JP3741197B2 - 印刷用段ボールシート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用段ボールシート及びそのその製造方法に関し、さらに詳しくは、ギフト商品用の箱、食品包装用の箱及び美粧印刷が要求される紙器等の素材として使用されるマイクロフルート段ボールシートに係る。
特に、本発明は、オフセット印刷に好適な段ボールシートに係るもので、美粧印刷が要求される紙器等に使用されるマイクロフルート段ボールとして、印刷品質を改善した段ボールシートを製造する方法をも包含する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、段ボールシートは波形の段を付けた中芯に、ライナ原紙を貼合したものであり、主に商品の外装に用いる容器素材として使用されているが、それ以外にも緩衝固定材、紙製パレット、広告用ツール材、壁材、家具等、多岐にわたる用途に有している。
ところで、段ボールシートは、JIS規格(Z−0108)によると、段の数により、A段、B段、C段に分けられ、この他にも、JIS規格外のE段と呼ばれるものがあり、一方、段の高さについてもJIS規格では定められていないが、概ね、A段では、段高5mm、B段では3mm、C段では3.6mm、E段では1.2mm程度である。このうち、E段は厚手の板紙と同様の用途があり、例えばギフト用の包装箱などに使用されている。
【0003】
近年、E段より更に段数が多く、かつ段高が0.4〜1.0mmと、段高の低い段ボールシートが開発され実用に供されるようになり、これらは、F段、G段、N段、ミニ段ボール、マイクロフルート段ボールなどと呼ばれている。
本発明においては、30cm当たりの段数が90以上、段高が1.0mm以下のものを対象とし、以下、これをマイクロフルート段ボールと称する。
このようなマイクロフルート段ボールは、その物性から、一般紙器や、四隅貼りの紙トレー若しくはピザ容器などの断熱材料としても使用される。
【0004】
段ボールシートは、通常、コルゲータを用い、そのシングルフェーサ部でライナ原紙と中芯原紙を貼合して片面段ボールを形成し、続いてダブルフェーサ部でもう一方の表側となるライナ原紙を貼合させた後に、熱板にて加圧乾燥してからシートカットされる。このように段ボールは、波形に成形された中芯とライナを積層した構造体であるから、同程度の強度、剛度を有する板紙と比較して軽量であるという利点を有する。
段ボール表面への印刷は、多くの場合、枚葉のフレキソ印刷機で行われている。また、ギフト包装、個装、若しくは内装用などとして表面に精密で美しい印刷が要求される場合には、ライナ原紙に予めオフセット印刷、グラビア印刷等で印刷を施してから、これをコルゲータによって貼合するといういわゆるプレプリント方式が採用されていた。
【0005】
フレキソ印刷は、比較的ラフな印刷に適し、多色印刷も可能であるが、いわゆるフルカラー印刷等の精密な印刷には不適であり、事実上不可である。また、プレプリント方式は、ライナの段階で印刷するために、段ボールシートに直接印刷する方式に比べ大ロットにしか適用できない上に、シリンダー及び版代が高くつくという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
マイクロフルート段ボールのような、板紙類似のシートとして使用する段ボールシートにあっては、板紙におけると同様にシート表面への直接印刷が可能であることが望まれている。特に、多品種、小ロットの生産及び印刷が望まれる紙器に使用するためには、段ボールシート表面への直接印刷(ダイレクト印刷)を可能ならしめたいとの要望が高まっている。殊に、美粧性に優れた製品を得たいときには、オフセット方式によるダイレクトオフセット印刷がより適しているといえる。
ところが、段ボールシートの表面にダイレクトにオフセット印刷した場合、段の谷に相当する表ライナ紙の部位までインキがのらず、段目が浮き出てしまうことが指摘されていた。この現象は、表ライナ紙の米坪が140g/m以下の原紙を用いたときに顕著に現れる。したがってオフセット印刷機で印刷する場合には、段が潰れる程度に印圧をかける場合が多い。
【0007】
