JP3737119B2 - 電磁式に作動可能な弁、殊に燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関の燃料噴射装置の電磁式に作動可能な弁、特に燃料噴射弁であって、弁縦軸線に沿って軸線方向に運動可能な球状の弁部材を有しており、弁部材が弁座と協働して、該弁座に軸線方向の運動の1つの終端位置で接触するようになっており、弁座の下流側に少なくとも1つの噴射孔及び、磁気回路の内側磁極を成す磁芯を有しており、磁芯が弁部材に関連して弁座に相対しており、弁部材が弁縦軸線に対して直角に延びる球体赤道を有しており、案内開口を備えて弁部材を案内する案内部材が前記球体赤道の平面内を延びている形式のものに関する。
ヨーロッパ特許出願出願公開第0007724号明細書により公知の燃料噴射弁は、球形の弁部材を有しており、弁部材が弁内を軸線方向に運動可能であって、弁閉鎖部材としても役立っている。球形の弁部材は非磁性の不動の弁座と協働するようになっており、弁部材の1つの終端位置が、マグネットコイルの励磁されていない状態で弁座への弁部材の当接によって規定されている。磁性の内側磁極(Innenpol)が弁部材を基準にして弁座に正確に相対している。磁気回路の励磁が行われると、球形の弁部材が内側磁極に向けて引きつけられ、直接に内側磁極の接触面に当接する。これによって弁は開かれている。弁部材は側方磁極(Seitenpol)によって取り囲まれており、側方磁極が円筒形の開口を備えたマグネットプレートを成している。磁束線が側方磁極から弁部材を介して内側磁極へ延びており、側方磁極と弁部材との間の半径方向空隙が円筒形の開口の幾何学形状に基づき大きくなっている。さらに欠点として、ストッパ面を形成する際の内側磁極の取り扱いが困難である。ストッパ面の成形及び表面処理(被覆)に際して常に、内側磁極全体が処理されねばならない。
米国特許第4308890号明細書により公知の類似の噴射ポンプは、同じく球形の弁部材を有している。弁部材の軸線方向の運動の両方の終端位置が、内側磁極に設けられたストッパ面及び不動の弁座によって規定されている。両方の終端位置間での軸線方向運動中の弁部材の案内は設けられていない。マグネットケーシングからリング部分が弁部材の軸線方向の長さの領域で弁部材の近傍まで突出している。リング部分によって円筒形の内側の開口部分が得られ、開口部分を通って弁部材が運動させられる。この場合にも、側方磁極として役立つリング部分と弁部材との間の半径方向空隙が大きい。既に述べた欠点と同じ欠点が、ヨーロッパ特許第0063952号明細書により公知の流体噴射弁においてもある。
発明の利点
請求項1に記載の特徴を備えた本発明に基づく電磁式に作動可能な弁、特に燃料噴射弁においては利点として、簡単かつ安価な形式で磁気回路の高い効果が得られ、それというのは磁場の損失が簡単な構造手段に基づき著しく小さく保たれるからである。
球形の弁部材を取り囲む軟磁性の本発明に基づく案内部材は、該案内部材の内側の案内開口の少なくとも部分的な球帯状の構造により、弁部材の良好な案内のためにも、弁部材への磁束線の最適な伝達のためにも役立ち、それというのは弁部材と案内部材との間の半径方向空隙の空隙容積が最小に保たれるからである。
さらに利点として、特定の製造プロセス、例えば表面処理に際して弁のいくつかの構成部分の取り扱いが明らかに簡単である。内側磁極として役立つ磁心と球形の弁部材との間に配置されたストッパエレメントが、個別の挿入部分として著しく良好に成形され、容易に表面処理(例えば、被覆)を施されて、簡単に組み込み可能である。ストッパエレメントをプレート状に構成して、圧縮ばねによって磁心に向けて押圧すると有利であり、この場合、ストッパエレメントの案内が非磁性の中間部分によって行われる。
ストッパエレメントを粗い多孔性の焼結部材として構成すると特に有利である。このようなストッパエレメントは、10分の1ミリメータ範囲の直径を有するボールから焼結成形されている。一緒に焼結されたボール間を流体が良好に流過でき、従って付加的な流過通路は不要である。幾何学形状及び製造が簡単であることのほかに、粗い多孔性によってストッパ面の領域の液力的な付着を防止するという利点が得られる。このようなストッパエレメントは同時にフィルタとして作用し、大まかな汚れが弁座領域から遠ざけられている。
さらに有利には、液力的な付着を避けるために、ストッパエレメントの球帯状のストッパエレメントは球形の弁部材の表面輪郭若しくは半径に正確に相応してはいない。従って、当接に際してもっぱらリング状のほぼ線接触しか生じない。
