JP3743318B2 - 作業車両の操向制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、農業用、建築、運搬用等、作業車両の操向制御装置の構成に関し、特にステアリングハンドルや操向レバー等の操作量に応じて左右車輪やクローラ式走行装置の回転数を予め設定した回転数比となるようフィードバック制御するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平4−151333号公報に示されるように、左右の走行装置(車輪)と、この走行装置の駆動力を変速する無段変速装置(クラッチ装置)と、この無段変速装置の出力回転数を検出する回転数検出手段(車輪速センサ)とを備える一方、車両の操向操作部(ステアリング装置)には同操作部の操作量を検出する操作量検出手段(舵角センサ)を備え、前記操向操作部の操作量に応じて前記左右走行装置の回転数を予め設定した回転数比となるようフィードバック制御する制御手段(ECU)を備えた車両が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報等に用いられるフィードバック制御は、自動車を想定し、車輪を一方向に回転させる場合の検出回転数比と設定回転数比との差を演算し、この差に応じて随時通電量自体を新たに変更するものであったので、作業車両のように、所謂スピンターンといった旋回内側の車輪(走行装置)を逆転する操向装置を備える場合は、この逆転時の切り替えも円滑に行なうべく、尚、改良の余地がある操向装置であった。
【0004】
【0005】
【課題を解決しようとする手段】
この発明は、前記課題に鑑みて、作業車両の操向制御装置を以下のように構成した。即ち、請求項1の発明では、左右の走行装置(1,1)と、アクスルケース(18)内に設けられ且つ前記左右各走行装置(1,1)の回転数を変速する無段変速装置(2,2)と、この左右各無段変速装置(2,2)の出力回転数を制御して車両を左右操向させる制御手段(6)を備えた作業車両において、
前記左右各無段変速装置(2)は、駆動軸(65)の軸芯上に構成した正転用クラッチ(7F)と逆転用クラッチ(7R)と遊星ギヤ機構(71)とから成り、
前記正転用クラッチ(7F)は、前記駆動軸(65)と一体の駆動側ディスク(7Fa)と同駆動側ディスク(7Fa)に対しバネ(72)により常時圧着させた被駆動側ディスク(7Fb)を備え、
前記逆転用クラッチ(7R)は、前記正転用クラッチ(7F)の駆動側ディスク(7Fa)と一体回転する駆動側ディスク(7Ra)と、同正転用クラッチ(7F)の被駆動側ディスク(7b)と一体回転する被駆動側ディスク(7Rb)と、前記バネ(72)に抗してピストンを移動させることで前記両クラッチ(7F,7R)の被駆動側ディスク(7Fb,7Rb)を軸方向へ移動させ正転用クラッチ(7F)のディスク圧着状態を徐々に解除させると共に、前記逆転クラッチ(7F)の駆動側ディスク(7Ra)と被駆動側ディスク(7Rb)を徐々に圧着させるシリンダ室(77)を備え、
前記遊星ギヤ機構(71)は、前記正転用及び逆転用クラッチ(7F,7R)の被駆動側ディスク(7Fb,7Rb)と一体回転するキャリア(75)と、同キャリア(75)に支持され且つ前記駆動軸(65)の回転を受けて駆動されるカウンターギヤ(70)を有する遊星ギヤ(74)と、前記キャリア(75)または遊星ギヤ(74)の回転を受けて駆動されるサンギヤ(76)及び同サンギヤ(76)の回転を走行装置(1)側へ出力する出力軸(78)を備え、
前記制御手段(6)では、左右各無段変速装置(2,2)のシリンダ室(77)圧油を送り込み、前記ピストンを一方向へ移動することにより正転用クラッチ(7F)の圧着状態を徐々に解除すると共に、前記逆転用クラッチ(7R)の被駆動側ディスク(7Rb)を前記アクスルケース(18)へ固定させ且つ同クラッチ(7R)の駆動側ディスク(7Ra)と徐々に圧着して、前記駆動軸(65)から遊星ギヤ機構(71)を介して出力軸(78)へ伝達される回転を正転から逆転へ無段階に変更させる構成としたことを特徴とする作業車両の操向制御装置とした。
【0006】
