JP3746028B2 - 帯鋸の歪取り装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、帯鋸に発生する歪を除去する歪取り装置とその使用方法に係り、特に帯鋸を長時間に亘って使用した場合等に発生し易い大きな歪も容易に且つ効果的に除去することの出来る新規な構造の歪取り装置と、かかる歪取り装置の好適な使用方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、帯鋸は、例えば製材に際しての切削工程で広く採用されているが、目的とする切削作業を高精度に安定して行うためには、帯鋸の形状も高精度に管理する必要がある。そのために、一般に、帯鋸の製造や管理に際して帯鋸に施される熱処理や表面研磨,巻き取り,腰入,背盛等の加工後には、かかる加工で帯鋸の鋸身に発生した歪を取り除く歪取り作業(水平仕上作業とも称される)が行われると共に、所定時間使用した後には、使用に際しての熱変形や冷却等により帯鋸に発生した歪を除去する歪取り作業が行われることとなる。
【0003】
そして、かかる帯鋸の歪取りの具体的手法としては、従来から、ハンマで鋸身の歪部分を叩いて延ばす作業等が知られているが、これらの作業は、手作業であるが故に、作業に熟練を要し、安定して効果が期待され難いことに加えて、作業に多くの労力と時間が必要で処理量にも限界があるという問題があった。
【0004】
そこで、このような問題に鑑み、鋸身の歪を取り除く装置も幾つか提案されている。かかる装置としては、(i)上部ロールと下部ロールの間に、それら上下ロールの対向方向に直角な方向から帯鋸を差し入れて、鋸身を板厚方向で押圧することによって腰入れを行う公知の腰入れ用ロール機(伸整機)をそのまま歪取りに利用したものや、或いは(ii) かかる腰入れ用ロール機における帯鋸のロール間への差し入れ側に支持ロールを配設して、上下ロール間に差し入れられる帯鋸を該支持ロールで上方に持ち上げることにより、上下ロールの押圧力で下方に向かう歪が生ぜしめられることを利用した改造型の腰入れ用ロール機の他、(iii)軸方向中央部分が小径とされた凹状断面のロールと軸方向中央部分が大径とされた凸状断面のロールを、帯鋸の両面に押圧せしめることにより、帯鋸の歪を反対側から直接に押圧して除去するようにした歪取りロール機が、知られている。
【0005】
しかしながら、上述の(i)〜(iii)の如き従来構造のロール機においては、何れも、腰入れのように帯鋸の全長に亘って大きな押圧力を及ぼすのに有効であるように、帯鋸の両面に押圧せしめられて鋸身に対して歪取りのための押圧力を及ぼす一対のロールが、鋸身の進行方向に直交する方向で対向位置せしめられていることから、帯鋸に作用する押圧力の調節が難しく、歪に対して局部的に大きなローラ圧力がかけられることによって新たな歪が発生し易いという問題があった。特に、近年では、帯鋸の改良による長寿命化に伴って、除去すべき発生歪も大きくなる傾向にあるが、このような大きな歪は、従来の(i)や(ii)の如き腰入れ用ロール機を利用したものでは充分に除去することが難しく、また、(iii)の如き凹状断面と凸状断面の一対のロールを用いた歪取りロール機では、局部的に大きな押圧力が帯鋸に作用するために、大きな歪を局部的にしか除去できずに、全体として小さな歪が残り易いという問題があったのである。
【0006】
なお、このような問題に対処するために、腰入れ用のロール機を利用することなく、歪取りの目的に特化した専用のロール機も、特許文献1に提案されている。かかるロール機では、帯鋸の両面に押圧力を及ぼす上部ロールと下部ロールを、帯鋸の送り方向に直角な方向から前後方向(帯鋸の送り方向)に所定量だけ偏倚させることで、それら上下ロール間の押圧力と帯鋸の長手方向の張力を利用して歪を除去するようになっており、上下ロールを帯鋸の送り方向にずらせて位置せしめたことにより、歪取りのために帯鋸に及ぼされる押圧力を細かく加減することが可能となるのである。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された従来構造の歪取りロール機においては、上下ロールを帯鋸の送り方向にずらせたことで帯鋸に作用せしめられる押圧力が小さくなることが避けられず、帯鋸の材質や発生した歪の状態等によっては、歪に対して充分な除去効果を得ることが難しい場合があったのである。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−300523号公報
【0009】
なお、このような問題に対処するために、特許文献1には、上下部ロールのロール面の幅方向両側において径方向外方に突出する一対の歪取りロールを設けて、ロール面を実質的に凹形断面形状とすることにより、帯鋸に対して局部的に大きな押圧力を及ぼして歪の除去作用を向上せしめた構造も提案されているが、このような歪取りロールを採用すると、帯鋸に及ぼされる押圧力が局部的になり過ぎて、結局、前記(iii)の如き凹状断面と凸状断面の一対のロールを用いた歪取りロール機と同様に、大きな歪を局部的にしか除去できず、全体として小さな歪が残り易いという問題を内在するものであった。
【0010】
