JP3739035B2 - 液中洗浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄対象物を液中で洗浄する液中洗浄装置に関するものであり、特にキャビテーション噴射流を利用した液中洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄対象物を液中で洗浄する洗浄装置としては、ノズルから噴射された高速の噴射液と周囲の液体の不安定な衝突と攪拌によって発生した無数の減圧気泡と、この気泡を囲む小さな強い渦とを含むキャビテーション噴射流を洗浄対象物に噴射して洗浄する装置が従来から一般的に知られている。このキャビテーション噴射流を利用する洗浄装置では、気泡を含まない単純な高速液体流で洗浄対象物を洗浄する場合に比べ、洗浄能力が著しく増大するという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、キャビテーション噴射流により洗浄する場合、キャビテーション気泡の消滅と共に壊食作用と大きな騒音が発生する。この騒音は90dB以上に達する場合もあるため洗浄作業の環境が悪化するという問題がある。このため、このよう液中洗浄装置では、消音対策が必要となるが従来の液中洗浄装置では、キャビテーション噴射流により騒音対策がなされてはいなかった。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、キャビテーション噴射流を利用した液中洗浄において、高い洗浄効果を維持しながら騒音を減少することができる液中洗浄装置を提供することを主な目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、洗浄対象物を液中に浸積する洗浄槽と、
高圧水をキャビテーション噴射流として洗浄対象物に噴射するノズルと、を備えた液中洗浄装置において、
気泡を発生させる気泡発生手段と、
前記ノズルから所定距離だけ離隔して設けられ、前記発生させた気泡を噴射する気泡噴射手段とを備え、
前記気泡噴射手段は、前記発生させた気泡を、洗浄槽内壁に沿って噴射するものであり、
前記洗浄槽の側壁面は、鉛直方向に対して所定角度内方に傾斜していることを特徴とする。
【0006】
この請求項1に係る発明では、気泡噴射手段によって液中で噴射された気泡によって洗浄槽内に気泡の層を形成して、キャビテーション噴射流による騒音を消音する。また、気泡噴射手段は、ノズルから所定距離だけ離隔して設けられているので、噴射された気泡がノズルからのキャビテーション噴射流の進行に影響を与えることが少ない。従って、キャビテーション噴射流による洗浄効果を減少させることを防止しながら騒音防止を図ることができる。
【0007】
本発明における気泡噴射手段とノズルの「所定距離」は気泡噴射手段から噴射される気泡が洗浄物に対するキャビテーション噴射流の進行を阻害しない程度の距離とすることが必要である。
【0008】
本発明における気泡噴射手段は、気泡を噴射するものであれば良く、気泡による層を形成させるため、複数の噴射口を有するように構成することができる。
【0009】
また、前記気泡噴射手段は、前記発生させた気泡を、洗浄槽内壁に沿って噴射するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明では、気泡が洗浄槽内壁に沿って噴射されるので、ノズルから十分に離れた位置で気泡による層を形成する。この気泡の層は洗浄槽内壁に沿って形成されることになるので、この気泡の層によってキャビテーション噴射流による騒音の洗浄槽内壁面への伝達が防止され、これにより騒音を効果的に減少させることが可能となる。
【0011】
また、本発明では、気泡の層をノズル及びキャビテーション噴射流から十分に離れた洗浄槽内壁面に沿って形成しているので、噴射された気泡がノズルからのキャビテーション噴射流の進行に影響を与えることは皆無である。従って、キャビテーション噴射流による高い洗浄効果を確実に維持させながら騒音防止を図ることができる。このような洗浄槽内壁に沿って気泡を噴射させる具体的な構成としては以下の発明が挙げられる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の液中洗浄装置において、前記気泡噴射手段は、気泡を洗浄槽内壁下部に向けて噴射するものであることを特徴とする。
【0013】
