JP4067691B2 - プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4067691B2 JP4067691B2 JP10729299A JP10729299A JP4067691B2 JP 4067691 B2 JP4067691 B2 JP 4067691B2 JP 10729299 A JP10729299 A JP 10729299A JP 10729299 A JP10729299 A JP 10729299A JP 4067691 B2 JP4067691 B2 JP 4067691B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fluorine
- partition
- containing aromatic
- atom
- plasma display
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 CCC(C1)C(C2)C(*)CCC2(**I)[C@]1*(C)* Chemical compound CCC(C1)C(C2)C(*)CCC2(**I)[C@]1*(C)* 0.000 description 2
Images
Landscapes
- Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
- Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
- Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
- Transforming Electric Information Into Light Information (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度かつ安価な薄型の大型画面用カラー表示装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、耐熱性、平坦性及びガスバリアー性に優れた含フッ素芳香族樹脂を含む高精度かつ安価な薄型の大型画面用カラー表示装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薄型の大型画面用のカラー表示装置等に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下、単に「プラズマディスプレイパネル」と称する)は、微小な放電表示セルとなる一対の絶縁基板間を仕切る隔壁に囲まれて形成される空間に、対向する電極を設け、前記空間に希ガス(例えば、ネオンガスやキセノンガスとネオンガスとの混合ガス)等の放電可能なガスを封入した気密構造を成しており、前記対向する電極間に電圧を選択的に印加し、放電によりプラズマを発生させ、このプラズマにより放電表示セル内の3原色の蛍光体を励起発光させて画面の発光素子として利用するものである。
【0003】
このようなプラズマディスプレイパネルの放電表示セルを構成するための隔壁を製造する方法としては、一般に、印刷積層(スクリーン印刷)法が良く知られている。この印刷積層法は、ガラスフリットを主成分とする隔壁材料のペーストを用いて厚膜印刷法により放電表示セルの所定形状をパターンとして絶縁基板上に印刷形成するものであり、1回の印刷で形成できる膜の厚さが約10〜15μm程度であることから、印刷、乾燥工程を繰り返すことにより約100〜200μmの高さになるまで放電表示セルの隔壁を形成した後、絶縁基板と共に焼成一体化することからなるものである。しかしながら、上記印刷積層法では、所定の高さの隔壁を形成するためには、印刷、乾燥工程を何回も繰り返して積層しなければならず、極めて工程数が多くなり、その上、積層毎に精度良く印刷することが必要であるにもかかわらず、印刷製版の伸び等のために位置ずれを生じ易く、製造歩留りが悪い上、スクリーン印刷の場合には、第1層目の印刷が重要であるものの、しばしば隔壁の裾に乱れが生じ易いため、より高精度のパターニングが困難であるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、フォトリソグラフィー技術を用いたサンドブラスト法が提案された。上記サンドブラスト法は、絶縁基板上に所定厚さの隔壁形成層を被覆した後、仮焼し、仮焼体の表面に形成した隔壁形状のレジストマスクを介してサンドブラストにて隔壁以外の仮焼体部分を除去し、更に絶縁基板とともに焼成一体化して隔壁を形成する方法である(特開平4−259,728号公報)。しかしながら、上記サンドブラスト法は、レジストマスク形成にフォトレジストを用いることから高精度なパターニングが可能となるものの、ブラスト加工に用いる研磨剤を回収し、繰り返して使用する場合には、研磨剤の摩耗劣化による研削力の低下や経時変化があり、工程管理が難しく安定して量産することが困難であるという課題がある。加えて、ガラスを主成分とする無機材料から構成される隔壁成形体は、前述のようにして隔壁成形体を作製した後、最後の製造工程において約500〜600℃の温度で焼成する必要があり、該焼成に伴う歩留り低下や、コスト高である点から、高精度で微細なピッチを有するプラズマディスプレイパネル用隔壁を容易に歩留り良く、低コストで製造することが困難であるという課題もあった。
