JP3738691B2 - 光変調装置の位置調整装置、光変調装置の位置調整方法、および初期位置調整治具 - Google Patents
光変調装置の位置調整装置、光変調装置の位置調整方法、および初期位置調整治具 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する光変調装置の位置調整装置、これを利用した位置調整方法、および初期位置調整治具に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、複数の色光を画像情報に応じて各色光毎に変調する複数の光変調装置(液晶パネル)と、各光変調装置で変調された色光を合成する色合成光学系(クロスダイクロイックプリズム)と、この色合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成する投写光学系(投写レンズ)とを備えたプロジェクタが利用されている。
このようなプロジェクタとしては、例えば、光源から射出された光束を、ダイクロイックミラーによってRGBの三色の色光に分離し、3枚の液晶パネルにより各色光毎に画像情報に応じて変調し、変調後の光束をクロスダイクロイックプリズムで合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている。
【0003】
このようなプロジェクタにより、鮮明な投写画像を得るには、各液晶パネル間での画素ずれ、投写レンズからの距離のずれの発生を防止するために、プロジェクタの製造時、各液晶パネル間の位置を高精度に調整しなければならない。
そこで、位置調整装置を利用して、各液晶パネルを投写レンズのバックフォーカスの位置に正確に配置するためのフォーカス調整、各液晶パネルの画素を一致させるためのアライメント調整が行われる。
従来では、液晶パネルのフォーカス・アライメント調整は、3枚の液晶パネル、クロスダイクロイックプリズム、および投写レンズを含む光学ユニットを調整対象として、(1) 前記光学ユニットを位置調整装置に設置し、各液晶パネルの画像形成領域に光束を入射させ、(2) クロスダイクロイックプリズムおよび投写レンズを経た投写画像をスクリーン上に表示し、(3) スクリーン上の投写画像の反射光を所定位置で移動・固定されたCCDカメラ等の検出装置で撮像し、(4) CCDカメラで検出される各液晶パネルのフォーカス、画素位置等を確認しながら、各液晶パネルの相対位置を位置調整機構で調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、3枚の液晶パネル、クロスダイクロイックプリズム、および投写レンズを含む光学ユニットを毎回位置調整装置に設置する際に、投写レンズは、他の液晶パネル、およびクロスダイクロイックプリズムに比べて大きくて扱いにくいうえ、毎回光軸位置を合わせなくてはならないので、位置調整作業に手間がかかるという問題がある。
また、CCDカメラの位置調整は、実際にスクリーン上に投写画像を表示した後、当該投写画像に対して移動させるので、当該CCDカメラによる検出等に時間がかかり、この点からも位置調整作業に手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、位置調整作業を容易に行うことが可能な光変調装置の位置調整装置、光変調装置の位置調整方法、および初期位置調整治具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の第1発明は、複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する光変調装置の位置調整装置であって、前記合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が投写方向に対して移動自在に共用可能に組み込まれる支持部と、前記光変調装置の基準位置決定の際に用いられ、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置とを備えることを特徴とする。このような本発明によれば、位置調整装置に基準投写光学系を組み込んでおくことで、例えば、組み込んだ際に一度光軸位置を合わせておけば、光変調装置の位置調整時に毎回光軸位置を合わせる必要がなく、光変調装置および合成光学系の交換のみでよいので、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。また、基準投写光学系は、光軸位置が固定されるので、例えば、この基準投写光学系を介してスクリーンに表示された投写画像の情報を検出する検出装置等の配置位置は、一度設定しておけば、固定してよい。この点からも、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。
【0007】
以上において、前述の基準投写光学系は、複数の投写光学系の中から選択された平均的な光学特性を有するものであることが好ましい。
この際、光学特性としては、焦点深度、投写光学系の個々の焦点距離、色収差、光軸ずれ、台形歪み等が挙げられ、各投写光学系の各光学特性から平均的な光学特性を算出し、この算出した光学特性に近似する特性を有する投写光学系を基準投写光学系とする。
ここで、位置調整の段階で、例えば、焦点深度が非常に大きい投写光学系を基準投写光学系と設定したり、逆に、焦点深度が非常に小さい投写光学系を基準投写光学系と設定し、光変調装置の位置調整を行うと、プロジェクタを製造する際に用意する投写光学系は、位置調整で使用した投写光学系と同様の焦点深度を有する特別なものでなくてはならず、手間がかかるので、製造作業が煩雑となる。
しかし、複数の投写光学系の中から選択された平均的な光学特性を有する投写光学系を基準投写光学系と設定すれば、プロジェクタを製造する際に、特別な光学特性を有する投写光学系を用意する必要がなく、投写光学系の生産効率を向上させることが可能となる。これにより、プロジェクタの製造作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0008】
本願の第2発明は、複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記合成光学系で合成された光束を、投写光学系で拡大投写して投写画像を形成して、前記投写光学系を介して投写画像をスクリーンに表示した際、前記スクリーンに表示された投写画像の情報を検出装置で検出して、前記光変調装置の位置を調整する位置調整装置を利用した光変調装置の位置調整方法であって、前記光変調装置の光学中心位置を、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置を用いて予め設定された基準位置に合わせるように前記光変調装置を移動させて、この光変調装置の初期位置調整を行う初期位置調整手順と、前記光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯する光源点灯手順と、前記光源点灯手順で光源を点灯した後、前記スクリーンに拡大投写された投写画像の情報に基づいて、前記検出装置を前記スクリーンに沿って移動させる検出装置位置調整手順と、前記検出装置のフォーカスを調整するフォーカス調整手順と、前記フォーカス調整手順で検出装置のフォーカスを調整した後、前記光変調装置の位置調整を行う調整手順とを備えていることを特徴とする。
