JP3743183B2 - プリント・サーバ、ネットワーク・プリント・システム、及びネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法 - Google Patents
プリント・サーバ、ネットワーク・プリント・システム、及びネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続されて構成されるネットワーク・プリント・システムに係り、特に、プリント・サーバがプリンタにプリント・ジョブを好適に転送するネットワーク・プリント・システムに関する。
【0002】
更に詳しくは、本発明は、プリント要求されたプリンタに異常が発生した場合であっても、ユーザに不要な手間をとらせることなく好適に処理可能なネットワーク・プリント・システムに関する。
【0003】
【従来の技術】
昨今、「ネットワーク・コンピューティング」なる言葉が、新聞・雑誌等の各種メディアを賑わしている。「ネットワーク・コンピューティング」とは、その字義通り、複数のコンピュータやプリンタなどの周辺機器類を通信媒体(有線、無線を問わない)で結んだ環境のことを指す。ネットワーク・コンピューティングの主な目的は、コンピュータ資源の共有や、情報の共有・流通等である。
【0004】
ネットワーク・コンピューティングの一つの形態は、ネットワーク・プリント・システムである。これは、ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと1以上のプリンタが接続されて構成される。ネットワーク上のコンピュータ・システムのうちの少なくとも1つは、プリント・サーバとして機能し、他のコンピュータ・システム(クライアント)からの印刷要求を受け取って、プリンタに対して印刷ジョブを実行させるようになっている。
【0005】
また、ネットワークは、単一の構内に敷設されたLAN(Local Area Network)である場合に限らず、外部のネットワーク(例えば一般公衆回線(PSTN:Public Switched Telephone Network)やISDN(Integrated Service Digital Network)など)とゲートウェイ接続されている場合もある。このような場合、プリンタはFAX機能を兼ね備え、外部ネットワーク経由でFAX受信してもよい。
【0006】
ドキュメンテーションが重要視されている現代社会において、コンピュータ・システム上で編集した電子文書を記録用紙上に出力するためのプリンタ等の印字装置は必須である。他方、ユーザはコンピュータ・システムに向かって常時入出力操作を行なうのに比べれば、プリンタが稼動する機会やオペレーション時間は非常に小さい。このため、高価なプリンタを各ユーザが所有せず、複数のコンピュータ・システム間でプリンタの共有を許すネットワーク・プリント・システムへの要望は高まってきている。
【0007】
ところで、プリンタやFAX送受信機は、ジャムやトナー切れなどの異常の発生により、プリント動作を停止させてしまうことはよく知られている。コンピュータ・システムの画面の前にユーザが常駐する一方、プリンタやFAX送受信機などの印字装置は各ユーザの席から離れた場所に設置されることが多い。このため、ジャム等の異常が発生しても、しばらく放置されてしまうことが往々にしてある。しかしながら、異常が放置された状態では、当然、プリンタは使用不可能のままでありプリント要求には応じられない。
【0008】
特開平9−311767号には、このような問題点を解決したネットワーク・プリント・システムについて開示されている。すなわち、同公報に記載されたプリント・サーバは、プリント要求したプリンタに異常が発生した場合、プリント・サーバが出力可能なプリンタを自動的に選択して、プリント・データを転送するようになっている。
【0009】
しかしながら、特開平9−311767号に開示されたプリント・サーバは、最初のプリンタに発生した異常が即時解除可能な場合であっても、同様に、次のプリンタを自動的に選択してしまう。
【0010】
ネットワーク上に散在する複数のプリンタは、一般には、オフィス又は部門などの局所的な場所単位で設置されている。言い換えれば、ユーザが自分に最も近いプリンタを指定してプリント要求を発行するのに対して、プリント・サーバは別のオフィスや部門にあるプリンタに自動転送する。したがって、プリンタの異常が即時解除可能な場合であっても、プリント・サーバは直ちに遠く離れたプリンタにプリント画像を転送してしまう。いかなる異常が発生しても別のプリンタに転送してしまうのでは、ユーザはわざわざ遠くのプリンタまで取りに行かなければならず、不便である。また、異常を即時解除できる場合には、他のプリンタにプリント画像を転送する必要はそもそもないであろう。
【0011】
また、ユーザは、通常、自分から最も近いプリンタを指定してプリント要求を発行するが、プリント要求したとき既に異常を発生していることもある。異常発生を知らずにオペレータがプリント要求を出してしまうと、プリントされない状態が長く放置され、この結果、プリント出力が遅くなってしまうケースもある。