また請求項2の発明では、前記左右各無段変速装置(2)の出力回転数を検出する回転数検出手段(3)と、前記シリンダ室(77)への圧油を調整する制御弁(91)を設けると共に、前記制御手段(6)には、前記操向操作部(4)の操作量に応じた設定回転数比を記憶し、前記左右の無段変速装置(2)の出力回転数比が前記設定回転数比となる様、前記制御弁(91)へ所定の補正値を繰り返し出力する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の操向制御装置とした。
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の効果】
これにより、請求項1の発明では、左右各無段変速装置(2,2)のシリンダ室(77)圧油を送り込み、正転用クラッチ(7F)の圧着状態を徐々に解除すると共に前記逆転用クラッチ(7R)の被駆動側ディスク(7Rb)を前記アクスルケース(18)へ固定させつつ同クラッチ(7R)の駆動側ディスク(7Ra)と徐々に圧着することで、前記駆動軸(65)から遊星ギヤ機構(71)を介して出力軸(78)へ伝達される回転を正転から逆転へ無段階に変更させる構成としたので、所謂スピンターンといった旋回内側の走行装置を逆転する作業車両の操向装置を構成する場合でも、走行装置(1,1)の回転数が大きく変化することが無く、円滑な操向を行なうことができる。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記請求項1の効果に加え、前記左右各無段変速装置(2)の出力回転数を検出する回転数検出手段(3)と、前記シリンダ室(77)への圧油を調整する制御弁(91)を設けると共に、前記制御手段(6)には、前記操向操作部(4)の操作量に応じた設定回転数比を記憶し、前記左右の無段変速装置(2)の出力回転数比が前記設定回転数比となる様、前記制御弁(91)へ所定の補正値を繰り返し出力する構成としたので、車両を円滑且つ正確に操向することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をクローラ式トラクタに搭載した場合を説明する。
トラクタTは、図2に示すように、車体前部にエンジン取付フレーム15を配し、同フレーム15に原動機となるエンジン11を取り付け、このエンジン11後部からエンジン回転出力軸14を突設し、同軸14の回転を車体前後方向に配した鋳物製ミッションケース12(フロントミッションケース12a、ミッドミッションケース12b、リヤミッションケース12c)内の変速装置に伝達する構成となっている。また各種変速装置にて適宜減速された回転動力は、後述するピニオンギヤ16及びベベルギヤ17、左右アクスルケース18内のスプロケット軸19等を介して、走行装置となるクローラ1へ伝達する構成となっている。
【0012】
前記ミッションケース2の上方には、前記フロア20を支持し、このフロア20上に、操向操作部となるステアリングハンドル4や、操縦席21、作業機Rの高さを調整するポジションレバー22、主変速レバー23a、副変速レバー23b、ブレーキペダル24、クラッチペダル9等を設ける構成となっている。
【0013】
また前記主変速レバー23aと副変速レバー23bの回動基部には、変速位置を検出する手段として主変速センサ8a及び副変速センサ8bを設け、間接的に車速を検出する構成となっている。尚、車速を検出する手段としては、対地センサや駆動軸回転センサによる検出、または前記エンジン11のスロットル位置を加味して検出する構成としても良い。
【0014】
また前記フロア20の左右両側部には、クローラ1の上方を覆うフェンダー25を設け、この右側のフェンダー25には、図3に示すように、前記ハンドキャッチャー26を、ローリング制御モードに係る各種スイッチ27,36,10を有するスイッチボックス39を挟んで取り付ける構成となっている。
【0015】
【0016】
【0017】
また前記リヤミッションケース12Cの上面には、作業機昇降用アクチュエータとなる昇降用油圧シリンダ30を設け、同シリンダ30のピストンに接続したリフトアーム31を上下回動することにより、リンク機構32を介して作業機Rを昇降する構成となっている。尚、図2中符号33は、リフトアーム31の回動基部に設けたリフトアーム角センサ33であって、作業機Rの高さを間接的に検出する構成となっている。
【0018】
