JP3736675B2 - 火災警報器、火災警報処理方法及び火災警報処理プログラムを格納した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火災警報器、特に、サーミスタ等の温度検知素子を用いて火災を感知する熱感知型の火災警報器に関し、詳しくは、火災警報系(以下便宜的に「主警報系」という。)のほかに、温度補償機能を有するガス検知部や同機能を有する煙検知部などの従警報系を実装した複合型警報器であって、従警報系の信頼性向上を意図した火災警報器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、サーミスタ等の温度検知素子は、周囲温度の変化に伴って抵抗値等の物理的特性を変化させる素子であり、熱感知型の火災警報器は、かかる特性を有する温度検知素子を利用して火災を感知する。すなわち、温度検知素子の両端電圧を温度検知電圧として取り出し、その温度検知電圧が、火災発生時の環境温度相当の基準電圧を下回った(ただし負の温度特性を持つ場合。)ときに、火災警報を発するものであるが、今日、かかる警報器においては、火災警報のみならず、ガスや煙などの検知も可能にした、複合型の警報器、たとえば、熱感知型の火災警報系(主警報系)に加えて、ガス検知部や煙検知部などの従警報系を組み込んだ複合型警報器が用いられている。
【0003】
この種の複合型警報器にあっては、たとえば、ガス漏れ警報を例にして説明すると、都市ガス等の可燃性ガスの接触に伴って酸化反応が進行するとその反応熱によって抵抗値が変化するという特性を持つセンサ、いわゆるガス検知素子を備えており、ガス検知素子の両端電圧をガス検知電圧Vb(発明の要旨に記載の「ガスまたは煙感知電圧」に相当)として取り出し、ガス検知電圧Vbが爆発下限ガス濃度相当の基準電圧(ガス漏れ判定用しきい値電圧)を下回ったときに、ガス漏れを判定するようにしているが、かかるガス検知素子の抵抗値は、周囲温度の影響を受けるという温度依存性を有することから、周囲温度に応じてガス検知電圧Vbを補正(補償)する温度補償機能が欠かせず、ガス検知素子の近くに専用の温度検知素子を配置し、その検知電圧を用いてガス検知電圧Vbの補正を行っている。
【0004】
ところで、熱感知型の火災警報器は、その温度検知素子に何らかのトラブルが発生した場合、もはや温度検知を行うことができず、又は、不正確な温度検知しか行うことができず、前者にあって火災失報を、また、後者にあっては火災誤報を招くという不都合がある。
【0005】
他方、上記説明のとおり、複合型警報器にあっては、主警報用の温度検知素子に加えて、従警報用の温度検知素子を備えており、一つの警報器内に二つの温度検知素子を有していることから、本件発明者らは、主警報用の温度検知素子に故障が発生した場合に、従警報用の温度検知素子を流用することにより、上記不都合の解消を図った「火災警報器、火災警報処理方法及び火災警報処理プログラムを格納した記録媒体」(特願2000−294101号)を先に提案している。
【0006】
この既提案技術は、要するに、「熱感知型の火災検知部を具備するとともに、任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧を発生する温度補償部を具備する火災警報器において、前記火災検知部から出力された火災検知電圧に基づいて火災を判定する主火災判定部と、前記温度補償電圧に基づいて火災を判定する従火災判定部と、を備える。」ものである。これによれば、火災検知電圧に基づく主たる火災判定に加え、温度補償電圧に基づく従たる火災判定が行われるため、たとえば、火災検知部の検知素子にトラブルが発生した場合でも、従たる火災判定によって判定動作を継続でき、火災警報の失報及び誤報を回避して火災警報の信頼性向上を図ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記既提案技術にあっては、主警報用の温度検知素子が故障した場合に、従警報用の温度検知素子を流用して、火災失報や火災誤報を回避できる点で有益なものの、従警報用の温度検知素子に故障が発生した場合の対策が全く考慮されていないため、従警報系、すなわち、ガス検知部や煙検知部などの失報や誤報を回避できないという点で未だ不十分であり改善すべき余地がある。
【0008】
