JP3738305B2 - 低脂肪ソーセージとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低脂肪ソーセージとその製造方法に係わり、特に原料肉に含まれる脂肪を減じながらも好ましい弾力とジューシー感を有する低脂肪ソーセージとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、蓄肉や魚肉等を原料とするソーセージにおいては近年の健康志向から従来のソーセージに比べて低カロリーである低脂肪ソーセージの需要が高くなっている。この低脂肪ソーセージではソーセージの原材料の一つとして混入される脂肪を減じるために脂肪に代わる食品として、ホエイ等の蛋白分解物、多糖類や蒟蒻等の高分子化合物及び食物繊維等が利用されている。また、エアーをソーセージ中に含有させたり、高圧を利用したりする加工方法における工夫も考えられている。
【0003】
蛋白分解物を利用しているものとして、例えば、特開2001−218569号公報(以下、イ号公報という。)では、「新規なソーセージ及びその製造法」として、「煮こごり様カードがソーセージの中に粒状に分散してなるソーセージ」が開示されている。
このイ号公報に開示された発明では、添加する脂肪の一部を粉末ゼラチン、エキス調味料及び水を混合し、加熱後冷却することによって得られるゲル状の煮こごり様カードで代替しても従来のソーセージと同等のジューシー感と旨みを有する低脂肪ソーセージを得ることができる。
【0004】
また、多糖類を利用したものとして、特開平7−132067号公報(以下、ロ号公報という。)では、「ソーセージ類の製造法」として、「ソーセージ類の製造に際し、平均分子量約600〜3000の糖重合体を脂肪で予め混合した混合物を用いることを特徴とするソーセージ類の製造法」が開示されている。
このロ号公報に開示された発明では、糖重合体を脂肪と予め混合した混合物好ましくは均一混合物を用いると、ゲル強度や食感に優れ、肉類及び脂肪の使用量削減や歩留向上を可能にし、分子量の大きい水溶性食物繊維を含有するソーセージ類を製造することが可能である。
【0005】
そして、蛋白分解物及び多糖類を利用したものとして、特開平4−365461号公報(以下、ハ号公報という。)では、「畜肉様食品素材の製造法及びそれを用いた畜肉食品」として、「畜肉原料を細切し、水溶性高分子多糖類粉末を加えて混練し、ついで金属塩粉末を散布し混練を行って蓄肉原料を肉様の組織状の粒にゲル化凝固せしめることを特徴とする畜肉様食品素材」を混入せしめたソーセージ、ハンバーグ及びハンバーガーパティが開示されている。
このハ号公報に開示された発明では、細切りにした家畜の耳、鼻、筋肉、筋膜、皮、骨付着肉等の蓄肉生産副産物、水溶性高分子多糖類粉末及び金属塩粉末から得られる蓄肉様粒状食品素材を肉類や脂肪の代替として使用することによって、組織、食感、風味で脂肪を添加したものに劣らない脂肪分が少ないソーセージ、ハンバーグ及びハンバーガーパティを製造することができ、しかも、コストダウンを可能にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術においては、まず、イ号公報に記載された従来の技術では、煮こごり様カードをソーセージ中に分散させることによりソーセージのジューシー感を増加させ、このジューシー感をもたらす脂肪の添加量を減じることはできるが、脂肪の添加量をゼロにすることはできず5%程度の脂肪の添加が必要であるという課題があった。
また、ロ号公報に記載された従来の技術においても、組織にバサツキを与えず、食感や食味を保ったまま、脂肪を該糖重合体で50%以上代替させることはできるが、やはり、脂肪の添加は必須であるという課題があった。
そして、ハ号公報に記載された従来の技術では、蓄肉原料をゲル化させて作成した粒状の蓄肉様食品素材はソーセージ中の肉類等の成分との結着性が十分でなく、食感においてもさつき感を生じるという課題があった。また、低脂肪製品に関しては、ハンバーグ及びハンバーグパティについては脂肪を全く添加しないという思想が開示されているが、ソーセージについてはやはり脂肪の添加を必要とするものであった。
