JP3739455B2 - 高炉出銑樋用吹付補修材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉出銑樋の補修に使用される吹付補修材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉出銑樋に限らず一般に熱間補修材として用いられる吹付材は、リン酸系あるいはケイ酸系の結合剤を用いたものが多用されていたが、これらの結合剤を用いた吹付材は、スラグが浸透すると低融点化合物を生成して溶損するという欠点があり、その耐用性には限界があった。その解決策として炭素質材料を添加する方法があるが、より積極的にカーボンボンドを形成させ、強度を発現させると共にスラグ浸透を防止する目的でピッチやフェノール樹脂といった有機系の結合剤を使用した補修材が提案されている。
【0003】
このピッチやフェノール樹脂を単独で使用した場合、施工時の軟化、流動、発煙などに問題点が指摘され、その改良としてピッチとフェノール樹脂を併用する不定形耐火物が開発されている(例えば特開昭60-235772号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
高炉出銑樋の熱間補修材として使用される吹付材は、その耐用性が重要であることは当然として、要補修面への確実な付着と付着した補修材が剥離しないことが求められる。
【0005】
吹付補修材に粉粒状のフェノール樹脂とピッチを添加すると、これらの結合剤は一旦軟化した後に硬化し、最終的にカーボンボンドを形成する。この結果、施工体の強度が発現すると共にスラグ浸透が防止されるため優れた耐用性を得ることができる。しかしこれらの結合剤を高炉出銑樋用吹付材に適用した場合は、リバウンドロスが発生し易くなり付着率が低下するため結合剤の特徴を十分に生かし切れないという問題を生じる。即ち、高炉出銑樋の保有熱の温度は、転炉や取鍋などに比べ低いため施工時における結合剤の軟化、硬化速度が緩慢となり、この結果付着率が低下することになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは結合剤にピッチとフェノール樹脂を用いた高炉出銑樋用吹付補修材の付着性を改善するため検討した結果、塩化ナトリウムを添加するとスラリー状の補修材が瞬時にゲル化することにより付着性が著しく向上することを見いだし、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は、アルミナ質耐火材料は、 Al 2 O 3 成分を 70 重量%以上含有するもので、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、アルミナ・シリカ質材料及びアルミニウムマグネシウムスピネルから選ばれた材料の1種あるいは2種以上の混合物からなり、該アルミナ質耐火材料 100 重量部に対し、軟化点 110 〜 350 ℃の粉粒状ピッチを1〜 15 重量部、粉粒状の熱硬化性フェノール樹脂を2〜 10 重量部、塩化ナトリウムを 0.5 〜 10 重量部、活性アルミナを1〜 10 重量部及び消石灰を 0.1 〜3重量部が含有することを特徴とする高炉出銑樋用吹付補修材である。ここで、この組成物中のアルミナ質耐火材料 100 重量部に対して、更に繊維径5〜 10 μ m 、繊維長 0.5 〜 10mm の炭素繊維 0.01 〜 0.5 重量部が含有し、その炭素繊維の繊維形状がカール状のものが用いられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアルミナ質耐火材料は、Al2O3成分を70重量%以上含有するもので電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト等の他にムライトなどのアルミナ・シリカ質材料やアルミニウムマグネシウムスピネルなどの材料の1種あるいは2種以上を使用する。また、アルミナ質耐火材料以外にスラグに濡れにくい黒鉛や炭化珪素さらに炭素の酸化防止剤としてアルミニウム、シリコン、マグネシウムなどの金属類を単独、混合あるいは合金として併用することもできる。
【0008】
