JP2004061496A - バイオセンサ - Google Patents

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宮本 佳子
Tomohiro Yamamoto
山本 智浩
Yoshikazu Hasegawa
長谷川 美和
Toshihiko Yoshioka
吉岡 俊彦
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Abstract

【課題】酵素を含む反応層が少量の試料液に速やかに溶解し、酵素反応を有効に利用でき、応答特性の良好なバイオセンサを提供する。
【解決手段】電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、及び前記電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備するバイオセンサにおいて、少なくとも前記反応層の表面を多孔質とする。
【選択図】      図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液および尿などの生体試料、食品工業における原料および製品、ならびに果汁などの試料に含まれる基質(特定成分)を、高精度で迅速かつ容易に定量するためのバイオセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料および食品中の特定成分(基質)を、試料液の希釈および撹拌などを行うことなく、簡易に定量しうるバイオセンサが提案されている。その一例として、特許文献1には、絶縁性基板上にスクリーン印刷などの方法によって電極系を形成し、この電極系上に酸化還元酵素および電子伝達体(電子受容体)を含有する反応層を形成したバイオセンサが開示されている。
このバイオセンサは、以下のようにして試料中の基質濃度を定量する。
まず、試料液をバイオセンサの反応層上に滴下することにより、反応層が溶解し、試料液中の基質と反応層の酸化還元酵素との間で酵素反応が進行する。この酵素反応に伴い、電子伝達体が還元される。一定時間後、センサの電極に電圧を印加して、この還元された電子伝達体を電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を定量することができる。
【0003】
しかし、従来の構成のバイオセンサの反応層は、水溶性の成分を含む溶液を滴下し、乾燥する作製方法が用いられ、薄膜として作製することが困難であった。また、反応層を乾燥させる際に、表面と内部の乾燥状態を均一にすることが困難である。そして、表面の乾燥状態によっては、センサとしての性能が変わるという欠点があった。そのため、反応層中に存在する酵素量は、定量する試料に含まれる基質量と比較して過剰にする必要があった。また、反応層に含まれる試薬の量が多いため、反応層の溶解に時間がかかるという欠点があった。
特許文献2には、電極支持体上に電極セットと微小球とを有するセンサーストリップが開示されている。このセンサでは、測定に必要なサンプルの量を減ずる目的で微小球が使用されており、結果として試薬の溶解速度が増加するとされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−202764号公報
【特許文献2】
特開2001−208716号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、酵素を含む反応層が少量の試料液に速やかに溶解し、酵素反応を有効に利用でき、応答特性の良好なバイオセンサを提供することを目的とする。
本発明は、そのような反応層を容易に作製できるバイオセンサを提供することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のバイオセンサは、電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、及び前記電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備し、少なくとも前記反応層の表面が多孔質であることを特徴とする。
【0007】
前記反応層を多孔質にするためには、前記反応層を少なくとも酵素と平均直径0.1μm以上1μm未満の微粒子の凝集体で構成するのが有効である。
もちろん、前記反応層は全体にわたって多孔質であってもよい。
前記反応層の空隙率は50%以上であるのが好ましく、上限は90%程度であればよい。
【0008】
前記微粒子は、高分子化合物、セラミック、ガラス、ダイヤモンド、及びカーボンからなる群より選択されることが有効である。
また、前記反応層がさらに電子伝達体を含むことが有効である。
前記反応層の近傍に、電子伝達体を含む層を設けてもよい。
【0009】
