JP3736972B2 - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は排気ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、NOx(窒素酸化物)浄化能を向上させた排気ガス浄化用触媒として、Ptを担持したゼオライトと、CeO2 とよりなるものを提案している(特開平8−131838号公報参照)。
【0003】
この場合、Ptは、触媒用金属であって排気ガスに対し酸化能および還元能を発揮する。Ptの酸化能はHC(炭化水素)+O2 →H2 O+CO2 およびCO+O2 →CO2 といった酸化反応に寄与する。Ptの還元能は、理論空燃比においてはNOを吸着してNO→N2 といった還元反応に寄与し、一方、酸素過剰雰囲気においてはNO+O2 →NO2 といった酸化反応と、NO2 +HC+O2 →N2 +CO2 +H2 Oといった還元反応に寄与する。
【0004】
ゼオライトは排気ガス中のHCを吸着して濃縮し、そのHCをPtに供給する機能を有する。これにより酸素過剰雰囲気におけるNOx浄化率を高めることが可能である。CeO2 は酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮するので、Pt近傍のNOx濃度が高められる。これによっても酸素過剰雰囲気におけるNOx浄化率を向上させることが可能である。またCeO2 は触媒の熱劣化を抑制する効果も有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は前記触媒について種々検討を加えた結果、その触媒は酸素および水蒸気を含む高温環境、つまり水熱環境に晒されると劣化して酸素過剰雰囲気におけるNOx浄化能が低下し、これは、ゼオライトの前記水熱環境における耐久性の低下に起因する、という結論に達した。
【0006】
また前記触媒は、排気ガスの温度、つまりガス温度が150〜300℃といった低温領域にあるとき、比較的良好なNOx浄化能を示すが、ガス温度が300℃を超える高温領域ではNOxを排出する、といった特性を示す。
【0007】
このような現象が生じるのは次のような理由によるものと考えられる。即ち、前記低温領域におけるNOxの浄化はNOxの吸着と、そのNOxの還元というメカニズムに基づくものであるから、NOxの吸着量がNOxの還元量を上回った場合にはその未還元NOxは触媒に吸蔵されることとなり、その吸蔵NOxが前記高温領域で排出されるのである。
【0008】
このように前記高温領域にて吸蔵NOxが排出されると、排気ガス中にはエンジンの運転に伴い本来発生するNOxの外に余分のNOxが含まれることになり、またその量も不定であることから、NOxの浄化制御が難しくなる、といった問題を生じた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記のような水熱環境に晒された後も、酸素過剰雰囲気においてNOx浄化能を高く維持することができ、また前記高温領域においてNOxを排出することのない前記排気ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【0010】
前記目的を達成するため本発明によれば、Ptを担持した、ガロシリケートよりなる担体と、酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮するCeO2 とを有し、前記ガロシリケートのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mが100≦M≦1230であり、また前記CeO 2 は、これに吸着されたNOxを前記Ptにより略完全に浄化可能としてNOxの吸蔵を回避すべく、平均結晶子径DがD≧13.0 nm に設定されることを特徴とする排気ガス浄化用触媒が提供される。
【0011】
ここで、ガロシリケート(Ga2 O3 ・SiO2 ・nH2 O)とは、ゼオライトの骨格原子であるAlをGaにより置換したものであって、残留Al量が不可避不純物レベルであるものを言う。このようなガロシリケートに脱Ga処理を施すことによって、前記モル比Mを持つガロシリケート、つまり改質ガロシリケートを得ることができる。
【0012】
