JP3741478B2 - ガイド光方向設定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、方向を認識するためのガイド光を出射するガイド光発生装置から出射されたガイド光を視準方向に合致させることによりそのガイド光の出射方向を規定するガイド光方向設定装置に関し、特にトンネル掘削作業への応用が可能なガイド光方向設定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地上から一定深さの箇所にコンクリート製のヒューム管、金属製の鋼管等のパイプを敷設する工法として、地上から一定深さの箇所に配管用の溝を掘ってパイプを敷設するオープンカット工法、地上から一定深さの箇所に配管用のトンネルを掘ってパイプを順次圧入接続する掘削推進工法が知られているが、これらの工法では、そのパイプの敷設方向を定めるために測量が実施される。
【0003】
図1はそのパイプの敷設方向を定めるためのガイド光方向設定装置の従来例を示し、その図1において、1は立て坑穴、2は地表GLに設置されたセオドライト等の測量機、3は地表から一定深さの箇所に設置された測量機である。地表GLには下げ振り装置としての吊架用フレーム4が設置され、この吊架用フレーム4には2本のワイヤとしてのピアノ線5を介して重錘6が吊架されている。その2本のピアノ線5はその重錘6によって互いに平行に張設される。重錘6はピアノ線5の横振れ、縦振れ等の揺動を防止するために、粘性の高い油等の液体7に浸漬されている。作業者はパイプ敷設計画に従って視準方向Lを定め、その2本のピアノ線6、6が重なって1本に見えるように吊架用フレーム4を操作し、これにより視準方向を含む仮想面が形成される。測量機3は例えばセオドライト又はレベル等からなる。測量機3でピアノ線が重なって見えるように視準を調整すれば、地上と地下の視準方向は一致し、視準方向が掘削方向となる。また、測量機3の視準方向に一致したガイド光発生装置を設ければ、ガイド光の方向が掘削方向となる。これにより、この測量機3の視準方向又はガイド光に基づいてトンネル8の掘削作業を行えば、計画に従ったパイプ敷設が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、測量機3又はガイド光発生装置に基づいた方向と視準方向Lとを下げ振り装置を利用して合致させる従来の方向設定装置では、この装置が大掛かりとなると共に、その視準方向又はガイド光の方向と視準方向Lとを合致させて掘削方向を設定する作業にも手間が掛かる。また、この従来の方向設定装置では、最近の道路事情からして立て坑穴の大きさが制約され、2本のピアノ線5、5の間隔として規定される基線長を自由に大きくとれないので、地表GLから立て坑穴1への測量の写し替え、立て坑穴1からトンネル8への測量の写し替えを行うと、累積誤差が大きくなるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、小型化を図りかつ方向を認識するためのガイド光の出射方向と測量の視準方向とを容易かつ迅速に合致させることができ、しかも累積誤差の小さいガイド光方向設定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のガイド光方向設定装置は、方向を定めるガイド光を発するガイド光発生装置と、視準方向に基づいてガイド光の方向を定める視準方向設定装置とから成り、前記ガイド光発生装置は、ガイド光の出射方向に対応して線状に拡大される検出光を出射する検出光出射光学系と、反射された検出光を検出する検出手段とを有し、前記視準方向設定装置は、検出光を前記ガイド光発生装置に向けて反射するように前記視準方向に対応して配置された再帰反射板を有し、更に前記ガイド光発生装置は、前記再帰反射板により反射された検出光を検出する検出手段の出力に基づきガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させる回動手段を有し、前記ガイド光発生装置に向けて反射する前記再帰反射板は、前記視準方向を境にして対称に配置される一対の再帰反射板が前記視準方向設定装置の回転中心を境に対称位置に二組あり、前記一対の再帰反射板に検出光を往復させて得られる検出信号によりガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のガイド光方向設定装置は、請求項1に記載のガイド光方向設定装置において、検出光が円偏光