JP3740545B2 - リフトオフ用感光性下地材組成物およびそれを用いたペーストパターンの形成方法 - Google Patents
リフトオフ用感光性下地材組成物およびそれを用いたペーストパターンの形成方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、リフトオフ用感光性下地材組成物およびそれを用いるペーストパターンの形成方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、微細なパターンの形成方法として、高分子バインダー、モノマー、光開始剤を含有する感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を形成し、ホトリソグラフィーでパターニングしてレジストパターンを形成したのち、有機溶媒などに分散したペースト材料を全面堆積し、残存レジストを除去するか、あるいはパターニングして形成したレジストパターンの未露光部のレジストを除去しその部分にペースト材料を埋め込み、次いでレジストパターンを剥離除去するかして、ペーストパターンを形成する方法が提案されている。前記ペーストパターンの形成方法は、従来のスクリーン印刷法によるペーストパターンの形成方法に比べて、加工精度が高い上に再現性がよく、しかも作業が簡便で比較的安価にペーストパターンを形成できるところから、プリント配線板やカラーフィルタの製造等に広く利用されている。
【0003】
近年、表示体としてプラズマによる蛍光の発光現象を利用したプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が注目を集め、そのPDPのプライミングリブ層や抵抗層等の形成に上記ペーストパターンの形成方法の適用が検討されている。前記ペーストパターンの形成方法では、水現像可能で、かつペースト組成物の埋め込み時や、埋め込み後、レジストパターンの剥離の際に、ペースト中の溶剤や、剥離液等によってレジストの膨潤が起こりにくい水溶性ポリマーとジアゾ化合物を含有する感光性樹脂組成物が使用されている。特に、感光性樹脂層を可撓性支持フィルム上に塗布、乾燥して形成したドライフィルムレジストが作業性が簡便で、しかも均一な膜厚を容易に形成できて好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記感光性樹脂組成物は、基材との接着性に乏しく、感光樹脂層と基材との接合が良好でない上に、基材上に感光樹脂層を設けた後行われる、レジストパターンの形成時やペースト組成物埋め込み時にレジストパターンに欠落が起るなどの欠点がある。さらに、レジストパターンの剥離時にペーストパターンに欠けが生じる問題もあった。
【0005】
こうした現状に鑑み、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、特定のケン化度を有する部分ケン化酢酸ビニル重合体を特定の化合物でアセタール化し、それを含有する感光性組成物で基材上に下地層を形成し、その上に感光樹脂層を設けると、感光樹脂層と基材との接着力が向上し、感光樹脂層の形成の作業性が改善されるとともに、レジストパターンの形成時やペースト組成物埋め込み時にレジストパターンの欠落が起りにくく、かつレジストパターンの剥離時にペーストパターンに欠けが生じることがないことを見出し本発明を完成したものである。すなわち、
【0006】
本発明は、感光樹脂層と基材との接着力が向上し、感光樹脂層の形成時の作業性が改善され、良好なペーストパターンを形成できるリフトオフ用感光性下地材組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、レジストパターンの形成時やペースト組成物埋め込み時にレジストパターンの欠落が起りにくく、しかもレジストパターンの剥離時にペーストパターンに欠けを生じさせることのないリフトオフ用感光性下地材組成物を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記リフトオフ用感光性下地材組成物を用いたペーストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、リフトオフ法でペーストパターンを形成するための下地材組成物において、前記下地材組成物がケン化度70〜99モル%の部分ケン化酢酸ビニル重合体を一般式化3で表わされる化合物でアセタール化した変性部分ケン化酢酸ビニル重合体を含有することを特徴とするリフトオフ用感光性下地材組成物、
【0010】
【化3】
(式中、R1、R2、R3およびnは前出と同じ。)
および基材上にリフトオフ用感光性下地材組成物を塗布して下地層とし、その上に感光性樹脂層を積層したのち、活性光線を選択的に照射し、未照射部分を除去してレジストパターンを形成し、次いでペースト層を設けることを特徴とするペーストパターンの形成方法に係る。
【0011】
本発明のリフトオフ用感光性下地組成物は、上述のとおりケン化度70〜99モル%の部分ケン化酢酸ビニル重合体を一般式化3で表わされる化合物でアセタール化して得た変性部分ケン化酢酸ビニル重合体(以下変性部分ケン化酢酸ビニル重合体という)を含有する組成物であり、前記「酢酸ビニル重合体」とは、酢酸ビニルのホモ重合体および共重合体をいう。そして酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、具体的にエチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリルレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルサクシミド等が挙げられる。共重合可能な単量体は30モル%以下の範囲で共重合できる。また、前記「ケン化度70〜99モル%」とは、酢酸ビニル重合体のビニルアルコール部分の含有量が70〜99モル%であることをいう。さらに、前記「リフトオフ法」とは、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して感光性樹脂層を形成し、それをホトリソグラフィーでパターニングしてレジストパターンを形成し、有機溶媒などに分散したペースト組成物を前記レジストパターンの全面に堆積したのち、残存レジストを除去するか、あるいはパターニングして形成したレジストパターンの未露光部のレジストを除去した部分にペースト材料を埋め込み、次いでレジストパターンを剥離除去するかしてペーストパターンを形成する方法をいう。前記変性部分ケン化酢酸ビニル重合体は水現像可能で、かつ硬化後の耐溶剤性および耐水性から重合度は1,000〜100,000、 好ましくは1,500〜100,000の範囲が選ばれる。