【0005】
このため、このような課題を解決する方法が試みられ、その一例として、耐熱性樹脂であるポリイミド系樹脂を主成分とする隔壁用組成物を用いて形成されるプラズマディスプレイパネル用隔壁が報告された(特開平10−149,775号公報)。このプラズマディスプレイパネル用隔壁は、成形型にポリイミド系樹脂を含有する隔壁用組成物を充填して絶縁基板と密着させることによって、あるいは絶縁基板に直接形成した感光性樹脂からなる開口部を有する成形型にポリイミド系樹脂を含有する隔壁用組成物を充填した後、この感光性樹脂を除去することによって、絶縁基板と一体化されたポリイミド系樹脂を主成分とする隔壁として形成される。しかしながら、この製造方法によって、確かにプラズマディスプレイパネルの放電表示セルを構成する隔壁を簡単な製造工程で高精度に再現性良く成形することができかつ低コストで寸法精度の優れた大型画面化が容易で高精細度化が実現できるものであるが、表面が粗く平坦性が十分でなく、隔壁表面に気孔が発生して微細化が困難であるといった問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、プラズマディスプレイパネルの放電表示セルを構成する隔壁を簡単な製造工程で高精度に再現性良く成形することができ、低コストで寸法精度の優れた大型画面化が容易で高精細度化が実現でき、さらに平坦性に優れかつ微細化が可能なプラズマディスプレイパネル用の隔壁およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記諸目的を達成するために鋭意検討した結果、本願発明者らがこれまで研究を行ってきた含フッ素芳香族樹脂が耐熱性、ガスバリアー性及び平坦性に優れていること着目し、このような含フッ素芳香族樹脂を用いてプラズマディスプレイパネル用の隔壁を製造することによって、隔壁を簡単な製造工程で高精度に再現性良く形成することができ、さらに製造された隔壁は優れた平坦性を有しかつ微細化も可能であることを発見した。これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、上記諸目的は、以下の(ア)〜(オ)によって達成される。
【0009】
(ア)一対の絶縁基板を対向させ、前記絶縁基板間に微小な放電表示セルとなる空間を形成する隔壁と複数の電極群を設け、前記空間に放電可能なガスを封入した気密構造を形成するとともに、前記電極間の放電によりプラズマを発生させ、前記プラズマにより放電表示セル内の蛍光体を発光させて画面の発光素子とするプラズマディスプレイパネルにおいて、前記隔壁が下記式:
【化1】
ただし、Xは、フッ素原子、塩素原子またはメチル基を表し;kは、0〜4であり;およびqは、1,000〜1,000,000である、
で示される含フッ素芳香族樹脂を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用隔壁。
【0010】
(イ)前記隔壁が下記式:
【化2】
ただし、Xは、フッ素原子、塩素原子またはメチル基を表し;Z 1 及びZ 2 は、それぞれ独立して、臭素原子、塩素原子またはヨウ素原子を表し;kは、0〜4の整数である、
で示される含フッ素芳香族化合物の熱CVDによって形成される、前記(ア)に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁。
【0011】
(ウ)前記含フッ素芳香族樹脂が下記式:
【0012】
【化3】
ただし、qは、1,000〜1,000,000である、
で示される含フッ素芳香族樹脂である、前記(ア)または(イ)に記載のプラズマディスプレイパネル用隔壁。
【0013】
(エ)隔壁を下記式:
【化4】
ただし、Xは、フッ素原子、塩素原子またはメチル基を表し;Z 1 及びZ 2 は、それぞれ独立して、臭素原子、塩素原子またはヨウ素原子を表し;kは、0〜4の整数である、
で示される含フッ素芳香族化合物の熱CVDで形成する工程を含むプラズマディスプレイパネル用隔壁の製造方法。
【0014】
(オ)前記含フッ素芳香族化合物が下記式:
【化5】
ただし、Z 1 及びZ 2 は、それぞれ独立して、臭素原子、塩素原子またはヨウ素原子を表す、
で示される、前記(エ)に記載の方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
第一の概念によると、本発明は、一対の絶縁基板を対向させ、前記絶縁基板間に微小な放電表示セルとなる空間を形成する隔壁と複数の電極群を設け、前記空間に放電可能なガスを封入した気密構造を形成するとともに、前記電極間の放電によりプラズマを発生させ、前記プラズマにより放電表示セル内の蛍光体を発光させて画面の発光素子とするプラズマディスプレイパネルにおいて、前記隔壁が含フッ素芳香族樹脂を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用隔壁を提供する。