さらに、前記反応層がコレステロールオキシダーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの少なくとも一方の酵素、コレステロールエステラーゼ及び界面活性剤を含み、前記反応層の近傍に電子伝達体を含む層を有することが有効である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るバイオセンサは、電気絶縁性の基板上に形成された作用極と対極を有する電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備し、少なくとも前記反応層の表面が多孔質であることを特徴とする。
前記反応層を多孔質にするためには、前記反応層を少なくとも酵素と平均直径0.1μm以上1μm未満の微粒子の凝集体で構成するのが有効である。
もちろん、前記反応層は全体にわたって多孔質であってもよい。
ここに用いる微粒子は、高分子化合物、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどのセラミック、ガラス、ダイヤモンド、及びカーボンからなる群より選択されるのが好ましい。
【0011】
本発明における少なくとも多孔質の表面を有する反応層を形成するには、反応層形成用液、好ましくは酵素を含む水溶液に前記微粒子を分散し、得られた分散液を基板の電極系上またはその近傍に展開し、乾燥するのが好ましい。
この場合、微粒子の平均粒径が1μm以上となると、反応層形成用液への微粒子の分散が悪く、常に攪拌をすることが必要となり、製造工程が複雑となる。また、微粒子の分散状態が不均一な液を用いて反応層を形成すると、反応層が不均質となり、多孔質の反応層が得られない。この場合、得られた反応層全体がバイオセンサの使用時に速やかには溶解せず、応答特性が悪くなる。
また、微粒子の平均粒径が0.1μmより小さいと、得られる反応層における微粒子間の間隙が狭くなり、反応層の多孔質性が低下し、酵素の表面積を増加する効果が得られない。
【0012】
これに対し、本発明においては、平均直径0.1μm以上1μm未満の微粒子を用いることにより、反応層内に微細な空隙を形成し、多孔質の反応層を実現し、これによってセンサに供給される試料液が反応層内に酵素を溶解しながら速やかに浸透することを可能とする。その結果、反応層は速やかに試料液に溶解し、酵素反応が迅速に進行する。そのため応答特性にばらつきを生じることなく、高精度の測定が可能となる。
反応層に含む微粒子の量は、微粒子表面に薄く酵素層が形成されるように、反応層の体積比で10〜99%が適当であり、試料液に容易に溶解する多孔質の反応層が形成される。さらには、10〜20%であるのが好ましい。
【0013】
本発明において用いられる酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、フルクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、コレステロールエステラーゼ、ムタロターゼ、インベルダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼなどが挙げられる。これらの酵素のうち1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0014】
本発明のバイオセンサの反応層は、前記の通り電子伝達体を含ませてもよい。この場合、電子伝達体としては、フェリシアン化物塩、p−ベンゾキノンおよびその誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセンおよびその誘導体などが挙げられる。電子伝達体は、これらの1種または2種以上が用いられる。前記の電子伝達体を反応層中に含まない場合には、試料液中の酸素や過酸化水素を利用することによって基質量の定量は可能となる。
【0015】
電子伝達体は、酵素と混合されて反応層を形成した場合、保存中に酵素の活性を損ねることがあるので、酵素とは分離した層に含ませるのが好ましい。コレステロールセンサは、酵素としてコレステロールオキシダーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの少なくとも一方、コレステロールエステルを遊離型コレステロールに変化させるコレステロールエステラーゼ及び界面活性剤が用いられる。そのようなセンサにおいては、電子伝達体は、前記酵素などとは分離した層に含ませるのが好ましい。
【0016】
酵素や電子伝達体を溶解して反応層形成液を調製するための溶媒は、水、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、フタル酸緩衝液、酢酸緩衝液、塩化ナトリウム水溶液などの各種水溶液や、メタノール、エタノール、トルエン、アセトンなどの有機溶媒から選ばれる、1種または2種以上の混合溶液であることが好ましい。前記反応層形成液に加える微粒子の含量は、体積濃度にして5〜20%の範囲であることが好ましい。