印刷に当たって段が潰された場合でも、その段は、後に復元するが、完全に元の厚みに戻らず、テスト結果によると、元の厚さから0.1から0.3mm程度薄くなることが確認された。かかる現象に起因して、印刷面のライナが、元の位置から印圧により左右いずれかにズレる現象が起こり、いわゆる見当ズレが発生する。特に、1色目における「潰れー復元」挙動と2色目以後における挙動が異なるため、1色目の見当と2色目以降の見当でズレが大きくなることが多かった(図8参照)。
そこで、前記不具合をなくすための対応策として、枚葉多色オフセット印刷機にマイクロフルートをかけて印刷する場合、1色目の図柄を直接シートに印刷せず、2色目以降を実際の印刷に用い、その前段に位置する版胴をシートの全面潰し用空胴として使用することが提案されているが、この方法では印刷色数が1色減ることになるので、賞用すべき手段とはいえなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、前記マイクロフルート段ボールシートに印刷するに先立って事前に該段ボールシートを上下方向、すなわち厚さ方向に圧縮して中芯の段繰り部分を潰しておき、他方、潰しの程度を様々に変化させて最も印刷適性の優れた範囲をも見出したことを特徴とするものである。すなわち、請求項1〜2の発明は、段成形された中芯原紙の両面にライナー原紙が貼合され、貼合後シートカットされて成る段高が1.0mm以下、30cm当たりの段数が90以上の両面段ボールシートの全面を印刷に先立って事前に、適宜の加圧手段、例えば、2本のロール間に前記の段ボールシートを通す等の手段を介して予め圧縮処理して、段高をH、圧縮処理前のシート厚さをT 1 、圧縮処理後に厚さが自然回復したシート厚さをT 2 とした時に、T 1 −T 2 がHの3〜15%であるように圧縮処理をするならば、これを印刷機にかけたときに生ずる前述の不具合を解消させ得ることを見出したものである。なお、前記のマイクロフルート両面段ボールを製造する際に使用するコルゲータにおけるスリッタ・スコアラ及び/またはカットオフ機構の前部もしくは後部に当該マイクロフルート段ボールを上下に圧縮する2本のロールを配設するようにして、段ボールシートの製造時にオンライン上で該シートの全面を圧縮しておくこともできる。
【0009】
また、段ボールを圧縮する2本のロールのクリアランスをC、圧縮前のシート厚さをT1、段高をHとしたときに、(T1−C)の値が、0.2H〜0.6Hの範囲に維持されるならば、前記目的を達成するのに最適な印刷用段ボールシートが得られる。それ以外にも、本発明者らは、上記の各手段または上記以外の手段によって得た段ボールシートであって、当該段ボールシートに、下記のような物性値を有するようにすれば、本発明の目的を達成し得ることを確認した。
【0010】
すなわち、段成形された中芯原紙の両面にライナ原紙が貼合され、貼合後シートカットされてなる、段高が1.0mm以下、30cm当たりの段数が90以上の両面段ボールシートであって、該シートの全面を、印刷するのに先立って適宜の加圧手段を用いてシートの厚さ方向に圧縮処理して、圧縮処理後に厚さが自然回復したシートをJIS Z 0403−1に規定される平面圧縮試験により圧縮量(歪み)を一定速度で増加させながら圧縮荷重(応力)を測定したとき、歪みを横軸に、応力を縦軸に描いた「応力−歪み曲線」において、座屈ピークが発現しないようにした段ボールシートであればよい。
【0012】
本発明者らが、オフセット印刷等を行う際の機械適性に合致したマイクロフルート段ボールを得るために種々検討した結果、後に詳しく述べるように、それに適合する段ボールシートを得ることが出来るようになったものである。
オフセット印刷機の一例は、図7に示すとおりで、積層された板紙のブランクを上面より一枚ずつ吸盤のついた真空サッカーにて取り出した後に、これを咥え爪によりシートの端部に咥え込ませた上で、次段の印刷ユニットに移送していく方式である。
【0013】
印刷ユニットにあっては、インキを版面に転移させた後、その版に乗ったインクをさらに柔らかい材質のブランケットと称するゴム胴に転移させ、次にブランケット上のインクを圧胴との間に挟まれた紙シートに転移させるものである。
オフセット印刷機で段ボール印刷する場合、印圧を上げ、裏ライナ、中芯、表ライナの3枚の合計紙圧まで印圧をかけてインキを転移させないと、段の谷に相当する表紙の部位までインキがのらず、印刷カスレを生じたり、洗濯板状の段目が浮き出てしまうのは、既に述べたとおりであるが、印圧を上げると、マイクロフルート段ボールシートは、進行方向先端の咥え込み部分を除いた残りの部分はブランケットと圧胴とによって、いわば「しごかれる」状態になり、段が潰れ、薄くなるという不具合が発生する。
