本発明に係る電気機器の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る電気機器として、携帯電話機1を例に挙げて説明する。携帯電話機1は、複数(例えば2つ)の筐体が相互に複数方向にスライド自在に積層されていて、これらの筐体をスライドさせることによって複数の形状状態(例えばモード0乃至モード5の状態)に変形可能なように構成されたものである。
図1及び図2は、携帯電話機1を示す斜視図であり、図1(a)は携帯電話機1のモード0の状態を示す斜視図、図1(b)は携帯電話機1のモード1を示す斜視図、図1(c)は携帯電話機1のモード2を示す斜視図である。また、図2(a)は携帯電話機1のモード0の状態を示す斜視図、図2(b)は携帯電話機1のモード3を示す斜視図、図2(c)は携帯電話機1のモード4を示す斜視図、図2(d)は携帯電話機1のモード5を示す斜視図である。
携帯電話機1は、矩形の板状の下筐体2と、この下筐体2とほぼ同形状をした上筐体3とが相互に一面を覆うように積層されることにより形成されている。下筐体2及び上筐体3は、長手方向(図1のX方向)に相互にスライド可能なように積層されている。すなわち、下筐体2と上筐体3とが双方の一面のほぼ全面を覆うように重なった状態(図1(a)に示すモード0の状態)において、上筐体3を下筐体2に対して長手方向にスライドさせることにより、上筐体3が下筐体2に対して長手方向にずれて重なった状態(図1(b)示すモード1の状態)に変形する。
上筐体3には液晶ディスプレイ4が設置されている。また上筐体3には、第一の入力手段として上下左右キー5a等の操作キー5が設置されている。また上筐体3には、音声を出力するスピーカ6が設置されている。これらの液晶ディスプレイ4、上下左右キー5a、及びスピーカ6は、携帯電話機1の形状状態に依存せずに常に外部に露出する位置に設置されている。
下筐体2には第2の入力手段としてテンキー5b等の操作キー5が設けられていて、これらの操作キー5は、図1(b)に示すように、上筐体3を下筐体2に対してスライドさせることにより表面に露出するように構成されている。また、下筐体2にはマイクロフォン7が備えられていて、このマイクロフォン7は同様に、図1(b)に示すように、上筐体3を下筐体2に対してスライドさせることにより表面に露出するように構成されている。携帯電話機1をモード1の状態に変形させることによりスピーカ6、マイクロフォン7が所定の位置に露出するため、ユーザが携帯電話機1を用いて音声通話を行う際の操作性が向上する。
また、携帯電話機1のモード1の状態において、上筐体3を下筐体2に対して平行な平面方向(図1のY方向)に90°回転させて、図1(c)に示すモード2の状態にすることにより、携帯電話機1をT字状にして液晶ディスプレイ4の画面を横長にして使用することができる。携帯電話機1をモード2の状態にすると、テンキー5bがユーザに対して手前側に配置され、横長の液晶ディスプレイ4がユーザに対して奥に配置されるため、ユーザが携帯電話機1を用いてWEBブラウジングやメールの文字入力、テレビ視聴を行う際の操作性が向上する。
携帯電話機1は、図2(a)に示すモード0の状態では下筐体2が上筐体3とが双方の片面を覆うように重なっているが、上筐体3が下筐体2に対して、図1(b)に示すモード1の時とは反対の方向にスライドさせることにより、図2(b)示すモード3の状態にするができる。下筐体2には第3の操作手段としてボタン5cやロータリースイッチ5d等の操作キー5が設けられていて、これらの操作キー5は、図2(b)に示すように、上筐体3を下筐体2に対してスライドさせることにより表面に露出するように構成されている。
なお、携帯電話機1は、上筐体3の裏面(下筐体2と対面する面)にはCCDカメラ(図8に示すCCDカメラ9)が設置されていて、下筐体2と上筐体3とが双方の片面を覆うように重なっているモード0の状態では、このCCDカメラ9は外部に露出しないが、上筐体3を下筐体2に対してスライドさせてモード3(またはモード4)の状態にすることにより、CCDカメラ9が外部に露出するように構成されている。携帯電話機1をモード3の状態にすることによりCCDカメラ9及びカメラ機能に適応した操作キー5を露出させることで、ユーザがカメラ機能を使用する際の操作性を向上させることができる。また、携帯電話機1をモード0の状態にしている時には、CCDカメラ9及びカメラ機能に適応した操作キー5が内部に収納されているため、コンパクトな状態が維持される。
