JP3746284B2 - 携帯電話機 - Google Patents

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Description

本発明は、使用形態に応じて筐体を構成する部材の配置を変えることが可能な多機能の携帯電話機に関する。
近年、電話回線網に接続して通話をすることが可能な携帯電話機は、多機能化の傾向にあり、例えば、カメラの設置による撮像機能やテレビ電話機能、楽曲再生機能、ゲーム機能などが、1台の携帯電話機で実現可能となってきている。
一方、様々な使用形態に応じて、携帯電話機の筐体を構成する部材の配置(携帯電話機全体の形状)を変えることによって、利便性や携帯性を向上させるという工夫も行われている。例えば、携帯電話機には、ストレートタイプと呼ばれる携帯電話機の形状が変化しない構造のものに加え、携帯電話機を構成する2つの主要な部材がヒンジによって回動する折り畳みタイプの構造や、携帯電話機を構成する2つの主要な部材のうちの一方の部材が他方の部材に対してガイドレールなどによってスライドするスライドタイプの構造が存在する。
例えば、下記の特許文献1には、前面にキーパッドが設けられた第1の筐体と、第1の筐体に対してスライド可能なように取り付けられた表示スクリーンを有する第2の筐体とにより構成されている2つの相互に可動な部品を有する電子装置が開示されている。スライドを閉じた状態(引き込められた状態)では、第2の筐体の表示スクリーンの一部が外部に露出されている。この電子装置の形状は、例えば、表示スクリーンの一部を見ながら前面に露出されているキーパッドによるダイアル操作などを行う場合に適している。また、第2の筐体の表示スクリーンの一部が外部に露出し、スライドさせた状態(引き出された状態)では表示スクリーンが大きく外部に露出するようになる。この電子装置の形状は、例えば、表示スクリーンを広く利用したい場合や通話を行う場合に適している。また、第2の筐体を第1の筐体から完全に引き出して、第1及び第2の筐体を完全に分離し、分離された第2の筐体を独立した電子デバイスとして使用することも可能である。
また、下記の特許文献2には、キー操作部と小型の液晶表示部とが前面に設けられた本体部と、ユーザに対して画面表示を行う大型の液晶表示部が前面に設けられたスライド部とを有し、スライド部が本体部の背面でスライド移動可能なように構成されている携帯端末装置が開示されている。この携帯端末装置では、必要に応じて、ユーザが本体部に対してスライド部をスライドさせることによって、大型の液晶表示部を外部に露出することが可能となるとともに、本体部に設ける液晶表示部を小型化して、キー操作部の占有する領域を広く取れるようにしてある。
特開2002−232540号公報(段落0012〜0069、図1、5、8) 特開2003−169120号公報(段落0013〜0019、図1、2)
従来のスライドタイプの構造の大きな特徴の1つは、例えば、上記の特許文献1、2に開示されている技術からも明らかなように、収納状態から使用状態に部材の配置をスライド変化させた場合、操作キー及び表示画面のいずれか一方が外部に露出されるよう構成されていることにある。すなわち、スライドタイプの構造を有する携帯電話機は、収納状態で表示画面が前面に出ているものに関してはスライドによって操作キーが露出し、収納状態で操作キーが前面に出ているものに関してはスライドによって表示画面が露出するよう構成されている。
しかしながら、近年の携帯電話機は多機能化の傾向にあり、複数の機能のそれぞれに最適な使用形態に応じて、収納時及び使用時の携帯電話機の利便性を考慮しながら、更に新しい携帯電話機の形状を工夫し、開発していく必要がある。特に、技術の進歩と共に携帯電話機で実現可能な機能が増えるにつれて、他の機能に関する利便性を落とさないようにしながら、各機能の利便性を向上させる必要がある。
上記問題点に鑑み、本発明では、利便性、携帯性、更にはデザイン性に優れており、複数の機能のそれぞれの使用形態に応じて、筐体を構成する部材の配置を変えることが可能な多機能の携帯電話機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の携帯電話機は、第1の筐体と、前記第1の筐体と略同一形状の第2の筐体とにより構成される携帯電話機であって、
前記第1の筐体が、所定のスライド軸に沿って、少なくとも第1の相対位置と第2の相対位置との間を、前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記第1の筐体を前記第2の筐体に係合させるスライド係合手段と、
