JP3741924B2 - 吸口付きストロー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば乳幼児等が口にくわえる場合であっても、飲料を吸飲しやすくて、かつ優れた安全性が確保される吸口付きストロー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ストローとしては、一端側から他端側にかけてその外径寸法が同一となされた細長い管状のものが一般的に多く用いられている。
【0003】
ところで、上記構成に係る従来のストローを用いて、例えば乳幼児が飲料を飲もうとした場合、先端側が細くてかつ同一径で延びているために、一旦口にくわえたとしても容易に口から離脱することが多く、また飲んでいる途中で口からストローが離脱すると飲料を口からこぼしてしまいやすいといったような問題が生じていた。
【0004】
また、ストローの端部がむき出しになっているので、ストローの取り扱いに慣れない乳幼児が誤ってそのストローの端部で喉を突いてしまうこともある。特にストローを口にくわえながら歩行等している際に転倒等した場合には怪我をする危険がある。
【0005】
そこで、実開昭59−28376号公報には、ストロー本体の一端部に吸口部材を強制的に嵌合したストローが提案されている。このストロー(101)は、図9(イ)に示すように、ストロー本体(102)の一端部内周面に断面鋸歯状となる複数の係止突条部(103)…が設けられる一方、吸口部材(104)のストロー本体への嵌入部(104a)の外周面に前記各係止突条部(103)に係止しうる複数の突条部(105)…が設けられているものである。そして、吸口部材(104)をストロー本体(102)に強制的に圧入することによって、図9(ロ)に示すように、吸口部材の嵌入部(104a)外周面の突条部(105)…を、ストロー本体(102)内周面の係止突条部(103)…に係止させて、ストロー本体(102)と吸口部材(104)を一体化したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成に係るストロー(101)では、吸口部材(104)がストロー本体(102)から離脱することが懸念される。即ち、そもそも吸口部材(104)をストロー本体(102)に強制的に圧入することによって両者を一体化したものであるので、乳幼児が吸口部材(104)を噛んで無理な引張り力を加えたりすると吸口部材(104)がストロー本体(102)から離脱することが懸念される。吸口部材(104)がストローから離脱した場合には、その大きさからして誤って口の中に飲み込んでしまう可能性もある。
【0007】
また、上述のように、ストロー本体(102)と吸口部材(104)を別個に製作してから両者を嵌合一体化するものであるから、即ち、少なくとも、ストロー本体の製作工程、吸口部材の製作工程、両者の嵌合一体化工程を要するものであり、工程数が多く生産性に劣るという問題もあった。
【0008】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、乳幼児等が使用する場合であっても飲料を吸飲しやすくて、かつストロー先端に設けられた吸口部材がストローから離脱することがなくて安全性を十分に確保することができると共に、生産性に優れた吸口付きストロー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究の結果、ストロー本体の先端部周壁に係合孔を設け、中空吸口部材の内周面から突起を内方に突出形成し、この突起を前記ストロー本体の係合孔に係合せしめた構成とすることにより、上記所望の吸口付きストローが得られること、また本構成の吸口付きストローは、先端部周壁に係合孔が設けられたストロー本体の中空空間内に特定の態様でピンを挿通配置せしめ、この状態でストロー本体の先端部にインサート成形法により吸口部材を一体成形する製造方法によって、簡易にかつ生産効率良く製造できることを見出すに至り、この発明を完成したものである。
【0010】
即ち、この発明に係る吸口付きストローは、両端に開口を有するストロー本体の先端部に中空吸口部材がインサート成形により一体化されてなり、前記ストロー本体の先端部周壁に1ないし複数の係合孔が設けられる一方、前記中空吸口部材の内周面から1ないし複数の係合突起が内方に突出形成され、該突起が前記ストロー本体の係合孔に係合されることにより、吸口部材がストロー本体から離脱しないようになされていることを特徴とするものである。
【0011】