また、前記ローリング制御を有する型式では、前記リンク機構32の一部に作業機ローリング用アクチュエータとしてローリング用油圧シリンダ34を取り付け、この作動量を前記シリンダ34に併設するストークセンサ35により検出する構成となっている。
【0019】
次に、図4乃至図6に基いてトラクタTの動力伝達構造について説明する。
前記エンジン出力軸14からフロントミッションケース12a内に入力された回転動力は、まず減速ギヤ40によりケース下部に伝達され、後方の主クラッチ41へ伝達されると共に、同ケース12aの前部に設けた油圧ポンプ42へ伝達される。
【0020】
また前記主クラッチ41にて入切操作された動力は、ミッドミッションケース12b内の主変速装置43及び副変速装置44にて適宜減速され、後述するピニオンギヤ16を有する副変速出力軸45へ伝達される。
前記主変装置43は、所謂キーシフト式変速装置となっており、主変速駆動軸46と主変速被駆動軸47間に「1速」から「3速」及び1段の後進「1速」のギヤ組を設け、これらギヤ組を前記主変速被駆動軸47内に設けたスライドキー48を前後に操作することにより何れか一つの前記ギヤ組を介して動力を伝達する構成となっている。
【0021】
また前記副変速装置44は、コンスタントメッシュギヤ式変速装置となっており、前記主変速駆動軸46の延長上に副変速駆動軸49を回転自在に設け、同軸49に「低」速用ギヤ50を設ける一方、前記主変速被駆動軸47の延長上にピニオンギヤ16を有する副変速出力軸45を設け、同軸45に「高速」用直結ギヤと、前記「低」速用ギヤ50に噛み合わせる「低」速用被駆動ギヤとを有するスライドギヤ55を設ける構成となっている。
【0022】
これにより前記主副変速装置43,44を組み合わせて、「低1」から「高3」まで前進6速と「低」と「高」の後進2速を得ることができる。
尚、図4中符号51は、前記トラクタTを四輪駆動型に構成するときに、前輪へ動力を伝達する伝達ギヤ組を示す。
【0023】
また前記フロントミッションケース12aの前下部には,フィルター52をケース12a前面から主クラッチ41後方まで延設して設け、前記作業機昇降用油圧シリンダ30やローリング用油圧シリンダ34、そして後述する逆転用クラッチ7R,7Rへ送られる圧油をろ過する構成となっている。これにより前記主クラッチ41等の回転により生じる気泡に極力影響されず、清浄な油を吸入することができる。
【0024】
また、このフィルター52の取付穴54は、前記トラクタTを四輪駆動型に構成する場合、前輪駆動軸を貫通支持する挿通する開口穴56を利用している。
次に図5に基づいて、トラクタTの走行装置となるクローラ1の動力伝達構成について説明する。
【0025】
前記リヤミッションケース12cの後部は、左右夫れ夫れの側面から所定間隔を隔てて内壁60,60を形成し、アクスルケース18の内側面と間に空間部S,Sを形成すると共に、ミッションケース2c内の左右巾略中央位置に前記副変速出力軸45後端部のピニオンギヤ16を配置する構成となっている。また、前記ピニオンギヤ16と噛み合うベベルギヤ17を、前記左右内壁60,60に支持した支持軸61の略中央位置に設けると共に、この支持軸61の一側部(図5中右側空間部Sに位置する個所)に、前記内壁60よりも外方に突設させてブレーキディスク62a及びプレッシャープレート62b等を有するブレーキ装置62を設ける構成となっている。
【0026】
尚、前記内壁60は、ミッションケースとは別部材、例えば金属部材で構成しケース内に取り付ける構成としても良い。
また、前記ブレーキ装置62は、前記ブレーキペダル24を踏み込むことで前記空間部Sに貫入されるブレーキ操作軸62cを回動し、前記プレッシャープレート62bのカム溝部とアクスルケース18の内側面との間に当接収納したブレーキボール62dがプレッシャープレート62bを車体内側に移動されて前記ブレーキディスク62aを圧着し、前記支持軸61の回転、即ち左右クローラ1の回転を制動する構成となっている。
【0027】
一方、支持軸61の他端部(図5中左側空間部Sに位置する個所)も同様に、前記内壁60よりも外方に突設し、この先端部を前記アクスルケース18の接続面に開口した支持穴63にベアリング64を介して軸受すると共に、前記内壁60に囲まれる空間部S内に、アクスルケース18の第一駆動軸65へ動力を伝達する伝達ギヤ66を設ける構成となっている。また、左右アクスルケース18,18内の第一駆動軸65,65は、ミッションケース12c内でカップリング67により同一軸芯上に接続され、前記伝達ギヤ66の下方位置に同ギヤ66と常時噛み合わせる被伝達ギヤ68を設けている。
