JP3741830B2 - 非構造壁のスリット材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の非構造壁と柱や梁などの構造骨組との接合部に設けるスリット材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の袖壁、腰壁、一般壁などの非構造壁と柱や梁などの構造骨組との接合を、両者を直接接合する剛接型とすると、地震などによる震動が建物に加わったとき、図15に示すように例えば非構造壁1である腰壁が構造骨組2である柱の脆性破壊に影響を及ぼし、建物の崩壊の原因となることが多い。
【0003】
そこで、非構造壁1の存在が柱などの構造骨組に悪影響を及ぼさないようにする方法として、図9、図10に示すように腰壁などの非構造壁1と柱などの構造骨組2との間に20mm以上のスリット3を設けるものがあり、このスリット3にスリット材4を配設している。
【0004】
スリット材4に要求される性能は、止水性、壁や柱などのコンクリート打設時の耐衝撃性、耐火性、耐久性などであるが、かかる性能を満たすものとして、従来、例えば図11に示すようにポリエチレン独立発泡体やセラミック耐火材を用いて板状の本体15を形成し、この本体15の一方の側面からこれと直交する方向に補強用の2つの脚片16を突出してある。
【0005】
そして、このスリット材4を非構造壁1と構造骨組2の間に形成したスリット3に配設するには、図12に示すように一方の型枠14にセパレータ18と目地棒17を取り付けてから、スリット材4の脚片16に設けてある孔16aをセパレータ18に差し込み、本体15の端部を目地棒17に当接させた状態で、もう一方の型枠14を建て込み、型枠14間にセパレータ18を介してスリット材4を固定する。
【0006】
図13に示すようにコンクリート13を打設後、型枠14を解体し、目地棒17を外し、さらに図14に示すように目地にコーキング19を施して止水処理を行う。このようにして非構造壁1と構造骨組2との間にスリット材4が介装される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスリット材4は耐火性を満足させるために例えばセラミック耐火材を用いているため、材料が高価なものとなり、施工に際しても脚片16を固定するには捨てセパレータを必要とし、使用する部材が多くなるだけでなく、セパレータ18を型枠14に固定する作業や、脚片16をこのセパレータ18に取り付ける作業を必要として施工性もよくない。
【0008】
また、目地に充填したコーキング19に割れが発生すると止水機能が損なわれる。かかる不都合を解消するにはこの箇所に水返しを別途設ける必要があり、部材が多くなり、作業工程も増える。
【0009】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、部品点数を削減でき、施工性もよく、止水性、耐火性、耐久性、コンクリート打設時の耐衝撃性も十分に確保できる非構造壁のスリット材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、第1に、腰壁などの非構造壁と柱や梁などの構造骨組との接合部にこれに沿って設ける長尺なスリット材において、本体部を硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を用いて両側にアーチ状部を有する断面楕円形に形成し、本体部のそれぞれの両端から構造骨組と非構造壁の内方にそれぞれ突出する第1の突条と、該第1の突条と直交する方向で構造骨組と非構造壁との接合面の隙間に突出する第2の突条とを一体に設けたことを要旨とするものである。
【0011】
第2に、接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはシール材を充填すること、第3に、接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはロックウールなどの難燃材を充填することを要旨とするものである。
【0012】
請求項1記載の本発明によれば、本体部を硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を用いて中空の断面楕円形に形成したから、安価で容易に製作でき、楕円形のアーチ状部によってコンクリート打設時の衝撃にも十分耐えられ、また、地震時の衝撃に対しては楕円形の本体部が伸縮して変形することで衝撃を吸収する。
【0013】
さらに、本体部のアーチ状部の両端から構造骨組や非構造壁の内方に一体に突出する一対の第1の突条により壁や柱などのコンクリートへの定着性が高まり、コンクリート打設時にこれを固定するためのセパレータも不要で施工性がよく、本体部から一体に突出する第2の突条により構造骨組と非構造壁との接合面に水返しを別途設けずに、接合面での止水性が得られる。
【0014】