ストロー本体の先端に中空吸口部材が一体化されているので、乳幼児等が口にくわえる場合であっても口から容易にストローが離脱することがなくて飲みやすいストローとなし得る。また、中空吸口部材の係合突起がストロー本体の係合孔に係合されているので、吸口部材がストロー本体から抜けて離脱することがなく、従って乳幼児等が取り扱う場合においても誤って飲み込む心配も全くなく、安全性を十分に確保することができる。更に、ストロー本体と中空吸口部材がインサート成形により一体化されており、吸口部材が加熱状態でストロー本体と接合されているので、両者間の接合強度に優れており、これにより吸口部材の離脱がより確実に防止される。
【0012】
中空吸口部材は、その内径がストロー本体の内径よりも径小に形成されているのが、好ましい。このような構成とすれば、乳幼児等が勢いよく吸い込んでむせ返すようなことを防止できるので、一層飲みやすいストローとなし得る。
【0013】
また、この発明に係る吸口付きストローの製造方法は、先端部周壁に1ないし複数の係合孔が設けられたストロー本体の中空空間内に、該先端部を貫通して一部が外方に突出する態様でピンを挿通配置せしめる工程と、前記ストロー本体の先端部と前記ピンの突出部にインサート成形法により中空吸口部材を一体成形した後、前記ピンを抜脱する工程と、を包含することを特徴とするものである。
【0014】
ストロー本体の先端部周壁に係合孔が設けられているから、該先端部にインサート成形法により中空吸口部材を一体成形すると、この係合孔に樹脂が入り込んで突起が形成された状態で一体成形することができる、即ち中空吸口部材の内周面から内方に突出形成された係合突起が、ストロー本体の係合孔に係合された状態で一体成形することができる。また、ストロー本体の中空空間内に、該本体の先端部を貫通して一部が外方に突出する態様でピンを挿通配置せしめた状態でインサート成形するので、一体成形後にピンを除去すると、吸口部材の中にストローの軸線方向に貫通する中空空間が形成され、これがストロー本体の中空空間と連通状態となるので、飲み物を吸い上げる流路が形成される。本製造方法は、インサート成形時に、吸口部材の製作と、ストロー本体と吸口部材の一体化を同時に遂行することができるので、工程数が少なくて済み、生産効率に優れる。
【0015】
上記ピンは、先端部の径が中間部の径よりも径小に設定されているのが好ましい。この場合には中空吸口部材の内径をストロー本体の内径よりも径小に形成させることができるので、乳幼児等が勢いよく吸い込んでむせ返すようなことを防止でき、一層飲みやすいストローを製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態に係る吸口付きストローを図1に示す。この吸口付きストロー(1)は、両端に開口を有する細長い管状の合成樹脂製のストロー本体(2)の先端部に、同じく合成樹脂からなる正面視ハート型形状の有色の中空吸口部材(3)がインサート成形により一体化されたものである。この吸口部材(3)には、図2、3に示すように、ストローの軸線方向に貫通する中空空間(3a)が形成されており、これがストロー本体(2)の中空空間(2a)と連通状態となされて、飲料を吸い上げる流路が形成されているものである。このようにストロー本体(2)の先端部に本体(2)の外径よりも径大の中空吸口部材(3)が一体化されているので、乳幼児等が口にくわえる場合であっても口から容易にストローが離脱することがなくて飲みやすいストローとなる。しかも、中空吸口部材(3)の内径がストロー本体(2)の内径よりも径小に形成されているので、乳幼児等が勢いよく吸い込んでむせ返すようなことがなく、一層飲みやすいストローとなし得る。
【0017】
前記ストロー本体(2)の先端部周壁には、相互に対向して2つの係合孔(6)(6)が設けられる一方、前記中空吸口部材(3)の内周面から2つの係合突起(7)(7)が相互に対向して内方に突出形成され、これら係合突起(7)(7)がそれぞれ前記係合孔(6)(6)に係合されている(図3参照)。これにより、吸口部材(3)とストロー本体(2)とが互いに軸線方向に係合するから、吸口部材(3)がストロー本体(2)から離脱しないものとなる。従って、乳幼児等が取り扱う場合においても誤って吸口部材(3)を飲み込む心配も全くなく、安全性を十分に確保することができる。
【0018】
また、ストロー本体(2)の先端部に中空吸口部材(3)が一体化されることで、これまでのストローとは異なった特異性のある外観を有したものとなり、斬新な意匠が構成される。即ち、上述の機能面、安全面で優れる上に、優れた意匠性をも具備したものとなる。特に上記実施形態では中空吸口部材(3)が、黄色、ピンク色等の色が付与されているので、一層美麗な意匠が構成される。
【0019】
