JP3740284B2 - 抗マラリア活性を有する新規化合物又はその塩 - Google Patents

抗マラリア活性を有する新規化合物又はその塩 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マラリア原虫類による感染症の予防及び治療に有用な新規化合物又はその塩に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マラリア原虫感染によって引き起こされるマラリアは人類最大の寄生原虫感染症である。世界保健機構(WHO)の最新統計によると地球上の8.3%の人口である3億6500万人が何のマラリア対策も立てられない地区(主としてアフリカ)に住み、全人口の46%に当たる22億1700万人がマラリアの流行地に居住しており、毎年、世界中で2億6700万人もの人々がマラリアに感染し、その内200万人が死亡している(WHO報告)。マラリアの起因病原体は、プラスモジウム(Plasmodium)属に属する原虫であり、例えば、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P.vivax)、主として熱帯西アフリカに分布する卵形マラリア原虫(P.ovale)及び世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P.malariae)等の原虫が挙げられ、これらの原虫がハマダラ蚊を媒介として人に感染する。それ故、媒介者であるハマダラ蚊を殺虫剤で駆除することがマラリア撲滅の決め手と考えられてきた。ところが殺虫剤を広く散布したところ環境破壊を引き起こし、殺虫剤を散布するベクターコントロールプロジェクトは破綻してしまった(Chemotherapy of Parasitic Diseases及びModern Parasitology)。
【0003】
また、従来マラリアは、正しい診断がなされ適切な治療がなされれば完治できる疾病であるとされていたが、近年、多剤耐性株がタイ国を中心に蔓延し、マラリアの治療及び予防にはクロロキン、プリマキン、メフロキン、ドキシサイクリン、アルテミシニン及びピリメサミン等が用いられているが、いかなる予防剤をもってしても感染からの保護を保証することはできず、多剤耐性マラリアに唯一有効な治療薬は腎不全を引き起こす可能性が極めて高いキニーネであり、これが最終治療手段として用いられているが、現在の医療水準から見てリスクの高い治療薬である。そのため、毒性が低く、マラリア感染を治療し、治療後の再燃がないような薬剤の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、毒性が低く、極めて高い抗マラリア活性を有する新規化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生薬・常山(原植物:ジョウザンアジサイ=Dichroa febrifuga Lour.)に含まれる植物アルカロイドの一種であるフェブリフギン(Febrifugine、化合物(2))又はイソフェブリフギン(Isofebrifugine、化合物(3))から誘導される新規化合物が、極めて高い抗マラリア活性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【化2】
Figure 0003740284
【0006】
すなわち、本発明は一般化学式(1)で表される新規化合物(以下「本発明化合物」と称す)又はその塩に関するものである。
【化3】
Figure 0003740284
尚、式中、R、R2は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素、R3、R4は一方が水素、他方が水酸基、アシルオキシ基、又は一緒になって形成されるケト基、R5はアシル基又は選択的に離脱可能なエーテル型保護基又は水素である。
【0007】
前記一般化学式において、R 3、R4の何れかがアシルオキシ基である場合、該アシルオキシ基は、炭素数2〜7の脂肪族アシルオキシ基、炭素数7〜11の芳香族アシルオキシ基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニルオキシ基、アミノ酸の水素が離脱した残基であるカルボニルオキシ基であり、R5がアシル基である場合、該アシル基は、炭素数2〜18の脂肪族アシル基、炭素数7〜11の芳香族アシル基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニル基、アミノ酸の水酸基が離脱した残基であるカルボニル基であり、またR5が選択的に離脱可能なエーテル型保護基である場合、該エーテル型保護基は、置換メチルエーテル型保護基、置換ベンジル型保護基である(R 〜R5について以下同じ)。
【0008】
さらにこのものにおいて、R、R2の炭化水素が炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である場合に、該脂肪族炭化水素は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、直鎖又は各種分枝したペンチル基、直鎖又は各種分枝したヘキシル基等のものが例としてあげられる
【0009】
一方、R3、R4の何れかがアシルオキシ基である場合に、該アシルオキシ基は、炭素数2〜7の脂肪族アシルオキシ基、炭素数7〜11の芳香族アシルオキシ基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニルオキシ基、アミノ酸の水素が離脱した残基であるカルボニルオキシ基が例としてあげられる。
そしてアシルオキシ基が炭素数2〜7の脂肪族アシルオキシ基である場合に、該脂肪族アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等が例としてあげられる。
また、アシルオキシ基が炭素数7〜11の芳香族アシルオキシ基である場合に、該芳香族アシルオキシ基としては、ベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等が例としてあげられる。これらの芳香環は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基等の置換基の一つまたは複数に置換されていてもされていなくても良いものである。
