図1は本発明に係るラッチ装置を適用した2軸ヒンジ扉を示す斜視図、図2は本発明に係る2軸ヒンジ扉のラッチ装置を例示する概略図である。
図1に示すように2軸ヒンジ扉1(以下、扉体という)は、例えば例えばワゴンタイプの自動車などの後門扉として採用してある。この扉体1は、自動車の後部室の後部開口を閉塞してあり、当該後部室を乗客用あるいは貨物用に兼用するために開放する。扉体1は、後部開口を閉塞した略垂直の状態から、図1において二点鎖線であらわすように、当該扉体1の左右一方の側部(本実施例では左側部)に設けた垂直軸線2の周りの開放(スイング開放)と、扉体1の下方に設けた水平軸線3の周りの開放(フラップ開放)とを選択的に行う態様にしてある。すなわち、後部室を乗客用にする場合にはフラップ開放によって乗客の乗り降りを容易にし、後部室を貨物用にする場合にはスイング開放によって荷物の積み卸しを容易にする。
本発明に係るラッチ装置は、扉体1のスイング開放あるいはフラップ開放を選択する。図2に示すようにラッチ装置は、2軸ヒンジ10と、水平ヒンジラッチ機構(第1ヒンジラッチ機構)20と、垂直ヒンジラッチ機構(第2ヒンジラッチ機構)40と、共通ラッチ機構60と、スイング操作ハンドル(第1操作手段)70と、フラップ操作ハンドル(第2操作手段)80とを有している。また、ラッチ装置は、水平ヒンジラッチ機構20、垂直ヒンジラッチ機構40、共通ラッチ機構60、スイング操作ハンドル70およびフラップ操作ハンドル80を各々連係する扉開放可否手段90を有している。
まず、2軸ヒンジ10について説明する。図3は2軸ヒンジを示す斜視図、図4は2軸ヒンジをスイング開放の形態にした斜視図、図5は2軸ヒンジをフラップ開放の形態にした斜視図である。
2軸ヒンジ10は、固定部材11と、中間部材12と、可動部材13とを有している。固定部材11は、固定部としての車両本体4側(図1参照)の車両後方に向く垂直面に固定してある。可動部材13は、車両本体4側の前記垂直面と対面する扉体1側の垂直面に固定してある。そして、中間部材12は、固定部材11に対して水平軸14を介して回動可能に支承してある。また、中間部材12は、垂直軸15を介して可動部材13を回動可能に支承してある。
上記2軸ヒンジ10は、図4に示すように中間部材12を介しつつ固定部材11(車両本体4側)を基準として、垂直軸15の周りに可動部材13(扉体1側)を回動可能に支承する。一方、2軸ヒンジ10は、図5に示すように固定部材11(車両本体4側)を基準として、水平軸14の周りに中間部材12とともに可動部材13(扉体1側)を回動可能に支承する。また、水平軸14の軸線14aは、上記水平軸線3と同じ軸線上にあり、垂直軸15の軸線15aは、上記垂直軸線2と同じ軸線上にある。このため、図2に示すように2軸ヒンジ10は、垂直軸線2と水平軸線3とが交差した部位であって、扉体1の左下側に設けてある。この結果、2軸ヒンジ10は、軸線方向が異なる2つの軸14,15の周りに回動可能に扉体1を車両本体4に支承することになる。
次に、水平ヒンジラッチ機構(第1ヒンジラッチ機構)20について説明する。図6は水平ヒンジラッチ機構の係合状態を示す左側面図、図7は水平ヒンジラッチ機構の離脱状態を示す左側面図、図8は水平ヒンジラッチ機構の係合状態を示す車両後方から見た図、図9は水平ヒンジラッチ機構の離脱状態を示す車両後方から見た図である。
図2に示すように水平ヒンジラッチ機構20は、扉体1の右下側に設けてある。図6に示すように水平ヒンジラッチ機構20は、車両本体4側に固定した水平ストライカ軸21に対して係合/離脱可能に設けてある。この水平ストライカ軸21は、水平軸線3と同じ軸線上に設けてある。
水平ヒンジラッチ機構20は、車両本体4の室内側(車両前方)に向けて略水平に延在する切欠溝22aを設けた収容部22を有している。この収容部22の内部には、ラッチ23とラチェット24とを収容してある。
ラッチ23は、収容部22の切欠溝22aよりも上方となる位置に、水平軸線3に沿って平行に延在するラッチ軸23aを介して収容部22に対して回転可能に支承したもので、噛合溝23b、第1フック部23c、第2フック部23dおよび係合段部23eを有している。図6に示すように噛合溝23bは、ラッチ23の外周面の一部を開口する態様でラッチ軸23aに向けて形成したもので、水平ストライカ軸21を収容することのできる開口幅に形成してある。第1フック部23cは、噛合溝23bを下方に向けて開口させた場合に当該噛合溝23bよりも室内側に位置する部分である。第2フック部23dは、噛合溝23bを下方に向けて開口させた場合に当該噛合溝23bよりも室外側(車両後方)に位置する部分である。係合段部23eは、噛合溝23bの開口と相反する側のラッチ23の外周面に位置し、当該位置から第1フック部23c寄りのラッチ23の外周面をラッチ軸23aの径外方向に突出させて形成した段差部分である。なお、ラッチ軸23aには、ラッチ23を常に時計回りに向けて付勢する態様でラッチバネ(図示せず)が巻装してある。
ラチェット24は、ラッチ軸23aよりも上方となる位置に、水平軸線3に沿って平行に延在するラチェット軸24aを介して収容部22に対して回転可能に支承したもので、係合部24bおよび作用部24cを有している。図6に示すように係合部24bは、ラチェット軸24aから室内側に向けて径外方向に延在する部分である。作用部24cは、ラチェット軸24aから上方に向けて径外方向に延在する部分であり、その延在端が収容部22の上方外部に延出して形成してある。また、作用部24cの延在端には、係止ピン24dが設けてある。なお、ラチェット軸24aには、ラチェット24を常に反時計回りに向けて付勢する態様でラチェットバネ(図示せず)が巻装してある。
上記ラッチ23の第1フック部23cは、図6に示すようにラッチ23を反時計回りに回転させた場合に収容部22の切欠溝22aを横切る位置になる。このとき、上記ラチェット24の係合部24bは、その延在端をラッチ23の係合段部23eに係合してラッチ23を上記位置で停止させる。この図6に示すラッチ23およびラチェット24の位置では、収容部22の切欠溝22aを進入した水平ストライカ軸21がラッチ23の噛合溝23bの奥方に至り、かつ、第1フック部23cによって噛合溝23bおよび切欠溝22aから水平ストライカ軸21が離脱する方向に移動する事態を阻止される。この結果、水平ヒンジラッチ機構20を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して係合した状態に維持される(係合状態)。
一方、ラッチ23の第1フック部23cは、図7に示すようにラッチ23を時計回りに回転させた場合に切欠溝22aを開放する位置になる。さらに、第2フック部23dは、切欠溝22aを横切り、かつ、切欠溝22aの奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態の位置になる。このラッチ23の時計回りの回転は、ラチェット24を時計回りに回転させてラッチ23の係合段部23eに対する係合部24bの係合を解除させたときのラッチバネの付勢力によって生じる。そして、ラッチ23を時計回りに回転させたとき、ラチェット24の係合部24bは、その延在端をラッチ23の突出させた外周面に当接した位置になる。この図7に示すラッチ23およびラチェット24の位置では、水平ストライカ軸21が収容部22の切欠溝22a、およびラッチ23の噛合溝23bに対して挿抜可能な状態になる。すなわち、図6の係合状態から水平ストライカ軸21が離脱する方向に移動が可能になる。この結果、水平ヒンジラッチ機構20を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して離脱した状態になる(離脱状態)。また、図7に示す離脱状態において、水平ストライカ軸21が切欠溝22aに進入した場合には、当該水平ストライカ軸21が第2フック部23dに当接してラッチ23が反時計回りに回転し、やがて水平ストライカ軸21が噛合溝23bの奥方に至って図6に示す係合状態になる。
なお、図6に示す係合状態において、ラチェット24の作用部24cは、係合部24bの端部がラッチ23の係合段部23eに係合しているため、係止ピン24dを設けた延在端が室内寄りに移動した位置で停止する。また、図7に示す離脱状態において、作用部24cは、係合部24bの端部がラッチ23の突出した外周面に当接しているため、係止ピン24dを設けた延在端が室外寄りに移動した位置で停止する。
収容部22を構成する外周壁の一部は、収容部22の上方に延出してレバー取付部25として形成してある。図6および図8に示すようにレバー取付部25は、水平軸線3に鉛直する取付板片25aと、水平軸線3に平行する取付板片25bとを有している。このレバー取付部25には、オープンレバー26、オープン操作レバー27およびオープン検出レバー28が取り付けてある。
