JP3745816B2 - キャッチャボックスの昇降機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行機体の腹部に装着したモアにより刈り取った刈芝を、機体後部に配置したキャッチャボックスに集草し、該キャッチャボックスを上昇させて放出できるようにするための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から走行機体の腹部にモアを装着し、該モアによって刈り取った刈芝を、側部に配置したスロワーにより後方のキャッチャボックスへ送り、該キャッチャボックス内が刈芝でいっぱいになると、一部を開いて放出するようにした技術は公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
機体後部に配置したキャッチャボックスを開けて、そのまま刈芝を放出することは従来から行われているが、刈芝をトラックの荷台に載せたり、焼却装置の投入口に放出することはできないので、キャッチャボックスを上昇させるための昇降装置が必要な場合がある。このキャッチャボックスを上昇させるためには、一般に、機体の後部にメインレールを立設し、該メインレールにキャッチャボックスを昇降自在に取り付けて、ワイヤーを巻き上げたり、油圧シリンダーを用いて、キャッチャボックスをメインレールに沿って昇降するようにしたり、或いは、平行リンクの先端にキャッチャボックスを連結して、油圧シリンダーを用いて平行リンクを回動してキャッチャボックスを昇降させたりするようにしていた。
【0004】
しかし、キャッチャボックスを垂直方向にそのまま上昇させる構成であると、トラックの荷台等に積み込む場合には、荷台後端または側面に、メインレールがぎりぎりまで接近するようにしなければならず、ちょっとした油断で当接する可能性があり、また、排出した刈芝も荷台の周囲にかたまってしまい均平にさせる必要があった。また、平行リンクを用いて油圧シリンダーで上昇させる場合には、従来技術の乗用ローンモアには油圧取り出し口を配設していないので、機体を改良する必要があり、油圧配管も必要となってコスト高となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するために、モアにより刈り取った刈芝を、後部に昇降可能に配置したキャッチャボックスへ搬送して収納する構成において、機体後部にメインレールを立設し、該メインレールにキャッチャボックスを取り付けたスライドレールを、昇降駆動機構によって昇降可能に設け、該メインレール上部に弾性部材を設けて、スライドレールを前方へ付勢し、かつ、後方へ移動可能な上ガイドローラーを配置し、キャッチャボックスを上昇させたときに、スライドレールが後傾するように構成した。また、前記上ガイドローラーをメインレールに枢支したアームに枢支し、該アームをキャッチャボックスの開閉レバーと連動連結し、キャッチャボックスを最上昇位置まで上昇させると同時にキャッチャボックスを開けるように構成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に実施例を説明する。図1は腹部にモアを装着し、後部にキャッチャボックスを装着したローンモアの側面図、図2はキャッチャボックスを上昇させた状態の側面図、図3はキャッチャボックスの昇降機構を示す側面図一部断面図、図4は同じく後面図一部断面図、図5は同じく昇降機構の傾斜支持部を示す部分平面図、図6は同じく側面図、図7は同じく他の実施例を示す側面図である。
【0007】
図1において、モアMとキャッチャボックスBを装着したローンモアの全体構成を説明する。走行機体の前輪30・30と後輪31・31の間の腹部に、モアMが昇降機構を介して吊設され、運転席で昇降操作できるようにしている。また、モアMの前部は前部支持輪19により支持し、後部は後部ガイド輪22により支持し、刈り高さを調節して、下げた状態で走行作業したときには圃場面に追随しながら刈取できるようにしている。
【0008】