本発明の実施例が図面に簡単に示して、以下に詳細に説明しており、図1は本発明に基づく電磁式に作動可能な弁の部分的な断面図、図2はストッパエレメントのII−II線に沿った断面図、図3はストッパエレメントの外側部分への弁部材の当接を示し、図4はストッパエレメントの内側部分への弁部材の当接を示し、かつ図5はストッパエレメントの中央部分への弁部材の当接を示している。
実施例の説明
図1に部分的に示し混合気圧縮外部点火式の内燃機関の燃料噴射装置のための噴射弁の形の電磁式に作動可能なな弁は、磁気回路を有しており、該磁気回路が特にマグネットコイル1、段付けされた管状のマグネットケーシング3、並びに内側磁極及び燃料入口接続部として役立つ磁芯5を備えており、磁芯は実施例では全長に亙ってコンスタントな直径を有している。例えば段付けされたコイル部材6がマグネットコイル1の巻条を受容していて、マグネットケーシング3の段付き構造と関連してマグネットコイル1の領域で噴射弁の特にコンパクトな構造を可能にしている。
マグネットコイル1はコイル部材6と一緒にマグネットケーシング3内に確実に埋め込まれ、即ちマグネットケーシング3によって周方向で完全に、かつ下方を少なくとも部分的に取り囲まれている。マグネットケーシング3内に差し込み可能なカバーエレメント(図示せず)は、マグネットコイル1の上側を閉鎖して、かつ磁気回路の接続のために役立っている。カバーエレメントは磁芯5をマグネットコイル1の上側でマグネットケーシング3に結合している。マグネットケーシング3内でコイル部材6のすぐ下側に設けられた段部7によって、下流方向にマグネットケーシング3の直径の縮小部を形成してあり、縮小部は下流側の端部区分9で以て弁座支持体として機能している。コイル部材6は実施例ではマグネットケーシング3の段部7に載っている。
この場合、管状のマグネットケーシング3は弁縦軸線10に対して同軸的に延びている。マグネットケーシング3内に縦孔12を延在させてあり、該縦孔も弁縦軸線10に対して同軸的に配置されている。縦孔12内には球状の弁部材13を配置してあり、該弁部材は可動子並びに噴射弁の弁閉鎖部材を成している。磁芯5の下側の磁芯端部14に、金属性の非磁性的な管状の中間部分15が例えばろう付けによって結合されて、磁芯端部14を軸線方向で部分的に取り囲んでいる。中間部分15をマグネットケーシング3に密接にかつ堅く結合することによって磁芯5とマグネットケーシング3との間のシールも保証されているので、マグネットコイル1は乾燥している。この場合、コイル部材6は例えば中間部分15の上側の端面16に接触している。
噴射弁の操作は公知の形式で電磁的に行われる。弁部材13の軸線方向の運動、ひいては噴射弁の、弁部材13に接触する戻しばね17のばね力に抗した開放、若しくは閉鎖のために、マグネットコイル1、マグネットケーシング3及び磁芯5を備えた磁気回路が役立つ。マグネットケーシング3の、下流側にマグネットコイル1と逆の側に位置する端部区分9で縦孔12内に、円筒形の弁座部材20を例えば溶接によって密接に組み込んであり、弁座部材が不動の弁座を有している。
弁縦軸線10に沿った軸線方向運動中の弁部材13の案内のために、プレート状の案内部材25が役立つ。球状の弁部材13は弁座部材20の流れ方向で円錐台状に先細の弁座21と協働するようになっている。弁座部材20の周囲は、マグネットケーシング3の縦孔12よりもわずかに小さい直径である。弁座部材20は弁部材13と逆の側の端面26で、例えば小鉢状(topffoermig)に形成された噴射孔プレート27に、同心的に例えばレーザーによって密接にかつ環状に構成された溶接継ぎ目によって堅く結合されている。
小鉢状の噴射孔プレート27は、浸食若しくは打ち抜きによって形成された噴射孔29が設けられかつ弁座部材20が取り付けられた底部28のほかに、下流方向に向けられた環状の保持縁部30を有している。内燃機関の吸込管路内への、噴射孔29の外側での流体、特に燃料の直接的な流入は、噴射孔プレート27とマグネットケーシング3との間の溶接継ぎ目31によって避けられる。
小鉢状の噴射孔プレート27を備えた弁座部材20の押し込み深さ若しくは、弁部材13の上流側にプレート状のストッパエレメント33を配置することによって、弁部材13の行程の大きさが規定されている。この場合、マグネットコイル1の励磁されていない状態での弁部材13の一方の終端位置が、弁部材13と弁座部材20の弁座21との接触によって規定されているのに対して、マグネットコイル1の励磁された状態での弁部材13の他方の終端位置が弁部材とストッパエレメント33との接触によって規定されている。