さらにアシルオキシ基が総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニルオキシ基である場合に、該アリールアルキルカルボニルオキシ基としては、フェニルアセチルオキシ基、フェニルプロピオニルオキシ基、ナフチルアセチルオキシ基等が例としてあげられる。これらの芳香環は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基等の置換基の一つまたは複数に置換されていてもされていなくても良いものである。
さらにまた、アシルオキシ基がアミノ酸の水素が離脱した残基のカルボニルオキシ基で有る場合に、該アミノ酸のカルボニルオキシ基としては、グリシルオキシ基、アラニルオキシ基、バリルオキシ基、ロイシルオキシ基、イソロイシルオキシ基、β−アミノプロピオニルオキシ基、γ−アミノブチリルオキシ基等のものが例としてあげられる。
【0010】
5がアシル基である場合、該アシル基は、炭素数2〜18の脂肪族アシル基、炭素数7〜11の芳香族アシル基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニル基、アミノ酸の水酸基が離脱した残基であるカルボニル基が例としてあげられる。
そしてアシル基が炭素数2〜18の脂肪族アシル基である場合に、該脂肪族アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ステアロイル基等が例としてあげられる。
また、アシル基が炭素数7〜11の芳香族アシル基である場合に、該芳香族アシル基としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が例としてあげられる。これらの芳香環は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基等の置換基の一つまたは複数に置換されていてもされていなくても良いものである。
さらに、アシル基が総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニル基である場合に、該アリールアルキルカルボニル基としては、フェニルアセチル基、フェニルプロピオニル基、ナフチルアセチル基等が例としてあげられる。これらの芳香環は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基等の置換基の一つまたは複数に置換されていてもされていなくても良いものである。
さらに、アシル基がアミノ酸の水酸基が離脱した残基のカルボニル基である場合に、該アミノ酸のカルボニル基としては、グリシル基、アラニル基、バリル基、ロイシル基、イソロイシル基、β−アミノプロピオニル基、γ−アミノブチリル基等が例としてあげられる。
一方、R5が選択的に離脱可能なエーテル型保護基である場合、該エーテル型保護基としては、置換メチルエーテル型保護基、置換ベンジル型保護基が例としてあげられる。
そしてR5が置換メチルエーテル型保護基である場合に、該置換メチルエーテル型保護基としては、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等が例としてあげられる。
また、置換ベンジル型保護基である場合に、該置換ベンジル型保護基としては、ベンジル基、p−メトキシベンジル基、p−ニトロベンジル基、p−ハロベンジル基、p−シアノベンジル基等が例としてあげられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
上記の一般化学式(1)で示される本発明化合物は、前述したようにフェブリフギン又はイソフェブリフギンを出発原料として簡単に調製される。このフェブリフギン、イソフェブリフギンについては、Chem.Pharm.Bull.,46(1),1−5(1998)にその分析データ等が詳しく掲載されており、また該文献に引用されるJ.Am.Chem.Soc.,69,1837−1838(1947)、J.Org.Chem.,17,14−18(1952)、J.Org.Chem.,17,132−140(1952)、J.Org.Chem.,18,153−177(1953)、J.Org.Chem.,18,178−183(1953)、J.Org.Chem.,38,1937−1940(1973)、生薬学雑誌,44,288−292(1990)等の文献において既に調製もされている公知の化合物であり、これらに記載される通常の方法によっても得ることもできる。
そしてフェブリフギン(2)又はイソフェブリフギン(3)を、アルデヒドあるいはケトン化合物(RCOR2)とマンニッヒ型の反応をさせることで、6’位が前述したような置換基R,R2に置換された状態で環化縮合して8’位の置換基R3、R4がケト基となった本発明化合物の一つであるケトニルフェブリフギン(化学式(4a))またはケトニルイソフェブリフギン(化学式(4b))を得ることができる。これらのものは、後述するようにR、R2が何れもメチル基のもの(化学式(10)(11))についてのNMR等の分析結果から、第10’位の水素の立体配置が異なるだけで、残りは同じ立体配置をとるものと判断され、そこでこれらのものは一般化学式(1a)として記載される。
【化4】
Figure 0003740284
【0012】
さらに、一般化学式(1a)のものを還元することで、R3、R4の何れか一方が水酸基で他方が水素になった本発明化合物(一般化学式(5))を得ることができる。また、前記一般化学式(1a)の1’位の水酸基の水素を、前述したような保護基(置換基)R5で保護(置換)することで本発明化合物(一般化学式(6))を得ることができ、このものをさらに還元することで、R3,R4の何れか一方が水酸基で他方が水素になった本発明化合物(一般化学式(7))を得ることができ、さらにこの水酸基を、前述したような保護基(置換基)R3(またはR4)で保護(置換)することで本発明化合物(一般化学式(8))を得ることができる。
さらに、このものを脱R5化することで、本発明化合物(一般化学式(9))を得ることができる。
つまり、前記ケトニルイソフェブリギンを還元して合成される8’−ヒドロキシ−ケトニルイソフェブリフギン、ケトニルイソフェブリギンをアセチル化して合成される1’−アセチル−ケトニルイソフェブリフギン、このアセチル化した化合物をさらに還元することにより合成される8’−ヒドロキシ−アセチルケトニルイソフェブリフギンが例示される。
【0013】
【化5】
Figure 0003740284
【0014】