請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはシール材を充填することで、止水性をさらに向上できるとともに遮音性も確保できる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはロックウールなどの難燃材を充填することにより、耐火性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の非構造壁のスリット材の実施の形態を示す平面図で、図は非構造壁1と構造骨組2との間に形成したスリット3に介装した状態を示し、前記従来例と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
【0017】
本発明のスリット材4は本体部5を硬質塩化ビニルや特に耐火性を得たい場合はフェノール樹脂などの合成樹脂を用いて押出成形または射出成形などにより長尺で両側にアーチ状部を有する中空の断面楕円形に形成する。
【0018】
そして、この本体部5のアーチ状部の両端から梁や柱などの構造骨組2と腰壁などの非構造壁1の内方に突出して構造骨組2と腰壁などの非構造壁1に定着する一対の第1の突条6を一体に設けた。この第1の突条6は先端をさらに外側に直角に折り曲げて折曲部6aに形成する。
【0019】
さらに、断面楕円形の本体部5のアーチ状部の両端から前記第1の突条6とは直角の方向で腰壁などの非構造壁1と柱などの構造骨組2との接合面に突出する一対の第2の突条7を一体に設けた。
【0020】
図中8は前記第2の突条7間に装着され、例えば軟質塩化ビニルなどを材質とする、断面略コ字形の水返し部材、9は建物の外側でこの水返し部材8の内部に装着するシール材、10は建物の中側で水返し部材8の内部に装着するロックウールなどによる難燃材を示す。
【0021】
次に、このようなスリット材4を非構造壁1と構造骨組2との接合部に形成したスリット3に取り付ける方法を説明する。図2に示すように壁や柱を構成するコンクリートを打設するための型枠14を組み、型枠14間に本体部5をセットする。このとき、本体部5の両端部の第2の突条7の内部には目地棒17を入れておき、型枠14内にコンクリート13を打設する。
【0022】
コンクリート打設時の衝撃は図2に示すようにコンクリート圧が小さい場合は本体部5の断面楕円形のアーチ状の部分で吸収できるが、コンクリート圧が大きい場合は、図3に示すように本体部5の中空内部に例えばロープのような外圧に対して変形可能で楕円形の形状にも対応しやすく、しかもスリット3の長さに対応できるよう長尺な緩衝部材11を挿入しておき、この緩衝部材11でコンクリート圧に抵抗する。
【0023】
コンクリート13の硬化後、図4に示すように型枠14と目地棒17を外し、緩衝部材11を挿入した場合はこれも抜き取る。第2の突条7間の隙間に水返し部材8を装着する。なお、水返し部材8はスリット材4を押し出し形成する際に工場等で装着させることも可能である。第1実施形態としてはこのように本体部5と第1の突条6,第2の突条7だけでスリット材4を構成することも可能であるが、建物の内側で耐火性を確保したい場合は、第2実施形態として図5のように建物の内側に位置する第2の突条7内にロックウールなどによる難燃材10を挿着する。
【0024】
さらに、建物の外側で止水性と遮音性を確保したい場合は、第3実施形態として図6に示すように建物の外側に位置する第2の突条7内にシール材9を充填する。
【0025】
以上のようにしてスリット3に挿着したスリット材4は、本体部5から突出する第1の突条6およびその先端の折曲部6aによりコンクリート13への定着性が高まり、またこの第1の突条6と第2の突条7、水返し部材8とにより止水性を確保できる。
【0026】
そして、地震発生時の横方向の引張力に対しては、図7に示すように断面楕円形の本体部5が横方向に伸長して変形することで、また、これとは反対の圧縮力に対しては、図8に示すように本体部5が圧縮して変形することで、このスリット材4が地震の衝撃を吸収し、非構造壁1の変形が構造骨組2へ伝達されないようにする。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の非構造壁のスリット材は、本体部を硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を用いて中空の断面楕円形に形成したから、安価で容易に製作でき、楕円形のアーチ形状によってコンクリート打設時の衝撃にも十分耐えられ、また、地震時の衝撃に対しては楕円形の本体部が伸縮して変形することで衝撃を確実に吸収する。
【0028】
また、本体部のアーチ状の部分の両端から構造骨組や非構造壁の内方に突出する一対の突条により壁や柱などのコンクリートへの定着性が高まるとともに、コンクリート打設時にこれを固定するためのセパレータも不要で施工性がよく、さらに、本体部の両端から構造骨組や非構造壁の接合面に突出する一対の突条により、水返しを別途設けずにスリット部での止水性を確保でき、部材の削減と施工性の向上を図れる。
【0029】
