JP3740784B2 - インクジェット装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばノズル数が異なるヘッドを搭載したカラー印刷用のインクジェット装置に係り、特に各ヘッド出力のためのデータを高速転送できるようにしたインクジェット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラーインクジェット装置に搭載されるヘッドは、ブラックヘッドとカラーヘッドであるイエローヘッド,マゼンタヘッド,シアンヘッドの合計4ヘッドで構成され、キャリッジ(以下、本明細書では「CR」と記す)に搭載されている。これらの各ヘッドの中で、最も使用頻度の高いブラックヘッドのノズル数は、他の色ヘッドノズル数よりも一般的に多く、ブラックでの高速印字が可能である。
【0003】
また、メイン基板からCR部のヘッドブロックヘッドへの各色ヘッドへのデータ転送のためにフレキシブルケーブルがこれらのメイン基板とCR部との間に接続される。すなわち、各色ヘッド毎にデータ線が設けられ、シリアルデータとしてメイン基板のヘッドコントロール部から各色データ線を介してノズルデータが転送され、CR部のシリアルパラレル変換部で各色毎のノズルデータとして再生された後に各色のヘッドドライバへ転送される。
【0004】
図5は従来構造のデータ転送装置のブロック図、図6は従来のブラックヘッド及びマゼンタヘッドのヘッドコントロール部との詳細な結線図、図7は従来例におけるタイミング図である。
【0005】
図において、メイン基板1にヘッドコントローラ装置20が搭載され、CR基板14にはブラックヘッド及びマゼンタヘッドのそれぞれのシリアルパラレル変換装置21,22を搭載している。ブラックヘッドのシリアルパラレル変換装置21は128ビットシリアル/パラレル変換回路であり、マゼンタヘッドのシリアルパラレル変換装置22は64ビットシリアル/パラレル変換回路である。また、23,23はそれぞれCR基板14に搭載されたブラックヘッド及びマゼンタヘッドのヘッドドライバであり、これらはそれぞれ128ビットドライバ及び64ビットドライバである。
【0006】
ヘッドへのノズルデータ転送について、図7により説明すると次のとおりである。なお、ノズルデータは最初と最後のノズルデータのみオンを想定する。すなわち、ブラックヘッドの場合はNo.1ノズルとNo.128ノズルとし、マゼンタヘッドの場合はNo.1ノズルとNo.64ノズルである。
【0007】
まず、メイン基板1に搭載されているヘッドコントローラ装置20のラッチ信号(以下、「LAT」と記す)の立ち上がりに同期して、シリアルクロック(以下、「SCK」と記す)が出力される。SCKはブラックヘッドに対応したノズル数の分だけ出力されて停止する。すなわち、128クロックの後には停止し、次のLATの立ち上がりを待つことになる。
【0008】
また、各ヘッドに送るシリアルデータは、ブラックヘッドの場合はシリアルの1クロック目及び128クロック目の立ち上がり時に、ブラックノズルデータ線(以下、「BDATA」と記す)上のノズルデータがHIとなるように設定される。また、マゼンタヘッドの場合では、シリアルの65クロック目及び128クロック目の立ち上がり時にマゼンタノズルデータ線(以下、「MDATA」と記す)上のノズルデータがHIとなるように設定される。そして、このようなBDATA及びMDATAのHIの設定により、シリアルデータはCR基板14のブラックヘッド及びマゼンタヘッドのそれぞれのシリアルパラレル変換回路21,22に送られる。そして、これらのシリアルパラレル変換回路21,22は、LATの立ち上がりで変換されたパラレルデータを各ヘッドドライバ23,24に出力する。
【0009】
各ヘッドドライバ23,24は、各データに基づいてヘッドコントローラ装置20から出力されるヘッドイネーブル信号「以下、「ENB」と記す)がHIの間、ヘッドを駆動しインクを吐出する。
【0010】
以上のような動作をLAT周期で行うことによって、順次印字していくことができる。なお、ブラックのみを印字するときでも、LAT周期は最もノズル数が多いブラックヘッドのデータ数によって支配されるので、LAT周期は変わることがなく常に一定値を保つ。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、先に述べたように、最も使用頻度の高いブラックヘッドのノズル数は他の色ヘッドノズル数よりも一般的に多く、1回の印字で多くの印字ができるようにしている。このため、LAT周期の期間に他の色データに比較すると、ノズル数が多い分だけ多くのデータを転送することが必要となる。
【0012】
