JP3739433B2 - シアンイミノ基含有ピロロ[3,4−c]ピロール - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、新規な1−ケト−4−シアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールおよび1、4−ジシアンイミノピロロ[3,4−c]ピロール、それらの製造方法ならびに高分子有機材料を着色するためのそれらの使用に関する。
【0002】
1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールは数年来公知であり、たとえば米国特許第4415685号および第4579949号明細書に、有用な顔料として開示されている。多数のこの種の顔料が、高性能顔料として実用的に受け入れられている。置換基の種類によって、ポリマー溶解性染料または顔料として使用しうるN−置換1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールが米国特許第4585878号明細書に開示されている。これらの化合物を、基質として使用されるポリマーの中に溶解すると、特に高い蛍光を発現する。しかしながら、米国特許第5017706号明細書に開示されているN−未置換1−ケト−4−イミノピロロ[3,4−c]ピロールも同じ性質を有している。
【0003】
本発明は、新規な1−ケト−4−シアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールおよび1、4−ジシアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールを提供する。これら新規化合物はきわめて優れた特性を有し、その特性の故に、着色材たとえば高分子有機材料の着色用の顔料またはポリマー溶解性染料としてきわめて好適である。ケト基を、1つまたは複数のシアンイミノ基で置換して得られるこれらの新規化合物は、とりわけ色の深色シフト(bathochromic change) によって、かつまた、誠に驚くべきことながら、高度の固相蛍光(solid-state fluorescence)によって特徴づけられる。
【0004】
したがって、本発明は下記式のピロロ[3,4−c]ピロールに関する。
【化11】
式中、
AとBとは互いに独立的に下記式のいずれかの基を意味する:
【化12】
〔式中、
R1とR2とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1-C18アルキル、C1-C18アルコキシ、C1-C18アルキルメルカプト、C1-C18アルキルアミノ、−CN、−NO2 、フェニル、トリフルオロメチル、C5-C6 シクロアルキル、−C=N−( C1− C18アルキル)、
【化13】
イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペラジニル、ピロリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、モルホルニル、ピペリジニルまたはピロリジニルであり、
R3とR4とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1-C6 アルキル、C1-C18アルコキシまたは−CNであり、
R5とR6とは互いに独立的に水素、ハロゲンまたはC1-C6 アルキルであり、
Gは -CH2-、 -CH(CH3)- 、-C(CH3)2-、 -CH=N-, -N=N-, -O -, -S- 、 -SO- 、 -SO2-または -NR7-(ここにおいてR7は水素またはC1-C6 アルキルである)である〕。
【0005】
DとEとは互いに独立的に水素、C1-C18アルキル、C2-C4 アルケニル、C7-C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1-C6 アルキル、C1 C4 アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニル、−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8(ここにおいて、R8はベンジル、ピペリジルまたは下記式のいずれかの基
【化14】
である)である、
XとYとはN−CNまたはOである、ただしXおよびYの少なくとも1つはN−CNでなければならない。
置換分のハロゲンは、一般にヨウ素、フッ素、好ましくは臭素、最も好ましくは塩素である。
【0006】
C1-C6 アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−アミル、tert−アミル、ヘキシルであり、C1-C18アルキルの例は、さらに加えてヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどである。
C1-C4 アルコキシの例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシであり、そしてC1-C18アルコキシの例はさらに加えてヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシなどである。
C1-C18アルキルメルカプトの例は、メチルメルカプト、エチルメルカプト、プロピルメルカプト、ブチルメルカプト、オクチルメルカプト、デシルメルカプト、ヘキサデシルメルカプトまたはオクタデシルメルカプトなどである。
C1-C18アルキルアミノの例は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ヘキシルアミノ、デシルアミノ、ヘキサデシルアミノ、オクタデシルアミノなどである。
C3-C6 シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロペンチルおよび好ましくはシクロヘキシルである。
C2-C4 アルケニルの例は、ビニル、アリル、メタリル、2−ブテニルなどである。
C7-C10アラールキルの例は、1−フェニルエチル、ベンゼン核においてメチルまたはエチルによって置換された1、1−ジメチルベンジル、または好ましくはベンジルである。
COO−C1-C5 アルキルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、tert−アミルオキシカルボニルまたは好ましくはtert−ブトキシカルボニルである。