【0017】
本発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁(以下、「PDP用隔壁」と略称する)を構成する含フッ素芳香族樹脂は、特に制限されるものではなく、含フッ素芳香族化合物を重合することによって得られる。本発明において使用される含フッ素芳香族化合物としては、特に制限されないが、プラズマディスプレイパネルを構成する一対の絶縁基板である前面板と背面板を気密封止するのに必要な温度に耐え得る材料であることが好ましい。このような含フッ素芳香族化合物の具体例としては、環状骨格部に2個のCF2Z(Z=Br、IまたはCl)基を有するベンゼン、ビフェニル、フェニルエーテル、インデン、インダン、ナフタレン、1,4−ジヒドロナフタレン、テトラリン、ビフェニレン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、アセアントレン、ピレン、1−フェニルナフタリン及び2−フェニルナフタリン;ならびに下記式(1)〜(3)で示される化合物が挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
上記式(1)及び(2)において、X1及びX2は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子またはメチル基、好ましくはフッ素原子を表し;ならびにk及びk’は、それぞれ独立して、0〜4、好ましくは0、3、4の整数、より好ましくは0、4の整数である。また、上記式(3)において、Y1及びY2は、それぞれ独立して、フッ素原子またはメチル基、好ましくはフッ素原子を表し;p及びp’は、それぞれ独立して、0〜4、好ましくは0、3、4の整数、より好ましくは0、4の整数であり;かつY1及びY2の少なくとも一はフッ素原子を表す。
【0021】
上記した含フッ素芳香族化合物のうち、環状骨格部において2個のCF2Z(Z=Br、IまたはCl;以下、同様)基を有するベンゼン、ナフタレン及びアントラセン;ならびに式(1)〜(3)で示される化合物、より好ましくは環状骨格部において2個のCF2Z基を有するベンゼン、ナフタレン及びアントラセンが好ましく使用される。さらに、本発明において好ましく使用される環状骨格部に2個のCF2Z基を有するベンゼン、ナフタレン及びアントラセンにおいて、置換基であるCF2Z基の結合位置は、重合する際の含フッ素芳香族樹脂の2次構造の点を考慮すると、環状骨格部において対称の位置となることが望ましく、即ち、下記含フッ素芳香族化合物が本発明において特に好ましく使用される。
【0022】
【化5】
上記式において、X、X1、X2及びX3は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子またはメチル基、好ましくはフッ素原子を表し;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、臭素原子、塩素原子またはヨウ素原子、好ましくは臭素原子を表し;k及びk’は、それぞれ独立して、0〜4、好ましくは0、3、4の整数、より好ましくは0、4の整数であり;m及びm’は、それぞれ独立して、0〜3、好ましくは0、3の整数であり;ならびにnは0〜2、好ましくは0、2の整数である。
【0023】
本発明によると、含フッ素芳香族樹脂は、上記含フッ素芳香族化合物を、必要であれば重合開始剤等の他の添加剤と共に重合することによって得られる。含フッ素芳香族樹脂としては、好ましくは、以下の6種のいずれかが使用される。なお、本発明において、一種の含フッ素芳香族樹脂がPDP用隔壁を形成することが好ましいが、所望の特性によっては、二種以上の含フッ素芳香族樹脂からPDP用隔壁を形成してもよい。
【0024】
【化6】
上記式において、X、X1、X2、X3、k、k’、m、m’、及びnは、上記含フッ素芳香族化合物の好ましい例で記載された定義と同様であり、ならびにqは、隔壁の所定の形状[すなわち、幅、高さ及びピッチ(間隔)など]によって異なるが、平均、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000である。
【0025】
本発明において、隔壁の幅、高さ及びピッチ(間隔)は、特に制限されず公知と同様の値が用いられる。
【0026】
本発明による隔壁は、含フッ素芳香族樹脂に加えて、さらに他の成分を含んでいてもよい。さらなる成分としては、例えば、ベンゾフェノン、イルガキュアー184(チバガイギー社製)、イルガキュアー907(チバガイギー社製)、イルガキャアー651(チバガイギー社製)、およびダロキュアー(メルク社製)等の重合開始剤などが挙げられる。
【0027】
さらに、前記含フッ素芳香族化合物の重合を阻害したり、前記気密封止温度で含フッ素芳香族樹脂自体に変形等の悪影響を及ぼしたりせず、本発明の範疇を逸脱しない範囲において、分散剤や溶剤、着色剤、無機充填材等の各種添加剤を含有させることも可能である。