また、板紙用の印刷機においてはシートの厚みが1mm以上と厚くなると取り出し爪から外れて送り不良となりトラブルの原因となるので、供給するシートを0.3〜0.8mm程度(最適は0.5mm以下)に薄くすることができればオフセット印刷機での送りのトラブルが少なくなることも確かめられている。
段ボールシートの加圧手段は、上下ロールにより加圧してもよく、また平板状のプレスによる加圧でも差し支えないので、状況に応じて任意に選ぶことができる。また、前記の加圧による面方向の圧縮は、段ボールシート貼合後、オフセット印刷を行うまでの工程で行えばよいので、加圧手段を段ボールを貼合するコルゲータの一部に予め組み込んでおくのがよい。また、コルゲータとは別にオフラインとして前記加圧手段を設置してもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、E段より段数の多い段ボールを対象とし、具体的には、段高が1.0mm以下であり、段数が30cmあたり90以上の段ボールシート、好ましくは段高が0.55mm以下で、段数が120以上であるマイクロフルート段ボールシートを対象とするものである。ここで段高とは波形中芯の段の高さであり、図1(A)のHで示される。
前記マイクロフルート段ボールシートに印刷する際、それに先立って該段ボールシートを適宜の加圧手段を用いて均等に圧縮しておくと、段成形された中芯に均等な一定方向の癖が付与されるので、それによって該シートがオフセット印刷機に掛けられた際、各印刷ユニットで印圧がかかることによる変形とズレを一定にすることができ、さらに印刷後にはほぼ元の厚さまでシートの厚みが復旧することを確認した。
【0015】
より詳しくいえば、段ボール構造体は中芯が一定方向に段繰りされた構造であるから、事前に圧縮処理をしていない段ボールシートを直接オフセット印刷機にかけると、その印刷ユニットにおいて回転する版胴、圧胴間を通過する際に波形状の段が面方向に均一に潰れず、往々にして上下方向ではなく斜めの方向に段がつぶれていく傾向にある。そこで、印刷前に、予めこのシートの変形する傾向を潰しによる「癖付け」で一定方向にしか変形しないようにしておけば、各印刷ユニットで同じような歪み挙動を示し、そのため印刷の見当ズレが出なくなる傾向にあることを確認したものである。
なお、この潰し処理、換言すれば圧縮処理も、これを過大に行うと印刷後のシート厚みが減少するためにケース等の紙器に仕上げたときの強度が減少してしまうことが懸念された。本発明者らはこの限界をJIS Z 0403−1記載の平面圧縮試験法に従って特定した点でも特徴を有する。以下、このことについて詳述する。
【0016】
前述のように、本発明は、マイクロフルート段ボールシートを対象として、これを印刷に付す前に、予め該シートの全面を圧縮しておくことを特徴とするものであるから、圧縮前のシートと圧縮後のそれとでは、該シートの物性値がどのように変化するかを図1〜図6に基づき具体的に説明する。
図1(A)は、圧縮前のマイクロフルート段ボールシートの拡大断面図であって、図1(B)は圧縮処理後のそれを示す。前記(A)のシートを、JIS Z0403−1に規定される平面圧縮試験により圧縮量(歪み)を一定速度で増加させながら圧縮荷重(応力)を測定した結果について説明する。横軸に被測定片の圧縮歪みを描き、縦軸に試験装置を構成するロードセルで検出された応力を描いたグラフが図3である。すなわち、図3のグラフは、圧縮処理する前の両面段ボールシートの物性値で、JIS Z 0403−1に規定される平面圧縮試験により圧縮量(歪みー横軸)を一定速度で増加させながら圧縮荷重(応力―縦軸)を測定し、歪みを横軸に、応力を縦軸に描いた応力−歪み曲線である。同グラフ中、座屈ピーク(極大荷重Y1)を与える歪みをX1とし、次いで、極小値(荷重Y2)を与える歪みをX2とし、それ以後は、歪みの増大に伴い応力が増加する曲線を示し、荷重が再びY1まで上昇するときの歪みをX3とする。
【0017】
同グラフからも明らかなように、上下圧縮時の荷重を次第に増大させて歪み量を多くしてゆくと、グラフ中、符号Y1で示す降伏点が現れ、この個所で段ボールシートの中芯が座屈したことが判明する。更に荷重を加えてゆくと、今度は、前記座屈点から更に歪みが増えた時点、すなわち、符号Y2の位置で極小値をとってから「応力―歪み曲線」は再び立ち上がり、加えられた荷重に応じて歪み量が増大してゆき、最終的にはそれ以上は歪みが生じない限界点Zに至る。