噴射された気泡は液中を浮上していくが、この請求項2に係る発明では気泡噴射手段が気泡を洗浄槽内壁下部に向けて噴射するので、噴射された気泡は洗浄槽内壁下部から内壁に沿って上方に浮上することになる。このため、気泡による層が形成されて、キャビテーション噴射流による騒音を低減することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の液中洗浄装置において、前記気泡噴射手段は、前記洗浄槽側壁面の近傍で気泡を噴射するものであることを特徴とする。
【0015】
この請求項3に係る発明では、洗浄槽の側壁面が鉛直方向に対して所定角度内方に傾斜しており、気泡噴射手段は洗浄槽側壁面の近傍で気泡を噴射するので、噴射された気泡は洗浄槽内壁面と離れずに液中を上昇する。このため、気泡は、安定して洗浄槽内壁に沿って浮上することになり、気泡による層が形成されて、キャビテーション噴射流による騒音を低減することができる。
【0016】
本発明における所定角度は、噴射される気泡が洗浄槽内壁に沿って浮上する程度の微少角度であればよく、3°前後であることが好ましい。
【0017】
また、気泡噴射手段は洗浄槽側壁面の近傍で気泡を噴射することにより気泡が洗浄槽内壁面に沿って浮上するように構成されていればよく、気泡を上方に向けて噴射するように構成する他、請求項2に係る発明のように洗浄槽内壁下部に向けて噴射することは任意である。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の液中洗浄装置において、洗浄槽内壁に沿って配置した隔壁を更に備え、前記気泡噴射手段は、前記隔壁と洗浄槽内壁との間に気泡を噴射するものであることを特徴とする。
【0019】
この請求項4に係る発明では、隔壁を洗浄槽内壁に沿って配置して、この隔壁と洗浄槽内壁との間に気泡噴射手段によって気泡を噴射するので、噴射された気泡は洗浄槽内壁から遠く離れることなく内壁に沿って浮上する。このため、キャビテーション噴射流による騒音を低減することができる。
【0020】
本発明における隔壁は、洗浄槽内壁に沿って配置されたものであればよく、例えば板状部材等を用いることができるが、隔壁の振動による騒音を抑制するため、隔壁を網状部材で構成することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態について、以下図示例とともに説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。本実施形態の洗浄装置では、洗浄槽1と、高圧水をキャビテーション噴射流として噴射するノズルヘッド205と、気泡を噴射する気泡噴射ノズル207とを主に備えている。
【0023】
洗浄槽1の形状は略直方体形状であり、洗浄槽内部には液体(水)が満たされ、この液体中に洗浄対象物21が設置される。ノズルヘッド205は複数の噴射口を有し、高圧水供給管11によって洗浄槽外部の高圧水供給源(図示せず)に接続されており、この高圧水供給源から供給される高圧水を洗浄槽1の液体中に噴射する。ノズルヘッド205のノズル部は、一定断面積を持つ管状通路と、この管状通路から下流へ向かって直径が軸方向に沿って徐々に増大する断面形状を有する通路からなる公知のホーンノズル構造をしており、かかる構造によって高圧水がキャビテーション噴射流となって洗浄槽内に噴射される。
【0024】
気泡噴射ノズル207は洗浄槽底面の中心から側壁側に離れた距離に洗浄対象物と噴射部とを取り囲むように複数個設けられている。つまり、気泡噴射ノズル207は洗浄対象物21及びノズルヘッド205から十分離れた位置に配置されている。この気泡噴射ノズル207は外部のエア供給源(図示せず)に接続されており、このエア供給源から供給されるエアを気泡にして洗浄槽1の液体中に噴射する。
【0025】
本実施形態の洗浄装置を使用して洗浄対象物21を洗浄する場合には、ノズルヘッド205からキャビテーション噴射流を噴射させ、また気泡噴射ノズル207から気泡を噴射させる。
【0026】
本実施形態の洗浄装置においては、気泡噴射ノズル207から多数の気泡が連続的に上昇しているので、気泡の層(エアカーテン)が形成されキャビテーション噴射流により生じた騒音が、気泡の層によって遮断され、消音されることになる。
【0027】
また、本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射ノズル207がノズルヘッド205及びキャビテーション噴射流から十分離れた位置に配置されているので、噴射された気泡がノズルからのキャビテーション噴射流を妨げることが少なく、キャビテーション噴射流による洗浄効果を減少させないで消音を行うことができる。
【0028】
このように本実施形態の洗浄装置では、洗浄効果を減少させずに消音を行うことができるが、更に高い洗浄効果を維持させながら消音を行うためには、以下に示す第2〜4の実施形態の洗浄装置が効果的である。