マンニッヒ型の環化反応をさせるためのアルデヒド又はケトン化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド等の各種アルデヒド化合物、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等の各種ケトン化合物を用いることができ、これらアルデヒド化合物、ケトン化合物の選択により、前述したように6’位がR,R2の置換基で置換された一般化学式(1)の新規化合物を得ることができる。そしてこれらアルデヒドまたはケトン化合物は、単独若しくはメタノール、エタノール、クロロホルム、四塩化炭素、ヘキサン等の溶媒中で反応させることになるが、これら溶媒については、前記マンニッヒ型の環化反応を阻害しないもので有れば特に制限はない。
【0015】
本発明化合物は、フェブリフギン又はイソフェブリフギンを、アルデヒド又はケトン化合物の溶液中、シリカゲル存在下で反応させ、得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離精製することで得ることができる。
また本発明化合物は、フェブリフギン又はイソフェブリフギンを含むアルデヒド又はケトン溶液を、アルデヒド又はケトン溶液にて作成したシリカゲルカラムにのせ、原料のフェブリフギン又はイソフェブリフギンが溶出しなくなるまでアルデヒド又はケトン−アルコールの系によりアルコール濃度を徐々に高くしながら溶出し、溶出液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画することによっても得ることができる。
【0016】
本発明化合物は塩を形成していてもよく、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩等の薬学的に許容される塩が用いられる。無機酸との塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、りん酸等との塩が用いられる。有機酸との塩としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が用いられる。
本発明化合物を合成するための出発原料となるフェブリフギン又はイソフェブリフギンは、生薬・常山より通常知られた抽出、分離の手法により精製して得ることができる。
さらに、フェブリフギン又はイソフェブリフギンは、生薬・常山以外に、アマチャ、アジサイ等のアジサイ属の植物からも同様の方法で得ることができる。
【0017】
生薬・常山は、東南アジア、中国南部で樹陰に生える常緑低木であるジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga Lour.)の根を日干しにしたものであり、古くから薬用に供されている。生薬・常山はフェブリフギン、イソフェブリフギンなどのアルカロイドを約0.1%含み、抗マラリア作用をもつ生薬として有名である。その有効成分はフェブリフギンなどのアルカロイドであり、いくつかの動物マラリアに対してはキニーネよりも強い作用を示すが、ヒトマラリアに対しては効力が弱い。また、毒性はキニーネよりもはるかに強いことが知られている。
また、アマチャは、日本全国の山林や山中に自生する落葉低木で、葉を発酵乾燥させたもので、甘味薬として使用される。またアジサイは、一般に野生種を改良、育成し園芸種としたものである。何れもフェブリフギン、イソフェブリフギン等のアルカロイドが含まれていることが知られている。
【0018】
本発明化合物又はその塩を、マラリア等の原虫類による感染症の予防及び治療に使用する場合、投与経路としては、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでもよい。また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤を用いて製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤、点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤としては、グルコース、ラクトース、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、トリケイ酸マグネシウム、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ等があり、さらには、安定剤、増量剤、着色剤及び芳香剤の様な補助剤を含有してもよい。これらの製剤は、各々当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。
本発明化合物又はその塩の製剤中の配合量としては、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜80重量%であり、0.1〜50重量%が好適である。
また、1日当たりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概に決定できないが、通常成人1日当り本発明化合物を0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgを1回又は2〜4回程度に分けて投与するのが好ましい。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0020】
<フェブリフギン及びイソフェブリフギンの抽出・精製>
生薬・常山の細片10kgをメタノール約20lに3日間浸した後、濾過し、溶媒を減圧留去し粗抽出物138gを得た。この粗抽出物に0.1M塩酸水溶液500mlを加え、酢酸エチル500mlで3回抽出し、中性〜酸性画分を除いた。中性〜酸性画分を除いた後の水層を、アンモニア水によりアルカリ性(pH8〜9)とした後、酢酸エチル500mlで3回抽出し、その抽出液を浴温約30℃で溶媒を減圧留去し、粗アルカロイド画分15gを得た。
この粗アルカロイド画分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル(1:1)〜酢酸エチル、酢酸エチル−メタノール(9:1〜1:1)の順に、溶媒の極性を段階的に高くすることにより分画し、酢酸エチル−メタノール(9:1〜1:1)で溶出される画分を集め、溶媒を減圧留去し、粗フェブリフギン及びイソフェブリフギンを得た。更に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=49:1〜9:1)により、分離精製を行うことにより、純粋なフェブリフギン(27mg)及びイソフェブリフギン(50mg)を得た。
得られたフェブリフギン(2)又はイソフェブリフギン(3)については、質量分析、NMR分析等の結果により同定したが、この結果は、前記文献に記載されるものと一致していることを確認し、その詳細の掲載を省略する。
【0021】