そこで、本発明は、従警報用の温度検知素子が故障した場合に、主警報用の温度検知素子を流用するようにして、ガス検知部や煙検知部などの従警報系の失報や誤報を回避し、以て、従警報系の信頼性改善を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱感知型の火災検知部を具備するとともに、任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧を発生する温度補償部を具備する火災警報器において、前記温度補償部の異常を判定する異常判定手段を備え、該異常判定手段によって前記温度補償部の異常が判定された場合に前記火災検知部の検知出力に基づいて前記温度補償電圧を発生するように構成したことを特徴とする。
【0010】
この発明では、温度補償部に異常が発生すると、任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧が、火災検知部の検知出力に基づいて生成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、火災とガス漏れを検知する複合型警報器を例にして、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、複合型警報器(以下、単に「警報器」という。)の一例構成図である。発明の要旨に記載の火災警報器に相当する警報器1は、壁や天井などに取り付け可能な任意形状のケース内部に、火災検知部2やガス漏れ検知部3(発明の要旨に記載の「任意の内部回路」に相当)、各検知部からの検知電圧に基づいて火災判定処理やガス漏れ判定処理等を行う中央制御部6、その判定結果に従って各種警報ランプを駆動するランプ駆動部7、同判定結果に従って音声警報を発生し、拡声器12に出力する音声警報部11、及び、各部に電源を供給する電源部13などを実装して構成している。ここで、図示の警報ランプは、電源ランプ8、火災警報ランプ9及びガス漏れ警報ランプ10の三種類であるが、これに限定されない。警報種別に対応した適切な種類の警報ランプを備えていればよい。
【0013】
火災検知部2は、熱感知型の温度検知素子を備えている。すなわち、その最も原理的な構成は、図2(a)に示すように、電源電圧Eとグランド間に固定抵抗素子2aと温度検知素子2bとを直列に接続したものであり、温度検知素子2bの両端電圧を温度検知電圧Vaとして取り出すというものである。温度検知素子2bは、周囲温度の変化に伴ってその物理的特性を変化させる素子のうち、たとえば、サーミスタ(正式名称:サーマリー・センシィティブ・レジスタ)を用いることができる。サーミスタの抵抗値は温度依存性があり、たとえば、NTC(Negative Temperature Coefficient Thermistor)タイプのサーミスタは、温度の上昇とともに抵抗値が減少するという負の温度特性を持っているからである。
【0014】
NTCタイプのサーミスタを図示の温度検知素子2bに用いた場合、温度検知電圧Vaは、周囲温度の上昇に伴って電圧値(Va)が“減少”するという特性を示すこととなる。したがって、温度検知電圧Vaが、火災発生時の環境温度相当の基準電圧(以下「火災判定用しきい値電圧」という。)を“下回った”ときに、火災の発生を判定することができる。
【0015】
なお、温度検知素子としては、このほかにもCTR(Critical Temperature Resistor)と呼ばれる感温抵抗素子、集電型赤外線センサ、白金線熱電対、赤外線用フォトダイオード、温度ヒューズ(マイクロテンプ)サーモペイント、IC化温度センサーなど様々なものが知られているが、要は、周囲温度の変化に伴って抵抗値等の物理的特性を変化させる素子であればよく、感度や応答特性及びコスト等を勘案して適切なものを温度検知素子2bに用いればよい。
【0016】
一方、ガス漏れ検知部3は、ガス検知部4及び温度補償部5によって構成されており、これらの最も原理的な構成は、図2(b)及び(c)に示されている。図2(b)において、ガス検知部4は、電源電圧Eとグランド間に固定抵抗素子4aとガス検知素子4b(発明の要旨に記載の「検知素子」に相当)とを直列に接続したものであり、ガス検知素子4bの両端電圧をガス検知電圧Vbとして取り出すというものである。ガス検知素子4bは、周囲のガス濃度の変化に伴ってその物理的特性を変化させる素子のうち、たとえば、酸化反応型のガス検知素子を用いることができる。この検知素子は、都市ガス等の可燃性ガスの接触に伴って酸化反応が進行すると、その反応熱によって抵抗値が減少方向に変化するという特性を持っており、したがって、ガス検知電圧Vbが、爆発下限ガス濃度相当の基準電圧(以下「ガス漏れ判定用しきい値電圧」という。)を下回ったときに、ガス漏れを判定することができる。