前記第1の筐体を、前記第1の相対位置で係止する第1のスライド係止手段と、
前記第1の筐体を、前記第2の相対位置で係止する第2のスライド係止手段と、
前記第1の筐体を、前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間に存在し、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが互いに重なり合った配置となる第3の相対位置で係止する第3のスライド係止手段とを、
有するよう構成されている。
この構成により、第1の筐体と第2の筐体とが互いに重なり合った配置で係止された状態から、所定のスライド軸に沿った両方向に、第1の筐体を第2の筐体に対してスライドさせることが可能となり、さらに、それぞれのスライド方向に存在する所定の箇所において、第1の筐体と第2の筐体との相対位置を固定することが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第1の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、ユーザによる操作を可能とする操作手段を有するよう構成されている。
この構成により、所定のスライド軸に沿って一方の方向に第1の筐体をスライドさせた場合に、第2の筐体上に配置されている操作手段を外部に露出させることが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記第2の筐体との相対位置とは無関係に常に外部に露出されている前記第1の筐体に配置された第2の操作手段と、
前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第2の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、ユーザによる操作を可能とする第3の操作手段とを、
有するよう構成されている。
この構成により、所定のスライド軸に沿って他方の方向に第1の筐体をスライドさせた場合に、第1の筐体に配置されている操作手段、及び、第2の筐体上に配置されている操作手段の2つの操作手段を外部に露出させることが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記第1の筐体を、前記第1の相対位置との間に前記第2の相対位置を含む第4の相対位置で係止する第4のスライド係止手段と、
前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第4の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、情報を表示する表示手段とを有し、
前記第1の筐体が、前記所定のスライド軸に沿って、さらに第2の相対位置と第4の相対位置との間を前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記スライド係合手段が構成されている。
この構成により、所定のスライド軸に沿って他方の方向に第1の筐体をスライドさせた場合に、第1の筐体に配置されている操作手段、及び、第2の筐体上に配置されている操作手段の2つの操作手段と、表示手段とを外部に露出させることが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記第1の筐体が、前記所定のスライド軸に沿って、前記第1の相対位置と前記第4の相対位置との間の範囲を超えて前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記スライド係合手段が構成されており、前記第1の筐体が、前記第1の相対位置と前記第4の相対位置との間の範囲を超えてスライドした場合には、前記スライド係合手段による係合が外れて前記第1の筐体が前記第2の筐体から分離するよう構成されている。
この構成により、所定のスライド軸に沿って第1の筐体をスライドさせて、第1の筐体と第2の筐体とを分離することが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記第1及び第2の筐体の両方が、相互に無線通信を行うための無線通信手段を有し、
少なくとも前記第1の筐体が前記第2の筐体から分離した場合には、前記無線通信手段によって前記第1及び第2の筐体間における信号の伝送が行われるよう構成されている。
この構成により、第1の筐体と第2の筐体とを分離して利用することが可能となる。