【0028】
以上のように構成したトラクタTのリヤミッションケース12c後部の構成では、前記左右に夫々伝達ギヤやブレーキ装置を設ける必要が無く、これらにかかる部品点数を削減して生産コストを削減することができる。また前記右側の内壁60とアクスルケース18との間に、ディスク式ブレーキ装置62を構成し、ブレーキディスク62aの当接部が支持軸61の支持壁と兼用されると共に、ブレーキボール62aを当接する別途部材が必要無くなるため、ミッションケース2の左右幅を極力狭くしてトラクタTを小型化することができる。
【0029】
次に前記第一駆動軸65の動力下手側に位置する無段変速装置2について説明する。
前記左右のアクスルケース18は夫れ夫れ、前記第一駆動軸65上に、湿式多板形態の逆転用クラッチ7R(車体内側)及び正転用クラッチ7F(車体外側)を設けると共に、この正転用クラッチ7Fの外側にカウンター遊星ギヤ70を有する所謂二段遊星ギヤ機構71を設けている。
【0030】
また前記正転用クラッチ7Fは、皿バネ72により常時圧着する構成となっており、この状態では、正転用クラッチ7Fの駆動側ディスク7Faと一体の駆動側サンギヤ73とこれに噛み合う各遊星ギヤ74,70、及び被駆動側ディスク7Fbと一体のキャリア75とが前記駆動側サンギヤ73を中心に一体回転する構成となっている。
【0031】
これにより、駆動側サンギヤ73、即ち前記ベベルギヤ17の回転を被駆動側サンギヤ76へ1対1の回転数比で伝達する構成となっている。
また、前記逆転用クラッチ7Rのシリンダ室77へ圧油を送り込むと、連結ボルト57を介して前記正転用クラッチ7Fのディスク圧着状態が徐々に解除され、前記駆動側ディスク7Faと被駆動側ディスク7Fbとの間に回転差が生じ、これに伴って前記被駆動側サンギヤ76へ伝達される回転が減速される。
【0032】
そして、更に前記シリンダ室77へ圧油を送り込み、前記ピストンの移動量を車体内側に増加すると、前記正転用クラッチ7Fのディスク圧着状態が完全に解除されて前記被駆動側サンギヤ76の回転はゼロとなり、その後はアクスルケース18側に固定された逆転用クラッチ7Rの駆動側ディスク7R駆動側ディスク7Rとが徐々に圧着され、第一駆動軸65の回転が前記二段遊星ギヤ機構71を介して被駆動側サンギヤ76へ逆回転で伝達される。
【0033】
これにより、後述するコントローラ6の通電指令により前記クラッチ7Rのピストンを一方向に移動することで、ベベルギヤ17の回転、即ちクローラ1への回転を徐々に減速して伝達し、非回転状態を経て徐々に逆転で増速する構成となっている。
【0034】
尚、前記図5中符号3は、前記無段変速装置2から出力された回転、即ちクローラ1の回転検出手段となる回転センサを示す。
また、前記被駆動側サンギヤ76は、これを支持する第二駆動軸78及び前記アクスルケース18の外側開放部を遮蔽する蓋体79と一体的に組み付ける構成となっている。
【0035】
前記蓋体79は、パック形状となっており、この内部に第二駆動軸78の回転を減速させてスプロケット軸19へ伝達する遊星ギヤ式の減速機構81を内装すると共に、外側壁にスプロケット82の内側を支持、且つ内部のシール部材を保護する環状の突起部83を形成する構成となっている。
【0036】
そして、トラクタTのアクスルケース18に、蓋体79を組み付ける時には、前記減速機構81部をアクスルケース18で覆った状態で組み付ける。
次に、前記トラクタTの油圧回路について図7に基づき説明する。
前記油圧ポンプ42は、エンジン11の駆動によりミッションケース2内の油を吸い上げ、この圧油を作業機操作系油圧回路L1と走行系油圧回路L2に分岐する構成なっている。
【0037】
作業機操作系油圧回路L1は、回路上手側から減圧弁86、分流弁87を接続し、この分流弁87から切替制御弁88を介して作業機ローリング用油圧シリンダ34と、手動切替弁89を介して作業機昇降用油圧シリンダ30を接続する構成となっている。
【0038】