【0017】
ところで、ガス検知素子4bの両端電圧(ガス検知電圧Vb)は、ガス検知素子4bの抵抗値に依存し、その抵抗値は所要の温度特性を持つから、当然ながら、環境温度を加味した補正(温度補償)を欠かせない。極端な場合、火災発生時の火炎熱によってもガス検知電圧Vbが変化し、補正を行わないと、ガス漏れが発生していないにも関わらずガス漏れの誤報を出してしまい、火災発生時の初期対処を誤らせてしまうからである。また、このような極端な状況を想定しないまでも、たとえば、周囲温度が低くなった場合は検出感度が鈍くなり、逆に高くなった場合は検出感度が鋭敏になる傾向も知られており、いずれにしろ、かかる温度依存性を有するガス検知素子4bを正しく使用するには、適切な温度補正(補償)を欠かすことができない。
【0018】
温度補償部5は、上記補正(補償)に必要な温度補償電圧Vcを生成するための構成要素である。すなわち、この温度補償部5は、ガス検知素子4bのできるだけ近傍に配置されるものであり、その最も原理的な構成は、図2(c)に示すように、電源電圧Eとグランド間に固定抵抗素子5aと温度検知素子5bとを直列に接続し、温度検知素子5bの両端電圧を温度補償電圧Vcとして取り出すようにしたものである。温度検知素子5bは、火災検知部2(の温度検知素子2b)と同様に、周囲温度の変化に伴ってその物理的特性を変化させる素子のうち、たとえば、サーミスタを用いることができる。NTCタイプのサーミスタを用いた場合、温度補償電圧Vcは、周囲温度の上昇に伴って電圧値が減少するという特性を示すこととなるから、この温度補償電圧Vcを用いて、ガス検知電圧Vbの温度補正(補償)を行うことにより、上記の不都合(ガス漏れの誤報)を回避することができる。
【0019】
注目すべき点は、図示の警報器1にあっては、周囲温度の変化に伴って抵抗値等の物理的特性を変化させる素子(温度検知素子)がダブルで備えられていることにある。すなわち、火災検知部2の温度検知素子2bと温度補償部5の温度検知素子5bの二つが備えられている点にある。この発明は、かかる点に着目して案出されたものであり、正確なガス漏れ警報を行う上で欠くことのできない重要な部品である、温度補償部5の温度検知素子5bの擬似的な多重化構成を実現し、以て、温度補償部5の温度検知素子5bに何らかのトラブルが発生した場合でも、ガス検知電圧Vbの温度補正(補償)を正確に行い、その結果、ガス漏れ警報の失報や誤報を回避して警報信頼性の向上を図るものである。
【0020】
以下、この意図を達成するための技術的事項について、温度検知素子としてNTCタイプのサーミスタを使う場合を例に具体的に説明する。
【0021】
図3は、中央制御部6の内部ブロック図である。中央制御部6は、CPU21を備えており、このCPU21にバス22を介して、ROM23やRAM24、入力ポート25、出力ポート26及びEPROM27(またはバッテリバックアップRAM)などを接続して構成している。入力ポート25は、火災検知部2やガス検知部4及び温度補償部5からの出力電圧(火災検知電圧Va、ガス検知電圧Vb及び温度補償電圧Vc)をディジタル電圧に変換し、バス22を介してCPU21に伝える。CPU21は、これらのディジタル電圧(便宜的に“Va”、“Vb”及び“Vc”で表す。)を取り込みつつ、ROM23に納められた制御プログラムをRAM24に展開して実行し、火災判定処理、ガス漏れ判定処理及び温度補償処理などの上記制御プログラムによって規定された所要の処理を実行し、その実行結果に対応した信号(Da、Db)を出力ポート26を介して各部(ランプ駆動部7や音声警報部11)に出力する。
【0022】
図4は、中央制御部6においてソフトウェア的に実現される機能ブロックを模式的に示す図であり、この機能ブロックは、説明の便宜上、火災判定部6a、ガス漏れ判定部6b(発明の要旨に記載の「ガス漏れまたは煙判定部」に相当)、ガス漏れ判定補正部6c(発明の要旨に記載の「代替温度補償部」に相当)、故障判定部6d(発明の要旨に記載の「異常判定手段」に相当)及び警報発生部6eなどに分けることができる。