【0029】
(第2実施形態)
図2(a)及び(b)は、第2実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。図2(a)は、液中洗浄装置の左側面透視図であり、図2(b)は正面透視図である。本実施形態の洗浄装置では、洗浄槽1と、高圧水をキャビテーション噴射流として噴射するホーンノズル305と、気泡を噴射する複数の気泡噴射口17を備えた気泡噴射パイプ15とを主に備えている。ここで、気泡噴射パイプ15は本発明の気泡噴射手段を構成する。尚、洗浄槽1については第1実施形態の洗浄装置と同様なので説明を省略する。
【0030】
ホーンノズル305は、高圧水供給管211によって洗浄槽外部の高圧水供給源(図示せず)に接続されており、そのホーンノズル構造は第1実施形態の洗浄装置と同様なので説明を省略する。
【0031】
本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射噴射手段として複数の噴射口17を有する4本の気泡噴射パイプ15が洗浄槽側壁2の内壁面3の近傍位置で、洗浄槽底部の各辺に沿って配置されている。各パイプは塩化ビニル製であり、洗浄槽外部のエア供給源(図示せず)に接続されており、このエア供給源から供給されるエアを噴射口17から気泡にして洗浄槽の液体中に噴射する。
【0032】
図3は、第2実施形態の液中洗浄装置における気泡噴射パイプ15の断面図である。図3に示すようにパイプの噴射口17は洗浄槽側壁2の内壁面3の下部に向かう方向に穿孔されている。
【0033】
本実施形態の洗浄装置を使用して洗浄対象物21を洗浄する場合には、ホーンノズル305からキャビテーション噴射流を噴射させると共に、気泡噴射パイプ15の噴射口17から気泡を噴射させる。本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射パイプ15の噴射口17が洗浄槽側壁2の内壁面3の下部に向かう方向に穿孔されているので、気泡は洗浄槽1の側壁2の内壁面3に向かって噴射され、この気泡は洗浄槽側壁2の内壁面3下部から内壁面3に沿って上昇する。このため、気泡による層が洗浄槽側壁2の内壁面3に沿って側壁上部まで連続して形成され、キャビテーション噴射流による騒音がかかる気泡の層(エアカーテン)によって遮断され、消音されることになる。
【0034】
また、本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射パイプ15がホーンノズル305及びキャビテーション噴射流から十分離れた位置である洗浄槽底部の各辺に沿って配置されているので、噴射された気泡がノズルからのキャビテーション噴射流を妨げることがなく、キャビテーション噴射流による高い洗浄効果を維持しながら消音を行うことができる。
【0035】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。本実施形態の洗浄装置では、洗浄槽1と、高圧水をキャビテーション噴射流として噴射するホーンノズル305と、気泡を噴射する複数の気泡噴射口517を備えた気泡噴射パイプ515とを主に備えている。本実施形態の洗浄装置は、洗浄槽1と気泡噴射パイプ515に穿孔された噴射口517の方向が第2実施形態の洗浄装置と異なり、他の構成については第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0036】
洗浄槽1は、図4に示す通り、その4つの側壁502が鉛直方向に対してそれぞれ約3°だけ内方に傾斜しており、第2実施形態と同様に、4本の気泡噴射パイプ515が洗浄槽側壁502の内壁面3の近傍位置で洗浄槽底部の各辺に沿って配置されている。
【0037】
図5は、第3実施形態の液中洗浄装置における気泡噴射パイプ515の断面図である。図5に示すようにパイプの噴射口517は上方に向けて穿孔されている。
【0038】
本実施形態の洗浄装置を使用して洗浄対象物21を洗浄する場合には、ホーンノズル305からキャビテーション噴射流を噴射させると共に、気泡噴射パイプ515の噴射口517から気泡を噴射させる。本実施形態の洗浄装置では、洗浄槽1の各側壁502がそれぞれ鉛直方向に対して約3°の角度で内方に傾斜しており、気泡噴射パイプ515が洗浄槽側壁502の内壁面3の下部近傍で気泡を噴射するので、噴射された気泡は洗浄槽内壁面3と離れずに液中を上昇する。このため、気泡は、安定して洗浄槽内壁面3に沿って浮上することになり、気泡による層が形成されて、キャビテーション噴射流による騒音がかかる気泡の層によって遮断され、消音されることになる。尚、側壁502の鉛直方向に対する傾斜角は約3°に限定されるものではない。
【0039】
また、本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射パイプ515がホーンノズル305及びキャビテーション噴射流から十分離れた位置である洗浄槽底部の各辺に沿って配置されているので、噴射された気泡がホーンノズル305からのキャビテーション噴射流を妨げることがなく、キャビテーション噴射流による高い洗浄効果を維持しながら消音を行うことができる。
【0040】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。本実施形態の洗浄装置では、洗浄槽1と、高圧水をキャビテーション噴射流として噴射するホーンノズル305と、気泡を噴射する複数の気泡噴射口517を備えた気泡噴射パイプ515と、洗浄槽内壁面3に沿って配置された本発明の隔壁を構成する金網19を主に備えている。本実施形態の洗浄装置では、金網19を設けた点及び気泡噴射パイプ515の配置及び気泡の噴射方向が第2実施形態の洗浄装置と異なっており、他の構成については第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
本実施形態の洗浄装置では、断面逆L字形状の4個の金網19が洗浄槽側壁2の各内壁面3に沿って設置されている。そして、複数の噴射口517を有する4本の気泡噴射パイプ15が、金網19と洗浄槽内壁面3との間に洗浄槽底部の各辺に沿って配置されている。気泡噴射パイプ15の噴射口517は、図5に示す第3実施形態のパイプと同様に、上方に向けて穿孔されている。
【0042】
本実施形態の洗浄装置を使用して洗浄対象物21を洗浄する場合には、ホーンノズル305からキャビテーション噴射流を噴射させると共に、気泡噴射パイプ515の噴射口517から気泡を噴射させる。本実施形態の洗浄装置では、金網19を洗浄槽側壁2の内壁面3に沿って配置して、この金網19と洗浄槽内壁面3との間に気泡噴射パイプ515によって気泡を上方に噴射するので、噴射された気泡は洗浄槽内壁面3から遠く離れることなく内壁面3に沿って浮上する。このため、気泡は、安定して洗浄槽内壁面3に沿って浮上することになり、気泡による層が形成されて、キャビテーション噴射流による騒音がかかる気泡の層によって遮断され、消音されることになる。
【0043】
また、本実施形態の洗浄装置では、気泡噴射パイプ515がホーンノズル305及びキャビテーション噴射流から十分離れた位置である洗浄槽1底部に沿って配置されているので、噴射された気泡がホーンノズル305からのキャビテーション噴射流を妨げることがなく、キャビテーション噴射流による高い洗浄効果を維持しながら消音を行うことができる。
【0044】
尚、本実施形態の洗浄装置では、金網を設けているが、金網の代わりに複数の孔部を有する金属製の板状部材を洗浄槽の内壁面3に沿って配置しても良い。
【0045】
また、洗浄装置の構成として、上述した第2実施形態における気泡噴射パイプ15、第3実施形態における洗浄槽側壁502及び気泡噴射パイプ515、第4実施形態における金網19及び気泡噴射パイプ515の各構成を適宜組み合わせても良い。また、洗浄槽の配置によっては、側壁の4面全部に気泡の層を形成しなくても良く、側壁の3面あるいは2面のみに適用しても本発明の効果は達成される。
【0046】
【実施例】
上記第2実施形態の洗浄装置を使用して以下の評価を行った。図7は本実施例で使用した洗浄装置の平面図である。縦幅0.6m、横幅1mの略直方体形状の水槽を使用し、ホーンノズルを水槽のほぼ中央に配置し、洗浄対象物としてのアルミ板を設置してホーンノズルからキャビテーション噴射流をアルミ板に噴射するように構成する。更に、複数の気泡噴射口を有する2本の塩化ビニルパイプ(気泡噴射パイプ)を水槽の正面側底部及び左側面側底部に配置する。具体的な洗浄条件は以下の通りである。
【0047】
(洗浄条件)
ホーンノズルの直径:2.5mm
アルミ板とホーンノズルとの距離:30mm
洗浄水の噴射圧力:7MPa,12.5MPa
洗浄水の流量:24.2L/min,32.5L/min
洗浄時間:20分
塩化ビニルパイプの内径:20mm
気s泡噴射口の直径:1mm
気泡噴射口の鉛直方向に対する角度:約60°(噴射方向は水槽内壁面へ向かう方向)
塩化ビニルパイプへのエア流量:133〜652NL/min
エア圧力:1kgf/cm2,2kgf/cm2
また、対比例として、同じ洗浄装置で塩化ビニルパイプへのエアの供給を行わない状態(エア圧力=0kgf/cm2、エア流量=0NL/min)でアルミ板の洗浄処理を行った(表1のNo.1、No.7)。
【0048】
(測定結果)
以上の洗浄条件の下で、塩化ビニルパイプへの空気の流量を103〜978NL/minの範囲で変化させて洗浄処理を行った結果、表1に示す結果が得られた。騒音の測定は、水槽の正面側A及び左側面側Bに夫々騒音計を設置して行った。洗浄力の評価は、洗浄処理終了後のアルミ板を表面粗さの半径方向分布を表面粗計により測定し、また目視により判断した。ここで、No.1、No.7は対比例である。
【0049】
【表1】
【0050】
表1の結果からわかるように、洗浄水の圧力7MPa、流量24.2L/minで洗浄処理を行った結果、エアを供給しない対比例No.1において正面側Aで騒音測定値が86.5dB、左側面側Bでの騒音測定値が85.8dBであった。これに対し、実用レベルで許容できるエア流量533NL/minでエアを塩化ビニルパイプに供給して水槽内に気泡を発生させて測定したところ、正面側Aで騒音測定値80.3dB、左側面側Bでの騒音測定値81.1dBまで低減することができた。
【0051】
また、洗浄水の圧力12.5MPa、流量32.5L/minで洗浄処理を行った結果、エアを供給しない対比例No.7において正面側Aで騒音測定値が96.5dB、左側面側Bでの騒音測定値が97.9dBであった。これに対し、エア流量533NL/minでエアを塩化ビニルパイプに供給して水槽内に気泡を発生させて測定したところ、正面側Aで騒音測定値86.5dB、左側面側Bでの騒音測定値87.1dBまで低減することができた。
【0052】
また、気泡発生の有無によるアルミ板の壊食量を対比例No.1と評価結果No.2〜6とを、また対比例No.7と評価結果No.8とをそれぞれ比較したところ、壊食面積、表面粗さは殆ど差異は生じておらず、評価結果No.2〜6及びNo.8においてもキャビテーション噴射流による高い洗浄効果が維持されていることが判明した。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に係る発明によれば、キャビテーション噴射流による洗浄効果を減少させることを防止しながら騒音防止を図れるという効果を有する。特に、請求項2〜5に係る発明によれば、キャビテーション噴射流による高い洗浄効果を確実に維持させながら騒音防止を図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第2実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。図2(a)は液中洗浄装置の左側面透視図であり、図2(b)は液中洗浄装置の正面透視図である。
【図3】第2実施形態の液中洗浄装置における気泡噴射パイプの断面図である。
【図4】第3実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【図5】第3実施形態の液中洗浄装置における気泡噴射パイプの断面図である。
【図6】第4実施形態の液中洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【図7】実施例で使用した洗浄装置の平面図である。
【符号の説明】
1:洗浄槽
2,502:洗浄槽側壁
3:洗浄槽内壁面
205:ノズルヘッド
305:ホーンノズル
207:気泡噴射ノズル
11,211:高圧水供給管
13,213:エア供給管
15,515:気泡噴射パイプ
17,517:気泡噴射口
19:金網
21:洗浄対象物
Claims (4)
- 洗浄対象物を液中に浸積する洗浄槽と、
高圧水をキャビテーション噴射流として洗浄対象物に噴射するノズルと、を備えた液中洗浄装置において、
気泡を発生させる気泡発生手段と、
前記ノズルから所定距離だけ離隔して設けられ、前記発生させた気泡を噴射する気泡噴射手段とを備え、
前記気泡噴射手段は、前記発生させた気泡を、洗浄槽内壁に沿って噴射するものであり、
前記洗浄槽の側壁面は、鉛直方向に対して所定角度内方に傾斜していることを特徴とする液中洗浄装置。 - 前記気泡噴射手段は、気泡を洗浄槽内壁下部に向けて噴射するものであることを特徴とする請求項1に記載の液中洗浄装置。
- 前記洗浄槽側壁面の近傍で気泡を噴射するものであることを特徴とする請求項1に記載の液中洗浄装置。
- 洗浄槽内壁に沿って配置した隔壁を更に備え、前記気泡噴射手段は、前記隔壁と洗浄槽内壁との間に気泡を噴射するものであることを特徴とする請求項1に記載の液中洗浄装置。
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