であり、いずれか一方の前記一対の再帰反射板には4分の1波長板が重ねて設けられ、前記検出手段には再帰反射板からの反射光と前記4分の1波長板が設けられた再帰反射板からの反射光とを分離する偏光ビームスプリッタが設けられ、該偏光ビームスプリッタで分離されたそれぞれの反射光を受光する受光素子が設けられ、前記回動手段は前記受光素子の検出出力に基づいてガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のガイド光方向設定装置は、請求項1に記載のガイド光方向設定装置において、検出光が円偏光であり、前記一対の再帰反射板の視準方向を境にした一方に4分の1波長板が重ねて設けられ、前記検出手段には再帰反射板からの反射光と前記4分の1波長板が設けられた再帰反射板からの反射光とを分離する偏光ビームスプリッタが設けられ、該偏光ビームスプリッタで分離されたそれぞれの反射光を受光する受光素子が設けられ、前記回動手段は前記受光素子の検出出力に基づいてガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とする。
【0015】
請求項1ないし請求項3に記載の発明によれば、検出手段が再帰反射板により反射された検出光を受光し、回動制御手段はその検出手段の検出出力に基づいてガイド光の出射方向が視準方向に合致するように検出光出射光学系を自動的に回動制御する。
【0017】
【発明の実施の形態】
【0018】
【実施形態1】
図2、図3は本発明に係わるガイド光方向設定装置の概略図を示し、10は立て坑穴、11は地表GLに設置されたセオドライト等の測量機(視準方向設定装置)、12はガイド光発生装置であり、ガイド光発生装置12にはここではパイプレーザー装置が用いられている。測量機11は立て坑穴10上に渡された仮構造物に載置され、ガイド光発生装置12は測量機11の真下に設置され、図示を略す鉄板には測量機11の真下に例えば穴が形成されている。
【0019】
測量機11により視準方向Lが定められる。その図2、図3において、符号13は視準用望遠鏡を示している。ガイド光発生装置12は、図3に示すように、方向を認識するためのガイド光としてのレーザー光Pを出射するガイド光出射光学系14とガイド光の出射方向に対応して線状に延びる線状検出光Kを出射する検出光出射光学系15とを有する。ガイド光出射光学系14はレーザー光源16とコリメータレンズ17とから大略構成される。検出光出射光学系15はレーザー光源18とコリメータレンズ19とシリンドリカルレンズ20とから大略構成されている。検出光出射光学系15は鉛直方向にレーザー光P´を出射する。そのレーザー光P´はコリメータレンズ19により平行光束とされる。
【0020】
コリメータレンズ19とシリンドリカルレンズ20との間には絞り板SPが設けられている。絞り板SPは図3(ロ)に示すように線状検出光Kが延びる方向に長く延びるスリットSLを有する。このスリットSLはレーザー光P´を回折させる役割を果たし、図3(ハ)はその回折パターンを示す。レーザー光P´はスリットSLにより回折された後、シリンドリカルレンズ20に導かれる。シリンドリカルレンズ20はそのレーザー光P´をガイド光の出射方向に対応して線状に延びる線状検出光Kを形成する役割を果たすもので、レーザー光P´をガイド光の出射方向に線状に拡大するパワーを有する。線状検出光Kは、スリットSLの回折作用により輝度が高くてスリットSLの延びる方向に細長く延びる鮮明な線状光L0となる。図3(ハ)において、符号CEはその輝度の高い線状光L0の強度分布を示している。シリンドリカルレンズ20とコリメータレンズ19との間に挿入する絞り板SPのスリットSLは長方形に限らず、同種の効果を奏する絞りであれば良い。
【0021】
シリンドリカルレンズ20の頂部中央には、図4に拡大して示すように、平行平面部21が形成されている。この平行平面部21を透過する線状検出光Kによりスポット光Sが形成される。このスポット光Sは光軸中心、即ち、球心を規定する役割を果たす。そのスポット光Sは測量機11の球心望遠鏡22により確認され、これにより測量機11の回転中心と検出光出射光学系15の光軸とが合致される。測量機11にはこれと一体に一対の拡散板23が間隔を開けて設けられている。一対の拡散板23を結ぶ直線Qの方向は視準方向Lと平行である。一対の拡散板23は線状検出光K(線状光L0)を検出してガイド光Pの出射方向を規定する検出手段としての役割を果たす。なお、球心望遠鏡の前に拡散板を設け、間接的にレーザースポットを視準するように構成すれば、より確認が容易となる。