前記触媒において、Ptは、前記同様に、触媒用金属であって排気ガスに対し酸化能および還元能を発揮する。またCeO2 は、前記同様に、酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮する。この場合、NOx吸着量はCeO2 の平均結晶子径Dと相関する。そこで、平均結晶子径DがD≧13.0nmであるCeO2 を用いると、NOx吸着量はD<13.0nmのCeO2 を用いた場合よりも減少するが、その吸着NOxをPtにより略完全に浄化することが可能となり、これによりNOxの吸蔵を回避することができる。
【0013】
さらに、前記モル比Mを有するガロシリケートは、排気ガス中のHCを吸着して濃縮し、そのHCをPtに供給する機能を有し、その上、前記水熱環境において優れた耐久性を発揮するので、 a) 細孔閉塞によるPtの埋没といった不具合の発生を回避することができ、 b) 骨格からの脱Gaが大いに抑制されて、離脱GaによるCeO2 の機能減退も回避することができる。
【0014】
よって、前記触媒は、前記水熱環境に晒された後も、酸素過剰雰囲気において高いNOx浄化能を維持し、またガス温度の高温領域においてNOxを排出することもない。
【0015】
但し、前記モル比MがM<100では、Ga量が過多となって骨格構造の歪が大となるため、ガロシリケートの熱的安定性が低下し、一方、M>1230ではGa量が過少となって、ガロシリケートの性質がSiO2 に近似するため、その熱的安定性が低下する。
【0016】
また本発明は、フレッシュ状態でのNOx浄化温度域をエージング後のNOx浄化温度域に略一致させて、NOx浄化温度特性を安定化させ得るようにした前記排気ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【0017】
前記目的を達成するため本発明によれば、前記ガロシリケートにPtと共にPrを担持させた排気ガス浄化用触媒が提供される。
【0018】
Pt担持ガロシリケートとCeO2 とよりなる前記触媒は、フレッシュ状態でのNOx浄化温度域に比べてエージング後のそれが高温側へ移行しているためNOx浄化温度特性が不安定となる。この場合、エージング後のNOx浄化温度域は略一定となる。
【0019】
前記のように、ガロシリケートにPtと共にPrを担持させると、このPrはPtの酸化能を抑制する機能を有するので、Prを含む触媒のフレッシュ状態におけるNOx浄化温度域は、Prを含まない前記触媒のそれよりも高温側へ移行して、エージング後のNOx浄化温度域に略一致する。これにより触媒のNOx浄化温度特性の安定化が図られる。
【発明の実施の形態】
排気ガス浄化用触媒の第1実施例は、触媒用金属であるPtを担持した担体と、平均結晶子径DがD≧13.0nmであるCeO2 とを有する。担体はガロシリケートよりなり、そのガロシリケートのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mは100≦M≦1230に、好ましくは、130≦M≦1200に設定される。
【0020】
Pt担持ガロシリケートの配合量およびPt担持ガロシリケートにおけるPt担持量は、Pt担持ゼオライトの配合量およびPt担持ゼオライトにおけるPt担持量とそれぞれ同じであり、Pt担持ガロシリケート(Pt/Ga)の配合量は19wt%<(Pt/Ga)<100wt%に、またPt担持ガロシリケートにおけるPt担持量は3.5wt%<Pt<11wt%にそれぞれ設定される(詳細は、特開平8−131838号公報参照)。この場合、(Pt/Ga)≦19wt%では、Pt担持ガロシリケートのHC吸着能が減退するためNOx(主としてNO)浄化率が低下し、一方、(Pt/Ga)=100wt%では、CeO2 によるNOx吸着能が得られないのでNOx浄化率が低下し、またCeO2 による熱劣化抑制効果が得られないので、触媒の耐熱性が低下する。さらにPt≦3.5wt%ではPt量が少ないためNOx浄化率が低下し、一方、Pt≧11wt%に設定してもNOx浄化率は殆ど変わらなくなる。
【0021】
Pt担持ガロシリケートは、ガロシリケートにPtを、イオン交換法、真空メッキ法(PVD)、含浸法等により担持させることによって製造される。この場合、真空メッキ法を採用すると、Ptがガロシリケート表面に担持されてPtと排気ガスとの接触が良好となるので、NOx浄化率を向上させる上で有効である。
【0022】
ガロシリケートはMFI型であり、このガロシリケートとして未改質のものでもよいが、エンジン運転中の高温排気ガスに対する耐熱性を考慮すると、未改質のものに脱Ga処理を施して得られる改質ガロシリケートが望ましい。
【0023】
未改質ガロシリケートに対する脱Ga処理としては、酸処理、スチーム処理または沸騰水処理の少なくとも一つの処理が適用される。