<実施例1>フェブリフギン(2)からアセトニルフェブリフギン(10)の合成
フェブリフギン(2)6mgのアセトン溶液2mlにシリカゲル300mgを加え、室温で7時間撹拌した。反応溶液を濾過してシリカゲルを除去した後、シリカゲルカラムを用い、クロロホルム−メタノール(49:1〜19:1)により分画し、アセトニルフェブリフギン(10)4.3mgを得た。
アセトニルフェブリフギン(10)の分析結果
EI-MS m/z 341[M]
H-NMR(500MHz,CDCl)δ8.30(1H,dd,J=1.3,7.9), 8.03(1H,s), 7.77(1H,dt,J=1.3,7.6), 7.72(1H,br.d,J=7.9), 7.49(1H,dt,J=1.3,7.6), 6.12(1H,s), 3.52(1H,m), 3.12(1H,dt,J=11.8,3.9), 3.04(1H,dd,J=3.9,14.1), 2.77(1H,ddd,J=3.9,7.1,10.2), 2.57(1H,dd,J=10.6,14.9), 2.35(1H,dt,J=3.4,10.6), 2.02,1.83,1.69(each lH,m), 1.17,1.14(each 3H,s)
【化6】
Figure 0003740284
【0022】
<実施例2>イソフェブリフギン(3)からアセトニルイソフェブリフギン(11)の合成
イソフェブリフギン(3)10mgを含むアセトン溶液1mlを、シリカゲルカラムにのせ、原料のイソフェブリフギンが溶出しなくなるまでアセトン−メタノールの系にてメタノール比率を徐々に高くしながら(10:0〜8:2)6時間以上かけて溶出し、溶出液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール=10:0〜8:2)で分画することによってアセトニルイソフェブリフギン(11)5.0mgを得た。
アセトニルイソフェブリフギン(11)の分析結果
白色非晶質固体
EI-MS m/z 341[M]
高分解能EI-MS m/z 341.1721(m/z 341.1739 calcd. for C1923
CD(MeOH)λmax(Δε) 308.0nm(3.168), 264.2nm(3.366), 230.6nm(6.053), 199.8nm(-0.8909)
UV(MeOH)λmax(ε) 315.8nm(1841), 304.0nm(2349), 265.4nm(5517), 225.6nm(19097), 201.2nm(17298), 193.2nm(14648)
IR(neat)3470(OH), 1726, 1680(C=O)cm−1
[α]+212.06(cO.232,CHCl )
H-NMR(600MHz,CDCl)δ8.3(1H,ddd,J=0.8,1.3,7.9,H-5), 8.06(1H,s,H-2), 7.77(1H,ddd,J=1.3,6.9,8.5,H-7), 7.72(1H,ddd,J=0.8,1.6,8.5,H-8), 7.49(1H,ddd,J=1.6,6.9,7.9,H-6), 6.05(1H,s,H-7'), 3.63(1H,br.s,WH=10,H-1'), 3.18(1H,dd,J=1.1,11.1,15.9,H-9'), 3.16(1H,br.d,J=8.0,H-4'), 2.99(1H,ddd,J=1.8,4.8,11.1,H-10'), 2.56(1H,dd,J=4.4,15.6,H-9'), 2.32(1H,dt,J=3.0,10.9,H-4'), 1.94(1H,br.dd,J=3.8,13.8,H-2'), 1.91(1H,br.tq,J=4.0,13.0,H-3'), 1.66(1H,br.d,J=13.8,H-3'), 1.53(1H,ddt,J=2.5,5.0,13.3,H-2'), 1.16(3H,s,H-12'), 1.13(3H,s,H-11')
13C-NMR(150MHz,CDCl)δ203.4(s,C-8'), 161.6(s,C-4), 146.3(s,C-8), 146.2(d,C-2), 134.7(d,C-7), 127.5(d,C-8), 127.3(d,C-5), 127.1(d,C-6), 121.6(s,C-4), 68.1(d,C-1'), 66.1(d,C-7'), 63.8(s,C-6'), 59.9(d,C-10'), 45.8(t,C-4'), 42.2(t,C-9'), 30.7(t,C-2'), 25.1(q,C-12'), 20.2(t,C-3'), 15.1(q,C-11').
【化7】
Figure 0003740284
【0023】
<実施例3>アセトニルフェブリフギン(10)の合成(別法)
フェブリフギン(10mg)を用い、実施例2と同様にしてアセトニルフェブリフギン3mgを得た。
【0024】
<実施例4>アセトニルイソフェブリフギン(11)の合成(別法)
イソフェブリフギン(10mg)を用い、実施例1と同様にしてアセトニルイソフェブリフギン5mgを得た。
【0025】
<実施例5>アセトニルイソフェブリフギンの還元体(12)の合成
アセトニルイソフェブリフギン(11)5mgをメタノール1mlに溶解し、氷冷下にて水素化硼素ナトリウム2mgを添加した。15分間撹拌した後、反応溶液に水1mlを加え、3mlの酢酸エチルで抽出した。減圧下溶媒を留去した後、残渣を2%メタノール−クロロホルムを用いたアルミナカラムクロマトグラフィーにて精製し、8’位のケト基が水酸基に還元された還元体である8’−ヒドロキシ−アセトニルイソフェブリフギン(12)2mgを得た。
このものは、一般式(1)で示されるR3が水酸基になったα型(12a)とR4が水酸基になったβ型(12b)の混合物であるが、前記精製では分離することはできなかった。これらの生成比はH−NMRスペクトルの結果からα型:β型=約1:9であることが観測された。
8’−ヒドロキシ−アセトニルイソフェブリフギン(12)の分析結果
白色針状結晶
EI-MS m/z 343
8’−β−ヒドロキシ−アセトニルイソフェブリフギン(12b)のH−NMRスペクトル分析結果
H-NMR(CDCl,300MHz)δ9.16(s), 8.32(1H,dd,J=8.0,1.4), 7.75(1H,dd,J=8.5,1.6), 7.66(1H,d,J=8.0), 7.49(1H,l,J=8.0), 5.14(1H,d,J=2.2), 4.31(1H,m), 3.60(1H,m), 3.04(1H,m), 2.94(1H,m), 2.64(1H,m), 2.44(1H,dt,J=14.8,3.0), 2.29(1H,dt,J=11.0,3.0), 1.92(1H,m), 1.35(3H,s), 1.03(3H,s).