【0022】
拡散板23、23には、図5に示すように、基準目盛り24、24が形成されている。前述の直線Qはこの基準目盛り24、24の頂点を結ぶことにより得られる。線状検出光K(線状光L0)はその拡散板23、23上に投影される。作業者はその拡散板23に投影された線状検出光K(線状光L0)を視認しながら、線状検出光K(線状光L0)が基準目盛り24に合致するようにガイド光発生装置12を回動させる。これにより、ガイド光Pの出射方向と視準方向Lとを合致させることができる。図3においては、シリンドリカルレンズ20の形状が凸レンズであるが、凹レンズであっても良い。シリンドリカルレンズ20の形状が凸レンズの場合焦点を結ぶが、凹レンズの場合、焦点を結ばないで線状に拡大することになる。
【0023】
図6、図7は本発明が適用されるガイド光発生装置12としてのパイプレーザー装置の詳細構成を示し、この図6、7において、30は外フレームである。その外フレーム30には吊りフレーム31(光学系の本体ともいう)が固定されている。その吊りフレーム31の内側には水平方向に軸心を有する一対の球面座32が対峙して形成されている。ガイド光出射光学系14の一部を構成する筺体33の両側面には球面軸部34が形成されている。その球面軸部34は球面座32に嵌合され、これにより筺体33は三軸方向に回動可能である。その球面軸部34はその先端が球面座32に係合する球面形状とされ、その基部が円柱形状とされている。その円柱部には揺動フレーム35が回動可能に設けられている。各球面軸部34には水平方向で互いに反対方向に突出するピン36、37が設けられている。外フレーム30にはピン36の側に左右回転駆動ユニット38が設けられ、ピン37の側に捻転ユニット39が設けられている。筺体33の後端にはピン40が突設され、外フレーム30にはこのピン40を介して俯迎させる俯迎ユニット41が設けられている。
【0024】
左右回転駆動ユニット38は吊りフレーム31に固定されたギヤボックス42、ギヤボックス42から水平方向に突出するガイドシャフト43、ガイドシャフト43と平行に延びるスクリュシャフト44、スクリュシャフト44に螺合すると共にガイドシャフト43に摺動自在に嵌合されたスライダ45、スクリュシャフト44をギヤボックス42を介して回転駆動する左右調整用のモータ46を有する。スライダ45にはピン36に摺動自在に係合する係合ピン47が立設され、このピン36は係合ピン47に常時当接するように図示を略すスプリングにより付勢されている。モータ46を回転駆動すると、スクリュシャフト44が回転され、スライダ45が水平方向に変位され、このスライダ45の水平方向の変位が係合ピン47を介してピン36に伝達され、これにより、筺体33(ガイド光出射光学系14)が揺動フレーム35と一体に左右方向に回動される。
【0025】
捻転駆動ユニット39は吊りフレーム31に固定されたギヤボックス48、このギヤボックス48から鉛直下方に垂設されたガイドシャフト49、このガイドシャフト49と平行に延びるスクリュシャフト(図示を略す)、このスクリュシャフトに螺合されると共にガイドシャフト49に摺動自在に嵌合されたスライダ50、そのスクリュシャフトを回転駆動する捻転用のモータ51を有する。スライダ50にはピン37に摺動自在に係合する係合ピン52が立設されている。ピン37は係合ピン52に常時当接するようにスプリング53により下方に付勢されている。モータ51を回転駆動すると、スクリュシャフトが回転され、これによりスライダ50が上下方向に変位され、このスライダ50の上下方向の変位が係合ピン52を介してピン37に伝達され、筺体33(ガイド光出射光学系14)が揺動フレーム35と一体に捻転回動される。
【0026】
俯迎駆動ユニット41は外フレーム30にブラケット54を介して固定されたギヤボックス55、このギヤボックス55から鉛直方向に垂設されたガイドシャフト56、このガイドシャフト56と平行に延びるスクリュシャフト(図示を略す)、このスクリュシャフトに螺合されると共にガイドシャフト56に摺動自在に嵌合されたスライダ57、そのスクリュシャフトを回転駆動する俯迎用のモータ58を有する。スライダ57にはピン40に摺動自在に係合する係合ピン59が立設されている。ピン40は係合ピン59に常時当接するようにスプリング60により下方に付勢されている。モータ58を回転駆動すると、スクリュシャフトが回転され、これによりスライダ57が上下方向に変位され、このスライダ57の上下方向の変位が係合ピン59を介してピン40に伝達され、筺体33(ガイド光出射光学系14)が揺動フレーム35と一体に俯迎される。