携帯電話機1は、図2(b)に示すモード3の状態から、上筐体3を下筐体2に対して更にスライドさせることにより、図2(c)示すモード4の状態にするができる。下筐体2には、第4の入力手段として静電パッド5eやタッチパネル等の操作キー5が設けられていて、これらの操作キー5は、図2(c)に示すように、上筐体3を下筐体2に対して、モード3の状態よりも更にスライドさせることにより表面に露出するように構成されている。携帯電話機1をモード4の状態に変形させることにより静電パッド5eが露出するため、ユーザが携帯電話機1を用いてWEBブラウジングやゲームを行う際の操作性が向上する。
携帯電話機1は、図2(c)に示すモード4の状態から、上筐体3を下筐体2に対して90°回転させることにより、図2(d)示すモード5の状態にするができる。図2(d)に示すモード5の状態にすることにより、携帯電話機1をT字状にして液晶ディスプレイ4の画面を横長にして使用することができる。携帯電話機1をモード5の状態にすると、ボタン5cやロータリースイッチ5d、静電パッド5cがユーザに対して手前側に配置され、横長の液晶ディスプレイ4がユーザに対して奥に配置されるため、ユーザが携帯電話機1を用いてゲームやテレビ視聴を行う際の操作性が向上する。
次に、携帯電話機1において形状状態を変化させるための構成について一例を挙げて説明する。携帯電話機1において、図3及び図4に示すように、下筐体2と上筐体3との間に連結機構10を介装することにより、下筐体2と上筐体3との長手方向のスライドを自在にしている。連結機構10は、上筐体3の背面(下筐体2と対向する面)に固定設置されたガイドプレート11と、ガイドプレート11に対してスライド自在に係合したスライドプレート12とを具備している。
ガイドプレート11は、上筐体3の長手方向に沿って延在する矩形の平面形状を呈しており、その天板11tにおける左右の側縁には、それぞれ長手方向に沿って延びる一対のレール11gが形成されている。一方、上記スライドプレート12は、低板と左右の側板とから成る略凹字形の断面形状を呈しており、左右の側板には各々長手方向に沿って延びる一対のスライダ12sが設けられている。スライドプレート12は、その左右のスライダ12sを、ガイドプレート11のレール11gと係合させることにより、ガイドプレート11の天板11tに底板を対向させる態様で、ガイドプレート11に対してスライド自在に組み付けられている。
また、スライドプレート12は、その底板に突設したストッパ12aが、ガイドプレート11の天板11tに突設した一方側ストッパ11aと他方側ストッパ11bとに当接することで、スライドプレート12の長手方向に沿った所定のストローク範囲においてのみスライドが可能である。
さらに、ガイドプレート11の長孔11oのストレート部11sにはストッパ11cが設けられていて、ストッパ11cは、スライドプレート12がガイドプレート11に対してスライドする際に、所定値以上の外力を付加してスライドさせないとリブ13rがストッパ11cを超えてスライドすることができないように構成されている。このストッパ11cにより、携帯電話機1のモード3の状態が維持される。
ガイドプレート11とスライドプレート12との間、詳しくはガイドプレート11における天板11tと、スライドプレート12における底板12bとの間には、回転ヒンジ部材13が回転可能に収容設置されており、この回転ヒンジ部材13はベースプレート14を介して、下筐体2における正面(上筐体3に対面する面)に固定設置されている。
回転ヒンジ部材13は、中心に貫通孔を有する円盤形状を呈しており、その下面の中央部にはスリーブ(図示せず)が突出形成され、下面の縁部にはストッパピン13pが突出形成されている。
上記スリーブがスライドプレート12における底板12bの中心開口12oに遊嵌することで、回転ヒンジ部材13はスライドプレート12に対して回転可能に支持され、中心開口12を貫通したスリーブの下部は、スライドプレート12の下方に位置するベースプレート14に取り付けられている。
また、上記ストッパピン13pは、スライドプレート12における底板12bの切欠き12nを貫通して、ベースプレート14のピン孔14oと嵌合しており、これによって上記回転ヒンジ部材13とベースプレート14とは一体に回動することとなる。一方、回転ヒンジ部材13の上面にはリブ13rが突出形成されており、このリブ13rはガイドプレート11の天板11tに形成された長孔11oに嵌入している。
長孔11oは、上記天板11tの長手方向に沿って延設されているとともに、一定の幅で開口しているストレート部11sと、このストレート部11sの両端部に形成された丸孔部11rとを有している。長孔11oのストレート部11sに、回転ヒンジ部材13のリブ13rが位置している状態においては、リブ13rがストレート部11sの左右縁部と当接することで、回転ヒンジ部材13とガイドプレート11とは相対的に回動することができない。