【0028】
また、本発明はプラズマディスプレイパネルを構成する隔壁に特徴を有するものであり、それ以外の構成部材、例えば、絶縁基板、電極及び蛍光体は、特に制限されず従来公知のものと同様のものが使用される。
【0029】
具体的には、絶縁基板としては、ソーダライムガラスや低ソーダガラス、鉛アルカリケイ酸ガラス、ホウケイ酸塩ガラス等の一般の透明ガラス基板を用いることができ、特に高歪点低ソーダガラスが好適に使用される。本発明において、このような絶縁基板は、公知の方法を用いて、上記素材を板状、シート状あるいはフィルム状に成形することによって製造され、絶縁基板の厚みは、目的とする特性及びその材質に合わせて適宜選択することができる。
【0030】
また、電極としては、クロム(Cr)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)及び銀(Ag)等の材料を真空蒸着、メッキ及びスパッタなどにより製膜することによって、上記したような絶縁基板上に形成される。また、電極の大きさは、絶縁基板の場合と同様、用途及びその材質などに合わせて適宜選択することができる。
【0031】
さらに、蛍光体は、赤(R)[例えば、(Y,Ga)BO3:Eu]、緑(G)(例えば、Zn2SiO4:Mn)及び青(B)(例えば、MgAl14O23:Eu2+)を1画素とする組み合わせあるいはシアン、マゼンタ及びイエローを1画素とする組み合わせ;ならびに上記組み合わせのうち2種の画素を有するものが挙げられる。また、これらの画素の配列は、ストライプ状やモザイク状など、規則的であればいずれの配列でもよい。さらに、蛍光体の厚みは、絶縁基板の場合と同様、用途及びその材質などに合わせて適宜選択することができる。
【0032】
本発明のPDP用隔壁の製造方法は、本願発明による含フッ素芳香族化合物を用いられる方法であれば特に制限されることなく使用できるが、例えば、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、アディティブ法、感光性フィルムペースト法、金型法及び化学的蒸着(CVD)法が挙げられる。これらのうち、隔壁表面の平坦性や構造の微細化などを考慮すると、化学的蒸着(CVD)法が好ましく使用される。
【0033】
ここで、本発明の一実施態様による化学的蒸着(CVD)法を用いたPDP用隔壁の製造方法を、図1を参照しながら、以下に詳述する。図1は、本発明によるPDP用隔壁の作製方法の一実施態様を示す工程図を示す。なお、以下の実施態様においては、含フッ素芳香族化合物のみから構成される隔壁用組成物を使用する。
【0034】
まず、絶縁基板1上に、含フッ素芳香族化合物を所定の厚さになるように化学的蒸着(CVD)し、含フッ素芳香族樹脂層2を形成し、この含フッ素芳香族樹脂層2上に蒸着によりアルミニウム層3を形成する[図1(a)]。次に、フォトレジスト塗布、プリベーク、露光、現像、アフターベークを行い、パターニングされたレジスト層4を得る[図1(b)]。続いて、レジスト層4で被覆されなかったアルミニウム層部分をウェットエッチングにより除去した[図1(c)]後、レジスト層4及び相当するアルミニウム層で被覆されていない含フッ素芳香族樹脂部分を異方性ドライエッチングにより除去する[図1(d)]。さらに、残ったアルミニウム層3をウェットエッチングで除去する[図1(e)]。
【0035】
または、本発明のPDP用隔壁を、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィー法によって形成してもよい。この態様を、第二の実施態様として以下に簡単に説明する。まず、絶縁基板上に、含フッ素芳香族化合物を所定の厚さになるように化学的蒸着(CVD)し、含フッ素芳香族樹脂層を形成し、この含フッ素芳香族樹脂層上に感光性樹脂を均一に塗布することによって、感光性樹脂層を形成する。次に、この感光性樹脂層上に隔壁形状に対応したフォトマスクを置き、このフォトマスクを介して光照射装置から光線を照射して露光し、感光性樹脂層の露光部を硬化させ、未露光部を現像、洗浄する。その後、感光性樹脂層で被覆されていない含フッ素芳香族樹脂部分を異方性ドライエッチングにより除去し、さらに残りの感光性樹脂層を弱アルカリ溶液中に含浸することにより、この感光性樹脂層を溶出、除去、水洗する。このようにして、本発明のPDP用隔壁が作製される。
【0036】
上記第二の実施態様において、感光性樹脂としては、紫外線や可視光線、赤外線、X線あるいは電子線等により硬化する樹脂であればいずれでもよく特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化性樹脂やカチオン重合型のエポキシ系あるいはアゾ系紫外線硬化性樹脂、チオール・エン付加型の紫外線硬化性樹脂が挙げられ、これらの紫外線硬化性樹脂には、硬化触媒としてアセトフェノン類やベンゾフェノン類、有機過酸化物、アゾ化合物、チオキサントン類を含有させてもよい。
【0037】
