JP3745452B2 - バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中の特定成分について、迅速かつ高精度な定量を実施するためのバイオセンサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、試料中の特性成分について、試料液の希釈や攪拌などを行うことなく簡易に定量しうる方式として、次のようなバイオセンサが開示されている(特開平3ー202764号公報)。
従来のバイオセンサは、電気絶縁性の基板上にスクリーン印刷などの方法で作用極及び対極からなる電極系を形成し、さらに電気絶縁層を形成した後に、上記電極上に親水性高分子と酸化還元酵素と電子受容体からなる酵素反応層を形成したものである。
基質を含む試料液を酵素反応層上へ接触させると、酵素反応層が溶解し、基質と酵素が反応して基質が酸化され、これに伴い電子受容体が還元される。酵素反応終了後、この還元された電子受容体を電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を求めるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来構成のバイオセンサにおいては、試料液の基質濃度が同じ場合でも、試料液に含まれる基質以外の成分が異なることによって、センサの応答特性に差が生じるという問題を有していた。
試料液の性状の差を緩和する方法として、一定の希釈液を用いて希釈し、それぞれの性状の差を小さくする方法も有効であるが、操作性を考慮すると必ずしも得策ではない。
本発明は、試料液中の基質を、共存する他の成分の影響を受けずに、高精度に定量できるバイオセンサを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のバイオセンサは、電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、前記電極系上に配置された少なくとも酵素を含有する反応層、および前記反応層上に形成された脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜を具備することを特徴とする。
また、本発明のバイオセンサの製造方法は、電気絶縁性の基板上に設けた作用極と対極を有する電極上に、少なくとも酵素を含有する反応層を形成する工程、および脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜を前記反応層上に形成する工程を有する。
ここで、前記酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールエステラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼなどから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
また、前記脂溶性高分子としては、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ベンジルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチルから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
さらに、前記両親媒性高分子としては、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
前記高分子層に含まれる脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合比が、重量比で10:1から1:1であることが好ましい。
前記高分子膜は、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液を反応層の上に接触させ、乾燥させることで形成することができる。
脂溶性高分子および両親媒性高分子を溶解または分散させた混合溶液の溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、トルエン、キシレン、クロロホルム、およびエチルエーテルから選ばれる1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒が用いられる。
また、反応層に電子受容体を含有させることができ、電子受容体としてはフェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、インドフェノール及びその誘導体、β−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、メチレンブルー、フェロセン及びその誘導体から選ばれる1種以上が用いられる。
さらに、反応層に親水性高分子を含有させることができ、親水性高分子としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチン及びその誘導体、アクリル酸及びその塩やメタクリル酸及びその塩の重合体、でんぷんおよびその誘導体、無水マレイン酸及びその塩の重合体から選ばれる1種以上が用いられる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明のバイオセンサの、カバーおよびスペーサーを除いた断面模式図である。
1はポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板を示す。この基板1上にスクリーン印刷により銀ペーストを印刷してリード2、3を形成してある。基板1上には、さらに、同様の印刷法により、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストからなる作用極4と対極5を含む電極系及び電気絶縁性ペーストからなる電気絶縁層6を形成してある。電気絶縁層6は、作用極4及び対極6の露出部分の面積を一定とし、かつリードを部分的に覆っている。
このようにして電極部分を形成した後に、反応層を作製する。ここでは一例として、親水性高分子と酵素と電子受容体を含む反応層について説明する。
親水性高分子としてカルボキシメチルセルロース(以下、CMCと略す。)の水溶液を電極系表面に滴下し温風乾燥機中で乾燥させてCMC層7を形成する。前記CMC層7の上に、酵素と電子受容体を水に溶解した混合水溶液を滴下し、温風乾燥機中で乾燥させて、酵素及び電子受容体を含む層8を形成する。以上のCMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を併せて反応層9と称する。