反面、長孔11oの丸孔部11rに、回転ヒンジ部材13のリブ13rが位置している状態では、該リブ13rが丸孔部11rの領域内において干渉するものがないので、回転ヒンジ部材13とガイドプレート11とは相対的に自由に回動することができる。
ここで、ガイドプレート11の長孔11oと、上記回転ヒンジ部材13のリブ13rとによって回動位置規制手段15が構成されており、回転ヒンジ部材13のリブ13rが長孔11oの丸孔部11rに位置している状態においてのみ、換言すればガイドプレート11に対するスライドプレート12(回転ヒンジ部材13)のストローク範囲における一部でのみ、ガイドプレート11と回転ヒンジ部材13とは相対的に回動することが許容される。
また、スライドプレート12の切欠12nと、上記回転ヒンジ部材13のストッパピン13pとによって回動角度規制手段16が構成されており、スライドプレート12に対して回転ヒンジ部材13が回動する際、上記ストッパピン13pが上記切欠き12nの端部12mと当接することにより、スライドプレート12と回転ヒンジ部材13とは、90°の角度範囲においてのみ相対的に回動することが許容される。
図5及び図6に、この連結機構10による作用を説明するための図を示す。携帯電話機1が、下筐体2と上筐体3とを重ね合わせて閉じた状態(モード0の状態)に在るとき、図5及び図6に示すように、回転ヒンジ部材13のリブの13rは、ガイドプレート11の長孔11oにおけるストレート部11sの端部に位置している。
この状態において、上記ガイドプレート11は、回動位置規制手段15の機構により、回転ヒンジ部材13に対して回動不可にロックされている。また、上記ガイドプレート11は、既存のディテント機構(図示せず)により、回転ヒンジ部材13に対するスライド方向への保持が為されている。
また図7(A)及び図7(B)に、携帯電話機1をモード0の状態にした時の正面図及び側面図を示す。下筐体2と上筐体3の内部の所定の位置には磁気センサ8a乃至8gが設けられている。例えば上筐体3に磁気センサ8a、8b、8c、8gが内蔵されていて、下筐体2に磁気センサ8d、8e、8fが内蔵されている。これらの磁気センサ8a乃至8c、8gと、磁気センサ8d乃至8fにより、携帯電話機1の形状状態(モード0乃至モード5のいずれかの状態)が検知される。例えば、携帯電話機1がモード0の状態にある時には、図7に示すように、磁気センサ8a及び8d、磁気センサ8c及び8fが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8a及び8d、磁気センサ8c及び8gによって携帯電話機1がモード0の状態であることが検知される。
図6に示すように、モード0の状態から上筐体3を下筐体2に対してスライドさせ、回転ヒンジ部材13のリブ13rがガイドプレート11の長孔11oにおけるストレート部11sのストッパ11cの位置にて静止している状態(モード3の状態)においても同様に、回動位置規制手段15の機構により、回転ヒンジ部材13に対して回動不可にロックされている。
また図8(A)及び図8(B)に、携帯電話機1をモード3の状態にした時の正面図及び側面図を示す。また図8(C)に携帯電話機1をモード3の状態にした時の背面図を示す。携帯電話機1がモード3の状態にある時には、図8に示すように、磁気センサ8b及び8fが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8b及び8fによって携帯電話機1がモード3の状態であることが検知される。
図8(C)に示すように、上筐体3の裏面(下筐体2と対面する面)にはCCDカメラ9が設定されていて、上筐体3を下筐体2に対してスライドさせてモード3の状態にすることにより、CCDカメラ9が外部に露出するように構成されている。
モード1またはモード3の状態から、下筐体2に対して上筐体3を長手方向にスライドさせ、下筐体2の操作部2aを露出させた状態(モード1またはモード4の状態)とした際、回転ヒンジ部材13のリブの13は、ガイドプレート11における長孔11oの丸孔部11rに位置する。
この状態において、上記ガイドプレート11は、上述した回動位置規制手段15の機能により、回転ヒンジ部材13に対して回動可能となる。また、この状態において、ガイドプレート11は、既存のディテント機構(図示せず)により、回転ヒンジ部材13に対するスライド方向および回動方向への保持が為されている。
図9(A)及び図9(B)に、携帯電話機1をモード1の状態にした時の正面図及び側面図を示し、図10(A)及び図10(B)に、携帯電話機1をモード4の状態にした時の正面図及び側面図を示す。携帯電話機1がモード1の状態にある時には、図9に示すように、磁気センサ8b及び8dが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8b及び8dによって携帯電話機1がモード1の状態であることが検知される。また、携帯電話機1がモード4の状態にある時には、図10に示すように、磁気センサ8a及び8eが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8a及び8eによって携帯電話機1がモード4の状態であることが検知される。