図6に示すようにオープンレバー26は、取付板片25aに対し、水平軸線3に沿って平行に延在するオープンレバー軸26aを介して回転可能に支承したもので、オープン時作用部26bおよびオープン時動作部26cを有している。オープン時作用部26bは、U字形状の係止溝26dを形成してあり、当該係止溝26dにラチェット24における作用部24cの係止ピン24dを挿通係止してある。オープン時動作部26cは、取付板片25bの側に延出してある。なお、オープンレバー軸26aには、オープンレバー26を常に反時計回りに向けて付勢する態様でオープンレバーバネ26eが巻装してある。このオープンレバーバネ26eは、上述したラチェットバネに比較してバネ弾性力が小さく形成してあるためラチェットバネの付勢力に抗することがない。
図8に示すようにオープン操作レバー27は、取付板片25bに対し、水平軸線3の鉛直方向に延在するレバー軸29を介して回転可能に支承したもので、操作時作用部27aおよび操作時動作部27bを有している。操作時作用部27aは、レバー軸29からオープンレバー26のオープン時動作部26cに向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端がオープン時動作部26cに当接している。操作時動作部27bは、レバー軸29から略上方に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなる水平ヒンジラッチ操作連係手段5Aの一端が接続してある。なお、図2に示すように水平ヒンジラッチ操作連係手段5Aの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。
図8に示すようにオープン検出レバー28は、取付板片25bに対し、オープン操作レバー27と干渉せずにレバー軸29を介して回転可能に支承したもので、検出時作用部28aおよび検出時動作部28bを有している。検出時作用部28aは、レバー軸29から略下方に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなる水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの一端が接続してある。検出時動作部28bは、レバー軸29からオープンレバー26のオープン時動作部26cに向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端がオープン時動作部26cに当接している。また、オープン検出レバー28の検出時動作部28bと、オープン操作レバー27の操作時作用部27aとは、互いの間にオープンレバー26のオープン時動作部26cを介在した形態にしてある。なお、図2に示すように水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。
上記オープン操作レバー27は、図8に示す水平ヒンジラッチ機構20の係合状態から、図9に示すように反時計回りに回転させた場合に、オープンレバー26のオープン時動作部26cを上方に押し出し、図7に示すようにオープンレバー26を反時計回りに回動させる。これにより、オープンレバー26のオープン時作用部26bがラチェット24の作用部24cを室外側に移動させて当該ラチェット24を時計回りに回転させる。この結果、ラッチ23がラッチバネの付勢力で時計回りに回転して、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になる。なお、オープン操作レバー27の反時計回りの回転は、操作時動作部27bに接続した水平ヒンジラッチ操作連係手段5Aの引っ張りによって生じる。また、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になったとき、上記オープン検出レバー28は、上方に押し出されたオープンレバー26のオープン時動作部26cによって検出時動作部28bが上方に押されて図9に示すように反時計回りに回転する。これにより、検出時作用部28aが水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bを引っ張る方向に移動する。なお、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態であるとき、ラチェット24の作用部24cが室外寄りに移動した位置で停止するので、オープンレバー26に抑止されたオープン検出レバー28が図9に示す離脱状態の位置で停止する。
一方、図9に示す水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態から係合状態になると、図6に示すようにラチェット24の作用部24cが室内寄りに移動した位置で停止するので、オープンレバー26が時計回りに回転する。これにより、図8に示すようにオープン操作レバー27の操作時作用部27aが下方に押されて当該オープン操作レバー27が時計回りに回転し、オープン検出レバー28がオープンレバー26による抑止から解かれて図9に示す離脱状態の位置から時計回りに回転可能になる。
ここで、水平ストライカ軸21に係る構成について説明する。図10は水平ストライカ軸に係る構成を示す車両後方から見た図、図11は水平ストライカ軸に係る構成を示す車両下方から見た図、図12は水平ストライカ軸に係る構成を示す右側面図、図13は図10におけるA−A断面図、図14は図10におけるB−B断面図、図15は水平ヒンジラッチ機構を水平ストライカ軸の周りに回転した状態の左側面図である。
図10〜図12に示すように水平ストライカ軸21は、下方から見て室外側に開口する態様で断面略コ字形状に折り曲げて形成したストライカ支承部30の各対向板部の間に一端21aおよび他端21bが支承してある。図13に示すように水平ストライカ軸21の一端21a側の一部には、直径方向を細くする態様で断面形状が非円形の係合部21cを形成してある。この係合部21cには、係合レバー31が挿通係合してある。すなわち、係合レバー31は、水平ストライカ軸21に対して回転不能に係合して取り付けてある。この係合レバー31は、上述した水平ヒンジラッチ機構20の収容部22の切欠溝22aに挿通できる幅を有して、水平ストライカ軸21の中程に折り曲げて延在してある。
図14に示すように水平ストライカ軸21は、一端21aが係合レバー31を係合する上記断面形状をなしているために当該水平ストライカ軸21の他の部分の径よりも細径の軸に形成してあり、他端21bが当該水平ストライカ軸21の径と同じ径の軸に形成してある。このように形成した水平ストライカ軸21の一端21aおよび他端21bは、滑り軸受け部材32を介してストライカ支承部30の各対向板部に設けた各軸穴30a,30bに回転可能に挿通してある。この滑り軸受け部材32は、メッシュ状の金属材に樹脂材(たとえば4フッ化エチレン樹脂など)を含浸してなる。このため、水平ストライカ軸21は、ストライカ支承部30の各軸穴30a,30bに対して滑り軸受け部材32を介して低摩擦で回転することになる。なお、水平ストライカ軸21は、ストライカ支承部30の軸穴30aから一端21aを抜け止めするリング33が当該一端21aに係合してあり、ストライカ支承部30の軸穴30bから他端21bを抜け止めするフランジ21dが当該他端21bに形成してある。
係合レバー31は、図6に示すように切欠溝22aに係合する。この際、収容部22は、ストライカ支承部30の各対向板部の間に遊挿される。そして、図15に示すように係合レバー31は、係合状態にある水平ヒンジラッチ機構20が水平ストライカ軸21の周りに回転する場合に、切欠溝22aに係合して連れ回りする。このため、水平ストライカ軸21は、係合レバー31の連れ回りに従って共に回転する。この結果、水平ストライカ軸21は、水平ヒンジラッチ機構20と共に滑り軸受け部材32を介して低摩擦で回転することになる。
このように、係合状態にある水平ヒンジラッチ機構20は、水平ストライカ軸21の周りに時計回り(室外側)に回転可能に設けてある。上述したように水平ストライカ軸21は、水平軸線3と同じ軸線上にある。すなわち、水平ヒンジラッチ機構20の回転軸をなす水平ストライカ軸21は、上記2軸ヒンジ10の水平軸14と同じ軸線上にある。この結果、係合状態にある水平ヒンジラッチ機構20、および2軸ヒンジ10の水平軸14は、扉体1を車両本体4に対して車両の後下方向に開放する態様で支承することになる。