【0009】
このような本発明によれば、光変調装置の位置調整を行う前に、検出装置を投写画像の情報に基づいて移動させておくので、光変調装置の位置調整時に移動させる場合に比べて、検出装置を移動させる時間を省略することが可能となる。これにより、位置調整作業の作業時間を短縮することが可能となり、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。
【0010】
本願の第3発明は、複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、光変調装置の位置を調整する位置調整装置を利用した光変調装置の位置調整方法であって、位置調整装置は、合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が共用可能に組み込まれているとともに、この基準投写光学系を介してスクリーンに表示された投写画像の情報を検出する検出装置を有し、光変調装置の光学中心位置を、予め設定された基準位置に合わせるように当該光変調装置を移動させ、この光変調装置の初期位置調整を行う初期位置調整手順と、予め設定された基準投写光学系の光軸位置に基づいて、検出装置を前記スクリーンに沿って自動的に移動させる検出装置自動位置調整手順と、光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯する光源点灯手順と、検出装置自動位置調整手順で検出装置の位置調整を行った後、光変調装置の位置調整を行う調整手順とを備えていることを特徴とする。
【0011】
このような本発明によれば、検出装置を、予め設定された基準投写光学系の光軸位置に基づいて移動させることにより、スクリーンに投写画像を表示せずに検出装置の移動を行うことが可能となるので、わざわざ光源を点灯させる必要がない。これにより、検出装置の移動を簡単に行うことが可能となり、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。
【0012】
本願の第4発明は、前述の位置調整方法に用いられ、光変調装置の基準位置を設定するための初期位置調整治具であって、合成光学系のダミーとされ、側面に孔が形成されたダミー合成光学系と、光変調装置のダミーとされ、孔に挿入される挿入端子を有するダミー光変調装置とを備えて構成されていることを特徴とする。
ここで、光変調装置の移動は、検出装置によって検出された情報に基づいて光変調装置を移動させる位置調整機構によって行われることが好ましい。
そして、ダミー合成光学系を所定の位置に設置し、ダミー光変調装置を取り付けた位置調整機構を動かして、ダミー光変調装置の挿入端子をダミー合成光学系の孔に挿入させるように移動させることで、当該位置調整機構の位置調整を行うことが可能となっている。
このような本発明によれば、例えば、位置調整治具を、プロジェクタの機種毎に数種類用意し、各機種毎の位置調整機構の位置を予め位置調整装置に登録しておくことで、光変調装置の位置調整毎に位置調整機構の位置調整を行う必要がなく、光変調装置の位置調整時には、位置調整機構を予め登録された位置に移動させればよいので、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。
【0013】
本願の第5発明は、前述の位置調整方法に用いられ、光変調装置の基準位置を設定するための初期位置調整治具であって、合成光学系のダミーとされ、直方体状に形成されたガラス体を備え、このガラス体の光入射端面には、スクリーンに検出装置の設計上の基準位置を表示するための基準位置表示用マークが設けられていることを特徴とする。このような本発明によれば、ガラス体に光を入射させ、この光を投写光学系を介してスクリーンに表示させると、当該ガラス体に設けられている基準位置表示用マークが影となってスクリーンに表示される。この状態で、影の部分に検出装置を移動させることで当該検出装置を設計上の基準位置に簡単に配置させることが可能となる。この点からも、位置調整作業を容易に行うことが可能となる。
また、本願の第6発明は、複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する光変調装置の位置調整装置であって、前記合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が共用可能に組み込まれているとともに、この基準投写光学系を介してスクリーンに表示された投写画像の情報を検出する検出装置と、前記光変調装置の光学中心位置を、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置を用いて予め設定された基準位置に合わせるように前記光変調装置を移動させ、この光変調装置の初期位置調整を行わせる手段と、予め設定された前記基準投写光学系の光軸位置に基づいて、前記検出装置を前記スクリーンに沿って自動的に移動させる手段と、前記光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯させる手段と、前記検出装置を自動的に移動させた後、前記光変調装置の位置調整を行わせる手段とを備えることを特徴とする。
このような本発明では、前記ダミー合成光学系の側面には、孔が形成され、前記ダミー光変調装置は、前記孔に挿入される挿入端子を有することが好ましい。
また、本発明では、前記ダミー合成光学系は、略直方体状のガラス体を備え、このガラス体の光入射端面には、前記スクリーンに前記検出装置の設計上の基準位置を表示するための基準位置表示用マークが設けられていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(1)レンズアレイが使用されるプロジェクタの構造
図1には、本発明の実施形態に係る光変調装置の位置調整装置の調整対象とされる、複数の光変調装置および色合成光学系を含む光学ユニットと、投写光学系とを備えたプロジェクタ100の構造が示されている。
このプロジェクタ100は、インテグレータ照明光学系110、色分離光学系120、リレー光学系130、電気光学装置140、色合成光学系となるクロスダイクロイックプリズム150、および投写光学系となる投写レンズ160を備えている。
【0015】