モード1またはモード4の状態から、上筐体3を下筐体2に対して90°回動させた状態(モード2またはモード5の状態)とした際、回転ヒンジ部材13のストッパピン13pは、スライドプレート12における切欠き12nの端部12mと当接する。
この状態において、上記ガイドプレート11は、上述した回動角度規制手段16の機能により、回転ヒンジ部材13に対して90°以上に回動することなくロックされている。また、上記ガイドプレート11は、既存のディテント機構(図示せず)により、回転ヒンジ部材13に対するスライド方向および回動方向への保持が為されている。
図11(A)及び図11(B)に、携帯電話機1をモード2の状態にした時の正面図及び側面図を示し、図12(A)及び図12(B)に、携帯電話機1をモード5の状態にした時の正面図及び側面図を示す。携帯電話機1がモード2の状態にある時には、図11に示すように、磁気センサ8g及び8eが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8g及び8eによって携帯電話機1がモード2の状態であることが検知される。また、携帯電話機1がモード5の状態にある時には、図12に示すように、磁気センサ8b及び8fが重なるように配置されるため、これらの磁気センサ8b及び8fによって携帯電話機1がモード5の状態であることが検知される。なお、これに加えて、例えばモード4からの遷移により磁気センサ8b及び8fが重なった場合にはモード5である等、形状状態の遷移により検出しても良い。
なお上筐体3を下筐体2に対して90°回転させた状態において、上筐体3を長手方向にスライドさせ、横長の姿勢となった上筐体3の中央を、下筐体2の中心に位置させることができる。この際、回転ヒンジ部材13のリブの13rは、ガイドプレート11の長孔11oにおけるストレート部11sの途中に位置する。この状態において、ガイドプレート11は、回動位置規制手段15の機構により、回転ヒンジ部材13に対して回動することなくロックされている。また、上記ガイドプレート11は、既存のディテント機構(図示せず)により、回転ヒンジ部材13に対するスライド方向への保持が為されている。
このように、携帯電話1は、上筐体3を下筐体2に対して複数方向にスライドする機構を持ち、スライドにより露出する部分にボタン5c等の操作手段を配置することにより、形状を大きくすることなく、操作性を向上させている。また、携帯電話機1の上筐体3をさらにスライドさせると、ポインティングデバイス用の静電パッド5e等の操作手段が露出し、この静電パッド5eを指で操作することにより、画面上のカーソルを自由に操作することが可能となる。この場合、前述のボタン5cはマウスの左右ボタンに相当する役割を果たすようにすると良い。また、このボタン5cの間にロータリースイッチ5dを設ければ、さらに、画面のスクロールを容易に行うことが可能となる。また、この静電パッド5eとペンを用いて、手書き文字認識機能により、文字入力を行うことも可能である。さらに、静電パッド5eの代わりにタッチパネルを設け、ソフトキーを表示するようにすれば、大画面と連動させ、様々なアプリケーションを実行する際の操作性を向上させることが可能となる。
さらに、上筺体3が下筺体2に対して回転する機構を持ち、テンキー5b等の操作手段を用いる場合であっても、ボタン5cやロータリースイッチ5d、静電パッド5eを用いる場合であっても、それぞれ、90°回転することができるようになっている。このため、TVの視聴やWEBブラウジングを横向きのワイド画面で行うことができ、操作性を向上させることが可能となっている。
次に、携帯電話機1の機能について説明する。図13は、携帯電話機1の機能ブロック図である。携帯電話機1は、図13に示すように、主制御部20、電源回路部21、操作入力制御部22、表示制御部23、記憶部24、音声コーデック25、変復調回路部26、モード制御部27、及びカメラインタフェース28がバスによって相互に電気的に接続されて構成されている。
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、様々な演算処理や制御処理等を行う。電源回路部21は、ユーザによる操作キー5を介した入力に基づいて電源のオン/オフ状態を切り替え、電源がオン状態の場合に電力供給源(バッテリ等)から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