さらに、本発明の携帯電話機は、前記表示手段の表示画面内における表示方向の制御を行うための表示制御手段を有するよう構成されている。
この構成により、表示画面内における表示方向が、ユーザに対して常に適切な方向となるよう制御することが可能となる。
本発明の携帯電話機は、第1の筐体と、前記第1の筐体と略同一形状の第2の筐体とにより構成される携帯電話機であって、
前記第1の筐体が、所定のスライド軸に沿って、少なくとも第1の相対位置と第2の相対位置との間を、前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記第1の筐体を前記第2の筐体に係合させるスライド係合手段と、
前記第1の筐体を、前記第1の相対位置で係止する第1のスライド係止手段と、
前記第1の筐体を、前記第2の相対位置で係止する第2のスライド係止手段と、
前記第1の筐体を、前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間に存在し、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが互いに重なり合った配置となる第3の相対位置で係止する第3のスライド係止手段とを、
有するよう構成されているので、第1の筐体と第2の筐体とが互いに重なり合った配置となる第3の相対位置を中心として、所定のスライド軸に沿って相反する2方向に、第2の筐体に対して第1の筐体をスライドさせ、それぞれの方向において所定の相対位置で第1の筐体を半固定することが可能となり、利便性、携帯性、更にはデザイン性に優れ、複数の機能のそれぞれの使用形態に応じて、携帯電話機の筐体を構成する部材の配置を変えることが可能となるという効果を有している。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態における携帯電話機について説明する。まず、図1を参照しながら、本発明の実施の形態における携帯電話機の内部構成及び外観について説明する。図1は、本発明の実施の形態における携帯電話機の内部構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態における携帯電話機1は、上部筐体(第1の筐体)2及び下部筐体(第2の筐体)3の2つの略同一の形状を有する筐体により構成されている。上部筐体2は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、表示部204、操作部205、撮像部206、音声入力部207、音声出力部208、筐体間通信部209を有しており、下部筐体3は、CPU301、RAM302、ROM303、表示部304、操作部305、通信部306、音声入力部307、音声出力部308、筐体間通信部309を有している。
まず、上部筐体2の内部に存在する各構成要素について説明する。上部筐体2のCPU201は、当該上部筐体2における主要な処理を行う処理手段である。また、上部筐体2のRAM202及びROM203は、当該上部筐体2において動作する(CPU201によって実行される)プログラムや、撮像データ、通信データなどの様々なデータを格納したり、情報処理過程における作業領域を提供したりすることが可能な情報格納手段である。
また、上部筐体2の表示部204は、静止画像や動画像、文字情報などの各種情報を表示するための手段である。また、上部筐体2の操作部205は、ユーザが情報を入力したり、様々な機能を使用する際の指示を入力したりするための手段である。また、上部筐体2の撮像部206は、静止画像や動画像の撮像を行うための手段である。また、上部筐体2の音声入力部207は、ユーザが音声(特に、通話時のユーザの声)を入力するための手段であり、例えば、マイクロホンなどである。また、上部筐体2の音声出力部208は、音声を外部に報知するための手段であり、例えば、スピーカなどである。また、上部筐体2の筐体間通信部209は、下部筐体3との間でデータの伝送を可能とする通信手段である。
一方、下部筐体3の内部に存在する各構成要素について説明する。下部筐体3の内部にも、CPU301、RAM302、ROM303、表示部304、操作部305、音声入力部307、音声出力部308が設けられており、これらの各構成要素は、上部筐体2のものと同一であって、主に下部筐体3における処理動作に使用される。また、下部筐体3の通信部306は、アンテナに接続されており、公衆電話回線網に接続して通話や電子メール(以下、単にメールと呼ぶ)の送受信を行うための通信手段であり、下部筐体3の筐体間通信部309は、上部筐体2との間でデータの伝送を可能とする通信手段である。