前記インテグレータ照明光学系110は、光源ランプ111Aおよびリフレクタ111Bを含む光源装置111と、第1レンズアレイ113と、第2レンズアレイ115と、反射ミラー117と、重畳レンズ119とを備えている。光源ランプ111Aから射出された光束は、リフレクタ111Bによって射出方向が揃えられ、第1レンズアレイ113によって複数の部分光束に分割され、反射ミラー117によって射出方向を90°折り曲げられた後、第2レンズアレイ115の近傍で結像する。第2レンズアレイ115から射出された各部分光束は、その中心軸(主光線)が後段の重畳レンズ119の入射面に垂直となるように入射し、さらに重畳レンズ119から射出された複数の部分光束は、後述する電気光学装置140を構成する3枚の液晶パネル141R、141G、141B上で重畳する。
【0016】
前記色分離光学系120は、2枚のダイクロイックミラー121、122と、反射ミラー123とを備え、これらのミラー121、122、123によりインテグレータ照明光学系110から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
前記リレー光学系130は、入射側レンズ131、リレーレンズ133、および反射ミラー135、137を備え、この色分離光学系120で分離された色光、例えば、青色光Bを液晶パネル141Bまで導く機能を有している。
前記電気光学装置140は、3枚の光変調装置となる液晶パネル141R、141G、141Bを備え、これらは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系120で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル141R、141G、141Bによって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0017】
前記色合成光学系となるクロスダイクロイックプリズム150は、前記3枚の液晶パネル141R、141G、141Bから射出された各色光ごとに変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。尚、クロスダイクロイックプリズム150には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。そして、クロスダイクロイックプリズム150で合成されたカラー画像は、投写レンズ160から射出され、スクリーン上に拡大投写される。
【0018】
(2)調整対象となる光学ユニットの構造
このようなプロジェクタ100において、電気光学装置140、およびクロスダイクロイックプリズム150は、光学ユニット170として一体化されている。すなわち、図2に示すように、電気光学装置140を構成する3枚の液晶パネル141R、141G、141Bは、クロスダイクロイックプリズム150の側面三方を囲むように配置される。
【0019】
具体的には、各液晶パネル141R、141G、141Bは、保持枠143内に収納され、この保持枠143の四隅部分に形成される孔143Aに透明樹脂製のピン145を光硬化型接着剤である紫外線硬化型接着剤とともに挿入することにより、クロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に接着固定された、いわゆるPOP(Panel On Prism)構造によりクロスダイクロイックプリズム150に固定されている。ここで、保持枠143には、矩形状の開口部143Bが形成され、各液晶パネル141R、141G、141Bは、この開口部143Bで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、各液晶パネル141R、141G、141Bのこの部分に各色光R、G、Bが導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
【0020】
このようなPOP構造が採用された光学ユニット170では、液晶パネル141R、141G、141Bをクロスダイクロイックプリズム150に接着固定する際に、各液晶パネル141R、141G、141Bのフォーカス調整、アライメント調整、および固定を同時期(約8分以内)に行わなければならないので、通常以下の手順で組み立てが行われる。
【0021】
1)クロスダイクロイックプリズム150に第1の液晶パネル、例えば、液晶パネル141Gを接着固定する。具体的には、まず、液晶パネル141Gの保持枠143の孔143Aに、先端に紫外線硬化型接着剤を塗布したピン145を挿入する。
2)次に、該ピン145の先端部分をクロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に当接させる。
3)この状態で液晶パネル141Gの画像形成領域に光束を導入し、投写レンズ160を介して投写面上に表示された投写画像を確認しながら、光入射端面151に対する進退位置、平面位置、および回転位置を調整して、液晶パネル141Gのフォーカス、アライメント調整を行う。
【0022】
4)適切なフォーカス、アライメントが得られたら、ピン145の基端部分から紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤を完全に硬化させる。
5)他の液晶パネル141R、141Bも前記と同様に接着固定されるが、調整に際しては、既に固定された液晶パネル141Gの画像形成領域の画素位置を考慮する。すなわち、既に固定された液晶パネル141Gの画素位置を基準として、光入射端面151に対する平面位置、および光入射端面151に対する回転位置を調整する。
従って、このようなPOP構造を採用した光学ユニット170を組み立てる際には、各液晶パネル141R、141G、141B相互のフォーカス、アライメントを調整する位置調整装置が必要となる。
【0023】
(3)光変調装置の位置調整装置の構造
図3および図4には、前記の光学ユニット170の各液晶パネル141R、141G、141B相互のフォーカス、アライメントを調整する位置調整装置2が示されている。この位置調整装置2は、調整装置本体30と、スクリーンユニット50とを備え、暗室20内部に配置されている。暗室20は、スクリーンユニット50を囲む側板21および天板22と、調整装置本体30を囲むカーテン23とを備え、光学ユニット170のフォーカス、アライメント調整は、この暗室20で行われる。
【0024】
(3-1)調整装置本体の構造
前記調整装置本体30は、位置調整機構となる3つの6軸位置調整ユニット31、調整対象となる光学ユニット170を支持固定するクランプ治具33、および3つの6軸位置調整ユニット31およびクランプ治具33が載置される載置台35を備えている。尚、図3では図示を略したが、載置台35の下部には、調整装置本体30およびスクリーンユニット50を制御する演算処理装置であるコンピュータ70(後述)、調整対象である光学ユニット170の調整作業を行うに際し、調整用光源を導入する調整用光源装置、および紫外線硬化型接着剤を硬化させて光学ユニット170の液晶パネル141R、141G、141Bをクロスダイクロイックプリズム150上に固定するための固定用紫外線光源装置が設置されている。
【0025】