座屈ピークY1を与える歪みX1から限界点Zを与える歪みX4で示す間の段ボールシートには、依然として緩衝機能が残っていることになるから、本発明においては、この機能が残存している段ボールシートを積極的に利用して、段ボールそのものの利点を活かして紙器に仕上げたときの圧縮強度を保持させると同時に印刷適性をも満足させようとしたものである。
【0018】
図4〜図6として示すグラフは、一旦圧縮した後の段ボールシートの物性曲線で、圧縮前と圧縮後とでは明らかに特性値が異なる。すなわち、後記実施例1に対応する応力−歪み曲線が図5で、同2は図4、実施例3は図6にそれぞれ対応するので、これらのグラフに基いて更に詳細に説明すると、一旦圧縮処理したものは、図3のY〜Yで示すような大きな応力差(図中、Lで示す隔たり)は現出せず、比較的小さな隔たりLダッシが現れるか、或いは全く現れないかの何れかであり、しかも、圧縮処理後にあっても依然として応力―歪み曲線は傾斜状態を保持していることが分かる。
【0019】
このように、一旦座屈した段ボールシートも座屈の程度如何によっては、段ボールシートとしての緩衝機能が残り、図中、記号X1 4に対応する曲線部分がそれを示しているが、本発明にあっては、かかる特性を利用してマイクロフルート段ボールシートを圧縮処理して、一旦、座屈させることにより板紙類似の平板状シートと化して印刷機へ導入する際の機械適性を付与させ、同時に、座屈後にも残存する緩衝機能をも併せて利用するように意図した点に特徴を有する。
既に説明したように、マイクロフルート段ボールに上下圧縮力を加えて一旦座屈させておくと、それに伴ってシートの厚が減少すると同時に、圧縮に伴って段ボールの中芯に予め折り癖が付与される。一旦折り癖がつくと、印刷機上で新らたに印圧が加えられたときにも、前記折り癖に沿ってシートは圧縮するようになるから、それによって従来法では避けられなかった印刷時の見当ズレが未然に防止できるのである。
【0020】
圧縮処理を受ける前の段ボールシートの圧縮試験における応力−歪み曲線の挙動に関連づけて、圧縮処理における好ましい圧縮条件を説明する。圧縮処理においては、元の段ボールの応力−歪み曲線における、X〜Xの範囲に相当する歪み量を与えるように圧縮機械のクリアランスを設定すれば良い。
元の段ボールにおける「X〜Xの直前」に相当する圧縮処理を行なった場合、処理後の段ボールシートの圧縮試験測定においては、図4のようにYのピークが小さくなるが、効果的な処理としては、同試験測定において、(Y−Y)/Yの値が、Yの10%以下となるようにすることが好ましい。
なお、X〜Xの範囲に相当する歪み量は、元の段ボールシートの段高をHとしたときの0.2H〜0.6Hに相当する。ここで言う歪み量とは、最大に圧縮された瞬間の段高の減少分に相当する。実際には、圧縮処理後の段ボールシートの段高は圧縮された瞬間のそれとは異なり、段の形状が自然回復し、元の段高に近い値にまで回復する。
【0021】
元の段ボールにおける「Xの直前からXの間」に相当する圧縮処理を行なった場合、処理後の段ボールシートの圧縮試験測定においては、図5のように、Yに相当するピークが観測されず、ショルダー状態(比較的なだらかなS字状の変化部位)が観測される。この状態の処理が本発明の最も好ましい処理であり、元の段ボールシートの段高をHとした時に、歪み量0.3H〜0.5Hがこの範囲に相当する。
を超えXに至るまでの処理は、処理後の段ボールシートの厚さが低下するという欠点があるが、印刷ズレを防止するという点では、前記各処理と同様に効果がある。
【0022】
ところで、前記のようにして一旦圧縮処理を施した段ボールシートを対象として前記と同様のJISによる圧縮試験法を実施すると、図4〜6に示すような応力―歪み曲線を描く。これらのグラフからも視認されるように、圧縮処理前の段ボールシートを試験したときのグラフに較べ、前記した記号Yで示す座屈ピークが極めて小さくなる(図4)か、場合によっては前記ピークが無く、ショルダー部を視認できる程度の曲線を描く(図5)。更に圧縮処理が強力な時には、前記ピークやショルダーも無く、わずかに屈曲部と変曲点が観察される程度となる(図6)。それらの違いは、生の段ボールシートを圧縮するときの圧縮の程度が反映したものであるが、何れの場合にも当該曲線が垂直に至るまでの限界内、すなわち当該曲線が右肩上がりの傾斜状を維持している範囲内であれば、そのシートは緩衝機能を保持していることになるので、本発明が対象とする印刷適性を具えたシートとして有効に使用し得る。