ばね鋼薄板からロール成形されて、磁芯5の、弁縦軸線10に対して同軸的に延びる流れ孔35内に押し込まれた調節スリーブ36が、流れ孔35内を延びて調節スリーブ36に接触する戻しばね17のばね応力の調節のために役立ち、戻しばねは相対する側で球形の弁部材13の上面に支えられている。戻しばね17はストッパエレメント33の内側の一貫した開口38内を貫通しており、該開口は例えば、磁芯5の流れ孔35の直径に相応する直径を有している。従って、開口38は流れ孔35の延長部を成している。
ストッパエレメント33は上側の端面40で磁芯5の磁芯端部14に接触している。この場合、端面40は実施例ではストッパエレメント33がもっぱら磁芯5に接触して、中間部分15には接触しないように加工されている。このことを達成するために、ストッパエレメント33の外周に環状の面取り部41が設けられている。ストッパエレメント33はその他では周方向で中間部分15によって案内される。ストッパ33の上側の端面40が平らに構成されているのに対して、弁部材13に向いた相対する下側のストッパ面43は球帯状(kalottenfoermig)に構成されて、磁気回路が小さな空隙に基づきできるだけ効果的に生ぜしめられるようになっている。ストッパエレメント33の球帯構造の種々の可能性が図3乃至図5に示してある。球帯状のストッパ面43は、半径方向と同時に下流方向に延びる少なくとも1つ、実施例では4つの流体通路、特に燃料通路44によって中断されている。この場合、少なくとも1つの燃料通路44は溝状にストッパエレメント33に形成されている。
ストッパエレメント33は段付けされた外側輪郭を有し、この場合上側の部分が、燃料通路44を含む下側の部分よりも大きな外径を有している。これによってストッパエレメント33に段部46が得られ、該段部に対して圧縮ばね47が押圧されている。ストッパエレメント33に接触する圧縮ばね47はストッパエレメント33を磁芯5の磁芯端部14に向けて押圧しているのに対して、相対する側で案内部材25に支えられており、案内部材自体は弁座部材20に接触している。ストッパエレメント33は軟磁性材料から成っていて、少なくとも下側の球帯状のストッパ面43を摩耗防止の理由から表面処理され、例えばクロームメッキされている。
球状の弁部材13は球体赤道(Kugelaequator)48を有しており、該球体赤道は球体を同じ大きさの2つの球体半部に分割する球体平面に位置している。球体赤道48の領域をプレート状の案内部材25が延びており、案内部材の案内開口49を通って弁部材13が運動する。案内部材25は軟磁性材料から成っていて、弁座21と弁部材13とが接触する状態において軸線方向で少なくとも球体赤道48の高さから下流に向かって弁部材13の輪郭に相応して球帯状に構成されている。磁束流がマグネットケーシング3、案内部材25、弁部材13及びストッパエレメント33を介して磁芯5へ延びている。案内部材25の案内開口49の球帯状の構造により、磁束流が案内開口49と球状の弁部材13との間の最小の容積の半径方向空隙を経て弁部材13に達する。案内開口49の上側の部分は例えば円筒形に構成されている。案内部材25は180°回動させて組み込まれていてよく、これによって案内開口49の球帯状に構成された区分が球体赤道48の上側に位置する。弁座21に向けた流体案内のために、軸線方向に延びる溝状の凹所が案内部材25の案内開口49に設けられていてよい。案内部材25は例えばエンボス加工(Praegen)、燒結、若しくはMIG(Metal-Injectin-Moulding)・技術によって製造されている。
ストッパエレメント33もエンボス加工、燒結、若しくはMIG・技術によって製造されていてよい。別の実施例としてストッパエレメント33は、10分の1ミリメータ範囲の直径を有するボール(Kugel)から燒結成形されていてよい。このような粗い多孔性(grobporig)の燒結部材においては、流体通路、特に燃料通路44は不必要であり、それというのは一緒に燒結されたボール間を燃料が流過できるからである。ストッパエレメント33の粗い多孔性の表面によって、液力的な付着(hydrauliches Kleben)が効果的に阻止される。このようなストッパエレメント33はフィルタとしても作用し、汚れが弁座領域から遠ざけられている。