【0023】
火災判定部6aは火災検知電圧Vaと火災判定しきい値電圧とを比較して、火災検知電圧Vaが火災判定しきい値電圧を下回っている場合に火災発生を判定するものであり、また、ガス漏れ判定部6bはガス検知電圧Vbとガス漏れ判定用しきい値電圧とを比較し、ガス検知電圧Vbがガス漏れ判定用しきい値電圧を下回っている場合にガス漏れ発生を判定するものである。
【0024】
さらに、ガス漏れ判定補正部6cは通常は温度補償電圧Vcに基づいてガス検知電圧Vbの温度補償を行う一方、温度補償電圧Vcの異常時には火災検知電圧Vaに基づいてガス検知電圧Vbの温度補償を行うものである。また、故障判定部6dは温度補償電圧Vcの異常を判定するものであり、さらに、警報発生部6eは火災判定時やガス漏れ判定時に、適切な警報ランプを点灯させるための信号(Da)を発生したり、適切な音声警報フレーズの信号(Db)を発生したりするものである。
【0025】
このような構成において、火災発生部6aの「火災判定処理」は、たとえば、図5に示すようなフローチャートに従って逐次に実行される。火災検知部2の温度検知素子2bとしてNTCタイプのサーミスタを使う場合を例とするこのフローチャートは、まず、その時点における火災検知電圧Vaを取り込み(ステップS11)、次に、取り込んだVaと所定のしきい値電圧“SL1”とを比較する(ステップS12)。ここに、SL1は上述の「火災判定用しきい値電圧」に相当するものである。火災検知部2の温度検知素子2bにNTCタイプのサーミスタを使用した場合は、火災の熱に伴って温度検知素子2bの出力電圧(火災検知電圧Va)が減少方向に変化するので、このSL1を火災発生時の環境温度相当の電圧に設定しておくことにより、Va≦SL1となった場合に、火災発生を判定し、火災警報を出力する(ステップS13)ことができる。
【0026】
一方、ガス漏れ判定部6bの「ガス漏れ判定処理」は、たとえば、図6に示すようなフローチャートに従って逐次に実行される。温度補償部5の温度検知素子5bとしてNTCタイプのサーミスタを使う場合を例とするこのフローチャートは、まず、その時点における温度補償電圧Vcを取り込み(ステップS21)、次に、取り込んだVcと所定の故障判定しきい値(SL2)とを比較(ステップS22)する。
【0027】
SL2は、通常の使用環境ではあり得ない温度補償電圧Vcの電圧値に相当するものであり、たとえば、温度補償部5の温度検知素子5bにNTCタイプのサーミスタを使用した場合で、そのサーミスタに断線故障が発生した場合は、サーミスタの両端電圧(温度補償電圧Vc)が電源電圧E相当の高い値となるので、この電源電圧Eに相当する値ないしはそれに近い値をSL2としておけばよい。ちなみに、SL2の好ましい値を温度換算で提示すると、通常の使用環境ではあり得ない温度域、たとえば、−30℃程度とすることができる。
【0028】
ステップS22において、Vc≧SL2でない場合(“NO”判定)は、温度補償電圧Vcの電圧値が通常の使用環境の値に収まっており、したがって、温度補償部5の温度検知素子5bは正常に動作している(故障は発生していない。)から、ガス漏れ判定処理は、そのときの温度補償電圧Vcに基づいてガス検知電圧Vbの温度補償を行う。一方、ステップS22において、Vc≧SL2である場合(“YES”判定)は、温度補償電圧Vcの電圧値が通常の使用環境の値を外れており、したがって、温度補償部5の温度検知素子5bは正常に動作していない(故障が発生している。)から、ガス漏れ判定処理は、温度補償電圧Vcの代わりにそのときの火災検知電圧Vaを用い、その火災検知電圧Vaに基づいてガス検知電圧Vbの温度補償を行う。
【0029】
温度補償の方法はいくつか考えられるが、このフローチャートにおいては、たとえば、VcまたはVaを用いて温度補正係数(k)を発生し、その温度補正係数(k)でVbを補正するものとする。すなわち、温度補償部5の温度検知素子5bに故障が発生していない場合は、温度補償電圧Vcから温度補正係数(k)を発生し(ステップS23)、その温度補正係数(k)でガス検知電圧Vbを補正(ステップS24)する一方、温度補償部5の温度検知素子5bに故障が発生している場合は、温度補償電圧Vcの代わりに火災検知電圧Vaを用いて温度補正係数(k)を発生し(ステップS27)、その温度補正係数(k)でガス検知電圧Vbを補正(ステップS24)するものとする。そして、いずれの場合も、次に、補正後のVbとガス漏れ判定用しきい値電圧(SL3)とを比較(ステップS25)し、補正後のVb≦SL3の場合に、ガス漏れ警報を出力する(ステップS26)。