【0024】
酸処理としては、0.5〜10NのHCl溶液を70〜90℃に昇温し、そのHCl溶液中に未改質ガロシリケートを投入して1〜25時間攪拌する、といった方法が採用される。
【0025】
また沸騰水処理としては、未改質ガロシリケートに含水処理を施し、その含水状態の未改質ガロシリケート周りの雰囲気温度を550〜600℃まで昇温し、その高温雰囲気下に未改質ガロシリケートを4時間程度保持する、といった方法が採用される。
【0026】
さらにスチーム処理としては、未改質ガロシリケートを、10%程度の水分を含む750〜900℃の雰囲気下に10〜20時間保持する、といった方法が採用される。
【0027】
これら酸処理、沸騰水処理およびスチーム処理は、単独または2以上組合わせて適用され、また必要に応じて繰返される。これにより改質ガロシリケートが得られ、そのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mは100≦M≦1230に、好ましくは、130≦M≦1200に調整される。このような改質ガロシリケートの耐熱温度は1000℃程度となる。
【0028】
触媒用金属であるPtは、排気ガスに対して酸化能および還元能を発揮する。Ptの酸化能はHC+O2 →H2 O+CO2 およびCO+O2 →CO2 といった酸化反応に寄与する。Ptの還元能は、理論空燃比においてはNOを吸着してNO→N2 といった還元反応に寄与し、一方、酸素過剰雰囲気においてはNO+O2 →NO2 といった酸化反応と、NO2 +HC+O2 →N2 +CO2 +H2 Oといった還元反応に寄与する。
【0029】
改質ガロシリケートは脱Ga処理によってその疎水性が高められ、また未改質ガロシリケートが持つ基本骨格構造を備えている上でGa離脱による比表面積の拡張が図られていることから、その特性である吸着能が増進される。このような改質ガロシリケートは、水分存在下においても排気ガス中のHCに対し良好な吸着能を発揮して、濃縮したHCをPtに供給すると共に水熱環境において優れた耐久性を発揮する。これにより酸素過剰雰囲気におけるNOx浄化率を高めることが可能である。
【0030】
CeO2 は、図1に示すように複数の結晶子が集合した多結晶粒子であり、その平均結晶子径DはD≧13.0nmに設定される。平均結晶子径Dの制御は、所定の平均結晶子径Dを有するCeO2 に大気下で熱処理を施すことによって行われる。この場合、CeO2 の平均結晶子径Dは、熱処理前よりも熱処理後の方が大となる。
【0031】
結晶子径D(hkl) の算出にはシュラー式、即ち、
D(hkl) =0.9λ/(β1/2 ・cos θ)を用いた。ここで、hklはミラー指数、λは特性X線の波長(Å)、β1/2 は(hkl)面の半価幅(ラジアン)、θはX線反射角度である。したがって、CeO2 では、X線回折図より(111)面の半価幅β1/2 を測定することによって各結晶子のD(111) を算出し、それらから平均結晶子径Dを求めた。
【0032】
CeO2 は酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮するので、Pt近傍のNOx濃度が高められる。これによっても酸素過剰雰囲気におけるNOx浄化率を向上させることが可能である。
【0033】
排気ガス浄化用触媒の第2実施例は、前記ガロシリケートにPtと共にPrを担持させたもので、その他の構成は第1実施例と同じである。
【0034】
このPrはPtの酸化能を抑制する機能を有するので、Prを含む触媒のフレッシュ状態におけるNOx浄化温度域は、Prを含まない第1実施例のそれよりも高温側へ移行して、エージング後のNOx浄化温度域に略一致する。これにより触媒のNOx浄化温度特性の安定化が図られる。
【0035】
Pr担持量はPt担持量に依存し、Pt/Prモル比M1 はM1 ≦7.5に設定される。Prは、僅かな担持量でもその効果を発揮する。ただしM1 >7.5ではフレッシュ状態でのNOx浄化温度域が低温側に在るため、エージング後のNOx浄化温度域との差が大きくなる。
【0036】
以下、具体例について説明する。
〔第I例〕
A.改質ガロシリケートの製造
(a) SiO2 /Ga2 O3 モル比Mが40の未改質ガロシリケートを90℃の1N HCl溶液中に投入し、次いで3時間攪拌する、といった改質処理を行ってスラリー状物を得た。
【0037】
(b) スラリー状物から固形分を濾別し、その固形分を純水にて、洗浄水のpHがpH≧4になるまで洗浄した。