前記6軸位置調整ユニット31は、クロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に対して、液晶パネル141R、141G、141Bの配置位置を調整するものである。この6軸位置調整ユニット31は、図5に示すように、載置台35のレール351に沿って移動可能に設置される変調装置用位置調整装置としての平面位置調整部311と、この平面位置調整部311の先端部分に設けられる面内回転位置調整部313と、この面内回転位置調整部313の先端部分に設けられる面外回転位置調整部315と、この面外回転位置調整部315の先端部分に設けられる液晶パネル狭持部317とを備えている。
【0026】
平面位置調整部311は、クロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に対する進退位置および平面位置を調整する部分であり、載置台35上に摺動可能に設けられる基部311Aと、この基部311A上に立設される脚部311Bと、この脚部311Bの上部先端部分に設けられ、面内回転位置調整部313が接続される接続部311Cを備えている。基部311Aは、図示しないモータなどの駆動機構により、載置台35のZ軸方向(図5中左右方向)を移動する。脚部311Bは、側部に設けられるモータなどの駆動機構(図示略)によって基部311Aに対してX軸方向(図5の紙面と直交する方向)に移動する。接続部311Cは、図示しないモータなどの駆動機構によって、脚部311Bに対してY軸方向(図5中上下方向)に移動する。
【0027】
面内回転位置調整部313は、クロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に対する液晶パネル141R、141G、141Bの面内方向回転位置の調整を行う部分であり、平面位置調整部311の先端部分に固定される円柱状の基部313Aと、この基部313Aの円周方向に回転自在に設けられる回転調整部313Bを備えている。そして、この回転調整部313Bの回転位置を調整することにより、光入射端面151に対する液晶パネル141R、141G、141Bの面内方向回転位置を高精度に調整することができる。
【0028】
面外回転位置調整部315は、クロスダイクロイックプリズム150の光入射端面151に対する液晶パネル141R、141G、141Bの面外方向回転位置の調整を行う部分である。この面外回転位置調整部315は、前記面内回転位置調整部313の先端部分に固定されるとともに、水平方向で円弧となる凹曲面が先端部分に形成された基部315Aと、この基部315Aの凹曲面上を円弧に沿って摺動可能に設けられ、垂直方向で円弧となる凹曲面が先端部分に形成された第1調整部315Bと、この第1調整部315Bの凹曲面上を円弧に沿って摺動可能に設けられる第2調整部315Cとを備えている。そして、基部315Aの側部に設けられた図示しないモータを回転駆動すると、第1調整部315Bが摺動し、第1調整部315の上部に設けられた図示しないモータを回転すると、第2調整部315Cが摺動し、光入射端面151に対する液晶パネル141R、141G、141Bの面外方向回転位置を高精度に調整することができる。
【0029】
液晶パネル狭持部317は、調整対象となる液晶パネル141R、141G、141Bを保持する部分であり、前記第2調整部315Cの先端部分に固定される固定狭持片317Aと、第2調整部315Cの先端部分でスライド自在に設けられる可動狭持片317Bと、可動狭持片317Bを動作させるアクチュエータ317Cとを備えている。そして、アクチュエータ317Cによって可動狭持片317Bを動作させることにより、液晶パネル141R、141G、141Bを狭持することができる。さらに、可動狭持片317Bのスライド初期位置を変更することにより、大きさの異なる液晶パネル141R、141G、141Bを狭持することができる。
このような液晶パネル狭持部317の固定狭持片317Aおよび可動狭持片317Bの間には、光源ユニット37が配置されている。
【0030】
この光源ユニット37は、液晶パネル141R、141G、141Bに調整用光源光、固定用光源光を供給するものであり、液晶パネル141R、141G、141Bと当接するユニット本体371と、このユニット本体371に各光源光を供給するための照射手段である複数の光ファイバ372とを含んで構成される。光ファイバ372の先端は、載置台35の下部に設置される調整用光源装置および固定用光源装置に接続されている。ユニット本体371の液晶パネル141R、141G、141Bとの当接面には、図6(A)に示すように、液晶パネル141R、141G、141Bの矩形状の画像形成領域の角隅部分に応じて設定された調整用光源部371Aと、該画像形成領域の外側に配置され、透明樹脂製のピン145の基端部分と当接する固定用光源部371Bとを備えている。尚、液晶パネル141R、141G、141Bとの当接部分となるユニット本体371は、図6(A)に示されるものの他、図6(B)に示されるように、調整用光源部371Aの外側側方に沿って固定用光源部371Cが配置されるものや、図6(C)に示されるように、固定用光源部371Bの配置が異なるものがあり、液晶パネル141R、141G、141Bの種類に応じて、これらのユニット本体371を適宜使い分けることにより、固定構造の異なる液晶パネルに対応できるようになっている。
【0031】
前記クランプ治具33は、図7および図8に示すように、載置台35上に固設される基板331と、この基板331上に立設される複数本の脚部333と、この脚部333の上部に設けられ、投写レンズ160および調整対象となる光学ユニット170が取り付けられるセット板335とを備えている。
【0032】
基板331には、該基板331の外側に突出する相対位置調整部337が設けられている。相対位置調整部337は、上述した6軸位置調整ユニット31と、クランプ治具33上に固定された光学ユニット170との相対位置を調整するものである。この相対位置調整部337は、基板331の外側に延設され、先端にねじ孔が形成された延設部337Aと、延設部337Aのねじ孔と螺合する調整ねじ337Bとを備え、調整ねじ337Bの先端部分が延設部337Aの外側に突出した構造となっている。この調整ねじ337Bの先端は、上述した6軸位置調整ユニット31が移動するレール351の端面に当接する。そして、調整ねじ337Bの螺合位置を変更することにより、クランプ治具33に対する6軸位置調整ユニット31の位置が変更され、クランプ治具33上の光学ユニット170の種類に応じて6軸位置調整ユニット31を適切な位置に配置できるようになっている。尚、本実施形態では、相対位置調整部337は、光学ユニット170の光束射出方向、すなわちZ軸方向に1カ所、このZ軸方向に直交する方向、すなわちX軸方向に2カ所設けられている(合計3カ所)。
【0033】
セット板335の上面には、基準投写レンズ345(後述)、および光学ユニット170を構成するクロスダイクロイックプリズム150を設置するための四角板状の載置部339が取り付けられている。
この載置部339の上面には、基準投写レンズ345を支持するレンズ支持部341と、クロスダイクロイックプリズム150を載置固定するためのユニット取付部342とが設けられている。