操作入力制御部22は操作キー5に対する入力インタフェースを備え、操作キー5によって入力されたデータを主制御部20に伝送する。表示制御部23は液晶ディスプレイ4に対する表示インタフェースを備え、主制御部20の制御に基づいて、文書データや画像データ等を液晶ディスプレイ4に表示する。
記憶部24は、主制御部20が行う処理の処理プログラムや処理に必要なデータ等を格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク、不揮発性メモリ、主制御部20が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなる。
携帯電話機1は、他の携帯電話機や固定電話機に対して、基地局(図示せず)を介して音声通話処理を行う。すなわち音声コーデック25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン7で集音した音声からアナログ音声信号を生成する。変復調回路部26は、音声通話の際に、音声コーデック25からアナログ信号を入力すると、この信号をデジタル信号に変換して送受信回路部36に伝送する。送受信回路部36はこのデジタル音声信号をアンテナ37を介して基地局に送信する。変復調回路部26は、送受信回路部36がアンテナ37を介して基地局から受信したデジタル音声信号を、アナログ音声信号に変換する。音声コーデック25は、音声通話の際に、変復調回路部26からアナログ音声信号を取得して、スピーカ6から音声として出力する。
また、携帯電話機1は、他の携帯電話機や通信機器に対して基地局を介してデータ通信処理を行う。すなわち携帯電話機1は、電子メールやWeb閲覧データ、画像データ、映像データ等の様々なデータの送受信処理を行う。主制御部20は、データを受信する際、送受信回路部36がアンテナ37を介して基地局から受信した受信信号を変復調回路部26でスペクトラム逆拡散処理して、データを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、表示制御部23を介して液晶ディスプレイ4に表示されたり記憶部24に記録されたりする。また主制御部20は、操作入力部22を介して入力されたデータや記憶部24に記憶されたデータを送信する際、変復調回路部26がデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、送受信回路部36がアンテナ37を介して基地局に送信する。
モード制御部27は、ユーザにより下筐体2または上筐体3の形状が変えられることにより携帯電話機1の形状状態(モード0乃至モード5のいずれかの状態)が変化した際に、磁気センサ8a乃至8gにより状態の変化を検知し、変化後の状態に対応した所定の機能を起動する。モード制御部27は、携帯電話機1の変化後の状態に対応した機能を示したモード情報を記憶するためのモード情報記憶部27aを備えている。
カメラインタフェース28は、CCDカメラ9で撮像した画像信号を表示制御部23を介して液晶ディスプレイ4に表示する。またカメラインタフェース28は、主制御部20の制御に基づいて、CCDカメラ9が入力した画像信号を、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)4等の所定の符号化方式によって圧縮符号化する。
携帯電話機1の実施例1について、図14及び図15に基づいて説明する。携帯電話機1の実施例1では、モード制御部27のモード情報記憶部27aに、モード情報40が記憶されている。モード情報40は、携帯電話機1の状態(モード0乃至モード5のいずれかの状態)を示す状態情報40aに対して機能を示す機能情報40bがそれぞれ対応付けられた情報である。これらのモード情報40は、予めユーザにより操作キー5を介して入力された情報であっても、各々の状態に対して前回使用した時に起動された機能を対応付けて記憶した情報であっても良い。
例えば図14に示すモード情報40によると、モード1の状態に対して音声通話機能、モード2の状態に対してTV機能、モード3の状態に対してカメラ機能、モード4の状態に対してWEBブラウジング機能、モード5の状態に対してゲーム機能がそれぞれ対応付けられている。
ユーザが携帯電話機1の形状状態を変化させた時に、モード制御部27がモード情報40に基づいて所定の機能を起動するモード制御処理を行う際の手順について、図15に示すフローチャートに基づいて説明する。以下、例えば「ステップS101」を「S101」のように、「ステップ」の語句を省略して説明する。