前記ストロー本体(2)を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、例えばEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン等を例示できる。また、前記中空吸口部材(3)を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば酢酸ビニル樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)、ポリプロピレン、ポリエチレン等を例示できる。
【0020】
上記実施形態では、中空吸口部材(3)の形状は正面視ハート型形状となされているが、特にこのような形状に限定されるものではなく、例えば図4に示すような正面視チューリップ型形状であっても良いし、あるいは正面視円形形状であっても良く、その形状は特に限定されない。
【0021】
また、上記実施形態では、ストロー本体(2)の形状は、真っ直ぐに延びる細長の円筒形状となされているが、特にこのような形状に限定されるものではなく、例えばその中間部で曲線状にループを形成した構成のものであっても良いし、その中間部に自由に伸縮する蛇腹機構が設けられて湾曲可能となされた構成のものであっても良い。
【0022】
更に、上記実施形態では、係合孔(6)の数及び係合突起(7)の数は、それぞれ2個としているが、特にこれに限定されるものではなく、それぞれ1個であっても良いし、あるいは3個以上であっても良い。ただ、吸口部材(3)のストロー本体(2)からの離脱防止を確実に行う観点から、係合孔(6)の数及び係合突起(7)の数は、それぞれ2個以上とするのが望ましい。
【0023】
この発明の吸口付きストロー(1)は、例えば次のようにして製作することができる。即ち、まず先端部周壁に係合孔(6)(6)が設けられたストロー本体(2)を準備し、このストロー本体(2)の中空空間(2a)内に、該先端部を貫通して一部が外方に突出する態様でピン(10)を挿通配置せしめる。即ち、成形機の成形型の下方位置から上方に向けて配置されたピン(10)にストロー本体(2)をその先端部を貫通してピンの一部(先端)が外方に突出する態様でセッティングする(図5参照)。
【0024】
なお、ピン(10)の水平断面形状(先端部を除く)は、図6に示すように、その外周面の数箇所が内方に窪んだ形状となされており、これによりピン(10)外周面とストロー本体(2)内周面との接触面積を少なくし、前記セッティングをスムーズに行い得るようになされている。また、ピン(10)の先端部(12)は水平断面真円形状となされている。また、ピン(10)の先端部(12)の径はその中間部の径(外径)よりも径小に設定されている。
【0025】
次に、前記挿通配置状態でストロー本体(2)の先端部とピン(10)の突出部の周囲に、インサート成形法により中空吸口部材を一体成形する。このインサート成形時の成形用金型(20)内におけるストロー本体(2)及びピン(10)の配置態様を図7に示す。ストロー本体(2)の先端部を貫通して突出したピン(10)の先端部(12)が、成形用金型(20)のキャビティー上面中心部(20a)に当接して配置される。このような配置状態で、キャビティー上面に設けられた2つのピンゲート(21)(21)より樹脂をキャビティー内へ射出すると、ストロー本体(2)の係合孔(6)に樹脂が入り込んで突起(7)が形成された状態で中空吸口部材(3)の一体成形が行われる。即ち、中空吸口部材(3)の内周面から内方に突出形成された係合突起(7)が、ストロー本体(2)の係合孔(6)に係合された状態で一体成形することができる。
【0026】
次いで、成形用金型(20)内よりピン(10)を抜脱すると、吸口部材(3)の中にストローの軸線方向に貫通する中空空間(3a)が形成され、この中空空間(3a)がストロー本体(2)の中空空間(2a)と連通状態となるので、飲料を吸い上げる流路が形成される。そして、ピン(10)の先端部(12)の径はその中間部の径(外径)よりも径小に設定されているので、得られる吸口ストロー(1)において中空吸口部材(3)の内径はストロー本体(2)の内径よりも径小となる。従って、乳幼児等が勢い良く吸い込んでもむせ返すようなこともなく、非常に飲みやすいストローとなる。
【0027】
上記製造方法によれば、インサート成形時に、吸口部材(3)の製作と、ストロー本体(2)と吸口部材(3)の一体化を同時に行うことができるので、工程数が少なくて済み、生産効率に優れている。
【0028】