【0017】
本発明のバイオセンサの反応層には、上記酵素類や電子伝達体の他に、親水性高分子を含有させてもよい。反応層中に親水性高分子を添加することにより、基板または電極系表面からの反応層の剥離を防ぐことができる。さらに、反応層表面の割れを防ぐ効果も有しており、バイオセンサの信頼性を高めるのに効果的である。また、電極系上を親水性高分子で被覆しても良く、上記と同様の効果が得られる。
【0018】
このような親水性高分子としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリリジンなどのポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、アクリル酸の重合体またはその誘導体、無水マレイン酸の重合体またはその塩、スターチおよびその誘導体などが挙げられる。特に、カルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0019】
酸化電流の測定方法としては、測定極と対極のみの二電極方式と、参照電極を加えた三電極方式があり、三電極方式の方が、より正確な測定が可能である。
ここで、本発明に係るバイオセンサの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態に係るバイオセンサの反応層を取り除いた分解斜視図である。
【0020】
1はポリエチレンテレフタレートからなる電気絶縁性基板を示す。この基板1上にスクリーン印刷により銀ペーストを印刷してリード2、3を形成してある。基板1上には、さらに、同様の印刷法により、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストからなる作用極4と対極5を含む電極系及び電気絶縁性ペーストからなる電気絶縁層6を形成してある。電気絶縁層6は作用極4及び対極5の露出部分の面積を一定とし、かつリードを部分的に覆っている。
上記リードおよび電極の材料としては、銀やカーボン以外にも、白金、金、およびパラジウムなどが用いられる。
【0021】
このバイオセンサは、ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁性基板1、カバー9、および基板1とカバー9の間に挟まれるスペーサ8から組み立てられる。これらが図1の中の一点鎖線で示すような位置関係をもって接着され、バイオセンサが構成される。スペーサ8には、試料液供給路を形成するスリット10が形成され、カバー9には空気孔11が形成されている。基板1とカバー9とスペーサ8を図1に示したように接着すると、基板1とカバー9の間に試料供給路となる空間部が形成される。この空間部は、スリット10の解放端部が試料供給口となり、終端部は空気孔11となる。ここでカバー9とスペーサ8の組み合わせでカバー部材を構成しているが、スペーサ8のスリット10に相当する溝を設けた1つの部材で構成することもできる。
【0022】
図1のようにして電極系を形成した絶縁性基板1上またはカバー側のスリット内に、少なくとも酵素と電子伝達体と微粒子物質を含む単独または複数個の反応層7を形成した状態を図2に示す。反応層は必ずしも電極系上に形成する必要はなく、試料供給路内に露出する部分に形成されていればよく、試料液は反応層を溶解して電極系上に達する構成であればよい。
以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
《実施例1》
図1の基板1の電極系上に、ポリスチレン製の平均直径0.5μmの微粒子、フェリシアン化カリウム及びグルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4、GOD)を含む水溶液を滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させ反応層7を形成した。作製した反応層7に含まれる微粒子物質の量は1平方センチメートルあたり1mg、フェリシアン化カリウムの量は1mgであり、GODの量は0.05mgであった。
次に、この基板1にスペーサ8とカバー9を組み合わせてセンサを組み立て、グルコースセンサとしての特性評価を行った。
【0024】
グルコースを含む試料液が反応層7に供給されると、試料液内のグルコースは、GODによって酸化された。そして、これと同時に反応層中の電子伝達体が還元された。続いて、試料液を供給して一定時間後に、対極5に対して作用極4に+0.5Vの電圧を印加して電子伝達体の還元体を酸化した。そして、5秒後に作用極と対極との間に流れる電流値を測定した。この電流値は、還元した電子伝達体の濃度、すなわち試料液中の基質濃度に比例し、この電流値を測定することにより、試料液のグルコース濃度を求めることができた。
【0025】