【0038】
(c) 固形分に、大気中、130℃、5時間の条件で乾燥処理を施し、次いで乾燥後の固形分に、大気中、400℃、12時間の焼成処理を施して塊状の改質ガロシリケートを得た。
【0039】
(d) 塊状改質ガロシリケートに粉砕処理を施して粉末状改質ガロシリケートを得た。この改質ガロシリケートのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mは108であり、したがって脱Gaが発生していることが判る。また改質ガロシリケートの耐熱温度は1000℃であった。
【0040】
次に、改質処理条件を変えた、ということ以外は前記と同様の方法で各種の粉末状改質ガロシリケートを得た。表1は、改質ガロシリケートの例1〜11の改質処理条件、Si含有量、Ga含有量、Na含有量およびSiO2 /Ga2 O3 モル比Mを示す。なお、未改質ガロシリケートおよび最初に例示した改質ガロシリケートは、表1に、それぞれ未改質および例3として挙げられている。
【0041】
【表1】
【0042】
B.Pt担持ガロシリケートの製造
(a) ジニトロジアンミン白金25gを25%アンモニア水1000mlに加熱下で溶解して白金溶液(Pt濃度1.5%)を得た。
【0043】
(b) 白金溶液533gにガロシリケートの例1を92g加え、次いで、その混合物をエバポレータに入れて蒸発乾固を行い、これにより改質ガロシリケートと、それに担持されたPtとよりなるPt担持ガロシリケートの例1を得た。
【0044】
(c) 例1に、大気中、130℃、1時間の条件で乾燥処理を施し、次いで乾燥後の例1に、大気中、400℃、12時間の焼成処理を施した。この例1におけるPt担持量は8.0wt%であった。
【0045】
次に改質ガロシリケートの例2〜11を用い、前記と同様の方法でPt担持ガロシリケートの例2〜11を得た。これら例2〜11におけるPt担持量は例1と同じである。
【0046】
C.CeO2 の製造
平均結晶子径Dが7.8nmである市販のCeO2 を用意し、これに、大気下にて700℃、3時間の熱処理を施した。熱処理後のCeO2 の平均結晶子径Dは13.3nmであった。この熱処理により、CeO2 がNOxを硝酸塩として吸収することが抑制される。
【0047】
D.触媒の製造
Pt担持ガロシリケートの例1 30g、CeO2 60g、20%シリカゾル50gおよび純水180gと、直径5mmのアルミナボールとをポットに投入して、12時間の湿式粉砕を行ってスラリー状物を調製した。この場合、第1の触媒におけるPt担持ガロシリケートの配合量は約33wt%であり、一方、CeO2 の配合量は約67wt%であった。
【0048】
このスラリー状物に直径25.4mm、長さ60mm、400セル/in2 、6ミルのコージェライト製ハニカムを浸漬し、次いでそのハニカムをスラリー状物より取出して過剰分をエア噴射により除去し、その後ハニカム2を150℃の加熱下に1時間保持してスラリー状物を乾燥し、さらにハニカム2に、大気中、400℃、12時間の条件で焼成処理を施して、固形物をハニカムに保持させた。この場合、ハニカムにおける固形物、即ち、触媒およびシリカを有する層の保持量は200g/リットルであった。これを触媒の例1とする。
【0049】
次に、Pt担持ガロシリケートの例2〜11を用い、前記と同様の方法で触媒の例2〜11を得た。これら例2〜11の、ハニカムにおける保持量は例1と同じである。
【0050】
E.エージング処理
触媒の例1〜11にエージング処理を施した。このエージング処理は、水熱環境を現出すべく、管状炉を用いて、炉内雰囲気:10vol%O2 、10vol%H2 Oおよび残部N2 ;加熱温度:700℃、加熱時間:20時間の条件で行われた。
【0051】
F.排気ガス想定浄化テスト
表2は、排気ガスに似せて調製されたテスト用ガスの組成を示す。
【0052】
【表2】
【0053】
先ず、エージング処理後の触媒の例1を固定床流通式反応装置に設置し、次いでその装置内に表2組成のテスト用ガスを空間速度S.V.=5×104 h-1で流通させると共にテスト用ガスの温度を常温より20℃/min で上昇させ、所定のガス温度にてNO浄化率を測定した。同様のテストをエージング処理後の触媒の例2〜11についても行った。
【0054】
表3は、例1〜11に関するSiO2 /Ga2 O3 モル比M、最大NO浄化率およびそれを呈するガス温度を示す。また図2は、表3に基づいて、SiO2 /Ga2 O3 モル比Mと最大NO浄化率との関係をグラフ化したものである。
【0055】