機体フレームF前部上のボンネット内にエンジンを載置し、該エンジンからの動力を図示せぬ変速装置を介して、前輪30・30及び後輪31・31を駆動している。また、フロントアクスルケースからユニバーサルジョイント32を介してモアMのギアボックス20に動力が伝達され、該ギアボックス20で変速されてロータリー刃と、スロワーAを駆動している。該スロワーAは座席33の右側に配置され、該モアMにより刈取られた芝がスロワーAへ放出され、該スロワーAの羽根の回転により、シューター21を介してキャッチャボックスBへ刈芝が搬送される。
【0009】
前記キャッチャボックスBは箱状に形成されて、側面視で略対角線部分で半割に構成され、その前部を前ボックス23とし、後部を後ボックス24としている。該前ボックス23と後ボックス24の合わせ部の周囲には、それぞれ補強枠26と補強枠27が補強固定されている。該補強枠26・27の上部を枢支軸13により枢支し、補強枠27の上端には回動アーム25が固定され、該回動アーム25は前方へ突出してその先端にリンク11が枢結され、該リンク11にアーム12、連動ワイヤー71を介して後述する開閉レバー10に連結されている。前記アーム12にはリンク15を介してロック金具16と連結されて、該開閉レバー10を上側へ回動すると、該ロック金具16が連動して下方へ回動してロックを解除し、リンク機構を介して前記回動アーム25を回動させて、後ボックス24の下部を後方へ回動して開け、キャッチャボックスB内に収納した刈芝を放出するようにしている。
【0010】
そして、前記機体フレームFの後端部分に後述する昇降機構Sを配置し、該昇降機構の昇降フレーム3に支持ステー18及び補強ステー17を介してキャッチャボックスBを固定し、支持ステー18の後端に前ボックス23の補強枠26の下端部を固設し、補強ステー17の後端に前ボックス23の上下中央部を固設し、該補強ステー17と支持ステー18を垂直ステー70で連結し補強している。
【0011】
昇降機構Sは、図3、図4に示すように、機体フレームFの後部に立設するメインレール1・1と、該メインレール1・1に嵌合するスライドレール2・2と、昇降駆動機構と、前記スライドレール2・2に案内されて昇降する昇降フレーム3より構成されている。該昇降フレーム3の後部に前記の如くキャッチャボックスBが固定される。
【0012】
前記メインレール1・1はその下部を機体フレームFの後端に受台35を介して垂直に固着され、両者にステー36を固設して補強されている。左右一対のメインレール1・1は断面視コ字状に形成されて、開放側を対向させて立設し、該メインレール1・1の高さはキャッチャボックスBを下降した状態の上端高さと略等しい高さに構成している。該メインレール1・1の間の前面には、上下中間位置に中連結フレーム41を横設し、上部位置に上連結フレーム40を横設して左右のメインレール1・1を一体的に連結している。上端の該上連結フレーム40の略中央部後面には軸芯を前後方向に有する定滑車42を枢支し、その右側には後述する第一ワイヤー7の一端を固定する締結部44を設けている。また、前記上連結フレーム40の前部には後述する第二ワイヤー8の一端を締結する締結部43を配設している。
【0013】
前記左右一対のスライドレール2・2は断面視コ字状に構成しており、メインレール1と略同じ長さに構成し、スライドレール2・2の上端部を上連結フレーム47で連結し、下端部を下連結フレーム48で一体的に連結している。前記上連結フレーム47の左右中央右側に軸芯を左右方向に有する滑車49を枢支し、前記下連結フレーム48の左右略中央位置前面に滑車50を枢支している。
【0014】
更に、前記スライドレール2・2の内側にはキャッチャボックスBを固定する昇降フレーム3が昇降摺動自在に配設している。該昇降フレーム3は、左右一対の板体55・55が連結軸56・57・58により平行状に固定され、連結軸56の両端にガイドローラー60・60を、連結軸57の両端にガイドローラー61・61を枢支している。そして、板体55・55の左右に設けたガイドローラー62・63によって昇降フレーム3の左右方向に傾くことの無いように支持している。また、前記板体55の後方下方に横設する横軸58の略中央位置には締結部64を配設して、第二ワイヤー8を締結している。
【0015】