要するに、歪取り用のロール機を含む従来構造の歪取り装置は、未だ充分な歪取り機能を有するものでなかったのであり、特に、近年では、帯鋸の鋸歯等の耐久性の向上に伴い帯鋸が長時間使用されるようになっているいることに伴って、鋸車の端部と接触する鋸身の歯部側乃至は背部側に周方向の略全体に亘って延びるような状態で歪が発生する場合があるが、そのように幅寸法が大きく、且つなだらかな形状の歪を除去せしめることに関しては、何等の方策も講されていなかったのである。
【0011】
なお、帯鋸における幅広の歪を除去するために、上下ロールの軸方向長さ寸法を大きくして、帯鋸の幅方向におけるロールの当接部分を大きくすることも考えられるが、そのようなロール機においては、装置の大型化や必要駆動力の増大などに伴って製造コストやランニングコストが増大するという問題があることに加えて、小さな歪の除去に対応し難くなることから、現実的ではない。
【0012】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、帯鋸における大きな歪も効果的に除去することが可能であり、帯鋸の歪を除去する鋸身の水平仕上げ作業を容易に且つ高精度に行うことが出来る新規な構造の帯鋸の歪取り装置を提供することにある。
【0013】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0014】
先ず、本発明の第一の態様は、第一のロールと第二のロールを互いに平行に延びる各回転中心軸回りで回転可能に配設せしめて、それら第一及び第二のロールの各回転中心軸に直交する方向から帯鋸を両ロール間に送り込み、該帯鋸を該第一のロールと該第二のロールで鋸厚方向に挟み込んで該帯鋸の内外両面から押圧力を及ぼすようにした帯鋸の歪取り装置において、前記第一のロールの外径を前記第二のロールの外径よりも小さく且つ該第一のロールの幅寸法を該第二のロールの幅寸法よりも小さく設定すると共に、該第一のロールおよび該第二のロールの幅寸法を前記帯鋸の幅寸法よりも小さくして、該第一のロールの回転中心軸を該第二のロールの回転中心軸よりも帯鋸の送り方向の前方に位置決めし、更に、該第二のロールと同じ側から前記帯鋸に押圧力を及ぼす第三のロールを、該帯鋸の送り方向で該第二のロールよりも先方に配設したことを、特徴とする。
【0015】
このような本態様に従う構造とされた帯鋸の歪取り装置においては、第一のロールと第二のロールの間で帯鋸に及ぼされる押圧力を帯鋸の送り方向に傾けただけでなく、第一のロールと第二のロールの間から送り出された帯鋸を第一のロールによる押圧力に抗して持ち上げる第三のロールを配したのであり、この第三のロールによって帯鋸に及ぼされる押圧力が帯鋸の長手方向にかけられたテンション(張力)を補助して、第一と第二のロール間の押圧力に基づいて帯鋸に及ぼされる、第二のロール側に凸となる方向の歪力が一層有利に作用せしめられることとなる。
【0016】
また、それに加えて、第一のロールの外径を第二のロールの外径よりも小さくしたことにより、第一のロールの帯鋸に対する押圧面が第二のロールの帯鋸に対する押圧面に比してそれら両ロールの外径寸法差に基づく分だけ周方向に小さくされて単位面積当りで帯鋸に作用せしめられる押圧力が大きくなるのであり、それによっても、第一と第二のロール間の押圧力に基づいて帯鋸に及ぼされる、第二のロール側に凸となる方向の歪力が一層有利に作用せしめられ得るのである。
【0017】
従って、本態様に係る歪取り装置においては、第一のロール側から第二のロール側に向かって凸となる方向の歪力が全体として極めて有効に及ぼされ得るのであり、その結果、第一のロールと第二のロールによって帯鋸の板厚方向に及ぼされる圧力を著しく大きくしなくても、帯鋸に対して、第二のロール側になる方向の歪力を効果的に及ぼすことが出来るのであり、それ故、かかる歪力を、帯鋸に発生した歪を相殺するように及ぼすことによって、帯鋸における歪を有効に除去することが可能となるのである。
【0018】
特に、かかる歪取り装置においては、帯鋸の板厚方向に対して直接に押圧力を及ぼすものでなく、第一のロールと第二のロールを帯鋸の送り方向に相対偏倚させて配設し、それら第一のロールと第二のロールの外径寸法差と、第三のロールによって帯鋸に及ぼされる押圧力を相乗的に上手く利用することによって、全体として帯鋸に対する局部的な押圧力の作用を軽減乃至は回避せしめつつ、帯鋸に対して有効な歪力を及ぼしめることに成功し得たのであり、それ故、帯鋸の幅方向に大きな歪に対して、例えば幅方向で複数箇所に分割してロール掛けすることで歪を相殺除去する場合にも、局部的な歪の残留や反対側への歪の発生を回避しつつ、大きな歪を全体として効果的に除去することが可能となるのである。
【0019】
なお、本態様において、第一,第二及び第三のロールの形状や大きさ等は、処理する帯鋸の材質や大きさの他,除去すべき歪の大きさや形状等に応じて適宜に設定され得る。また、第三のロールは、第一及び第二のロールの回転中心軸と平行な回転中心軸回りで回転可能に配設することが望ましいが、それに限らず、例えば、第三のロールの帯鋸(鋸身)に対する接触状態等を考慮して、非転動体としたり、或いは滑らかな棒状部材等で第三のロールを構成することも可能である。また、帯鋸の送り手段として、例えば、第一のロールや第二のロール、第三のロールの他、鋸身を適当な箇所で支持せしめて、電動モータ等の駆動手段で駆動されるプーリ等の回転駆動手段が、本態様に係る歪取り装置と組み合わされて好適に採用される。