本発明に使用するピッチは石油系、石炭系ピッチ、その他ナフタレン等を原料とした合成ピッチいずれのものも使用できる。このピッチは軟化点110〜350℃好ましくは150〜350℃のものを使用し、その使用量はアルミナ質耐火材料100重量部に対して1〜15重量部とする。軟化点が110℃未満では揮発分が多く吹付け時に発煙が激しく、反対に350℃より高い場合は、ピッチの軟化時の粘性が高すぎるため均一な結合強度が得られず、施工体の耐用性が劣ることになる。また、このピッチの使用量が1重量部未満ではカーボンボンドの形成が不十分であり、15重量部を越すと耐食性が低下し、いずれも好ましくない。このピッチは粒状で使用するのがよく、その大部分を0.1〜1mmの大きさとするのが望ましい。
【0009】
フェノール樹脂は粉粒状の熱硬化性フェノール樹脂をアルミナ質耐火材料100重量部に対し2〜10重量部用いる。その使用量が2重量部未満では材料の付着性が劣り、10重量部を越えると特にフェノール樹脂の硬化収縮により補修面での接着性が低下するため好ましくない。ここで使用するフェノール樹脂は粉状または粒状で、その大部分を0.5mm以下の大きさとするのが望ましい。通常は熱硬化性のレゾール型を用いるが、ノボラック型のものをヘキサメチレンテトラミンのような硬化剤と共に用いることもできる。
【0010】
本発明の特徴の一つである塩化ナトリウムは、材料を水と混ぜたときに材料のゲル化を促進し付着性を良好にする。その添加量はアルミナ質耐火材料100重量部に対して0.5〜10重量部である。その添加量が0.5重量部未満では材料のゲル化が不十分となり、10重量部を越えると低融点化合物が増加し施工体の耐食性が低下することになり好ましくない。
【0011】
塩化ナトリウム添加によるゲル化現象をより効果的に発現させるために、活性アルミナと消石灰とを一緒に添加してやるのが望ましい。活性アルミナとは水酸化アルミニウムを仮焼したもので、部分的に水酸基が残っており反応性に富むものである。このほかに水和性に富むρ-アルミナも本発明の活性アルミナとして使用することができる。活性アルミナの添加量はアルミナ質耐火材料100重量部に対して1〜10重量部である。添加量が1重量部未満では添加効果が少なく、10重量部を越えると施工体の焼成収縮が大きくなり、剥落による耐用性の低下を招くため好ましくない。消石灰はCa(OH)2を主成分とするものでその添加量は、アルミナ質耐火材料100重量部に対して0.1〜3重量部である。添加量が0.1重量部未満では添加効果が少なく、3重量部を越えると低融点化合物の増加により耐食性が低下する。
【0012】
本発明では特性向上のためにさらに炭素繊維を使用することができる。炭素繊維は補修材の剥離防止と耐スポーリング性を付与することに加えて、ピッチの拡散を助け、均一で強固なカーボンボンドの形成に寄与するものである。この炭素繊維は繊維径5〜10μm、繊維長0.5〜10mmのもので、アクリロニトリル、レーヨン等の有機繊維系、石油・石炭等のピッチ系、その他市販の炭素繊維が使用できる。繊維形状は直毛状のものでもカールしたものでもいずれも使用できるが、カールしたものは吹付けられた際に繊維同士の絡み合いが生ずるので補修体の強度向上の面から好ましい。炭素繊維の使用量はアルミナ質耐火材料100重量部に対して0.01〜0.5重量部である。この量が0.01重量部未満では繊維の添加効果が得られず、0.5重量部を越えると吹付機での吹付けが困難となる。
【0013】
一般的に吹付補修には乾式吹付補修方法が採用されている。この方法では吹付材料はホッパーより吹付機に空気圧送され、吹付機先端において吹付材料と水とが混合されスラリー状となって補修箇所に吹付けられ付着する。
【0014】
本発明では吹付機の先端において材料と水とが混合された際に、塩化ナトリウムの作用により材料のゲル化が瞬時に起こり、補修箇所に吹付けられる。吹付けられた材料はゲル状となっているため、流下することなく効率よく補修面に付着する。この場合に材料中に活性アルミナと消石灰が含まれていると、ゲル化現象はより活発に行われるようになり付着性はさらに向上することになる。
【0015】
添加されたフェノール樹脂は材料が補修箇所に付着した後、高炉出銑樋の保有熱で軟化溶融し耐火材料と共に補修面に接着しながら硬化する。またピッチも施工体の昇温に伴い軟化流動しながら四方に拡散する。ここでフェノール樹脂の硬化はピツチよりも速く進行しているため、ピッチの軟化流動による材料の流下を防ぐことができる。軟化拡散したピッチは、この後硬化しながらカーボンボンドを形成し、補修面との接着性を向上させるとともに施工体の強度や耐食性を向上させる。