【0027】
揺動フレーム35の後端側にはピン36と平行に延びるピン61が突設されている。このピン61を介して筺体33(ガイド光出射光学系14)を揺動フレーム35に対して相対回転させてガイド光出射光学系14の水平方向に対する角度を設定する角度設定ユニット62が筺体33の側面に設けられている。この角度設定ユニット62は筺体33の側面に固定されたギヤボックス63、このギヤボックス63から鉛直方向に立設されたガイドシャフト64、このガイドシャフト64と平行に延びるスクリュシャフト65、このスクリュシャフト65に螺合されると共にガイドシャフト64に摺動自在に嵌合されたスライダ66、スクリュシャフト65をギヤボックス63を介して回転駆動する角度設定用のモータ67を有する。スライダ66にはピン61に摺動自在に係合する係合ピン68が突設されている。ピン61は係合ピン68に常時当接するようにスプリング68により下方に付勢されている。モータ67を駆動すると、スライダ66が上下方向に変位し、スライダ66の上下方向の変位が係合ピン68を介してピン61に伝達され、揺動フレーム35を筺体33に対して俯迎させる。この発明の実施の形態では、球面座を用いて3軸方向に自在の構成としているが、捻転動作を除けばジンバル構造でもよい。通常、捻転方向の回転はガイド光発生装置12を設置するときに手動で行っている。
【0028】
このパイプレーザー装置によるガイドレーザー光Pの傾斜の設定手順を述べる。装置を概略平行に設置し、作動させると、後述する傾斜センサ76とガイドレーザー光Pが水平になるように角度設定ユニット62、俯迎ユニット41が調整作動し、基準位置である水平にセットされる。この水平を基準とし、角度設定ユニット62により揺動フレーム35を設定角度とは逆の方向に傾斜させる。これにより角度設定ユニット62が傾いた状態となる。次に、俯迎ユニット41により傾斜センサ76が水平になるように、角度設定ユニット62ごと傾斜させると、設定角度にガイドレーザー光Pが傾斜する。ただし、この設定方法は傾斜センサ76の角度検出範囲が狭い場合であって、検出角度が広い傾斜センサの場合には直接傾斜させる構成とすることもできる。
【0029】
検出光出射光学系15はここでは光源ユニット69とシリンドリカルレンズ20とからなっている。絞りSLは、ここでは、シリンドリカルレンズ20の背面に設けられている。光源ユニット69は揺動フレーム35の下部に設けられている。その光源ユニット69はその揺動フレーム35の互いに対向する壁面の一方に設けられたレーザー光源70、その壁面の他方にレーザー光源70に対向させて設けられた反射ミラー71、レーザー光源70と反射ミラー71との間に設けられたビームスプリッタ72、ビームスプリッタ72とレーザー光源70との間に配置されたコリメータレンズ19とから概略構成される。ビームスプリッタ72はレーザー光源70を鉛直方向に上下に分割する役割を有する。上方のみにビームを出射する場合は、ビームスプリッタ72に代えて反射ミラーとしても良い。
【0030】
なお、揺動フレーム35、吊り下げフレーム31、外フレーム30の上下には鉛直方向に出射するレーザー光P´(線状検出光K)を通過させる透孔73、74、75がそれぞれ形成されている。また、揺動フレーム35の上面にはガイド光の出射方向の傾斜を検出する傾斜センサ76、傾斜センサ76と直交する傾斜センサ76´が設けられている。更に、外フレーム30の前面にはガイド光を通過させる透孔77が形成されている。外フレーム30の下部には支持脚78が設けられて、外フレーム30の水平方向位置出しの粗調整を行うことができるようになっているが、ガイド光発生装置12を図2に示すスタンドに取り付ける場合には、支持脚78は必ずしも必要ではない。
【0031】
以上、実施形態1においては、検出光出射光学系15をガイド光発生装置12に設け、拡散板23を測量機11に設ける構成としたが、拡散板23をガイド光発生装置12に設け、検出光出射光学系15を測量機11に設ける構成としても良い。この場合、線状検出光Kは視準方向Lに長く延びることになり、検出手段としての拡散板23はガイド光Pの出射方向に対応して設置されることとなる。また、実施形態1では、絞り板SPをコリメートレンズ19とシリンドリカルレンズ20との間に設ける構成としたが、絞り板SPをシリンドリカルレンズ20の前方に設けても良い。