そこで、このように多くのデータを転送するためには、転送クロックを上げることで対応することはできる。しかしながら、転送クロックを上げると、EMIや波形歪み等が発生することになり、これを防止するための付帯的な制御回路等を必要とするためコスト面での障害が避けられない。
【0013】
また、データ線等を増やすことでの対応も可能であるが、メイン基板1とCR基板14との間のフレキシブルケーブルの線の数が増えることになり、制御部周りの嵩が大きくなり装置全体が大型化してしまう。
【0014】
本発明はインクジェット装置におけるこのような問題を解決しようとしたものであり、フレキシブルケーブルの線数を増やすことなくしかも転送クロックを上げることなく、多量のデータを高速で転送できるインクジェット装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブラックヘッド及びブラック以外の各色のヘッドに対応するデータ信号線をそれぞれ備え、これらのデータ信号線を介して転送されるノズルデータに基づいて各ヘッドを駆動し、各ヘッドのノズルからインクを吐出して印字するインクジェット装置であって、各ヘッドの中でブラック印字を行うとき、ブラックヘッドに対するノズルデータの一部を、ブラックヘッド以外の各色ヘッドのデータ信号線を介して転送し、転送されたノズルデータを元のブラックヘッドのノズルデータに復元する系を備えたことを特徴とする。
【0016】
このような構成であれば、最も多いノズル数のヘッドすなわちブラックヘッドについてのノズルデータを、ブラック以外の各色のデータ線を一時的に借用して転送することができるので、多数のノズルデータを分散させて転送することができ、コストアップを伴うことなくデータ転送を高速で行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、ブラックヘッド及びブラック以外の各色のヘッドに対応するデータ信号線をそれぞれ備え、これらのデータ信号線を介して転送されるノズルデータに基づいて各ヘッドを駆動し、各ヘッドのノズルからインクを吐出して印字するインクジェット装置であって、各ヘッドの中でブラック印字を行うとき、ブラックヘッドに対するノズルデータの一部を、ブラックヘッド以外の各色ヘッドのデータ信号線を介して転送し、転送されたノズルデータを元のブラックヘッドのノズルデータに復元する系を備えたもので、データ線の数を増やすことなく、且つ転送クロックも上げることなく、ブラックヘッドについてのノズルデータの転送速度を向上できるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、搭載ヘッド数をNhとし、ブラックヘッドノズル数をNbとし、色ヘッドの各ノズル数をNcとするとき、Nb>Ncであって且つブラックヘッドのノズル数及び各色ヘッドのノズル数の差Nd=Nb−Ncが搭載ヘッド数Nhの倍数となるような各ヘッド及び各ノズルの数の関係とし、更にノズル数の差Ndに対するノズルデータを各ヘッドに対応したデータ信号線に均等に分配制御する制御の系を備えたもので、ブラックヘッドの他の色ヘッドより多いノズルデータを各ヘッドデータ信号線に均等に分配できるため、最も効率よく且つ転送速度が向上できるという作用を有する。
【0019】
以下、図1,図2及び図3により本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるパラレル/シリアルデータ転送装置のブロック図であって基板側のブロック図を示し、図2は本発明の実施の形態におけるパラレル/シリアルデータ受信装置のブロック図であってCR基板側のブロック図を示し、図3は本発明の実施例におけるデータ転送のタイミング図である。
【0020】
図1において、メイン基板1には、パラレルデータをシリアルデータに変換する32ビットパラレル/シリアル変換回路2,3,4,5,6,7を搭載するとともに、これらの32ビットパラレル/シリアル変換回路2〜7のSCK(前述の「シリアルクロック」),ヘッドドライバのENB(前述の「ヘッドイネーブル信号」)及びLAT(前述の「LAT信号」)を生成するコントローラ11を配置する。そして、このコントローラ11のLATの立ち上がりに同期して、SEL1データの有無によって入力をセレクトするセレクタ8,9,10を備えるとともに、SEL1データをブラックノズルデータ線BDATA上のノズルデータ及びマゼンタノズルデータ線MDATA上のノズルデータに付加するORゲート12,13を設ける。
【0021】
図2において、CR基板14には、シリアルデータをパラレルデータに変換する32ビットシリアル/パラレル変換回路15,16,17,18,19,20を配置するとともに、メイン基板1のコントローラ11のLATの立ち上がりに同期してSEL1データの有無により入力をセレクトするセレクタ21,22をを設けている。そして、32ビットシリアル/パラレル変換回路15,16,17,18からの信号を受ける128ラッチ28と、残りの32ビットシリアル/パラレル変換回路19,20からの信号を受ける64ラッチ24を配置し、これらのそれぞれから信号を受け取るブラックヘッドドライバ25及びマゼンタヘッドドライバ26を設ける。