図11〜図13に示すように、上記ストライカ支承部30は、ストライカ固定部34を介して車両本体4側に固定してある。ストライカ固定部34は、下方から見て断面略L字形状に折り曲げて形成してあり、車両本体4側に面する一方の板片34aの室外側(車両後方)の面にストライカ支承部30を固定してある。ストライカ固定部34の他方の板片34bは、室外側(車両後方)に延在して水平軸線3に対して鉛直に設けてある。この他方の板片34bは、ストライカ支承部30に対して所定間隔をおいてある。そして、他方の板片34bのストライカ支承部30に向く板面には、水平軸線3と同じ軸線上(水平ストライカ軸21と同じ軸線上)に支持部35を方持ちにして設けてある。また、一方の板片34aにおいて、他方の板片34bとストライカ支承部30との間の位置には、スイッチ部36が設けてある。スイッチ部36は、その動作部36aを一方の板片34aの室外側(車両後方)に突出してある。このスイッチ部36は、例えば水平ヒンジラッチ機構20が係合状態にあるときにOFFし、離脱状態にあるときにONして、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態にあるときに車両本体4の室内に設けた警告灯など(図示せず)を点灯するためのものである。なお、ストライカ固定部34の他方の板片34bには、ストライカ支承部30側に延出したストッパ34cが設けてある。
ここで、スイッチ部に係る水平ヒンジラッチ機構の構成について説明する。図16はスイッチ部に係る水平ヒンジラッチ機構の構成を示す車両後方から見た図、図17はスイッチ部に係る水平ヒンジラッチ機構の構成を示す右側面図、図18はスイッチ部に係る水平ヒンジラッチ機構の構成を示して水平ストライカ軸の周りに水平ヒンジラッチ機構を回転した状態の右側面図である。
図16および図17に示すように、上述した水平ヒンジラッチ機構20の収容部22は、扉体1側に固定するためのヒンジラッチ固定部37に取り付けてある。図16に示すようにヒンジラッチ固定部37は、水平ヒンジラッチ機構20を水平ストライカ軸21に対して係合状態としたときに、上記ストライカ支承部30に非接触な状態にあり、かつ、主要部分が当該ストライカ支承部30とストライカ固定部34との間に挿通される。このヒンジラッチ固定部37の主要部分には、スイッチ動作部材38が取り付けてある。スイッチ動作部材38は、一対の腕部38aの間に切欠溝38bを有して略コ字形状に形成してある。切欠溝38bは、ストライカ固定部34の支持部35を収容することのできる開口幅に形成してある。このスイッチ動作部材38は、水平ヒンジラッチ機構20を係合状態にしたときの水平軸線3の周りに回転可能にヒンジラッチ固定部37に支承してある。また、スイッチ動作部材38は、ヒンジラッチ固定部37との間に設けた引張バネ39で図17中反時計回りに引っ張られつつ、当該ヒンジラッチ固定部37に設けたストッパ37aによって切欠溝38bの開口が収容部22の切欠溝22aと同じ方向に向く態様で回転が停止してある。この態様は、特に水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態において維持される。
図17に示すようにスイッチ動作部材38は、水平ヒンジラッチ機構20を係合状態にしたときに、切欠溝38bに支持部35を収容し、かつ、一方の腕部38aの先端でスイッチ部36の動作部36aを押して当該スイッチ部36をOFFにする。そして、スイッチ動作部材38は、図18に示すように水平ヒンジラッチ機構20を水平ストライカ軸21の周りに反時計回りに回転した場合に、引張バネ39によって水平ヒンジラッチ機構20と共に反時計回りに回転する態様で引っ張られるが、他方の腕部38aがストライカ固定部34に設けたストッパ34cに当接して回転を阻止される。これにより、一方の腕部38aの先端がスイッチ部36の動作部36aを押したままとなり当該スイッチ部36のOFFが維持されることになる。また、スイッチ動作部材38は、図には明示しないが水平ヒンジラッチ機構20を離脱状態にしたときに、切欠溝38bから支持部35を離脱し、かつ、一方の腕部38aの先端がスイッチ部36の動作部36aから離れて当該スイッチ部36をONにする。
次に、垂直ヒンジラッチ機構(第2ヒンジラッチ機構)40について説明する。図19は垂直ヒンジラッチ機構の係合状態を示す車両上方から見た図、図20は垂直ヒンジラッチ機構の離脱状態を示す車両上方から見た図である。
図2に示すように垂直ヒンジラッチ機構40は、扉体1の左上側に設けてある。図19に示すように垂直ヒンジラッチ機構40は、車両本体4側に固定した垂直ストライカ軸41に対して係合/離脱可能に設けてある。この垂直ストライカ軸41は、垂直軸線2と同じ軸線上に設けてある。
垂直ヒンジラッチ機構40は、車両本体4の室内側(車両前方)に向けて略水平に延在する切欠溝42aを設けた収容部42を有している。この収容部42の内部には、ラッチ43とラチェット44とを収容してある。
ラッチ43は、収容部42の切欠溝42aよりも右方となる位置に、垂直軸線2に沿って平行に延在するラッチ軸43aを介して収容部42に対して回転可能に支承したもので、噛合溝43b、第1フック部43c、第2フック部43dおよび係合段部43eを有している。図19に示すように噛合溝43bは、ラッチ43の外周面の一部を開口する態様でラッチ軸43aに向けて形成したもので、垂直ストライカ軸41を収容することのできる開口幅に形成してある。第1フック部43cは、噛合溝43bを左方に向けて開口させた場合に当該噛合溝43bよりも室内側に位置する部分である。第2フック部43dは、噛合溝43bを左方に向けて開口させた場合に当該噛合溝43bよりも室外側に位置する部分である。係合段部43eは、噛合溝43bの開口と相反する側のラッチ43の外周面に位置し、当該位置から第1フック部43c寄りのラッチ43の外周面をラッチ軸43aの径外方向に突出させて形成した段差部分である。なお、ラッチ軸43aには、ラッチ43を常に時計回りに向けて付勢する態様でラッチバネ(図示せず)が巻装してある。
ラチェット44は、ラッチ軸43aよりも右方となる位置に、垂直軸線2に沿って平行に延在するラチェット軸44aを介して収容部42に対して回転可能に支承したもので、係合部44bおよび作用部44cを有している。図19に示すように係合部44bは、ラチェット軸44aから室内側に向けて径外方向に延在する部分である。作用部44cは、ラチェット軸44aから右方に向けて径外方向に延在する部分であり、その延在端が収容部42の右方外部に延出して形成してある。また、作用部44cの延在端には、係止ピン44dが設けてある。なお、ラチェット軸44aには、ラチェット44を常に反時計回りに向けて付勢する態様でラチェットバネ(図示せず)が巻装してある。
上記ラッチ43の第1フック部43cは、図19に示すようにラッチ43を反時計回りに回転させた場合に収容部42の切欠溝42aを横切る位置になる。このとき、上記ラチェット44の係合部44bは、その延在端をラッチ43の係合段部43eに係合してラッチ43を上記位置で停止させる。この図19に示すラッチ43およびラチェット44の位置では、収容部42の切欠溝42aを進入した垂直ストライカ軸41がラッチ43の噛合溝43bの奥方に至り、かつ、第1フック部43cによって噛合溝43bおよび切欠溝42aから垂直ストライカ軸41が離脱する方向に移動する事態を阻止される。この結果、垂直ヒンジラッチ機構40を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して係合した状態に維持される(係合状態)。
一方、ラッチ43の第1フック部43cは、図20に示すようにラッチ43を時計回りに回転させた場合に切欠溝42aを開放する位置になる。さらに、第2フック部43dは、切欠溝42aを横切り、かつ、切欠溝42aの奥方(室外側)に向けて漸次右方に傾斜する状態の位置になる。このラッチ43の時計回りの回転は、ラチェット44を時計回りに回転させてラッチ43の係合段部43eに対する係合部44bの係合を解除させたときのラッチバネの付勢力によって生じる。そして、ラッチ43を時計回りに回転させたとき、ラチェット44の係合部44bは、その延在端をラッチ43の突出させた外周面に当接した位置になる。この図20に示すラッチ43およびラチェット44の位置では、垂直ストライカ軸41が収容部42の切欠溝42a、およびラッチ43の噛合溝43bに対して挿抜可能な状態になる。すなわち、図19の係合状態から垂直ストライカ軸41が離脱する方向に移動が可能になる。この結果、垂直ヒンジラッチ機構40を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して離脱した状態になる(離脱状態)。また、図20に示す離脱状態において、垂直ストライカ軸41が切欠溝42aに進入した場合には、当該垂直ストライカ軸41が第2フック部43dに当接してラッチ43が反時計回りに回転し、やがて垂直ストライカ軸41が噛合溝43bの奥方に至って図19に示す係合状態になる。