また、上部筐体2の筐体間通信部209及び下部筐体3の筐体間通信部309は、それぞれ接続切換部210、310、接続I/F(接続インターフェイス)211、311、無線I/F(無線インターフェイス)212、312を有しており、この筐体間通信部209、309間で電気的に接続してデータ伝送を行う。
また、上部筐体2の接続I/F211と下部筐体3の接続I/F311とは、上部筐体2の接点と下部筐体3の接点とが接触することによって、2つの筐体2、3間における信号の伝送を可能とする接触型接点である。なお、例えば、上部筐体2及び下部筐体3が、少なくとも図3や図9〜図11の斜視図(いずれも後述)に示す配置となった場合に、接続I/F211、311が接続されて、上部筐体2内の内部構成と下部筐体3内の内部構成とが電気的に接続できるよう構成されていることが望ましい。
また、上部筐体2の無線I/F212と下部筐体3の無線I/F312とは、上部筐体2と下部筐体3とが非接触の状態において、所定の無線通信方式(例えば、近距離通信を可能とするブルートゥース)によって信号の伝送を可能とするものである。すなわち、この無線I/F212、312による通信によって、上部筐体2と下部筐体3とが非接触の状態(離れた状態)で、上部筐体2と下部筐体3との間におけるデータ伝送が可能となる。
また、上部筐体2及び下部筐体3の接続切換部210、310は、両方の筐体2、3が接触状態にあって接続I/F211、311を通じた信号の伝送が可能な場合には、接続I/F211、311を介して信号の伝送を行うよう制御し、両方の筐体2、3が非接触状態にあって接続I/F211、311を通じた信号の伝送が不可能な場合には、無線I/F212、312を介して信号の伝送を行うよう制御するものである。なお、接続切換部210、310や接続I/F211、311を設けず、常に無線I/F212、312を介して信号の伝送が行われるようにすることも可能である。
上記のように、接続切換部210、310によって、上部筐体2及び下部筐体3の接触状態・非接触状態(分離状態)に応じて、2つの筐体2、3間における接点を通じた信号伝送と無線通信による信号伝送との切り換えが行われるようになる。これにより、上部筐体2と下部筐体3とが所定の配置によって接触している場合でも、あるいは、上部筐体2と下部筐体3とが離れて存在している場合でも、その分離・接触状態とは無関係に2つの筐体2、3間での信号の伝送が可能となり、携帯電話機1全体としての機能は保持される。
なお、図1に示す携帯電話機1では、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれに、CPU201、301、RAM202、302、ROM203、303が設けられており、特に、後述のように上部筐体2と下部筐体3とが分離した状態で使用される場合に、各筐体2、3で独立した処理動作が行えるよう構成されているが、上部筐体2と下部筐体3とは、常に接続I/F211、311及び無線I/F212、312の少なくとも一方によって電気的に接続しているので、どちらか一方の筐体(上部筐体2又は下部筐体3)にのみ、これらの構成要素を設けてもよい。また、図1に示す携帯電話機1では、撮像部206が上部筐体2に設けられているが、下部筐体3に設けることも可能である。また、図1に示す携帯電話機1では下部筐体3に設けられている通信部306を、上部筐体2に設けることも可能である。
また、図1に示す携帯電話機1では、上部筐体2及び下部筐体3が分離状態にある場合に、それぞれを近距離連絡用の携帯無線通信機として利用可能とするため、上部筐体2及び下部筐体3の両方に音声入力部207、307と音声出力部208、308とが設けられているが、通常の携帯電話機と同様に音声入力部及び音声出力部を1組のみ設けるようにすることも可能である。また、ハウリングなどによる音質劣化や利便性などを考慮して、上部筐体2及び下部筐体3の配置に応じて、音声入力部207、307及び音声出力部208、308のそれぞれの動作を制御する(例えば、後述の図9に示す配置の場合には、上部筐体2の音声入力部207と下部筐体3の音声出力部308が動作しないよう制御する)よう構成することも可能である。
また、不図示ではあるが、例えば、可搬性記憶媒体を読み取るためのインターフェイスや、GPS(Global Positioning System)信号を受信するためのGPS受信部などを始めとして、その他の様々な構成要素を携帯電話機1に設けることも可能である。また、不図示ではあるが、上部筐体2と下部筐体3とが分離した状態で利用可能となるよう、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれに、電力を供給する電源が設置されることが望ましい。