0、180、360、540mg/dlのグルコース濃度の試料を用意し、測定時間を30秒とした場合のそれぞれに対するセンサの応答電流値を測定した結果、応答電流値とグルコース濃度との間には一定の相関性があり、良好な直線性を示した。また、測定時間を10秒とした場合にも、応答電流値とグルコース濃度の関係は良好な直線性を示した。図3に、測定時間を10秒としたときの応答特性を、実施例2および比較例1の特性とともに示した。
【0026】
さらに、上述のようにして形成した反応層7の少なくとも表面が多孔質となっているか否かを、光学顕微鏡によって観察した。倍率42.5倍で撮影した顕微鏡写真を図4に示した。図4からわかるように、反応層7の表面が多孔質になっていた。
また、反応層の空隙率を、含有成分の重量と比重とから計算した前記含有成分の体積の、乾燥後の反応層の体積に対する割合として求めた。前記反応層の空隙率は約79.5%であった。
【0027】
《実施例2》
フェリシアン化カリウムを含む水溶液を調製し、図1の基板1の電極上に滴下乾燥する方法で第一の層を形成した。この第一の層に含まれるフェリシアン化カリウムの量は1平方センチメートルあたり1mgであった。
次に、GODと実施例1と同様のポリマー微粒子を含む水溶液を調製し、この水溶液を前記第一の層上に滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させて第二の層を形成した。作製した第二の層に含まれるポリマー微粒子の量は、反応層1平方センチメートルあたり1.0mgであり、GODの量は、反応層1平方センチメートルあたり0.1mgであった。前記第一の層と前記第二の層により、反応層7を形成した。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間が30秒の場合、10秒の場合のいずれにおいても応答電流値はグルコース濃度に対し良好な直線性を示した。また、前記反応層の空隙率は約79%であった。
【0028】
《比較例1》
フェリシアン化カリウムとGODを含む水溶液を、図1の基板1の電極上に滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させ、反応層を形成した。この反応層に含まれるフェリシアン化カリウムの量は1平方センチメートルあたり1mgであり、GODの量は、0.05mgであった。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間を30秒とした場合には応答電流値とグルコース濃度との関係は良好な直線性を示したが、測定時間を10秒とした場合には、応答電流値とグルコース濃度との関係は、高濃度域において直線性を示さなかった。
【0029】
《実施例3》
アモルファスシリコン製の平均直径0.3μmの微粒子、フェリシアン化カリウム及びGODを含む水溶液を調製し、これを用い、実施例1と同様の方法で、図1の基板1の電極系上に反応層7を形成した。作製した反応層7に含まれる微粒子の量は1平方センチメートルあたり1.5mg、フェリシアン化カリウムの量は1mgであり、GODの量は0.05mgであった。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間が30秒の場合、10秒の場合のいずれにおいても応答電流値はグルコース濃度に対し良好な直線性を示した。また、前記反応層の空隙率は約74.5%であった。
【0030】
《実施例4》
フェリシアン化カリウムを含む水溶液を調製し、図1の基板1の電極上に滴下、乾燥して第一の層を形成した。この第一の層に含まれるフェリシアン化カリウムの量は1平方センチメートルあたり1mgであった。
次に、GODと実施例3と同様のアモルファスシリコン製の微粒子を含む水溶液を調製し、この水溶液を前記第一の層上に滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させて第二の層を形成した。作製した第二の層に含まれるポリマー微粒子の量は、反応層1平方センチメートルあたり1.5mgであり、GODの量は、反応層1平方センチメートルあたり0.1mgであった。前記第一の層と前記第二の層とによって反応層7を形成した。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間が30秒の場合、10秒の場合のいずれにおいても応答電流値はグルコース濃度に対し良好な直線性を示した。また、前記反応層の空隙率は約74%であった。
【0031】
《比較例2》
フェリシアン化カリウムを含む水溶液を調製し、図1の基板1の電極上に滴下、乾燥して第一の層を形成した。この第一の層に含まれるフェリシアン化カリウムの量は1平方センチメートルあたり1mgであった。