【0012】
上記一般式化3で表わされるの化合物としては、具体的に下記化4〜8で表わされる化合物が挙げられる。
【0013】
【化4】
[N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムメチルスルフェート]
【0014】
【化5】
[N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムエチルスルフェート]
【0015】
【化6】
[N−エチル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムエチルスルフェート]
【0016】
【化7】
[N−プロピル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムメチルスルフェート]
【0017】
【化8】
[N−メチル−γ−(p−(ポリエチレンオキサイド変性)ホルミルスチリ ル)ピリジニウムメチルスルフェート](式中、nは0〜20の整数を示す。)
【0018】
中でも、下記化9〜12で表わされる化合物が好ましい。
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
特に、上記化9で表わされる化合物であるN−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)ピリジニウムメチルスルフェート]が好適である。
【0023】
上記に加えて、本発明のリフトオフ用感光性下地材組成物は、感度を向上させる目的で架橋剤を含有することができる。前記架橋剤としては、具体的には4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩、4−ジアゾジフェニルアミン燐酸塩、3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩、3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン燐酸塩と、パラホルムアルデヒドや4,4’−ジメトキシジフェニルエーテル等との縮合物などのジアゾ化合物が挙げられる。前記架橋剤は、変性部分ケン化酢酸ビニル重合体100重量部に対し20重量部以下で含有することができる。架橋剤の含有量が20重量部を超えると逆に感度低下が起ることがあり好ましくない、さらに、必要に応じて染料、顔料、消泡材、安定剤としての無機酸、有機酸等も添加することができる。
【0024】
上記リフトオフ用感光性下地材組成物は、溶剤に溶解して使用するが、該溶剤としては、具体的に水やメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、およびこれらの1種以上の混合物が挙げられる。前記溶剤は変性部分ケン化酢酸ビニル重合体、および架橋剤の総量100重量部に対し50〜500重量部の範囲で配合することができる。
【0025】
上記リフトオフ用感光性下地材組成物を基材上に塗布して下地層を形成し、その上に感光性樹脂層が形成されるが、前記感光性樹脂層は、水性ポリマー、光架橋性のジアゾ化合物、光重合性モノマーおよび光重合開始剤、必要に応じて疎水性の重合体エマルジョンを含有する感光性樹脂組成物で形成される。前記水性ポリマーとしては、具体的にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、70〜99%部分ケン化ポリ酢酸ビニル、70〜99%部分ケン化ポリ酢酸ビニルのホルマール化またはブチラール化等による低級(炭素数1〜4)アセタール化物、70〜99%部分ケン化ポリ酢酸ビニルとp−ベンズアルデヒドスルホン酸、β−ブチルアルデヒドスルホン酸、o−ベンズアルデヒドスルホン酸、2,4−ベンズアルデヒドスルホン酸等とのアセタール化物、酢酸ビニルとエチレン、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ビニルサクシンイミド等のカチオン性モノマー類との共重合体、アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、トリアクリルホルマール、ヒドロキシメチルダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジアクリルアミドジメチルエーテル及びこれらに相当するメタクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系ポリマー等、又はこれらの混合物が挙げられる。中でも、70〜99%部分ケン化ポリ酢酸ビニルポリマーは保存安定性がよく、かつリフトオフ用感光性下地層との相容性に優れ、しかもペースト組成物中の溶剤に対する耐溶剤性、剥離時の剥離性もよいことから最適である。
【0026】