【0007】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、消費者の健康志向を踏まえて、赤身肉に含有される脂肪以外の脂肪を添加しない低脂肪ソーセージにおいて、このソーセージ中に含まれる脂肪分を3%以下に抑えながらもなお且つ食感において好ましい弾力とジューシー感を有する低脂肪ソーセージとその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である低脂肪ソーセージは、原料肉に含まれる脂肪を減じて製造される低脂肪ソーセージにおいて、マルトデキストリンをゲル化させたマルトデキストリンゲルと、コラーゲン又はゼラチンの粉末と、コラーゲンの粉末を一旦ゲル化させた後にミンチして粒状にしたコラーゲンゲルとを分散させて含有するものである。
上記構成の低脂肪ソーセージにおいては、マルトデキストリンゲルは脂肪と同様の物理的性質を示し、コラーゲン又はゼラチンの粉末は良好な結着性を示し、また、粒状にしたコラーゲンゲルはジューシー感を示すという作用を有する。また、これらの成分を分散されることによって低脂肪ソーセージは均一な構造を形成するという作用を有する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明である低脂肪ソーセージは、請求項1に記載の低脂肪ソーセージにおいて、低脂肪ソーセージ中に赤身を塩せきした牛肉塊を分散させるものである。
上記構成の低脂肪ソーセージにおいては、請求項1に記載の発明の作用に加えて、赤身を塩せきした牛肉塊中に含まれる成分が生体内での脂肪の代謝を促進するという作用を有する。また、この低脂肪ソーセージの切り口はハムのような形状を示すという作用を有する。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明である低脂肪ソーセージは、請求項1又は請求項2に記載の低脂肪ソーセージにおいて、低脂肪ソーセージ中に粉状あるいは粒状の植物性食品を添加するものである。
上記構成の低脂肪ソーセージにおいては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、植物性食品の風味を示すという作用を有する。
【0011】
そして、請求項4に記載の発明である低脂肪ソーセージの製造方法は、ソーセージの製造方法において、原料肉に含まれる脂肪を減ずるよう調整された材料に、マルトデキストリンをゲル化させた、マルトデキストリンゲルとコラーゲン又はゼラチンの粉末を混和する工程と、コラーゲンの粉末を一旦ゲル化させた後にミンチして粒状にしたコラーゲンゲルを混和する工程とを有するものである。
上記構成の低脂肪ソーセージの製造方法では、通常のソーセージの製造方法において原料肉に含まれる脂肪を減ずるよう調整された材料に、コラーゲン又はゼラチンの粉末を混和する工程において材料間の結着性を高め、粒状にしたコラーゲンゲルを混和する工程においては低脂肪ソーセージのジューシー感を高めるという作用を示す。また、マルトデキストリンゲル及び粒状にしたコラーゲンゲルは固形物であるので、これらを混和する工程においては分散状態が確認されるという作用を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態に係る低脂肪ソーセージを図1に基づき説明する。(請求項1乃至請求項3に対応)
図1(a)は本実施の形態に係る低脂肪ソーセージの外形図であり、(b)は図1(a)中に符号A−A線で示された部分の矢視断面図である。
図1(a)において、低脂肪ソーセージ1はファイブラスケーシング5等で包まれた直径36mm程度のソーセージであり、外観は市販されているソーセージと何ら変わらないものである。図1(b)において、低脂肪ソーセージ1の断面は円形であり、原料肉中にマルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4が均一に分散している。
【0013】
マルトデキストリンゲル2はゼリー強度に優れ、脂肪と類似の物理的性質を示すので通常のソーセージに添加される脂肪の代替として使用することができる。したがって、通常20%程度添加される脂肪をマルトデキストリンゲル2で代替することによってソーセージの低脂肪化が可能である。また、マルトデキストリンは化工澱粉のうち澱粉を酵素変性したものの総称であるが、その中でもゲル形成能を有するものが好ましい。しかし、ゲル形成能を有さないものについてもゲル化剤等を用いてゲル化させることが可能であれば使用することができる。
【0014】