ユーザは、所望の機能を起動する際に、下筐体2及び上筐体3の操作しやすい形状状態に変化させてから起動することが多い。そこで携帯電話機1では、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化したことに基づいてユーザの所望の機能を起動させることにより、ユーザの操作負荷を軽減させる。
まずモード制御部27は、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化したか否かを判断する(S101)。これは、磁気センサ8a乃至8gにより検出された情報に基づいて判断される。形状状態が変化していない場合(S101のNo)は、モード制御部27は変化するまで待機する。
形状状態が変化した場合(S101のYes)は、モード制御部27は、モード情報記憶部27aから、S101にて形状状態が変化した際の変化後の状態に対応付けられた機能情報40bを取得する(S103)。そして、モード制御部27は、S103にて取得した機能情報40bが示す機能を起動する(S105)。例えばユーザがS101にてモード0の状態から上筐体3を下筐体2に対してスライドさせてモード1の状態に変化させた場合、モード制御部27は、S103にてモード情報40にてモード1に対応付けられている機能である音声通話機能を取得し、S105にて音声通話機能を起動する。
そしてモード制御部27は、再びS101に戻って、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化するまで待機し、モード制御部27がこのS101乃至S105の処理を繰り返すことにより、ユーザが下筐体2及び上筐体3の形状状態を変化させる都度に、ユーザの所望の機能を起動することを可能としている。
このように、下筐体2及び上筐体3が相互にスライド自在に積層された携帯電話機1において、電話番号の入力やメールの入力などを行う際に、上筐体3を一方方向にスライドすると、下筐体2にテンキー5bが現れ、上筐体3をもう一方の方向にスライドすると、ボタン5cや、ポインティングデバイス用の静電パッド5e、ロータリースイッチ5dが露出し、ゲームやWEBブラウジング等を行う際の操作性を向上させることができる。さらに、上筺体3が下筺体2に対して平行な平面状を回転する機構を持ち、液晶ディスプレイ4を横長にして使用することによりテレビ視聴やWEBブラウジングを行う場合の操作性を向上させることができる。また、下筐体2及び上筺体3の形状状態毎に、起動される機能をユーザが予め設定しておくことにより、ユーザが頻繁に使用する機能を、下筐体2及び上筺体3の形状状態を変えるだけで即座に起動させることができる。さらに、前回使用した機能を記憶しておくことにより、ユーザが前回使用した機能を、下筐体2及び上筺体3の形状状態を変えるだけで即座に起動させることができる。
なお、本発明に係る電子機器の実施例1として、ユーザが下筐体2及び上筐体3の形状状態を変化させることに基づいて、変化後の状態に対応した機能を起動する例について説明したが、これに限定されず、モータを内蔵することにより、ユーザが機能を起動することに基づいて、起動された機能に対応した形状状態に下筐体2及び上筐体3を変化させても良い。例えば携帯電話機1がモード0の状態にある時に、モード2に設定されているテレビ機能がユーザにより選択されると、携帯電話機1は、モータにより上筺体3が下筐体2に対してスライドしてモード1の状態に変形し、更に上筺体3が下筐体2に対して回転してモード2に変形する。この際、モード制御部27は、ユーザが起動した機能を示す機能情報40bに対応付けられた状態情報40aに、下筐体2及び上筐体3の形状状態を変化させる。
また、携帯電話機1の形状を所定の状態にして所定の機能を起動している時に、着信やメール受信、アラーム等のイベントが発生した際には、その時に起動されている機能を一旦停止してそのイベントを割り込ませ、イベントが終了した時に、一旦停止していた機能を再開するようにしても良い。例えばユーザが携帯電話機1をモード2の状態にしてWEBブラウジング機能を起動している最中に音声着信があった場合、ユーザが携帯電話機1をモード1の状態に戻すと、モード制御部27はWEBブラウジング機能を一旦中断してモード1の状態で音声通話を開始する。そして音声通話の終了後、ユーザが携帯電話機1をモード2の状態に戻したことに基づいて、モード制御部27は再びWEBブラウジング機能を再開する。
またユーザが携帯電話機1をモード2またはモード5の状態にしてテレビ視聴機能を起動している最中に音声着信があった場合は、ユーザが携帯電話機1をモード1の状態に戻した時に、視聴中のテレビ番組について自動的に録画を行い、音声通話の終了後にこの録画されたテレビ番組を再生するようにしても良い。