次に、GODと平均直径1.5μmアモルファスシリコン製の微粒子を含む水溶液を調製した。しかし、この水溶液中では微粒子が速やかに沈殿する現象が見られ、滴下作業中常に撹拌する必要が発生した。この水溶液を第一の層上に滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させて第二の層を形成した。すなわち、前記第一の層と前記第二の層とによって反応層7を形成した。作製した第二の層に含まれるポリマー微粒子の量は、反応層1平方センチメートルあたり平均で1.3mgであったが、センサ毎(各セル毎)の含量にばらつきが生じる結果となった。そのため、GODの量にもばらつきが生じ、反応層1平方センチメートルあたり平均して0.1mgであった。
実施例1と同様の方法でグルコース標準液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間が30秒の場合、10秒の場合のいずれにおいても応答電流値はグルコース濃度に依存した。しかし、複数個のセンサについて同じグルコース濃度の標準液に対する応答値を測定した結果、測定値のばらつきが増大する現象が見られた。
【0032】
《実施例5》
実施例2と同様に、フェリシアン化カリウムを含む第一の層を形成した。
次に、コレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとアモルファスシリカ製の平均直径0.5μmの微粒子と界面活性剤としてTriton X−100を含む水溶液を調製し、前記第一の層上に滴下し、50℃の温風乾燥機で10分間乾燥させ、第二の層を形成した。すなわち、前記第一の層と前記第二の層とによって反応層7を形成した。この第二の層に含まれる酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたりコレステロールオキシダーゼ0.10mg、コレステロールエステラーゼ0.05mgであった。微粒子は、反応層1平方センチメートルあたり1mg含まれた。Triton X−100は、反応層1平方センチメートルあたり0.4mg含まれた。
グルコースセンサの場合と同様の方法でコレステロールセンサを作製し、コレステロールを含む試料液に対するセンサ応答電流値を測定した結果、測定時間3分における応答電流値はコレステロール濃度に対し良好な直線性を示した。また、測定時間1分においてもコレステロール濃度に対し良好な直線性を示した。
図5に、測定時間を10秒としたときの応答特性を、比較例3の特性とともに示した。また、前記反応層の空隙率は約74.5%であった。
【0033】
《比較例3》
図1の基板1の電極系上に、フェリシアン化カリウムとコレステロールオキシダーゼとコレステロールエステラーゼの混合水溶液を滴下し、50℃の温風乾燥機中で10分間乾燥させて反応層7を形成した。この反応層7に含まれるフェリシアン化カリウムの量は反応層1平方センチメートルあたり1mgであり、コレステロールオキシダーゼの量は0.1mg、コレステロールエステラーゼの量は0.05mgであった。
次に、実施例3と同様の方法でセンサの応答電流値を測定した。その結果、測定時間1分、3分ともに良好な応答直線性を示さなかった。
【0034】
《比較例4》
実施例3と同様に、フェリシアン化カリウムを含む第一の層を形成した。
次に、コレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとアモルファスシリコン製の平均直径1.5μmの微粒子と界面活性剤としてTritonX−100を含む水溶液を調製し、前記第一の層上に滴下し、50℃の温風乾燥機で10分間乾燥させ、第二の層を形成した。すなわち、前記第一の層と前記第二の層とによって反応層7を形成した。しかし、この水溶液中では微粒子が速やかに沈殿する現象が見られ、滴下作業中常に撹拌する必要が発生した。この反応層に含まれる酵素の量は、反応層1平方センチメートルあたりコレステロールオキシダーゼ0.10mg、コレステロールエステラーゼ0.05mgであった。微粒子は、反応層1平方センチメートルあたり0.5〜1.5mg含まれた。Triton X−100は、反応層1平方センチメートルあたり1.0mg含まれた。
次に、実施例3と同様の方法でセンサの応答電流値を測定した。その結果、測定時間1分および3分のいずれの場合も、良好な応答直線性を示さなかった。その理由としては、反応層を形成する際に用いる溶液内で微粒子が均一に分散しにくく、センサを作製した際の反応層中に含まれる微粒子量が一定せず、センサ応答特性を評価した際の応答値のバラツキが多く発生したものと考えられる。
【0035】
《実施例6》
図1の基板1上において、白金で作られた電極系上に、グルコースオキシダーゼ(GOD)とポリスチレン製の平均直径0.8μmの微粒子(ビーズ)を含む水溶液を滴下させて反応層7を形成した。作製した反応層7に含まれるGODの量は1平方センチメートルあたり0.03mgであった。微粒子物質は、反応層1平方センチメートルあたり1.5mg含まれた。