【0034】
レンズ支持部341は、載置部339に対してZ軸方向(図8中左右方向)およびX軸方向(図8の紙面と直交する方向)に移動可能な移動台として構成されている。このレンズ支持部341には、プロジェクタ100に組み込まれる部品としての投写レンズ160とは別の、所定の光学特性を有する基準投写光学系である基準投写レンズ345が予め着脱可能に取り付けられている。言い換えると、位置調整装置2には、クロスダイクロイックプリズム150で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写レンズ345が共用可能に組み込まれている。
この基準投写レンズ345は、複数の投写レンズの中から選択された平均的な光学特性を有するものである。この際、光学特性としては、焦点深度、投写光学系の個々の焦点距離、色収差、光軸ずれ、台形歪み等が挙げられ、各投写レンズの各光学特性から平均的な光学特性を算出し、この算出した光学特性に近似する特性を有する投写レンズを基準投写レンズ345としている。
【0035】
ユニット取付部342は、クロスダイクロイックプリズム150が載置される直方体状のプリズム載置部343と、このプリズム載置部343の上方に配置され、当該クロスダイクロイックプリズム150を挟持固定するための押圧部344(図8)とを備えて構成されている。
調整対象となるクロスダイクロイックプリズム150を設置する場合、押圧部344を動かして、プリズム載置部343上に載置したクロスダイクロイックプリズム150を狭持固定する。
【0036】
(3-2)スクリーンユニットの構造
前記スクリーンユニット50は、図3および図4に示すように、調整装置本体30と所定の距離を設けて配置される載置台51と、この載置台51の上面に配置され、調整対象となる光学ユニット170の投写面としての透過型スクリーン53と、この透過型スクリーン53の裏面に設置される検出装置となるCCDカメラ55と、このCCDカメラ55を透過型スクリーン53の面に沿って移動させる移動機構57とを備えている。
【0037】
載置台51の上面には、光学ユニット170の投写方向に沿って延びる3本のレール511が配置され、透過型スクリーン53は、この3本のレール511上を移動可能となっていて、調整装置本体30と透過型スクリーン53との相対距離を調整できるようになっている。尚、透過型スクリーン53の移動は、載置台51の内部に設けられるサーボ制御機構または手動操作によって行われる(図示略)。
【0038】
透過型スクリーン53は、図9に示されるように、周囲に設けられる矩形状の枠体531、およびこの枠体531の内側に設けられるスクリーン本体533を備えている。スクリーン本体533は、例えば、不透明樹脂層上に光学ビーズを均一に分散配置して構成することができ、光学ビーズが配置された側から光束を入射すると、光学ビーズがレンズとなって、該光束をスクリーン本体533の裏面側に射出するようになっている。
【0039】
検出装置としてのCCDカメラ55は、電荷結合素子(Charge Coupled Device) を撮像素子としたエリアセンサであり、スクリーン本体533の背面側で形成される投写画像を検出して、電気信号として出力するものである。本実施形態では、CCDカメラ55は、透過型スクリーン53上に表示される矩形状の投写画像の四隅部分近傍に移動機構57を介して4つ配置されている。尚、このCCDカメラ55は、投写画像を高精度に検出するために、ズーム・フォーカス機構を備え、遠隔制御により自由にズーム・フォーカスを調整できるようになっている。
【0040】
移動機構57は、枠体531の四隅部分近傍に設けられる基部571と、この基部571に対して、X軸方向(図9では左右方向)に摺動可能に設けられる4本の軸部材573と、各々の軸部材573にY軸方向(図9では上下方向)に摺動自在に取り付けられ、CCDカメラ55が取り付けられる4つのカメラ取付部575とを備えている。そして、各カメラ取付部575は、載置台51内部のサーボ制御機構によってX軸方向およびY軸方向に移動する。
【0041】
(4)位置調整装置による調整操作
上述した調整装置本体30およびスクリーンユニット50は、図10のブロック図に示すように、コンピュータ70と電気的に接続されている。このコンピュータ70は、CPUおよび記憶装置を備え、調整装置本体30およびスクリーンユニット50のサーボ機構の動作制御を行うとともに、CCDカメラ55で撮像された投写画像の画像処理も行う。
【0042】
コンピュータ70に呼び出されるプログラムは、図11に示される表示画面71をディスプレイ上に表示し、この表示画面71上に表示された種々の情報に基づいて、フォーカス、アライメント調整が行われる。該表示画面71は、CCDカメラ55からの映像を直接表示する画面表示ビュー72と、CCDカメラ55からの映像信号の画像処理を行うための画像処理ビュー73と、画像処理を行った結果、6軸位置調整ユニット31の各軸調整量を表示する軸移動量表示ビュー74とを備えている。
【0043】
調整対象となる光学ユニット170のフォーカス、アライメント調整は、光学ユニット170の機種に応じた調整条件を設定する機種登録操作と、この機種登録操作の後、登録された調整条件を呼び出して、実際の調整操作を行う調整操作とから構成されている。以下、機種登録操作および調整操作を詳述する。
【0044】
(4-1)機種登録操作
機種登録操作は、フォーカス位置、アライメント位置が予め調整された光学ユニット170のサンプルを用い、図12のフローチャートに従って実行される。
1)まず、コンピュータ70上に展開されたプログラム内に設定された機種データをクリアして(処理S11)、新たな機種データが登録できるような状態にする。
2)次に、該プログラムによる画像処理の設定の入力を行う(処理S12)。具体的には、各CCDカメラ55間の距離の設定を入力する。尚、CCDカメラ55間の距離は、液晶パネル141R、141G、141Bの画像形成領域の四隅部分が透過型スクリーン53のどこに反映されるかを考慮して計算により設定する。
【0045】
3)画像処理設定の入力が終了したら、機種データとして使用するファイル名を設定し、設定した距離を機種データとして、そのファイル名で記憶装置に保存する(処理S13)。
4)調整対象となる光学ユニット170の機種に合わせてクランプ治具33を選択した後、クランプ治具33を載置台35上の所定位置にセットする(処理S14)。
5)レンズ支持部341に基準投写レンズ345を設置し、光軸位置を合わせて固定し、この光軸位置を上記ファイルに登録する(処理S15)。なお、この光軸位置は一度合わせておけば、機種変更を行う以外、液晶パネル141R、141G、141Bの位置調整時に毎回光軸位置を合わせる必要がない。
【0046】
6)液晶パネル141Gの位置調整を行うための6軸位置調整ユニット31の調整開始位置を上記のファイルに登録する。この位置は、製品設計上の液晶パネル141Gの画像形成領域の中心の位置(基準位置)とする(処理S16)。