さらに、実施例1として磁気センサ8a乃至8gを用いて携帯電話機1の形状状態を検知する例について説明したが、これに限らず、他の検出法を用いても良い。
本発明に係る電子機器(携帯電話機1)の実施例1によると、上筐体3を下筐体2に対して2方向にスライドできるように構成することにより、未使用時にはテンキー5bやボタン5c、ロータリースイッチ5d、静電パッド5e等の操作手段が装置内部に収納されているが必要に応じてこれらの操作手段が露出されるため、携帯電話機1の形状を大きくすることなく、携帯電話機1でゲームやWEBブラウジング、メールの文字入力等を行う際の操作性を向上させることが可能となった。また、上筺体3を下筺体2に対して平行な平面方向に回転できるように構成することにより、TVの視聴やWEBブラウジングを行う場合の操作性を向上させることが可能となった。
また、本発明に係る電子機器(携帯電話機1)の実施例1によると、形状状態と機能とが対応付けられた情報を予め記憶しておくか、あるいは、各形状状態に対して前回使用された機能を対応付けて記憶しておき、携帯電話機1の形状状態が変化した際に、変化後の形状状態に対応付けられた機能を起動することにより、ユーザが所望の機能を起動する時の手間を省くことができる。これにより、携帯電話機1でゲームやWEBブラウジング、メールの文字入力等を行う際の操作性を向上させることが可能となった。
携帯電話機1の実施例2について、図16乃至図18に基づいて説明する。
携帯電話機1の実施例2では、モード制御部27のモード情報記憶部27aに、モード情報41が記憶されている。モード情報41は、携帯電話機1の状態(モード0乃至モード5のいずれかの状態)を示す状態情報41aに対して、機能を示す機能情報41b、子機能情報41bが示す各機能の使用頻度を示す頻度情報41c、状態情報41aが示す状態では使用できない機能を示す不可機能情報41dがそれぞれ対応付けられた情報である。これらのモード情報41は予め設定されている情報であるが、使用頻度情報40cは、ユーザが各々の状態において所定の機能を起動する度に更新される。
例えば図16に示すモード情報41によると、モード1の状態に対して音声通話機能、メール機能、WEBブラウジング機能、・・・等の機能情報41bが対応付けられている。また、これらの機能情報41bのそれぞれについて、音声通話機能が50回、メール機能が40回、WEBブラウジング機能が30回、・・・等の使用頻度が対応付けられている。また、モード1の状態に対してカメラ機能が不可機能情報41dとして対応付けられている。これは、例えばモード1の状態ではCCDカメラ9が隠蔽された状態であってカメラ機能が起動できないため、カメラ機能が使用できない機能として設定されている。同様に、モード2乃至モード5の状態では、マイクロフォン7が隠蔽されていたりマイクロフォン7とスピーカ6の位置関係が音声通話に適していなかったりするため、音声通話機能が使用できない機能として設定されている。
実施例1と同様に、携帯電話機1では、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化したことに基づいて、ユーザの所望の機能を起動させる。まずモード制御部27は、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化したか否かを判断する(S201)。これは、磁気センサ8a乃至8gにより検出された情報に基づいて判断される。形状状態が変化していない場合(S201のNo)は、モード制御部27は変化するまで待機する。
形状状態が変化した場合(S201のYes)は、モード制御部27は、モード情報記憶部27aから、S101にて形状状態が変化した際の変化後の状態に対応付けられた機能情報41bのうちの頻度情報41cが示す使用頻度が最も高い機能を取得する(S203)。そして、モード制御部27は、S203にて取得した機能を起動する(S205)。例えばユーザがS201にてモード0の状態から上筐体3を下筐体2に対してスライドさせてモード1の状態に変化させた場合、モード制御部27は、S203にてモード情報40にてモード1に対応付けられている機能のうちの使用頻度が最も高い機能である音声通話機能を取得し、S205にて音声通話機能を起動する。
モード制御部27は、ユーザにより操作キー5を用いてメニュー表示が指示されたか否かを判断する(S207)。ユーザは、S201にて下筐体2及び上筐体3の形状状態を変化させたことによりS205にて起動された機能が、所望の機能と異なっていた場合に、別の機能を起動するためのメニュー表示画面50を表示するように指示を出す。