【化8】
Figure 0003740284
【0026】
<実施例6>アセトニルイソフェブリフギンのアセチル化
アセトニルイソフェブリフギン(11)1gを2mlのピリジンに溶解し、氷冷下1gの無水酢酸を滴下した。滴下後、室温にて6時問撹拌した後、反応溶液を酢酸エチルで抽出し、滅圧下、溶媒を留去した。粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりへキサン−酢酸エチルの混合溶媒系により精製し、1’位の水酸基の水素がアセチル化した1’−アセチル−アセトニルイソフェブリフギン(13)0.9gを得た。
1’−アセチル−アセトニルイソフェブリフギン(13)の分析結果
EI-MS 383[M]
H-NMR(CDCl,500MHz)δ8.30(1H, br.d, J=8.3), 8.03(1H, s), 7.78(1H, br.t, J=8.3), 7.72(1H, d, J=8.3), 7.49(1H, t, J=8.3), 6.18(1H, s), 4.95(1H, dt, J=6.0,2.9), 3.40(1H, br.d, J=11.9), 3.10(1H,m), 2.83(1H,dd,J=11.9,13.0), 2.67(1H,br.t,J=8.0), 2.47(1H,dd,J=3.6,14.8), 2.14,1.25,1.19(each 3H,s)
【化9】
Figure 0003740284
【0027】
<実施例7>アセチルアセトニルイソフェブリフギン(13)の還元
アセチルアセトニルイソフェブリフギン(13)5.7mgを実施例5と同様、水素化硼素ナトリウム2mgを用いて還元し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、8’位のケト基が還元された8’−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン(14)を得た。このものは前記精製の過程で、前記一般式(1)においてR3が水酸基になったα−型である8’−α−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン(14a)0.7mgと、R4が水酸基になったβ−型である8’−β−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン(14b)1.6mgとに分離することができた。
8’−α−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン(14a)の分析結果
EI-MS 385[M]
H-NMR(CDCl,300MHz)δ9.97(1H,s), 8.31(1H,ddd,J=0.4,1.7,7.8), 7.78(1H,ddd,J=1.7,6.8,8.4), 7.71(1H,ddd,J=1.0,8.4), 7.50(1H,ddd,J=1.3,6.7,8.4), 4.93(1H,br.s,WH=7.6), 4.84(1H,dd,J=1.5,2.5), 3.98(1H,br.t,J=3.4), 3.09(1H,m), 3.05(1H,m), 2.20(3H,s), 1.49(3H,s), 1.14(3H,s)
8’−β−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン(14b)の分析結果
EI-MS 385[M]
H-NMR(CDCl,300MHz)δ9.10(1H,s), 8.32(1H,dd,J=1.3,8.4), 7.75(1H,dd,J=1.6,6.7), 7.66(1H,br.d,J=7.4), 7.49(1H,ddd,J=1.3,6.7,8.0), 5.28(1H,d,J=2.1), 4.96(1H,br.d,J=3.2), 4.31(1H,br.t,J=3.2), 3.23(1H,br.d,J=11.6), 3.07(1H,m), 2.16(3H,s), 1.38(3H,s), 1.04(3H,s)
【化10】
Figure 0003740284
【0028】
<実施例8>フェブリフギンからメタナリルフェブリフギン(15)の合成
アセトンをホルムアルデヒドにした以外は実施例1と同様に反応、精製をすることで、R,R2が水素に置換されたメタナリルフェブリフギン(15)を合成した。
メタナリルフェブリフギンの分析結果
EI-MS 313[M]
H-NMR(CDCl,500MHz)δ8.27(1H,dd,J=1.1,8.1), 7.86(1H,s), 7.76(1H,ddd,J=1.5,7.0,8.1), 7.70(1H,dd,J=0.7,8.4), 7.49(1H,ddd,J=1.5,7.0,8.4), 5.71(1H,br.dd,J=6.5,11.5), 3.33(1H,dd,J=6.6,10.6), 3.16(1H,dd,J=3.3,15.4), 2.92(1H,br.d,J=11.4), 2.80(1H,t,J=11.4), 2.48(1H,dd,J=11.4,15.0), 2.25(1H,ddd,J=3.7,8.1,11.7), 2.17(1H,dt,J=2.9,12.1), 2.06(1H,br.dq,J=12.5,3.2), 1.77(1H,m), 1.71(1H,dt,J=12.5,6.4)
【化11】
Figure 0003740284
【0029】
<熱帯熱マラリア原虫の培養>
本実験では、P.falciparum FCR−3 strain(ATCC30932)及び、P.falciparum Honduras−1 strain(ATCC30935)の原虫を用いた。実験に用いた培地は、濾過滅菌したRPMI1640培地で、pHを7.4に合わせ、ヒト血清を10%となるように添加した。マラリア原虫の培養はO濃度5%、CO濃度5%、N濃度90%、温度は36.5℃で行った。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は5%にして用いた。培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1%とした。24穴培養プレートを用いて培養し、培地は毎日交換し、感染率4%で植継ぎを行った。感染率は薄層塗末標本を作成し、ギムザ染色あるいはDiff−Qick染色を行った後、顕微鏡(油侵、1,000×)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式から算出した。