【0022】
以上の回路構成において、ノズルデータは、従来例と同様に最初と再度のノズルデータのみオンを想定する。すなわち、ブラックヘッドの場合はNo.1ノズルとNo.128ノズルについてのデータであり、マゼンタヘッドの場合はNo.1ノズルとNo.64ノズルについてのデータである。
【0023】
本発明においては、高速運転を行うために、No.1ノズル〜No.96ノズルのブラックノズルデータはブラックノズルデータ線BDATA上で転送し、No.97ノズル〜No.128ノズルのブラックノズルデータ及びNo.1ノズル〜No.64のマゼンタノズルデータはマゼンタノズルデータ線MDATA上で転送する。そして、CR基板14側で再度ブラックノズルデータとマゼンタノズルデータとに復元して各ヘッドドラムに各データを転送することによって、所期の目的を達成し得るものであり、そのシステムを以下に説明する。
【0024】
まず、データの転送方法は次のとおりである。
図1において、メイン基板1側のセレクタ8,9,10の出力がB入力となるようにSEL1をHIにし、コントローラ11のLATの立ち上がり時に切り換える。これにより、ブラックデータ用に準備されていた32ビットパラレル/シリアル変換回路2〜5の128ビットパラレル/シリアル変換回路が、32ビットパラレル/シリアル回路2,3,4までの96ビットパラレル/シリアル変換回路となる。同時に、今までマゼンタデータ用に準備されていた32ビットパラレル/シリアル変換回路6,7接続による64ビットパラレル/シリアル変換回路が、ブラック用の32ビットパラレル/シリアル変換回路5が付加されて、ブラックデータと同様に96ビットパラレル/シリアル変換回路となる。
【0025】
これにより、ブラックノズルデータ線BDATA及びマゼンタノズルデータ線MDATA上のノズルデータ数は96ビットとなり、コントローラ11からのSCK数は96クロックで全データを転送できるようになる。
【0026】
一方、受信側のCR基板14でのノズルデータの復元は次のとおりである。
メイン基板1側でSEL1をある期間HIにしたことにより、ORゲート12,13を介してブラックノズルデータ線BDATA及びマゼンタノズルデータ線MDATA上のノズルデータにSEL1信号が付加される。
【0027】
CR基板14に搭載されているセレクタ21,22は、LATの立ち上がり時のマゼンタノズルデータ線MDATA上のノズルデータHIレベルで、出力を入力Bに切り換える。
【0028】
したがって、CR基板14に搭載されていてブラックデータ用に準備されていた32ビットシリアル/パラレル変換回路15,16,17,18の接続による128ビットシリアル/パラレル変換回路が、32ビットパラレル/シリアル変換回路15,16,17までの96ビットシリアル/パラレル変換回路となり、ブラックノズルデータ線BDATA上の96ビットシリアルデータが入力される。同時に、今までマゼンタデータ用に準備されていた32ビットシリアル/パラレル変換回路19,20接続による64ビットシリアル/パラレル変換回路が、ブラック用の32ビットシリアル/パラレル変換回路18が付加されて、ブラックデータと同様に96ビットシリアル/パラレル変換回路となり、マゼンタノズルデータ線MDATA上の96ビットシリアルデータが入力される。
【0029】
以上のようにして、ブラックノズルデータ128ビットは、ブラックノズルデータ線BDATAを介してNo.1〜No.96ノズルデータが、及びマゼンタノズルデータ線MDATAを介してNo.97〜No.128ノズルデータが転送及び復元される。また、ブラックノズルデータ128ビットの処理操作の後には、マゼンタノズルデータ64ビットがマゼンタノズルデータ線MDATAを介してNo.1からNo.64ノズルデータが転送及び復元される。
【0030】
このようなブラック及びマゼンタについてのそれぞれのCR基板14側への転送と復元が完了したすると、それぞれのデータはブラック及びマゼンタのそれぞれのヘッドドライバ23,24に転送され、その後コントローラ11からのENBにより、これらのヘッドドライバ23,24はオンしてインクがノズルから吐出して記録紙に印字する。
【0031】
以上のように、従来ブラックノズルデータ128ビットを転送するのに、SCK128クロック必要であったものが、SCK96クロックで転送可能となり、高速転送が可能となる。
【0032】