本発明において使用される化学的蒸着(CVD)としては、熱CVD、プラズマCVD及び光CVD等公知の化学的蒸着法が使用されるが、これらのうち、熱によって活性種を容易に生成することができるから、熱CVDが好ましく使用され、特に、特開平6−33,224号に記載される方法が好ましく使用される。
【0038】
また、CVD工程において、上記含フッ素芳香族化合物を必須に使用するが、必要であれば、アルゴン、窒素、ヘリウムガス等のキャリアガスをさらに使用してもよい。
【0039】
さらに、CVD法において、反応条件は使用するCVDの種類および目的とする薄膜の均一性や厚さなどによって異なるが、例えば、熱CVD法を用いる際には、温度は、蒸発室では、0〜300℃、好ましくは100〜200℃であり、分解室では、400〜1000℃、好ましくは600〜800℃であり、さらに蒸着室では、−50〜300℃、好ましくは室温である。この際、抵抗線加熱、高周波誘導加熱、赤外線ランプ加熱やレーザビーム加熱等の公知の手段によって上記温度範囲に設定できる。また、圧力は、760〜10mmTorrである。
【0040】
さらにまた、CVD法に使用される反応装置としては、特に制限されず、例えば、特開平6−33,224号に記載される装置、常圧CVDの際には、縦型常圧CVD装置、インライン型常圧CVD装置やベルトコンベア型常圧CVD装置などが;減圧CVDの際には、ホットウォール型減圧CVD装置やコールドウォール型減圧CVD装置などが;プラズマCVDの際には、丸型平行平板電極型プラズマCVD装置、誘導コイル型プラズマCVD装置、ホットウォール型プラズマCVD装置やマイクロ波電子サイクロトロン共鳴(ECR)型プラズマCVD装置などが;ならびに光CVDの際には、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ、アルゴンレーザ、超高圧水銀ランプ、重水素ランプ、希ガス共鳴線、ハロゲンランプやFe/Hg金属・ハロゲンランプを光源として用いたCVD装置およびこれらの2種以上のフォトンを同時に吸収させて所定のエネルギー準位まで電子を励起させる多光子吸収法などが挙げられる。これらのうち、特開平6−33,224号に記載される装置が特に好ましく使用される。
【0041】
上記態様では、隔壁の形成に、本発明による含フッ素芳香族化合物、及び必要であればキャリアガスを使用したが、さらに必要であれば、重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤を使用する際の重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、イルガキュアー184(チバガイギー社製)、イルガキュアー907(チバガイギー社製)、イルガキャアー651(チバガイギー社製)、およびダロキュアー(メルク社製)などが挙げられる。
【0042】
このようにして製造された本願発明のプラズマディスプレイパネル隔壁は、簡単な製造工程で高精度に再現性良く成形され、低コストで寸法精度の優れた大型画面化が容易で高精細度化が実現でき、さらに、表面に凹凸の少ない優れた平坦性を有するものである。
【0043】
このようにして隔壁を形成した後は、既知の方法によって、例えば、書き込み電極を印刷・焼成した後、書き込み電極上及び隔壁の側面に各色(赤、緑、青)の蛍光体を印刷することによって、PDP用の裏面パネルが製造される。このようにして製造された背面パネルと、既知の方法によって製造された前面パネルとの間に放電によって紫外線を発生するキセノン(Xe)と主放電ガスのネオン(Ne)を混合したガスを封入することによって、本願発明による隔壁を有するプラズマディスプレイパネルが得られる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0045】
実施例1
厚さが2mmで26インチサイズ画面相当の高歪点低ソーダガラスからなる絶縁基板上で、下記式の含フッ素芳香族化合物をアルゴンガス中に0.5(v/v)%で、蒸発室において175℃の温度かつ1Torrの圧力で、分解室において680℃の温度でかつ0.5Torrの圧力で、さらに蒸着室において30℃の温度でかつ0.1Torrの圧力で熱CVD処理することによって、100μmの厚さの含フッ素芳香族樹脂層を形成した。
【0046】
【化7】
次に、このようにして形成された含フッ素芳香族樹脂層上に蒸着により厚さ0.5μmのアルミニウム層を形成した後、フォトレジスト塗布、プリベーク、露光、現像、アフターベークを行い、パターニングされた厚さ1μmのレジスト層をさらに形成した。続いて、このレジスト層で被覆されなかったアルミニウム層部分をウェットエッチングにより除去した。さらに、レジスト層及び相当するアルミニウム層で被覆されていない含フッ素芳香族樹脂部分を、異方性ドライエッチングにより除去した。最後に、残ったアルミニウム層をウェットエッチングで除去し、PDP用隔壁1を作製した。
【0047】
実施例2