【0006】
前記のように、CMC層7上に、酵素及び電子受容体の混合水溶液を滴下すると、親水性高分子であるCMC層7は一度溶解し、その後の乾燥過程で酵素などと混合された状態で親水性高分子、酵素および電子受容体からなる層を形成する。しかし、攪拌を伴わないため完全な混合状態とはならず、電極系表面を直接被覆するのはCMCのみとなる。このCMC層7により、電極系表面へのタンパク質の吸着などを防ぐことができる。
つぎに、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液を調製し、反応層9の上に滴下して、室温で乾燥させる。さらに、温風乾燥機中で乾燥させる。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として、有機溶媒を用いることで、反応層を乱すことなく脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜が表面に積層される。10はこのようにして形成された高分子膜を示す。
上記のようにして反応層および高分子膜10を形成した後、カバー12及びスペーサー11を図2中の一点鎖線で示すような位置関係をもって基板1に接着してバイオセンサを作製する。
【0007】
上記構成によるバイオセンサは、試料液に含まれる固形状成分が、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜10によってトラップされる。特に、血液試料中の赤血球などの血球成分によるセンサの応答特性への影響を小さくすることができる。
ここで、試料液が水性であるとき、試料液が導入されると、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜は、溶解することはない。しかし、高分子膜中の両親媒性高分子は溶解し、細孔が形成され、フィルター状の膜となる。脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合比を重量比で10:1から1:1にすることで細孔の直径を0.1μm〜5μmに調整できる。このため、血液試料に対して有効な濾過効果が得られる。
【0008】
【実施例】
以下、具体的な実施例を説明する。
《実施例1》
バイオセンサの一例として、グルコースセンサについて説明する。
図1のようにポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成する。
このようにして電極部分を形成した後に、親水性高分子としてCMCの0.5wt%水溶液を電極系表面に滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させてCMC層7を形成した。前記CMC層7の上に、酵素としてのグルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4;以下GODと略す)と電子受容体としてのフェリシアン化カリウムを水に溶解した混合水溶液を滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させて、酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を併せて反応層9とする。
【0009】
つぎに、脂溶性高分子のエチルセルロース0.5wt%と両親媒性高分子のヒドロキシプロピルセルロース0.1wt%を溶解したエタノール溶液を調製し、反応層の上に滴下して、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるエタノールを用いることで、反応層を乱すことなくエチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースの混合物からなる高分子膜が表面に積層された。10はこのようにして形成された高分子膜を示す。
上記のようにして反応層と高分子膜を形成した後、カバー12及びスペーサー11を図2中の一点鎖線で示すような位置関係をもって基板1に接着してグルコースセンサを作製した。
【0010】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。試料液3μlを試料供給孔となるスペーサー11のスリット13の入口に供給すると、試料液はスリット13により形成される試料供給路を空気孔14の部分まで達し、高分子膜10に浸透し、膜を透過した液体によって反応層が溶解した。反応層においては、試料液中のグルコースがグルコースオキシダーゼによって酸化され、そこで移動した電子によってフェリシアン化カリウムが還元されてフェロシアン化カリウムを生じる。
そこで、試料を供給してから1分後に、電極系の対極5と作用極4の間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液、及び血液試料中のグルコース濃度のみに依存する値が得られた。血液試料におけるグルコース濃度に対する電流応答値は、グルコース水溶液の約98%であった。
【0011】
《比較例1》
高分子膜10を設けない他は実施例1と同じ構成のセンサを作製した。このセンサを用いた場合は、血液に対する応答はグルコース水溶液の70〜80%であった。
【0012】
《実施例2》
実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。
つぎに、エチルセルロース0.5wt%とポリビニルピロリドン0.05wt%を含む混合エタノール溶液を調製し、反応層の上に滴下し、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるエタノールを用いることで、反応層を乱すことなくエチルセルロースとポリビニルピロリドンの混合物からなる高分子膜10が表面に積層された。
さらに、実施例1と同様にカバー及びスペーサーとともに一体化してグルコースセンサを作製した。
【0013】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。実施例1と同様に、試料液3μlを試料供給孔より供給してから1分後に、電極系の対極と作用極間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液、及び血液試料中のグルコース濃度のみに依存する値が得られた。血液試料におけるグルコース濃度に対する電流応答値はグルコース水溶液の約95%であった。