次に、図1に示す携帯電話機1の外観と、携帯電話機1を構成する上部筐体2及び下部筐体3の配置の変化に係る様々な携帯電話機全体の形状の変化について説明する。図2は、本発明の実施の形態における携帯電話機の上部筐体及び下部筐体のそれぞれの斜視図であり、図2(a)は上部筐体の斜視図、図2(b)は下部筐体の斜視図である。
図2(a)に示す上部筐体2は、図1に示す上部筐体2に対応するものであり、図2(a)には、表示画面21、操作キー22、撮像カメラ23、スライド用レール(スライド係合手段)24が図示されている。なお、表示画面21は図1に示す表示部204、操作キー22は図1に示す操作部205、撮像カメラ23は図1に示す撮像部206に対応するものである。また、表示画面21及び操作キー22は、略同一方向を向くよう配置されることが望ましい。
また、図2(b)に示す下部筐体3は、図1に示す下部筐体3に対応するものであり、図2(b)には、表示画面31、テンキー32、操作ボタン33a、33b、スライド用レール(スライド係合手段)34が図示されている。なお、表示画面31は図1に示す表示部304、テンキー32及び操作ボタン33a、33bは操作部305に対応するものである。また、表示画面31、テンキー32及び操作ボタン33a、33bは、略同一方向を向くよう配置されることが望ましく、下部筐体3の上側から下側に対して(図面の上方向から下方向に対して)、操作ボタン33a、33b、表示画面31、テンキー32の順に配置されることが望ましい。また、下部筐体3には、複数の操作手段(テンキー32及び操作ボタン33a、33b)が設けられており、図1に示す内部構成においても、これらのテンキー32及び操作ボタン33a、33bに対応した複数の操作部305を設けることが望ましい。
次に、図3〜図8を参照しながら、携帯電話機1の上部筐体2及び下部筐体3を重ね合わせてコンパクトな形状とした収納状態について説明する。図3は、本発明の実施の形態における携帯電話機の上部筐体及び下部筐体を重ね合わせた収納状態を示す斜視図、図4は、図3に示す携帯電話機の収納状態の正面図、図5は、図3に示す携帯電話機の収納状態の背面図、図6は、図3に示す携帯電話機の収納状態の右側面図、図7は、図3に示す携帯電話機の収納状態の上面図、図8は、図3に示す携帯電話機の収納状態の底面図である。
携帯電話機1の上部筐体2及び下部筐体3は略同一形状をしており、これらの筐体2、3を重ね合わせることによって、携帯電話機1の形状がコンパクトなものとなる。また、筐体2、3同士を重ね合わせる場合、上部筐体2の背面(表示画面21、操作キー22が略同一方向を向くよう配置されている面の反対側)と、上部筐体2の正面(表示画面31、テンキー32及び操作ボタン33a、33bが略同一方向を向くよう配置されている面)とが対向するように、スライド用レール24、34によるスライド係合によって重ね合わされる。
この上部筐体2及び下部筐体3のスライド用レール24、34は互いに係合するとともに、係合時には、上部筐体2及び下部筐体3を相互にスライドレール24、34が延伸する方向(スライド方向)にのみ移動できるようにするものである。すなわち、スライド用レール24、34によるスライド係合では、所定のスライド方向(例えば、図3では図面の上下方向)に加えられる応力によって、上部筐体2は下部筐体3に対して所定のスライド方向にスライド可能である一方、所定のスライド方向に垂直な方向に加えられる応力に関しては、上部筐体2は下部筐体3に対して固定される。
なお、従来から存在する様々なスライド係合手段を利用することによってスライド機構を実現することが可能であるが、例えば、特に図7や図8に顕著に図示されているように上部筐体2や下部筐体3の正面及び背面の垂線方向に加えられる応力によって上部筐体2と下部筐体3とが外れないように、いずれか一方の筐体(例えば、下部筐体3)の凸部を他方の筐体(例えば、上部筐体2)の凹部で挟み込む形状とすることによって、簡単にスライド係合を実現することが可能である。