【0047】
ここで、この液晶パネル141Gの基準位置は、図13に示されるように、クロスダイクロイックプリズム150のダミーとされ、側面に孔402が形成された金属製のダミープリズム401と、液晶パネル141Gのダミーとされ、ダミープリズム401の孔402に挿入される挿入端子407を有する金属製のダミー液晶パネル406とを備えた初期位置調整治具400を用いて予め設定する。
詳しくは、プリズム載置部343の所定の位置に、ダミープリズム401を設置して押圧部344で挟持固定し、ダミー液晶パネル406を取り付けた6軸位置調整ユニット31を動かして、当該ダミー液晶パネル406の挿入端子407をダミープリズム401の孔402に挿入させる。これにより、液晶パネル141Gの基準位置、つまり、6軸位置調整ユニット31の調整開始位置を設定することができる。この調整開始位置の登録は、フォーカス・アライメント調整時の6軸移動する量を決める重要な位置である。設計位置に近いと、6軸位置調整ユニット31をほとんど動かさずに済み、CT短縮および調整異常などのエラー発生を抑えることにつながる。
この初期位置調整治具は、プロジェクタ100の機種毎に複数種類用意されており、前述のように、位置を設定し、各ファイルに登録する。
【0048】
7)6軸位置調整ユニット31の調整開始位置を設定したら、CCDカメラ55の位置を設定する(処理S17)。CCDカメラ55の位置は、図14(A)に示されるように、クロスダイクロイックプリズム150のダミーとされ、直方体状に形成されたガラス体411を備えた初期位置調整治具410を用いて設定する。
詳しくは、このガラス体411の光入射端面には、スクリーン53にCCDカメラ55の設計上の基準位置を表示するための4個の基準位置表示用マーク412が設けられている。なお、この基準位置表示用マーク41のシルク位置は、基準投写レンズ345の基準パターンBP(図15)の位置となる様に設けられている。
そして、ガラス体411をプリズム載置部343上に載置し、ガラス体411に光を入射させ、この光を基準投写レンズ345を介してスクリーン53に表示させ、図14(B)に示されるように、当該ガラス体411に設けられている基準位置表示用マーク412を影413としてスクリーン53に表示させる。この状態で、影413の部分にCCDカメラ55を移動させることで、当該CCDカメラ55を設計上の基準位置に配置させる。
8)CCDカメラ55の位置設定が終了したら、光学ユニット170の機種番号およびこの機種番号におけるCCDカメラ55の位置を機種データとして上記のファイルに登録する(処理S18)。
【0049】
9)CCDカメラ55の1画素のサイズの設定を行い(処理S19)、上記のファイルに登録する(処理S20)。
10)最後に、アライメント用基準パターンの登録を行う(処理S21)。具体的には、図15に示すように、画素部分G1と画素以外の部分G2の辺の比率が略2:1(面積比4:5)となる略正方形状の領域を基準パターンBPとし、該パターンBPの形状および投写画像領域上での配置位置を登録する。尚、この基準パターンBPは、各液晶パネル141R、141G、141Bの四隅部分に対応して設定する必要があるので、12(4×3)個の基準パターン、およびリトライパターン12(4×3)個を登録しておく。
11)すべての基準パターンの登録が終了したら、これらのデータを機種データとして上記のファイルに正式に登録する(処理S22)。
【0050】
(4-2)調整操作
調整操作は、図16のフローチャートに従って実行される。
1)まず、所定位置に配置されているクランプ治具33にクロスダイクロイックプリズム150を固定する(処理S1)。
2)コンピュータ70に展開されたプログラム上で、先の機種登録操作で登録された機種データの中から、調整対象となる光学ユニット170に相当する機種データを呼び出す(処理S2)。
【0051】
3)プログラム上に機種データが呼び出されると、機種データに登録された6軸位置調整ユニット31の調整開始位置(液晶パネル141Gの基準位置)がコンピュータから出力されるので、液晶パネル141Gの光学中心位置を、この予め設定された基準位置に合わせるように6軸位置調整ユニット31を移動させ、液晶パネル141Gの初期位置調整を行う(処理S23)。
4)上記6軸位置調整ユニット31に設けられる光源ユニット37の調整用光源部371Aから光束を射出し(処理S24)、透過型スクリーン53上に液晶パネル141Gの四隅部分の投写画像を形成する。
【0052】
5)スクリーン53に拡大投写された投写画像の情報に基づいて、載置台51内部のサーボ機構により移動機構57を動作させ、透過型スクリーン53の面に沿った所望の位置、具体的には、投影している液晶パネル141Gの四隅部分にCCDカメラ55を移動させるとともに、当該CCDカメラのフォーカスを調整する(処理S25)。なお、スクリーン53に拡大投写された投写画像の情報は、前述のCCDカメラ55の位置設定の際にファイルに登録した位置情報である。
【0053】
6)以上の準備が終了したら、6軸位置調整ユニット31によるフォーカス、アライメント調整を開始する。本実施形態では、まず、投写レンズ160とクロスダイクロイックプリズム150を介して反対側に配置される液晶パネル141Gのフォーカス、アライメント調整を行い、その後、液晶パネル141R、141Bのフォーカス、アライメント調整を行う。
【0054】
7)プログラムの表示画面71上でデータクリア操作を行った後、液晶パネル141Gを挟持する6軸位置調整ユニット31を表すSTAGE1を選択し(処理S26)、液晶パネル141Gの調整作業ができるようにする。
8)各CCDカメラ55は、この投写画像を撮像し、画像信号としてコンピュータ70に出力する(処理S27)。コンピュータ70のディスプレイ上の表示画面71には、画面表示ビュー72上に各CCDカメラ55により撮像された映像が表示され、画像処理ビュー73上に画像処理を行った後の該STAGE1の測定データが表示される(処理S28)。
【0055】
9)この状態で画像処理ビュー73の「Measurement」ボタンを押すと、投影している液晶パネル141Gの四隅部分の位置を測定し、6軸位置調整ユニット31の各軸の移動量を軸移動量表示ビュー74に表示する(処理S29)。具体的には、まず、画像処理ビュー73上で基準パターンに相当する部分を検出し、検出された基準パターンが画面上のどの位置にあるかを検出し、検出結果が機種登録操作で登録された配置位置とどれだけずれているかを計算して、この結果を軸移動量表示ビュー74の各軸移動量として表示する。
【0056】
10)軸移動量表示ビュー74の各軸移動量の表示値に基づいて、6軸位置調整ユニット31の各軸調整つまみを操作して、液晶パネル141Gの平面位置、面内回転位置、および面外回転位置を調整する。各軸の調整作業は、手動つまみをサーボモータ等に変更することによって、自動化しても良い(処理S30)。一旦調整が終わったら、再び「Measurement」ボタンを押して、各軸の移動量を算出し(処理S31)、すべての軸の移動量が略0になるまで調整操作を繰り返す(処理S32)。