図8に別の実施形態に係る吸口付きストロー(1)をインサート成形直後の成型用金型(20)内に配置された状態で示す。この実施形態では、金型(20)の構成は前記と全く同じであるが、ピン(10B)の構成が前記とは異なっている。即ち、このピン(10B)における先端径小部分(12)の長さは前記のピン(10)のそれよりも長く設定されており、これによりストロー本体(2)先端部とピンの先端径小部分(12)との間に空隙(14)が形成されることとなり、ピンゲート(21)(21)より樹脂をキャビティー内へ射出すると、該空隙(14)にも樹脂が回り込んで、ストロー本体(2)の内側に吸口部材(3)の一部が回り込んだ態様で一体成形される。かつ、この回り込んだ部分(16)が係合突起(7)と連接状態に成形されるので、吸口部材(3)のストロー本体(2)からの離脱を確実に防止することができる。即ち、この連接部分が破壊されない限り吸口部材(3)がストロー本体(2)から離脱するようなことはない。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明の吸口付きストローは、ストロー本体の先端に中空吸口部材が一体化されているので、乳幼児等が口にくわえる場合であっても口から容易にストローが離脱することがなくて飲みやすいストローとなる。また、中空吸口部材の係合突起がストロー本体の係合孔に係合されているので、吸口部材がストロー本体から抜けて離脱することがなく、従って乳幼児等が取り扱う場合においても誤って飲み込む心配も全くなく、安全性に優れている。加えて、ストロー本体と中空吸口部材がインサート成形により一体化されているので、本体と吸口部材間の接合強度に優れており、これにより吸口部材の離脱をより確実に防止できる。更に、中空吸口部材が一体化されることで、これまでにない特異性のある外観を有したものとなり、上述の機能性、安全性に加えて、優れた意匠性をも具備したものとなる。
【0030】
中空吸口部材の内径がストロー本体の内径よりも径小となされている場合には、乳幼児等が勢いよく吸い込んでむせ返すようなことを効果的に防止できる。
【0031】
また、この発明の製造方法によれば、ストロー本体の先端部周壁に係合孔が設けられているから、インサート成形の際に、この係合孔に樹脂が入り込んで突起が形成され、即ち中空吸口部材の内周面から内方に突出形成された係合突起が、ストロー本体の係合孔に係合された状態で一体成形することができるので、得られるストローにおいて吸口部材がストロー本体から抜けて離脱することがない。また、ストロー本体の中空空間内に、該本体の先端部を貫通して一部が外方に突出する態様でピンを挿通配置せしめ、この状態でストロー本体の先端部とピン突出部にインサート成形法により吸口部材を一体成形するので、一体成形された吸口部材に、ストロー本体の中空空間と連通状態となる吸上げ流路を形成することができる。本製造方法は、インサート成形時に、吸口部材の製作と、ストロー本体と吸口部材の一体化を同時に遂行することができるので、生産効率に優れている。
【0032】
ピンの先端部の径がその中間部の径よりも径小に設定されている場合には、中空吸口部材の内径をストロー本体の内径よりも径小に形成させることができ、一層飲みやすいストローを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る吸口付きストローを示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
【図2】図1(イ)におけるA−A線の断面図である。
【図3】図1(ロ)におけるB−B線の断面図である。
【図4】別の実施形態に係る吸口付きストローを示す図であって、(イ)は正面図、(ロ)は側面図である。
【図5】ストロー本体内にピンが挿通配置された状態を示す斜視図である。
【図6】図5におけるC−C線の断面図である。
【図7】(イ)はインサート成形時の成形用金型を示す断面図、(ロ)は(イ)におけるD−D線の断面図である。
【図8】(イ)は別の実施形態に係る吸口付きストローをインサート成形直後の金型内に配置された状態で示す断面図、(ロ)は(イ)におけるE−E線の断面図である。
【図9】従来の吸口付きストローを示す図であって、(イ)は圧入前の状態、(ロ)は圧入後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…吸口付きストロー
2…ストロー本体
3…中空吸口部材
6…係合孔
7…係合突起
10…ピン
12…ピン先端部
Claims (2)
- 先端部周壁に1ないし複数の係合孔が設けられたストロー本体の中空空間内に、該先端部を貫通して一部が外方に突出する態様でピンを挿通配置せしめる工程と、
前記ストロー本体の先端部と前記ピンの突出部にインサート成形法により中空吸口部材を一体成形した後、前記ピンを抜脱する工程と、を包含することを特徴とする吸口付きストローの製造方法。 - 前記ピンは、先端部の径が中間部の径よりも径小に設定されている請求項1に記載の吸口付きストローの製造方法。
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