【0032】
【実施形態2】
図8は検出手段に一対の反射鏡100A、100Bを設ける構成としたものである。この反射鏡100A、100Bは線状検出光Kを2回反射させることにより線状検出光Kが延びる方向を鏡像反転させる反射系を構成している。視準方向Lと線状検出光Kの延びる方向とが一致した場合には、反射鏡100Aにより先に反射され、次に反射鏡100Bにより反射されて拡散板23に到達する線状検出光K1の方向と、反射鏡100Bにより先に反射され、次に反射鏡100Aにより反射されて拡散板23に到達する線状検出光K2の方向とが図8(ロ)に示すように一致するが、線状検出光Kが図8(ハ)に示すように視準方向Lに対して角度θだけずれているとすると、線状検出光K1が反射鏡100Aにより反射され、反射鏡100Bにより反射された際に、その線状検出光K1の延びる方向が空間的に鏡像反転される。符号K1´はその空間的に鏡像反転された線状検出光を示している。線状検出光K2が反射鏡100Bにより反射され、反射鏡100Aにより反射された際も同様である。従って、拡散板23には反射鏡100A、100Bの2回反射により視準方向Lに対して鏡像反転された線状検出光K1´、K2´が線状検出光K1、K2と共に到達することとなり、線状検出光K1、K2の延びる方向と線状検出光K1´、K2´の延びる方向との角度を確認することにより視準方向Lに対する線状検出光Kの延びる方向を2倍の精度で確認できる。
【0033】
【実施形態3】
図9、図10は本発明に係わるガイド光設定装置の実施形態3の説明図であって、測量機11には視準方向Lを境に対称に配設された一対の再帰反射板101A、101Bが設けられている。この一対の再帰反射板101A、101Bは検出光出射光学系15の光軸O1を境に対称位置に二組設けられているが、一方の組の再帰反射板101A、101Bはマスクされており、ここでは使用されていない。検出光出射光学系15はコリメートレンズ19とシリンドリカルレンズ20との間に穴空きミラーHMを有し、符号HOはその穴部を示している。レーザー光P´はその穴部HOを通ってシリンドリカルレンズ20により線状光束Kとされて、再帰反射板101A、101Bに導かれる。再帰反射板101A、101Bの構造は例えば特開平7−83656号公報により公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0034】
線状光束Kはその再帰反射板101A、101Bにより反射されて、反射光束K´となり、再帰反射板101A、101Bへの入射方向と同方向に戻り、検出光出射光学系15に達する。その反射光束K´は穴開きミラーHMの反射面により反射されて集光レンズ102に向けられる。集光レンズ102はその反射光束K´を受光素子に受光される。その受光素子103の受光出力は回動制御手段104に入力される。
【0035】
回動制御手段104は図7に示すモータ46を回転制御する役割を有する。モータ46を等速往復回転させると、図9(イ)に示すように、線状光束Kが例えば、角度θの範囲で振られることになり、線状光束Kはこの角度θで振られる間に再帰反射板101A、101Bにより反射され、この反射光束K´が受光素子103により受光される。その受光素子103の検出出力q1、q2が図9(ハ)に示されている。検出光出射光学系15の光軸O1が視準方向Lに一致しているとした場合、線状光束K1を往復して振らせることにより得られた時間t1と時間t2とを平均することにより得られた時間tmに基づきモータ46の駆動時間を設定すると、これにより、自動的に線状光束Kを視準方向Lに合致させることができ、ガイド光Pを視準方向Lに合致させることができる。モータ46がエンコーダ付である場合には、エンコーダのパルス信号を角度に換算して視準方向に合致させることができる。
【0036】
【実施形態4】
図11、図12は本発明に係わるガイド光設定装置の実施形態4の説明図であって、この実施形態4では、測量機11に視準方向Lを境に対称に配設された一対の再帰反射板101A、101Bからなる二組が使用される。検出光出射光学系15には、直線偏光のレーザー光P´を円偏光に変換し円偏光を直線偏光に変換する4分の1波長板105がシリンドリカルレンズ20と穴開きミラーHMとの間に設けられている。一対の再帰反射板101A、101Bの一方の組には図11(イ)、図11(ロ)に示すように、円偏光の線状光束K(レーザー光P´)の回転方向を逆方向に変換する4分の1波長板106が設けられている。