また前記走行系油圧回路L2は、減圧弁90にて圧力が保持され、回路上手側から比例圧力制御弁91、切替制御弁92を介して左右どちらか一方の前記逆転用クラッチ7Rに接続する構成となっている。
これにより、前記切替制御弁92の切り替えよって旋回内側の逆転用クラッチ7Rへ圧油を送り、前記比例圧力制御弁91への通電量を変更することで、逆転用クラッチ7Rのシリンダ室77内に流入する油量を制御しクラッチピストンを作動させて、クローラ1の回転を正転から徐々に減速させて停止状態を経て逆転に切り替え増速することができる。
【0039】
次に図8に基づき、前記トラクタTの制御手段であるコントローラ6について説明する。
コントローラ6は、内部に各種信号を処理するCPUと、各種信号を一時保存するRAMと、この発明の操向制御やローリング制御等の各種制御プログラムを格納し、携帯用検査器95にて書換え可能なEEPROM等を備え、入力部に、前記ステアリング切角センサ5、主変速センサ8a、副変速センサ8b、リフトアーム角センサ33、ローリング用油圧シリンダ34のストロークセンサ35、ローリング制御モード設定器27、作業機傾き設定器36、傾き調整器10、車体の傾斜を検出するスロープセンサ37、スピンターン入切スイッチ28、左右クローラ1,1の回転センサ3,3等を接続して設けている。
【0040】
また出力部には、前記ローリング制御用の切替制御弁88のソレノイド88a,88b、左右の逆転用クラッチ7Rへ圧油を送る切替制御弁92のソレノイド92s及び比例圧力制御弁91のソレノイド91s、スピンターンの入切状態を表示するパイロットランプ29、車両の異常状態を表示する各種警告用ランプ38等を接続して設けている。
【0041】
以上のように構成したトラクタTは、図9に示す操向制御のフローチャートように操向制御が行われる。
まず最初に、トラクタTの電源をONすると、STEP1で前記コントローラ6では各種センサや設定器の接続状態を読み込み、これに伴ないSTEP2で前記主副変速センサ8a,8bから変速位置に応じて、目標となる設定回転数比を設定する。図10に示す逆転用クラッチの昇圧カーブは、前記設定回転数比に応じて制御したときに得られるクラッチ昇圧カーブであり、副変速位置が「高」である場合は、「低」である場合よりも緩やかに昇圧する構成になっている。また、表1に示すように、副変速位置が「低」速でのみ、旋回内側のクローラ1を逆転する超信地旋回(以下、スピンターン)を可能とし、また副変速位置が「高」で主変速が「1」速であれば旋回内側のクローラ1を停止させる信地旋回(以下、ロックターン)を可能とし、副変速位置が「高」で主変速が「2」速または「3」速であれば旋回内側のクローラ1を緩やかに回転させる緩旋回(以下、マイルドターン)に留める構成となっている。また各変速位置でのマイルドターン域を比較しても、車速が「低」速になる程ハンドル操作初期のクラッチ圧を急激に昇圧し、車体を急旋回する構成となっている。
【0042】
【表1】
Figure 0003743318
【0043】
そして前記コントローラ6では、常時左右クローラ1,1の回転数から旋回外側のクローラ1の回転に対する旋回内側のクローラ1の回転数比を演算し、これが前記設定回転数比に一致するよう所定の補正値を定めたテーブルに基づいてクラッチ圧、即ち比例圧力制御弁91のソレノイド91sへの通電量を補正する。
【0044】
また、上記補正値は、設定回転数比が0に近い程、即ち旋回内側のクローラ1が停止する状態に近づく程、補正値を小さく設定し、且つ前記実測回転数比と設定回転数比との差が大きいほど補正量(クラッチ圧)を大きく設定する構成となっている。また前記補正は繰り返し実行され、前記検出時のクラッチ圧に対し周期的に付加していくものであるが、(1)ステアリングハンドル4を直進位置に戻したとき、(2)変速位置を変更したとき、そして(3)スピンターン入切スイッチ28が「入」の場合でスピンターン域まで達したときに、クリアして新たな補正を開始する構成となっている。
【0045】
例えば、図1に示すように、変速位置を「低2」に設定し、前記スピンターンを「入」とした状態では、Lbなる設定回転数比が設定される。ここでは、ステアリングハンドル4を切っていくと、前記図10中(B)なる昇圧カーブとなるよう旋回内側の逆転用クラッチ7Rが昇圧される。
【0046】