しかしながら、マルトデキストリンゲル2で添加される全ての脂肪を代替しようとすると、低脂肪ソーセージ1は水っぽくなるという問題が生じる。そこで、結着性に優れるコラーゲン粉末3を加えると弾力に富んだ低脂肪ソーセージ1を得ることができる。なお、コラーゲン粉末3以外にもゼラチンなどの蛋白分解物や動物性蛋白を使用してもよい。また、形状は粉末である方が好ましい。
【0015】
さらに、粒状コラーゲンゲル4を加えると、通常のソーセージにおいて添加される脂肪に起因するジュージー感を付加することができる。特に、低脂肪ソーセージ1を焼く、煮るなどの調理による加熱直後に食すと、粒状コラーゲンゲル4は溶融するのでジューシー感が一層増すのである。なお、粒状コラーゲンゲル4の替わりに蛋白系及び炭水化物系の食品を用いてゲル化させたものを使用してもよい。
【0016】
このような特徴を有するマルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4は低脂肪ソーセージ1中に均一に分散しているので、食したときに平均的に弾力やジューシー感を感じることができ、食感の質を高めるのである。
【0017】
また、ケーシングにはファイブラスケーシング5以外にも羊腸、豚腸、牛腸及び人工のコラーゲンケーシング等を用いることができる。但し、ウィンナーソーセージではケーシングの直径は20mm未満であり、直径を20mmから30mmとするとフランクフルトソーセージを、また、直径を36mm以上とするとボロニアソーセージなどを作成することが可能である。なお、フランクフルトソーセージ及びボロニアソーセージの原材料はウィンナーソーセージとほぼ同様である。
【0018】
さらに、低脂肪ソーセージ1には、各種茶葉、青海苔、きのこ及び野菜等の植物性食品やチーズ等を混合することができる。このような従来のソーセージとは異なった風味の素材を添加すると、脂肪に置き換わる風味を付与することが可能となる。なお、各種茶葉や青海苔等の形状は粉状の方が好ましく、一方、きのこ、野菜等は粒状あるいはある程度の大きさを有した状態で添加してもよい。
【0019】
このような低脂肪ソーセージ1の配合例を表1に示す。但し、粗挽き風とは、牛肉の赤身を10mmのチョッパーで挽いてミンチにしたものを混合したものであり、一方、ビアシンケン風とは、牛もも肉を予め角切りにして塩せきしたものを混合したものである。なお、表1に示すビアシンケン風の低脂肪ソーセージでは粒状コラーゲンゲル4を混和せずに作成するものである。これはビアシンケン風低脂肪ソーセージの場合には生地中の牛肉の肉塊による食感、味覚の特徴をつけることができるため、ここでは混和を省略したものである。
【0020】
粗挽き風及びビアシンケン風低脂肪ソーセージに用いる牛肉に、例えば山口県の特産牛である無角和種などの低脂肪のものを使用すると、より一層低カロリーである低脂肪ソーセージを作成することが可能である。牛肉赤身には生体内での脂肪の代謝に必要なカルニチンが多く含まれているので脂肪代謝やダイエットに効果的である。特に、ビアシンケン風低脂肪ソーセージでは切り分けて食すと、切り口があたかもハムのように見えるので高級感を感じることができる。なお、粗挽き風及びビアシンケン風には牛肉以外にも豚肉を用いることができる。
【0021】
【表1】
【0022】
次に、低脂肪ソーセージの成分分析結果について説明する。表2に低脂肪ソーセージの一般成分及びエネルギー分析結果を示す。低脂肪試作品とは表1に示した配合割合を用いて上述の手順で作成した低脂肪ソーセージ1であり、標準品1は配合割合を豚肉赤身70%、脂肪15%、氷水15%とし、マルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4を添加しないで作成した従来のソーセージである。市販品1及び市販品2は市販のソーセージを用いた。また、標準ウィンナーの成分値は五訂食品成分表より抜粋した。
【0023】
粗脂肪含有量を見ると、標準品1、標準ウィンナー、市販品1及び市販品2ではその値が13.2%から31.1%の範囲にあるのに対して、低脂肪試作品では2.1%とかなり低くなっている。また、エルネギーについても低脂肪試作品は標準ウィンナーの1/3程度と低くなっており、低脂肪でなお且つ低カロリーであるソーセージを実現していることがわかる。また、破断強度及びジューシーさは標準品1、市販品1及び市販品2とほぼ同等の値を示しており、歯ごたえやジューシー感等のソーセージの食感をも満足するものであることがわかる。
【0024】