直線偏光のレーザー光P´は穴開きミラーHMの穴部HOを通って4分の1波長板105に導かれ、この4分の1波長板105により例えば光線進行方向に対して右回りの円偏光とされて、4分の1波長板106が設けられている側の再帰反射板101A、101Bの組により反射された線状検出光Kと4分の1波長板106が設けられていない側の再帰反射板101A、101Bの組に導かれる。4分の1波長板106が設けられている側の再帰反射板101A、101Bの組により反射された線状検出光Kはその偏光方向が4分の1波長板を通過する際に光線進行方向に対して左回り(逆方向)に変換される。4分の1波長板106が設けられていない側の再帰反射板101A、101Bの組により反射された線状検出光Kの偏光方向は光線進行方向に対して右回りのままである。この右回りの円偏光を有する反射光束K´と左回りの円偏光を呈する反射光束K´とが検出光出射光学系15に向かって戻ることになる。その左回りの円偏光の反射光束K´と右回りの円偏光の反射光束K´とは4分の1波長板105を通過することにより直線偏光に変換されるが、互いに直交する直線偏光となる。この互いに直交する直線偏光を呈する反射光束K´は穴開きミラーHMに戻り、検出手段の一部を構成する偏光ビームスプリッタ107に至る。この偏光ビームスプリッタ107は互いに直交する直線偏光の反射光束K´を分離し、一方の光束は集光レンズ102Aに向けて透過され、他方の光束は集光レンズ102Bに向けて反射され、受光素子103A、103Bにそれぞれ受光される。その受光素子103A、103Bの検出出力は回動制御手段104に入力される。その受光素子103Aの検出出力q1、q2と受光素子103Bの検出出力q1´、q2´とが図11(ハ)に示されている。線状光束K1を往復して振らせることにより得られた時間t1と時間t2とを平均することにより得られた時間tmと時間t1´と時間t2´とを平均することにより得られた時間tm´との平均に基づきモータ46の駆動時間を設定すると、実施形態3と同様に、自動的に線状光束Kを視準方向Lに合致させることができ、ガイド光Pを視準方向Lに合致させることができる。この実施形態4によれば、二組の再帰反射板の検出出力に基づきガイド光Pを視準方向Lに合致させることにしたので、実施形態3の場合に較べて、その合致精度を向上させることができる。モータ46がエンコーダ付の場合には時間に替えて角度で求めることができる。また、図13に示すように、光軸O1を境に対称に2個の円弧板状の再帰反射面101´、101´を設け、視準方向Lを境にその一方側に、4分の1波長板106´、106´を設ける構成とすれば、4分の1波長板が設けられている箇所からの線状検出光Kの反射光束K´に基づく検出出力と4分の1波長板が設けられていない箇所からの線状検出光Kの反射光束K´に基づく検出出力とは、線状検出光Kが視準方向Lに丁度
【0037】
跨っている場合(符号KLで示す)には同じとなるので、その両検出出力の差を求めることにすれば、時間、角度によらず、視準方向Lを検出できる(詳細な構成は、特開平7−83656号公報の段落
【0023】から段落
【0036】まで及び図4、図5を参照)。
【0038】
なお、回動制御手段104を図示を略すリモートコントロール装置により制御することにすれば、遠隔操作が容易となる。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係わるガイド光方向設定装置は、以上説明したように構成したので、小型化を図りかつ方向を認識するためのガイド光の出射方向と測量の視準方向とを容易かつ迅速に合致させることができ、しかも累積誤差を小さくできる。
【0042】
また、請求項1ないし請求項3に記載の発明によれば、検出手段が再帰反射板により反射された線状検出光を受光し、回動制御手段はその検出手段の検出出力に基づいてガイド光の出射方向が視準方向に合致するように検出光出射光学系を自動的に回動制御するので、視準方向とガイドレーザー光の出射方向とを自動的に合致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パイプの敷設方向を定めるためのガイド光方向設定装置の従来例を説明するための図である。
【図2】 本発明に係わるガイド光方向設定装置の概略図を示し、立て坑穴にパイプレーザー装置を設置し、その真上に測量機をセットしてパイプ敷設のためのトンネルの掘削作業を示す図である。