マラリア原虫感染率(%) ={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
【0030】
<試験例1>マラリア原虫増殖阻害スクリーニング試験
培養したマラリア原虫感染赤血球を遠心分離で集め、血清を含む培地で洗浄を行った後、非感染赤血球を加え、初期感染率を0.3%とした。このときのヘマトクリット値は3%とした。試験に用いる本発明化合物(アセトニルフェブリフギン、アセトニルイソフェブリフギン、アセトニルイソフェブリフギンの還元体)又は陽性対照薬(キニーネ(Quinine)、ピリメタミン(Pyrimethamine)、メフロキン(Mefloquine)、アルテスナート(Artesunate))は、滅菌水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、以下同じ)、あるいはジメチルスルホキシド(DMSO、以下同じ)に溶解し、所定濃度の試験液とした。
24穴培養プレートに試験液を5〜10μlずつ加えた。試験液はduplicateあるいはtriplicateにとった。コントロールは滅菌水、DMF、あるいはDMSOを10μl/ウェル加えた。
次に、あらかじめ所定濃度に調製した熱帯熱マラリア原虫培養液を990〜995μlずつ加え、静かにピッペッティングを行い培地に一様に懸濁させた。
培養プレートはCO−O−N(5%、5%、90%)インキュベーター中で72時間培養した後、それぞれのウェルについて薄層塗末標本を作成し、ギムザ染色あるいはDiff−Qick染色した後、顕微鏡下で観察し、試験液添加群及びコントロールのマラリア原虫感染率を算出した。
上記で求めたマラリア原虫感染率から次式によって増殖阻害率を算出し、50%増殖阻害濃度(EC50)を求める。
増殖阻害率(%)={1−(b−a)/(c−a)}×100
a:初期感染率
b:試験液添加時の感染率
c:コントロールの感染率
【0031】
<試験例2>マウスFM3A細胞増殖阻害試験
マウス乳癌由来FM3A細胞の野生株であるF28−7株を用いた。培地はES培地に非働化した胎児牛血清を2%となるように添加し、CO濃度5%、37℃で培養した。この条件下でのFM3A細胞の倍加時間は約2時間であった。
前培養を行い、対数増殖期に入った細胞を5×10cells/mlになるように培地で希釈する。サンプルはマラリア活性測定時に調整したものを用いた。24穴培養プレートにサンプル溶液を5〜10μlずつ加えた(培地等を加えると最終濃度は1×10−4〜1×10−5Mとなった)。化合物はduplicateあるいはtriplicateにとり、コントロールとして滅菌水、DMF、あるいはDMSOを10μl加えたウェルも同時に用意した。次に、用意しておいた培養細胞浮遊液を990〜995μlずつ加え、静かにピペッティングを行い培地に一様に懸濁させた。48時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数をセルコントローラー(CC−108,Toa Medical Electrics社製)で計数し、下記式により増殖率を算出し、50%増殖阻害率(IC50)を算出した。
増殖率(%)={(C−A)/(B−A)}×100
A:初期細胞数
B:2日後のコントロールの細胞数
C:サンプル添加した2日後の細胞数
細胞増殖阻害活性は、サンプルを添加したウェルの細胞数及びコントロールの細胞数から算出する。これにより、サンプルの細胞毒性を評価する。
【0032】
<薬効判定>
そして熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するサンプルのEC50値、IC50値からサンプルの抗マラリア作用を評価する。マラリア原虫に対する選択毒性の指標として用いられる化学療法係数を下記式により算出し、薬効判定を行った。
化学療法係数 =(マウスFM3A細胞に対するサンプルのIC50値) ÷(熱帯熱マラリア原虫に対するサンプルのEC50値)
各サンプルについての熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するサンプルのEC50値、IC50値、並びに化学療法係数を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003740284
表1から明らかなように、本発明化合物は、毒性が低く、極めて優れたマラリア原虫増殖阻害活性を有している。
【0034】
【発明の効果】
本発明化合物又はその塩は抗マラリア原虫作用を有し、マラリア等の原虫類による感染症の予防及び治療薬として有用である。

Claims (15)

  1. 下記の一般化学式(1)で示される新規物質又はその塩。
    Figure 0003740284
    尚、式中、R、R2は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素、R3、R4は一方が水素、他方が水酸基、アシルオキシ基、又は一緒になって形成されるケト基、R5はアシル基又は選択的に離脱可能なエーテル型保護基又は水素である。
  2. 請求項1に示される一般化学式(1)において、R 3、R4の何れかがアシルオキシ基である場合、該アシルオキシ基は、炭素数2〜7の脂肪族アシルオキシ基、炭素数7〜11の芳香族アシルオキシ基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニルオキシ基、アミノ酸の水素が離脱した残基であるカルボニルオキシ基であり、R5がアシル基である場合、該アシル基は、炭素数2〜18の脂肪族アシル基、炭素数7〜11の芳香族アシル基、総炭素数8〜12のアリールアルキルカルボニル基、アミノ酸の水酸基が離脱した残基であるカルボニル基であり、またR5が選択的に離脱可能なエーテル型保護基である場合、該エーテル型保護基は、置換メチルエーテル型保護基、置換ベンジル型保護基である。