【0012】
そこで、特開平8−30411号公報には、指定されたプリンタが即時プリント可能でない状態のときには、別のプリンタを選択することで、上記問題点の解決を試みている。しかしながら、空きの(すなわち動作可能な)プリンタが一つもない場合には、空きができるのを永遠に待ってしまうことになり、いつまで経ってもプリント出力が得られない、という不具合を伴なう。また、同公報では、ユーザに対するメッセージ等の表示動作はなく、ユーザはプリンタの状況を把握することができない。また、空いたプリンタが直ぐに見つかった場合には、最初に指定されたプリンタが即時異常回復可能なときであっても、プリント・データが別のプリンタに転送されてしまうのは、上述の特開平9−311767号公報と同様である。
【0013】
なお、当業界では、ユーザ画面上にプリンタの状況を常時表示させておくという常套手段もある。但し、かかるプリンタ未使用時におけるこのような状況表示画面は、他の対話入力操作の邪魔であり、ユーザにとって煩わしい存在でしかない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続されたネットワーク上において、プリント・サーバがプリント・ジョブを好適に転送することができる、優れたネットワーク・プリント・システムを提供することにある。
【0015】
本発明の更なる目的は、プリント要求されたプリンタに異常が発生した場合であっても、ユーザに不要な手間をとらせることなく好適に処理可能な、優れたネットワーク・プリント・システムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続されたネットワーク・プリント・システムにおいて、他のコンピュータ・システムからのプリント要求を処理するプリント・サーバであって、
(a)前記ネットワーク経由で他のコンピュータ・システムから、プリンタを指定したプリント要求を受信する手段と、
(b)前記ネットワーク上の各プリンタの異常発生及び異常解除を検出する手段と、
(c)指定されたプリンタに対して異常発生を検出したときに、異常の継続時間を計時して、異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したか否かを判断する手段と、
(d)異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したことに応答して、指定された以外のプリンタにプリント・データを転送する手段と、
(e)異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したことに応答して、プリント要求元のコンピュータ・システムに対し警告を発する手段と、
を具備することを特徴とするプリント・サーバである。
【0017】
本発明の第1の側面に係るプリント・サーバにおいて、前記手段(c)は、検出された異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を用いるようにしてもよい。何故ならば、発生した異常をオペレータが解除するのに要する時間は一様ではなく、異常の種類に応じて異なるからである。例えば、単なるジャム処理であれば短時間で済むが、トナー補給やプロセス・カートリッジの交換を要する場合には比較的長時間を要する。
【0018】
また、前記手段(d)は、プリント要求元のコンピュータ・システム上で転送先プリンタを指定することを許容するようにしてもよい。あるいは、前記手段(d)は、転送先プリンタを自動選択するようにしてもよい。後者の場合、異常を発生していないプリンタのうち最も早く出力できるものを自動選択することが好ましい。
【0019】
また、本発明の第1の側面に係るプリント・サーバは、さらに、(f)プリント要求受信時には指定されたプリンタが既に異常を発生しているときには、タイム・アウトを待たずに、即座に要求元コンピュータ・システムに警告を発する手段を含んでもよい。
【0020】
また、本発明の第2の側面は、ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続され、且つ、前記コンピュータ・システムのうちの1つは他のコンピュータ・システムからのプリント要求を処理するプリント・サーバとして稼動するネットワーク・プリント・システムであって、
前記プリンタの各々は、自分の正常/異常状態の変化をネットワーク経由で前記プリント・サーバに通知する手段を有し、
前記プリント・サーバは、他のコンピュータ・システムからプリント要求されたプリンタが異常状態であっても、所定のタイム・アウト時間が経過するまでは他のプリンタへの転送処理を差し控える手段を有する、
ことを特徴とするネットワーク・プリント・システムである。
【0021】
プリント・サーバは、指定先のプリンタにおける異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を用いてもよい。
【0022】