また、上記感光性樹脂組成物が含有する光架橋性のジアゾ化合物としては、具体的には4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩、4−ジアゾジフェニルアミン燐酸塩、3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩、3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン燐酸塩などと、パラホルムアルデヒドなどのアルデヒド類との縮合物が挙げられる。さらに、被膜の硬化性向上のために配合する光重合性モノマーとしては、具体的にメチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等光重合性基を有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーなどが挙げられる。
【0027】
さらに、光重合開始剤としては、具体的にベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル誘導体、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン誘導体、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン誘導体、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノンなどのアセトフェノン誘導体、ミヒラーズケトン、ベンジル、2,4,6−(トリハロメチル)トリアジン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、ジメチルベンジルケタール、トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、トリブロモメチルフェニルスルホン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記光重合開始剤の少なくとも1種を直接感光性樹脂組成物に配合しても、またモノマー、オリゴマー又はプレポリマーに溶解したのち配合してもよい。
【0028】
上記感光性樹脂組成物には、耐溶剤性を改善するため疎水性重合体エマルジョンを含有することができる。前記疎水性重合体としては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、クロロプレン共重合体、イソプレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素樹脂等を挙げることができる。さらに、染料、顔料、消泡剤、安定剤としての無機酸、有機酸も含有することができる。
【0029】
上記感光性樹脂層に形成したレジストパターン上にペースト層が形成されるが、該ペースト層を形成するペースト組成物としては、高分子結合剤、金属または無機化合物微粒子および低融点ガラスフリットを含有するペースト組成物が挙げられる。特に導電性金属微粒子または絶縁性微粒子を含有するペースト組成物を用いると微細で、耐溶剤性にすぐれた導電パターンまたは絶縁パターンを再現性よく形成できる。前記高分子結合剤としては、水不溶性、または難溶性の高分子化合物が好ましい。具体的にはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート等の単官能モノマーの共重合体や、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体、ブチラール化PVAなどのPVA誘導体、その他焼成により消失する材料が挙げられる。
【0030】
また、金属、無機化合物粒子および低融点ガラスフリットとしては、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、銀、金などの導電性微粒子、酸化コバルト、酸化鉄、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガン、酸化ネオジウム、酸化バナジウム、酸化セリウムチペークイエロー、酸化カドミウム、アルミナ、シリカ、マグネシア、スピネルなどの絶縁性微粒子、ホウ酸鉛ガラス、ホウ酸亜鉛ガラスなどSi、B、Pb、Na、K、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Al等の各酸をガラス類、Y2SiO5:Ce,CaWO4:Pb,BaMgAl14O23:Eu,ZnS:(Ag,Cd),Y2O3:Eu,Y2SiO5:Eu,Y3Al5O12:Eu,Zn3(PO4)2:Mn,YBO3:Eu,(Y,Gd)BO3:Eu,GdBO3:Eu,ScBO3:Eu,LuBO3:Eu,Zn2SiO4:Mn,BaAl12O19:Mn,SrAl13O19:Mn,CaAl12O19:Mn,YBO3:Tb,BaMgAl14O23:Mn,LuBO3:Tb,GdBO3:Tb,ScBO3:Tb,Sr6Si3O3Cl4:Eu,ZnO:Zn,ZnS:(Cu,Al),ZnS:Ag,Y2O2S:Eu,ZnS:Zn,(Y,Cd)BO3:Eu,BaMgAl12O23:Euなどの蛍光物質が挙げられる。
【0031】
本発明の感光性下地材組成物を使用したリフトオフ法によるペーストパターンの形成方法を以下に詳述する。
【0032】
1)感光性下地材組成物の調製。
変性部分ケン化酢酸ビニル重合体および必要により含有する架橋剤、溶剤、消泡剤などを3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等でよく混練して感光性下地材組成物を調製する。
【0033】
2)下地層の形成
上記調製した感光性下地材組成物をワイヤーバー塗布、ディップ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、スピンナー塗布、カーテンフロー塗布などの従来の塗布方法により、乾燥後の膜厚が0.01〜2μm程度となるように基材上に塗布し下地層を形成する。前記基材としてはガラス基板、プリント配線基板等を挙げることができる。塗布に当たり予め基材上に溶剤を塗布しするのがよい。この溶剤塗布により、基材と下地層の間に気泡が残ることがなく均一な膜厚の下地層が形成できる。特に基材に凹凸がある場合に有効である。
【0034】
3)感光性組成物の調製