そして、図2に示す如く側面視において、機体フレームFの後部下面にモーターケース65を固設し、モーターケース65の内部に軸芯を左右方向に有する巻取ドラム66を配設し、該巻取ドラム66を駆動モーター5で駆動するようにして巻き上げ機を構成している。該巻取ドラム66には第一ワイヤー7を巻回しており、該第一ワイヤー7の他側をメインレール1の上連結フレーム40上の定滑車42に掛け回した後に、該第一ワイヤー7の途中部を昇降フレーム2の下連結フレーム48の滑車50に掛け回し、第一ワイヤー7の端部を前記締結部44に締結している。一方、前記締結部43に第二ワイヤー8を締結し、該第二ワイヤー8をスライドレール2の上連結フレーム47上の滑車49に掛け回し、他端を昇降フレーム3の締結部64に締結している。
【0016】
このようにして、前記駆動モーター5を駆動して第一ワイヤー7を巻き取ると、該第一ワイヤー7の他端はメインレール1の上部に固設されているので、滑車50が動滑車の如くに上昇させて、該滑車50を支持するスライドレール2がともに上昇される。このスライドレール2が上昇摺動されることによって、第二ワイヤー8の途中部を巻回している滑車49が上方へ持ち上げられ、第二ワイヤー8は一端がメインレール1の上部に、他端が昇降フレーム3に固定されているので、昇降フレーム3が上昇され、該昇降フレーム3に固定されるキャッチャボックスBも同時に上昇される。そして、本発明は上昇上端位置で後方へ傾斜し,同時にキャッチャボックスBを開けて内部の刈芝を排出するようにしている。
【0017】
即ち、図3〜図6に示すように、前記スライドレール2・2の下部外側面には、軸芯を左右方向にしたガイドローラー52・52を枢支し、メインレール1・1の内前面に摺接して昇降時の前後方向のガイドとし、更に、前記スライドレール2・2の前面にガイド板51・51を固設して外側方へ突出してメインレール1・1の内面側へ挿入し、該ガイド板51・51の下端にガイドローラー53・53を枢支し、メインレール1・1の内側面に摺接して昇降時の左右方向のガイドとしている。
【0018】
そして、前記メインレール1・1の上部の後面は切欠1a・1aを設け、メインレール1・1後面に支持ステー67・67を固設し、該支持ステー67・67にアーム69・69の下部を枢支し、該アーム69・69の上端間に支持軸72を横架して、該支持軸72に上ガイドローラー54・54を回転自在に枢支して、該支持軸72・72とメインレール1・1の間に弾性部材としてバネ73・73を介装して、上ガイドローラー54・54をスライドレール2・2の後面に当接するように配置して、前記バネ73・73によってスライドレール2・2を前方へ付勢するようにしている。
【0019】
また、前記一側のアーム69をL字状に構成して、その端部にローラー74を回転自在に枢支し、前記開閉レバー10の端部に設けたカム10aに当接するように配置している。該開閉レバー10はオペレーターの右側に配置されており、該開閉レバー10はメインレール1の側面に枢支軸75によって枢支され、該開閉レバー10に前記キャッチャボックスBを開閉するための前記連動ワイヤー71の他端が連結されている。76はアーム69を所定角度以上回動させないようにするストッパーである。
【0020】
このように構成することによって、キャッチャボックスBを下降させた状態や、上昇途中の位置においてキャッチャボックスBを開けたいときに、開閉レバー10を下方へ回動すると連動ワイヤー71が引っ張られて、任意の高さで開放することができる。そして、前記駆動モーター5を駆動して第一ワイヤー7を巻き取ると、スライドレール2・2及び昇降フレーム3が上昇され、該スライドレール2・2は下端は下ガイドローラー52・52によってメインレール1・1の前内面に当接し、スライドレール2・2の下部後面は上ガイドローラー54・54に当接しながら上昇し、図2に示すように、上昇端位置近傍においては、キャッチャボックスBの重量により、バネ73・73の付勢力に抗して、スライドレール2・2が後方へ傾倒し、最上昇位置でアーム69・69がストッパー76によって受け止められて傾倒は停止される。
【0021】