そして、接合面に突出する一対の突条間の一方にはシール材を充填することで、止水性をさらに向上できるとともに遮音性も確保でき、接合面に突出する一対の突条間の他方にはロックウールなどの難燃材を充填することにより、耐火性も向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非構造壁のスリット材の実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明の非構造壁のスリット材の施工状態を示す横断平面図である。
【図3】本発明の非構造壁のスリット材の施工状態の他の例を示す横断平面図である。
【図4】本発明の非構造壁のスリット材の第1実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明の非構造壁のスリット材の第2実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の非構造壁のスリット材の第3実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明の非構造壁のスリット材の伸長状態を示す平面図である。
【図8】本発明の非構造壁のスリット材の圧縮状態を示す平面図である。
【図9】非構造壁のスリットを示す正面図である。
【図10】非構造壁のスリットを示す平面図である。
【図11】従来のスリット材を示す斜視図である。
【図12】従来のスリット材の施工の第1工程を示す横断平面図である。
【図13】従来のスリット材の施工の第2工程を示す横断平面図である。
【図14】従来のスリット材の取付状態を示す平面図である。
【図15】非構造壁と構造骨組の崩壊状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1…非構造壁 2…構造骨組
3…スリット 4…スリット材
5…本体部 6…第1の突条
6a…折曲部 7…第2の突条
8…水返し部材 9…シール材
10…難燃材 11…緩衝部材
13…コンクリート 14…型枠
15…本体 16…脚片
16a…孔 17…目地棒
18…セパレータ 19…コーキング
Claims (3)
- 腰壁などの非構造壁と柱や梁などの構造骨組との接合部にこれに沿って設ける長尺なスリット材において、本体部を硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を用いて両側にアーチ状部を有する断面楕円形に形成し、本体部のそれぞれの両端から構造骨組と非構造壁の内方にそれぞれ突出する第1の突条と、該第1の突条と直交する方向で構造骨組と非構造壁との接合面の隙間に突出する第2の突条とを一体に設けたことを特徴とする非構造壁のスリット材。
- 接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはシール材を充填する請求項1に記載の非構造壁のスリット材。
- 接合面に突出する一対の突条間のいずれか一方にはロックウールなどの難燃材を充填する請求項1または請求項2に記載の非構造壁のスリット材。
Priority Applications (1)
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JP18937697A JP3741830B2 (ja) | 1997-07-15 | 1997-07-15 | 非構造壁のスリット材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18937697A JP3741830B2 (ja) | 1997-07-15 | 1997-07-15 | 非構造壁のスリット材 |
Publications (2)
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JPH1136460A JPH1136460A (ja) | 1999-02-09 |
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ID=16240292
Family Applications (1)
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JP18937697A Expired - Lifetime JP3741830B2 (ja) | 1997-07-15 | 1997-07-15 | 非構造壁のスリット材 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP3862468B2 (ja) * | 2000-03-09 | 2006-12-27 | 鹿島建設株式会社 | 非構造壁のスリット材 |
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-
1997
- 1997-07-15 JP JP18937697A patent/JP3741830B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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