なお、図19に示す係合状態において、ラチェット44の作用部44cは、係合部44bの端部がラッチ43の係合段部43eに係合しているため、係止ピン44dを設けた延在端が室内寄りに移動した位置で停止する。また、図20に示す離脱状態において、作用部44cは、係合部44bの端部がラッチ43の突出した外周面に当接しているため、係止ピン44dを設けた延在端が室外寄りに移動した位置で停止する。
収容部42を構成する外周壁の一部は、収容部42の上方に延出してレバー取付部45として形成してある。図19に示すようにレバー取付部45は、垂直軸線2に鉛直する取付板片45aを有している。このレバー取付部45には、オープン操作レバー47およびオープン検出レバー48が取り付けてある。
図19に示すようにオープン操作レバー47は、取付板片45aに対し、垂直軸線2に沿って平行に延在するレバー軸49を介して回転可能に支承したもので、操作時作用部47aおよび操作時動作部47bを有している。操作時作用部47aは、レバー軸49からラチェット44の作用部44cに向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端が係止ピン44dに当接している。操作時動作部47bは、レバー軸49から略下方に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなる垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cの一端が接続してある。なお、図2に示すように垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。
図19に示すようにオープン検出レバー48は、取付板片45aに対し、オープン操作レバー47と干渉せずにレバー軸49を介して回転可能に支承したもので、検出時作用部48aおよび検出時動作部48bを有している。検出時作用部48aは、レバー軸49から略上方に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなる垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの一端が接続してある。検出時動作部48bは、レバー軸49からラチェット44の作用部44cに向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端が係止ピン44dに当接している。また、オープン検出レバー48の検出時動作部48bと、オープン操作レバー47の操作時作用部47aとは、互いの間に係止ピン44dを介在した形態にしてある。なお、レバー軸49には、オープン検出レバー48を常に時計回りに向けて付勢する態様でオープン検出レバーバネ48cが巻装してある。なお、図2に示すように垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。
上記オープン操作レバー47は、図19に示す垂直ヒンジラッチ機構40の係合状態から、図20に示すように反時計回りに回転させた場合に、係止ピン44dを下方に押し出すことにより、ラチェット44の作用部44cを室外側に移動させて当該ラチェット44を時計回りに回転させる。この結果、ラッチ43がラッチバネの付勢力で時計回りに回転して、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になる。なお、オープン操作レバー47の反時計回りの回転は、操作時動作部47bに接続した垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cの引っ張りによって生じる。また、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になったとき、上記オープン検出レバー48は、下方に押し出された係止ピン44dによって検出時動作部48bが下方に押されて図20に示すように反時計回りに回転する。これにより、検出時作用部48aが垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dを引っ張る方向に移動する。なお、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態であるとき、ラチェット44の作用部44cが室外寄りに移動した位置で停止するので、係止ピン44dに抑止されたオープン検出レバー48が図20に示す離脱状態の位置で停止する。
一方、図20に示す垂直ヒンジラッチ機構40の離脱状態から係合状態になると、図19に示すようにラチェット44の作用部24cが室内寄りに移動した位置で停止するので、オープン操作レバー47の操作時作用部47aが上方に押されて当該オープン操作レバー47が時計回りに回転し、オープン検出レバー48が係止ピン44dによる抑止から解かれつつオープン検出レバーバネ48cの付勢力によって時計回りに回転する。
ここで、垂直ストライカ軸41に係る構成について説明する。図21は垂直ヒンジラッチ機構の係合状態を示す車両後方から見た図、図22は垂直ヒンジラッチ機構を垂直ストライカ軸の周りに回転した状態の車両上方から見た図である。
図21に示すように垂直ストライカ軸41は、車両後方から見て室外側に向けて延在した各対向板部を構成するストライカ支承部50の間に一端41aおよび他端41bが支承してある。垂直ストライカ軸41の一端41a側の一部には、水平ストライカ軸21と同様に直径方向を細くする態様で断面形状が非円形の係合部(図示せず)を形成してある。この係合部には、係合レバー51が挿通係合してある。すなわち、係合レバー51は、垂直ストライカ軸41に対して回転不能に係合して取り付けてある。この係合レバー51は、上述した垂直ヒンジラッチ機構40の収容部42の切欠溝42aに挿通できる幅を有して、垂直ストライカ軸41の中程に折り曲げて延在してある。
図21に示すように垂直ストライカ軸41は、一端41aが係合レバー31を係合する上記断面形状をなしているために当該垂直ストライカ軸41の他の部分の径よりも細径の軸に形成してあり、他端41bが当該垂直ストライカ軸41の径と同じ径の軸に形成してある。このように形成した垂直ストライカ軸41の一端41aおよび他端41bは、水平ストライカ軸21と同様に滑り軸受け部材(図示せず)を介してストライカ支承部50の各対向板部に設けた各軸穴50a,50bに回転可能に挿通してある。この滑り軸受け部材は、メッシュ状の金属材に樹脂材(たとえば4フッ化エチレン樹脂など)を含浸してなる。このため、垂直ストライカ軸41は、ストライカ支承部50の各軸穴50a,50bに対して滑り軸受け部材を介して低摩擦で回転することになる。なお、垂直ストライカ軸41は、ストライカ支承部50の軸穴50aから一端41aを抜け止めするリング53が当該一端41aに係合してあり、ストライカ支承部50の軸穴50bから他端41bを抜け止めするフランジ41dが当該他端41bに形成してある。
係合レバー31は、図19に示すように切欠溝42aに係合する。この際、収容部42は、ストライカ支承部50の各対向板部の間に遊挿される。そして、図22に示すように係合レバー51は、係合状態にある垂直ヒンジラッチ機構40が垂直ストライカ軸41の周りに回転する場合に、切欠溝42aに係合して連れ回りする。このため、垂直ストライカ軸41は、係合レバー51の連れ回りに従って共に回転する。この結果、垂直ストライカ軸41は、垂直ヒンジラッチ機構40と共に滑り軸受け部材を介して低摩擦で回転することになる。
このように、係合状態にある垂直ヒンジラッチ機構40は、垂直ストライカ軸41の周りに時計回り(室外側)に回転可能に設けてある。上述したように垂直ストライカ軸41は、垂直軸線2と同じ軸線上にある。すなわち、垂直ヒンジラッチ機構40の回転軸をなす垂直ストライカ軸41は、上記2軸ヒンジ10の垂直軸15と同じ軸線上にある。この結果、係合状態にある垂直ヒンジラッチ機構40、および2軸ヒンジ10の垂直軸15は、扉体1を車両本体4に対して車両の後横方に開放する態様で支承することになる。
次に、共通ラッチ機構60について説明する。図23は共通ラッチ機構の係合状態を示す右側面図、図24は共通ラッチ機構の離脱状態を示す右側面図、図25は共通ラッチ機構の係合状態を示す車両後方から見た図である。
図2に示すように共通ラッチ機構60は、扉体1の右上側に設けてある。図23に示すように共通ラッチ機構60は、車両本体4側に固定した棒状のストライカ61に対して係合/離脱可能に設けてある。
共通ラッチ機構60は、車両本体4の室内側(車両前方)に向けて略水平に延在する切欠溝62aを設けた収容部62を有している。この収容部62の内部には、ラッチ63とラチェット64とを収容してある。
