JP3739688B2 - 化粧塗装板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、化粧塗装板の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、建築用の外装材や内装材として有用なセメント窯業系無機質板の化粧塗装品の製造において、模様むらの発生を抑え、窯変調の外観として、高デザイン性と長期耐久性とを実現することのできる、新しい製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セメント窯業系の無機質基板の表面に化粧塗装を施したものが建築用の外装材や内装材として用いられてきている。これらの化粧塗装板としては、従来では、無機質基板の表面に、顔料を含有した樹脂等によるカラー着色層を塗装したものや、カラー着色層の上に別の着色層を塗装したもの、さらにはその上にクリアー塗装を施したものが知られている。
【0003】
なかでも、カラー着色層の上に別の着色層を塗装したものや、その最上層としてクリアー塗装を施したものが、外観デザイン性や長期耐久性の点において良好であるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のとおりの良好であるとされている従来のセメント系無機質基材化粧塗装板ではあっても、多層塗装の界面、特にカラー着色層とその上の別の着色層と界面のなじみが良好でなく、模様むらが生じ、外観性に問題が生じる場合があった。
【0005】
このような問題について、従来では抜本的に解決することができないでいた。
【0006】
そこで、この出願の発明は、模様むらの発生を抑え、高デザイン性と長期耐久性とを簡便に実現することのできる、セメント系無機質化粧塗装板の製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、セメント系無機質基板の表面にカラー着色層および模様層を順次塗装することによる化粧塗装板の製造方法であって、カラー着色層の対水接触角を60〜110度の範囲とし、模様層の形成材は無機シリコン系塗料でありその表面張力が10〜30mN/mの範囲のものとすることを特徴とする化粧塗装板の製造方法を提供する。
【0008】
また、この出願の発明は、第2には、上記第1の発明の方法において、カラー着色層には、平均粒径100〜600μmの範囲の骨材を含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法を提供する。
【0009】
そして、この出願の発明は、第3には、上記第1または第2の発明の方法において、無機シリコン系塗料による模様層には、フッ素系のレベリング剤を全体量の0.1〜2.0重量%の割合で含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法を提供する。
【0010】
さらに、この出願の発明は、第4には、上記第1ないし第3の発明のいずれかの方法において、模様層には、さらにクリアー塗装を施すことを特徴とする化粧塗装板の製造方法を提供し、第5には、クリアー塗装層には、平均粒径10〜100μmの範囲の骨材を含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、その実施の形態について説明する。
【0012】
まず、この出願の発明の方法が対象とするセメント系無機質基板については、セメントを主成分として、シリカやフライアッシュ等の無機成分、さらには必要に応じてパルプ等の補強短繊維を配合した各種組成物の水性混練物や水性スラリーより、押出成形、注型成形、あるいは抄造法等の各種方法で成形され養生硬化された、板状、スラブ状、棒状等の各種形状の成形体であってよい。これらの各種の成形体を便宣的に「基板」と呼ぶことができる。
【0013】
組成割合や水の量、そして成形方法等は公知のものをはじめとして各種の形態が採用され得る。
【0014】
たとえば、その固体成分の組成としては、セメント成分40〜90重量%、シリカ、フライアッシュ等の他の無機成分10〜40重量%、補強短繊維20重量%以下等が例示されることになる。
【0015】
そして、この出願の発明においては、化粧塗装を施すに際し、あらかじめシリコン系やアクリル系等の防水シーラーを塗布しておいてもよい。
【0016】
たとえば、図1に例示したように、以上のとおりのセメント系無機質基板(1)に対しては、この出願の発明では、まず、カラー着色層(2)が塗装され、次いでその上に模様層(3)が塗装される。さらに必要に応じて、模様層(3)の上にはクリアー塗装層(4)が設けられる。このような多層塗膜の構成において、この出願の第1の発明では、カラー着色層(2)の対水接触角が60〜110度になるようにする。また、第2の発明においては、模様層(3)の形成材はその表面張力が10〜30mN/mの範囲のものとする。
【0017】
カラー着色層(2)については、顔料等を含有する樹脂として各種の塗料であってよく、アクリル樹脂系、ウレタン系、あるいは無機系等の各種のものが使用される。市販品であってもよい。
【0018】
ただ、これら着色塗料によって形成されるカラー着色層(2)の対水接触角は上記のとおりの60〜110度の範囲となるようにする。この対水接触角は、カラー着色層(2)の上に塗装される模様層(3)との界面でのなじみを規定しており、上記範囲にある場合には、模様層(3)のむらの発生は抑えられ、外観性を良好とする。60〜110度の接触角の範囲を外れる場合には、模様層(3)は、均一に広がらず、模様むらを生じることになる。