【0057】
11)液晶パネル141Gのフォーカス・アライメント調整が終了したら、この際の各データを記憶装置に保存した後(処理S33)、光源ユニット37の固定用光源部371Bから紫外線を射出し、液晶パネル141Gの固定を行う(処理S34)。
【0058】
12)液晶パネル141Gの固定後、液晶パネル狭持部317の狭持片317A、317Bを外して、液晶パネル141Gをフリーにした状態で、再び位置測定を行う(処理S35)。この位置測定は、他の液晶パネル141R、141Bの位置調整を行う際の基準値となる。
【0059】
13)液晶パネル141Gの固定が終了したら、液晶パネル141R、141Bのフォーカス・アライメント調整を行う。このため、液晶パネル141Rを狭持する6軸位置調整ユニット31を表すSTAGE2、3の調整準備を行う(処理S36)。具体的には、処理S33で得られたSTAGE1の基準値に基づいて、STAGE2、3の基準位置データを設定する。
【0060】
14)以後、液晶パネル141Gの場合と同様の手順で液晶パネル141R、141Bのフォーカス・アライメント調整を行い、調整が終了したら、液晶パネル141Gと同様に固定を行う(処理S37)。
【0061】
このような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、位置調整装置2に、基準投写レンズ345が共用可能に組み込まれているので、組み込んだ際に一度光軸位置を合わせておけば、液晶パネル141R、141G、141Bの位置調整時に毎回光軸位置を合わせる必要がなく、液晶パネル141R、141G、141Bおよびクロスダイクロイックプリズム150の交換のみでよいので、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0062】
また、基準投写レンズ345は、光軸位置が固定されるので、CCDカメラ55の配置位置は、一度設定しておけば、固定してよい。この点からも、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0063】
さらに、基準投写レンズ345は、複数の投写レンズの中から選択された平均的な光学特性を有するものであるので、プロジェクタ100を製造する際に、特別な光学特性を有する投写レンズを用意する必要がなく、投写レンズの生産効率を向上させることができる。これにより、プロジェクタ100の製造作業が容易となり、作業効率が向上する。
【0064】
また、液晶パネル141Gの位置調整を行う前に、CCDカメラ55を投写画像の情報に基づいて移動させておくので、液晶パネル141Gの位置調整時に移動させる場合に比べて、CCDカメラ55を移動させる時間を省略することができ、これにより、位置調整作業の作業時間を短縮することができ、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0065】
さらに、ダミープリズム401と、ダミー液晶パネル406とを備えた初期位置調整治具400を、プロジェクタ100の機種毎に数種類用意し、各機種毎の6軸位置調整ユニット31の位置を予めファイルに登録しておくことで、液晶パネル141R、141G、141Bの位置調整毎に6軸位置調整ユニット31の位置調整を行う必要がなく、液晶パネル141R、141G、141Bの位置調整時には、6軸位置調整ユニット31を予め登録された位置に移動させればよい。これにより、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0066】
また、ダミープリズム(ガラス体)411に光を入射させ、この光を基準投写レンズ345を介してスクリーン53に表示し、当該ダミープリズム(ガラス体)411に設けられている基準位置表示用マーク412を影413としてスクリーン53に表示させることで、影413の部分にCCDカメラ55を移動させるだけで、当該CCDカメラ55を設計上の基準位置に簡単に配置させることができる。この点からも、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0067】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、CCDカメラ55を、スクリーンに拡大投写された投写画像の情報に基づいて移動させていたが、これに限らず、例えば、予め情報データとしてコンピュータに設定された基準投写レンズの光軸位置に基づいて、CCDカメラ55をスクリーンに沿って自動的に移動させるようにしてもよい。このように、CCDカメラ55を、予め予め情報データとしてコンピュータに設定された基準投写レンズの光軸位置に基づいて移動させることにより、スクリーンに投写画像を表示せずにCCDカメラ55の移動を行うことができるので、わざわざ光源を点灯させる必要がない。これにより、CCDカメラ55の移動を簡単に行うことができ、位置調整作業を容易に行うことができる。
【0068】
また、前記実施形態では、基準投写レンズは、平均的な光学特性を有するものであったが、これに限らず、例えば、プロジェクタの光学特性に合わせて適宜設定された光学特性の投写レンズを基準投写レンズとすればよい。
【0069】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の光変調装置の位置調整装置、光変調装置の位置調整方法、および初期位置調整治具によれば、位置調整作業を容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光変調装置の位置調整方法の調整対象となる光学ユニットを含むプロジェクタの構造を表す模式図である。
【図2】前記実施形態における調整対象となる光学ユニットの構造を表す分解斜視図である。
【図3】前記実施形態における光変調装置の位置調整装置の構造を表す側面図である。
【図4】前記実施形態における光変調装置の位置調整装置の構造を表す平面図である。
【図5】前記実施形態における調整装置本体を構成する位置調整機構の構造を表す側面図である。
【図6】前記実施形態における光源ユニットの光源配置を表す正面図である。
【図7】前記実施形態における調整装置本体を構成するクランプ治具の構造を表す外観斜視図である。
【図8】前記実施形態におけるクランプ治具の構造を表す側面図である。
【図9】前記実施形態における透過型スクリーンの構造を表す背面図である。
【図10】前記実施形態における光変調装置の位置調整装置の制御、画像処理の構造を説明するためのブロック図である。
【図11】前記実施形態における光変調装置の位置調整装置を制御処理するプログラムを実行した際の画面表示である。
【図12】前記実施形態におけるフォーカスアライメント調整を行う手順を説明するためのフローチャートである。
【図13】前記実施形態における液晶パネルの基準位置の設定方法を説明するための概略斜視図である。
【図14】前記実施形態におけるカメラ位置の設定方法を説明するための図である。