【0023】
以上に説明したように、圧縮処理を受けた段ボールシートは、図4〜図6のような性質を示すので、これを箱状の紙器に仕上げたときでも従来に匹敵する圧縮強度が発揮され、それと同時に印刷機にかけたときの印刷適性、とりわけ印刷機上でのシートの供給、移送が円滑に行われると共に印刷見当ズレをも未然に防ぐ効果を発揮する。
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
【0024】
<実施例1>
両面段ボール構造のマイクロフルート段ボールシートを得るにあたり、表ライナー原紙/中芯原紙/裏ライナー原紙として各々コートボール180g/m、中芯115g/m、ライナー160g/mを選択した。
まず中芯原紙を、段高0.5mm、段山数175(30cmあたり)の段ロールにて成形、その段頂部にコーンスターチを主体とした通常の段ボール貼合糊を糊ロールにて転写し、裏ライナー原紙と貼り合わせ片段とする。次いで、グルーマシンによりその段頂部に前記と同じ段ボール貼合糊を転写後、表ライナー原紙と貼合して、熱板ユニットにて120〜180℃の温度にて加熱接着し、マイクロフルート段ボールシートとする。このシートの厚さは0.95mm、段高は0.5mmであった。
次いで、熱板の出口であるスリッターの直前に、上下2本の加圧ロール10a及び10b間のクリアランス(図2Bの符号C参照)を0.75mmに保持してして、貼合後のシート全面に圧縮処理を施して中芯を潰した。この圧縮処理によりシートの段高は瞬間的には0.5mmから0.3mmとなり、ロールを出た後は、ほぼ元の段高に戻る。
さらに印刷時に要求される所定寸法(800×1100mm)のシートサイズに断裁した後、このシートを24時間室内に保管した。24時間経過後のシート厚は0.93mmとなった。この時の段高は、0.48mmであった。このシートの応力−歪み曲線を図5に示す。
上記のシートを、5色枚葉オフセット印刷機にて印刷したところ、機械トラブルもなく、デリバリ部での問題もなく、白板紙類似の印刷仕上がりが得られた。この場合の咥え尻部での見当ズレは0.03mm以下であった。
また、本シートより得られた箱の圧縮強度と、本シートと原紙構成が同一で圧縮処理を行わなかったシートより得られた箱の圧縮強度を比較したところ、本シートの圧縮処理による箱強度の低下は3%程度にとどまった。
【0025】
<実施例2>
両面段ボール構造のマイクロフルート段ボールシートを得るにあたり、表ライナ−/中芯/裏ライナーとして、各々片艶クラフト100g/m、両更晒クラフト80g/m、両更晒クラフト100g/mを選択した以外は、実施例1と同様に貼合して段ボールシートを得た。このシートの厚さは、0.90mm、段高は0.5mmであった。さらに実施例1と同様にクリアランス0.75mmの上下加圧ロールにより圧縮処理を施した。この圧縮処理により瞬間的にはシートの段高は0.5mmから0.35mmとなり、ロールを出た後は、ほぼ元の段高に戻った。
さらに実施例1と同様の条件で断裁、保管したところ、24時間経過後のシートの厚みは0.87mmとなった。このときの段高は、0.47mmであった。このシートの応力−歪み曲線は図4に示したとおりである。座屈ピークL’はYの6%であった。
上記のシートを実施例1と同様に印刷したところ、実施例1と同様に、トラブル等が発生することなく、白板紙類似の印刷仕上がりが得られた。この場合の咥え尻部での見当ズレは0.03mm以下であった。
また、上記のシートより得られた箱の圧縮強度と、原紙構成が同一で圧縮処理を行わなかったシートより得られた箱の圧縮強度とを比較したところ、シートの圧縮処理による箱強度の低下は2%程度にとどまった。
【0026】
<実施例3>
両面段ボール構造のマイクロフルート段ボールシートを得るにあたり、表ライナー/中芯/裏ライナーとして、各々コートボール160g/m、中芯105g/m、ライナー120g/mを選択した以外は、実施例1と同様に貼合して段ボールシートを得た。このシートの厚さは0.93mm、段高は0.5mmであった。さらに実施例1と同様にクリアランス0.65mmの上下加圧ロールにより圧縮処理を施した。この圧縮処理により瞬間的に段高は0.5mmから0.22mmとなった。