【0020】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記第一のロールと前記第二のロールの各外周面を、何れも、各回転中心軸回りに広がる円筒形状としたことを、特徴とする。このような本態様においては、第一および第二のロールの押圧作用に際して帯鋸に及ぼされる応力を帯鋸の幅方向に一層有利に分散させて局部応力を軽減することができるのであり、それ故、例えば、帯鋸の幅方向に大きく広がる歪に対して、一層優れた除去効果を容易に得ることが可能となる。
【0021】
また、本発明の第三の態様は、前記第一の態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記第一のロールおよび前記第二のロールの何れか一方の外周面を回転中心軸回りに広がる円筒形状とすると共に、それら第一のロールと第二のロールの他方の外周面を、軸方向中間部分が大径とされた山形断面で回転中心軸回りに広がる凸形筒形状としたことを、特徴とする。このような本態様においては、例えば帯鋸の幅方向の大きさが比較的に小さい場合にも、有利に対応して歪を有効に除去することが可能となる。
【0022】
ここにおいて、本発明では、第一,第二及び第三のロールの外周面形状や外径寸法など適宜に変更してロール掛けすることが出来るようにすることも可能であり、それによって、例えば、前記第二の態様に係るロールと第三の態様に係るロールを、加工対象である帯鋸の材質や、当該帯鋸に発生している歪の形態等を考慮して適当なロールを選択して採用することで、歪取りを一層有利に行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記第三のロールの位置を前記第二のロールに対して、少なくとも前記帯鋸の送り方向で相対的に調節せしめ得る位置調節手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、帯鋸の材質や大きさまたは歪の形状や大きさ等に応じて、第三のロールによる帯鋸の押圧支持箇所を適宜に設定変更せしめて、帯鋸に及ぼされる歪力の大きさや作用領域等を調節することが出来るのであり、それによって、帯鋸の歪を、各個別の状態に対応して一層効果的に除去することが可能となる。
【0024】
なお、本態様において、第二のロールに対して第三のロールを相対変位せしめる位置調節手段は、例えば、第二のロールと第三のロールの少なくとも一方の回転中心軸を支持せしめる部材を、電動モータやシリンダ機構、螺子部材等によって装置本体に対して自動または手動で変位させること等によって有利に実現され得る。
【0025】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記第一のロールを前記第二のロールに対して相対的に接近/離隔方向に変位可能とする変位手段を設けて、それら第一のロールと第二のロールの間で前記帯鋸に及ぼされる板厚方向の押圧力を調節することが出来るようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、帯鋸に対して第一のロールと第二のロールで及ぼされる押圧力が容易に調整可能となり、それによって、歪の大きさ等に対して容易に且つ速やかに対応することが出来る。
【0026】
また、本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記変位手段による前記第一のロールの前記第二のロールに対する相対的な変位許容範囲を制限するストッパ手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、例えば、第一のロールの第二のロールに対する最大の接近位置を規定することで、必要以上に過大な押圧力が帯鋸に及ぼされて帯鋸に対して修復し難い歪や、問題となる応力履歴の発生することを回避することが可能となる。
【0027】
また、本発明の第七の態様は、前記第五又は第六の態様に係る帯鋸の歪取り装置において、前記第一のロールを、該第一のロールの回転中心軸に平行な回動軸回りに回動可能に支持せしめて、該第一のロールの該回動軸回りの回動操作に伴って該第一のロールが前記第二のロールに対して接近/離隔変位せしめられるようにすることにより前記変位手段を構成すると共に、該第一のロールを該回動軸回りで該第二のロールから離隔する方向に付勢して、外力が及ぼされていない状態下で該第一のロールを該第二のロールから離隔した位置に保持せしめ得る付勢手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、第一のロールを第二のロールに対して、効率的に且つ極めてスムーズに接近/離隔変位させることが出来るのであり、例えば、第一のロールの回動位置を手動で操作することも可能となり、それによって、梃子の作用を利用して簡便な手動操作による応力力の調節機構が実現され得ると共に、帯鋸の材質や発生している歪の形状等に対して手動で速やかに対応することが可能となる。なお、付勢手段には、例えば、板バネや弾性ゴム、コイルスプリング等が何れも採用可能である。
【0028】