  3. フェブリフギンを、アルデヒドあるいはケトン化合物(R COR 2 )とマンニッヒ型の反応をさせることで環化縮合することにより合成されるケトニルフェブリフギン。
    尚、式中、R 、R 2 は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である。
  4. 請求項3において、ケトニルフェブリフギンは、ケトン化合物をアセトンとして合成され、以下の物性値を持つ化合物であるアセトニルフェブリフギン。
    EI-MS m/z 341[M]
    H-NMR(500MHz,CDCl ) δ 8.30(1H,dd,J=1.3,7.9), 8.03(1H,s), 7.77(1H,dt,J=1.3,7.6), 7.72(1H,br.d,J=7.9), 7.49(1H,dt,J=1.3,7.6), 6.12(1H,s), 3.52(1H,m), 3.12(1H,dt,J=11.8,3.9), 3.04(1H,dd,J=3.9,14.1), 2.77(1H,ddd,J=3.9,7.1,10.2), 2.57(1H,dd,J=10.6,14.9), 2.35(1H,dt,J=3.4,10.6), 2.02,1.83,1.69(each lH,m), 1.17,1.14(each 3H,s)
  5. 請求項3において、ケトニルフェブリフギンは、アルデヒド化合物をホルムアルデヒドとして合成され、以下の物性値を持つ化合物であるメタナリルフェブリフギン。
    EI-MS 313[M]
    H-NMR(CDCl ,500MHz) δ 8.27(1H,dd,J=1.1,8.1), 7.86(1H,s), 7.76(1H,ddd,J=1.5,7.0,8.1), 7.70(1H,dd,J=0.7,8.4), 7.49(1H,ddd,J=1.5,7.0,8.4), 5.71(1H,br.dd,J=6.5, 11.5), 3.33(1H,dd,J=6.6,10.6), 3.16(1H,dd,J=3.3,15.4), 2.92(1H,br.d,J=11.4), 2.80(1H,t,J=11.4), 2.48(1H,dd,J=11.4,15.0), 2.25(1H,ddd,J=3.7,8.1,11.7), 2.17(1H,dt,J=2.9,12.1), 2.06(1H,br.dq,J=12.5,3.2), 1.77(1H,m), 1.71(1H,dt,J=12.5,6.4)
  6. イソフェブリフギンを、アルデヒドあるいはケトン化合物(R COR 2 )とマンニッヒ型の反応をさせることで環化縮合することにより合成されるケトニルイソフェブリフギン。
    尚、式中、R 、R 2 は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である。
  7. 請求項6において、ケトニルイソフェブリフギンは、ケトン化合物をアセトンとして合成され、以下の物性値を持つ化合物であるアセトニルイソフェブリフギン。
    EI-MS m/z 341[M]
    高分解能 EI-MS m/z 341.1721(m/z 341.1739 calcd. for 19 23
    CD(MeOH) λ max( Δε ) 308.0nm(3.168), 264.2nm(3.366), 230.6nm(6.053), 199.8nm(-0.8909)
    UV(MeOH) λ max( ε ) 315.8nm(1841), 304.0nm(2349), 265.4nm(5517), 225.6nm(19097), 201.2nm(17298), 193.2nm(14648)
    IR(neat)3470(OH), 1726, 1680(C=O)cm −1
    [ α ] +212.06 cO.232,CHCl )
    H-NMR(600MHz,CDCl ) δ 8.3(1H,ddd,J=0.8,1.3,7.9,H-5), 8.06(1H,s,H-2), 7.77(1H,ddd,J=1.3,6.9,8.5,H-7), 7.72(1H,ddd,J=0.8,1.6,8.5,H-8), 7.49(1H,ddd,J=1.6,6.9,7.9,H-6), 6.05(1H,s,H-7'), 3.63(1H,br.s,w =10,H-1'), 3.18(1H,dd,J=1.1,11.1,15.9,H-9'), 3.16(1H,br.d,J=8.0,H-4'), 2.99(1H,ddd,J=1.8,4.8,11.1,H-10'), 2.56(1H,dd,J=4.4,15.6,H-9'), 2.32(1H,dt,J=3.0,10.9,H-4'), 1.94(1H,br.dd,J=3.8,13.8,H-2'), 1.91(1H,br.tq,J=4.0,13.0,H-3'), 1.66(1H,br.d,J=13.8,H-3'), 1.53(1H,ddt,J=2.5,5.0,13.3,H-2'), 1.16(3H,s,H-12'), 1.13(3H,s,H-11')
    13 C-NMR(150MHz,CDCl ) δ 203.4(s,C-8'), 161.6(s,C-4), 146.3(s,C-8), 146.2(d,C-2), 134.7(d,C-7), 127.5(d,C-8), 127.3(d,C-5), 127.1(d,C-6), 121.6(s,C-4), 68.1(d,C-1'), 66.1(d,C-7'), 63.8(s,C-6'), 59.9(d,C-10'), 45.8(t,C-4'), 42.2(t,C-9'), 30.7(t,C-2'), 25.1(q,C-12'), 20.2(t,C-3'), 15.1(q,C-11').