また、本発明の第3の側面は、ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続され、且つ、前記コンピュータ・システムのうちの1つは他のコンピュータ・システムからのプリント要求を処理するプリント・サーバとして稼動するネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法であって、
(a)ネットワーク上の各プリンタが自分の正常/異常状態の変化を前記ネットワーク経由で前記プリント・サーバに通知するステップと、
(b)前記プリント・サーバが、他のコンピュータ・システムから、プリンタを指定したプリント要求を前記ネットワーク経由で受信するステップと、
(c)前記ステップ(b)において指定されたプリンタが異常状態であっても、所定のタイム・アウト時間が経過するまでは他のプリンタへの転送処理を差し控えるステップと、
を含むことを特徴とするネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法である。
【0023】
プリント・サーバは、指定先のプリンタにおける異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を用いてもよい。
【0024】
【作用】
本発明を実現するネットワーク・プリント・システムは、プリント・サーバがネットワーク上の各プリンタの正常又は異常状態を常時把握していることが前提となる。
【0025】
プリント・サーバは定期的に各プリンタをポーリングしてもよい。あるいは、各プリンタは、自分の状態が変化したとき(例えば異常状態に陥ったときや、正常状態に復帰したとき)には、その旨のメッセージをネットワーク経由でプリント・サーバに伝送するようにしてもよい。後者によれば、状態把握のための通信が一方向で済み、ネットワークの負荷が軽減されるので、より好ましいであろう。
【0026】
本発明に係るプリント・サーバは、指定されたプリンタに異常が発生していても、直ぐに別のプリンタにプリント・データを転送することはせず、所定のタイム・アウト時間が経過するまでは転送動作を差し控える構成とした。したがって、異常が発生しても、オペレータが即時に異常を解除すれば、離れた場所に有る別のプリンタに転送されず、最初に指定した間近のプリンタにプリント出力させることができる。
【0027】
タイム・アウト時間は、発生した異常の種類に応じて設定を変更してもよい。例えばジャム等のようにユーザ自身が用意に解除操作を行なえる異常については、異常解除作業に要するタイム・アウト時間を設定すればよい。他方、システム・ダウンのように回復の見込みがないような異常については、待機する必要がないので、極端に短いタイム・アウト時間を設定するのが効率的であろう。
【0028】
また、指定したプリンタの異常が即時解除可能でないなど必要な場合のみ、プリント要求元のユーザに対して必要なメッセージが表示される。これによって、ユーザは、プリンタに対し無駄なプリント要求を出すことを回避できる。また、ユーザは、異常発生の警告に応じてプリンタの異常の解除に向かうことができ、その結果として、プリント出力を早く得ることができる。なお、警告動作は、ユーザ画面上に所定のメッセージ表示を行なうことによって実現される。
【0029】
また、プリント要求時に指定したプリンタが既に異常を発生しているときには、タイム・アウトを待たず、要求元のユーザに対して直ちに警告を発するようになっている。したがって、ユーザは即座に異常を確認しこれを解除することができる。結果として、早くプリント出力を得られるとともに、無駄なプリント要求を防止することができる。
【0030】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳解する。
【0032】
図1には、本発明の実施に供されるネットワーク・プリント・システム100の構成を模式的に示している。同図に示すように、ネットワーク・プリント・システム100は、ネットワーク1上に、複数のコンピュータ・システム10−a…と、1以上のプリンタ50…が接続されて、構成される。
【0033】
ネットワーク1に接続されるコンピュータ・システム10−a…は、ワークステーション又はパーソナル・コンピュータと呼ばれる、いわゆる汎用タイプのシステムでよい。
【0034】
ネットワーク1上のコンピュータ・システム10−a…のうちの少なくとも1つは、プリント・サーバ10−dとして機能し、他のコンピュータ・システム10−a…(すなわちクライアント)からの印刷要求を受け取って、プリンタ50a…に対して印刷ジョブを実行させるようになっている。
【0035】
また、ネットワーク1は、単一の構内に敷設されたLANである場合に限らず、外部のネットワーク(例えば一般公衆回線(PSTN:Public Switched Telephone Network)やISDN(Integrated Service Digital Network)など)とゲートウェイ接続されている場合もある。このような場合、プリンタ50−aはFAX機能を兼ね備え、外部ネットワーク経由でFAX受信してもよい。
【0036】