また、本発明は、上述の如き第一乃至第七の何れかの態様に係る、本発明に従う構造とされた歪取り装置の使用方法も、範囲に含む。即ち、歪取り装置の使用方法に関する本発明の特徴とするところは、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る歪取り装置の使用方法であって、前記第一のロールと前記第二のロールの間に、それら第一及び第二のロールの各回転中心軸に直交する方向から帯鋸を両ロール間に送り込み、該帯鋸を該第一のロールと該第二のロールで鋸厚方向に挟み込んで該帯鋸の内外両面から押圧力を及ぼして歪取りすることで該帯鋸に水平仕上を施すに際して、該帯鋸に押圧力を及ぼす部位を該帯鋸における鋸身の歯部側から背部側に向かって移行せしめることを、特徴とする。
【0029】
このような本発明方法に従えば、一般に、挽き曲がりに対する歪の影響が背部側の歪よりも大きいとされる歯部側の歪が効果的に除去されることとなり、以て、鋸身の水平仕上が有利に実現され得る。
【0030】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0031】
先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としてのロール機10が示されている。かかるロール機10は、ベース12に固定された架構14に対して、第一のロールとしての上部ローラ16と第二のロールとしての下部ローラ18が、互いに離隔して支持せしめられた構造とされており、帯鋸20をそれら上部ローラ16と下部ローラ18の間に挟んでローラ掛けせしめることにより、帯鋸20の鋸身22等に発生した歪を除去するようになっている。
【0032】
より詳細には、架構14は、平面視で略コ字状とされており、それぞれ、略水平方向に延びる上壁部23と底壁部24が水平方向一方の端部で竪壁部25により相互に連結されることによって形成されている。これにより架構14は、その底壁部24がベース12に固着されて装着されており、かかる装着状態下で上壁部23と底壁部24の間には、水平方向一方(図2中、左方)に開口する空所27が形成されて、ここに後述する帯鋸20が通過せしめられるようになっている。また、架構14の上壁部23の突出方向先端部分には、略平板形状を有する側壁板26が固着されており、この側壁板26に対して、枢軸28が略水平に延びるようにして固着されていると共に、枢軸28に対して図示しないベアリング等を介して略円筒形状の回動筒具30が回動可能に外嵌固定されている。更に、回動筒具30には、略平板形状の当接板32が径方向外方に向かって突設されていると共に、当接板32の上端部には、ロッド状の把持棒34が固着されている。
【0033】
また、当接板32の下端部付近における回動筒具30の周上の一箇所には、枢軸28と略平行に延びるようにして第一の固定軸36が固着されている。また、第一の固定軸36は、略段付き円柱形状とされて小径部分が軸方向外方(図2中、左方)に向かって突出するように位置せしめられており、該小径部分に対してベアリング等を介して上部ローラ16が回動可能に外嵌固定されている。特に本実施形態では、上部ローラ16が、小径の略円環形状を呈しており、その径方向外周面が全周に亘って平坦な形状とされている。これにより、上部ローラ16は、第一の固定軸36を中心軸として回動筒具30に回動可能に取り付けられていると共に、回動筒具30に内嵌される枢軸28を回動軸として当接板32および把持棒34と共に枢軸28回りを回動せしめられるようになっている。
【0034】
また、上壁部23の突出方向先端における側壁板26の幅方向一方(図1中、右方)の端部には、略平板形状を有する調節板38が固着されている。更に、調節板38には、枢軸28や第一の固定軸36等の軸方向と略平行とされる板厚方向に多数の貫通孔40が貫設されており、これら貫通孔40の何れかに当接ボルト42が着脱可能に内挿固定されるようになっている。また、当接ボルト42の軸方向一方(図2中、左方)の端部が、枢軸28を回動軸とする当接板32の回動変位上に位置せしめられており、以て、当接板32の枢軸28回りの回動に際して当接板32と当接ボルト42が当接されることにより、当接板32の回動端、延いては把持棒34や上部ローラ16の回動端が制限されるようになっている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、上部ローラ16と後述する下部ローラ18を相互に相対変位せしめる変位手段が、枢軸28や回動筒具30、当接板32、把持棒34を含んで構成されていると共に、該変位手段による上部ローラ16の下部ローラ18に対する相対的な変位許容範囲を制限するストッパ手段が、当接板32や調節板38、貫通孔40、当接ボルト42を含んで構成されている。
【0035】