【0007】
特に興味ある式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、式中のAおよびBが互いに独立的に下記式の基であるものである。
【化15】
[式中、
R1とR2とは互いに独立的に水素、塩素、臭素、C1-C4 アルキル、C1-C6 アルコキシ、C1-C6 アルキルアミノ、CNまたはフェニルであり、
R3とR4とは水素であり、そして
Gは -O- 、 -NR7- (ここにおいて、R7は水素、メチルまたはエチルである)、−N=N−または- SO2-である]。
AとBとは同種であるのが好ましく、そしてAおよびBが下記式の基であるのが特に好ましい
【化16】
(式中、R1とR2とは互いに独立的に水素、メチル、tert−ブチル、塩素、臭素、CNまたはフェニルである)。R2は好ましくは水素である。
式I中のDとEとが同種であり、そしてC1-C4 アルキル、置換されていないか、または塩素置換されたフェニル、アリルまたはベンジルであるか、または下記式
【化17】
のいずれかの基である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールが好ましい。
好ましくは、DとEとはC1-C4 アルキルまたは基−COO−C(CH3)3 であり、そしてXとYとはN−CNである。
【0008】
式I中のA、B、XおよびYが上記に定義した通りであり、そしてDとEとが互いに独立的に水素、C1-C18アルキル、C2-C4 アルケニル、C7-C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1-C6 アルキル、C1-C4 アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニルである新規な式Iのピロロ[3,4−c]ピロールの製造は、S.Huenig 等によってAngew.Chem. 第96巻、第437頁(1984年)および第102巻、第220頁(1990年)に記載された方法に類似する方法によってきわめて高収率で実施することができる。すなわち、式
【化18】
(式中、AとBとは前記に定義した通りであり、そしてDとEとはすぐ前に記載した意味を有する)のピロロ[3,4−c]ピロールを、下記式
【化19】
(式中、R9はC1-C6 アルキルである)のいずれかの化合物と所望のモル比で、非プロトン有機溶剤中において、触媒としてのルイス酸の存在下において10乃至150℃、好ましくは50乃至100℃の温度範囲において反応させる。
反応時間は、置換基の種類によって、約30分乃至約200時間の範囲で変わりうる。
Huenig 等によって記載された方法は、可溶性の出発物質の反応のみに関する。不溶性のジケトピロロ[3,4−c]ピロールから出発してもその反応が成功的に進行しうるであろうことは予期されていなかった。したがって、本発明はこの新規な方法にも関する。
シアンイミノ基を供給する化合物III またはIVは、好ましくはピロロピロールを基準にして約10乃至20倍過剰で使用される。この過剰は好ましいものである。
触媒として適当なルイス酸の例は、CsF,BF3 ,ZrCl4 ,および好ましくは、TiCl4 である。
【0009】
適当な溶剤を下記に例示する。
エーテル類たとえばテトラヒドロフランまたはジオキサン、またはグリコールエーテル類たとえばエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル;極性非プロトン溶剤たとえばアセトニトリル、ベンゾニトリル、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、ハロゲン化脂肪族または芳香族炭化水素類たとえばトリクロロエタン、ベンゼンまたはアルキル−、アルコキシ−またはハロゲンによって置換されたベンゼンたとえばトルエン、キシレン、アニソールまたはクロロベンゼン;あるいは芳香族性N−複素環式化合物たとえばピリジン、ピコリンまたはキノリン。好ましい溶剤の例は、テトラヒドロフラン、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンである。これら例示した溶剤は混合物として使用することもできる。反応体1重量部当り溶剤を5乃至20重量部使用するのが適当である。
【0010】
式IIのピロロ[3,4−c]ピロールは公知化合物である。新規化合物の場合、標準的公知方法で製造することができる。式I中のDおよび/またはEが−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、公知方法と類似の方法によって、都合良くは、DおよびEが水素である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールを、所望のモル比で、式
E−O−E (V)
のジカーボネトと反応させるか、または式Vのジカーボネートと式
D−O−D (VI)
〔上記2つの式において、EとDとは互いに独立的に−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8である(ここにおいて、R8は上記の意味を有する)〕のジカーボネートとの1:1混合物と反応させることによって製造することができる。
式III、 IV、 V、VIの化合物は公知化合物であり、市販されている。
【0011】
置換基の種類ならびに被着色ポリマーの種類によっては、式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、米国特許第4585878号明細書に開示された1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールと同様に、たとえばポリスチレン、ポリアミド、ABS、および好ましくは線状ポリエステル用のポリマー溶解性染料として、あるいはまた高分子有機材料用の顔料として使用することができる。1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールと比較して、本発明のピロロ[3,4−c]ピロールは特にその驚くべき程に高い固相蛍光ならびに色彩的に興味ある色の深色シフトによって特徴づけられる。