なお、後述する本発明の動作特性を実現する上で、ネットワーク1のトポロジやプロトコルには依存しない。ネットワーク1は、例えばバス型、リング型、スター型のいずれであってもよい。
【0037】
図2には、ネットワーク1に接続されるコンピュータ・システム10のハードウェア構成を模式的に示している。以下、各部について説明する。
【0038】
CPU(Central Processing Unit)11は、システム10全体の動作を統括するためのメイン・コントローラである。CPU11は、RAM12にロードされたプログラム・コードを実行するとともに、RAM12を作業エリアとして用いる。CPU11は、バス18を介してシステム10内の各部と相互接続している。
【0039】
ROM13は、データや所定のマイクロ・コードを不揮発的に格納するための読み出し専用メモリである。例えば、システム10の電源投入時に実行する自己診断テスト・プログラム(POST:Power On Self Test)や、ハードウェアの入出力操作を行なうための基本ソフトウェア(BIOS:Basic Input/Output System)がROM13に格納されている。
【0040】
通信インターフェース14は、ネットワーク1を介したデータ交換を実現するための装置である。
【0041】
入力装置15は、オペレータのシステム10への入力を許容する装置であり、例えばキーボードやマウスがこれに該当する。
【0042】
表示装置16は、システム10上の処理結果等を表示する装置であり、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶表示ディスプレイがこれに該当する。
【0043】
外部記憶装置17は、プログラム・ファイルやデータ・ファイルを蓄積するための装置であり、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)やフロッピー・ディスク・ドライブ(FDD)がこれに該当する。
【0044】
クロック部19は、現在時刻を計時するための装置である。例えば、後述の「転送タイマー」の機能を実現するために、クロック部19による計時情報が利用される。
【0045】
コンピュータ・システム10は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、プリント・サーバのいずれであっても基本的なハードウェア構成要素は略同一である。但し、ワークステーションは、一般に、パーソナル・コンピュータよりも、高速なCPU、大容量メモリ、高解像度の表示装置を備え、より高機能な適用業務プログラムを実行可能である。また、プリント・サーバの場合には、各コンピュータ・システムからプリント要求された画像情報を一時蓄えるために、外部記憶装置17は巨大容量であることが好ましい。
【0046】
また、コンピュータ・システム10を構成するためには、図2に示した以外にも多くの電気回路等が必要である。但し、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では省略している。
【0047】
図3には、ネットワーク1に接続されるプリンタ50のハードウェア構成を模式的に示している。プリンタ50は、通信インターフェース51と、プリンタ制御部52と、プリンタ・エンジン53とで構成される。以下、各部について説明する。
【0048】
通信インターフェース51は、ネットワーク1を介して、プリント・サーバ10−dからプリント画像データを受信したり、プリンタ50の正常/異常状態を通知したりするための装置である。
【0049】
プリンタ制御部52は、プリンタ・エンジン53の動作を制御するユニットであり、プリンタ50の内部動作を統括的に制御するCPU(図示しない)や、プリント画像データをページ単位で保持するページ・メモリ(図示しない)などを含んでいる。
【0050】
プリンタ・エンジン53は、受信されたプリント画像データに基づいて記録用紙上に印字するためのユニットである。例えば、電子写真プロセスによって印字処理を行なう場合、電子写真感光体に対して、帯電、現像、クリーニングの処理の繰り返しで実現される。すなわち、電子写真感光体(図示しない)の表面を1次帯電器(図示しない)によって一様に帯電させた後、原稿の画像情報に従ってドラム表面を露光して、静電潜像を形成する。現像器(図示しない)によって静電潜像をトナー像とした後、搬送されてきた用紙(図示しない)上にトナー像を転写する。その後、加熱溶融・圧着などの作用によりトナー像は用紙上に定着され、定着像が形成された用紙はプリンタ50外に排出される。
【0051】
なお、本実施例では、プリント・サーバ10−dが、ネットワーク1上の各プリンタ50−a…の正常又は異常状態を常時把握していることが前提となる。プリント・サーバ10−dは、定期的に各プリンタ50−a…をポーリングしてもよい。あるいは、各プリンタ50−a…は、自分の状態が変化したとき(例えば異常状態に陥ったときや、正常状態に復帰したとき)には、その旨のメッセージをネットワーク1経由でプリント・サーバ10−dに伝送するようにしてもよい。後者によれば、状態把握のための通信が一方向で済み、ネットワーク1の負荷が軽減されるので、より好ましいであろう。