なお、破断強度は、測定対象のソーセージを2cmの厚さに切断して試料とし、レオロジー測定器を用いて、試料の切断面に対して垂直の方向に一定の圧力で3mmのプランジャーを突き刺し、試料が破断したときの応力を測定したものである。
【0025】
また、ジューシーさは以下の要領で測定した。まず、測定対象のソーセージをプラスチック製の袋に入れた状態でウォーターバスに浸漬して70℃に加熱する。そして、加熱されたソーセージを袋から取り出し、カッターナイフ等で切断する。この切断面を直ちに既知重量の乾燥濾紙に軽く押し当てて浸出する肉汁を濾紙に吸収させ、吸収後の濾紙の重量を測定する。吸収前後の重量変化を浸出した肉汁とし、切断したソーセージの断面積で割ったものをジューシーさと定義している。
【0026】
【表2】
【0027】
続いて、表3に低脂肪ボロニアソーセージの一般成分分析結果を示す。前述のようにボロニアソーセージの原材料は通常のソーセージとほぼ同様のものであり、表3中のマルトデキストリンゲル+コラーゲン粉末+粒状コラーゲンゲルの試作品は、表1に示した低脂肪ソーセージの配合割合を用いて直径が36mm程度のケーシングを用いて前述の手順で作成した低脂肪ボロニアソーセージである。また、表1に示した配合割合で、マルトデキストリンゲルのみを添加した低脂肪ボロニアソーセージ、マルトデキストリンゲルとコラーゲン粉末のみを添加した低脂肪ボロニアソーセージ及びマルトデキストリンゲルと粒状コラーゲンゲルのみを添加した低脂肪ボロニアソーセージを作成した。含脂試作品とは配合割合を豚肉赤身70%、脂肪15%、氷水15%とし、マルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4を添加しないで作成した通常のボロニアソーセージである。なお、低脂肪製品とはマルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4の替わりに食物繊維を添加して低脂肪ボロニアソーセージを試作したものである。
【0028】
マルトデキストリンゲルのみを添加した低脂肪ボロニアソーセージ、マルトデキストリンゲル、コラーゲン粉末及び粒状コラーゲンゲルを添加した低脂肪ボロニアソーセージ及びマルトデキストリンゲルと粒状コラーゲンゲルのみを添加した低脂肪ボロニアソーセージでは、含脂試作品に比べて、水分含量はやや多く4mm押圧時圧力はやや低いものの、粗脂肪含量は低くジューシーさが高い低脂肪でジューシー感のある低脂肪ボロニアソーセージが得られていることがわかる。
【0029】
一方、マルトデキストリンゲルとコラーゲン粉末のみを添加した低脂肪ボロニアソーセージ及び食物繊維を添加した低脂肪製品では、含脂試作品に比べて、粗脂肪含量は低く低脂肪を実現しているが、水分含量はやや多く4mm押圧時圧力はやや低くなっている。また、ジューシーさについては含脂試作品よりも高い値を示しているものの、その他の試作品に比べると若干低く、食感においてはもさつき感を感じるものである。
なお、ジューシーさの測定は表2に示す低脂肪ソーセージの測定方法と同様の方法で行っている。
【0030】
【表3】
【0031】
また、マルトデキストリンのみ、マルトデキストリン及びコラーゲンゲル、マルトデキストリンとコラーゲン粉末さらにコラーゲンゲルのそれぞれを添加した3通りの低脂肪ソーセージでは成分分析結果としてジューシーさに若干の相違が生じているもののほとんど差異がない。
しかしながら、これを実際に食した場合には官能的な差異が生じている。この官能的な差異をまとめた評価を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
表4に示されるとおり、マルトデキストリンのみであれば結着不良を起こし、分離水が多くなる。従って、ソーセージから浸出する液はいわゆるジューシー感とは異なるものである。その他のマルトデキストリンにコラーゲンの粉末やゲルを加えたソーセージにおいても同様に通常のソーセージに比較すると官能的には劣り、マルトデキストリンにコラーゲンの粉末とゲルを同時に加えたものが最も優れた食感を実現できることがわかる。
【0034】
以上のことから、このように構成された低脂肪ソーセージ1では、マルトデキストリンゲル2、コラーゲン粉末3及び粒状コラーゲンゲル4を脂肪の替わりに添加することによって製品の脂肪含量が3%以下で、しかも歯ごたえやジューシー感等の食感を満足する低脂肪ソーセージを実現している。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係る低脂肪ソーセージの製造方法について図2を参照しながら説明する。(請求項4に対応)