厚さが2mmで26インチサイズ画面相当の高歪点低ソーダガラスからなる絶縁基板上で、下記式の含フッ素芳香族化合物をアルゴンガス中に0.5(v/v)%で、蒸発室において175℃の温度かつ1Torrの圧力で、分解室において680℃の温度でかつ0.5Torrの圧力で、さらに蒸着室において30℃の温度でかつ0.1Torrの圧力で熱CVD処理することによって、100μmの厚さの含フッ素芳香族樹脂層を形成した。
【0048】
【化8】
次に、このようにして形成された含フッ素芳香族樹脂層上に、感光性ポリイミドを均一に塗布することによって、感光性ポリイミド層を形成した。次に、この感光性ポリイミド層上に中心間距離が150μmピッチでかつ幅が30μmの隔壁形状に対応したフォトマスクを置き、このフォトマスクを介して露光し、感光性ポリイミド層の露光部を硬化させ、未露光部を現像、洗浄した。その後、感光性ポリイミド層で被覆されていない含フッ素芳香族樹脂部分を異方性ドライエッチングにより除去し、さらに残りの感光性ポリイミド層を弱アルカリ溶液中に含浸することにより、この感光性ポリイミド層を溶出、除去、水洗し、PDP用隔壁2を作製した。
【0049】
比較例1
ポリイミドをロールコーター処理することによって、幅30μm、高さ100μm及びピッチ150μmの比較用PDP用隔壁を製造した。
【0050】
実施例3
実施例1、2および比較例1で作製されたPDP用隔壁1、2及び比較用PDP用隔壁について、それぞれ、表面の平坦性を電子顕微鏡で評価したところ、実施例1、2で作製されたPDP用隔壁1、2の表面には凹凸が少なく平坦性に優れていた。これに対して比較例1で作製された比較用PDP用隔壁には凹凸が認められ平坦性が劣っていることが分かった。
【0051】
【発明の効果】
上述したように、本願発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁は、含フッ素芳香族樹脂を含むことを特徴とするものである。したがって、本願発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁は、簡単な製造工程で成形することができ、また、隔壁を耐熱性、ガスバリアー性及び平坦性に優れた含フッ素芳香族樹脂の化学的蒸着によって形成することによって、表面には凹凸が少なく平坦性に優れるプラズマディスプレイパネル用隔壁が製造できる。
【0052】
上記利点に加え、本願発明のプラズマディスプレイパネル用隔壁は、従来の隔壁に比べて、微細化することができ、これにより、プラズマディスプレイパネルのより薄型化/小型化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の一実施態様によるプラズマディスプレイパネル用隔壁の主要製造工程での要部断面図を示すものである。
【付号の説明】
1 絶縁基板
2 含フッ素芳香族樹脂層
3 アルミニウム層
4 レジスト層
Claims (5)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10729299A JP4067691B2 (ja) | 1999-04-14 | 1999-04-14 | プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10729299A JP4067691B2 (ja) | 1999-04-14 | 1999-04-14 | プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000299062A JP2000299062A (ja) | 2000-10-24 |
JP4067691B2 true JP4067691B2 (ja) | 2008-03-26 |
Family
ID=14455415
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10729299A Expired - Fee Related JP4067691B2 (ja) | 1999-04-14 | 1999-04-14 | プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4067691B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10149775A (ja) * | 1996-11-18 | 1998-06-02 | Kyocera Corp | プラズマディスプレイパネル用隔壁及びその製造方法 |
JPH10172423A (ja) * | 1996-12-04 | 1998-06-26 | Fujitsu Ltd | 薄型平面表示パネルの隔壁形成方法 |
JP3740545B2 (ja) * | 1997-04-04 | 2006-02-01 | 東京応化工業株式会社 | リフトオフ用感光性下地材組成物およびそれを用いたペーストパターンの形成方法 |
-
1999
- 1999-04-14 JP JP10729299A patent/JP4067691B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000299062A (ja) | 2000-10-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100513180B1 (ko) | 기판상에패턴을형성하는방법및전사필름 | |