ラッチ63は、収容部62の切欠溝62aよりも下方となる位置に、ストライカ61に沿って平行に延在するラッチ軸63aを介して収容部62に対して回転可能に支承したもので、噛合溝63b、フック部63cおよび係止部63dを有している。図23に示すように噛合溝63bは、ラッチ63の外周面の一部を開口する態様でラッチ軸63aに向けて形成したもので、ストライカ61を収容することのできる開口幅に形成してある。フック部63cは、噛合溝63bを上方に向けて開口させた場合に当該噛合溝63bよりも室内側に位置する部分である。係止部63dは、噛合溝63bを上方に向けて開口させた場合に当該噛合溝63bよりも室外側に位置する部分である。なお、ラッチ軸63aには、ラッチ63を常に時計回りに向けて付勢する態様でラッチバネ(図示せず)が巻装してある。
ラチェット64は、切欠溝62aよりも上方となる位置に、ストライカ61に沿って平行に延在するラチェット軸64aを介して収容部62に対して回転可能に支承したもので、係合部64bおよび作用部64cを有している。図23に示すように係合部64bは、ラチェット軸64aからラッチ63側に向けて径外方向に延在する部分である。作用部64cは、ラチェット軸64aから左方に向けて径外方向に延在する部分である。なお、ラチェット軸64aには、ラチェット64を常に反時計回りに向けて付勢する態様でラチェットバネ(図示せず)が巻装してある。
上記ラッチ63のフック部63cは、図23に示すようにラッチ63を反時計回りに回転させた場合に収容部62の切欠溝62aを横切る位置になる。このとき、上記ラチェット64の係合部64bは、その延在端をラッチ63の係止部63dの端面に係合してラッチ63を上記位置で停止させる。この図23に示すラッチ63およびラチェット64の位置では、収容部62の切欠溝62aを進入したストライカ61がラッチ63の噛合溝63bの奥方に至り、かつ、フック部63cによって噛合溝63bおよび切欠溝62aからストライカ61が離脱する方向に移動する事態を阻止される。この結果、共通ラッチ機構60を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して係合した状態に維持される(係合状態)。
一方、ラッチ63のフック部63cは、図24に示すようにラッチ63を時計回りに回転させた場合に切欠溝62aを開放する位置になる。さらに、係止部63dは、切欠溝62aを横切り、かつ、切欠溝62aの奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態の位置になる。このラッチ63の時計回りの回転は、ラチェット64を時計回りに回転させてラッチ63の係止部63dに対する係合部64bの係合を解除させたときのラッチバネの付勢力によって生じる。この図24に示すラッチ63およびラチェット64の位置では、ストライカ61が収容部62の切欠溝62a、およびラッチ63の噛合溝63bに対して挿抜可能な状態になる。すなわち、図23の係合状態からストライカ61が離脱する方向に移動が可能になる。この結果、共通ラッチ機構60を設けた扉体1の部位が車両本体4に対して離脱した状態になる(離脱状態)。また、図24に示す離脱状態において、ストライカ61が切欠溝62aに進入した場合には、当該ストライカ61が係止部63dに当接してラッチ63が反時計回りに回転し、やがてストライカ61が噛合溝63bの奥方に至って図23に示す係合状態になる。
収容部62を構成する外周壁の一部は、収容部62の側方に延出してレバー取付部65として形成してある。図25に示すようにレバー取付部65には、オープン操作レバー67が取り付けてある。
図25に示すようにオープン操作レバー67は、レバー取付部65に対し、ラチェット軸64aに鉛直に延在するレバー軸69を介して回転可能に支承したもので、操作時作用部67aおよび操作時動作部67bを有している。操作時作用部67aは、レバー軸69からラチェット64の作用部64cに向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端が作用部64cに当接している。操作時動作部67bは、レバー軸69から略上方に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなる共通ラッチ操作連係手段5Eの一端が接続してある。なお、図2に示すように共通ラッチ操作連係手段5Eの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。
上記オープン操作レバー67は、図23に示す共通ラッチ機構60の係合状態から、図25に一点鎖線で示すように時計回りに回転させた場合に、ラチェット64の作用部64cを上方に移動させて当該ラチェット64を時計回りに回転させる。この結果、ラッチ63がラッチバネの付勢力で時計回りに回転して、共通ラッチ機構60が離脱状態になる。なお、オープン操作レバー67の時計回りの回転は、操作時動作部67bに接続した共通ラッチ操作連係手段5Eの引っ張りによって生じる。
次に、スイング操作ハンドル(第1操作手段)70、およびフラップ操作ハンドル(第2操作手段)80について説明する。図26は操作ハンドルを示す右側面図である。なお、スイング操作ハンドル70とフラップ操作ハンドル80とは、同様の構成であるため、図26において双方の符号を付して説明する。
図2に示すようにスイング操作ハンドル70は、扉体1の右側に設けてある。図26に示すようにスイング操作ハンドル70は、扉体1側に固定する固定部71にハンドル部72を設けてある。ハンドル部72は、固定部71よりも室外側にあって扉体1の外壁部分に表出している。また、ハンドル部72は、固定部71を貫通して室内側に向かって延在する腕部材72aを一体に有している。腕部材72aは、固定部71の支持片71aに対して左右方向に延在する支軸73の周りに回転可能に支承してある。また、腕部材72aは、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなるスイングハンドル操作連係手段5Fの一端が接続してある。なお、図2に示すようにスイングハンドル操作連係手段5Fの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。また、支軸73には、腕部材72aを常に反時計回りに向けて付勢するハンドルバネ74が巻装してある。
上記スイング操作ハンドル70は、操作者による操作によってハンドル部72が図26中一点鎖線で示すように室外側に向けて揺動する。これと共に腕部材72aがハンドルバネ74の付勢力に抗して時計回りに回転し、その延在端が室外側に移動する。この結果、スイングハンドル操作連係手段5Fが引っ張られることになる。
一方、図2に示すようにフラップ操作ハンドル80は、扉体1の中央上側に設けてある。図26に示すようにフラップ操作ハンドル80は、扉体1側に固定する固定部81にハンドル部82を設けてある。ハンドル部82は、固定部81よりも室外側にあって扉体1の外壁部分に表出している。また、ハンドル部82は、固定部81を貫通して室内側に向かって延在する腕部材82aを一体に有している。腕部材82aは、固定部81の支持片81aに対して左右方向に延在する支軸83の周りに回転可能に支承してある。また、腕部材82aは、その延在端にワイヤあるいは棒体などからなるフラップハンドル操作連係手段5Gの一端が接続してある。なお、図2に示すようにフラップハンドル操作連係手段5Gの他端は、扉開放可否手段90に接続してある。また、支軸83には、腕部材82aを常に反時計回りに向けて付勢するハンドルバネ84が巻装してある。
上記フラップ操作ハンドル80は、操作者による操作によってハンドル部82が図26中一点鎖線で示すように室外側に向けて揺動する。これと共に腕部材82aがハンドルバネ84の付勢力に抗して時計回りに回転し、その延在端が室外側に移動する。この結果、フラップハンドル操作連係手段5Gが引っ張られることになる。
最後に、扉開放可否手段90について説明する。図27は扉開放可否手段を示す車両前方から見た図、図28は扉開放可否手段を示す車両後方から見た図である。
図2に示すように扉開放可否手段90は、扉体1の中央に設けてある。図27および図28に示すように扉開放可否手段90は、扉体1に固定される板状の基部91を有し、当該基部91に対してスイングハンドルレバー92、水平ヒンジラッチレバー(第1伝達部)93、共通ラッチレバー94、フラップハンドルレバー95、垂直ヒンジラッチレバー(第2伝達部)96、水平ヒンジラッチ検出レバー97および垂直ヒンジラッチ検出レバー98を設けてある。