本新規ポリマー溶解性ピロロ[3,4−c]ピロールによる着色に特に適当な線状ポリエステルは、好ましくはテレフタル酸またはそのエステルと式HO−(CH2)n-OH(ここにおいて、nは2乃至10である)のグリコールとの、または1、4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの重縮合によって得られる、あるいはヒドロキシ安息香酸、たとえばp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸のグリコールエーテルとの重縮合によって得られる線状ポリエステルである。ここにおける”線状ポリエステル”とは、グリコールを別のジオールで部分的に置換して得られるコポリエステルをも包含する。しかし、特に重要なものはポリエチレンテレフタレートである。
着色されるべき線状ポリエステルは、粉末、チップまたは顆粒の形状の本着色材と十分に混合する。これは、たとえばポリエステル粒子を微粉砕乾燥着色材粉末でコーティングすることによって、あるいはまたポリエステル粒子を有機溶剤中の着色材の溶液または分散物で処理し、そのあと溶剤を除去することによって行うことができる。
【0012】
色を調整するために、複数の式Iのピロロ[3,4−c]ピロールの混合物あるいはまた1種またはそれ以上の式Iの化合物と分散染料との混合物を使用することもできる。
式Iのピロロ[3,4−c]ピロールをポリエステル溶融物に直接添加することもできるし、またポリエチレンテレフタレートの重縮合の前または後に添加することもできる。
所望の色濃度に応じて、ポリエステルに対する着色材の比を広い範囲で変えることができる。通常は、ポリエステルの100部に対して着色材を0.01乃至3部使用するのが望ましい。
このように処理されたポリエステル粒子は押出機の中において公知方法で溶融され、そして物品、好ましくはシートまたはフィラメントに圧縮成形されるか、またはボードにキャスティングされる。
【0013】
顔料として使用するためには、合成によって得られた生成物を微分散形態に変換するのが有益である。この転換は、多数のいろいろな方法によって実施することができ、たとえば下記の方法が採用される:
(a)有機溶剤を添加してまたは添加しないで、都合よくは無機塩または有機塩のごとき摩砕助剤の存在下において摩砕または混練する。摩砕後、摩砕助剤を公知方法で除去する。すなわち、可溶性無機塩は、たとえば水によって、また非水溶性有機溶剤は、たとえば蒸気蒸留によって除去する。
(b)硫酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸またはポリリン酸から再沈殿させる。
(c)Dおよび/またはEが水素である生成物の場合には、その粗製顔料をアルカリ塩またはアミンに変換し、そしてこれを加水分解する。これは粗製顔料を適当な塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物またはアルコラート、アンモニアまたはアミンと共に、極性有機溶剤たとえばジメチルホルムアミドの中において撹拌し、そして顔料を完全または部分的に溶解することによって実施することができる。顔料は、加水分解によって、好ましくはその濾過されないまたは濾過された溶液を酸性化することによって、沈殿される。
(d)上記(a),(b)または(c)によって処理された顔料を、好ましくは100℃以上の沸点を有する有機溶剤を使用して後処理するのが有利である。
【0014】
特に適当な溶剤は、ハロゲン、アルキルまたはニトロ基によって置換されたベンゼン類たとえばキシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンまたはニトロベンゼン;ピリジン塩基類たとえばピリジン、ピコリンまたはキノリン;ケトン類たとえばシクロヘキサノン;エーテル類たとえばエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル;アミド類たとえばジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドン;さらには常圧または高められた圧力下におけるジメチルスルホキシド、スルホランまたは水そのもの。後処理は、水中または有機溶剤の存在下および/または界面活性剤の添加、あるいは脂肪族アミンまたは液体アンモニアの添加を伴って実施することもできる。
意図される最終用途によっては、得られた本顔料をトナーまたは調合物の形で使用するのが有利である。
【0015】
高分子有機材料は天然または合成のものでありうる。たとえば、天然樹脂または乾性油、ゴムまたはカゼインまたは変性天然物質たとえば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルおよびエステル類たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセトブチルセルロースまたはニトロセルロースなどである。しかし、好ましいのは重合、重縮合または重付加によって得られた人工有機ポリマー(熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂)である。重合樹脂のクラスに含まれるポリマーの例は、特にポリオレフィン類たとえばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、および置換ポリオレフィン類たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アセトニトリル、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリ酸エステルまたはブタジェンの重合体、ならびにそれらのモノマーの共重合体、好ましくはABSまたはEVAである。
重付加樹脂および重縮合樹脂のクラスのポリマーの例は、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合物すなわちフェノールプラスチック、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素およびメラミンとの縮合物すなわちアミノプラスチック、表面コーティング樹脂として使用されるポリエステルすなわちアルキド樹脂のごとき飽和ポリエステルならびにマレイン酸樹脂のごとき不飽和ポリエステル、さらには線状ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミドまたはシリコーンなどである。
上記高分子材料は単体または混合物の可塑性材料、あるいは繊維に紡糸される溶融物の形態でありうる。
また、上記高分子材料はそれらのモノマーの形または重合された形で塗料やワニスまたは印刷インクのためのフィルム形成材またはバインダ−として溶解された状態でありうる。たとえば、煮あまに油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂あるいはアクリル樹脂でありうる。
【0016】
式(I)の顔料による高分子有機材料の顔料着色は、顔料をそのまま、またはマスターバッチの形でロールミル、混合装置または摩砕装置を使用して基質に配合することによって都合よく実施される。顔料着色された材料はそのあとそれ自体公知の方法によって、たとえばカレンダー加工、型成形、押出し、コーティング、キャスティングまたは射出成形によって所望の最終形状に加工される。多くの場合、非脆性成形品を製造するため、または脆性を低減するために、加工の前に高分子有機材料に可塑剤を添加するのが好ましい。適当な可塑剤の例は、リン酸、フタル酸またはセバシン酸のエステルである。これらの可塑剤は本発明の顔料をポリマーに配合する前または後に添加することができる。種々異なる色を得るために、式(I)のピロロ[3,4−c]ピロール顔料のほかに、フィラーまたは他の発色成分たとえば白色顔料、彩色顔料、黒色顔料を任意の量で高分子有機材料に添加することもできる。
【0017】
塗料および印刷インクを顔料着色するためには、高分子有機材料と式(I)のピロロ[3,4−c]ピロール顔料とを、場合によってはフィラー、その他の顔料、乾燥剤または可塑剤などを加えて、共通の溶剤または溶剤混合物中に一緒に微分散または溶解させる。この場合に、個々の成分を別々に、あるいはいくつかの成分を一緒にして溶剤中に分散または溶解し、そしてそのあと全部の成分を混合するようにしてもよい。
たとえばプラスチック、フィラメント、塗料系または印刷インクに本発明による顔料を配合して得られる着色物は、黄色から赤までの色を示し、非常に高い色濃度、高い彩度(saturation)、良好な分散性、耐上塗り性、耐マイグレーション性、耐熱性、耐光性、耐候性、かつまた良好な光沢および良好なIR反射率を有する。すでに前記したように、式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールの注目すべき特性はその極めて高い固相蛍光である。
式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールは、また、エレクトログラフィーおよびマグネットグラフィー用のトナーとしても使用することができる。さらにまた、これは印刷インク、特にインクジェット印刷およびセーフィテイ印刷用の着色材としても有用である。
【0018】
式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールが使用ポリマーに溶解された場合、それは純粋な色、優れた色濃度、良好な堅牢性、特に耐光堅牢性および耐昇華堅牢性の特徴を示し、かつまた高度の蛍光を示す。本化合物は太陽エネルギーコレクターとしての使用に、またレーザービームの誘導に好適である。さらに、本化合物は複写機およびレーザープリンター用の有機光導電体としての使用およびエレクトルルミネセンスエレメントの活性成分としての使用にきわめて適している。
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0019】
実施例1
1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のTi Cl47.03ml(64ミリモル)の溶液に、1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のビス(トリメチルシリル)カルボジイミドの14.48ml(64ミリモル)の溶液を、アルゴン雰囲気下において添加する。30分後、得られた赤色溶液に、1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のN,N’−ジメチル−1、4−ジケト−3、6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロールの1.5g(3.2ミリモル)の懸濁物を添加する。この暗褐色懸濁物を、80℃において8日間撹拌し、そのあと氷冷水400g中に注ぎ入れる。次に、沈殿を濾過単離し、最初に水で、そして次にアセトンで洗い、風乾する。得られた赤色粉末を、155℃においてベンゾニトリルの700mlから再結晶する。その結晶生成物を濾過単離し、ベンゾニトリルで洗浄して、融点が328.6℃のボルドー赤色の蛍光粉末の形状のN、N’−ジメチル−1、4−ジシアンイミノ−3、6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール1.105g(67%)を得る。
UV(ベンゾニトリル):λmax 530nm。
分析: C H N
計算値 79.05% 4.68% 16.27%
測定値 76.53% 4.77% 16.17%
【0020】
実施例2−14
実施例1に記載した方法に従って、対応する量の1、4−ジケト−ピロロ[3,4−c]ピロールを、下記反応図式に従ってビス(トリメチルシリル)カルボジイミドの所望量と反応させて表1に記載した生成物を得た。
【表1】
出発物質の量、λmax および融点をそれぞれの実施例について下記表2に示す。
【表2】
本発明は、新規な1−ケト−4−シアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールおよび1、4−ジシアンイミノピロロ[3,4−c]ピロール、それらの製造方法ならびに高分子有機材料を着色するためのそれらの使用に関する。
【0002】
1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールは数年来公知であり、たとえば米国特許第4415685号および第4579949号明細書に、有用な顔料として開示されている。多数のこの種の顔料が、高性能顔料として実用的に受け入れられている。置換基の種類によって、ポリマー溶解性染料または顔料として使用しうるN−置換1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールが米国特許第4585878号明細書に開示されている。これらの化合物を、基質として使用されるポリマーの中に溶解すると、特に高い蛍光を発現する。しかしながら、米国特許第5017706号明細書に開示されているN−未置換1−ケト−4−イミノピロロ[3,4−c]ピロールも同じ性質を有している。