水性ポリマー、光架橋性のジアゾ化合物、光重合性モノマーおよび光重合開始剤、必要に応じて疎水性の重合体エマルジョンを3本ロールミル、ボールミル、サンドミル等でよく混練して感光性樹脂組成物を調製する。
【0035】
4)感光樹脂層の形成
ガラス基板、プリント配線基板等の基板上に上記に調製した感光性樹脂組成物を塗布するか、または可撓性支持フィルム上に感光性樹脂層を形成したドライフィルムレジストを、水および/または炭素数4以下の低級アルコールを介して基板上に転写するなどの方法で感光性樹脂層を形成する。前記感光性樹脂組成物の塗布方法としては、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、ロール塗布、ブレード塗布およびカーテンフロー塗布など従来の方法が採用される。また、ドライフィルムレジストは、膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の可撓性支持フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布し、その上に未使用時に感光性樹脂組成物層を安定に保護するが、使用時には容易に剥ぎ取れる離型性を有する、例えばシリコーンをコーティングまたは焼き付けした厚さ15〜125μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムを被着一体化して形成される。前記可撓性支持フィルムとしては、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが可撓性、耐屈曲性の点から好ましい。
【0036】
上記ドライフィルムレジストは、さらに感光性樹脂の酸素減感作用を防ぐとともに、露光時に密着するマスクパターンの粘着防止のため、可撓性支持フィルムと感光性樹脂層との間に水溶性樹脂層を設けることもできる。前記水溶性樹脂層としては、ポリビニルアルコール又は部分けん化ポリ酢酸ビニルなどの水溶性ポリマーの5〜20重量%水溶液を乾燥膜厚1〜10μmに塗布乾燥した層がよい。前記水溶性樹脂層を形成する水溶性ポリマー溶液にさらにエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を添加すると、水溶性樹脂層の可撓性が増すとともに、離型性が向上するので好適である。
【0037】
5)露光処理
上記感光性樹脂層にネガマスクを介して、活性エネルギー線を照射し露光する。前記露光エネルギー量は感光性樹脂組成物の組成比に応じて若干変わるが50〜1000mJ/cm2の範囲が選ばれる。
【0038】
6)レジストパターンの形成
露光した感光性樹脂層をスプレー現像等の手段で現像処理してレジストパターンを形成する。現像液としては、冷水、温水、熱水や、これにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等を添加した水溶性の現像液が使用される。現像して得たレジストパターンにはさらにその耐性を向上するため、必要に応じて硬膜処理を行うことができる。前記硬膜処理方法としては、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム水溶液や、タンニン酸、コハク酸などの有機酸と硫酸、塩酸等の鉱酸又はパラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸に代表される酸水溶液をレジストパターンに塗布することによって行うのがよい。
【0039】
7)ペースト組成物の塗布
上記形成したレジストパターンにペースト組成物を全面に堆積またはレジストの除去部分にペースト組成物を埋め込んでペースト層を積層する。ペーストの堆積または埋め込み方法としては、スキージングによる埋め込み塗布、スクリーン印刷による塗布、バーコート塗布、ブレード塗布、ディップ塗布などが好適に使用できる。
【0040】
8)ペーストパターンの形成
ペースト層が乾燥された後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸ナトリウム等の水溶性剥離液を使用してレジストパターンと下地層を剥離し、ペーストパターンを形成する。
【0041】
【発明の実施の形態】
次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
実施例1
リフトオフ用感光性下地材組成物としてケン化度88%のポリ酢酸ビニルポリマー(重合度約1000)をN−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウムメチルスルフェート2モル%でアセタール化した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体20重量部および水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)混合溶剤80重量部とを混合して変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体の20%溶液を調製し、それをガラス基板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるようにスピンナーを用いて塗布し、下地層を形成した。
【0043】
次いで下記成分、
を加えてかきまぜたのち、脱泡してPETフィルム上に乾燥後の膜厚が30μmとなるように塗布、乾燥してドライフィルムレジストを形成し、それを下地層が未乾燥の状態で貼り合わせ、常温で1時間乾燥した。
【0044】
上記感光性樹脂層に、80μmライン/40μmスペースのレジストパターンを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを形成した。
【0045】
次に予め下記組成からなるペースト組成物をよく混練したものを、スキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。
【0046】