図27に示すようにスイングハンドルレバー92は、車両の前後方向に延在して基部91に固定したスイングハンドルレバー軸100を介して回転可能に支承したもので、スイングハンドル作用部92aおよびスイングハンドル動作部92bを有している。スイングハンドル作用部92aは、スイングハンドルレバー軸100から略上方に向けて略扇形状に延在した反時計回りの方向に向く端縁部分である。スイングハンドル動作部92bは、スイングハンドルレバー軸100から略上方に向けて略扇形状に延在した時計回りの方向に延出した部分であり、その延出端に前記スイングハンドル操作連係手段5Fの他端が接続してある。また、スイングハンドルレバー92は、基部91との間を繋いで当該スイングハンドルレバー92を常に時計回りに付勢するスイングハンドルレバーバネ92cを有している(図28参照)。
図27に示すように水平ヒンジラッチレバー93は、スイングハンドルレバー92の車両前方において、スイングハンドルレバー軸100を介して回転可能に支承したもので、水平ヒンジラッチ作用部93a、水平ヒンジラッチ動作部93b、係止部93cおよび当接部93dを有している。水平ヒンジラッチ作用部93aは、スイングハンドルレバー軸100から略下方に向けて延在した部分であり、その延在端に前記水平ヒンジラッチ操作連係手段5Aの他端が接続してある。水平ヒンジラッチ動作部93bは、スイングハンドルレバー軸100から略左方に向けて延在した部分であり、その延在方向に沿う長穴からなる。係止部93cは、水平ヒンジラッチ作用部93aと同様にスイングハンドルレバー軸100から略下方に向けて延在した部分であり、その延在途中の反時計回りの方向の側端縁から延出した延出片からなる。当接部93dは、スイングハンドルレバー軸100から略下方に向けて延在した部分であって、その延在端にて水平ヒンジラッチ作用部93aの左側に並ぶ立片からなり、スイングハンドルレバー軸100を中心にした円弧状の外面部分と、その反時計回りの方向の端縁に設けた折曲部分とを有している。なお、水平ヒンジラッチレバー93は、水平ヒンジラッチ動作部93bをなす延在端が基部91側に当接して図27に示す状態からの時計回りを規制してある。
図27に示すように共通ラッチレバー94は、スイングハンドルレバー92と水平ヒンジラッチレバー93との間において、スイングハンドルレバー軸100を介して回転可能に支承したもので、共通ラッチ作用部94aおよび共通ラッチ動作部94bを有している。共通ラッチ作用部94aは、スイングハンドルレバー軸100から略左方に向けて延在した部分であり、その延在途中に前記共通ラッチ操作連係手段5Eの他端が接続してある。共通ラッチ動作部94bは、スイングハンドルレバー軸100から略右方に向けて延在した部分であり、その延在端に立片を有している。この共通ラッチ動作部94bを延在した時計回り方向の側端縁は、水平ヒンジラッチレバー93の係止部93cに当接する。また、共通ラッチレバー94は、共通ラッチ作用部94aの延在端と基部91との間を繋いで当該共通ラッチレバー94を常に時計回りに付勢する共通ラッチレバーバネ94cを有している。
図27に示すようにフラップハンドルレバー95は、車両の前後方向に延在して基部91に固定したフラップハンドルレバー軸101を介して回転可能に支承したもので、フラップハンドル作用部95aおよびフラップハンドル動作部95bを有している。フラップハンドル作用部95aは、フラップハンドルレバー軸101から略左方に向けて延在しつつ、時計回りの方向に折れ曲がって延在した部分である。フラップハンドル動作部95bは、フラップハンドルレバー軸101から略右方に向けて延在した部分であり、その延出端に前記フラップハンドル操作連係手段5Gの他端が接続してある。
図27に示すように垂直ヒンジラッチレバー96は、フラップハンドルレバー95の車両前方において、フラップハンドルレバー軸101を介して回転可能に支承したもので、垂直ヒンジラッチ作用部96a、垂直ヒンジラッチ動作部96b、係止部96cおよび当接部96dを有している。垂直ヒンジラッチ作用部96aは、フラップハンドルレバー軸101から略下方に向けて延在した部分であり、その延在端に前記垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cの他端が接続してある。垂直ヒンジラッチ動作部96bは、フラップハンドルレバー軸101から略上方に向けて延在した部分であり、その延在方向に沿う長穴からなる。係止部96cは、フラップハンドルレバー軸101から略左方に向けて延在した部分であり、その延在途中の時計回りの方向の側端縁から延出した延出片からなる。この係止部96cは、共通ラッチ動作部94bの立片に当接する。当接部96dは、係止部96cと同様にフラップハンドルレバー軸101から略左方に向けて延在した部分であって、その延在端に設けた立片からなり、フラップハンドルレバー軸101中心にした円弧状の外面部分と、その時計回りの方向の端縁に設けた折曲部分とを有している。また、垂直ヒンジラッチレバー96は、垂直ヒンジラッチ動作部96bの延在端と基部91との間を繋いで当該垂直ヒンジラッチレバー96を常に反時計回りに付勢する垂直ヒンジラッチレバーバネ96eを有している。なお、垂直ヒンジラッチレバー96は、垂直ヒンジラッチ動作部96bをなす延在端が基部91側に当接して図27に示す状態からの反時計回りを規制してある。
図27および図28に示すように水平ヒンジラッチ検出レバー97は、車両の前後方向に延在して基部91に固定した水平ヒンジラッチ検出レバー軸102を介して回転可能に支承したもので、水平ヒンジラッチ検出作用部97a、水平ヒンジラッチ検出動作部97bおよびリンクレバー97cを有している。水平ヒンジラッチ検出作用部97aは、水平ヒンジラッチ検出レバー軸102から略下方に延在した部分であり、その延在端に前記水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの他端が接続してある。水平ヒンジラッチ検出動作部97bは、水平ヒンジラッチ検出レバー軸102から略上方に延在した部分である。リンクレバー97cは、その一端が水平ヒンジラッチ検出動作部97bの延在端に支承してあり、その他端に設けた係止ピン97dが垂直ヒンジラッチレバー96の垂直ヒンジラッチ動作部96bをなす長穴に係止している。なお、係止ピン97dには、水平ヒンジラッチ機構20が係合状態にあるときにフラップハンドルレバー95のフラップハンドル作用部95aが当接する。また、水平ヒンジラッチ検出レバー97は、水平ヒンジラッチ検出作用部97aと基部91との間を繋いで当該水平ヒンジラッチ検出レバー97を図27において常に反時計回りに付勢する水平ヒンジラッチ検出レバーバネ97eを有している。
図27および図28に示すように垂直ヒンジラッチ検出レバー98は、車両の前後方向に延在して基部91に固定した垂直ヒンジラッチ検出レバー軸103を介して回転可能に支承したもので、垂直ヒンジラッチ検出作用部98a、垂直ヒンジラッチ検出動作部98bおよびリンクレバー98cを有している。垂直ヒンジラッチ検出作用部98aは、垂直ヒンジラッチ検出レバー軸103から略下方に延在した部分であり、その延在端に垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの他端が接続してある。垂直ヒンジラッチ検出動作部98bは、垂直ヒンジラッチ検出レバー軸103から略上方に延在した部分である。リンクレバー98cは、その一端が垂直ヒンジラッチ検出動作部98bの延在端に支承してあり、その他端に設けた係止ピン98dが水平ヒンジラッチレバー93の水平ヒンジラッチ動作部93bをなす長穴に係止している。なお、係止ピン98dには、垂直ヒンジラッチ機構40が係合状態にあるときにスイングハンドルレバー92のスイングハンドル作用部92aが当接する。また、垂直ヒンジラッチ検出レバー98は、垂直ヒンジラッチ検出作用部98aと基部91との間を繋いで当該垂直ヒンジラッチ検出レバー98を図27において常に時計回りに付勢する垂直ヒンジラッチ検出レバーバネ98eを有している。
以下、上記扉開放可否手段90の動作を説明する。図29〜図35は扉開放可否手段の動作を示す図である。扉開放可否手段90は、スイング操作ハンドル70あるいはフラップ操作ハンドル80の操作によって動作する。なお、以下に説明する扉開放可否手段90の動作は、水平ヒンジラッチ機構20、垂直ヒンジラッチ機構40および共通ラッチ機構60が係合状態にあって、図1に示すように扉体1が車両本体4の後部開口を閉塞した略垂直の状態にあるときからの動作である。このときの扉開放可否手段90は、図27および図28に示す状態であり、以下この状態を初期状態という。