マグネットケーシング3の端部区分9に、実施例では薄板から成る保持リング52が取り付けられている。断面で見てフック状の保持リング52は周囲の3つ、若しくは4つの箇所に押し出し成形された舌片53を有しており、該舌片は噴射弁の分解に際して保持リング52のはずれを自縛作用によって防止している。マグネットケーシング3の段部7及び保持リング52によって、マグネットケーシング3の外周にリング溝が形成されており、該リング溝内にシールリング55が配置されている。
図2はストッパエレメント33の図1の線II−IIに沿った断面図である。この実施例では互いに90°の間隔を置いて配置された溝状の4つの燃料通路44を設けてあり、該燃料通路は内側の開口38から半径方向外側へ延びている。燃料通路44の別の数も考えられる。燃料通路44はストッパエレメント33を粗い多孔性の燒結部材として形成した場合には完全に省略できる。
液力的な付着を避けるために、ストッパエレメント33の球帯状のストッパ面43の幾何学形状は、球形の弁部材13の表面輪郭、若しくは半径に正確に相応していてはならない。図3、図4及び図5には、液力的な付着を避けるための可能な輪郭が示されている。弁部材13はストッパエレメント33のストッパ面43のもっぱら外側区分(図3)に、若しくはもっぱら内側区分(図4)に、若しくはもっぱら中央区分(図5)に当接するのに対して、ストッパ面43の別の区分は弁部材13から著しくわずかな距離をおいて延びている。従って、リング状のほぼ線接触が行われている。
Claims (13)
- 内燃機関の燃料噴射装置の電磁式に作動可能な弁、殊に燃料噴射弁であって、弁縦軸線に沿って軸線方向に運動可能な球状の弁部材を有しており、弁部材が弁の開閉のために弁座(21)と協働して、該弁座に軸線方向の運動の1つの終端位置で接触するようになっており、弁座の下流側の少なくとも1つの噴射孔及び、磁気回路の内側磁極を成す磁芯を有しており、磁芯が弁部材に関連して弁座に相対しており、弁部材が弁縦軸線に対して直角に延びる球体赤道を有しており、案内開口を備えて弁部材を案内する案内部材が前記球体赤道の平面内を延びている形式のものにおいて、案内部材(25)の、弁部材(13)の軸線方向の運動を可能にしている案内開口(49)が少なくとも部分的に球帯状に構成されていることを特徴とする、電磁式に作動可能な弁。
- 案内部材(25)の案内開口(49)が軸線方向の所定の距離に亙って円筒形の区分で構成されており、該区分に、球帯状の輪郭を有した狭まる区分が続いている請求項1記載の弁。
- 球帯状の輪郭を有する区分が、弁座(21)に向けて案内開口(49)の円筒形の区分に続いている請求項2記載の弁。
- 球帯状の輪郭を有する区分が、磁芯(5)に向けて案内開口(49)の円筒形の区分に続いている請求項2記載の弁。
- 溝状の少なくとも1つの凹所が案内開口(49)に設けられている請求項1から4のいずれか1項記載の弁。
- 弁座(21)が弁座部材(20)に形成されており、弁座部材が案内部材(25)に接触している請求項1記載の弁。
- 磁芯(5)と弁部材(13)との間にストッパエレメント(33)を弁座(21)と無関係に配置してあり、該ストッパエレメントが弁部材(13)に向けられた球帯状のストッパ面(43)を有しており、該ストッパ面に弁部材(13)が軸線方向の運動の別の終端位置で接触している請求項1記載の弁。
- ストッパエレメント(33)がプレート状に形成されていてかつ、軸線方向に延びる開口(38)を有している請求項7記載の弁。
- ストッパエレメント(33)が外側輪郭に段部(46)を有しており、該段部によって外径が下流側で減少されており、前記段部(46)に圧縮ばね(47)が接触していて、ストッパエレメント(33)を磁芯(5)に向けて押圧しており、圧縮ばね(47)の相対する側が案内部材(25)に支えられている請求項7又は8記載の弁。
- ストッパエレメント(33)が少なくとも1つの流体通路(44)を有しており、流体通路がストッパエレメントの開口(38)から弁座(21)に向けられた流体の流れを保証している請求項7から9のいずれか1項記載の弁。
- 少なくとも1つの流体通路(44)が半径方向に延びるように溝状にストッパエレメント(33)の、弁部材(13)に向けられたストッパ面(43)に形成されている請求項10記載の弁。
- ストッパエレメント(33)が粗い多孔性の燒結部材から成っており、燒結部材の材料構造を通って流体が流れるようになっている請求項7から9のいずれか1項記載の弁。
- 弁部材(13)が軸線方向の運動の別の終端位置でもっぱらストッパエレメント(33)のストッパ面(43)の著しく狭い範囲にリング状にほぼ線接触している請求項7記載の弁。
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