【表3】
【0056】
表3、図2から明らかなように、SiO2 /Ga2 O3 モル比Mを100≦M≦1230に設定された例2〜10は、前記エージング処理後の最大NO浄化率が43%以上といったように高い。また前記モル比Mを130≦M≦1200に設定すると、例4〜9のごとく、最大NO浄化率を47%以上に高めることができる。
【0057】
前記触媒におけるPt担持ガロシリケートの代りに、SiO2 /Al2 O3 モル比が300のPt担持ゼオライト(ゼオライトは改質ZSM−5ゼオライト)を用いた比較列に、前記同様のエージング処理を施し、次いで前記同様の浄化テストを行ったところ、その最大NO浄化率は42%であり、それを呈するガス温度は260℃であった。
【0058】
例えば、触媒の例2において、平均結晶子径Dが8.7nmであるCeO2 を用いた場合、ガス温度330℃以上においてNOxの排出が認められた。
〔第II例〕
A.改質ガロシリケートの製造
(a) SiO2 /Ga2 O3 モル比Mが40の未改質ガロシリケートを90℃の3N HCl溶液中に投入し、次いで3時間攪拌する、といった改質処理を行ってスラリー状物を得た。
【0059】
(b) スラリー状物から固形分を濾別し、その固形分を純水にて、洗浄水のpHがpH≧4になるまで洗浄した。
【0060】
(c) 固形分に、大気中、130℃、5時間の条件で乾燥処理を施し、次いで乾燥後の固形分に、大気中、400℃、12時間の焼成処理を施して塊状の改質ガロシリケートを得た。
【0061】
(d) 塊状改質ガロシリケートに粉砕処理を施して粉末状改質ガロシリケートを得た。この改質ガロシリケートのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mは500であり、したがって脱Gaが発生していることが判る。また改質ガロシリケートの耐熱温度は1000℃であった。
【0062】
B.Pt−Pr担持ガロシリケートの製造
(a) ジニトロジアンミン白金25gを25%アンモニア水1000mlに加熱下で溶解して白金溶液(Pt濃度1.5%)を得た。
【0063】
(b) 白金溶液533g、改質ガロシリケート92g、酢酸プラセオジム14.5gおよび純水500mlを混合し、次いで、その混合物をエバポレータに入れて蒸発乾固を行い、これにより改質ガロシリケートと、それに担持されたPtおよびPrとよりなるPt−Pr担持ガロシリケートの例1を得た。
【0064】
(c) 例1に、大気中、130℃、1時間の条件で乾燥処理を施し、次いで乾燥後の例1に、大気中、400℃、12時間の焼成処理を施した。この例1におけるPt担持量は8.0wt%であり、またPt/Prモル比M1 は1であった。
【0065】
次に、酢酸プラセオジムの配合量を72.5gに設定した、ということ以外は前記と同様の方法で、Pt/Prモル比M1 が0.2であるPt−Pr担持ガロシリケートの例2を得た。同様に、酢酸プラセオジムの配合量を1.5gに設定して、Pt/Prモル比M1 が10であるPt−Pr担持ガロシリケートの例3を得た。
【0066】
C.触媒の製造
Pt−Pr担持ガロシリケートの例1 30g、第I例のC工程で得られた平均結晶子径Dが13.3nmであるCeO2 60g、20%シリカゾル50gおよび純水180gと、直径5mmのアルミナボールとをポットに投入して、12時間の湿式粉砕を行ってスラリー状物を調製した。この触媒におけるPt−Pr担持ガロシリケートの配合量は約33wt%であり、一方、CeO2 の配合量は約67wt%であった。
【0067】
このスラリー状物に直径25.4mm、長さ60mm、400セル/in2 、6ミルのコージェライト製ハニカムを浸漬し、次いでそのハニカムをスラリー状物より取出して過剰分をエア噴射により除去し、その後ハニカム2を150℃の加熱下に1時間保持してスラリー状物を乾燥し、さらにハニカム2に、大気中、400℃、12時間の条件で焼成処理を施して、固形物をハニカムに保持させた。この場合、ハニカムにおける固形物、即ち、触媒およびシリカを有する層の保持量は200g/リットルであった。これを触媒の例1とする。
【0068】
次に、Pt−Pr担持ガロシリケートの例2,3を用い、前記と同様の方法で触媒の例2,3を得た。これら例2,3の、ハニカムにおける保持量は例1と同じである。
【0069】
D.排気ガス想定浄化テスト
表4は、排気ガスに似せて調製されたテスト用ガスの組成を示す。
【0070】
【表4】
【0071】