・エチルセルロース(ハーキュレス社製:TKK021) 5重量部
・低融点ガラス粉末(ホウ酸鉛ガラス、平均粒子径5μm) 100重量部
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート 200重量部
【0047】
上記ペーストを100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと下地層を剥離除去した。基板上には膜厚25μm、ライン40μmのペーストパターンが再現性よく設けられ、ペーストパターンに欠けや剥がれは見られなかった。また、80μmスペース部には剥離残りは見られなかった。
【0048】
実施例2
リフトオフ用感光性下地材組成物としてケン化度88%のポリ酢酸ビニルポリマー(重合度約1000)に〔N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウムエチルスルフェート〕2モル%でアセタール化して得た変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体20重量部および水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)80重量部との混合物溶液を、ガラス基板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるようにスピンナーを用いて塗布し、下地層を形成した。
【0049】
次いで、実施例1で形成したドライフィルムレジストを、下地層が未乾燥の状態で貼り合わせ、常温で1時間乾燥させた。
【0050】
その後、100μmライン/50μmスペースのレジストパターンを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを形成した。
【0051】
さらに実施例1で調製したペースト組成物をスキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。これを実施例1と同様に100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと下地層を剥離除去した。基板上には膜厚25μm、ライン50μmのペーストパターンが再現性よく設けられ、ペーストパターンに欠けや剥がれは見られなかった。また、100μmスペース部には剥離残りは見られなかった。
【0052】
実施例3
リフトオフ用感光性下地材組成物としてケン化度88%のポリ酢酸ビニルポリマー(重合度約1000)に〔N−エチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウムメチルスルフェート〕2モル%でアセタール化して得た変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体20重量部および水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)80重量部との混合物溶液をガラス基板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるようにスピンナーを用いて塗布し、下地層を形成した。
【0053】
次いで、実施例1で形成したドライフィルムレジストを、下地層が未乾燥の状態で貼り合わせ、常温で1時間乾燥させた。
【0054】
その後、100μmライン/50μmスペースのレジストパターンを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを形成した。
【0055】
さらに実施例1で調製したペースト組成物をスキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。これを実施例1と同様に100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと下地層を剥離除去した。基板上には膜厚25μm、ライン50μmのペーストパターンが再現性よく設けられ、ペーストパターンに欠けや剥がれは見られなかった。また、100μmスペース部には剥離残りは見られなかった。
【0056】
実施例4
リフトオフ用感光性下地材組成物としてケン化度88%のポリ酢酸ビニルポリマー(重合度約1000)に〔N−プロピル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウムメチルスルフェート〕2モル%でアセタール化して得た変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体20重量部および水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)80重量部との混合物溶液をガラス基板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるようにスピンナーを用いて塗布し、下地層を形成した。
【0057】
次いで、実施例1で形成したドライフィルムレジストを、下地層が未乾燥の状態で貼り合わせ、常温で1時間乾燥させた。
【0058】
その後、100μmライン/100μmスペースを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを得た。
【0059】
さらに下記組成からなるペースト組成物をよく混練したものを、スキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。
【0060】
・エチルセルロース(ハーキュレス社製:TKK021) 5重量部
・蛍光体粉末(Y2SiO5:Ce、平均粒子径12μm) 100重量部
・プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート 150重量部
【0061】