【0014】
《実施例3》
実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。
つぎに、エチルセルロース0.5wt%とポリビニルピロリドン0.05wt%を含む混合ブタノール溶液を調製し、反応層の上に滴下して、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるブタノールを用いることで、反応層を乱すことなくエチルセルロースとポリビニルピロリドンの混合物からなる高分子膜10が表面に積層された。
さらに、実施例1と同様にカバー及びスペーサーとともに一体化してグルコースセンサを作製した。
【0015】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。実施例1と同様に、試料液3μlを試料供給孔より供給してから1分後に、電極系の対極と作用極間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液及び血液試料中のグルコース濃度のみに依存した値が得られた。血液試料ににおけるグルコース濃度に対する電流応答値はグルコース水溶液の約97%であった。
【0016】
《実施例4》
実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。
つぎに、ポリスチレン0.3wt%とポリビニルピロリドン0.3wt%を含む混合トルエン溶液を調製し、反応層の上に滴下して、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるトルエンを用いることで、反応層を乱すことなくポリスチレンとポリビニルピロリドンの混合物からなる高分子膜が表面に積層された。
さらに、実施例1と同様にカバー及びスペーサーとともに一体化してグルコースセンサを作製した。
【0017】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。実施例1と同様に、試料液3μlを試料供給孔より供給してから1分後に、電極系の対極と作用極間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液、及び血液試料中のグルコース濃度のみに依存する値が得られた。血液試料におけるグルコース濃度に対する電流応答値はグルコース水溶液の約95%であった。
【0018】
《比較例2》
実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。
つぎに、エチルセルロース0.3wt%とヒドロキシプロピルセルロース0.5wt%を含む混合エタノール溶液を調製し、反応層の上に滴下して、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるエタノールを用いることで、反応層を乱すことなくエチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースの混合物からなる高分子膜が表面に積層された。
さらに、実施例1と同様にカバー及びスペーサーとともに一体化してグルコースセンサを作製した。
【0019】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。実施例1と同様に、試料液3μlを試料供給孔より供給してから1分後に、電極系の対極と作用極間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液、及び血液試料中のグルコース濃度のみに依存する値が得られた。血液試料におけるグルコース濃度に対する電流応答値はグルコース水溶液の約66.5%であった。
エチルセルロース0.3wt%とヒドロキシプロピルセルロース0.5wt%を含む混合エタノール溶液をガラス板の上にキャストして作製した膜は、水に濡れると崩壊し、膜の状態を保つことができなかった。このことから、血液に対する濾過効果が得られなかったものと考えられる。
【0020】
《比較例3》
実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性の基板上にリードと作用極、対極を含む電極系及び電気絶縁層を形成した。
さらに、実施例1と同様にして、CMC層7と酵素及び電子受容体を含む層8を形成した。
つぎに、エチルセルロース0.5wt%とヒドロキシプロピルセルロース0.01wt%を含む混合エタノール溶液を調製し、反応層の上に滴下して、室温で5分間乾燥させた。さらに、50℃の温風乾燥機中で5分間乾燥させた。この際に、脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液の溶媒として有機溶媒であるエタノールを用いることで、反応層を乱すことなくエチルセルロースとヒドロキシプロピルセルロースの混合物からなる高分子膜が表面に積層された。
さらに、実施例1と同様にカバー及びスペーサーとともに一体化してグルコースセンサを作製した。
【0021】
このグルコースセンサの試料液として、等グルコース濃度のグルコース水溶液と血液を用意した。実施例1と同様に、試料液3μlを試料供給孔より供給してから1分後に、電極系の対極と作用極間に+0.5Vの電圧を印加し、5秒後の電流値を測定したところ、グルコース水溶液、及び血液試料のいずれにおいてもグルコース濃度に依存する値は得られなかった。
別に、エチルセルロース0.5wt%とヒドロキシプロピルセルロース0.01wt%を含む混合エタノール溶液をガラス板の上にキャストして作製した膜は、撥水性が高く10分経過しても、液体を通さなかった。このことから、反応層が溶解できないため、センサ応答が得られなかったものと考えられる。
【0022】
上記実施例のように、脂溶性高分子と両親媒性高分子を混合物からなる高分子膜10を形成したグルコースセンサにおいて、血液とグルコース水溶液でほぼ同一の応答値が得られたのは、血液中の血球成分が、両親媒性高分子の溶解によってできた細孔を有する高分子膜によって濾過され、グルコースオキシダーゼとグルコースの反応への物理的障害を取り除くことができたことによるものと推定される。
上記の実施例においては、脂溶性高分子としてエチルセルロースとポリスチレンを用いたが、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ベンジルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチルを用いても同様の効果が得られる。
脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合比は、種々の混合比の溶液から高分子膜を形成し、水に濡れたときに膜の状態を保つかどうかと、高分子膜の表面の電子顕微鏡による観察結果から、重量比にして10:1から1:1であることが好ましい。
また、脂溶性高分子と両親媒性高分子を溶解または分散させる溶媒として、エタノールとブタノールとトルエンを用いたが、メタノール、プロパノール、アセトン、キシレン、クロロホルム、エチルエーテルから選ばれる1種類の溶媒または2種類以上の混合溶媒として用いることができる。
【0023】
なお、上記の実施例ではグルコースセンサについて示したが、本発明はアルコールセンサ、スクロースセンサ、コレステロールセンサ、乳酸センサやフルクトースセンサなどの酵素の関与する反応系に広く用いることができる。
酵素としては、グルコースオキシダーゼに限定されることはなく、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールエステラーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼなども用いることができる。
さらに、上記実施例では、親水性高分子としてCMCを用いたが、これらに限定することはなく、他のセルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロースを用いても良く、さらには、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ゼラチン及びその誘導体、アクリル酸及びその塩やメタクリル酸及びその塩の重合体、でんぷんおよびその誘導体、無水マレイン酸及びその塩の重合体を用いても同様の効果が得られる。
【0024】
一方、電子受容体としては、上記実施例に示したフェリシアン化カリウム以外に、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、インドフェノール及びその誘導体、β−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、メチレンブルー、フェロセン及びその誘導体なども使用できる。
これらの親水性高分子及び、酵素と電子受容体を溶解する溶媒として、上記実施例では水を用いたが、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液などの各種緩衝液を用いることもできる。
また、上記実施例において酵素および電子受容体については試料液に溶解する方式について示したが、これに制限されることはなく、固定化によって試料液に不溶化させた場合にも適用することができる。
また、上記実施例では、親水性高分子と酵素と電子受容体を含む反応層について示したが、親水性高分子または電子受容体の両方もしくは片方を含有しない場合にも同様の結果が得られた。
また、上記実施例では、作用極と対極のみの二極電極系について述べたが、参照極を加えた三電極方式にすれば、より正確な測定が可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、試料液中に共存する基質以外の成分の影響を受けず、高精度な定量が可能なバイオセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオセンサのカバーおよびスペーサーを除いた縦断面略図である。
【図2】同バイオセンサの反応層および高分子膜を除いた分解斜視図である。
【符号の説明】
1 電気絶縁性の基板
2、3 リード
4 作用極
5 対極
6 電気絶縁層
7 CMC層
8 酵素及び電子受容体を含む層
9 反応層
10 高分子膜
11 スペーサー
12 カバー
13 スリット
14 空気孔
Claims (7)
- 電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、前記電極系上に配置された少なくとも酵素を含有する反応層、および前記反応層上に形成された脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合物からなる高分子膜を具備することを特徴とするバイオセンサ。
- 反応層がさらに電子受容体または親水性高分子を含有する請求項1記載のバイオセンサ。
- 脂溶性高分子が、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ベンジルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エチル、およびポリアクリル酸メチルからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2記載のバイオセンサ。
- 両親媒性高分子が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびポリメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載のバイオセンサ。
- 高分子膜に含まれる脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合比が、重量比で10:1から1:1である請求項1〜4のいずれかに記載のバイオセンサ。
- 電気絶縁性の基板上に作用極と対極を含む電極系を形成する工程、前記電極系上に、少なくとも酵素を含有する反応層を形成する工程、および脂溶性高分子と両親媒性高分子の混合溶液から高分子膜を前記反応層上に形成する工程を有することを特徴とするバイオセンサの製造方法。
- 脂溶性高分子および両親媒性高分子を溶解または分散する溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、トルエン、キシレン、クロロホルム、およびエチルエーテルからなる群より選ばれる1種の溶媒または2種以上の混合溶媒である請求項6記載のバイオセンサの製造方法。
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JPH09318588A (ja) | 1997-12-12 |
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