【0016】
本発明の補修材中に炭素繊維が添加されると、ピッチは軟化した際に炭素繊維の表面を伝わって四方に均一に拡散し、硬化する。この結果、施工体内に均一なカーボンボンドが形成される。また、炭素繊維自身は剥離の防止と共に、使用時における耐スポーリング性の向上をもたらす。さらに、炭素繊維としてカールしたものを用いれば施工体中で繊維の絡み合いが生じ、ピッチと共により強固なカーボンボンドを形成する。
【0017】
【実施例】
アルミナ−炭化珪素−炭素系流し込み材の成形体を800℃に加熱した後、この垂直壁に本発明の吹付補修材を通常の補修条件で吹付けを行い、吹付け後の材料の付着率を観測した結果と、800℃で吹付けした施工体の剪断力で測定した接着強さ及びその施工体から切り出した試料の物性、同じ施工体から60×60×100mm形状に切り出した試料を用いた耐食試験を回転式スラグ試験機を用いてCaO/SiO2=1.2の高炉スラグで、1550〜1600℃で5hr行なった際の溶損量と共に表1に示した。同様に試験した比較例も表2に示す。
【0018】
使用したピッチのうち、ピッチ1、ピッチ2、ピッチ3はそれぞれ軟化点が95℃、280℃、375℃以上のものである。フェノール樹脂については、フェノール樹脂1はレゾール型、フェノール樹脂2はノボラック型(ヘキサメチレンテトラミン併用)のものである。炭素繊維はいずれもピッチ系で繊維径13μm、繊維長0.7mmの直毛状のものおよび繊維径18μm、繊維長3mmのカールしたものを使用した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
表1の実施例については吹付施工の際の付着率は、良好な結果を示しており、層状剥離やリバウンド、流下さらに施工体表面の亀甲状亀裂などは全く見られなかった。これに対して表2の比較例では、比較例1、3以外は全て付着率の低い結果を示した。さらに層状剥離(比較例2,4)、リバウンド(比較例2,5,9)、流下(比較例4,7,8)、亀甲状亀裂(比較例2,4)などの発生も見られた。
【0022】
さらに本発明の実施例では物性、耐食性共に良好な結果を示したのに対し、比較例では全体的に物性、耐食性共に実施例より劣り、特に従来品である比較例1の耐食性は著しく低い結果を示した。
【0023】
【発明の効果】
高炉出先樋は比較的保有熱が低く、吹付補修材の結合剤にピッチと熱硬化性フェノール樹脂を用いた場合、付着性が低下するという問題が生ずるが、本発明では塩化ナトリウムを添加することにより、吹付材を瞬時にゲル化させることで付着性を大幅に向上させることができる。このことにより結合剤であるピッチと熱硬化性フェノール樹脂の特徴が最大限に発現され、カーボンボンドによって強固に結合され耐食性に優れた吹付施工体を形成させることができる。この結果、高炉出銑樋を本発明の吹付補修材で施工した場合、従来のリン酸系やケイ酸系の結合剤を用いた吹付補修材に比較して優れた耐用性を示すことになる。
Claims (3)
- アルミナ質耐火材料は、Al2O3成分を70重量%以上含有するもので、電融アルミナ、焼結アルミナ、ボーキサイト、アルミナ・シリカ質材料及びアルミニウムマグネシウムスピネルから選ばれた材料の1種あるいは2種以上の混合物からなり、該アルミナ質耐火材料100重量部に対し、軟化点110〜350℃の粉粒状ピッチを1〜15重量部、粉粒状の熱硬化性フェノール樹脂を2〜10重量部、塩化ナトリウムを0.5〜10重量部、活性アルミナを1〜10重量部及び消石灰を0.1〜3重量部が含有することを特徴とする高炉出銑樋用吹付補修材。
- 請求項1記載の組成物中のアルミナ質耐火材料 100 重量部に対して、更に繊維径5〜10μm、繊維長0.5〜10mmの炭素繊維0.01〜0.5重量部が含有することを特徴とする高炉出銑樋用吹付補修材。
- 炭素繊維は、繊維形状がカール状のものである請求項2記載の高炉出銑樋用吹付補修材。
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1995
- 1995-12-15 JP JP32690195A patent/JP3739455B2/ja not_active Expired - Fee Related
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