  8. イソフェブリフギンを、アルデヒドあるいはケトン化合物(R COR 2 )とマンニッヒ型の反応をさせることで環化縮合し、さらに還元することにより合成される8’−ヒドロキシ−ケトニルイソフェブリフギン。
    尚、式中、R 、R 2 は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である。
  9. 請求項8において、8’−ヒドロキシ−ケトニルイソフェブリフギンは、イソフェブリフギンをアセトンと反応させることにより合成される8’−ヒドロキシ−アセトニルイソフェブリフギン。
  10. 請求項8または9において、以下の物性値を持つ8’−ヒドロキシ−アセトニルイソフェブリフギン。
    H-NMR(CDCl ,300MHz) δ 9.16(s), 8.32(1H,dd,J=8.0,1.4), 7.75(1H,dd,J=8.5,1.6), 7.66(1H,d,J=8.0), 7.49(1H,l,J=8.0), 5.14(1H,d,J=2.2), 4.31(1H,m), 3.60(1H,m), 3.04(1H,m), 2.94(1H,m), 2.64(1H,m), 2.44(1H,dt,J=14.8,3.0), 2.29(1H,dt,J=11.0,3.0), 1.92(1H,m), 1.35(3H,s), 1.03(3H,s).
  11. イソフェブリフギンを、アルデヒドあるいはケトン化合物(R COR 2 )とマンニッ ヒ型の反応をさせることで環化縮合し、さらにアセチル化することにより合成される1’−アセチル−ケトニルイソフェブリフギン。
    尚、式中、R 、R 2 は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である。
  12. 請求項11において、1’−アセチル−ケトニルイソフェブリフギンは、ケトン化合物をアセトンとして合成され、以下の物性値を持つ化合物である1’−アセチル−アセトニルイソフェブリフギン。
    EI-MS 383[M]
    H-NMR(CDCl ,500MHz) δ 8.30(1H, br.d, J=8.3), 8.03(1H, s), 7.78(1H, br.t, J=8.3), 7.72(1H, d, J=8.3), 7.49(1H, t, J=8.3), 6.18(1H, s), 4.95(1H, dt, J=6.0,2.9), 3.40(1H, br.d, J=11.9), 3.10(1H,m), 2.83(1H,dd,J=11.9,13.0), 2.67(1H,br.t,J=8.0), 2.47(1H,dd,J=3.6,14.8), 2.14,1.25,1.19(each 3H,s)
  13. イソフェブリフギンを、アルデヒドあるいはケトン化合物(R COR 2 )とマンニッヒ型の反応をさせることで環化縮合し、さらにアセチル化し、さらに還元することにより合成される8’−ヒドロキシ−アセチルケトニルイソフェブリフギン。
    尚、式中、R 、R 2 は同一又は相異なっている水素又は炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の脂肪族炭化水素である。
  14. 請求項13において、8’−ヒドロキシ−アセチルケトニルイソフェブリフギンはケトン化合物をアセトンとして合成され、以下の物性値を持つ化合物である8’−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン。
    EI-MS 385[M]
    H-NMR(CDCl ,300MHz) δ 9.97(1H,s), 8.31(1H,ddd,J=0.4,1.7,7.8), 7.78(1H,ddd,J=1.7,6.8,8.4), 7.71(1H,ddd,J=1.0,8.4), 7.50(1H,ddd,J=1.3,6.7,8.4), 4.93(1H,br.s,WH=7.6), 4.84(1H,dd,J=1.5,2.5), 3.98(1H,br.t,J=3.4), 3.09(1H,m), 3.05(1H,m), 2.20(3H,s), 1.49(3H,s), 1.14(3H,s)
  15. 請求項13において、8’−ヒドロキシ−アセチルケトニルイソフェブリフギンは、ケトン化合物をアセトンとして合成され、以下の物性値を持つ化合物である8’−ヒドロキシ−アセチルアセトニルイソフェブリフギン。
    EI-MS 385[M]
    H-NMR(CDCl ,300MHz) δ 9.10(1H,s), 8.32(1H,dd,J=1.3,8.4), 7.75(1H,dd,J=1.6,6.7), 7.66(1H,br.d,J=7.4), 7.49(1H,ddd,J=1.3,6.7,8.0), 5.28(1H,d,J=2.1), 4.96(1H,br.d,J=3.2), 4.31(1H,br.t,J=3.2), 3.23(1H,br.d,J=11.6), 3.07(1H,m), 2.16(3H,s), 1.38(3H,s), 1.04(3H,s)
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