さらに、回動筒具30や把持棒34等の上方には、付勢手段としてのコイルスプリング44が設けられている。また、把持棒34の当接板32に固着される先端部付近と架構14の上壁部23の突出方向先端部分には、それぞれ、略リング状や略U字状等を呈する係止金具46,46が固設されている。そして、コイルスプリング44が、これら係止金具46,46の間において把持棒34の軸方向と略平行に延びるようにして位置せしめられていると共に、その両端が係止金具46,46に係止されており、架構14と把持棒34の間に付勢力を及ぼしている。これにより、上部ローラ16は、把持棒34がコイルスプリング44の付勢力に抗して枢軸28回りを周方向一方向(図1中、時計回り方向)に回動されることにより、該把持棒34と共に枢軸28回りを回動されるようになっていると共に、付勢力に抗する力が解除されることにより、コイルスプリング44の付勢力に伴い把持棒34と共に周方向他方向(図1中、反時計回り方向)に回動されて所定の回動端で保持されるようになっている。なお、本実施形態では、上部ローラ16の周方向一方(図1中、時計回り方向)の回動端が当接板32や当接ボルト42等によって制限されていたが、必要に応じて上部ローラ16の周方向他方(図1中、反時計回り方向)の回動端も、架構14に固着され、且つ把持棒34の回動変位上に位置せしめられる図示しない当接ロッド等によって制限されても良い。
【0036】
また、架構14における底壁部24の突出方向先端部分には、側壁板26が固着されており、この側壁板26に対して枢軸28や第一の固定軸36等と略平行に延びるようにして第二の固定軸48が板厚方向一方(図2中、左方)に向かって固設されている。また、第二の固定軸48は、略段付き円柱形状とされて小径部分が軸方向外方(図2中、左方)に向かって突出するように位置せしめられており、該小径部分に対してベアリング等を介して下部ローラ18が回動可能に外嵌固定されている。特に本実施形態では、下部ローラ18が、上部ローラ16よりも大径の略円環形状を呈していると共に、その幅寸法が上部ローラ16よりも僅かに大きくされており、更にその径方向外周面が上部ローラ16と同様に全周に亘って平坦な形状とされた形態で、略鉛直方向となる架構14の高さ方向(図1,2中、上下方向)で上部ローラ16と対向配置されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、下部ローラ18の中心軸が第二の固定軸48によって構成されている一方、後述する上部ローラ16における帯鋸20の当接面と下部ローラ18における帯鋸20の当接面が、何れも、軸方向においてテーパ角をもたない直線形状とされている。
【0037】
また、これら上部ローラ16と下部ローラ18は、前述の如く上部ローラ16が枢軸28回りを回動されることによって、相対的に接近/離隔方向に変位せしめられるようになっており、特に本実施形態では、上部ローラ16の回動に際して当接板32と当接ボルト42が当接されることによって制限される上部ローラ16の回動端が、上部ローラ16と下部ローラ18の対向面間距離が最も小さくなる位置とされており、かかる位置において上部ローラ16の中心軸(第一の固定軸36)と下部ローラ18の中心軸(第二の固定軸48)の対向方向が架構14の鉛直方向に対して傾斜されている。即ち、このような上部ローラ16の回動端の位置決め状態で、上部ローラ16は、下部ローラ18よりも側壁板26の幅方向一方(図1中、左方)の側に偏倚して位置決め配置されているのである。
【0038】
更にまた、底壁部24の突出方向先端における側壁板26の幅方向一方(図1中、左方)の側には、前記第二の固定軸48と略同様な構造とされた第三の固定軸50が、枢軸28や第一および第二の固定軸36,48等と略平行に延びるようにして側壁板26の板厚方向一方(図2中、左方)の側に向かって固設されている。また、第三の固定軸50は、側壁板26の幅方向において第二の固定軸48と対向配置されており、第二の固定軸48と略同じ高さ位置に並設されている。更に、第三の固定軸50の軸方向外方に突出する小径部分には、ベアリング等を介して第三のロールとしての支持ローラ52が回動可能に外嵌固定されている。かかる支持ローラ52は、前記下部ローラ18と略同様な形状や大きさ、構造等とされており、第三の固定軸50に固定されることによって、側壁板26の幅方向一方(図1中、左方)の側に位置せしめられて、側壁板26の幅方向他方(図1中、右方)の側に固定された下部ローラ18と対向配置されていると共に、前述の如く上部ローラ16と下部ローラ18の対向面間距離が最も小さくなる設定状態において、これら上部ローラ16や下部ローラ18よりも側壁板26の幅方向一方(図1中、左方)の側に配設位置せしめられている。
【0039】
また、特に限定されるものでないが、下部ローラ18の中心軸(第二の固定軸48の中心)と支持ローラ52の中心軸(第三の固定軸50の中心)の対向面間距離:L1 と、下部ローラ18の半径:r1 と支持ローラ52の半径:r2 の総和距離:r1 +r2 =L2 の比の値:L1 /L2 が、望ましくは1≦L1 /L2 ≦5とされ、より望ましくは1≦L1 /L2 ≦3に設定されており(図5参照)、本実施形態では、かかるL1 /L2 の値が、L1 /L2 =1.05とされている。
【0040】