図2は、本実施の形態に係る低脂肪ソーセージの製造方法の工程を示す概念図である。図2において、ステップS1は、原料肉を準備する工程を示している。このステップS1では、原料の豚肉から筋繊維、膜組織及び脂肪組織をできるだけ除去し赤身肉にして、食塩及び発色剤で塩せきする。
低脂肪ソーセージの脂肪含有量を3%以下にするためには、使用する赤身肉の割合を全体の65%としたときは赤身肉に含有される脂肪分が計算上4.6%以下である必要がある。したがって、肩肉部、バラ肉部及び背脂肪等の脂肪組織が多く含有される部位の肉の使用は好ましくない。なお、原料は豚肉以外にも牛肉等の蓄肉を用いることができる。
【0036】
次に、ステップS2は、マルトデキストリンゲルを作成する工程を示している。このステップS2では、まず、市販の粉末状のマルトデキストリンに適量の水を加えて20%から25%の水溶液を作成する。続いてこの水溶液を80℃に加熱し、その後、冷蔵庫等に一晩保管して冷却すると水溶液はゲル化し、白色ラード状となる。このゲルをマルトデキストリンゲルとする。
【0037】
そして、次に、ステップS3は、粒状コラーゲンゲルを作成する工程を示している。このステップS3では、まず、市販の粉末状のコラーゲンに適量の水を加えて5%の水溶液を作成する。続いてこの水溶液を80℃に加熱し、その後、冷蔵庫等に一晩保管して冷却すると水溶液はゲル化する。このゲルを3mmのチョッパーで挽いてミンチ状にし、粒状コラーゲンゲルとする。
【0038】
ステップS4は、原料肉を調整し、添加物を混和する工程を示している。このステップS4では、ステップS1で準備した赤身肉を3mmのチョッパーで挽いてミンチ状にする。このミンチ650g、氷水150gの半量及び結着剤をカッターに入れてカッティングする。
【0039】
ステップS5は、コラーゲン粉末を混和する工程を示している。このステップS5では、ステップS4で調整された材料に、コラーゲン粉末を7.5g加えて均一になるようにカッティングする。コラーゲン粉末を加えると材料間の結着性が高まり、弾力のあるソーセージ生地を作成することができる。
さらに、ステップS5では、コラーゲン粉末と同時に適量の香辛料及び調味料と残り半量の氷水を加えて引続きカッティングする。
【0040】
ステップS6は、マルトデキストリンゲルを混和する工程を示している。このステップS6では、ステップS5で調整された材料に、ステップS2で作成したマルトデキストリンゲルを150g加え、材料の温度が12℃になるまでカッティングを続けて、ソーセージエマルジョンを作成する。
マルトデキストリンゲルはゲル状であり材料中に混和する際の混ざり具合を確認しながら行うことができるので、ソーセージエマルジョン中にマルトデキストリンゲルを均一に混和することが容易である。したがって、出来上がりのソーセージにはマルトデキストリンゲルが均一に分散され、よりよい食感を得ることができる。なお、ステップS5のコラーゲン粉末を混和する作業とステップS6のマルトデキストリンゲルを混和する作業は入れ替えて行っても支障はない。
【0041】
ステップS7は、粒状コラーゲンゲルを混和する工程を示している。このステップS7では、ステップS6で調整されたソーセージエマルジョンをカッターからボールへ移して、ステップS3で作成した粒状コラーゲンゲルを50gから100g加える。この時、粒状コラーゲンゲルが材料中に均一に分散するように手などを使ってよく混ぜる。なお、ソーセージエマルジョンをボールに移さずにカッターに入れた状態のまま粒状コラーゲンゲル4を加えて軽くカッティングしてもよい。
粒状コラーゲンゲルを加えるとジューシー感を有する低脂肪ソーセージを作成することができる。また、粒状コラーゲンゲルはマルトデキストリンゲルと同様にゲル状であるので、材料中に混和する際の混ざり具合を確認しながら行うことができ、ソーセージエマルジョン中に確実にまた容易に均一分散されるので、出来上がりのソーセージの食感の質を高めることができる。
【0042】
また、各種茶葉、青海苔、きのこ及び野菜等の植物性食品並びに粗挽き風低脂肪ソーセージ用のミンチにした牛肉の赤身及びビアシンケン風低脂肪ソーセージ用の塩せきした牛もも肉の角切りは、ステップS7において粒状コラーゲンゲルを混和した後に加える。
きのこや野菜類は加熱後水分を絞って添加すると、充填後のソーセージの加熱殺菌時におけるゲル化に際して、水分の過剰による離水を防止することができる。