【0030】
ちなみに、温度補償部5の温度検知素子5bに故障が発生している場合は、故障発生を明示するための警報を出力するようにしてもよい。この故障警報は、たとえば、電源ランプ8を点滅させるような警報態様であってもよく、さらに、“温度補償部に故障が発生しています”などという音声メッセージを出力する警報態様であってもよい。
【0031】
以上説明したとおり、本実施の形態においては、温度補償部5の温度検知素子5bに何らかのトラブルが発生した場合に、火災検知部2の温度検知素子2bの両端電圧(火災検知電圧Va)を代替利用して、ガス漏れ検知電圧Vbの温度補償を行うことができる。したがって、あたかも、温度補償部5の温度検知素子5bを多重化構成した如きの冗長性を持つ警報器1を実現することができ、ガス漏れ警報の失報や誤報を回避して信頼性を大幅に改善することができるという格別の効果が得られるうえ、かかる効果を得るためには、ソフトウェアの一部手直しだけで済み、部品点数の増加を全く生じないという製造上の有益なメリットも得られる。
【0032】
ここで、二つの温度検知素子2b、5bの警報器1の内部における位置関係を検討すると、一般に温度補償部5の温度検知素子5bは、警報器1のケース内部に納められており、ケース外部に位置する火災検知部2の温度検知素子2bよりも比較的高い環境温度にさらされているため、図6のステップS27における温度補正係数(k)は、その温度差を考慮したものでなければならない。たとえば、本件発明者らの実測によると、温度補償部5の温度検知素子5bは、警報器1の内部の発熱源(たとえば、電源トランスなど)の影響によって、ケース外部に位置する火災検知部2の温度検知素子2bよりも約10℃程度高い温度にさらされていることが確認されているため、図6のステップS27における温度補正係数(k)は、同図のステップS23における温度補正係数(k)に対して、その温度差(+10℃)を加味したものとしなければならない。
【0033】
温度補償の方法は、かかる温度補正係数(k)を用いて行われるガス漏れ検知電圧Vbの補正に限らない。たとえば、ガス漏れ判定用しきい値(SL3)を変更するものであってもよい。すなわち、図6のステップS22で故障が判定されなかった場合は、所定のガス漏れ判定用しきい値(SL3)を用いてガス漏れ判定(ステップS25)を行う一方、故障が判定された場合は上記の温度差(+10℃)を加味してガス漏れ判定用しきい値(SL3)を変更し、その変更後のガス漏れ判定用しきい値(SL3)を用いてガス漏れ判定(ステップS25)を行ってもよい。すなわち、所定のガス漏れ判定用しきい値(SL3)がX℃に相当する電圧であれば、故障判定時のガス漏れ判定用しきい値(SL3)をX+α℃(αは上記の温度差)に相当する電圧とすればよい。この場合、図6のステップS24は不要であり、且つ、ステップS23の処理内容を“所定のガス漏れ判定用しきい値(SL3)を使用する”と読み替えるとともに、ステップS27の処理内容を“二つの温度検知素子2b、5bの環境温度差を加味してガス漏れ判定用しきい値(SL3)を変更する”と読み替えればよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、ガス漏れ検知部を備えた複合型警報器を例にしたが、これ以外にも、たとえば、光電型の煙検知部を備えた複合型警報器であってもよい。光電式煙検知部の発光素子も、周囲温度に伴って発光輝度が変化する温度依存性を有しており、この温度依存性を補正(補償)するための、図2(c)と類似構成の温度補償部を具備しているからである。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、温度補償部に異常が発生すると、任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧が、火災検知部の検知出力に基づいて生成される。したがって、たとえば、温度補償部の温度検知素子に断線等のトラブルが発生した場合でも、任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧が失われることがない。その結果、任意の内部回路を、ガス検知部や煙検知部などの従警報系とした場合、その従警報系の失報や誤報を回避し、以て、従警報系の信頼性改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合型警報器の一例構成図である。