この電極系上にグルコースを含む試料液を供給し、試料液内のグルコースを、GODによって酸化されて過酸化水素が形成した。そこで、試料液を供給して10秒後に対極5に対して作用極4に+1.0Vの電圧を印加して、5秒後の電流値を測定した。この電流値は、試料液中の基質濃度に比例し、この電流値を測定することにより、試料液のグルコース濃度を求めることができた。
【0036】
0、180、360、540mg/dlのグルコース濃度の試料を用意し、測定時間を30秒とした場合のそれぞれに対するセンサの応答電流値を測定した結果、応答電流値とグルコース濃度との間には一定の相関性があり、良好な直線性を示した。さらに、測定時間を10秒とした場合にも、応答電流値とグルコース濃度の関係は良好な直線性を示した。また、前記反応層の空隙率は約84.7%であった。
【0037】
反応層に微粒子を混合しない場合、基質の高濃度域で応答直線性が失われたことは、反応層が密な構造となって乾燥するため、センサに試料液が供給された際にその表面のみが溶解して反応が起こっているものと考えられる。
一方、微粒子を混合して作製した反応層は、微粒子を混合しない反応層と比較して、酵素や電子伝達体が微粒子表面で薄い膜状に乾燥した構造となる。また、微粒子の間隙を通って試料液が非常にすばやく反応層に進入し、酵素を含む試薬の溶解がスムーズになり、速やかに酵素反応が進行する。その結果、センサの測定時間の短縮が可能となる。
【0038】
この場合、反応層に含まれる微粒子が、平均直径0.1μm未満であると微粒子を含む反応層の構造が非常に微細となるため、微粒子に間隙が形成されず、試料液への溶解がスムーズに進行しない。また、微粒子が平均直径1μm以上であると、反応層形成用液中の微粒子が沈殿したり上部で固まりを生じたりして、製造工程が複雑になる。
以上のことから、微粒子物質の大きさは、平均直径0.1μm〜1μm未満の範囲であることが有効である。また、このような微粒子を含む反応層が形成されることで、血液のような血球や蛋白質などの多くの成分を含む試料を用いた場合にも、センサの応答性が非常に良好になる。
【0039】
以上の実施例では、グルコースセンサおよびコレステロールセンサについて説明したが、その他の酵素を用いたグルコースセンサまたはコレステロールセンサ、および乳酸センサ、果糖センサ、しょ糖センサ、アルコールセンサ、アスコルビン酸センサなどの各センサにも本発明を適用できる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、血液、尿などの生体試料、食品工業における原料や製品などの試料中に含まれる基質を高精度で、迅速かつ容易に定量しうるバイオセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるバイオセンサの反応層を除いた分解斜視図である。
【図2】同バイオセンサの縦断面略図である。
【図3】実施例1、2および比較例1のセンサの応答特性を比較して示すグラフである。
【図4】実施例1において形成した反応層の光学顕微鏡写真である。
【図5】実施例5および比較例3のセンサの応答特性を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2、3 リード
4 作用極
5 対極
6 電気絶縁層
7 反応層
8 スペーサ
9 カバー
10 スリット
11 空気孔

Claims (6)

  1. 電気絶縁性の基板、前記基板上に形成された作用極と対極を有する電極系、及び前記電極系上またはその近傍に形成された反応層を具備し、少なくとも前記反応層の表面が多孔質であることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 前記反応層が、少なくとも酵素と平均直径0.1μm以上1μm未満の微粒子の凝集体を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 前記微粒子が、高分子化合物、セラミック、ガラス、ダイヤモンド、及びカーボンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  4. 前記反応層がさらに電子伝達体を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  5. 前記反応層の近傍に電子伝達体を含む層を有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  6. 前記反応層がコレステロールオキシダーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼの少なくとも一方の酵素、コレステロールエステラーゼ及び界面活性剤を含み、前記反応層の近傍に電子伝達体を含む層を有することを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
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