【0019】
模様層(3)形成時の塗料の広がり方を制御するためには、カラー着色層(2)を塗装するための塗料に骨材を含有させておくことが有効でもある。
【0020】
骨材としては、たとえばシリカサンドやシリカのカラーサンド、あるいはビーズ等が用いられるが、その平均粒径100〜600μmの範囲にあることが好ましい。
【0022】
同様に模様むらの発生を抑えるためには、模様層(3)を形成することになる塗装は、その表面張力が上記のとおりの10〜30mN/mの範囲にあるものとすることが望ましい。模様層(3)を形成する塗料も、着色顔料等を含有する各種の有機系または無機系の樹脂や硬化性組成物からなるものとすることができるが、なかでも、上記の表面張力の範囲を持つ塗料として、出願人らがすでに提案している次の表1の組成からなる無機シリコン系塗料が好適なものの一つとして例示される。
【0023】
【表1】
【0024】
この無機シリコン系塗料による模様層(3)の形成に際しては、模様層(3)にフッ素系レベリング剤が0.1〜2.0重量%の割合で含有されるようにすることが、カラー着色層(2)と模様層(3)の界面近傍での模様むらの発生をさらに効果的に抑えるのに有効でもある。
【0025】
フッ素系レベリング剤は市販品をはじめとして適宜に入手可能なものでよい。
【0026】
上記の無機シリコン系塗料は、クリアー塗装においても有効である。クリアー塗装には、アクリル系等の各種の塗料が使用できるが、無機シリコン系塗料の使用によって、模様層(3)のむらが若干生じても、これをより目立たなくすることと、長期の耐久性(耐候性)を向上させることができ、さらにクリアー塗装のための塗料に平均粒径10〜100μmの範囲の骨材を含有させることによって、この効果はより顕著になる。
【0027】
なお、上記の各層の厚みや塗布量については特に限定的ではなく、塗装目的、用途、そして塗料の種類等に応じて定めることができる。一般的には、塗布量として、カラー着色層(2)の場合には、50〜200g/m2、模様層(3)においては、5〜50g/m2、クリアー塗装層(4)では、1〜10g/m2程度を考慮することができる。
【0028】
また、骨材の含有量については、塗膜固形重量について、一般的には0.5〜10重量%程度とすることが考慮される。
【0029】
たとえば以上例示したとおりの形状によって、この出願の発明では、模様層(3)のむらを抑え、高いデザイン性と長期耐久性が実現されることになる。
【0030】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【0031】
【実施例】
<実施例1〜7>
表2に示したとおりの多層塗膜を有する化粧塗装板を製造した。
【0032】
セメント系無機質基材としては、固形分組成が、普通ポルトランドセメント60重量%、シリカ30重量%、パルプ短繊維10重量%の原料材より成形したものを用いた。アクリル系防水シーラー処理を施した後に、カラー着色層、模様層、そしてクリア塗装層を塗装形成した。
【0033】
得られた化粧塗装板について、模様層のむらの発生、そして外観性について目視で評価した。その結果も表2に示した。また、表3には比較のための例を示した。
【0034】
なお、塗料材料、塗装条件および評価の基準は次のとおりとした。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
<実施例8〜10>
上記の実施例1、2および4について、フッ素系レベリング剤として、大日本インキ(株)製、「メガファック」(品番:F−474)を模様層に含有させるようにした。その結果を比較例とともに表4に示した。
【0038】
【表4】
【0039】
上記の結果より、この出願の発明の実施例においては優れた効果が得られることが確認される。
【0040】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、この出願の発明によって、模様むらの発生を抑え、高デザイン性と長期耐久性とを簡便に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の化粧塗装板についてその構成を例示した断面図である。
【符号の説明】
1 セメント系無機質基板
2 カラー着色層
3 模様層
4 クリアー塗装層
Claims (5)
- セメント系無機質基板の表面にカラー着色層および模様層を順次塗装することによる化粧塗装板の製造方法であって、カラー着色層の対水接触角を60〜110度の範囲とし、模様層の形成材は無機シリコン系塗料でありその表面張力が10〜30mN/mの範囲のものとすることを特徴とする化粧塗装板の製造方法。
- 請求項1の方法において、カラー着色層には、平均粒径100〜600μmの範囲の骨材を含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法。
- 請求項1または2の方法において、無機シリコン系塗料による模様層にはフッ素系のレベリング剤を全体量の0.1〜2.0重量%の割合で含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれかの方法において、模様層には、さらにクリアー塗装を施すことを特徴とする化粧塗装板の製造方法。
- 請求項4の方法において、クリアー塗装層には、平均粒径10〜100μmの範囲の骨材を含有させることを特徴とする化粧塗装板の製造方法。
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