【0052】
次に、ネットワーク・プリント・システム100上におけるプリント動作について、特にクライアントが指定したプリンタに異常が発生した場合を中心に、説明する。
【0053】
図4には、プリント・サーバ10−dにおける最も総括的な処理ルーチンをフローチャートの形式で示している。同図に示すように、プリント・サーバ10−dは、他のコンピュータ・システム10−a…すなわちクライアントからのプリント要求待ち状態にあり、プリント要求を受信したことに応答して、所定のプリント要求処理を実行するようになっている。
【0054】
図5には、プリント・サーバ10−dが実行するプリント要求処理ルーチンを、フローチャートの形式で詳解している。該処理ルーチンは、プリント・サーバ10−dにインストールされたプリント・サーバ用適用業務プログラムを、該サーバ10−dのCPU11が実行することによって実現される。以下、各ステップについて説明する。
【0055】
クライアントからのプリント要求は、通常、出力先プリンタの指定を伴なっている。そこで、まず、指定されたプリンタの状態を確認する(ステップS11)。本発明は、プリンタの状態を確認する手段には限定されない。例えば、各プリンタ50−a…は自身の状態が遷移したときにプリント・サーバ10−dにその旨のメッセージを通知するようにしてもよい(前述)。プリント・サーバ10−dは、各プリンタ50−a…の状態を保持しておき、ステップS11の実行時にこれを参照する。
【0056】
出力先のプリンタに異常が発生しているなど使用不可能な状態であれば、プリント・サーバ10−dはクライアント・ユーザに対して警告を発する(ステップS12)。ここで言う警告は、クライアント側のディスプレイ画面上に所定のメッセージを表示することによって行なわる。例えば「プリンタに異常が発生しています。プリント要求を取消しますか?」などのようなメッセージを表示するとともに、ユーザに対して応答入力をプロンプトするようにしてもよい(ステップS13)。
【0057】
ユーザからの応答が「プリント中止」であれば、プリント・サーバ10−dは、プリント要求を取消すとともに、再びプリント要求待ち状態に戻る。また、ユーザからの応答が「プリント強行」であれば、メイン・ルーチンに進む。
【0058】
出力先のプリンタがプリント可能状態、又は、プリント不可能状態でもユーザがプリント強行を選択したときには、次ステップS14に進み、プリント・サーバ10−dは、出力先プリンタにおけるプリント完了時間を計測する。ここで言う「プリント完了時間」とは、現在キューイングされている全てのプリント・ジョブが完了するまでの時間であり、換言すれば、今回プリント要求されたジョブのプリント処理が開始するまでに要する時間である。
【0059】
次ステップS15では、計測されたプリント完了時間を、予め設定された所定時間Tと比較する。
【0060】
プリント完了時間が所定時間Tよりも長い場合には、ユーザに対して警告を発する(ステップS16)。ここで言う警告は、例えば、クライアント側のディスプレイ画面への所定のメッセージを表示することによって行なわれる。例えば「プリントが開始されるまでに約××分かかります。このままプリントを行ないますか?」などのようなメッセージを表示して、ユーザに対して応答入力をプロンプトする。
【0061】
ユーザがプリント中止を望んだ場合には、プリント・サーバ10−dは、プリント要求を取消すとともに、再びプリント要求待ち状態に戻る。また、ユーザからの応答が「プリント強行」であれば、メイン・ルーチンに進む。
【0062】
プリント完了時間が所定時間Tよりも短い場合、又は、ユーザがプリント強行を望んでいるときには、プリント要求を受理して、プリント・ジョブ・データを指定されたプリンタに送信する(ステップS18)。
【0063】
この後、出力先プリンタではプリント処理が実行される。但し、プリント処理自体は本発明の要旨とは直接関連しないので、本明細書ではこれ以上言及しない。
【0064】
上述したように、必要なときのみ必要なメッセージがクライアントのディスプレイ画面に表示される。この結果、ユーザは、プリンタに対して無駄なプリント要求の発行を回避することができる。また、異常発生の通知を受けたユーザは、ユーザは異常解除の操作を即座に実行する結果として、早くプリント出力を得ることができる。
【0065】
次に、プリント処理中にプリンタに異常が発生したときにプリント・サーバ10−dが実行する異常発生時処理について説明する。図6には、該処理ルーチンをフローチャートの形式で詳解している。該処理ルーチンは、プリント・サーバ10−dにインストールされたプリント・サーバ用適用業務プログラムを、該サーバ10−dのCPU11が実行することによって実現される。以下、各ステップについて説明する。
【0066】
プリント処理中のプリンタに異常が発生したとき、プリント・サーバ10−dは、プリンタ側から異常状態に遷移した旨の通知を受け取る(ステップS21)。
【0067】