また、このような構造とされたロール機10は、図3にも概略的に示されているように、帯鋸20の鋸身22に発生した歪を取り除く帯鋸20の水平仕上げ作業において、一端が鋸車プーリ54で支持せしめられていると共に、他端が多数の固定ローラ56で支持せしめられることによって適度な緊張力が及ぼされた帯鋸20に対して、上部ローラ16と下部ローラ18の間に鋸身22を挟むようにして鋸身22の周上の一箇所に配置されており、また、一対の駆動ローラ58,58を備えた駆動ロール機60が、鋸身22の周上の別の箇所に設けられて、鋸身22を一対の駆動ローラ58,58で挟んで一方向(本実施形態では、図3中、反時計回り方向)に駆動せしめることにより、鋸身22の歪を上部ローラ16と下部ローラ18で押圧するようになっている。なお、固定ローラ56は、任意の方向に回転可能で、且つ回転軸が固定された構造とされていると共に、鋸車プーリ54は、任意の方向に回転可能とされ、且つ図示しないサーボモータ等の駆動手段によって帯鋸20の内方および外方に変位されるようになっており、それによって、帯鋸20に所望の張り(緊張力)が及ぼされるようになっている。また、駆動ロール機60は、略鉛直方向(図6中、上下)で対向配置せしめた一対の駆動ローラ58,58が歯車機構等を介して電動機や油圧モータ等のサーボモータで駆動されることによって、一対の駆動ローラ58,58の間に挟んだ帯鋸20を一方向に駆動させる構造とされている。更に、一対の駆動ローラ58,58の形状や大きさ等は特に限定されるものないが、望ましくは、外径や断面形状、硬度等の条件が全て同一に設定されると共に、帯鋸20の当接面が軸方向においてテーパ角をもたない直線形状とされたものが採用され得る。
【0041】
また、本実施形態では、ロール機10で水平仕上げ作業が施される帯鋸20の構造や形状等は、公知であることことから、それらの詳細な説明は省略するが、一般に、帯鋸20は、無端の環状を呈していると共に、可鍛性や靱性等が大きい軟鋼からなり、鋸身22の歯底となる一方の縁部62に多数の鋸歯64を備え、更に鋸歯64の先端に所定形状のアサリ66を設けた構造とされており、図示しない帯鋸盤に設けられた一対の鋸車に掛け渡されて該鋸車の駆動によって周方向に回転されることにより、木材等の切断加工に供されるようになっている。また、かかる帯鋸20には、熱処理や表面研磨、巻き取り等の製造工程や公知の目立作業(腰入作業や背盛作業等を含む)等の他、挽き材の切断に長時間使用した際に鋸身22に熱変形や冷却作用等が及ぼされることによって、鋸身22の板厚方向の何れか一方に突出する歪68が発生することとなる。
【0042】
そこにおいて、本実施形態のロール機10においては、図4にも拡大して示されているように、鋸身22の歪68が上部ローラ16に向かって凸となるような形態で、歪68の発生した部分を上部ローラ16と下部ローラ18の間に位置せしめて、把持棒34に所定の押圧力を及ぼして上部ローラ16と下部ローラ18で鋸身22(歪68)を押圧すると共に、ベース12等に載置された図示しない定盤に帯鋸20を載置させて、当て金で鋸身を位置決めさせつつ、帯鋸20の周上に設けられた駆動ロール機60によって帯鋸20をロール機10の一方の側(下部ローラ18側)から他方の側(支持ローラ52側)に送ることにより、歪68に押圧作用が及ぼされるようになっている。
【0043】
特に本実施形態では、図5にも拡大して示されているように、鋸身22(歪68)の押圧状態で、鋸身22に押圧力を及ぼす方向となる上部ローラ16と下部ローラ18の対向方向がロール機10への鋸身22の進入方向に対して所定角度で傾斜されており、換言すれば上部ローラ16が下部ローラ18よりも鋸身22の送り方向(進行方向)の前方に位置せしめられていると共に、上部ローラ16の外径が下部ローラ18の外径よりも小さく設定されて上部ローラ16側から下部ローラ18側に向かって押圧力が及ぼされることにより、上部ローラ16および下部ローラ18による鋸身22の押圧部分が下側に向かって凸となるような歪を発生することとなり、それによって、上側に向かって凸となる歪68が、かかるロールの押圧作用により下側に向かって凸となる歪と相殺されて除去されるようになっている。
【0044】
また、本実施形態においては、押圧した鋸身22の送り方向前方部分が、下部ローラ18の前方に設けられた支持ローラ52に当接されることによって、鋸身22の水平状態が保持されつつ、鋸身22が前方に送られるようになっている。
【0045】
なお、本実施形態の鋸身22の歪68を取り除く帯鋸20の水平仕上げ作業においては、歯先を架構14の空所27に対向させた状態で帯鋸20を空所27の一方(図2中、左方)から他方(図2中、右方)に向かって移行させつつ、上部ローラ16と下部ローラ18によるロール掛けを、鋸身22の歯部側から背部側に向かって幅方向に多数条行うようにしている。
【0046】
上述の如き構造とされたロール機10においては、上部ローラ16の外径が下部ローラ18の外径よりも小さくされていると共に、鋸身22の押圧に際して上部ローラ16が下部ローラ18よりも鋸身22の送り方向の前方に位置せしめられていることにより、上部ローラ16から下部ローラ18に向かって押圧力が効果的に及ぼされることから、把持棒34に加えられる押圧力を比較的に小さく抑えることが出来、それによって、鋸身22の歪68に局部的な圧力が及ぼされることが軽減乃至は回避されることから、歪68の除去が効果的に実現され得ると共に、幅方向に大きく且つ複雑な形状とされた歪に対しても優れた除去作用が発揮され得る。
【0047】
しかも、本実施形態では、押圧した帯鋸20の送り方向前方部分が支持ローラ52に当接して支持されることにより、鋸身22がローラの圧力によって架構14の下方に向かって変位されること等に起因する鋸身22の折れ曲がりや捻り等の悪影響が軽減乃至は抑制されることから、鋸身22の送り作用の安定化や歪68の除去作業等が有利に実現され得る。