【図3】 本発明に係わるガイド光方向設定装置の概略図を示し、(イ)はガイド光発生装置と測量機との光学的関係を説明するための図であり、(ロ)は絞り板の平面図、(ハ)はレーザー光の回折パターンである。
【図4】 図3に示すシリンドリカルレンズの作用を説明するための部分拡大図である。
【図5】 検出光出射光学系と検出手段との位置関係を示す図であって、ガイド光の出射方向と視準方向とを合致させる作業の説明図である。
【図6】 本発明に係わるガイド光発生装置の詳細構成を示す図であって、正面方向から目視した断面図である。
【図7】 本発明に係わるガイド光発生装置の詳細構成を示す図であって、側面方向から目視した部分断面図である。
【図8】 本発明に係わるガイド光設定装置の実施形態2を示し、(イ)はその線状検出光の反射の概念図を示し、(ロ)は視準方向Lと線状検出光Kの線状が延びる方向とが一致している場合の反射系のシリンドリカルレンズに対する平面的位置関係を示し、(ロ)は視準方向Lと線状検出光Kの線状が延びる方向とが一致していない場合の反射系のシリンドリカルレンズに対する反射系の平面的位置関係を示している。
【図9】 本発明の実施形態3の説明図であって、(イ)は再帰反射板の配設状態の説明図、(ロ)は検出光出射光学系と再帰反射板との関係を示す正面図、(ハ)は受光素子の検出出力の説明図である。
【図10】 図9(ロ)に示す検出光出射光学系と検出手段と回動制御手段との関係を示す概念図である。
【図11】 本発明の実施形態4の説明図であって、(イ)は再帰反射板の配設状態の説明図、(ロ)は検出光出射光学系と再帰反射板との関係を示す正面図、(ハ)は受光素子の検出出力の説明図である。
【図12】 図11(ロ)に示す検出光出射光学系と検出手段と回動制御手段との関係を示す概念図である。
【図13】 再帰反射板の配設状態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
12…ガイド光発生装置
14…ガイド光出射光学系
15…検出光出射光学系
23…拡散板(検出手段)
L…視準方向
K…線状検出光
P…ガイド光
P´…レーザー光
SP…絞り板
SL…スリット

Claims (3)

  1. 方向を定めるガイド光を発するガイド光発生装置と、視準方向に基づいてガイド光の方向を定める視準方向設定装置とから成り、前記ガイド光発生装置は、ガイド光の出射方向に対応して線状に拡大される検出光を出射する検出光出射光学系と、反射された検出光を検出する検出手段とを有し、前記視準方向設定装置は、検出光を前記ガイド光発生装置に向けて反射するように前記視準方向に対応して配置された再帰反射板を有し、更に前記ガイド光発生装置は、前記再帰反射板により反射された検出光を検出する検出手段の出力に基づきガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させる回動手段を有し、
    前記ガイド光発生装置に向けて反射する前記再帰反射板は、前記視準方向を境にして対称に配置される一対の再帰反射板が前記視準方向設定装置の回転中心を境に対称位置に二組あり、前記一対の再帰反射板に検出光を往復させて得られる検出信号によりガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とするガイド光方向設
    定装置。
  2. 検出光が円偏光であり、いずれか一方の前記一対の再帰反射板には4分の1波長板が重ねて設けられ、前記検出手段には再帰反射板からの反射光と前記4分の1波長板が設けられた再帰反射板からの反射光とを分離する偏光ビームスプリッタが設けられ、該偏光ビームスプリッタで分離されたそれぞれの反射光を受光する受光素子が設けられ、前記回動手段は前記受光素子の検出出力に基づいてガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とする請求項1に記載のガイド光方向設定装置。
  3. 検出光が円偏光であり、前記一対の再帰反射板の視準方向を境にした一方に4分の1波長板が重ねて設けられ、前記検出手段には再帰反射板からの反射光と前記4分の1波長板が設けられた再帰反射板からの反射光とを分離する偏光ビームスプリッタが設けられ、該偏光ビームスプリッタで分離されたそれぞれの反射光を受光する受光素子が設けられ、前記回動手段は前記受光素子の検出出力に基づいてガイド光の出射方向を前記視準方向に合致させることを特徴とする請求項1に記載のガイド光方向設定装置。
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