この傾倒によってアーム69が回動され、その端部に設けたローラー74が開閉レバー10のカム10aを押して、開閉レバー10を回動し、該開閉レバー10に連結された連動ワイヤー71を引っ張って、上昇と同時に開閉レバー10の操作なしでキャッチャボックスBを開けるのである。このようにキャッチャボックスBが後方に傾倒されて、排出口の前端とメインレール1の後端面との間の距離Lを長くすることができる。なお、前記ストッパー76の位置を調節できるように構成することによって、傾倒角度を変更できるようにすることができ、また、傾倒時に切欠1a・1aからスライドレール2・2に付設したガイド板51・51が出るようにしているが、傾倒角度が小さい場合には、切欠1a及びストッパーを設けることなくメインレール1の後面がストッパーの役目を果たすように構成することもできる。
【0022】
また、キャッチャボックスBの上昇と同時に開閉レバー10の操作なしでキャッチャボックスBを開ける他の実施例として、図7に示すように、アーム69の先端にローラー74を枢支する代わりに、連結ロッド77の一端に長孔77aを形成して該長孔77aに枢支し、該連結ロッド77の他端を開閉レバー10に枢結し、該開閉レバー10はメインレール1に枢支して、該開閉レバー10の端部に連動ワイヤー71を連結する。このように構成することで、前記同様に最上昇位置に上げるまでの任意の位置では、開閉レバー10を回動することによってキャッチャボックスBを開けることができ、最上昇位置まで上げるとアーム69が回動されて、開閉レバー10を回動して自動的にキャッチャボックスBを開けることができるのである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1の如く、キャッチャボックスを上昇させたときに、スライドレールが後傾するように構成したので、上昇して排出する時にはキャッチャボックスの排出口がメインレールより後方へ離れるようになり、トラック等の荷台へ排出するときに、位置を合わせやすくなり、荷台の中央寄りに排出するので均平作業の手間も省ける。また、荷台にメインレール等が当接することも防げる。
【0024】
請求項2の如く、最上昇位置までキャッチャボックスを上昇させると、同時に開くことができるので、開閉レバーの操作が不要となり、排出作業が効率良く行うことができて、排出時間を短縮できる。また、最上昇位置以外の任意の高さの位置では、従来と同様に開閉レバーの回動で開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】腹部にモアを装着し、後部にキャッチャボックスを装着したローンモアの側面図である。
【図2】キャッチャボックスを上昇させた状態の側面図である。
【図3】キャッチャボックスの昇降機構を示す側面図一部断面図である。
【図4】同じく後面図一部断面図である。
【図5】同じく昇降機構の傾斜支持部を示す部分平面図である。
【図6】同じく側面図である。
【図7】同じく他の実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
B キャッチャボックス
1 メインレール
2 スライドレール
3 昇降フレーム
10 開閉レバー
54 上ガイドローラー
69 アーム

Claims (2)

  1. モアにより刈り取った刈芝を、後部に昇降可能に配置したキャッチャボックスへ搬送して収納する構成において、機体後部にメインレールを立設し、該メインレールにキャッチャボックスを取り付けたスライドレールを、昇降駆動機構によって昇降可能に設け、該メインレール上部に弾性部材を設けて、スライドレールを前方へ付勢し、かつ、後方へ移動可能な上ガイドローラーを配置し、キャッチャボックスを上昇させたときに、スライドレールが後傾するように構成したことを特徴とするキャッチャボックスの昇降機構。
  2. 請求項1記載の上ガイドローラーをメインレールに枢支したアームに枢支し、該アームをキャッチャボックスの開閉レバーと連動連結し、キャッチャボックスを最上昇位置まで上昇させると同時にキャッチャボックスを開けるように構成したことを特徴とするキャッチャボックスの昇降機構。
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