この設定回転数比Lbでは、ステアリング操作初期に約20°内にあそびの領域があり、その後、副変速位置が「高」の場合(図10参照)よりも急激に逆転用クラッチ7Rが昇圧され、更にステアリングハンドル4を切り続け、左右約120°を超えると、前記旋回内側の前進用クラッチ7Fのディスク7Fa,7Fbが完全に解除され、クローラ1が停止しロックターン状態となる。更にステアリングハンドル4を切り続け、約150°を超えるとクラッチ圧を急激に上昇し前記逆転用クラッチ7Rが圧着して旋回内側のクローラ1が逆転しスピンターンの状態となる。またこの操向中の操向制御に於けるフィードバック制御では、前記テーブルに基づく補正値が繰り返し付加される。
【0047】
この補正による特徴を図1で説明すると、例えばステアリング切れ角が約90°の状態では設定回転数比が約0.5に設定されている。このとき検出回転数比と設定回転数比の差がプラス側(ポイントa)であれば、トラクタTは大回りの状態であるので、これを設定回転数比に近づけるべく前記テーブルに設定された補正量に基づきクラッチ圧力をプラス側に補正する。尚、この補正量は、前記差が大きいほど大きく設定されている。
【0048】
また同じくステアリング切れ角が約90°の状態で検出回転数比と設定回転数比の差がマイナス側(ポイントb)であれば、トラクタTは設定よりも小回り状態であるので、クラッチ圧力をマイナス側に補正する。尚、ポイントbでの設定回転数比Lbとの差は、前記ポイントaでの差と同じ絶対量となっているが、補正量は前記プラス側の補正量よりも大きく設定されている。
【0049】
また例えばステアリング切れ角が約100°の状態では設定回転数比が約0.4に設定されている。このとき検出回転数比と設定回転数比の差がプラス側(ポイントc)であれば、トラクタTは大回りの状態であるので、これを設定回転数比に近づけるべく前記テーブルに基づきクラッチ圧力をプラス側に補正する。そしてこの補正量は、前記ステアリング切れ角が90°の時で同じ差のよりも、小さい値に設定されている。一方、同じく検出回転数比と設定回転数比の差がマイナス側(ポイントd)であれば、トラクタTは設定よりも小回り状態であるので、これを設定回転数比に近づけるべく前記テーブルに基づきクラッチ圧力をマイナス側に補正する。そしてこの補正量は、前述同様絶対量が同じでも、マイナ側の補正量の方が、プラス側の補正量よりも大きく設定されている。
【0050】
また前記クラッチ圧は、図11に示すように、前記補正やステアリング操作が無い場合にも、保持圧(P2)を保持すべく周期的に脈動圧(P3)与えクローラ1の回転数を保持する構成となっている。図中符号P1は、前記補正やステアリング操作維時に、最初に与える初期圧を示す。また図中時間T1,T2,T3は、各圧の継続時間を示し、T1>T2>T3の関係となっている。
【0051】
尚、前記設定回転数比は、各クラッチ7F,7Rの仕様やトラクタTの型式等により実験から求められたものであり、これら設定回転数比、及び前記補正量は、前記携帯用検査器95によって変更可能な構成となっている。また前記逆転用クラッチ7Rや各種油圧機器等の個体差があるため、前記補正テーブルを左右別々に設定したり、旋回域即ち、マイルドターン域とロックターン域、スピンターン域毎に設定する構成としても良い。また更に、前記昇圧カーブは、各変速位置毎に設定し、前記同様、変速位置が高速に設定される程、昇圧カーブを緩やかに設定しても良い。
【0052】
以上のように構成したトラクタTの操向制御装置では、車両の左右操向量が検出され、この操向量に応じた設定回転数比を得るよう無段変速装置2,2の出力回転数が適宜補正され、この時の補正は、検出時の駆動状態に対し所定の補正量を繰り返し付加するものであるから、クローラ1,1の回転数は徐々に設定回転数比に近づく。
【0053】
これにより、クローラ1,1の駆動力が大きく変化することが無いので、円滑な操向を行うことができる。
また前記無段変速装置2を湿式多板形態の逆転用クラッチ7Rを有する形態とした場合、前記クラッチ板が圧着する方向と解除する方向との操作力の違いや時間差といった特性による差異を低減し、一律な補正量を付加する構成と比較して、円滑且つ迅速なフィードバック制御を行って、円滑な操向を行うことができる。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【図面の簡単な説明】