さらに実施例1と同様の条件で断裁、保管したところ、24時間経過後のシートの厚みは、0.90mmとなった。このときの段高は0.47mmであった。このシートの応力−歪み曲線を示すと、図6のとおりである。
上記のシートを実施例と同様に印刷したところ、実施例1と同様に、トラブル等が発生することなく、白板紙類似の印刷仕上がりが得られた。この場合の咥え尻部での見当ズレも0.03mm以下であった。
また、本シートより得られた箱の圧縮強度と、本シートと原紙構成が同一で圧縮処理を行わなかったシートより得られた箱の圧縮強度を比較したところ、シートの圧縮処理による箱強度の低下は10%程度となった。
<比較例1> (段を潰さない場合)図3
圧縮処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして段高5mmのマイクロフルート段ボールシートを得、さらに同条件でオフセット印刷を行ったところ、シート供給部でシートの咥えミスが発生した。また、印刷仕上がりの状況は、咥え尻部で印刷見当ズレが発生した。なお、このシートの圧縮試験における応力−歪み曲線は図3の形状を示し、座屈ピークLはYの20%であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明による段ボールシートを用いれば、枚葉式のオフセット印刷マシンにより、ダイレクトにオフセット印刷が可能となり、美粧性の高い紙器が得られ、その上では、箱状紙器としての圧縮強度も波形中芯を潰さない段ボールシートによる強度の少なくとも50%程度の強度を保持させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は圧縮処理する前のマイクロフルート段ボールシートの拡大断面図、(B)は圧縮処理後のマイクロフルート段ボールシートの拡大断面図。
【図2】(A)は圧縮処理する際に使用する上下2本のロールから成る加圧手段の一例を示した側面図、(B)は同正面図。
【図3】圧縮処理する前のマイクロフルート段ボールシートを対象として、JIS Z0403−1に規定される平面圧縮試験を実施したときの応力―歪み曲線。
【図4】圧縮処理後のマイクロフルート段ボールシートを対象として、JIS Z 0403−1に規定される平面圧縮試験を実施したときの応力―歪み曲線。
【図5】同上、他の実施例を示す応力―歪み曲線。
【図6】同上、他の実施例を示す応力―歪み曲線。
【図7】オフセット印刷機の概要を示す略図
【図8】オフセット印刷時におけるカットシートの咥え側と咥え尻を示す略図である。
【符号の説明】
1 圧縮処理前のマイクロフルート段ボール
2 圧縮処理した後のマイクロフルート段ボール
10a、10b 上下に配設された圧縮処理用の加圧ロール

Claims (4)

  1. 段成形された中芯原紙の両面にライナ原紙が貼合され、貼合後シートカットされてなる、段高が1.0mm以下、30cm当たりの段数が90以上の両面段ボールシートであって、該シートの全面を印刷するのに先立って適宜の加圧手段を用いてシートの厚さ方向に圧縮処理して、段高をH、圧縮処理前のシート厚さをT 1 、圧縮処理後に厚さが自然回復したシート厚さをT 2 とした時に、T 1 −T 2 がHの3〜15%であるように圧縮処理をすることを特徴とする印刷用段ボールシートの製造方法。
  2. 加圧手段を用いる圧縮が2本のロール間に段ボールシートを通すことにより行なう請求項1記載の印刷用段ボールシートの製造方法。
  3. 段成形された中芯原紙の両面にライナ原紙が貼合され、貼合後シートカットされて成る、段高が1.0mm以下、30cm当たりの段数が90以上のマイクロフルート両面段ボールを製造する際に、段ボール製造用コルゲータにおけるスリッタ・スコアラ及び/またはカットオフ機構の前部もしくは後部に前記段ボールを上下に圧縮する2本のロールを配設し、該ロールを介して前記段ボールにおける段形成された中芯を潰すようにしたことを特徴とする印刷用段ボールシートの製造方法。
  4. 2本のロールのクリアランスをC、圧縮前のシート厚さをT1、段高をHとしたときに、(T1−C)の値が、0.2H〜0.6Hであることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の印刷用段ボールシートの製造方法。
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