初期状態において、スイング操作ハンドル70のハンドル部72が操作されるとスイングハンドル操作連係手段5Fが引っ張られる。すると、図29に示すようにスイングハンドル操作連係手段5Fの他端にスイングハンドル動作部92bを接続したスイングハンドルレバー92が、スイングハンドルレバー軸100の周りに反時計回りに回転する。このスイングハンドルレバー92の回転に伴い、スイングハンドル作用部92aが係止ピン98dを押して、当該係止ピン98dが係止している水平ヒンジラッチレバー93が反時計回りに回転する。さらに、水平ヒンジラッチレバー93の回転に伴い、係止部93cが共通ラッチレバー94の共通ラッチ動作部94bを押して、当該共通ラッチレバー94が反時計回りに回転する。この際、係止ピン98dが移動することになるがリングレバー98cの一端が垂直ヒンジラッチ検出動作部98bの延在端に支承してあるので、当該支承部分の周りにリンクレバー98cが回転して垂直ヒンジラッチ検出レバー98を動かす力の伝達を防ぐ。
これにより、水平ヒンジラッチレバー93の水平ヒンジラッチ作用部93aに他端を接続した水平ヒンジラッチ操作連係手段5Aが矢印方向に引っ張られるとともに、共通ラッチレバー94の共通ラッチ作用部94aに他端を接続した共通ラッチ操作連係手段5Eが矢印方向に引っ張られる。この結果、水平ヒンジラッチ機構20および共通ラッチ機構60が共に離脱状態になって、2軸ヒンジ10の垂直軸15と、垂直ヒンジラッチ機構40の垂直ストライカ軸41とで車両本体4に支持された扉体1が、垂直軸線2の周りにスイング開放することになる。このように、水平ヒンジラッチレバー(第1伝達部)93は、スイング操作ハンドル70の操作を水平ヒンジラッチ機構20および共通ラッチ機構60に伝達する。
また、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になると、オープン検出レバー28が反時計回りに回転した位置で停止する(図9参照)。これにより、図29に示すように水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bが矢印方向に引っ張られて、当該水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの他端に水平ヒンジラッチ検出作用部97aを接続した水平ヒンジラッチ検出レバー97が時計回りに回転する。この結果、リンクレバー97cが移動し、垂直ヒンジラッチレバー96の垂直ヒンジラッチ動作部96bをなす長穴に沿って係止ピン97dが移動した位置を維持される。このように、水平ヒンジラッチ機構20のオープン検出レバー28、水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bおよび水平ヒンジラッチ検出レバー97は、水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態を検出する第1離脱状態検出手段を構成している。
そして、扉体1がスイング開放すると、操作者はスイング操作ハンドル70のハンドル部72から手を離すことになる。これにより、図30に示すように共通ラッチレバーバネ94cの付勢力によって共通ラッチレバー94が時計回りに回転し、当該共通ラッチレバー94の共通ラッチ動作部94bに係止部93cが当接した水平ヒンジラッチレバー93が時計回りに回転し、スイングハンドルレバーバネ92cの付勢力によってスイングハンドルレバー92が時計回りに回転する。この結果、水平ヒンジラッチ検出レバー97を除く他の部分が初期状態の位置に戻る。
また、扉体1がスイング開放している図30に示す状態から、扉体1を車両本体4に向けて閉じ、当該扉体1が車両本体4の後部開口を閉塞した初期状態に戻すと、水平ヒンジラッチ機構20が係合状態になって、オープン検出レバー28が時計回りに回転した位置に戻る(図8参照)。これにより、水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの引っ張りが解除して、当該水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bの他端に水平ヒンジラッチ検出作用部97aを接続した水平ヒンジラッチ検出レバー97が水平ヒンジラッチ検出レバーバネ97eの付勢力によって反時計回りに回転する。この結果、リンクレバー97cが移動し、垂直ヒンジラッチレバー96の垂直ヒンジラッチ動作部96bをなす長穴に沿って係止ピン97dが移動して、水平ヒンジラッチ検出レバー97が初期状態の位置に戻る。
一方、初期状態において、フラップ操作ハンドル80のハンドル部82が操作されると、不図示のリンク機構を介してフラップハンドル操作連係手段5Gが押し出される。すると、図31に示すようにフラップハンドル操作連係手段5Gの他端にフラップハンドル動作部95bを接続したフラップハンドルレバー95が、フラップハンドルレバー軸101の周りに時計回りに回転する。このフラップハンドルレバー95の回転に伴い、フラップハンドル作用部95aが係止ピン97dを押して、当該係止ピン97dが係止している垂直ヒンジラッチレバー96が時計回りに回転する。さらに、垂直ヒンジラッチレバー96の回転に伴い、係止部96cが共通ラッチレバー94の共通ラッチ動作部94bを押して、当該共通ラッチレバー94が反時計回りに回転する。この際、係止ピン97dが移動することになるがリングレバー97cの一端が水平ヒンジラッチ検出動作部97bの延在端に支承してあるので、当該支承部分の周りにリンクレバー97cが回転して水平ヒンジラッチ検出レバー97を動かす力の伝達を防ぐ。
これにより、垂直ヒンジラッチレバー96の垂直ヒンジラッチ作用部96aに他端を接続した垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cが矢印方向に引っ張られるとともに、共通ラッチレバー94の共通ラッチ作用部94aに他端を接続した共通ラッチ操作連係手段5Eが矢印方向に引っ張られる。この結果、垂直ヒンジラッチ機構40および共通ラッチ機構60が共に離脱状態になって、2軸ヒンジ10の水平軸14と、水平ヒンジラッチ機構20の水平ストライカ軸21とで車両本体4に支持された扉体1が、水平軸線3の周りにフラップ開放することになる。このように、垂直ヒンジラッチレバー(第2伝達部)96は、フラップ操作ハンドル80の操作を垂直ヒンジラッチ機構40および共通ラッチ機構60に伝達する。
また、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になると、オープン検出レバー48が反時計回りに回転した位置で停止する(図20参照)。これにより、図31に示すように垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dが矢印方向に引っ張られて、当該垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの他端に垂直ヒンジラッチ検出作用部98aを接続した垂直ヒンジラッチ検出レバー98が反時計回りに回転する。この結果、リンクレバー98cが移動し、水平ヒンジラッチレバー93の水平ヒンジラッチ動作部93bをなす長穴に沿って係止ピン98dが移動した位置を維持される。このように、垂直ヒンジラッチ機構40のオープン検出レバー48、垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dおよび垂直ヒンジラッチ検出レバー98は、垂直ヒンジラッチ機構40の離脱状態を検出する第2離脱状態検出手段を構成している。
そして、扉体1がフラップ開放すると、操作者はフラップ操作ハンドル80のハンドル部82から手を離すことになる。これにより、図32に示すように共通ラッチレバーバネ94cの付勢力によって共通ラッチレバー94が時計回りに回転し、垂直ヒンジラッチレバーバネ96eの付勢力によって垂直ヒンジラッチレバー96が反時計回りに回転し、当該垂直ヒンジラッチレバー96に係止する係止ピン97dが当接したフラップハンドルレバー95が反時計回りに回転する。この結果、垂直ヒンジラッチ検出レバー98を除く他の部分が初期状態の位置に戻る。
また、扉体1がフラップ開放している図32に示す状態から、扉体1を車両本体4に向けて閉じ、当該扉体1が車両本体4の後部開口を閉塞した初期状態に戻すと、垂直ヒンジラッチ機構40が係合状態になって、オープン検出レバー48が時計回りに回転した位置に戻る(図19参照)。これにより、垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの引っ張りが解除して、当該垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dの他端に垂直ヒンジラッチ検出作用部98aを接続した垂直ヒンジラッチ検出レバー98が垂直ヒンジラッチ検出レバーバネ98eの付勢力によって時計回りに回転する。この結果、リンクレバー98cが移動し、水平ヒンジラッチレバー93の水平ヒンジラッチ動作部93bをなす長穴に沿って係止ピン98dが移動して、垂直ヒンジラッチ検出レバー98が初期状態の位置に戻る。