【0048】
また、本実施形態では、上部ローラ16における帯鋸20の当接面と下部ローラ18における帯鋸20の当接面が、何れも軸方向においてテーパ角をもたない直線形状とされていることにより、歪68の押圧に際して鋸身22に生じる応力を分散させることが可能となり、それによって、鋸身22の幅方向に拡がる大きな歪等も有効に除去され得る。
【0049】
さらに、本実施形態では、上部ローラ16と下部ローラ18が、把持棒34や回動筒具30等によって相互に相対変位せしめられることにより、把持棒34に加えられる押圧力等で鋸身22に対するローラ圧力が有利に調整され得るのであり、それによって、歪の除去作用がより効果的に発揮され得る。
【0050】
更にまた、本実施形態においては、上部ローラ16の枢軸28回りの回動に際して当接板32と当接ボルト42が当接されることよって上部ローラ16の回動端が制限されることにより、鋸身22に対するローラ圧力を全周に亘って略一定化させることも出来、それによって、例えば、鋸身22の周方向の略全周に亘って延びる歪等に対してその除去作用が効果的に発揮され得るのである。
【0051】
また、本実施形態では、把持棒34と架構14の間にコイルスプリング44が設けられており、かかるコイルスプリング44の付勢力によって、把持棒34の回動操作性が向上されることから、優れた作業性が発揮され得る。
【0052】
さらに、本実施形態の水平仕上げ作業に従えば、一般に、帯鋸20においては、鋸歯64の挫屈強度を高める等の目的で背盛作業が施されていることよって、帯鋸20の歯部側の緊張力が背部側の緊張力よりも大きくされていることから、背部側に大きな歪が発生し易い傾向にあり、このような帯鋸20に対して上述の如くロール掛けを行うことにより、鋸身22の水平検査で歯部側の方が背部側よりも歪が発見され難いことに起因する歯部側の歪の見落とし等が軽減され得て、歪の除去作業が一層有効に行われ得るのである。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0054】
例えば、前記実施形態では、上部ローラ16と下部ローラ18における帯鋸20の当接面が、何れも、軸方向においてテーパ角をもたない直線形状、換言すれば上部ローラ16と下部ローラ18の各外周面が各固定軸36,48回りに広がる円筒形状とされていたが、これに限定されるものでなく、歪の大きさや形状等によっては、図6にも示されるように、下部ローラ18における帯鋸20の当接面を前記実施形態と同様に平坦な形状とすると共に、上部ローラにおける帯鋸20の当接面を幅方向両端から幅方向中央に向かって径寸法が次第に大きくなる凸状とした上部ローラ70を採用することも可能であり、それによって、帯鋸20の上側に向かって突出する、特に幅寸法の小さな歪を効果的に除去せしめることが出来る。なお、図6において、前記実施形態と実質的に同様な構造とされた部材および部位については、図6中に前記実施形態と同様な符号を付することより、それらの詳細な説明を省略する。
【0055】
また、前記実施形態では、帯鋸20を挟んで上方に上部ローラ16が設けられていると共に、帯鋸20を挟んで下方に下部ローラ18が設けられていたが、勿論これに限定されるものでなく、例えば、帯鋸20を挟んで上方に下部ローラ18を設けると共に、帯鋸20を挟んで下方に上部ローラ16を設けても良く、また、それに応じて、帯鋸20を挟んで下方に設けられていた下部ローラ18に並設される支持ローラも52、帯鋸20の上方に設けることも可能である。或いはまた、帯鋸20を鉛直方向に立てて処理する場合には、水平方向に対向配置せしめた上部ローラ16と下部ローラ18の間で帯鋸20を板厚方向で挟んで歪取りの処理を施すようにして構成され得る。
【0056】
さらに、前記実施形態では、支持ローラ52の形状や大きさ、構造等が下部ローラ18と同一とされていたが、鋸身22に発生する歪68の量や方向等に応じて、支持ローラ52の形状や大きさ等を適宜に設定変更することも可能である。
【0057】
更にまた、前記実施形態においては、支持ローラ52の配設位置が、下部ローラ18に近接して設定されていたが、これに限定されるものでなく、支持ローラ52を下部ローラ18よりも帯鋸20の送り方向前方において適宜の位置に位置決めさせても良い。
【0058】
また、前記実施形態では、下部ローラ18と支持ローラ52が架構14に対して固定されていたが、目的とする歪の除去作用等に応じて、下部ローラ18と支持ローラ52を相互に相対変位せしめて位置調節することも可能であり、また、そのための具体的な位置調節手段としては、例えば、架構14をロッド等を介して相互に相対変位せしめられる可動ブロックと固定ブロックを含んで構成する一方、可動ブロックに支持ローラ52を固定すると共に、固定ブロックに下部ローラ18を固定して、可動ブロックを油圧モータや電動モータ等で固定ブロックに対して相対変位せしめること等が採用され得る。
【0059】
また、前記実施形態では、帯鋸20の歪取り作業(水平仕上げ作業)において、帯鋸20の駆動手段として駆動ロール機60が用いられていたが、かかる駆動ロール機60に代えて、帯鋸20にロールテンションを施す公知の帯鋸20の腰入用ロール機を採用することも可能である。