【0003】
本発明は、新規な1−ケト−4−シアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールおよび1、4−ジシアンイミノピロロ[3,4−c]ピロールを提供する。これら新規化合物はきわめて優れた特性を有し、その特性の故に、着色材たとえば高分子有機材料の着色用の顔料またはポリマー溶解性染料としてきわめて好適である。ケト基を、1つまたは複数のシアンイミノ基で置換して得られるこれらの新規化合物は、とりわけ色の深色シフト(bathochromic change) によって、かつまた、誠に驚くべきことながら、高度の固相蛍光(solid-state fluorescence)によって特徴づけられる。
【0004】
したがって、本発明は下記式のピロロ[3,4−c]ピロールに関する。
【化11】
式中、
AとBとは互いに独立的に下記式のいずれかの基を意味する:
【化12】
〔式中、
R1とR2とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1-C18アルキル、C1-C18アルコキシ、C1-C18アルキルメルカプト、C1-C18アルキルアミノ、−CN、−NO2 、フェニル、トリフルオロメチル、C5-C6 シクロアルキル、−C=N−( C1− C18アルキル)、
【化13】
イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペラジニル、ピロリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、モルホルニル、ピペリジニルまたはピロリジニルであり、
R3とR4とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1-C6 アルキル、C1-C18アルコキシまたは−CNであり、
R5とR6とは互いに独立的に水素、ハロゲンまたはC1-C6 アルキルであり、
Gは -CH2-、 -CH(CH3)- 、-C(CH3)2-、 -CH=N-, -N=N-, -O -, -S- 、 -SO- 、 -SO2-または -NR7-(ここにおいてR7は水素またはC1-C6 アルキルである)である〕。
【0005】
DとEとは互いに独立的に水素、C1-C18アルキル、C2-C4 アルケニル、C7-C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1-C6 アルキル、C1 C4 アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニル、−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8(ここにおいて、R8はベンジル、ピペリジルまたは下記式のいずれかの基
【化14】
である)である、
XとYとはN−CNまたはOである、ただしXおよびYの少なくとも1つはN−CNでなければならない。
置換分のハロゲンは、一般にヨウ素、フッ素、好ましくは臭素、最も好ましくは塩素である。
【0006】
C1-C6 アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−アミル、tert−アミル、ヘキシルであり、C1-C18アルキルの例は、さらに加えてヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどである。
C1-C4 アルコキシの例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシであり、そしてC1-C18アルコキシの例はさらに加えてヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシなどである。
C1-C18アルキルメルカプトの例は、メチルメルカプト、エチルメルカプト、プロピルメルカプト、ブチルメルカプト、オクチルメルカプト、デシルメルカプト、ヘキサデシルメルカプトまたはオクタデシルメルカプトなどである。
C1-C18アルキルアミノの例は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ヘキシルアミノ、デシルアミノ、ヘキサデシルアミノ、オクタデシルアミノなどである。
C3-C6 シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロペンチルおよび好ましくはシクロヘキシルである。
C2-C4 アルケニルの例は、ビニル、アリル、メタリル、2−ブテニルなどである。
C7-C10アラールキルの例は、1−フェニルエチル、ベンゼン核においてメチルまたはエチルによって置換された1、1−ジメチルベンジル、または好ましくはベンジルである。
COO−C1-C5 アルキルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、tert−アミルオキシカルボニルまたは好ましくはtert−ブトキシカルボニルである。
【0007】
特に興味ある式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、式中のAおよびBが互いに独立的に下記式の基であるものである。
【化15】
[式中、
R1とR2とは互いに独立的に水素、塩素、臭素、C1-C4 アルキル、C1-C6 アルコキシ、C1-C6 アルキルアミノ、CNまたはフェニルであり、
R3とR4とは水素であり、そして
Gは -O- 、 -NR7- (ここにおいて、R7は水素、メチルまたはエチルである)、−N=N−または- SO2-である]。
AとBとは同種であるのが好ましく、そしてAおよびBが下記式の基であるのが特に好ましい
【化16】
(式中、R1とR2とは互いに独立的に水素、メチル、tert−ブチル、塩素、臭素、CNまたはフェニルである)。R2は好ましくは水素である。
式I中のDとEとが同種であり、そしてC1-C4 アルキル、置換されていないか、または塩素置換されたフェニル、アリルまたはベンジルであるか、または下記式
【化17】