また、ブラック印字のみの場合は、ブラックノズルデータ線BDATA上にブラックノズルデータNo.1〜No.64ノズルデータを転送するとともに、マゼンタノズルデータ線MDATA上にブラックノズルデータNo.65〜No.128ノズルデータを転送するようにデータ数を分配する。これにより、SCK64クロックでブラックノズルデータ128ビットが転送できることは無論である。
【0033】
更に、キャリッジの搭載ヘッド数Nhを4(ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン)、ブラックヘッドノズル数Nbを128、他の色ヘッド(イエロー,マゼンタ,シアン)ノズル数Ncを32となるようなヘッド構成にして、ブラックヘッドノズル数Nbを搭載ヘッドNhの整数倍、つまりNw=Nb/Nh=32にした場合について、図4に示す本発明の別の実施の形態におけるデータ転送装置のブロック図を参照して以下に説明する。
【0034】
このようにした場合、メイン基板とCR基板との間のデータライン数は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの4ラインあるため、この4ラインに均等にブラックヘッドノズルデータ128ノズル分を分配する。つまり、メイン基板側でブラックヘッドノズルデータ128ノズルを32ノズル毎に各ラインに分配し、CR基板側で分配された32ノズルデータを合成してブラックヘッドノズルデータ128ノズル分にして、ブラックヘッドドライバに供給して印字する。
【0035】
このような印字において、タイミング及びデータセレクトは、前記実施例の場合と全く同様である。
【0036】
以上により、全ライン(ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン)のシリアルロック数が32クロックで同一となり、全データラインを有効に活用でき、もっとも転送効率が良く高速運転が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
本発明では、各ヘッドのノズルデータを各ヘッドのデータ線以外のデータ線に分配するこにより空いているデータ線を有効に活用できるため、データを転送する転送クロックを少なくすることができ、従来のフレキシブルケーブルの線の数のままで且つ転送クロックを上げることなく、高速でデータを転送でき高速印字が可能となるインクジェット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるパラレル/シリアルデータ転送装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態におけるシリアル/パラレルデータ受信装置のブロック図
【図3】本発明の実施の形態におけるデータ転送のタイミング図
【図4】本発明の別の実施の形態におけるデータ転送装置のブロック図
【図5】従来構造のデータ転送装置のブロック図
【図6】従来のブラックヘッド及びマゼンタヘッドのヘッドコントロール部との詳細な結線図
【図7】従来例におけるタイミング図
【符号の説明】
1 メイン基板
2〜7 32ビットパラレル/シリアル変換回路
8〜10 セレクタ
11 コントローラ
12,13 ORゲート
15〜20 32ビットシリアル/パラレル変換回路
Claims (2)
- ブラックヘッド及びブラック以外の各色のヘッドに対応するデータ信号線をそれぞれ備え、これらのデータ信号線を介して転送されるノズルデータに基づいて各ヘッドを駆動し、各ヘッドのノズルからインクを吐出して印字するインクジェット装置であって、各ヘッドの中でブラック印字を行うとき、ブラックヘッドに対するノズルデータの一部を、ブラックヘッド以外の各色ヘッドのデータ信号線を介して転送し、転送されたノズルデータを元のブラックヘッドのノズルデータに復元する系を備えたことを特徴とするインクジェット装置。
- 搭載ヘッド数をNhとし、ブラックヘッドノズル数をNbとし、色ヘッドの各ノズル数をNcとするとき、Nb>Ncであって且つブラックヘッドのノズル数及び各色ヘッドのノズル数の差Nd=Nb−Ncが搭載ヘッド数Nhの倍数となるような各ヘッド及び各ノズルの数の関係とし、更にノズル数の差Ndに対するノズルデータを各ヘッドに対応したデータ信号線に均等に分配制御する制御の系を備えたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット装置。
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JP8362697A JP3740784B2 (ja) | 1997-04-02 | 1997-04-02 | インクジェット装置 |
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