【0043】
最後に、ステップS8は、充填、乾燥、燻煙、加熱、冷却及び包装を行う工程を示している。このステップS8では、ステップS7で調整されたソーセージエマルジョンの生地をスタッファーに入れ、羊腸に充填し、適当な長さに結束した後、乾燥及び燻煙を行い、温湯又はスチームで加熱殺菌する。加熱殺菌後は冷却して各種包装を施す。
充填以降の作業は通常のソーセージの製造方法とほぼ同様である。しかしながら、低脂肪ソーセージは通常のソーセージに比べて水分が多いので乾燥時間を少し長めに行うと燻煙時の着色が良くなる。また、植物性食品を加える場合は、燻煙しない方が素材の風味を生かすことができる。さらに、ビアシンケン風低脂肪ソーセージでは燻煙せずに加熱殺菌を行う。
ケーシングには羊腸以外にも豚腸や牛腸等のケーシングを用いてもよい。なお、ビアシンケン風低脂肪ソーセージでは非透過性のケーシングを用いるとよい。
【0044】
このように構成された低脂肪ソーセージの製造方法においては、通常のソーセージの製造方法によって調整された材料に、コラーゲン粉末を均一に加えることによって材料間の結着性を高め、弾性のあるソーセージ生地を作成することができる。また、粒状コラーゲンゲルの混和によって食感であるジューシー感を高めることができる。
そして、コラーゲン粉末、マルトデキストリンゲル及び粒状コラーゲンゲルの添加は通常のソーセージに添加される脂肪の代替となり、製品の脂肪含量が3%以下の低脂肪ソーセージを実現し、さらに、これらをソーセージ中に確実に分散させることによって食感の質を高めることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項3に記載の低脂肪ソーセージにおいては、マルトデキストリンゲル、コラーゲン又はゼラチンの粉末及び粒状にしたコラーゲンゲルが通常のソーセージに添加される脂肪の代替となり、低脂肪で低カロリーでありなお且つ通常のソーセージと同等の好ましい弾力とジューシー感を有することができる。
【0046】
また、本発明の請求項2に記載の低脂肪ソーセージにおいては、赤身を塩せきした牛肉塊に含まれる成分は脂肪代謝やダイエットに効果があり、さらに健康的な特徴を付与することができる。
【0047】
さらに、本発明の請求項3に記載の低脂肪ソーセージにおいては、通常のソーセージとは異なった植物性食品の風味の添加することで、脂肪に置き換わる風味を付与することができる。
【0048】
最後に、本発明の請求項4に記載の低脂肪ソーセージの製造方法においては、マルトデキストリンゲル、コラーゲン又はゼラチンの粉末及び粒状にしたコラーゲンゲルを混和することによって低脂肪ソーセージに必要な食感を与え、また、これらを確実に分散させることによって低脂肪ソーセージの食感の質をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本実施の形態に係る低脂肪ソーセージの外形図であり、(b)は図1(a)中にA−A線で示された部分の矢視断面図である。
【図2】本実施の形態に係る低脂肪ソーセージの製造方法の工程を示す概念図である。
【符号の説明】
1…低脂肪ソーセージ 2…マルトデキストリンゲル 3…コラーゲン粉末 4…粒状コラーゲンゲル 5…ファイブラスケーシング
Claims (4)
- 原料肉に含まれる脂肪を減じて製造される低脂肪ソーセージにおいて、マルトデキストリンをゲル化させたマルトデキストリンゲルと、コラーゲン又はゼラチンの粉末と、コラーゲンの粉末を一旦ゲル化させた後にミンチして粒状にしたコラーゲンゲルとを分散させて含有することを特徴とする低脂肪ソーセージ。
- 請求項1記載の前記低脂肪ソーセージ中に、赤身を塩せきした牛肉塊を分散させることを特徴とする低脂肪ソーセージ。
- 請求項1又は請求項2に記載の低脂肪ソーセージ中に、粉状あるいは粒状の植物性食品を添加することを特徴とする低脂肪ソーセージ。
- ソーセージの製造方法において、原料肉に含まれる脂肪を減ずるよう調整された材料に、マルトデキストリンをゲル化させた、マルトデキストリンゲルとコラーゲン又はゼラチンの粉末を混和する工程と、コラーゲンの粉末を一旦ゲル化させた後にミンチして粒状にしたコラーゲンゲルを混和する工程とを有することを特徴とする低脂肪ソーセージの製造方法。
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