のいずれかの基である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールが好ましい。
好ましくは、DとEとはC1-C4 アルキルまたは基−COO−C(CH3)3 であり、そしてXとYとはN−CNである。
【0008】
式I中のA、B、XおよびYが上記に定義した通りであり、そしてDとEとが互いに独立的に水素、C1-C18アルキル、C2-C4 アルケニル、C7-C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1-C6 アルキル、C1-C4 アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニルである新規な式Iのピロロ[3,4−c]ピロールの製造は、S.Huenig 等によってAngew.Chem. 第96巻、第437頁(1984年)および第102巻、第220頁(1990年)に記載された方法に類似する方法によってきわめて高収率で実施することができる。すなわち、式
【化18】
(式中、AとBとは前記に定義した通りであり、そしてDとEとはすぐ前に記載した意味を有する)のピロロ[3,4−c]ピロールを、下記式
【化19】
(式中、R9はC1-C6 アルキルである)のいずれかの化合物と所望のモル比で、非プロトン有機溶剤中において、触媒としてのルイス酸の存在下において10乃至150℃、好ましくは50乃至100℃の温度範囲において反応させる。
反応時間は、置換基の種類によって、約30分乃至約200時間の範囲で変わりうる。
Huenig 等によって記載された方法は、可溶性の出発物質の反応のみに関する。不溶性のジケトピロロ[3,4−c]ピロールから出発してもその反応が成功的に進行しうるであろうことは予期されていなかった。したがって、本発明はこの新規な方法にも関する。
シアンイミノ基を供給する化合物III またはIVは、好ましくはピロロピロールを基準にして約10乃至20倍過剰で使用される。この過剰は好ましいものである。
触媒として適当なルイス酸の例は、CsF,BF3 ,ZrCl4 ,および好ましくは、TiCl4 である。
【0009】
適当な溶剤を下記に例示する。
エーテル類たとえばテトラヒドロフランまたはジオキサン、またはグリコールエーテル類たとえばエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル;極性非プロトン溶剤たとえばアセトニトリル、ベンゾニトリル、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、ハロゲン化脂肪族または芳香族炭化水素類たとえばトリクロロエタン、ベンゼンまたはアルキル−、アルコキシ−またはハロゲンによって置換されたベンゼンたとえばトルエン、キシレン、アニソールまたはクロロベンゼン;あるいは芳香族性N−複素環式化合物たとえばピリジン、ピコリンまたはキノリン。好ましい溶剤の例は、テトラヒドロフラン、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンである。これら例示した溶剤は混合物として使用することもできる。反応体1重量部当り溶剤を5乃至20重量部使用するのが適当である。
【0010】
式IIのピロロ[3,4−c]ピロールは公知化合物である。新規化合物の場合、標準的公知方法で製造することができる。式I中のDおよび/またはEが−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、公知方法と類似の方法によって、都合良くは、DおよびEが水素である式Iのピロロ[3,4−c]ピロールを、所望のモル比で、式
E−O−E (V)
のジカーボネトと反応させるか、または式Vのジカーボネートと式
D−O−D (VI)
〔上記2つの式において、EとDとは互いに独立的に−COO−C1-C5 アルキルまたは基−COOR8である(ここにおいて、R8は上記の意味を有する)〕のジカーボネートとの1:1混合物と反応させることによって製造することができる。
式III、 IV、 V、VIの化合物は公知化合物であり、市販されている。
【0011】
置換基の種類ならびに被着色ポリマーの種類によっては、式Iのピロロ[3,4−c]ピロールは、米国特許第4585878号明細書に開示された1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールと同様に、たとえばポリスチレン、ポリアミド、ABS、および好ましくは線状ポリエステル用のポリマー溶解性染料として、あるいはまた高分子有機材料用の顔料として使用することができる。1、4−ジケトピロロ[3,4−c]ピロールと比較して、本発明のピロロ[3,4−c]ピロールは特にその驚くべき程に高い固相蛍光ならびに色彩的に興味ある色の深色シフトによって特徴づけられる。
本新規ポリマー溶解性ピロロ[3,4−c]ピロールによる着色に特に適当な線状ポリエステルは、好ましくはテレフタル酸またはそのエステルと式HO−(CH2)n-OH(ここにおいて、nは2乃至10である)のグリコールとの、または1、4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンとの重縮合によって得られる、あるいはヒドロキシ安息香酸、たとえばp−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸のグリコールエーテルとの重縮合によって得られる線状ポリエステルである。ここにおける”線状ポリエステル”とは、グリコールを別のジオールで部分的に置換して得られるコポリエステルをも包含する。しかし、特に重要なものはポリエチレンテレフタレートである。
着色されるべき線状ポリエステルは、粉末、チップまたは顆粒の形状の本着色材と十分に混合する。これは、たとえばポリエステル粒子を微粉砕乾燥着色材粉末でコーティングすることによって、あるいはまたポリエステル粒子を有機溶剤中の着色材の溶液または分散物で処理し、そのあと溶剤を除去することによって行うことができる。
【0012】
色を調整するために、複数の式Iのピロロ[3,4−c]ピロールの混合物あるいはまた1種またはそれ以上の式Iの化合物と分散染料との混合物を使用することもできる。
式Iのピロロ[3,4−c]ピロールをポリエステル溶融物に直接添加することもできるし、またポリエチレンテレフタレートの重縮合の前または後に添加することもできる。
