインキがなくなるまで連続して筆記を続け、充填したインキ逆流防止剤組成物がインキの消耗に伴い、インキに追従していく状態を観察した。インキ逆流防止剤組成物がインキに追従していかず動かなかったもの、またはインキ逆流防止剤組成物の一部がインキに追従していかずインキ筒壁に残ったものを不合格とし、充填した組成物全量がインキに追従したものを合格とした。
【0020】
耐衝撃性試験は、前記の如く実施例および比較例の組成物をインキと連続するように充填したボ−ルペンのペン先を上にして持ち、高さ1mの場所からコンクリ−ト床に50回落下させた後外観を観察した。充填したインキ逆流防止剤組成物がインキ筒内で流動またはインキ筒外へ流出したものを不合格とし、それ以外を合格とした。
【0021】
評価試験結果を表1、表2、表3および表4に示す。表1および表2に示す如く本発明の実施例1乃至実施例11のボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物は、上記全ての試験に対し満足すべき結果が得られたが、表3および表4に比較例として示す本発明の組成物の範囲外の組成物は、一部の試験には合格するものの、全ての試験に合格するものは得られなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係るボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物は上記のように特定の基油、ゲル化剤およびゲル構造安定剤を特定量配合する構成を有するので、優れた高温特性、追従性および耐衝撃性を兼ね備えたボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物を提供することができるという効果を有する。
Claims (3)
- 25℃で100〜10000cStの動粘度を有するジメチルシリコ−ン油1種または2種以上の混合物からなる基油85〜98.9質量%と、親水性超微粒子シリカ1〜10質量%と、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ル0.1〜5質量%とからなることを特徴とするボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物。
- 親水性超微粒子シリカのBET比表面積が185m2 /g以上である請求項1のボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物。
- ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)ポリオ−ルの平均分子量が5,000〜16,000である請求項1のボ−ルペン用インキ逆流防止剤組成物。
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