【図15】前記実施形態における基準パターン設定の方法を説明するための模式図である。
【図16】前記実施形態におけるプロジェクタのフォーカスアライメント調整を行う手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2 位置調整装置
53 スクリーン
55 検出装置であるCCDカメラ
141R、141G、141B 光変調装置である液晶パネル
150 合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム
160 投写レンズ
170 光学ユニット
345 基準投写光学系である基準投写レンズ
400、410 初期位置調整治具
401 ダミー合成光学系であるダミープリズム
402 孔
406 ダミー光変調装置であるダミー液晶パネル
407 挿入端子
411 ダミープリズム(ガラス体)
412 基準位置表示用マーク
Claims (9)
- 複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する光変調装置の位置調整装置であって、
前記合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が投写方向に対して移動自在に共用可能に組み込まれる支持部と、
前記光変調装置の基準位置決定の際に用いられ、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置とを備えることを特徴とする光変調装置の位置調整装置。 - 請求項1に記載の光変調装置の位置調整装置において、
前記基準投写光学系は、複数の投写光学系の中から選択された平均的な光学特性を有するものであることを特徴とする光変調装置の位置調整装置。 - 複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記合成光学系で合成された光束を、投写光学系で拡大投写して投写画像を形成して、前記投写光学系を介して投写画像をスクリーンに表示した際、前記スクリーンに表示された投写画像の情報を検出装置で検出して、前記光変調装置の位置を調整する位置調整装置を利用した光変調装置の位置調整方法であって、
前記光変調装置の光学中心位置を、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置を用いて予め設定された基準位置に合わせるように前記光変調装置を移動させて、この光変調装置の初期位置調整を行う初期位置調整手順と、
前記光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯する光源点灯手順と、
前記光源点灯手順で光源を点灯した後、前記スクリーンに拡大投写された投写画像の情報に基づいて、前記検出装置を前記スクリーンに沿って移動させる検出装置位置調整手順と、
前記検出装置のフォーカスを調整するフォーカス調整手順と、
前記フォーカス調整手順で検出装置のフォーカスを調整した後、前記光変調装置の位置調整を行う調整手順とを備えていることを特徴とする光変調装置の位置調整方法。 - 複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する位置調整装置を利用した光変調装置の位置調整方法であって、
前記位置調整装置は、前記合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が共用可能に組み込まれているとともに、この基準投写光学系を介してスクリーンに表示された投写画像の情報を検出する検出装置を有し、
前記光変調装置の光学中心位置を、予め設定された基準位置に合わせるように当該光変調装置を移動させ、この光変調装置の初期位置調整を行う初期位置調整手順と、
予め設定された前記基準投写光学系の光軸位置に基づいて、前記検出装置を前記スクリーンに沿って自動的に移動させる検出装置自動位置調整手順と、
前記光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯する光源点灯手順と、
前記検出装置自動位置調整手順で検出装置の位置調整を行った後、前記光変調装置の位置調整を行う調整手順とを備えていることを特徴とする光変調装置の位置調整方法。 - 請求項3または請求項4に記載の位置調整方法に用いられ、前記光変調装置の前記基準位置を設定するための初期位置調整治具であって、
前記合成光学系のダミーとされ、側面に孔が形成されたダミー合成光学系と、前記光変調装置のダミーとされ、前記孔に挿入される挿入端子を有するダミー光変調装置とを備えて構成されていることを特徴とする初期位置調整治具。 - 請求項3または請求項4に記載の位置調整方法に用いられ、前記光変調装置の前記基準位置を設定するための初期位置調整治具であって、
前記合成光学系のダミーとされ、直方体状に形成されたガラス体を備え、
このガラス体の光入射端面には、前記スクリーンに前記検出装置の設計上の基準位置を表示するための基準位置表示用マークが設けられていることを特徴とする初期位置調整治具。 - 複数の光変調装置と、各光変調装置で変調された光を合成する合成光学系とを備えた光学ユニットの組み立てに用いられ、前記光変調装置の位置を調整する光変調装置の位置調整装置であって、
前記合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成し、所定の光学特性を有する基準投写光学系が共用可能に組み込まれているとともに、この基準投写光学系を介してスクリーンに表示された投写画像の情報を検出する検出装置と、
前記光変調装置の光学中心位置を、前記合成光学系の機種に応じて形成され前記合成光学系のダミーとされるダミー合成光学系、および、当該ダミー合成光学系に対して位置調整され前記光変調装置のダミーとされるダミー光変調装置を用いて予め設定された基準位置に合わせるように前記光変調装置を移動させ、この光変調装置の初期位置調整を行わせる手段と、
予め設定された前記基準投写光学系の光軸位置に基づいて、前記検出装置を前記スクリーンに沿って自動的に移動させる手段と、
前記光変調装置に入射する光の発生源となる光源を点灯させる手段と、
前記検出装置を自動的に移動させた後、前記光変調装置の位置調整を行わせる手段とを備えることを特徴とする光変調装置の位置調整装置。 - 請求項7に記載の光変調装置の位置調整装置において、
前記ダミー合成光学系の側面には、孔が形成され、
前記ダミー光変調装置は、前記孔に挿入される挿入端子を有することを特徴とする光変調装置の位置調整装置。 - 請求項7または請求項8に記載の光変調装置の位置調整装置において、
前記ダミー合成光学系は、略直方体状のガラス体を備え、
このガラス体の光入射端面には、前記スクリーンに前記検出装置の設計上の基準位置を表示するための基準位置表示用マークが設けられていることを特徴とする光変調装置の位置調整装置。
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