所望の色濃度に応じて、ポリエステルに対する着色材の比を広い範囲で変えることができる。通常は、ポリエステルの100部に対して着色材を0.01乃至3部使用するのが望ましい。
このように処理されたポリエステル粒子は押出機の中において公知方法で溶融され、そして物品、好ましくはシートまたはフィラメントに圧縮成形されるか、またはボードにキャスティングされる。
【0013】
顔料として使用するためには、合成によって得られた生成物を微分散形態に変換するのが有益である。この転換は、多数のいろいろな方法によって実施することができ、たとえば下記の方法が採用される:
(a)有機溶剤を添加してまたは添加しないで、都合よくは無機塩または有機塩のごとき摩砕助剤の存在下において摩砕または混練する。摩砕後、摩砕助剤を公知方法で除去する。すなわち、可溶性無機塩は、たとえば水によって、また非水溶性有機溶剤は、たとえば蒸気蒸留によって除去する。
(b)硫酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸またはポリリン酸から再沈殿させる。
(c)Dおよび/またはEが水素である生成物の場合には、その粗製顔料をアルカリ塩またはアミンに変換し、そしてこれを加水分解する。これは粗製顔料を適当な塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物またはアルコラート、アンモニアまたはアミンと共に、極性有機溶剤たとえばジメチルホルムアミドの中において撹拌し、そして顔料を完全または部分的に溶解することによって実施することができる。顔料は、加水分解によって、好ましくはその濾過されないまたは濾過された溶液を酸性化することによって、沈殿される。
(d)上記(a),(b)または(c)によって処理された顔料を、好ましくは100℃以上の沸点を有する有機溶剤を使用して後処理するのが有利である。
【0014】
特に適当な溶剤は、ハロゲン、アルキルまたはニトロ基によって置換されたベンゼン類たとえばキシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンまたはニトロベンゼン;ピリジン塩基類たとえばピリジン、ピコリンまたはキノリン;ケトン類たとえばシクロヘキサノン;エーテル類たとえばエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル;アミド類たとえばジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドン;さらには常圧または高められた圧力下におけるジメチルスルホキシド、スルホランまたは水そのもの。後処理は、水中または有機溶剤の存在下および/または界面活性剤の添加、あるいは脂肪族アミンまたは液体アンモニアの添加を伴って実施することもできる。
意図される最終用途によっては、得られた本顔料をトナーまたは調合物の形で使用するのが有利である。
【0015】
高分子有機材料は天然または合成のものでありうる。たとえば、天然樹脂または乾性油、ゴムまたはカゼインまたは変性天然物質たとえば塩化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルおよびエステル類たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセトブチルセルロースまたはニトロセルロースなどである。しかし、好ましいのは重合、重縮合または重付加によって得られた人工有機ポリマー(熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂)である。重合樹脂のクラスに含まれるポリマーの例は、特にポリオレフィン類たとえばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、および置換ポリオレフィン類たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アセトニトリル、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリ酸エステルまたはブタジェンの重合体、ならびにそれらのモノマーの共重合体、好ましくはABSまたはEVAである。
重付加樹脂および重縮合樹脂のクラスのポリマーの例は、ホルムアルデヒドとフェノールとの縮合物すなわちフェノールプラスチック、ホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素およびメラミンとの縮合物すなわちアミノプラスチック、表面コーティング樹脂として使用されるポリエステルすなわちアルキド樹脂のごとき飽和ポリエステルならびにマレイン酸樹脂のごとき不飽和ポリエステル、さらには線状ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミドまたはシリコーンなどである。
上記高分子材料は単体または混合物の可塑性材料、あるいは繊維に紡糸される溶融物の形態でありうる。
また、上記高分子材料はそれらのモノマーの形または重合された形で塗料やワニスまたは印刷インクのためのフィルム形成材またはバインダ−として溶解された状態でありうる。たとえば、煮あまに油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂あるいはアクリル樹脂でありうる。
【0016】
式(I)の顔料による高分子有機材料の顔料着色は、顔料をそのまま、またはマスターバッチの形でロールミル、混合装置または摩砕装置を使用して基質に配合することによって都合よく実施される。顔料着色された材料はそのあとそれ自体公知の方法によって、たとえばカレンダー加工、型成形、押出し、コーティング、キャスティングまたは射出成形によって所望の最終形状に加工される。多くの場合、非脆性成形品を製造するため、または脆性を低減するために、加工の前に高分子有機材料に可塑剤を添加するのが好ましい。適当な可塑剤の例は、リン酸、フタル酸またはセバシン酸のエステルである。これらの可塑剤は本発明の顔料をポリマーに配合する前または後に添加することができる。種々異なる色を得るために、式(I)のピロロ[3,4−c]ピロール顔料のほかに、フィラーまたは他の発色成分たとえば白色顔料、彩色顔料、黒色顔料を任意の量で高分子有機材料に添加することもできる。
【0017】