【図2】火災検知部2、ガス検知部4及び温度補償部5の最も原理的な構成図である。
【図3】中央制御部6の内部ブロック図である。
【図4】中央制御部6においてソフトウェア的に実現される機能ブロックを模式的に示す図である。
【図5】火災判定部6aにおいて実行される火災判定処理プログラムのフローチャートを示す図である。
【図6】ガス漏れ判定部6bにおいて実行されるガス漏れ判定処理プログラムの要部フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
Va 火災検知電圧
Vb ガス検知電圧(ガスまたは煙感知電圧)
Vc 温度補償電圧
1 火災警報器
2 火災検知部
3 ガス漏れ検知部(任意の内部回路)
4 ガス検知部
4b ガス検知素子(検知素子)
5 温度補償部
6a 火災判定部
6b ガス漏れ判定部(ガス漏れまたは煙判定部)
6c ガス漏れ判定補正部(代替温度補償部)
6d 故障判定部(異常判定手段)
Claims (5)
- 熱感知型の火災検知部を具備するとともに、
任意の内部回路の温度補償を行うための温度補償電圧を発生する温度補償部を具備する火災警報器において、
前記温度補償部の異常を判定する異常判定手段を備え、
該異常判定手段によって前記温度補償部の異常が判定された場合に前記火災検知部の検知出力に基づいて前記温度補償電圧を発生するように構成したことを特徴とする火災警報器。 - 前記温度補償部は、ガス検知部又は煙検知部の検知素子の温度依存性を補償するための温度補償電圧を発生することを特徴とする請求項1記載の火災警報器。
- 熱感知型の火災検知部から出力された火災検知電圧に基づいて火災を判定する火災判定部と、
ガス検知部または煙感知部から出力されたガスまたは煙感知電圧に基づいてガス漏れまたは火災に伴う煙の発生を判定するガス漏れまたは煙判定部と、
前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を出力する温度補償部と、
前記温度補償部の故障を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段によって前記温度補償部の故障が判定された場合に、前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を、前記火災検知電圧に基づいて生成する代替温度補償部と
を備えたことを特徴とする火災警報器。 - 熱感知型の火災検知部から出力された火災検知電圧に基づいて火災を判定するステップと、
ガス検知部または煙感知部から出力されたガスまたは煙感知電圧に基づいてガス漏れまたは火災に伴う煙の発生を判定するステップと、
前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を出力するステップと、
前記温度補償電圧の異常を判定するステップと、
前記温度補償電圧の異常が判定された場合に、前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を、前記火災検知電圧に基づいて生成するステップと
を含むことを特徴とする火災警報処理方法。 - 熱感知型の火災検知部から出力された火災検知電圧に基づいて火災を判定する火災判定部と、
ガス検知部または煙感知部から出力されたガスまたは煙感知電圧に基づいてガス漏れまたは火災に伴う煙の発生を判定するガス漏れまたは煙判定部と、
前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を出力する温度補償部と、
前記温度補償部の故障を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段によって前記温度補償部の故障が判定された場合に、前記ガス検知部または煙感知部の温度補償を行うための温度補償電圧を、前記火災検知電圧に基づいて生成する代替温度補償部と
を実現するためのプログラムを格納したことを特徴とする記録媒体。
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