プリント・サーバ10−dは、異常発生に応答して、異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を持つ転送タイマーをスタートさせる(ステップS22)。複数のタイム・アウト時間を使い分けるは、オペレータが異常を解除するのに要する時間は一様ではなく、異常の種類に応じて相違するからである。例えば、単なるジャム処理のようにユーザ自身の手で用意に解除できる異常であれば、異常の回復作業に必要な時間をタイム・アウト時間として設定すればよい。また、システム・ダウンのように回復の見込みが無い異常状態であれば、待つ必要が無いので極端に短いタイム・アウト時間でよい。
【0068】
転送タイマーがタイム・アウトするまでの間にプリンタが復旧すると(ステップS23,S24)、転送タイマーをストップさせて(ステップS25)、プリント処理を続行する。
【0069】
他方、タイム・アウトするまでの間にプリンタが復旧しなかった場合には、ステップS26に進み、異常を起こしたプリンタからプリント・ジョブ・データを取り出す。
【0070】
次いで、出力先として相応しい別のプリンタを選択する(ステップS27)。該選択は、クライアント・ユーザが指定したプリンタの中から行なう。指定方法については後述する。
【0071】
別のプリンタを正しく選択できたときには(ステップS28)、新たに選択されたプリンタにプリント・ジョブ・データを転送して(ステップS29)、プリント処理の継続して行わしめる。
【0072】
別のプリンタの選択に失敗したときには(ステップS28)、ステップS26で取り出したプリント・ジョブ・データを破棄する(ステップS30)。例えば、ユーザが指定した全てのプリンタが異常発生等で使用不可能状態のときには、判断ブロックS28は失敗に終わる。
【0073】
次いで、ユーザに対してエラーを通知して(ステップS31)、再びプリント要求待ち状態に戻る。エラーの通知は、例えばクライアントのディスプレイ画面上に「プリントできませんでした。プリンタを確認してください。」のようなメッセージを表示することで実現される。
【0074】
本実施例では、出力先のプリンタと、最初に指定したプリンタが使用不可能時に転送するプリンタを、クライアント・ユーザ自身が一人一人固有の指定を行なえるようになっている。以下では、このプリンタ指定方法について説明する。
【0075】
プリンタの指定は、例えば、クライアント・マシン上で稼動するプリント・ドライバ(プリンタ用デバイス・ドライバ)の設定画面上で行なわれる。図7には、該設定画面を例示している。
【0076】
設定画面は、図7に示すように、複数のワークシートで構成されてもよい。このうち、プリンタ障害時の動作を指定するためには、「プリンタ障害時動作」というタブをクリックすればよい。
【0077】
「プリンタ障害時動作」ワークシートには、障害時の転送条件を書き込むための3つの入力フィールドと、転送先プリンタを指定するための3つの指定フィールドが用意されている。
【0078】
障害時の転送条件とは、転送タイマーのタイム・アウト時間のことである。この例では、障害の種類毎に転送タイマー値を個別に設定することができるようになっている。例えばシステム・ダウンのように、回復の見込みがほとんど無いような障害に対しては、ユーザはプリント開始を待つ必要がないので、転送タイマーをゼロ秒に設定する。また、用紙詰まり(JAM)や用紙切れ(No paper)のように簡単な操作で障害を解除できる場合には、障害解除作業に必要な時間(この例では120秒)を転送タイマー値とすればよい。
【0079】
また、転送先プリンタの指定フィールドは、3つ用意され、最大3台まで転送先プリンタを指定することができる。プリント要求時指定プリンタ(図示しない)、プリンタ1、プリンタ2、プリンタ3の順に優先順位が与えられている。この例では、プリンタ1として”PannyRain”が、プリンタ2として「自動」(すなわちプリント・サーバが勝手に選択可)が設定され、プリンタ3は未設定である。「自動」と設定すると、プリント・サーバ10−dは、プリント可能なプリンタの中から最も早く出力を得られるものを自動選択する。
【0080】
プリンタ指定フィールドは、図示の通り、コンボ・ボックス形式でもよい。この場合、各フィールドの右端の▼ボタンをクリックすることで、プリンタ名を列挙したリスト・ボックスがプルダウン表示される。
【0081】
図7で示した設定画面上でユーザが入力した内容は、例えば印刷要求する画像データと一緒にプリント・サーバ10−dに送付される。プリント・サーバ10−dは、この設定に従って画像データを処理すればよい。
【0082】
[追補]
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0083】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続されたネットワーク上において、プリント・サーバがプリンタにプリント・ジョブを好適に転送する、優れたネットワーク・プリント・システムを提供することができる。
【0084】