また、例えば、ユーザがスライド方向に所定の大きさ以上の応力を加えない限り、上部筐体2と下部筐体3とが互いに重なり合う収納状態が保持されるように、上部筐体2を下部筐体3に対して係止するスライド係止手段を設けることが望ましい。なお、このスライド係止手段に関しても、スライド係合手段と同様に、従来から存在する様々な機構を利用して実現することが可能であり、例えば、スライド用レール24、34のいずれか一方の所定箇所(上部筐体2と下部筐体3とが互いに重なり合った場合に対向する箇所)に凹部を設けるとともに、他方のスライド用レール24、34の対応箇所に、弾性体などによって当該凹部に差し込まれる凸部を設けておけばよい。なお、ユーザがスライド方向に所定の大きさ以上の応力を加えた場合には、スライド係止手段が外れて上部筐体2が下部筐体3に対してスライド可能となるように、当該弾性体の弾性力やスライド係止に係る凹部及び凸部の形状などをあらかじめ設定しておくことが望ましい。
また、上記の収納状態における配置以外にも、上部筐体2を下部筐体3に対してスライドさせて上部筐体2と下部筐体3との相対位置を変えることによって、携帯電話機1の上部筐体2及び下部筐体3を図9〜図11に図示される配置とすることが可能である。
図9は、図3〜図8に示す携帯電話機の収納状態から上部筐体を上方向にスライドさせて、下部筐体に設けられているテンキーを露出させた状態を示す斜視図である。例えば、図3〜図8に示す携帯電話機1の収納状態から、上部筐体2を下部筐体3に対してスライド軸に沿って上方向にスライドさせることによって、下部筐体3の下側を外部に露出させることが可能である。この下部筐体3の下側には、図2(b)に示すようにテンキー32が設けられており、すなわち、下部筐体3の下側が外部に露出された場合には、テンキー32が外部に露出されることとなる(図9に示す状態)。
図9に示す携帯電話機1は、ユーザが通話時やメール入力などの動作を行うために必要なテンキー32が外部に露出された状態となり、通常のストレートタイプの携帯電話機1の形状や、折り畳みタイプの携帯電話機1を開いた形状に酷似し、特に、通話やメール送信などの操作を行う際に便利な形状となる。なお、テンキー32が外部に完全に露出して、その使用が可能となる上部筐体2及び下部筐体3の相対位置において、上部筐体2を下部筐体3に対して係止して配置を保持するスライド係止手段を設けることが望ましい。
また、図10は、図3〜図8に示す携帯電話機の収納状態から上部筐体を下方向にスライドさせて、下部筐体に設けられている操作ボタンを露出させた状態を示す斜視図である。例えば、図3〜図8に示す携帯電話機の収納状態から、上部筐体2を下部筐体3に対してスライド軸に沿って下方向にスライドさせることによって、下部筐体3の上側を外部に露出させることが可能である。この下部筐体3の上側には、図2(b)に示すように操作ボタン33a、33bが設けられており、すなわち、下部筐体3の上側が外部に露出された場合には、操作ボタン33a、33bが外部に露出されることとなる(図10に示す状態)。
図10に示す携帯電話機1は、ユーザの操作・入力を可能とする操作ボタン33a、33bが配置された下部筐体3の一部が外部に露出された状態となり、表示画面21を挟む両側に操作キー22及び操作ボタン33a、33bの2つの操作手段が配置されるようになる。ユーザは、携帯電話機1を図10に図示されている形状として、図10に示す上下方向が略水平となるようにしながら、操作キー22の配置されている上部筐体2の下側を一方の手で、操作ボタン33a、33bの配置されている下部筐体3の上側を他方の手で把持する(すなわち、図面の横方向から携帯電話機1を両手で把持する)ことによって、表示画面21を見ながら両手の指で携帯電話機1の操作が行えるようになる。
携帯電話機1をこの形状にすることによって、ユーザは、例えば、表示画面21に表示されるゲーム画面を見ながら、操作ボタン33a、33bを選択ボタンとして右手の指で操作し、操作キー22をスクロールボタンとして左手の指で操作してゲームを行えるようになり、すなわち、携帯電話機1をゲーム機として最適な形状とすることが可能となる。なお、この場合も、操作ボタン33a、33bが外部に完全に露出して、その使用が可能となる上部筐体2及び下部筐体3の相対位置において、上部筐体2を下部筐体3に対して係止して配置を保持するスライド係止手段を設けることが望ましい。また、上記のように携帯電話機1をゲーム機として利用する場合には、ユーザは携帯電話機1を90°回転させて使用するため、表示画面21内における表示の上下方向もユーザの閲覧方向に応じて90°回転させる必要があり、例えば、CPU201や別に設けられた表示制御手段によって表示画面21の表示方向の制御を行うことが望ましい。
また、図11は、図10に示す携帯電話機の操作ボタンを露出させた状態から上部筐体を下方向に更にスライドさせて、下部筐体に設けられている表示画面を露出させた状態を示す斜視図である。例えば、図10に示す操作ボタン33a、33bが外部に露出された状態から、上部筐体2を下部筐体3に対してスライド軸に沿って下方向に更にスライドさせることによって、操作ボタン33a、33bよりも下に配置されている表示画面31を外部に露出させることが可能である(図11に示す状態)。