塗料および印刷インクを顔料着色するためには、高分子有機材料と式(I)のピロロ[3,4−c]ピロール顔料とを、場合によってはフィラー、その他の顔料、乾燥剤または可塑剤などを加えて、共通の溶剤または溶剤混合物中に一緒に微分散または溶解させる。この場合に、個々の成分を別々に、あるいはいくつかの成分を一緒にして溶剤中に分散または溶解し、そしてそのあと全部の成分を混合するようにしてもよい。
たとえばプラスチック、フィラメント、塗料系または印刷インクに本発明による顔料を配合して得られる着色物は、黄色から赤までの色を示し、非常に高い色濃度、高い彩度(saturation)、良好な分散性、耐上塗り性、耐マイグレーション性、耐熱性、耐光性、耐候性、かつまた良好な光沢および良好なIR反射率を有する。すでに前記したように、式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールの注目すべき特性はその極めて高い固相蛍光である。
式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールは、また、エレクトログラフィーおよびマグネットグラフィー用のトナーとしても使用することができる。さらにまた、これは印刷インク、特にインクジェット印刷およびセーフィテイ印刷用の着色材としても有用である。
【0018】
式(I)のピロロ[3,4−c]ピロールが使用ポリマーに溶解された場合、それは純粋な色、優れた色濃度、良好な堅牢性、特に耐光堅牢性および耐昇華堅牢性の特徴を示し、かつまた高度の蛍光を示す。本化合物は太陽エネルギーコレクターとしての使用に、またレーザービームの誘導に好適である。さらに、本化合物は複写機およびレーザープリンター用の有機光導電体としての使用およびエレクトルルミネセンスエレメントの活性成分としての使用にきわめて適している。
以下、本発明を実施例によってさらに説明する。
【0019】
実施例1
1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のTi Cl47.03ml(64ミリモル)の溶液に、1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のビス(トリメチルシリル)カルボジイミドの14.48ml(64ミリモル)の溶液を、アルゴン雰囲気下において添加する。30分後、得られた赤色溶液に、1、2−ジクロロベンゼンの30ml中のN,N’−ジメチル−1、4−ジケト−3、6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロールの1.5g(3.2ミリモル)の懸濁物を添加する。この暗褐色懸濁物を、80℃において8日間撹拌し、そのあと氷冷水400g中に注ぎ入れる。次に、沈殿を濾過単離し、最初に水で、そして次にアセトンで洗い、風乾する。得られた赤色粉末を、155℃においてベンゾニトリルの700mlから再結晶する。その結晶生成物を濾過単離し、ベンゾニトリルで洗浄して、融点が328.6℃のボルドー赤色の蛍光粉末の形状のN、N’−ジメチル−1、4−ジシアンイミノ−3、6−ジフェニルピロロ[3,4−c]ピロール1.105g(67%)を得る。
UV(ベンゾニトリル):λmax 530nm。
分析: C H N
計算値 79.05% 4.68% 16.27%
測定値 76.53% 4.77% 16.17%
【0020】
実施例2−14
実施例1に記載した方法に従って、対応する量の1、4−ジケト−ピロロ[3,4−c]ピロールを、下記反応図式に従ってビス(トリメチルシリル)カルボジイミドの所望量と反応させて表1に記載した生成物を得た。
【表1】
出発物質の量、λmax および融点をそれぞれの実施例について下記表2に示す。
【表2】
Claims (5)
- 下記式のピロロ[3,4−c]ピロール
AとBとは互いに独立的に下記式のいずれかの基である:
R1とR2とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、C1−C18アルキルメルカプト、C1−C18アルキルアミノ、−CN、−NO2、フェニル、トリフルオロメチル、C5−C6シクロアルキル、−C=N−(C1−C18アルキル)、
R3とR4とは互いに独立的に水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C18アルコキシまたは−CNであり、
R5とR6とは互いに独立的に水素、ハロゲンまたはC1−C6アルキルであり、
Gは−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−CH=N−、−N=N−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−または−NR7−(ここにおいて、R7は水素またはC1−C6アルキルである)である}、
DとEとは互いに独立的に水素、C1−C18アルキル、C2−C4アルケニル、C7−C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニル、−COO−C1−C5アルキルまたは基−COOR8(ここにおいて、R8はベンジル、ピペリジルまたは下記式のいずれかの基
XとYはN−CNまたはOである、ただしXおよびYの少なくとも1つはN−CNでなければならない]。 - 式I中のA、B、XおよびYが請求項1で定義した通りであり、そしてDとEとが互いに独立的に水素、C1−C18アルキル、C2−C4アルケニル、C7−C10アラールキル、置換されていないフェニル、または塩素、臭素、C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチルまたはニトロによって置換されたフェニルである前記式Iのピロロ[3,4−c]ピロールの製造方法において、式
- 式I中のDおよび/またはEが−COO−C1−C5アルキルまたは基−COOR8(ここにおいて、R8はベンジル、ピリジルまたは下記式
E−O−E (V)
のジカーボネートと反応させるか、または、式Vのジカーボネートと式
D−O−D (VI)
〔上記2つの式において、EとDとは互いに独立的に−COO−C1−C5アルキルまたは基−COOR8である(ここにおいて、R8は上記の意味を有する)〕のジカーボネートとの1:1混合物と反応させることを特徴とする方法。 - 請求項1記載のピロロ[3,4−c]ピロールによってマスカラーされた高分子有機材料。
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