また、本発明によれば、プリント要求されたプリンタに異常が発生した場合であっても、ユーザに不要な手間をとらせることなく好適に処理可能な、優れたネットワーク・プリント・システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に供されるネットワーク・プリント・システム100の構成を模式的に示した図である。
【図2】 ネットワーク1に接続されるコンピュータ・システム10のハードウェア構成を模式的に示した図である。
【図3】 ネットワーク1に接続されるプリンタ50のハードウェア構成を模式的に示した図である。
【図4】 プリント・サーバ10−dにおける最も総括的な処理ルーチンを示したフローチャートである。
【図5】 プリント・サーバ10−dが実行するプリント要求処理ルーチンを詳解したフローチャートである。
【図6】 プリント処理中にプリンタに異常が発生したときにプリント・サーバ10−dが実行する異常発生時処理ルーチンを詳解したフローチャートである。
【図7】 クライアント側で印刷条件の指定を行なうユーザ入力画面を例示した図である。
【符号の説明】
1…ネットワーク、
10…コンピュータ・システム(プリント・サーバを含む)
11…CPU、12…RAM、13…ROM
14…通信インターフェース、15…入力装置、
16…表示装置、17…外部記憶装置、18…バス、
19…クロック部、
50…プリンタ、51…通信インターフェース、
52…プリンタ制御部、53…プリンタ・エンジン、
100…ネットワーク・プリント・システム。
Claims (7)
- ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続されたネットワーク・プリント・システムにおいて、他のコンピュータ・システムからのプリント要求を処理するプリント・サーバであって、
(a)前記ネットワーク経由で他のコンピュータ・システムから、プリンタを指定したプリント要求を受信する手段と、
(b)前記ネットワーク上の各プリンタの異常発生及び異常解除を検出する手段と、
(c)指定されたプリンタに対して異常発生を検出したときに、異常の継続時間を計時して、異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したか否かを判断する手段と、
(d)異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したことに応答して、他のプリンタにプリント・データを転送する手段と、
(e)異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したことに応答して、プリント要求元のコンピュータ・システムに対し警告を発する手段と、
を具備することを特徴とするプリント・サーバ。 - 前記手段(c)は、検出された異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を用いることを特徴とする請求項1に記載のプリント・サーバ。
- 前記手段(d)は、プリント要求元のコンピュータ・システムが転送先プリンタを指定することを許容することを特徴とする請求項1に記載のプリント・サーバ。
- 前記手段(d)は、転送先プリンタを自動選択することを特徴とする請求項1に記載のプリント・サーバ。
- さらに、
(f)プリント要求受信時には指定されたプリンタが既に異常を発生しているときには、即座に要求元コンピュータ・システムに警告を発する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント・サーバ。 - ネットワーク上に複数のコンピュータ・システムと複数のプリンタが接続され、且つ、前記コンピュータ・システムのうちの1つは他のコンピュータ・システムからのプリント要求を処理するプリント・サーバとして稼動するネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法であって、
(a)ネットワーク上の各プリンタが自分の正常/異常状態の変化を前記ネットワーク経由で前記プリント・サーバに通知するステップと、
(b)前記プリント・サーバが、他のコンピュータ・システムから、プリンタを指定したプリント要求を前記ネットワーク経由で受信するステップと、
(c)前記ステップ(b)において指定されたプリンタが異常状態であっても、所定のタイム・アウト時間が経過するまでは他のプリンタへの転送処理を差し控えるステップと、
(d)前記プリント・サーバが、前記ステップ(b)において指定されたプリンタにおける異常の継続時間が所定のタイム・アウト時間を超過したことに応答して、プリント要求元のコンピュータ・システムに対して警告を発するステップと、
を含むことを特徴とするネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法。 - 指定先のプリンタにおける異常の種類に応じて異なるタイム・アウト時間を用いることを特徴とする請求項6に記載のネットワーク・プリント・システムにおけるプリント制御方法。
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