ところで、扉体1がスイング開放している図30に示す状態において、フラップ操作ハンドル80が操作された場合、図33に示すようにフラップハンドル操作連係手段5Gが押し出されてフラップハンドルレバー95が時計回りに回転する。ところが、扉体1がスイング開放しているときには水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態であるため、水平ヒンジラッチ検出レバー97における係止ピン97dが垂直ヒンジラッチ動作部96bをなす長穴にて移動した位置を維持されている。このため、時計回りに回転したフラップハンドルレバー95のフラップハンドル作用部95aが係止ピン97dに当接せずに空振りするので、垂直ヒンジラッチレバー96が回転せず、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態に至る事態を阻止する。すなわち、第1離脱状態検出手段は、水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態を検出したときにフラップ操作ハンドル80の操作を許容しつつ、垂直ヒンジラッチレバー96への連絡をフラップ操作ハンドル80の操作の空振りによって絶つ。この結果、扉開放可否手段90は、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態である扉体1のスイング開放時において、フラップ操作ハンドル80の操作を無効化する。
また、扉体1がフラップ開放している図32に示す状態において、スイング操作ハンドル70が操作された場合、図34に示すようにスイングハンドル操作連係手段5Fが引っ張られてスイングハンドルレバー92が反時計回りに回転する。ところが、扉体1がフラップ開放しているときには垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態であるため、垂直ヒンジラッチ検出レバー98における係止ピン98dが水平ヒンジラッチ動作部93bをなす長穴にて移動した位置を維持されている。このため、反時計回りに回転したスイングハンドルレバー92のスイングハンドル作用部92aが係止ピン98dに当接せずに空振りするので、水平ヒンジラッチレバー93が回転せず、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態に至る事態を阻止する。すなわち、第2離脱状態検出手段は、垂直ヒンジラッチ機構40の離脱状態を検出したときにスイング操作ハンドル70の操作を許容しつつ水平ヒンジラッチレバーへ連絡をスイング操作ハンドル70の操作の空振りによって絶つ。この結果、扉開放可否手段90は、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態である扉体1のフラップ開放時において、スイング操作ハンドル70の操作を無効化する。
さらに、扉開放可否手段90は、初期状態において、スイング操作ハンドル70のハンドル部72と、フラップ操作ハンドル80のハンドル部82とが同時に操作された場合、図35に示すように反時計回りに回転した水平ヒンジラッチレバー93の当接部93dと、時計回りに回転した垂直ヒンジラッチレバー96の当接部96dとが互いに当接することにより、双方の操作ハンドル70,80の操作を無効化する。
また、扉開放可否手段90は、スイング操作ハンドル70が操作中であって、水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になる以前にフラップ操作ハンドル80が操作された場合、反時計回りに回転した水平ヒンジラッチレバー93の当接部93dに、時計回りに回転した垂直ヒンジラッチレバー96の当接部96dが当接してその回転が阻止されるのでフラップ操作ハンドル80の操作を無効化する。
また、扉開放可否手段90は、フラップ操作ハンドル80が操作中であって、垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になる以前にスイング操作ハンドル70が操作された場合、時計回りに回転した垂直ヒンジラッチレバー96の当接部96dに、反時計回りに回転した水平ヒンジラッチレバー93の当接部93dが当接してその回転が阻止されるのでスイング操作ハンドル70の操作を無効化する。
したがって、上記構成の2軸ヒンジ扉のラッチ装置では、スイング操作ハンドル70を操作した場合、水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態を第1離脱状態検出手段で検出してフラップ操作ハンドル80の操作を扉開放可否手段90によって無効化している。一方、フラップ操作ハンドル80を操作した場合では、垂直ヒンジラッチ機構40の離脱状態を第2離脱状態検出手段で検出してスイング操作ハンドル70の操作を扉開放可否手段90によって無効化している。すなわち、扉体1の各開放時に常に動作する共通ラッチ機構60に関して各操作ハンドル70,80の操作を無効化する構成を設けず、各ヒンジラッチ機構20,40に関して離脱状態を検出する構成のみを設け、この検出を扉開放可否手段90で受けて各操作ハンドル70,80の操作を無効化している。このように、共通ラッチ機構60の部分に各操作ハンドル70,80を無効化する構成を集約して設けることがないので、当該共通ラッチ機構の負担を軽減して破損を防止することが可能になる。さらに、共通ラッチ機構60および各ヒンジラッチ機構20,40の構成を簡素化することが可能になる。
また、扉開放可否手段90は、スイング操作ハンドル70が操作されて水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になった場合、フラップ操作ハンドル80の操作をフラップハンドルレバー95の空振りによって無効化している。一方、フラップ操作ハンドル80が操作されて垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になった場合では、スイング操作ハンドル70の操作をスイングハンドルレバー92の空振りによって無効化している。この結果、動作機構の衝突を防止して装置の耐久性を向上することが可能になる。
また、扉開放可否手段90は、スイング操作ハンドル70およびフラップ操作ハンドル80を同時に操作した場合に双方の操作を無効化する。この結果、判断のできない扉体1の開放を防ぐことが可能になる。
また、扉開放可否手段90は、スイング操作ハンドル70が操作されて水平ヒンジラッチ機構20が離脱状態になる以前での、フラップ操作ハンドル80の操作を無効化している。一方、フラップ操作ハンドル80が操作されて垂直ヒンジラッチ機構40が離脱状態になる以前でも、スイング操作ハンドル70の操作を無効化している。この結果、判断のできない扉体1の開放を防ぐことが可能になる。
また、上述した2軸ヒンジ扉のラッチ装置では、スイング操作ハンドル70とフラップ操作ハンドル80とを共に扉体1の室外側に設けている。この結果、スイング操作ハンドル70とフラップ操作ハンドル80との操作を室外側のみで行うので、扉体1の室外側と室内側にそれぞれ操作ハンドルを設けた場合と比較して、双方の操作ハンドルの操作が重複する頻度を抑えることが可能になる。なお、上述した実施の形態に限らず、スイング操作ハンドル70とフラップ操作ハンドル80とを共に扉体1の室内側に設けてもよい。
なお、上述した実施例では、水平ヒンジラッチ機構20の離脱状態を検出するための第1離脱状態検出手段は、水平ヒンジラッチ機構20のオープン検出レバー28と水平ヒンジラッチ検出レバー97とを、ワイヤあるいは棒体などからなる水平ヒンジラッチ検出連係手段5Bで接続した機械的構成であるがこの限りでない。図には明示しないが、例えばオープン検出レバー28の動作をマイクロスイッチなどで検出し、この検出によって水平ヒンジラッチ検出レバー97をソレノイドなどで動作させる構成であってもよい。同様に、上述した実施例では、垂直ヒンジラッチ機構40の離脱状態を検出する第2離脱状態検出手段は、垂直ヒンジラッチ機構40のオープン検出レバー48と垂直ヒンジラッチ検出レバー98とを、ワイヤあるいは棒体などからなる垂直ヒンジラッチ検出連係手段5Dで接続した機械的構成であるがこの限りでない。図には明示しないが、例えばオープン検出レバー48の動作をマイクロスイッチなどで検出し、この検出によって垂直ヒンジラッチ検出レバー98をソレノイドなどで動作させる構成であってもよい。さらに、水平ヒンジラッチ操作連係手段5A、垂直ヒンジラッチ操作連係手段5Cおよび共通ラッチ操作連係手段5Eも、同様にワイヤあるいは棒体などからなる機械的構成であるが、これをマイクロスイッチおよびソレノイドからなる構成に換えてもよい。