KR100285760B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널용 격벽제조방법 및 이를 이용한 플라즈마 디스플레이 패널 소자 | |
JP4067691B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造方法 | |
KR100295112B1 (ko) | 플라즈마표시장치용하부기판 | |
JP4067692B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル用隔壁およびその製造法 | |
KR100630415B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 제조 방법 | |
KR100697016B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널 | |
US20070013308A1 (en) | Black top green sheet, plasma display panel, and method for manufacturing the same | |
KR100728359B1 (ko) | 평판 디스플레이 패널용 플렉시블 몰드 및 그 제작방법 | |
JP4797465B2 (ja) | パネルディスプレイ部材の製造方法 | |
JP4539112B2 (ja) | プラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
KR100692053B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 감광성 격벽의 형성방법 | |
JPH10149775A (ja) | プラズマディスプレイパネル用隔壁及びその製造方法 | |
KR100350652B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 및 형광체 형성 방법 | |
JP4554772B2 (ja) | プラズマディスプレイ用部材の製造方法 | |
KR100486916B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 제조방법 | |
JP4613503B2 (ja) | ディスプレイ部材の製造方法およびその方法により製造したディスプレイ部材ならびにディスプレイ | |
KR100467076B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 제조방법 | |
JP2002090995A (ja) | 光重合型の感光性蛍光体ペースト組成物及びこれを用いた蛍光膜の形成方法 | |
JP2007265853A (ja) | ディスプレイパネル用部材の製造方法 | |
JP4432523B2 (ja) | ディスプレイ部材の製造方法 | |
JP2002216640A (ja) | ガス放電表示装置およびその製造方法 | |
KR100415619B1 (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 제조방법 | |
KR20050072915A (ko) | 플라즈마 디스플레이 패널의 격벽 제조방법 | |
JPH11185636A (ja) | プラズマディスプレイ用基板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20040701 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050419 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051111 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070720 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20070731 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070928 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080108 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Effective date: 20080109 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 3 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |