JP3738724B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の空燃比制御装置に関し、詳細には機関吸気中の酸素濃度を検出する吸気酸素濃度センサを備え、この吸気酸素濃度センサ出力に基づいて機関に供給する燃料量を補正する内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関の排気通路に排気空燃比を検出する空燃比センサを配置し、検出した排気空燃比が予め定めた目標空燃比になるように機関に供給する燃料量をフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置が知られている。このような空燃比制御装置では、例えば機関吸入空気量に関連するパラメータ(例えば、エアフロメータ出力や機関吸気通路圧力と機関回転数)を計測し、これらのパラメータを用いて予め記憶した関係に基いて排気空燃比が目標空燃比に一致するように、機関への基本燃料供給量(基本燃料噴射量)を算出するとともに、更に排気空燃比センサで検出した排気空燃比が上記目標空燃比に一致するように基本燃料供給量を補正した量の燃料を実際に機関に供給する。
【0003】
このように、空燃比センサで検出した実際の排気空燃比に基いて、基本燃料噴射量をフィードバック補正する事により、機関吸入空気量に関連するパラメータを検出するセンサ(例えば、エアフロメータ、吸気圧力センサ等)の検出誤差や燃料噴射弁の実際の燃料噴射量の製品毎のばらつきや経年変化などによる燃料噴射量の誤差が補正されるため、正確な空燃比制御を行うことが可能となる。
【0004】
ところが、機関吸気通路に燃料タンクからの蒸発燃料をパージする蒸発燃料パージ装置を備えた機関では、上記のように排気空燃比センサに基づくフィードバック制御を実行していても蒸発燃料のパージ実行時には一時的に機関空燃比の目標空燃比からのずれが生じる場合がある。
【0005】
すなわち、パージにより蒸発燃料(炭化水素)が吸気通路に導入されると、機関には燃料噴射により供給される燃料の他に吸気とともに蒸発燃料(燃料ベーパ)が流入することになる。このため、排気空燃比に基づいて機関への燃料噴射量を制御していて、一時的に機関への燃料供給量が増大するため、機関空燃比が目標空燃比からずれる場合が生じる。このようなずれが生じても、排気空燃比に基づく機関燃料噴射量のフィードバック制御が行われていれば、パージによる機関への燃料供給量は補正され機関空燃比は目標空燃比に一致するようになるが、空燃比フィードバック制御のゲインは制御のハンチングを防止するために比較的小さな値に設定されているため、急激に大量のパージが開始されたような場合には排気空燃比センサ出力に基づく空燃比フィードバック制御のみでは機関空燃比が目標空燃比に収束するまでに多少の時間を要する場合がある。
【0006】
この問題を解決するために、機関吸気通路に吸気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサを配置し、パージ実行中に吸気酸素濃度センサ出力に基づいて機関への燃料供給量を補正するようにした空燃比センサが考案されている。
この種の空燃比制御装置としては、例えば特開平11−2153号公報に記載されたものがある。
【0007】
同公報の装置は、パージ実行中に機関吸気通路に配置した吸気酸素濃度センサ出力に基づいて、吸気中に含まれる蒸発燃料量を算出し、この蒸発燃料量に相当する量だけ、機関への燃料噴射量を減量補正するようにしている。
【0008】
このように、吸気酸素濃度センサ出力に基づいて吸気中の蒸発燃料量を算出し、蒸発燃料量に相当する量だけ燃料噴射量を減量するパージ制御を行うことにより、吸気中の蒸発燃料量を算出して、この蒸発燃料量分だけ燃料噴射量を低減するという直接的な補正操作が可能になる。このため、吸気酸素濃度センサ出力に基づくパージ制御を実施することにより、排気空燃比センサ出力に基づく空燃比制御によりパージ制御を行う場合に較べて極めて精度が高く、かつ応答性の良い制御が可能となる。従って、吸気酸素濃度センサ出力に基づくパージ制御を行う機関では、大量のパージを行った場合にも機関の空燃比が乱れることがないため、短時間で大量のパージを行うことが可能となり、パージ操作を効率的に行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平11−2153号公報の装置のように、吸気酸素濃度センサの出力に基づいてパージ制御を行う空燃比制御装置では、上述のように高精度かつ応答性の良い制御を行うことができる反面、吸気酸素濃度センサに異常が生じると機関空燃比が大きく乱れて機関出力の変動や排気エミッションの悪化が生じる場合がある。
【0010】
すなわち、吸気酸素濃度センサに異常が生じているとパージ制御中に正確な蒸発燃料量を算出することができない。更に、吸気酸素濃度センサ出力に基づくパージ制御は、吸気中の蒸発燃料を機関に吸入される前に吸気酸素濃度センサにより検出し、機関への燃料供給量を直接補正するものであるため、吸気酸素濃度センサに異常が生じた場合、センサ出力の異常は直接機関の燃料噴射量に反映されてしまう。このため、吸気酸素濃度センサ出力に基づくパージ制御では、通常の空燃比制御に較べてセンサ出力に異常が生じた場合の空燃比の乱れが大きくなる問題がある。
【0011】
しかも、通常、運転者はパージが実行されているか否かについては意識していないため、パージ制御中に吸気酸素濃度センサに異常が生じていても、単に機関出力の変動が異常に大きくなったとしか認識しない。このため、修理を行う場合にも、機関出力の変動を生じる可能性がある異常原因(例えば燃料噴射弁や排気空燃比センサ、点火系統など)の全てを検査する必要があり真の異常原因を特定するのに多大な労力を要する可能性がある。
【0012】
本発明は上記問題に鑑み、吸気酸素濃度センサを用いたパージ制御を行う場合に吸気酸素濃度センサの異常を早期に検出することにより、異常の状況に応じた対処を可能とする手段を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、内燃機関の空燃比制御装置であって、
内燃機関の吸気通路に配置され、吸気中の蒸発燃料濃度を検出する蒸発燃料濃度センサと、
前記蒸発燃料濃度センサ上流側の吸気通路に燃料タンク内の蒸発燃料を供給するパージ装置と、
前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて吸気中に含まれる前記蒸発燃料の量を算出するベーパ量算出手段と、
前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて機関への燃料供給量を補正する吸気側パージ制御を行う吸気側パージ制御手段と、
機関出力に関連するパラメータに基づいて、機関出力の異常を検出する出力異常検出手段と、
前記吸気側パージ制御の実行中に検出された機関出力の異常が前記吸気側パージ制御により生じているか否かを判定する判定手段と、
前記吸気側パージ制御により機関出力に異常が生じていると判定された場合に、前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断するセンサ異常判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
すなわち、請求項1の発明では、判定手段は、出力異常検出手段により機関出力に関連するパラメータに基づいて、吸気側パージ制御の実行中に機関出力の異常が検出されたときに、この機関出力の異常が吸気側パージ制御により生じているか否かを判定する。例えば、吸気側パージ制御実行中に機関出力に異常が生じる原因としては、パージ装置などのパージ系に異常があり、吸気通路に供給する蒸発燃料量が大きく変動するような場合も考えられる。しかし、蒸発燃料濃度センサが正常であれば蒸発燃料量の変動は直ちに機関への燃料供給量の補正に反映されるため、機関出力には影響を生じないはずである。従って、機関出力の異常が吸気側パージ制御により生じていると判断された場合には、蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断することができる。本発明では、センサ異常判定手段は、吸気側パージ制御により機関出力に異常が生じていると判定された場合には、蒸発燃料濃度センサに異常が発生したと判定する。これにより、例えば、蒸発燃料濃度センサに基づく吸気側パージ制御を停止する等のように原因に応じた適切な対処が可能となるとともに、修理の際にも他の原因の可能性を検査する必要がなくなり短時間での修理が可能となる。
なお、出力異常検出手段の出力異常検出のもととなるパラメータとしては、例えば機関回転数、排気空燃比、各気筒の燃焼圧力などが使用可能であり、更に内燃機関と電気モータとで同時に負荷を駆動する形式のハイブリッドパワーユニットにおいては、電気モータの駆動電流(駆動トルク)等が使用可能である。
また、センサ異常判定手段は、吸気側パージ制御により機関出力に異常が生じていると判定された場合に直ちに蒸発燃料濃度センサに異常が発生したと判定する代りに、パージ制御により機関出力に異常が生じていると判定された場合に、蒸発燃料濃度センサの仮の異常判定を行って、その後別のもっと精度の高い方法を用いて真に蒸発燃料濃度センサに異常が生じたか否かを判定するようにしてもよい。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記判定手段は、前記吸気側パージ制御が実行されていない時に前記機関出力の異常が検出されたか否かに基づいて、前記吸気側パージ制御により前記機関出力の異常が生じているか否かを判定することを特徴とする。
【0016】
すなわち、請求項2の発明では異常検出手段は吸気側パージ制御実行中のみならず吸気側パージ制御を実行していない場合にも機関の出力に異常が生じているか否かを監視する。これにより、例えば吸気側パージ制御を実行していないときには機関出力に異常がなく、吸気側パージ制御実行中に機関出力に異常が生じたような場合には機関出力の異常は吸気側パージ制御により生じていると判断できる。このため、確実にセンサ異常判定手段により蒸発燃料濃度センサの異常を判定することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記機関出力に関連するパラメータは機関回転数であることを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項3に記載の発明では、出力異常検出手段は、機関回転数の変動に基づいて機関出力の異常の有無を検出する。例えば、機関の空燃比に乱れが生じていない場合には、機関出力は全体として増減するものの機関1回転毎の出力変動は小さくなっている。これに対して、種々の原因により気筒毎に出力が変動を生じるようになると、それに応じて機関回転数も変動する。このため、機関回転数の変動を監視することにより、機関出力に異常が生じているか否かを判定することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記機関出力に関連するパラメータは内燃機関の排気空燃比であることを特徴とする。
【0020】
すなわち、請求項4に記載の発明では、出力異常検出手段は機関排気空燃比に基づいて機関出力に異常が生じていることを検出する。例えば、機関空燃比は通常ある目標値に制御されており、機関の排気空燃比もこの目標値に維持されている。しかし、機関に供給される燃料量が変動して機関出力に異常が生じたような場合には機関排気空燃比も機関出力に応じて変動するようになる。このため、機関排気空燃比の変動を監視することにより、機関出力に異常が生じているか否かを判定することが可能となる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置され、排気空燃比に応じた信号を出力する排気空燃比センサと、
前記排気空燃比センサの出力に基づいて前記内燃機関に供給される混合気の空燃比を制御する排気側空燃比制御手段と、
前記蒸発燃料濃度センサの異常が検出されたときに、前記吸気側パージ制御を中止する吸気側パージ制御中止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
すなわち、請求項5に記載の発明では、センサ異常検出手段により吸気側パージ制御実行中に蒸発燃料濃度センサの異常が判定された場合には、直ちに吸気酸素濃度センサ出力に基づく吸気側パージ制御が停止され、排気空燃比センサ出力に基づく機関への燃料供給量の補正、すなわち排気空燃比センサ出力に基づく機関空燃比制御が行われる。なお、蒸発燃料濃度センサ出力に基づく吸気側パージ制御実行中にも排気空燃比センサ出力に基づく機関空燃比制御を実行している場合には、蒸発燃料濃度センサ出力に基づく吸気側パージ制御を中止して、排気空燃比センサ出力に基づく空燃比制御が継続される。排気空燃比センサ出力に基づく空燃比制御のみでは、蒸発燃料濃度センサ出力に基づく吸気側パージ制御のように高い応答性は期待できないが、パージ装置による蒸発燃料供給時にも機関空燃比を目標空燃比に維持することは可能である。このため、本発明によれば、蒸発燃料濃度センサに異常が生じた場合にも、パージ装置からの蒸発燃料の供給(パージ)を継続することが可能となる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記パージ装置から前記蒸発燃料がパージされており、前記吸気側パージ制御が中止されており、かつ、前記排気空燃比センサの出力に基づく燃料供給量の補正が実行されている状況下で、前記機関出力の異常が検出された場合に、前記蒸発燃料のパージを停止させるパージ停止手段を備えることを特徴とする。
【0024】
すなわち、請求項6記載の発明では、吸気側パージ制御が中止されている状況下で、排気空燃比センサの出力に基づく補正により、機関出力の異常が抑えられない場合には、蒸発燃料のパージを中止することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記センサ異常判定手段により前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断された場合に、前記蒸発燃料濃度センサの出力特性に異常が生じているか否かを判定するセンサ特性異常判定手段と、
前記出力特性に異常が認められない場合には、前記吸気側パージ制御の実行を許可する吸気側パージ制御許可手段と、
を備えることを特徴とする。
【0026】
すなわち、請求項7記載の発明では、機関出力の異常に基づいて蒸発燃料濃度センサの異常が認められる場合に、蒸発燃料濃度センサの出力特性が異常であるかを確認することができる。そして、その出力特性が異常でない場合には、吸気側パージ制御の再開を許可することができる。
【0027】
請求項8記載の発明は、内燃機関の空燃比制御装置であって、
内燃機関の吸気通路に配置され、吸気中の蒸発燃料濃度を検出する蒸発燃料濃度センサと、
前記蒸発燃料濃度センサ上流側の吸気通路に燃料タンク内の蒸発燃料を供給するパージ装置と、
前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて機関への燃料供給量を補正する吸気側パージ制御を行う吸気側パージ制御手段と、
内燃機関の排気通路に配置され、排気空燃比に応じた信号を出力する排気空燃比センサと、
前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記排気空燃比センサの検出値に基づいて前記内燃機関に供給される混合気の空燃比制御を行う排気側パージ制御を行う排気側パージ制御手段と、
前記吸気側パージ制御の実行に必要なシステムの異常を検出するシステム異常検出手段と、
前記システムの異常が検出された場合に、前記吸気側パージ制御を中止して、前記排気側パージ制御を開始または継続させる制御変更手段と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
すなわち、請求項8記載の発明では、吸気側パージ制御の実行に必要なシステムに異常が生じた場合に、吸気側パージ制御を中止して、以後、排気側パージ制御により、大きな空燃比ずれを発生させることなく、蒸発燃料のパージを継続させることができる。
【0029】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記吸気通路に配置され、吸気圧力に応じた出力を発する吸気圧センサと、
内燃機関の状態に基づいて前記吸気圧力を推定する吸気圧推定手段とを備え、
前記蒸発燃料濃度センサは圧力に依存した出力特性を有し、
前記システム異常検出手段は、前記蒸発燃料濃度センサの異常を検出する手段と、前記吸気圧センサの異常を検出する手段とを含み、
前記吸気圧センサが正常である場合は当該吸気圧センサの出力に基づいて前記蒸発燃料濃度センサの出力を圧力補正し、前記吸気圧センサが異常である場合は前記吸気圧力の推定値に基づいて前記蒸発燃料濃度センサの出力を圧力補正するセンサ出力補正手段と、
前記吸気圧センサに異常が生じていても、前記蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、前記センサ出力補正手段の補正結果に基づいて前記吸気側パージ制御を継続させる手段とを、更に備えることを特徴とする。
【0030】
すなわち、請求項9記載の発明では、吸気圧センサに異常が発生しても、蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、吸気圧力の推定値を利用することで、蒸発燃料濃度センサの出力を有効利用することができる。この場合、システムに異常が生じているにも関わらず、吸気側パージ制御が実質的に継続され、高い空燃比制御精度が維持される。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記パージ装置から前記吸気通路へ流通するパージ量を制御するパージ制御弁を含み、
前記システム異常検出手段は、前記蒸発燃料濃度センサの異常を検出する手段と、前記パージ制御弁の異常を検出する手段とを含み、
前記パージ制御弁に異常が生じていても、前記蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、前記吸気側パージ制御の処理のうち、前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料供給量の補正を継続させる手段を更に備えることを特徴とする。
【0032】
すなわち、請求項10記載の発明では、パージ制御弁に異常が発生しても、蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、蒸発燃料濃度センサの出力を利用した空燃比制御が継続される。この場合、システムに異常が生じているにも関わらず、高い空燃比制御精度が維持される。
【0033】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料供給量の補正が継続された後、排気空燃比が許容範囲から外れる場合には、前記蒸発燃料のパージの停止を試みる手段を備えることを特徴とする。
【0034】
すなわち、請求項11記載の発明では、パージ制御弁に異常が発生し、その後、蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料噴射量補正が継続されている状況下で、空燃比が所望の範囲に制御できない場合には、即座に蒸発燃料のパージが停止され、空燃比荒れの抑制が図られる。
【0035】
請求項12記載の発明は、請求項10または11記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じており、かつ、前記パージ制御弁に異常が生じている場合には、前記蒸発燃料のパージの停止を試みる手段を備えることを特徴とする。
【0036】
すなわち、請求項12記載の発明では、蒸発燃料濃度センサおよびパージ制御弁の双方に異常が生じている場合には、即座にパージの停止が試行される。パージ制御弁に異常が生じている場合、排気空燃比センサの検出値に基づく空燃比制御では、空燃比を所望の範囲に制御できないことがある。本発明によれば、そのような事態の発生が未然に防止される。
【0037】
請求項13記載の発明は、請求項8乃至12の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置であって、
前記システム異常検出手段は、
機関出力に関連するパラメータに基づいて、機関出力の異常を検出する出力異常検出手段と、
前記吸気側パージ制御が実行されていない時に前記機関出力の異常が検出され、かつ、前記吸気側パージ制御の実行中に前記機関出力の異常が検出された場合に、前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断するセンサ異常判定手段と、
を含むことを特徴とする。
【0038】
すなわち、請求項13記載の発明では、機関出力の異常が吸気側パージ制御の実行に起因して発生している場合に、速やかに蒸発燃料濃度センサの異常が認識される。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
【0040】
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では、機関1は#1から#4の4つの気筒を備えた4気筒ガソリン機関とされ、各気筒には気筒内に直接燃料を噴射する簡内燃料噴射弁111から114が設けられている。
また、本実施形態では#1から#4の気筒は互いに点火時期が連続しない2つの気筒からなる2つの気筒群にグループ分けされている。(例えば、図1の実施形態では、気筒点火順序は1−3−4−2であり、#1、#4の気筒と#2、#3の気筒とがそれぞれ気筒群を構成している。)また、各気筒の排気ポートは気筒群毎に排気マニホルドに接続され、気筒群毎の排気通路に接続されている。図1において、21aは#1、#4気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2aに接続する排気マニホルド、21bは#2、#3気筒からなる気筒群の排気ポートを個別排気通路2bに接続する排気マニホルドである。本実施形態では、個別排気通路2a、2b上には、公知の三元触媒からなるスタートキャタリスト(以下「SC」と呼ぶ)5aと5bがそれぞれ配置されている。また、個別排気通路2a、2bはSC下流側で共通の排気通路2に合流している。
【0041】
図1に29a、29bで示すのは、個別排気通路2a、2bのスタートキャタリスト5a、5b上流側に配置された空燃比センサである。空燃比センサ29a、29bは、後述する吸気酸素濃度センサと同様な構成を有するセンサであり、広い空燃比範囲で排気空燃比に対応する電圧信号を出力する。空燃比センサ29a、29bの出力は機関1の空燃比制御に使用される。
図1に10bで示すのは機関各気筒の吸気ポートを吸気通路10に接続する吸気マニホルド、10aは吸気通路10に設けられたサージタンクである。
【0042】
更に、本実施形態では吸気通路10上にはスロットル弁15が設けられている。本実施形態のスロットル弁15はいわゆる電子制御スロットル弁とされており、ステッパモータ等の適宜な形式のアクチュエータ15aにより駆動され後述するECU30からの制御信号に応じた開度をとる。
【0043】
吸気通路10のスロットル弁15下流側には、パージ制御弁41を介して公知の蒸発燃料パージ装置40が接続されている。パージ装置40は、例えば活性炭などの吸着剤を収納したキャニスタを備えており、機関1の図示しない燃料タンク中の蒸発燃料をキャニスタ内の吸着剤に吸着させる。これにより、燃料タンクから大気への蒸発燃料の放散が防止される。パージ制御弁41は、例えばソレノイドアクチュエータを備え、ECU30の制御信号に応じた開度をとる。
【0044】
より正確には、パージ制御弁41のソレノイドアクチュエータは、ECU30からの駆動パルス信号に応じてパージ制御弁41を開閉する。すなわち、パージ制御弁41は、駆動パルス信号の1周期のうち、パルス信号がオンになっている間開弁し、オフになっている間閉弁する動作を繰返している。従って、パージ制御弁を通るパージガス流量は、駆動パルス信号の1周期のうち、パルス信号がオンになっている時間の割合(デューティ比)に応じて増大する。このように、デューティ比を制御することは、パージ制御弁をデューティ比に応じた開度に制御することと等価であり、本明細書では、このデューティ比を便宜的にパージ制御弁の開度と称する場合がある。機関運転中にパージ制御弁41が開弁されると、パージ装置40のキャニスタ内に吸着された蒸発燃料は、パージ制御弁41から吸気通路10に流入し、スロットル弁15を通過した機関吸気と混合して均一な混合気となり機関1の各気筒に吸入される。
【0045】
さらに、本実施形態では、吸気通路10のサージタンク10aには吸気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ31が配置されている。酸素濃度センサ31は、後述するように酸素ポンプの作用により排気中の酸素濃度(分圧)に比例した電圧信号を出力する。
図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM,ROM,CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の点火時期制御や空燃比制御等の基本制御を行う他、パージ制御弁41の開閉を制御して蒸発燃料のパージを行う。
【0046】
更に、ECU30はパージ実行時に吸気酸素濃度センサ31出力に基いて、吸気中の蒸発燃料量を算出し、この蒸発燃料量に基づいて各気筒の燃料噴射弁111から114の燃料噴射量を補正する燃料ベーパ補正を行うとともに、後述する吸気酸素濃度センサ31の異常の有無を検出するセンサ異常検出操作を行う。
なお、本実施形態では、(1)前述の、排気空燃比センサ出力に基づく燃料噴射量制御(排気空燃比制御)と、(2)パージ実行時に行われる吸気酸素濃度センサ出力に基づく燃料噴射量制御との両方が行われる。また、通常、上記(1)の排気空燃比制御はパージ実行の有無にかかわらず実行されている。従ってパージ実行時には上記(1)の排気空燃比制御も同時に実行されることになる。このため、例えばパージ実行時に上記(2)の吸気酸素濃度センサ出力に基づく燃料噴射量制御が行われていない場合には、上記(1)の排気空燃比制御でパージにより供給される蒸発燃料分も含めた燃料噴射量補正を行うことになる。
以下の説明では、上記(2)のパージ実行時に行われる吸気酸素濃度センサ出力に基づく燃料噴射量の補正を「吸気O2パージ制御」、(1)の排気空燃比制御が、パージ実行時に行われている場合を特に「排気O2パージ制御」と呼んで区別することとする。
【0047】
上記各制御を行うため、ECU30の入力ポートには、空燃比センサ29a、29bから排気空燃比を表す信号と、吸気酸素濃度センサ31から吸気中の酸素濃度を表す信号が、また、機関吸気マニホルドに設けられた吸気圧センサ33から機関の吸気圧力に対応する信号が、更に、クランク軸近傍に配置されたクランク角センサ35からクランク軸所定回転角度毎(例えば15度毎)にクランク位置を表すクランク角パルス信号と、クランク軸が基準位置(例えば#1気筒が圧縮上死点にある位置)になる毎に基準パルス信号との2つの信号が、それぞれ入力されている。ECU30は、クランク角パルス信号の周期と基準パルス信号とから機関回転数とクランク軸位相とを一定時間毎に算出している。
【0048】
ECU30の出力ポートは、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を制御するために、図示しない燃料噴射回路を介して各気筒の燃料噴射弁111から114に接続されている他、スロットル弁15のアクチュエータ15aに図示しない駆動回路を介して接続されスロットル弁15の開度を制御している。
また、ECU30はパージ制御弁41のアクチュエータに図示しない駆動回路を介して接続されパージ制御弁41の開度を制御して、蒸発燃料のパージを行う。
【0049】
本実施形態では、ECU30は機関1をリッチ空燃比からリーン空燃比までの広い空燃比範囲で運転するが、例えば、機関1がリッチ空燃比または理論空燃比で運転される場合には、機関燃料噴射量は、吸気圧力PMと回転数NEとから定まる機関吸入空気量と機関の目標空燃比とに基いて算出されるとともに、更に排気空燃比センサ29a、29b出力に基くフィードバック制御により補正される。
【0050】
機関の吸入空気量GAは、機関の吸気圧力と機関回転数とにより定まり、吸気圧力PMと機関回転数NEとを計測することにより吸入空気量GAを算出することができる。また、吸入空気量GAが定まれば、機関の運転空燃比を目標空燃比RTに一致させるために必要な燃料噴射量(基本燃料噴射量)GFBは、GFB=GA/RTとして算出することができる。本実施形態では、機関が理論空燃比以下のリッチ空燃比で運転される場合の基本燃料噴射量GFBの値は、目標空燃比RTと吸気圧力PM、機関回転数NEとを用いた数値マップの形でECU30のROMに格納されている。
【0051】
また、実際の機関燃料噴射量GFは、上記基本燃料噴射量GFBを用いて以下のように算出される。
GF=GFB×EFKG×FAF
【0052】
ここで、FAFは排気空燃比センサ29a、29bで検出された排気空燃比に基いて算出される機関空燃比を目標空燃比に正確に一致させるための補正係数であり、空燃比フィードバック補正係数と称する。空燃比フィードバック補正係数は、例えば、目標空燃比と排気空燃比センサ29a、29bで検出した排気空燃比との偏差に基く比例、積分、微分(PID)制御により算出される。また、EFKGは空燃比制御系統のセンサ検出誤差や燃料噴射弁111から114の燃料噴射誤差を補正するための学習補正係数である。なお、本実施形態では、空燃比フィードバック補正係数FAFと学習補正係数EFKGの算出方法は、公知のいかなる方法をも使用することが可能であるため、算出方法についての詳細な説明は省略する。
【0053】
以下、本実施形態の吸気酸素濃度センサ31出力に基づく燃料噴射補正について説明する。
本実施形態では、吸気酸素濃度センサ31の出力に基いて算出するセンサ出力比αに基づいて上記の燃料ベーパ量補正を行う。
センサ出力比αは、パージを実行していないときの吸気酸素濃度センサ31出力、すなわちパージを実行していないときの吸気酸素濃度ROとパージ実行中の酸素濃度センサ31出力(パージ実行中の吸気酸素濃度)RPとの比、すなわち、α=RP/ROとして与えられる。
【0054】
吸気中に燃料ベーパがあると、吸気中の酸素はセンサ31上で燃料ベーパと反応して消費される。このため、センサ31上では燃料ベーパとの反応に消費されただけ酸素濃度が低下してセンサ出力はRPとなる。すなわち、吸気中の酸素のうちRO×(1−α)に相当する量の酸素が燃料ベーパとの反応により消費される。従って、機関の目標空燃比が理論空燃比(空気過剰率λ=1)である場合には、吸気中の酸素のうち、燃料噴射により供給される燃焼に使用可能な酸素の割合はRO×αとなる。このため、機関の運転空燃比を理論空燃比に維持するためには、パージを実行していない場合の燃料噴射量に対して燃焼に使用可能な酸素の割合が減った分だけ燃料噴射量を削減すればパージを実行していないときと同一の空燃比を維持可能である。従って、この場合には、燃料噴射量をα倍(α≦1)に減量すればベーパのない場合と同一の空燃比を維持することができる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、ECU30は目標空燃比が理論空燃比である場合の燃料噴射弁からの実際の燃料噴射量GFTAを、(1)式で算出したGFにセンサ出力比αを乗じた値として算出する。
すなわち、GFTA=GF×α=GFB×α×EFKG×FAF‥…(2)
【0056】
これにより、蒸発燃料パージ実行時にも燃料噴射量は正確に目標空燃比を得ることができる値に制御されるようになる。上記は、目標空燃比が理論空燃比である場合について説明したが、目標空燃比がリーン空燃比またはリッチ空燃比の場合にも吸気酸素濃度センサ31の出力に基づいて吸気中の燃料ベーパ量を算出して同様な燃料噴射量補正を行うことにより、パージ実行時にも正確に目標空燃比を維持することが可能となる。
【0057】
次に、本実施形態の機関出力異常の検出について説明する。
上述のように、パージ実行時には吸気酸素濃度センサ31出力に基づいて直接燃料噴射量が補正されるため、センサ31に異常が生じると機関空燃比の乱れによる機関出力の変動が生じる。パージ実行時には蒸発燃料を含むパージ装置からの空気(パージガス)はパージ制御弁41を通って吸気通路10に供給されるが、前述したようにパージ制御弁41はECU30からの駆動パルスのオンオフに応じて開閉を繰返しており、パルス信号の1周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)を変更することによりパージガス流量が調節される。このため、パージ実行時には、実際にはパージガスはパージ制御弁のオンオフに応じて間欠的に吸気通路に供給されるようになる。このため、実際のパージ実行時には吸気中の蒸発燃料濃度は周期的に変動している。吸気酸素濃度センサ31が正常であればこの蒸発燃料量の変動は直ちに補正されるため、実際に機関の各気筒で燃焼する燃料の量は変動しないが、吸気酸素濃度センサ31に異常が生じると、機関の各気筒で燃焼する燃料の量は、吸気中の蒸発燃料量に応じて変動する。また、吸気酸素濃度センサ31の異常の態様によっては、吸気中の蒸発燃料量の変動に応じて、燃料噴射量が過大に補正されてしまうために機関で燃焼する燃料量が変動する場合が生じる。
【0058】
すなわち、吸気酸素濃度センサ31に異常が生じると、機関の各気筒で燃焼する燃料量が変動し、機関の燃焼空燃比は各気筒、各回転毎の比較的短い周期で変動するようになる。このため、機関の各気筒の燃焼空燃比の変動により、機関の各気筒の出力トルクがばらつき、機関回転数が変動するようになる。
従って、機関回転数を監視し、機関回転速度の変動を検出することにより、機関出力に異常が生じたことを検出することができる。
【0059】
詳細には、本実施形態ではECU30は機関運転中、出力異常検出操作を行っており、クランク角センサ35からクランク回転角15度毎に入力するクランク回転角パルス信号の時間間隔から機関回転数を算出している。また、ECU30はクランク角センサ35から入力する基準パルス信号と上述したクランク回転角パルス信号とから、各気筒の爆発行程におけるクランク回転速度を算出する。そして、機関1回転毎の各気筒の爆発行程における回転速度の平均値を算出し、各気筒の爆発行程における回転速度が上記平均回転速度から予め定めた判定値以上ばらついている状態が所定時間継続する場合には、機関出力の異常が生じたと判定するようにしている。
【0060】
なお、機関出力異常の検出方法は上記に限定されるわけではない。例えば、機関燃焼空燃比が変動することにより機関出力が変動する場合には、機関排気空燃比が燃焼空燃比の変動に応じて変動するようになる。このため、排気空燃比センサで検出した排気空燃比が変動するか否かを監視し、変動幅が予め定めた判定値以上になった場合に機関出力に異常が生じたと判定するようにしても良い。本実施形態では排気通路に排気空燃比センサ29a、29bが設けられているため、これらのセンサ出力を監視することによっても機関出力の異常を検出することが可能となる。
【0061】
また、例えば、燃焼室内の燃焼圧力を検出する燃焼圧センサを備えた機関では、各気筒の爆発行程時の燃焼圧を監視し、この燃焼圧が所定値以上ばらつくときに失火が生じたと判定するようにしてもよい。また、例えば図1で示した以外の構成の機関、例えば内燃機関と電気モータとの両方を用いて同時に負荷を駆動するハイブリッド機関では、内燃機関出力が変動すると、この変動を補償するために電気モータ出力トルクが変動するようになる。このため、電気モータの電流値を監視し、この電流値が所定の幅異常変動する場合に機関出力に異常が生じたと判定するようにすることもできる。
【0062】
以下に、本実施形態の吸気酸素濃度センサの異常検出操作の実施形態について説明するが、以下の実施形態では、上記に説明した機関出力異常検出方法のいずれかに基づいて検出した機関出力の異常に基づいて吸気酸素濃度センサの異常を検出する。
【0063】
実施の形態1.
本実施形態では、ECU30は機関運転中にパージ実行の有無にかかわらず定時間毎に機関出力の異常検出操作を行い、パージを実行していないときに機関出力の異常が生じておらず、パージ実行時に機関出力の異常が生じた場合には、吸気酸素濃度センサに異常が生じたと判定する。
【0064】
前述したように、パージ系の故障としては、例えばパージ制御弁の故障などによりパージガス量が変動するような場合が考えられる。しかし、この場合も吸気酸素濃度センサが正常であれば、パージガス量の変動に応じて直ちに燃料噴射量が補正されるため、各気筒の燃焼空燃比は変動せず機関出力の変動は生じない。このため、パージを実行していないときに機関出力に異常がなく、パージ実行時に機関出力に異常が生じた場合には、吸気酸素濃度センサの異常が原因である確率が極めて高い。
【0065】
このように、吸気酸素濃度センサの異常の有無を判定することにより、機関出力変動の原因を特定することが容易になり、修理時の故障原因特定のための工数を削減することが可能となる。
更に、本実施形態では上記により吸気酸素濃度センサに異常が生じていると判定された場合には、吸気酸素濃度センサ出力に基づくパージ制御(吸気O2パージ制御)の実行を禁止するとともに、排気空燃比センサ出力に基づく空燃比制御(排気O2パージ制御)によりパージを実行する。これにより、吸気酸素濃度センサに異常が生じている場合にも蒸発燃料のパージが可能となるため、パージ装置の吸着剤が蒸発燃料で飽和することが防止される。
【0066】
図2は、本実施形態の吸気酸素濃度センサ異常検出操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図2の操作では、先ずステップ201で現在パージ実行中であるか否かが判定される。ステップ201でパージ実行中でない場合、すなわちパージ制御弁41が全開(デューティ比0)とされていた場合には、現在吸気O2パージ制御は実行されていないため、ステップ203に進み、現存機関出力に異常が生じているか否かを検出する。ステップ203の異常検出操作では、前述したように、機関回転数の変動、排気空燃比センサ出力の変動、或は気筒の燃焼圧力変動、ハイブリッド機関では電気モータの電流値の変動などのいずれかの方法に基づいて機関出力(回転数)が判定値以上に変動しているか否かを判断し、変動している場合には機関出力に異常が生じたと判定される。
【0067】
ステップ205では、ステップ203の機関出力異常検出操作の結果、機関出力が異常と判定されたか否かを判断し、出力異常と判定された場合にはステップ209でパージ非実行時の出力異常フラグXPの値を0(異常)にセットし、出力異常が検出されなかった場合にはステップ207でフラグXPを1(正常)にセットした後今回の操作を終了する。
ステップ201で現在パージ実行中であった場合には、次にステップ211でフラグXPの値が1にセットされているか否かが判定される。ステップ211でXP≠1であった場合、すなわち吸気O2パージ制御を実行していないときに既に機関出力に異常が生じていた場合には、吸気酸素濃度センサ以外に出力異常の原因があるため、ステップ213以下の吸気酸素濃度センサの異常検出操作は実行する必要がない。このため、この場合には今回の操作実行は直ちに終了する。なお、この場合、現在吸気O2パージ制御を実行している場合には、そのままパージ制御が実行される。
【0068】
ステップ211でXP=1、すなわち、パージを実行していないときに機関出力の異常が生じていなかった場合には、次にステップ213に進み、現在吸気O2パージ制御が実行中であるか否かが判定される。吸気O2パージ制御が実行されていない場合(例えば、後述の操作で吸気酸素濃度センサの異常が検出されて、吸気O2パージ制御が禁止(ステップ223)されているような場合)には、ステップ227に進み、排気空燃比センサ出力に基づく空燃比制御(排気O2パージ制御)を実行する。
【0069】
また、ステップ213で現在吸気O2パージ制御が実行中であった揚合には、次にステップ215に進み、再度機関出力異常検出操作が実行される。ステップ215は、ステップ203と同一の操作であるので説明は省略する。
【0070】
次にステップ217では、ステップ215で機関出力異常が検出されたか否かが判定される。
ステップ217で機関出力に異常が生じていない場合には、すなわち、吸気O2パージ制御は正常に実行されているため、吸気酸素濃度センサには異常は生じていない。このため、ステップ219でフラグXSの値を1にセットし、ステップ221では吸気O2パージ制御の継続を許可して今回の操作を終了する。ステップ219のフラグXSは、吸気酸素濃度センサの異常の有無を表すフラグであり、XS=1は吸気酸素濃度センサが正常であることを意味する。
【0071】
ステップ217で機関出力に異常があった場合には、パージ非実行時には異常がなかったのであるから、吸気O2パージ制御を実施したために機関出力に異常が生じたと判断することができる。そこで、この場合にはステップ223に進み、吸気O2パージ制御を禁止して、ステップ225でフラグXSの値を0(異常)にセットする。この、フラグXSの値は、例えばECU30のバックアップRAM(機関メインスイッチがオフにされてもメモリー保持が可能なRAM)に格納することにより、修理、点検時の故障個所の特定が容易になる。また、フラグXSの値が0にセットされた場合には、別途ECU30により実行されるアラーム制御操作により、運転席近傍の警告灯が点灯され吸気酸素濃度センサに異常が生じたことが運転者に報知される。
【0072】
ステップ227から231は排気O2パージ制御操作を示す。本実施形態では、吸気酸素濃度センサに異常が検出された場合には、排気O2パージ制御を実施することによりパージを継続する。前述のように、排気O2パージ制御では、排気通路に配置した排気空燃比センサ29a、29b出力に基づいて、排気空燃比が目標値になるように燃料噴射量がフィードバック制御されるため、パージによる蒸発燃料量も排気O2パージ制御により補正され、機関空燃比は目標空燃比に維持される。
【0073】
ステップ227から231の操作では、まずステップ227で排気空燃比制御を開始するためのベース空燃比の学習が完了しているか否かが判定される。ベース空燃比の学習は、前述した空燃比制御系統のセンサ検出誤差や燃料噴射弁111から114の燃料噴射誤差を補正するための学習補正係数EFKGを求める操作である。ステップ227でベース空燃比の学習が完了していない場合には、次にステップ229に進み、べ一ス空燃比の学習を行う。ベース空燃比の学習操作では、パージ制御弁41を閉弁して蒸発燃料の影響がない状態にして、例えば基本燃料噴射量GFBの燃料を噴射したときに排気空燃比センサ29a、29bで検出された実際の排気空燃比に基づいて学習補正係数EFKGを算出することにより行う。
【0074】
ステップ227で、このベース空燃比学習が既に完了している場合には、ステップ231に進み、排気空燃比センサ出力に基づく燃料噴射量のフィードバック補正(排気O2パージ制御)が実行される。このように、吸気酸素濃度センサに異常が検出され、吸気O2パージ制御を停止して排気O2パージ制御のみで燃料噴射量の補正を開始する前に、必ずベース空燃比の学習を行うようにすることにより、パージを継続した場合にも排気O2パージ制御の誤差が少なくなりパージ実行中の機関空燃比変動が最小に抑制されるようになる。
【0075】
尚、上述した実施の形態1においては、ECU30が、吸気Oパージ制御を実行することにより、前記請求項1記載の「ベーパ量算出手段」および「吸気側パージ制御手段」が、上記ステップ203および215の処理を実行することにより前記請求項1記載の「出力異常検出手段」が、上記ステップ205〜209および211の処理を実行することにより前記請求項1記載の「判定手段」が、上記ステップ225の処理を実行することにより前記請求項1記載の「センサ異常判定手段」が、それぞれ実現されている。
【0076】
また、上述した実施の形態1においては、ECU30が、空燃比センサ29a、29bの出力に基づいて空燃比制御を行うことにより前記請求項5記載の「排気側空燃比制御手段」が、上記ステップ223の処理を実行することにより前記請求項5記載の「吸気側パージ制御中止手段」が、それぞれ実現されている。
【0077】
実施の形態2.
次に、本発明の吸気酸素濃度センサ異常検出操作の第2の実施形態について説明する。
上述の第1の実施形態では、一旦吸気酸素濃度センサに異常が生じると吸気O2パージ制御を停止して排気O2パージ制御によりパージを行っていた。しかし、前述したように排気O2パージ制御は吸気O2パージ制御に比較して応答性が悪いため、大量のパージを急激に行ったような場合には機関の空燃比が乱れる問題がある。
【0078】
一方、吸気酸素濃度センサに異常が生じていると判定された場合も、真に吸気酸素濃度センサに異常が生じている場合のみでなく、例えば吸気酸素濃度センサの出力の圧力補正に誤差が生じているために吸気酸素濃度センサ自体は正常だが吸気O2パージ制御に異常を生じている可能性もある。
すなわち、吸気酸素濃度センサ出力は圧力依存性を有しており、酸素濃度が一定であっても吸気圧力が変化するとセンサ出力も変化してしまう。通常、これを防止するために吸気O2パージ制御では、吸気酸素濃度センサ出力を吸気通路圧力を用いて補正した値を使用しているが、この圧力補正に誤差を生じているとセンサ出力が実際の吸気酸素濃度と一致しない場合が生じる。
【0079】
そこで、本実施形態では一旦吸気酸素濃度センサに異常が生じていると判定された場合には、排気O2パージ制御によりパージを継続するとともに、吸気酸素濃度センサに真に異常が生じているか否かを別の方法を用いて判定し、センサ自体に異常が生じていないと判定された場合には、再度吸気O2パージ制御に復帰するようにしている。
これにより、吸気酸素濃度センサの異常が検出されて、吸気O2パージ制御が中止された場合にも、再検査により吸気酸素濃度センサに異常が生じていないことが判明した場合には吸気O2パージ制御を再開することが可能となる。
【0080】
図3、図4は、本実施形態の吸気酸素濃度センサ異常検出操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。図3のステップ301からステップ320は、図2のステップ201からステップ221と、それぞれ同一の操作であるのでここでは説明を省略する。
ステップ317で、吸気O2パージ制御を実行していないときには機関出力が正常であったのに、吸気O2パージ制御を実行したことにより機関出力に異常が検出された場合には、本実施形態においても図4ステップ321で吸気O2パージ制御が中止され、ステップ323で吸気酸素濃度センサの異常を表すフラグXSの値が0(異常)に設定され、ステップ325では排気O2パージ制御が実行される。図4ステップ325の操作は、図2のステップ227、229、231の操作をまとめて表してある。
【0081】
本実施形態では、図4ステップ325で排気O2パージ制御を実行中に再度機関出力の異常の有無を判定する。すなわち、ステップ327では、再度、ステップ303と同様な方法で機関出力に異常が生じているか否かを判定する。ステップ329で機関出力の異常が検出される場合、すなわち排気O2パージ制御によるパージ実行中にまだ機関出力異常が検出される場合には、前回吸気O2パージ制御実行中に生じていた機関出力異常は、吸気酸素濃度センサの異常によるものではなく、他の原因(例えばパージ装置そのものの異常)である可能性がある。そこで、この場合には、ステップ331でパージ制御弁41を閉弁してパージを停止するとともに、ステップ333では、吸気酸素濃度センサの異常フラグXSの値を1(正常)にセットし直すとともに、パージ異常フラグXFの値を0にセットする。XF=0は吸気酸素濃度センサ以外のパージ系に異常が生じていることを示す。
【0082】
一方、機関出力に異常が生じていない場合には、前回検出された機関出力の異常は吸気酸素濃度センサの異常によるものであると仮定し、ステップ335で吸気酸素濃度センサ以外のパージ系要素に異常がないことを示すためにフラグXFの値を1にセットする。
続いて、ステップ337では吸気酸素濃度センサ出力に異常が生じているか否かを判定する。前述のように、吸気酸素濃度センサ出力は圧力に依存し、吸気中の蒸発燃料濃度が一定であっても吸気酸素濃度センサ出力は吸気圧力に応じて変化する。しかし、センサ出力が正常であれば吸気中の酸素濃度が一定の歩合のセンサ出力は吸気圧力に比例して変化する。すなわち、縦軸にセンサ出力、横軸に吸気圧力(絶対圧)をとって表すと、吸気中の酸素濃度が一定の場合には、センサ出力は常に原点(吸気圧力0、センサ出力0の点)を通る直線になる。
【0083】
ステップ337では、排気O2パージ制御の実行中、パージカット期間内に機関運転状態の変化により吸気圧力が変化したときに、変化前と変化後とのそれぞれの吸気圧力における吸気酸素濃度センサ出力を読みとり、これら2つのセンサ出力と吸気圧力との検出点を結ぶ直線が原点を通るか否かにより吸気酸素濃度センサ出力が正常か否かを判定するようにしている。なお、吸気酸素濃度センサ出力が正常か否かの判定は、上記以外にいかなる方法を用いて行っても良い。
【0084】
ステップ339で、吸気酸素濃度センサ出力が異常であった場合、すなわち、ステップ337で検出した2つの測定点が原点を通る直線上にない場合には、本操作はそのまま終了する。これにより、フラグXSの値は0(異常)に維持され、排気O2パージ制御が継続される。
一方、ステップ339で酸素濃度センサ出力が正常であった場合には、ステップ341でフラグXSの値は1(正常)にセットし直され、ステップ343では、吸気O2パージ制御が再開される。この場合、例えば、一旦パージを中止して、蒸発燃料の影響を除いた状態で、複数の吸気圧力におけるセンサ出力を計測してセンサ出力の圧力補正を再度実行してから吸気O2パージ制御が再開される。
【0085】
このように、本実施形態では一旦機関出力に基づいて吸気酸素濃度センサが異常と判定された場合にも、別の方法に基づいて真に吸気酸素濃度センサに異常が生じているか否かを判定し、異常が生じていない場合には吸気O2パージ制御が再開されるようになる。このため、パージ実行時に応答性の良い吸気O2パージ制御が行われる確率が高くなり、パージ実行時に正確な燃料噴射量補正が実行されるようになる。
【0086】
尚、上述した実施の形態2においては、ECU30が、上記ステップ331の処理を実行することにより前記請求項6記載の「パージ停止手段」が実現されている。更に、ECU30が、上記ステップ337および339の処理を実行することにより前記請求項7記載の「センサ特性異常判定手段」が、上記ステップ343の処理を実行することにより前記請求項7記載の「吸気側パージ制御許可手段」が、それぞれ実現されている。
【0087】
実施の形態3.
次に、図5乃至図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。図5乃至図9は、それぞれ本実施形態において実行される制御ルーチンのフローチャートである。本実施形態の空燃比制御装置は、図1に示すシステム構成において、それらのルーチンをECU30に実行させることにより実現することができる。
【0088】
図5は、本実施形態において、ECU30が実行する基本的な制御ルーチン(パージ切り替え制御ルーチン)のフローチャートである。
図5に示すルーチンでは、先ず、吸気Oパージシステムが正常であるか否かが判別される(ステップ400)。
ここで、吸気Oパージシステムとは、吸気Oパージ制御を実行するうえで必要なシステムを意味している。具体的には、吸気Oパージシステムは、パージ装置40、パージ制御弁41、吸気酸素濃度センサ31、および吸気圧センサ33などにより構成されている。
【0089】
上記ステップ400では、以下に示す3つの条件の成立性が判別され、それら全てが成立している場合に吸気Oパージシステムが正常であると判断される。
▲1▼吸気酸素濃度センサ31が正常であることを表すフラグXO2SENSに1がセットされているか、
▲2▼吸気圧センサ33が正常であることを表すフラグXPSENSに1がセットされているか、および、
▲3▼パージ制御弁41が正常であることを表すフラグXVSVに1がセットされているか。
尚、上記各種フラグの設定処理については、後に、図7乃至図9を参照して詳細に説明する。
【0090】
上記ステップ400において、吸気Oパージシステムが正常であると判別された場合は、次に、吸気Oパージ制御の実行が選択される(ステップ402)。
吸気Oパージ制御とは、実施の形態1で説明した通り、パージ制御弁41を適当に制御しつつ、吸気酸素濃度センサ31の検出値に基づいてパージされる蒸発燃料分を燃料噴射量から減量補正する制御である。吸気Oパージシステムが正常である場合は、上記の処理を行うことで、空燃比を精度良く目標近傍に制御しつつ、パージ装置40から多量の蒸発燃料をパージさせることができる。
【0091】
図5に示すルーチン中、上記ステップ400において、吸気Oパージシステムが正常でないと判別された場合は、吸気Oパージ制御の実行が停止され、排気Oパージ制御の実行が選択される(ステップ404)。
上述した実施の形態1または2において実行される排気Oパージ制御は、所望のパージ率を実現すべくパージ制御弁41を適当に制御しつつ、基本燃料噴射量GFBを、空燃比フィードバック補正係数FAFおよび学習補正係数EFKGを用いて補正することにより燃料噴射量GFを算出する制御である。これに対して、本実施形態において実行される排気Oパージ制御は、所望のパージ率を実現すべくパージ制御弁41を適当に制御しつつ、FAFやEFKGに加えてベーパ濃度学習係数FGPGを導入してパージ中の燃料噴射量(噴射時間TAU)を演算することにより、空燃比ずれを抑制しつつより多量のパージを可能とした制御である。
【0092】
排気Oパージ制御の内容は、例えば、特開平4−72453号公報、或いは特開平7−305662号公報などに開示されている。このため、ここでは、排気Oパージ制御の実行中に燃料噴射時間TAUを算出する手法を中心として、その基本的な内容のみを説明する。
【0093】
図6は、本実施形態において、排気Oパージ制御の実行中にECU30が実行するTAU算出ルーチンのフローチャートである。
図6に示すルーチンでは、先ず、次式に従ってパージ補正係数FPGが算出される(ステップ410)。
FPG=FGPG×PGR
【0094】
上記の演算式に含まれるベーパ濃度補正係数FGPGは、パージ率PGR1%に対して燃料噴射時間TAUに施すべき補正割合である。尚、パージ率PGRとは、パージ制御弁41を通過して吸気通路10に流入するガスの流量、すなわち、パージ量GPGRと、吸入空気量GAとの比GPGR/GAである。
【0095】
本実施形態において、上記のFGPGは、以下のような手順で学習される。すなわち、図1に示す構成において、吸気Oパージ制御が停止された状態で吸気通路10に蒸発燃料がパージされると、その影響で混合気の空燃比は変化し、空燃比フィードバック補正係数FAFの中心は、基準の値からリッチ側にシフトし始める。ベーパ濃度学習係数FGPGは、そのFAFの平滑値FAFAVが、FAFの基準値に近づくように適宜更新される。上記の更新処理によれば、蒸発燃料のパージの影響をベーパ濃度学習係数FGPGで吸収すること、換言すれば、ベーパ濃度学習係数FGPGの値を、TAUに対するパージの影響度合いに一致させることができる。そして、上記の演算式によれば、現在のパージ率PGRに対してTAUに施すべき補正量を、パージ補正係数FPGとして求めることができる。
【0096】
図6に示すルーチンでは、次に、以下に示す演算式に従って燃料噴射時間TAUが算出される(ステップ412)。
TAU=(GA/NE)×K×(FAF+KF+FPG)
上記の演算式中、NEは機関回転数、Kは噴射係数、KFは各増減量である。ここで、上述した空燃比学習係数EFKGは、各増減量KFに含まれている。
【0097】
上記の演算式によれば、吸入空気量GAをエンジン回転数NEで除した値に噴射係数Kを掛け合わせることにより、基本の燃料噴射時間(GFB)を求めることができる。そして、その基本の燃料噴射時間を、空燃比フィードバック補正係数FAFやパージ補正係数FGPGで補正することにより、所望の空燃比を実現するための燃料噴射時間TAUを精度良く求めることができる。
【0098】
上述した排気Oパージ制御によれば、実施の形態1または2で実行される排気Oパージ制御と異なり、パージの影響がパージ補正係数FPGにより、つまり、ベーパ濃度学習係数FGPGにより吸入されるため、空燃比フィードバック補正係数FAFの追従を待たずに多量のパージを行うことができる。このため、本実施形態において実行される排気Oパージ制御によれば、実施の形態1または2において、排気Oパージ制御が単独で実行される場合に比して、高いパージ能力を実現することができる。
【0099】
以下、本実施形態において、ECU30が上述した各種のフラグ(XO2SENS、XPSENSおよびXVSV)に1または0をセットするために実行する処理の内容について説明する。
【0100】
図7は、ECU30が、フラグXO2SENSの処理を行うべく、より具体的には、吸気酸素濃度センサ31の状態判定を行うべく実行するルーチンのフローチャートを示す。
図7に示すルーチンでは、先ず、吸気酸素濃度センサ31の状態判定に関する所定の実行条件が成立しているかが判別される(ステップ420)。
その結果、実行条件が成立していないと判別された場合は、今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の実行条件が成立していると判別された場合は、次に、吸気圧力PMが高圧側判定値Aより大きいかが判別される(ステップ422)。
【0101】
吸気圧力PMが高圧側判定値Aより大きいと判別された場合は、次に、高圧側データ取得済みフラグXO2Hに1がセットされているか否かが判別される(ステップ424)。
その結果、XO2H=1が成立する場合は、吸気酸素濃度センサ31の状態判定に必要なデータのうち、高圧側データが既に取得されていると判断できる。この場合、ステップ426,428がジャンプされ、その後速やかに後述するステップ438の処理が実行される。
【0102】
一方、上記ステップ424において、XO2H=1が成立しないと判別された場合は、その時点の吸気圧センサ33の出力PMおよび吸気酸素濃度センサ31の出力RPが、それぞれ吸気圧力の高圧側データPHおよび吸気酸素濃度センサ31の高圧側出力RPHとして記録される(ステップ426)。
そして、上記の記録処理が終了すると、高圧側データPH、RPHが取得済みであることを表すべく、XO2Hフラグに1がセットされる(ステップ428)。
【0103】
図7に示すルーチン中、上記ステップ422において、吸気圧力PMが高圧側判定値Aより大きくないと判別された場合は、次に、その値PMが低圧側判定値B(高圧側判定値Aより小さな所定の値)より小さいかが判別される(ステップ430)。
【0104】
吸気圧力PMが低圧側判定値Bより小さくないと判別された場合は、吸気酸素濃度センサ31の状態を判定するためのデータを取得する状態が形成されていないと判断され、その後、速やかに後述するステップ438の処理が実行される。一方、PMが判定値Bより小さいと判別された場合は、低圧側データ取得済みフラグXO2Lに1がセットされているか否かが判別される(ステップ432)。
【0105】
上記の判別の結果、XO2L=1が成立すると判定された場合は、吸気酸素濃度センサ31の状態判定に必要なデータのうち、低圧側データが既に取得されていると判断できる。この場合、ステップ434,436がジャンプされ、その後速やかに後述するステップ438の処理が実行される。
【0106】
一方、上記ステップ432において、XO2L=1が成立しないと判別された場合は、その時点の吸気圧センサ33の出力PMおよび吸気酸素濃度センサ31の出力RPが、それぞれ吸気圧力の低圧側データPLおよび吸気酸素濃度センサ31の低圧側出力RPLとして記録される(ステップ434)。
そして、上記ステップ434の処理が終了すると、低圧側データPL、RPLが取得済みであることを表すべく、XO2Lフラグに1がセットされる(ステップ436)。
【0107】
図7に示すルーチンでは、上述した一連の処理に次いで、高圧側データ取得済みフラグXO2Hおよび低圧側データ取得済みフラグXO2Lに何れも1がセットされているかが判別される(ステップ438)。
その結果、XO2H=1およびXO2L=1の少なくとも一方が成立しないと判別された場合は、吸気酸素濃度センサ31の状態を判定するに足るデータが未だ取得されていないと判断され、今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の条件が2つとも成立すると判別された場合は、次式に従って、圧力変化量ΔPおよび吸気酸素濃度センサ31の出力変化量ΔRPが算出される。
ΔP=(PH−PL)/PL
ΔRP=(RPH−RPL)/RPL
【0108】
次いで、圧力変化量ΔPに対する出力変化量ΔRPが、次式で示される範囲に収まっているかが判別される(ステップ442)。
(1−β)<ΔRP/ΔP<(1+γ)
上記の条件は、吸気酸素濃度センサ31の出力が、吸気圧力PMの変化に対して適正な圧力依存性を示す場合に成立する条件である。従って、その条件が成立する場合は、吸気酸素濃度センサ31が正常であると判断でき、一方、その条件が成立しない場合は、吸気圧力センサ31が異常であると判断できる。
【0109】
図7に示すルーチンでは、上記ステップ442の条件が成立すると判別されると、吸気酸素濃度センサ31が正常であると判別され、フラグXO2SENSに1がセットされる(ステップ444)。
一方、上記ステップ442の条件が成立しないと判別された場合は、吸気酸素濃度センサ31が異常であると判別され、フラグXO2SENSに0がセットされる(ステップ446)。
【0110】
以上説明した通り、図7に示すルーチンによれば、吸気酸素濃度センサ31が正常であるか否かを判別したうえで、その結果に応じてフラグXO2SENSに1または0をセットすることができる。ところで、吸気酸素濃度センサ31の状態を判定するための手法は、上述した手法に限定されるものではなく、例えば、特開平6−261040号公報に開示される手法、或いは特開平8−327586号公報に開示される手法など、公に知られた如何なる手法であってもよい。
【0111】
図8は、ECU30が、フラグXPSENSの処理を行うべく、より具体的には、吸気圧センサ33の状態判定を行うべく実行するルーチンのフローチャートを示す。
図8に示すルーチンでは、先ず、吸気圧センサ33の状態判定に関する所定の実行条件が成立しているかが判別される(ステップ450)。
その結果、実行条件が成立していないと判別された場合は、今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の実行条件が成立していると判別された場合は、次に、スロットル開度TAが開き側判定値Cより大きいかが判別される(ステップ452)。
【0112】
スロットル開度TAが開き側判定値Cより大きいと判別された場合は、次に、開き側データ取得済みフラグXPHに1がセットされているか否かが判別される(ステップ454)。
その結果、XPH=1が成立する場合は、吸気圧センサ33の状態判定に必要なデータのうち、開き側データが既に取得されていると判断できる。この場合、ステップ456,458がジャンプされ、その後速やかに後述するステップ468の処理が実行される。
【0113】
一方、上記ステップ454において、XPH=1が成立しないと判別された場合は、その時点の吸気圧センサ33の出力PMおよびスロットル開度TAが、それぞれ吸気圧力の開き側データPHおよびスロットル開度の開き側開度TAHとして記録される(ステップ456)。
そして、上記の記録処理が終了すると、開き側データPH、TAHが取得済みであることを表すべく、XPHフラグに1がセットされる(ステップ458)。
【0114】
図8に示すルーチン中、上記ステップ452において、スロットル開度TAが開き側判定値Cより大きくないと判別された場合は、次に、その値TAが閉じ側判定値D(開き側判定値Cより小さな所定の値)より小さいかが判別される(ステップ460)。
【0115】
スロットル開度TAが閉じ側判定値Dより小さくないと判別された場合は、吸気圧センサ33の状態を判定するためのデータを取得する状態が形成されていないと判断され、その後、速やかに後述するステップ458の処理が実行される。一方、TAが判定値Dより小さいと判別された場合は、閉じ側データ取得済みフラグXPLに1がセットされているか否かが判別される(ステップ462)。
【0116】
上記の判別の結果、XPL=1が成立すると判定された場合は、吸気圧センサ33の状態判定に必要なデータのうち、閉じ側データが既に取得されていると判断できる。この場合、ステップ464,466がジャンプされ、その後速やかに後述するステップ468の処理が実行される。
【0117】
一方、上記ステップ462において、XPL=1が成立しないと判別された場合は、その時点の吸気圧センサ33の出力PMおよびスロットル開度TAが、それぞれ吸気圧力の閉じ側データPLおよびスロットル開度の閉じ側開度TALとして記録される(ステップ464)。
そして、上記ステップ464の処理が終了すると、閉じ側データPL、TALが取得済みであることを表すべく、XPLフラグに1がセットされる(ステップ466)。
【0118】
図8に示すルーチンでは、上述した一連の処理に次いで、開き側データ取得済みフラグXPHおよび閉じ側データ取得済みフラグXPLに何れも1がセットされているかが判別される(ステップ468)。
その結果、XPH=1およびXPL=1の少なくとも一方が成立しないと判別された場合は、吸気圧センサ33の状態を判定するに足るデータが未だ取得されていないと判断され、今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の条件が2つとも成立すると判別された場合は、次式に従って、圧力変化量ΔPおよびスロットル開度変化量ΔTAが算出される。
ΔP=(PH−PL)/PL
ΔTA=(TAH−TAL)/TAL
【0119】
次いで、スロットル開度変化量ΔTAに対する圧力変化量ΔPが、次式で示される範囲に収まっているかが判別される(ステップ472)。
δ<ΔP/ΔTA
上記の条件は、吸気圧センサ33出力が、スロットル開度TAの変化に伴って適正に変化している場合に成立する条件である。従って、その条件が成立する場合は、吸気圧センサ33が正常であると判断でき、一方、その条件が成立しない場合は、吸気圧センサ33が異常であると判断できる。
【0120】
図8に示すルーチンでは、上記ステップ472の条件が成立すると判別されると、吸気圧センサ33が正常であると判別され、フラグXPSENSに1がセットされる(ステップ474)。
一方、上記ステップ472の条件が成立しないと判別された場合は、吸気圧センサ33が異常であると判別され、フラグXPSENSに0がセットされる(ステップ476)。
【0121】
以上説明した通り、図8に示すルーチンによれば、吸気圧センサ33が正常であるか否かを判別したうえで、その結果に応じてフラグXPSENSに1または0をセットすることができる。ところで、吸気圧センサ33の状態を判定するための手法は、上述した手法に限定されるものではなく、例えば、特開平9−158775号公報に開示される手法、或いは特開平9−112326号公報に開示される手法など、公に知られた如何なる手法であってもよい。
【0122】
図9は、ECU30が、フラグXVSVの処理を行うべく、より具体的には、パージ制御弁41の状態判定を行うべく実行するルーチンのフローチャートを示す。図9に示すルーチンは、内燃機関1の運転中に繰り返し実行されるルーチンである。本実施形態において、フラグXVSVは、内燃機関1が始動された後、図9に示すルーチンの実行に先立ってイニシャル処理により0にリセットされる。
【0123】
図9に示すルーチンでは、先ず、蒸発燃料のパージがカットされているか、すなわち、パージ制御がオフされているかが判別される(ステップ480)。
【0124】
上記ステップ480でパージがカットされていないと判別された場合は、以後、何ら処理が実行されることなく今回のルーチンが終了される。一方、パージがカットされていると判別された場合は、吸気酸素濃度センサ31の出力比が判定値ε(例えば1.0)より小さいかが判別される(ステップ482)。
出力比αは、上記の如く、パージ停止時における吸気酸素濃度センサ31の出力ROとパージ実行中の吸気酸素濃度センサ31出力RPとの比RP/ROである。出力比αは、吸気圧量PMに依存することなく、現実の被検出ガスが空気である場合には1.0となる。従って、出力比α<εが成立する場合は、パージカット中でありながら、吸入空気中に蒸発燃料が混入している可能性があると判断できる。
【0125】
図9に示すルーチンでは、上記ステップ482で出力比α<εが成立しないと判別された場合は、以後、何ら処理が進められることなく今回の処理サイクルが終了される。一方、出力比α<εが成立すると判別された場合は、次に、吸気酸素濃度センサ31が正常であるか、すなわち、フラグXO2SENSに1がセットされているかが判別される(ステップ484)。
【0126】
上記の判別の結果、吸気酸素濃度センサ31が正常でないと判別された場合は、出力比αの値が信用できないため、パージ制御弁41の状態判定が中止され、以後、何ら処理が進められることなく今回の処理サイクルが終了される。一方、上記ステップ484で吸気酸素濃度センサ31が正常であると判別された場合は、パージカット中でありながら、吸入空気中に蒸発燃料が混入していることを確定的に判断することができる。本実施形態では、この場合、ステップ484に次いで、パージ制御弁41の強制オン・オフ駆動が行われる(ステップ486)。
【0127】
図9に示すルーチンでは、次に、吸気圧センサ33によって圧力変化が検出されたか否かが判別される(ステップ488)。
【0128】
上記ステップ486の処理に応答してパージ制御弁41が適正に開閉していれば、吸気圧力PMに変化が生じるはずである。図9に示すルーチンでは、本ステップ488において、圧力変化が認められると判別された場合、パージ制御弁41が動作していると判断され、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、本ステップ488において圧力変化が認められないと判別された場合は、パージ制御弁41が、開状態のまま(蒸発燃料のパージを許容したまま)固着していると判断され、つまり、パージ制御弁41に開故障が生じていると判別され、フラグXVSVに0がセットされる(ステップ490)。
【0129】
以上説明した通り、図9に示すルーチンによれば、パージ制御弁41の開故障を精度良く検出し、その検出結果に応じて、フラグXVSVを適当に1または0とすることができる。ところで、パージ制御弁41の状態を判定するための手法は上述した手法に限定されるものではない。すなわち、上述した手法はパージ制御弁41の開故障を特定するための手法であるが、本実施形態では、必ずしも開故障と閉故障を区別する必要がない。このため、上記ステップ486および488の処理のみを実行し、圧力変化が認められる場合にはパージ制御弁41が正常であると判断し(XVSV=1とし)、圧力変化が認められない場合にはパージ制御弁41が異常であると判断する(XVSV=0とする)こととしてもよい。
【0130】
上述した通り、本実施形態によれば、吸気Oパージ制御を実行するためのシステムの主要部に異常が生じているか否かを精度良く判断することができる。そして、システムの異常が認められない場合には吸気Oパージ制御を実行し、一方、システムの異常が認められる場合には、排気Oパージ制御を実行することができる。このため、本実施形態によれば、システムの状態に応じて、空燃比ずれを生じさせない範囲で、常に高いパージ能力を確保することができる。
【0131】
ところで、上述した実施の形態3においては、吸気酸素濃度センサ31や吸気圧センサ33、或いはパージ制御弁41などの状態に基づいてシステム異常の有無を判定しているが、システム異常を判定するための項目はこれらに限定されるものではない。具体的には、実施の形態1または2で説明した機関出力の異常を、システム異常の判定項目の一つとしてもよい。
【0132】
また、上述した実施の形態3では、実施の形態1または2において実行されていた排気Oパージ制御の実行について言及されていないが、図5に示すルーチンにおいて、吸気Oパージ制御が実行される際に、併せて排気Oパージ制御を実行することとしてもよい。
【0133】
更に、上述した実施の形態3では、吸気Oパージ制御を実行するためのシステムに異常が認められた場合に、排気Oパージ制御を開始することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記システムに異常が認められた場合、以後、排気Oパージ制御の開始に代えて、その時点で既に実行されていた排気Oパージ制御を継続して実行することとしてもよい。或いは、排気Oパージ制御の開始に代えて、その時点では未だ実行されていなかった排気Oパージ制御を開始することとしてもよい。
【0134】
尚、上述した実施の形態3においては、吸気酸素濃度センサが前記請求項8記載の「蒸発燃料濃度センサ」に、空燃比センサ29a,29bが前記請求項8記載の「排気空燃比センサ」に、それぞれ相当している。また、ECU30が、上記ステップ402の処理を実行することにより前記請求項8記載の「吸気側パージ制御手段」が、上記ステップ404の処理を実行することにより前記請求項8記載の「排気側パージ制御手段」が、上記ステップ400の処理を実行することにより前記請求項8記載の「システム異常検出手段」および「制御変更手段」が、それぞれ実現されている。
【0135】
実施の形態4.
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図10は、本実施形態の空燃比制御装置の機能を説明するための図である。図10において、個々の要素の欄に記載された「○」は、その要素が正常であることを意味し、「×」はその要素が異常であることを意味する。また、「−」は正常・異常の別を問わないことを意味する。図10に示す機能は、図1に示す構成において、ECU30に、図11および図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0136】
上述した実施の形態3の装置では、吸気Oパージ制御を実行するためのシステムに異常が認められる場合に、常に排気Oパージ制御が実行される。これに対して、本実施形態の装置は、システムの異常が認められる場合に、その異常の状態に応じて、適宜図10に示すような対応が選択される。
【0137】
すなわち、本実施形態の装置では、具体的には、システムの異常状態に応じて、以下に示すような対応が選択される。
▲1▼吸気酸素濃度センサ31が異常である場合:
「排気Oパージ制御」が実行される。
▲2▼吸気酸素濃度センサ31は正常であるが、吸気圧センサ33およびパージ制御弁41が何れも異常である場合:
「吸気O補正」と「圧力推定」が行われる。ここで、「圧力推定」とは、異常の認められる吸気圧センサ33の出力に頼らずに、他の物理量(例えば吸入空気量GA)から吸気圧力PMを推定する。圧力推定が行われる場合、吸気酸素濃度センサ31の出力の圧力補正は、その推定値を利用して行われる。また、「吸気O補正」とは、異常の認められるパージ制御弁41の開度制御は行わずに、受動的に流入するパージの影響を排除すべく、燃料噴射量を吸気酸素濃度センサ31の検出値に基づいて補正する制御である。
▲3▼吸気酸素濃度センサ31およびパージ制御弁41は正常であるが、吸気圧センサ33が異常である場合:
「吸気Oパージ」と、上述した「圧力推定」とが行われる。
▲4▼吸気酸素濃度センサ31および吸気圧センサ33は正常であるが、パージ制御弁41が異常である場合:
上述した「吸気O補正」が行われる。
【0138】
図11は、本実施形態において、ECU30が、システムの状態に応じて適切な対応を選択するために実行するルーチンのフローチャートである。尚、図11において、上記図5に示すステップと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0139】
図11に示すルーチンでは、ステップ400において、吸気Oパージ制御を実行するためのシステムに異常が認められると、次に、吸気酸素濃度センサ31が異常であるか、すなわち、XO2SENS=0が成立しているかが判別される(ステップ500)。
吸気酸素濃度センサ31が異常である場合は、その検出値が利用できないため、排気空燃比(空燃比センサ29a、29bの検出値)を利用した噴射量制御に切り替えざるをえない。このため、上記の判別がなされた場合は、実施の形態3の場合と同様に、以後、ステップ404において、排気Oパージ制御の実行が選択される。
【0140】
一方、上記ステップ500において、吸気酸素濃度センサ31が異常ではないと判別された場合は、その検出値を利用した噴射量制御が継続可能と判断できる。この場合、次に、吸気圧センサ33が異常であるか、すなわち、XPSENS=0が成立しているかが判別される(ステップ502)。
【0141】
吸気圧センサ33が異常でない場合は、その検出値PMを用いて吸気酸素濃度センサ31の出力を圧力補正することができる。この場合、ステップ504がジャンプされ、速やかに後述するステップ506の処理が実行される。これに対して、吸気圧センサ33が異常である場合は、その検出値PMを圧力補正の基礎とすることはできない。このため、このような場合には、次に、吸気圧力推定処理が実行される(ステップ504)。
本実施形態において、吸気圧力は、内燃機関1の吸気通路10に流入する吸入空気量GAやパージ量GPGRに基づいて推定される。本ステップ504において、吸気圧力が推定された場合は、以後の処理において、その推定値に基づいて、吸気酸素濃度センサ31の出力が圧力補正される。尚、吸気圧力を推定するための処理の内容については、後に図12を参照して詳細に説明する。
【0142】
図11に示すルーチンでは、上記ステップ502または504の処理に次いで、パージ制御弁41が異常であるか、すなわち、XVSV=0が成立するかが判別される(ステップ506)。
【0143】
上記ステップ506で、パージ制御弁41が異常であると判別された場合は、パージ制御弁41の開度制御が適正に実行できないと判断できる。つまり、パージ量GPGRの適正な制御が行えないと判断できる。このため、このような判断がなされた場合は、受動的に流入するパージの影響を排除すべく、吸気酸素濃度センサ31の検出値を利用した噴射量制御、すなわち、吸気O補正が実行される(ステップ508)。
【0144】
これに対して、上記ステップ506で、パージ制御弁41が異常ではないと判別された場合、その開度を制御してパージ量を制御することが可能であると判断できる。また、上記ステップ506が実行されるのは、吸気酸素濃度センサ31が正常(かつ、吸気圧センサ33が異常)である場合に限られる。吸気酸素濃度センサ31が正常であり、かつ、パージ量の制御が可能であれば、吸気Oパージ制御を実行することができる。このため、上記ステップ506でパージ制御弁が異常でないと判別された場合は、以後、ステップ402において、吸気Oパージ制御の実行が選択される。
【0145】
図11に示すルーチンでは、上記ステップ402の処理に次いで、機関出力に異常が生じているか否かが判別される(ステップ510)。
本ステップ510の処理は、上述した実施の形態1におけるステップ203および205の処理、或いはステップ213および215の処理と同様である。すなわち、本ステップ510では、具体的には、内燃機関1の回転変動、トルク変動、排気空燃比変動、燃焼圧変動、およびモータ出力変動(ハイブリッド自動車の場合)などに基づいて、内燃機関1に、所定の判定レベルを超える出力変動が生じているかが判別される。
【0146】
上記の判別の結果、出力異常の発生が認められない場合は、吸気Oパージ制御が適正に機能していると判断できる。この場合、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の判別の結果、内燃機関1の出力異常が認められる場合は、吸気Oパージ制御が適正に機能していない、つまり、吸気Oパージ制御が実行された結果、空燃比変動が生じていると判断できる。図11に示すルーチンでは、この場合、ステップ510に次いでステップ404が実行され、排気Oパージ制御の実行が選択される。
【0147】
以上説明した通り、図11に示すルーチンによれば、吸気Oパージ制御を実行するためのシステムに異常が認められる場合に、その異常の状態に応じて、排気Oパージ制御(ステップ404参照)、吸気圧センサ33の検出値または圧力推定値を利用した吸気O補正制御(ステップ506参照)、或いは圧力推定値を利用した吸気Oパージ制御(ステップ402参照)などを適宜選択して実行することができる。更に、図11に示すルーチンによれば、吸気Oパージ制御の実行に伴って異常出力が生じた場合には、即座にその制御を排気Oパージ制御に切り替えることができる。このため、本実施形態の空燃比制御装置によれば、空燃比ずれを生じさせることなく、実施の形態3の場合に比して更に優れたパージ能力を確保することができる。
【0148】
図12は、本実施形態において、ECU30が、上記ステップ502において吸気圧力を推定するための実行するルーチンの1例のフローチャートである。
図12に示すルーチンでは、先ず、吸入空気量GAが読み込まれる(ステップ520)。
吸入空気量GAは、例えば、吸気通路10にエアフロメータを配設したうえで、そのエアフロメータにより検出することができる。また、吸入空気量GAは、スロットル開度TA、機関回転数NE、およびVVTの状態に基づいて、マップ等を参照して検出することとしてもよい。
【0149】
次に、その吸入空気量GAを、パージ率PGRに掛け合わせることにより、パージ量GPGRが算出される(ステップ522)。
パージ率PGRは、上記の如く、パージ量GPGRと吸入空気量GAとの比であり、予め他のルーチンで算出される。その算出手法は、公知の如何なる手法であっても適用可能であるため、ここではその説明は省略する。
【0150】
次に、内燃機関1の運転状態に対応する最大吸入空気量GAMAXが算出される(ステップ524)。
最大吸入空気量GAMAXは、内燃機関1が吸入することのできる最大の吸入空気量であり、その値は、機関回転数NEに基づいて、また、内燃機関1に可変動弁機構(VVT)が搭載されている場合にはNEとその機構の状態により決定される。ECU30には、ステップ524の枠中に示すように、GAMAXをNEおよびVVT状態との関係で定めたマップが記憶されている。本ステップ524では、そのマップを参照して、現在の機関回転数NEなどに応じた最大吸入空気量GAMAXが算出される。
【0151】
次に、上記ステップ520で読み込まれた吸入空気量GAと、上記ステップ522で算出されたパージ量GPGRとを加算して、総吸入空気量(GA+GPGPR)が算出される。更に、その総吸入空気量(GA+GPGPR)と最大吸入空気量GAMAXとを次式に代入することで、負荷率推定値KLOADが算出される(ステップ526)。
KLOAD={(GA+GPGR)/GAMAX}×100
【0152】
上述したステップ520〜526の処理によれば、吸入空気量GAとパージ量GPGPRとを基礎として、内燃機関1の負荷率推定値KLOADを算出することができる。内燃機関1の負荷率は、内燃機関1の吸気圧力PMの代用特性値として用いることができる。従って、上述したステップ520〜526の処理は、吸入空気量GAおよびパージ量GPGPRを基礎として、内燃機関1の吸気圧力を算出したのと等価である。このように、図12に示すルーチンによれば、吸気圧センサ33の検出値に頼ることなく、パージ量GPGRをも考慮して、負荷率推定値KLOADの形で吸気圧力PMを推定することができる。従って、本実施形態の空燃比制御装置によれば、吸気圧センサ33に異常が生じている場合にも、圧力推定の結果に基づいて、吸気酸素濃度センサ31の出力を精度良く圧力補正することができる。
【0153】
ところで、上述した実施の形態4においては、パージ制御弁41が異常であっても、吸気酸素濃度センサ31が正常である場合には、パージを継続させながら吸気O補正により空燃比ずれを防止することとしているが、その結果、排気空燃比に大きなずれが生ずる場合には、パージのカットを試みることとしてもよい。すなわち、図11に示すルーチンにおいて、ステップ508の処理に次いで、排気空燃比が所望範囲から外れている場合にパージ制御弁41を全閉状態とするための処理を追加してもよい。上記の処理が追加されると、パージ制御弁41の異常が閉弁可能な異常である場合には、その後、排気空燃比の変動を防ぐことが可能となる。
【0154】
尚、上述した実施の形態4においては、上記ステップ402で実行される吸気Oパージ制御、並びに上記ステップ508で実行される吸気O補正制御が、前記請求項9記載の「吸気側パージ制御」に相当している。また、ECU30が、上記ステップ504の処理を実行することにより前記請求項9記載の「吸気圧推定手段」が、上記ステップ500および502の処理を実行することにより前記請求項9記載の「システム異常検出手段」が、上記ステップ402または508において吸気圧センサ33の出力または圧力推定値に基づいて吸気酸素濃度センサ31の出力を圧力補正することにより前記請求項9記載の「センサ出力補正手段」が、上記ステップ402および508の処理を実行することにより前記請求項9記載の「吸気側パージ制御を継続させる手段」が、それぞれ実現されている。
【0155】
また、上述した実施の形態4においては、ECU30が、上記ステップ500および506の処理を実行することにより前記請求項10記載の「システム異常検出手段」が、上記ステップ508の処理を実行することにより前記請求項10記載の「蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料供給量の補正を継続させる手段」が、それぞれ実現されている。
【0156】
実施の形態5.
次に、図13および図14を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図13は、本実施形態の空燃比制御装置の機能を説明するための図である。本実施形態において達成される機能は、吸気酸素濃度センサ31が異常である場合に、パージ制御弁41の状態に応じて、パージカットと排気Oパージ制御とが使い分けられる点を除き、実施の形態4で達成される機能と同様である(図10および図13参照)。
【0157】
図14は、上記の機能を実現すべく、本実施形態において、ECU30により実行される制御ルーチンのフローチャートである。尚、図14において、上記図11に示すステップと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0158】
すなわち、図14に示すルーチンでは、ステップ500において吸気酸素濃度センサ31の異常が判定された場合、およびステップ510で機関出力の異常が判定された場合に、パージ制御弁41が異常であるか(XVSV=0か)が判別される(ステップ520)。
【0159】
その結果、パージ制御弁41が異常でないと判別された場合は、実施の形態4の場合と同様に、次に、ステップ404において、排気Oパージ制御の実行が選択される。パージ制御弁41が正常である場合、パージ量PGRは適量に制御することができる。このため、このような場合は、排気Oパージ制御を行うことで、空燃比ずれを生じさせることなく、高いパージ能力を実現することができる。
【0160】
本実施形態において、上記ステップ520でパージ制御弁41が異常であると判別された場合は、次に、パージカットのための処理が実行される。つまり、パージ制御弁41の閉弁を試みる処理が実行される(ステップ522)。
パージ制御弁41が異常である場合は、その開度が適正に制御できないため、排気Oパージ制御の実行中に、所望のパージ量PGRが実現できないことがある。このため、本実施形態では、そのような場合には、パージのカットが試みられる。上記の処理によれば、パージ制御弁41の異常が閉弁可能な異常である場合には、以後、パージの影響で空燃比ずれが生ずるのを有効に防止することができる。
【0161】
尚、上述した実施の形態5においては、ECU30が、上記ステップ522の処理を実行することにより、前記請求項12記載の「蒸発燃料のパージの停止を試みる手段」が実現されている。
【0162】
ところで、上述した実施の形態1乃至5では、内燃機関1の吸気通路10に配置される蒸発燃料濃度センサが吸気酸素濃度センサ31に限定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、吸気通路10に配置される蒸発燃料濃度センサは、例えば、被検出ガス中のHC濃度を検出するHC濃度センサであってもよい。
【0163】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、蒸発燃料濃度センサ出力に基づく吸気側パージ制御の実行中に、蒸発燃料濃度センサの異常を早期に発見し、吸気側パージ制御の実行中に機関の空燃比が乱れることを防止可能とする共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において実行される吸気酸素濃度センサ異常検出操作の内容を説明するためのフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態2において実行される吸気酸素濃度センサ異常検出操作の内容を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図4】 本発明の実施の形態2において実行される吸気酸素濃度センサ異常検出操作の内容を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図5】 本発明の実施の形態3において実行されるパージ切り替え制御の内容を説明するためのフローチャートである。
【図6】 本発明の実施の形態3において実行される燃料噴射時間算出処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図7】 本発明の実施の形態3において実行される吸気酸素濃度センサ判定処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図8】 本発明の実施の形態3において実行される吸気圧センサ判定処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態3において実行されるパージ制御弁判定処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態4の空燃比制御装置の機能を説明するための図である。
【図11】 本発明の実施の形態4において実行されるパージ切り替え制御の内容を説明するためのフローチャートである。
【図12】 本発明の実施の形態4において実行される吸気圧力推定処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態5の空燃比制御装置の機能を説明するための図である。
【図14】 本発明の実施の形態5において実行されるパージ切り替え制御の内容を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 内燃機関
10 吸気通路
29a,29b 空燃比センサ
30 ECU(Electronic Control Unit)
31 吸気酸素濃度センサ
33 吸気圧センサ
40 パージ装置
41 パージ制御弁
GA 吸入空気量
FAF 空燃比フィードバック補正係数
FPG パージ量
FGPG ベーパ濃度学習係数
PGR パージ率
GAMAX 最大吸入空気量
KLOAD 負荷率推定値
XO2SENS 吸気酸素濃度センサ正常フラグ
XPSENS 吸気圧センサ正常フラグ
XVSV パージ制御弁正常フラグ

Claims (13)

  1. 内燃機関の吸気通路に配置され、吸気中の蒸発燃料濃度を検出する蒸発燃料濃度センサと、
    前記蒸発燃料濃度センサ上流側の吸気通路に燃料タンク内の蒸発燃料を供給するパージ装置と、
    前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて吸気中に含まれる前記蒸発燃料の量を算出するベーパ量算出手段と、
    前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて機関への燃料供給量を補正する吸気側パージ制御を行う吸気側パージ制御手段と、
    機関出力に関連するパラメータに基づいて、機関出力の異常を検出する出力異常検出手段と、
    前記吸気側パージ制御の実行中に検出された機関出力の異常が前記吸気側パージ制御により生じているか否かを判定する判定手段と、
    前記吸気側パージ制御により機関出力に異常が生じていると判定された場合に、前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断するセンサ異常判定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記判定手段は、前記吸気側パージ制御が実行されていない時に前記機関出力の異常が検出されたか否かに基づいて、前記吸気側パージ制御により前記機関出力の異常が生じているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記機関出力に関連するパラメータは機関回転数であることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記機関出力に関連するパラメータは内燃機関の排気空燃比であることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 内燃機関の排気通路に配置され、排気空燃比に応じた信号を出力する排気空燃比センサと、
    前記排気空燃比センサの出力に基づいて前記内燃機関に供給される混合気の空燃比を制御する排気側空燃比制御手段と、
    前記蒸発燃料濃度センサの異常が検出されたときに、前記吸気側パージ制御を中止する吸気側パージ制御中止手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記パージ装置から蒸発燃料がパージされており、前記吸気側パージ制御が中止されており、かつ、前記排気空燃比センサの出力に基づく燃料供給量の補正が実行されている状況下で、前記機関出力の異常が検出された場合に、前記蒸発燃料のパージを停止させるパージ停止手段を備えることを特徴とする請求項5記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 前記センサ異常判定手段により前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断された場合に、前記蒸発燃料濃度センサの出力特性に異常が生じているか否かを判定するセンサ特性異常判定手段と、
    前記出力特性に異常が認められない場合には、前記吸気側パージ制御の実行を許可する吸気側パージ制御許可手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 内燃機関の吸気通路に配置され、吸気中の蒸発燃料濃度を検出する蒸発燃料濃度センサと、
    前記蒸発燃料濃度センサ上流側の吸気通路に燃料タンク内の蒸発燃料を供給するパージ装置と、
    前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づいて機関への燃料供給量を補正する吸気側パージ制御を行う吸気側パージ制御手段と、
    内燃機関の排気通路に配置され、排気空燃比に応じた信号を出力する排気空燃比センサと、
    前記吸気通路に蒸発燃料を供給させつつ前記排気空燃比センサの検出値に基づいて前記内燃機関に供給される混合気の空燃比制御を行う排気側パージ制御を行う排気側パージ制御手段と、
    前記吸気側パージ制御の実行に必要なシステムの異常を検出するシステム異常検出手段と、
    前記システムの異常が検出された場合に、前記吸気側パージ制御を中止して、前記排気側パージ制御を開始または継続させる制御変更手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  9. 前記吸気通路に配置され、吸気圧力に応じた出力を発する吸気圧センサと、
    内燃機関の状態に基づいて前記吸気圧力を推定する吸気圧推定手段とを備え、
    前記蒸発燃料濃度センサは圧力に依存した出力特性を有し、
    前記システム異常検出手段は、前記蒸発燃料濃度センサの異常を検出する手段と、前記吸気圧センサの異常を検出する手段とを含み、
    前記吸気圧センサが正常である場合は当該吸気圧センサの出力に基づいて前記蒸発燃料濃度センサの出力を圧力補正し、前記吸気圧センサが異常である場合は前記吸気圧力の推定値に基づいて前記蒸発燃料濃度センサの出力を圧力補正するセンサ出力補正手段と、
    前記吸気圧センサに異常が生じていても、前記蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、前記センサ出力補正手段の補正結果に基づいて前記吸気側パージ制御を継続させる手段とを、更に備えることを特徴とする請求項8記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  10. 前記パージ装置から前記吸気通路へ流通するパージ量を制御するパージ制御弁を含み、
    前記システム異常検出手段は、前記蒸発燃料濃度センサの異常を検出する手段と、前記パージ制御弁の異常を検出する手段とを含み、
    前記パージ制御弁に異常が生じていても、前記蒸発燃料濃度センサが正常である場合には、前記吸気側パージ制御の処理のうち、前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料供給量の補正を継続させる手段を更に備えることを特徴とする請求項8記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  11. 前記蒸発燃料濃度センサの検出値に基づく燃料供給量の補正が継続された後、排気空燃比が許容範囲から外れる場合には、前記蒸発燃料のパージの停止を試みる手段を備えることを特徴とする請求項10記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  12. 前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じており、かつ、前記パージ制御弁に異常が生じている場合には、前記蒸発燃料のパージの停止を試みる手段を備えることを特徴とする請求項10または11記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  13. 前記システム異常検出手段は、
    機関出力に関連するパラメータに基づいて、機関出力の異常を検出する出力異常検出手段と、
    前記吸気側パージ制御が実行されていない時に前記機関出力の異常が検出され、かつ、前記吸気側パージ制御の実行中に前記機関出力の異常が検出された場合に、前記蒸発燃料濃度センサに異常が生じていると判断するセンサ異常判定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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