ユーザによりメニュー表示が指示された場合(S209)は、モード制御部27は、モード情報記憶部27aから、S201にて形状状態が変化した際の変化後の状態に対応付けられた機能情報41bを、頻度情報41cが示す使用頻度が高い順に並べて取得する(S209)。またモード制御部27は、モード情報記憶部27aから、S201にて形状状態が変化した際の変化後の状態に対応付けられた不可機能情報41dを取得し、S209にて取得した機能情報41bから不可機能情報41dと同じ機能を示す情報を除外する(S211)。
モード制御部27は、液晶ディスプレイ4にメニュー表示画面50を表示する(S213)。メニュー表示画面50は、図18に示すように、所定の機能を起動するためのメニューボタン51a、51b、・・・を備えている。メニューボタン51a、51b、・・・は、S209にて取得された機能からS211にて使用できないものが除外されて残ったそれぞれの機能に対応している。例えばメニューボタン51a、51b、・・・は、使用頻度が高い順に並べられて対応付けられている。すなわち、S201にてモード2の状態に変化した場合、モード情報41に基づいて、メニューボタン51aに使用頻度が最も高い機能であるテレビ機能が対応付けられ、メニューボタン51bに使用頻度が2番目に高い機能であるゲーム機能が対応付けられる。
ユーザは、S215にて表示したメニュー表示画面50から操作キー5を用いていずれかのメニューボタン51a、51b、・・・を選択することにより、所望の機能の起動を指示する。モード制御部27は、S215にて表示したメニュー表示画面50からいずれかのメニューボタン51a、51b、・・・が選択されたか否かを判断する(S215)。いずれのメニューボタン51a、51b、・・・も選択されていない場合(S215のNo)は、モード制御部27はいずれかのメニューボタン51a、51b、・・・が選択されるまで待機する。
メニューボタン51a、51b、・・・が選択された場合(S215のYes)は、モード制御部27は、選択されたメニューボタン51a、51b、・・・に対応した機能を起動することにより、ユーザの所望の機能を起動する(S217)。
S207にてメニューが指示されなかった場合(S207のNo)、またはS217にてユーザの所望の機能を起動した場合、モード制御部27は、モード情報41の頻度情報41cを更新する(S219)。例えばモード2の状態においてテレビ機能を起動した場合は、モード制御部27は、モード情報41において、モード2のテレビ機能に対応付けられた使用頻度を28回から29回に更新する。そしてモード制御部27は、再びS201に戻って、下筐体2及び上筐体3の形状状態が変化するまで待機し、モード制御部27がこのS201乃至S219の処理を繰り返すことにより、ユーザが下筐体2及び上筐体3の形状状態を変化させる都度に、ユーザの所望の機能を起動することを可能としている。
このように、下筐体2及び上筺体3の形状状態毎にユーザの使用頻度を記憶しておき、ユーザにより携帯電話機1の形状状態が変更された際に、モード制御部17はこの使用頻度に基づいて所定の機能を起動する。
また、ユーザにより起動可能な機能を提示するためのメニュー表示の指示がされた際に、メニュー表示画面50において各々の機能を使用頻度の高い順に並べることにより、ユーザが起動された機能と異なる機能を使用したい場合にも、使用頻度の高い機能がメニューリストの上位、すなわちアクセスしやすい位置にあるので、ユーザが機能を容易に切り替えることができる。
本発明に係る電子機器(携帯電話機1)の実施例2によると、上筐体3及び下筐体2を相互に複数方向にスライド可能なように積層させ、スライドの方向により異なる操作手段を露出させるとともに、スライド方向毎に各機能の使用頻度を記憶しておき、上筐体3が下筐体2に対してスライドされた際、そのスライド方向における使用頻度の高い機能を起動することにより、ユーザが所望の機能を起動する時の手間を省くことができる。これにより、携帯電話機1を用いてゲームやWEBブラウジング、メールの文字入力等を行う際の操作性を向上させることが可能となった。
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ等であっても構わない。
1…携帯電話機,2…下筐体,3…上筐体,4…液晶ディスプレイ,5、5a乃至5e…操作キー,6…スピーカ,7…マイクロフォン,8a乃至8g…磁気センサ,9…CCDカメラ,10…連結機構,11…ガイドプレート,12…スライドプレート,13…回転ヒンジ部材,14…ベースプレート,15…回転位置規制手段,15…回転角度規制手段,20…主制御部,21…電源回路部,22…操作入力制御部,23…表示制御部,24…記憶部,25…音声コーデック,26…変復調回路部,27…モード制御部,27a…モード情報記憶部,28…カメラインタフェース,36…送受信回路部,37…アンテナ,40、41…モード情報,50…メニュー表示画面。