図11に示す携帯電話機1は、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれに配置されている2つの表示画面21、31が同時に略同一方向を向く構成となっており、この2画面表示の特徴を活用した機能の利用時に便利な形状である。2画面表示の特徴を活用できる場合の態様としては、例えば、テレビ電話の使用時に、相手から受け取った映像を一方の表示画面に表示するとともに相手に送信する映像を他方の表示画面に表示して確認する場合や、一方の表示画面で文章を読みながら、他方の表示画面で辞書を引いて言葉の意味を調べる場合などが挙げられる。なお、この場合も、表示画面31が外部に完全に露出して、その使用が可能となる上部筐体2及び下部筐体3の相対位置において、上部筐体2を下部筐体3に対して係止して配置を保持するスライド係止手段を設けることが望ましい。
また、ユーザは、上部筐体2と下部筐体3とを重ね合わせた収納状態から、スライド軸に沿って両方向に上部筐体2を下部筐体3に対してスライドさせ、スライド用レール24、34の係合を外して上部筐体2と下部筐体3とを分離させることが可能であり、また、逆に、上部筐体2及び下部筐体3を分離状態から収納状態に戻すことも可能である。
さらに、スライド用レール24、34の係合を外して上部筐体2と下部筐体3とを分離した状態で使用することも可能である。なお、上述のように、この場合には無線I/F212、312が無線通信を行って、上部筐体2と下部筐体3との間で信号の伝送が行われる。これにより、例えば、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれを異なるユーザが持って、表示画面21、31によって同一又は異なる表示を閲覧したり、上部筐体2及び下部筐体3のそれぞれをトランシーバとして利用し、異なるユーザ同士が無線I/F212、312による無線通信可能な範囲内で会話を行ったりすることが可能となる。また、上部筐体2の撮像カメラ23で自分の顔を撮像しながら表示画面21を閲覧するとともに、下部筐体3を頭部周辺に近づけて通話を行うことによって、携帯電話機1を用いてテレビ電話による通話を行う場合にも有用である。
上記のように、本発明の携帯電話機1では、上部筐体2と下部筐体3との相対的な位置を様々に変えることによって、複数の機能のそれぞれの使用形態に応じた携帯電話機1の形状を実現することが可能となる。なお、上記では、図3〜図8に示す形状は携帯電話機1を収納する場合に有用な形状、図9に示す形状は通話やメール作成及び送受信を行う場合に有用な形状、図10に示す形状は2画面表示を利用する場合に有用な形状、図11に示す形状は携帯電話機1をゲーム機として使用する場合に有用な形状、図2に示す上部筐体2及び下部筐体3の分離状態は、テレビ電話を行う場合や上部筐体2及び下部筐体3を互いに通信を行うトランシーバとして使用する場合に有用な状態であると説明したが、携帯電話機1の使用形態と携帯電話機1の形状との関係は限定的なものではなく、ユーザが任意の形状で任意の機能を使用することができるようにすることも可能である。また、上記の各機能は一例であり、携帯電話機1において、その他の様々な機能を実現することが可能である。
本発明は、利便性、携帯性、更にはデザイン性に優れており、複数の機能のそれぞれの使用形態に応じて、筐体を構成する部材の配置を変えることが可能な多機能の携帯電話機を実現することが可能であり、使用形態に応じて筐体を構成する部材の配置を変えることが可能な多機能の携帯電話機として適用可能である。
本発明の実施の形態における携帯電話機の内部構成を示すブロック図 本発明の実施の形態における携帯電話機の上部筐体及び下部筐体のそれぞれの斜視図 (a)上部筐体の斜視図 (b)下部筐体の斜視図 本発明の実施の形態における携帯電話機の上部筐体及び下部筐体を重ね合わせた収納状態を示す斜視図 図3に示す携帯電話機の収納状態の正面図 図3に示す携帯電話機の収納状態の背面図 図3に示す携帯電話機の収納状態の右側面図 図3に示す携帯電話機の収納状態の上面図 図3に示す携帯電話機の収納状態の底面図 図3〜図8に示す携帯電話機の収納状態から上部筐体を上方向にスライドさせて、下部筐体に設けられているテンキーを露出させた状態を示す斜視図 図3〜図8に示す携帯電話機の収納状態から上部筐体を下方向にスライドさせて、下部筐体に設けられている操作ボタンを露出させた状態を示す斜視図 図10に示す携帯電話機の操作ボタンを露出させた状態から上部筐体を下方向に更にスライドさせて、下部筐体に設けられている表示画面を露出させた状態を示す斜視図