【図1】フィードバック制御の作用を説明する図。
【図2】トラクタの全体側面図。
【図3】ハンドキャッチャー部の斜視図。
【図4】ミッションケース内の動力伝達機構図。
【図5】アクスルケース内の動力伝達機構図。
【図6】トラクタの動力伝達機構線図。
【図7】トラクタの油圧回路図。
【図8】コントローラの接続状態を示す図。
【図9】操向制御の概要を示すフローチャート。
【図10】変速位置毎の逆転用クラッチの昇圧カーブを示す図。
【図11】クラッチへ送る脈動圧を示すタイムチャート。
【図12】ローリング制御のフローチャート
【符号の説明】
1 クローラ
2 無段変速装置
3 回転センサ
4 ステアリングハンドル
5 ステアリング切角センサ
6 コントローラ
7F 正転用クラッチ
7Fa 駆動側ディスク
7Fb 被駆動側ディスク
7R 逆転用クラッチ
7Ra 駆動側ディスク
7Rb 被駆動側ディスク
8a 主変速センサ
8b 副変速センサ
18 アクスルケース
57 連結ボルト
65 駆動軸
70 カウンターギヤ
71 遊星ギヤ機構
72 バネ
74 遊星ギヤ
75 キャリア
76 サンギヤ
77 シリンダ室
78 出力軸
T トラクタ
R ロータリ作業機

Claims (2)

  1. 左右の走行装置(1,1)と、アクスルケース(18)内に設けられ且つ前記左右各走行装置(1,1)の回転数を変速する無段変速装置(2,2)と、この左右各無段変速装置(2,2)の出力回転数を制御して車両を左右操向させる制御手段(6)を備えた作業車両において、
    前記左右各無段変速装置(2)は、駆動軸(65)の軸芯上に構成した正転用クラッチ(7F)と逆転用クラッチ(7R)と遊星ギヤ機構(71)とから成り、
    前記正転用クラッチ(7F)は、前記駆動軸(65)と一体の駆動側ディスク(7Fa)と同駆動側ディスク(7Fa)に対しバネ(72)により常時圧着させた被駆動側ディスク(7Fb)を備え、
    前記逆転用クラッチ(7R)は、前記正転用クラッチ(7F)の駆動側ディスク(7Fa)と一体回転する駆動側ディスク(7Ra)と、同正転用クラッチ(7F)の被駆動側ディスク(7b)と一体回転する被駆動側ディスク(7Rb)と、前記バネ(72)に抗してピストンを移動させることで前記両クラッチ(7F,7R)の被駆動側ディスク(7Fb,7Rb)を軸方向へ移動させ正転用クラッチ(7F)のディスク圧着状態を徐々に解除させると共に、前記逆転クラッチ(7F)の駆動側ディスク(7Ra)と被駆動側ディスク(7Rb)を徐々に圧着させるシリンダ室(77)を備え、
    前記遊星ギヤ機構(71)は、前記正転用及び逆転用クラッチ(7F,7R)の被駆動側ディスク(7Fb,7Rb)と一体回転するキャリア(75)と、同キャリア(75)に支持され且つ前記駆動軸(65)の回転を受けて駆動されるカウンターギヤ(70)を有する遊星ギヤ(74)と、前記キャリア(75)または遊星ギヤ(74)の回転を受けて駆動されるサンギヤ(76)及び同サンギヤ(76)の回転を走行装置(1)側へ出力する出力軸(78)を備え、
    前記制御手段(6)では、左右各無段変速装置(2,2)のシリンダ室(77)圧油を送り込み、前記ピストンを一方向へ移動することにより正転用クラッチ(7F)の圧着状態を徐々に解除すると共に、前記逆転用クラッチ(7R)の被駆動側ディスク(7Rb)を前記アクスルケース(18)へ固定させ且つ同クラッチ(7R)の駆動側ディスク(7Ra)と徐々に圧着して、前記駆動軸(65)から遊星ギヤ機構(71)を介して出力軸(78)へ伝達される回転を正転から逆転へ無段階に変更させる構成としたことを特徴とする作業車両の操向制御装置。
  2. 前記左右各無段変速装置(2)の出力回転数を検出する回転数検出手段(3)と、前記シリンダ室(77)への圧油を調整する制御弁(91)を設けると共に、前記制御手段(6)には、前記操向操作部(4)の操作量に応じた設定回転数比を記憶し、前記左右の無段変速装置(2)の出力回転数比が前記設定回転数比となる様、前記制御弁(91)へ所定の補正値を繰り返し出力する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の操向制御装置。
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