【0060】
さらに、前記実施形態においては、帯鋸20の水平仕上げ作業に際して、帯鋸20に発生した歪68の方向や、位置、量等を検知するセンサ手段や、かかる歪68の位置や量等を解析するコンピュータ等を採用することも可能であり、また、それに加えて、コンピュータで得られた歪68の解析結果を反映させて、把持棒34等に加えられる押圧力を制御するコントローラ等を併用することも可能である。
【0061】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた歪取り装置においては、第一のロールの外径が第二のロールのそれよりも小さくされていると共に、第一のロールが第二のロールよりも帯鋸の送り方向前方に設けられており、更にそれら第一のロールと第二のロールの間から送り出された帯鋸に対して第二のロール側から押圧力を及ぼす第三のロールが設けられていることから、それらの相乗的作用として、帯鋸に対する局部的に大きな押圧力を作用を回避せしめつつ、帯鋸に対して発生した歪を相対的に除去せしめる歪力を効果的に及ぼすことが出来るのであり、それ故、例えば帯鋸の幅方向に大きな歪も容易に除去することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのロール機を示す正面説明図である。
【図2】図1に示されたロール機の側面説明図である。
【図3】図1に示されたロール機を用いた帯鋸の水平仕上げ作業(歪取り作業)を概略的に示す説明モデル図である。
【図4】図3に示されたロール機を用いた歪取り作業の一工程を説明するための側面説明図である。
【図5】図3に示されたロール機を用いた歪取り作業の別の工程を説明するための側面説明図である。
【図6】本発明の別の一具体例としてのロール機における要部を拡大して示す側面説明図である。
【符号の説明】
10 ロール機
16 上部ローラ
18 下部ローラ
20 帯鋸
36 第一の固定軸
48 第二の固定軸
52 支持ローラ
Claims (8)
- 第一のロールと第二のロールを互いに平行に延びる各回転中心軸回りで回転可能に配設せしめて、それら第一及び第二のロールの各回転中心軸に直交する方向から帯鋸を両ロール間に送り込み、該帯鋸を該第一のロールと該第二のロールで鋸厚方向に挟み込んで該帯鋸の内外両面から押圧力を及ぼすようにした帯鋸の歪取り装置において、
前記第一のロールの外径を前記第二のロールの外径よりも小さく且つ該第一のロールの幅寸法を該第二のロールの幅寸法よりも小さく設定すると共に、該第一のロールおよび該第二のロールの幅寸法を前記帯鋸の幅寸法よりも小さくして、該第一のロールの回転中心軸を該第二のロールの回転中心軸よりも帯鋸の送り方向の前方に位置決めし、更に、該第二のロールと同じ側から前記帯鋸に押圧力を及ぼす第三のロールを、該帯鋸の送り方向で該第二のロールよりも先方に配設したことを特徴とする帯鋸の歪取り装置。 - 前記第一のロールと前記第二のロールの各外周面を、何れも、各回転中心軸回りに広がる円筒形状とした請求項1に記載の帯鋸の歪取り装置。
- 前記第一のロールおよび前記第二のロールの何れか一方の外周面を回転中心軸回りに広がる円筒形状とすると共に、それら第一のロールと第二のロールの他方の外周面を、軸方向中間部分が大径とされた山形断面で回転中心軸回りに広がる凸形筒形状とした請求項1に記載の帯鋸の歪取り装置。
- 前記第三のロールの位置を前記第二のロールに対して、少なくとも前記帯鋸の送り方向で相対的に調節せしめ得る位置調節手段を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の帯鋸の歪取り装置。
- 前記第一のロールを前記第二のロールに対して相対的に接近/離隔方向に変位可能とする変位手段を設けて、それら第一のロールと第二のロールの間で前記帯鋸に及ぼされる板厚方向の押圧力を調節することが出来るようにした請求項1乃至4の何れかに記載の帯鋸の歪取り装置。
- 前記変位手段による前記第一のロールの前記第二のロールに対する相対的な変位許容範囲を制限するストッパ手段を設けた請求項5に記載の帯鋸の歪取り装置。
- 前記第一のロールを、該第一のロールの回転中心軸に平行な回動軸回りに回動可能に支持せしめて、該第一のロールの該回動軸回りの回動操作に伴って該第一のロールが前記第二のロールに対して接近/離隔変位せしめられるようにすることにより前記変位手段を構成すると共に、該第一のロールを該回動軸回りで該第二のロールから離隔する方向に付勢して、外力が及ぼされていない状態下で該第一のロールを該第二のロールから離隔した位置に保持せしめ得る付勢手段を設けた請求項5又は6に記載の帯鋸の歪取り装置。
- 請求項1乃至7の何れかに記載の歪取り装置の使用方法であって、
前記第一のロールと前記第二のロールの間に、それら第一及び第二のロールの各回転中心軸に直交する方向から帯鋸を両ロール間に送り込み、該帯鋸を該第一のロールと該第二のロールで鋸厚方向に挟み込んで該帯鋸の内外両面から押圧力を及ぼして歪取りすることで該帯鋸に水平仕上を施すに際して、該帯鋸に押圧力を及ぼす部位を該帯鋸における鋸身の歯部側から背部側に向かって移行せしめることを特徴とする歪取り装置の使用方法。
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