先ず、フレッシュ状態の触媒の例1を固定床流通式反応装置に設置し、次いでその装置内に表4組成のテスト用ガスを空間速度S.V.=5×104 h-1で流通させると共にテスト用ガスの温度を常温より20℃/min で上昇させ、所定のガス温度にてNO浄化率を測定した。同様のテストをフレッシュ状態の触媒例2,3についても行った。
【0072】
次に、フレッシュ状態の触媒の例1〜3にエージング処理を施し、次いでそれらエージング後の触媒の例1〜3について前記同様の浄化テストを行った。このエージング処理は、水熱環境を現出すべく、管状炉を用いて、炉内雰囲気:10vol%O2 、10vol%H2 Oおよび残部N2 ;加熱温度:700℃、加熱時間:20時間の条件で行われた。 表5は、触媒の例1〜3および比較例としての、第I例における触媒の例6(Pr無担持)に関するフレッシュ状態およびエージング後の最大NO浄化率を呈するガス温度を示す。
【0073】
【表5】
【0074】
また図3は、フレッシュ状態およびエージング後の触媒の例1および比較例に関するガス温度とNO浄化率との関係を示すグラフである。
【0075】
表5、図3から明らかなように、フレッシュ状態の触媒の例1におけるNO浄化温度域は、フレッシュ状態の比較例のそれに比べて高温側へ移行し、しかもエージング後のNO浄化温度域に略一致していることが判る。比較例では、エージング後においてNO浄化温度域が高温側へ移行している。
【0076】
表5より、触媒の例2も例1と同様の傾向を示すことが判るが、触媒の例3はPt/Prモル比M1 がM1 >7.5であることから、フレッシュ状態でのNO浄化温度域が低温側に在るため、エージング後のNO浄化温度域との差が大きくなる。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、Ptを担持した、ガロシリケートよりなる担体と、酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮するCeO 2 とを有し、ガロシリケートのSiO 2 /Ga 2 O 3 モル比Mが100≦M≦1230であるので、このガロシリケートが、水分存在下においても排気ガス中のHCに対し良好な吸着能を発揮して、濃縮したHCをPtに供給でき、その上、水熱環境において優れた耐久性を発揮して、酸素過剰雰囲気におけるPtによるNOx浄化率を高めることが可能である。
【0078】
またCeO 2 は、酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮して、Pt近傍のNOx濃度を高める機能を果たすものであるが、本発明では特に平均結晶子径DがD≧13.0 nm であるCeO 2 を用いたことにより、NOx吸着量は、D<13.0 nm のCeO 2 を用いた場合よりも減少するものの、その吸着NOxをPtにより略完全に浄化させることが可能となってNOxの吸蔵(従って高温領域での排出)を回避でき、以上の結果、触媒は、これが水熱環境に晒された後も、酸素過剰雰囲気下で高いNOx浄化率を維持することができ、またガス温度の高温領域において余分のNOxを排出することがないから、NOxの浄化制御が容易となる。
【0079】
また特に請求項2記載の発明によれば、前記のように構成することにより、前記効果に加え、フレッシュ状態でのNOx浄化温度域をエージング後のそれに略一致させて、NOx浄化温度特性の安定化を図った排気ガス浄化用触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CeO2 の説明図である。
【図2】 SiO2 /Ga2 O3 モル比Mと最大NO浄化率との関係を示すグラフである。
【図3】 ガス温度とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- Ptを担持した、ガロシリケートよりなる担体と、酸素過剰雰囲気においてNOx吸着能を発揮するCeO2 とを有し、
前記ガロシリケートのSiO2 /Ga2 O3 モル比Mが100≦M≦1230であり、 また前記CeO 2 は、これに吸着されたNOxを前記Ptにより略完全に浄化可能としてNOxの吸蔵を回避すべく、平均結晶子径DがD≧13.0 nm に設定されることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。 - 前記ガロシリケートにPtと共にPrを担持させた、請求項1記載の排気ガス浄化用触媒。
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