符号の説明
1 携帯電話機
2 上部筐体(第1の筐体)
3 下部筐体(第2の筐体)
21、31 表示画面
22 操作キー
23 撮像カメラ
24、34 スライド用レール(スライド係合手段)
32 テンキー
33a、33b 操作ボタン
201、301 CPU
202、302 RAM
203、303 ROM
204、304 表示部
205、305 操作部
206 撮像部
207、307 音声入力部
208、308 音声出力部
209、309 筐体間通信部
210、310 接続切換部
211、311 接続I/F(接続インターフェイス)
212、312 無線I/F(無線インターフェイス)
306 通信部

Claims (7)

  1. 第1の筐体と、前記第1の筐体と略同一形状の第2の筐体とにより構成される携帯電話機であって、
    前記第1の筐体が、所定のスライド軸に沿って、少なくとも第1の相対位置と第2の相対位置との間を、前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記第1の筐体を前記第2の筐体に係合させるスライド係合手段と、
    前記第1の筐体を、前記第1の相対位置で係止する第1のスライド係止手段と、
    前記第1の筐体を、前記第2の相対位置で係止する第2のスライド係止手段と、
    前記第1の筐体を、前記第1の相対位置と前記第2の相対位置との間に存在し、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが互いに重なり合った配置となる第3の相対位置で係止する第3のスライド係止手段とを、
    有する携帯電話機。
  2. 前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第1の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、ユーザによる操作を可能とする操作手段を有する請求項1に記載の携帯電話機。
  3. 前記第2の筐体との相対位置とは無関係に常に外部に露出されている前記第1の筐体に配置された第2の操作手段と、
    前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第2の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、ユーザによる操作を可能とする第3の操作手段とを、
    有する請求項2に記載の携帯電話機。
  4. 前記第1の筐体を、前記第1の相対位置との間に前記第2の相対位置を含む第4の相対位置で係止する第4のスライド係止手段と、
    前記第1の筐体が前記第3の相対位置に配置された場合には外部に露出せず、前記第1の筐体が前記第4の相対位置に配置された場合には外部に露出する前記第2の筐体上の所定箇所に、情報を表示する表示手段とを有し、
    前記第1の筐体が、前記所定のスライド軸に沿って、さらに第2の相対位置と第4の相対位置との間を前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記スライド係合手段が構成されている請求項3に記載の携帯電話機。
  5. 前記第1の筐体が、前記所定のスライド軸に沿って、前記第1の相対位置と前記第4の相対位置との間の範囲を超えて前記第2の筐体に対して相対的にスライド可能となるように、前記スライド係合手段が構成されており、前記第1の筐体が、前記第1の相対位置と前記第4の相対位置との間の範囲を超えてスライドした場合には、前記スライド係合手段による係合が外れて前記第1の筐体が前記第2の筐体から分離するよう構成されている請求項4に記載の携帯電話機。
  6. 前記第1及び第2の筐体の両方が、相互に無線通信を行うための無線通信手段を有し、
    少なくとも前記第1の筐体が前記第2の筐体から分離した場合には、前記無線通信手段によって前記第1及び第2の筐体間における信号の伝送が行われるよう構成されている請求項5に記載の携帯電話機。
  7. 前記表示手段の表示画面内における表示方向の制御を行うための表示制御手段を有する請求項1から6のいずれか1つに記載の携帯電話機。
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