これを実施例1と同様に100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと接着層を剥離除去した。基板上には膜厚25μm、ライン100μmのペーストパターンが再現性よく設けられ、ペーストパターンに欠けや剥がれは見られなかった。また、100μmスペース部には剥離残りは見られなかった。
【0062】
実施例5
リフトオフ用感光性下地材組成物としてケン化度88%のポリ酢酸ビニルポリマー(重合度約1000)に〔N−メチル−γ−(p−(ポリエチレンオキサイド変性)ホルミルスチリル)−ピリジニウムメチルスルフェート〕(ポリエチレンオキサイドの平均繰り返し数8)を2モル%でアセタール化して得た変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル重合体の20重量部および水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)80重量部との混合物溶液をガラス基板上に乾燥後の膜厚が5μmとなるようにスピンナーを用いて塗布し、下地層を形成した。
【0063】
次いで、実施例1で形成したドライフィルムレジストを、下地層が未乾燥の状態で貼り合わせ、常温で1時間乾燥させた。
【0064】
その後、100μmライン/50μmスペースのレジストパターンを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを形成した。
【0065】
さらに実施例1で調製したペースト組成物をスキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。これを実施例1と同様に100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと下地層を剥離除去した。基板上には膜厚25μm、ライン50μmのペーストパターンが再現性よく設けられ、ペーストパターンに欠けや剥がれは見られなかった。また、100μmスペース部には剥離残りは見られなかった。
【0066】
比較例1
実施例1において、下地層を設けることなく水とイソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比=99:1)溶液をガラス基板上に噴霧し、実施例1で形成したドライフィルムレジストをガラス基板と貼り合わせ、常温で1時間乾燥させた。その後、100μmライン/50μmスペースのレジストパターンを再現し得るマスクを介して超高圧水銀灯により300mJ/cm2のエネルギー量を照射し、40℃の温水で90秒間スプレー現像を行い乾燥してレジストパターンを形成した。
【0067】
次いで、実施例1で調製したペースト組成物をスキージを用いて、ペースト組成物の埋め込み部分の乾燥後の膜厚が25μmとなるようにスキージングを行った。
【0068】
これを実施例1と同様に100℃、20分乾燥したのち、レジストパターン表面に残っているペーストを耐水ペーパーで除去し、25℃の2%過ヨウ素酸ナトリウム中で25秒間浸漬し、さらに25℃の水でスプレー処理してレジストパターンと下地層を剥離除去したが、レジストパターンの現像時に、レジストパターンの一部が剥がれ、ペースト組成物の埋め込み時にペーストの一部がレジストパターンの剥がれた部分に回り込み、ライン50μmのペーストパターンを再現性よく設けることができなかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明のリフトオフ用感光性下地材組成物により下地層を設けその上に感光樹脂層を積層すると、積層時の作業性が容易となるとともに、ペーストパターン形成時やペースト組成物埋め込み時にレジストパターンの欠落が防止でき、さらに前記レジストパターンの剥離時にペーストパターンの欠けも生じることがなく、良好なペーストパターンを形成できる。このように本発明のペーストパターンの形成方法は、微細なペーストパターンを精度よくしかも再現性よく、簡便な作業で形成でき、その工業的価値は高いものである。
Claims (8)
- 基材上にケン化度70〜99モル%の部分ケン化酢酸ビニル重合体を一般式化1で表わされる化合物でアセタール化した変性部分ケン化酢酸ビニル重合体を含有するリフトオフ用感光性下地材組成物
を塗布して下地層とし、その上に感光性樹脂層を積層したのち、活性光線を選択的に照射し、未照射部分を除去してレジストパターンを形成し、次いでペースト層を設けることを特徴とするペーストパターンの形成方法。 - 一般式化1で表わされる化合物の置換基R2およびR3がメチル基で、nが0であることを特徴とする請求項1記載のペーストパターンの形成方法。
- ケン化度70〜99モル%の部分ケン化酢酸ビニル重合体の0.4〜15モル%が一般式化2で表わされる化合物でアセタール化されていることを特徴とする請求項1記載のペーストパターンの形成方法。
- 可撓性支持フィルム上に感光性樹脂層を積層したドライフイルムレジストを下地層の上に貼り合わせ前記感光性樹脂層を転写することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のペーストパターンの形成方法。
- 基材上に溶剤を塗布したのち、下地層を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のペーストパターンの形成方法。
- 溶剤が水、アルコールまたは水とアルコールとの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項5記載のペーストパターンの形成方法。
- 溶剤が水とイソプロピルアルコールとの混合物であることを特徴とする請求項5記載のペーストパターンの形成方法。
- レジストパターンのレジスト除去部分にペースト組成物を埋め込むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1記載のペーストパターンの形成方法。
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