JP3736138B2 - 車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置 - Google Patents

車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の排気還流制御弁のような流量制御弁のイニシャライズ処理を実行する制御装置に関し、特に、ハイブリッド型自動車のように車両の運転中に車両運転条件に基づいて内燃機関の停止および再始動が実行される車両に用いられる流量制御弁の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の流量制御弁の一つとして、従来からステップモータを用いた排気還流制御弁が知られている。このものでは、ステップモータを介して排気還流率を任意に可変制御することができる利点があるが、その反面、ステップモータの制御ステップ位置と実際の弁体位置つまりバルブ開度とが常に対応しているように、イニシャライズ処理を繰り返し実行する必要がある。このイニシャライズ処理は、例えば、特開平7−259617号公報等に記載されているように、ステップモータを弁体の全閉位置よりもさらに余分に回転させることで、弁体をその基準位置となる全閉位置に強制的に位置決めし、そのときのステップモータのステップ数を基準のステップ位置とすることにより行われる。
【0003】
そして、このイニシャライズ処理は、例えば内燃機関の始動の度に実行されるようになっており、さらに、信頼性確保のために、排気還流が停止される機関アイドル時にも実行されるのが一般的である。
【0004】
一方、近年、車両の総合的な燃費低減のために、車両の駆動源として内燃機関と電動機とを搭載したいわゆるハイブリッド型自動車が種々提案されており、特に、その一種として、内燃機関の出力と電動機の出力とを合わせて車両を駆動できるようにするとともに、内燃機関をクラッチを介して動力伝達系から切り離せるように構成し、例えば車両停止中や低速走行域で内燃機関を停止するようにした形式のものがある。
【0005】
つまり、この種のハイブリッド型自動車では、車両の運転中に、運転者の意志とは無関係に内燃機関が停止した状態が存在し得ることになり、特に、アクセルペダルを開放した状態では、充電量が少ない場合等を除き、原則として、内燃機関が停止することになる。
【0006】
また、このほか、駆動源として内燃機関のみを搭載している自動車においても、内燃機関の燃料消費率を低減するために、信号待ち等の車両停止中に、内燃機関を一時的に停止させ、その後、アクセルペダルが踏み込まれた時点で、内燃機関を再度始動して車両の発進を行うようにしたいわゆるアイドルストップ機構を備えたものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば上述したようなハイブリッド型自動車に搭載された内燃機関においては、スロットル弁が全閉となる車両停止中や車両減速時には内燃機関が停止している場合が多いので、内燃機関がアイドル運転状態であることを条件として排気還流制御弁のイニシャライズ処理を行うとすると、イニシャライズ処理の機会が非常に少なくなってしまい、排気還流制御の信頼性が低下する。
【0008】
また、仮に、イニシャライズ処理の機会を多く確保するために、内燃機関が停止中であってもイニシャライズ処理を実行したとすると、内燃機関の騒音が発生していない状態でイニシャライズ処理に伴うステップモータの空転音が発生するので、この空転音が異音として非常に耳障りなものとなってしまう不具合がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明に係る車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置は、請求項1のように、車両の運転中に車両運転条件に基づいて内燃機関の停止および再始動が実行される車両用内燃機関において、ステップモータを用いた流量制御弁のイニシャライズ処理を内燃機関の再始動時に実行す
【0010】
すなわち、内燃機関が停止および再始動を繰り返す中で、再始動の度にイニシャライズ処理が実行される。
そして、特に本発明では、車両運転開始後の最初の機関始動時に実行するイニシャライズ処理のステップ数に比べて、車両運転中の再始動時に実行するイニシャライズ処理のステップ数が少なく設定されている。例えば、最初の機関始動時には、制御範囲に相当する全ステップ数でもってイニシャライズ処理を行うことにより、弁体とステップモータとの位置関係が大きくずれている場合でも確実に同調させることができる、また、その後の再始動の際のイニシャライズ処理では、ステップモータを動かすステップ数を少なくすることで、短時間にイニシャライズ処理を完了させることができる。
【0011】
上記の内燃機関が搭載される車両としては、例えば、請求項2のように、車両の停止中は内燃機関が停止するハイブリッド型自動車である。このほか、上述したアイドルストップ機構を備えた車両にも適用可能である。
【0012】
また、上記流量制御弁は、例えば、請求項4のように、ステップモータを用いた排気還流制御弁からなるが、このほか、アイドル空気量制御弁等、イニシャライズ処理が必要な種々の流量制御弁に適用することができる。
【0013】
請求項1の発明をさらに具体化した請求項3の発明は、関運転状態でのスロットル弁全閉時にもイニシャライズ処理を実行することを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、車両の運転条件に基づく再始動の度にイニシャライズ処理が実行されるので、イニシャライズ処理の機会を十分に確保することができ、流量制御の信頼性を高めることができる。また、内燃機関の停止中にイニシャライズ処理を実行する場合のように、耳障りな異音が生じることがない。
【0016】
特に車両の停止中に何らかの原因で弁体とステップモータとの位置関係が大きくずれたような場合でも最初の機関始動時のイニシャライズ処理でもって確実に同調させることができ、かつ、その後の再始動の際は、短時間にイニシャライズ処理を完了させることができるので、排気還流等の流量制御を直ちに開始することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は、この発明が適用される車両の一例として、ハイブリッド型自動車の駆動系の構成を示している。この図1に示すように、内燃機関1のクランクシャフト1aが電磁クラッチ2を介して変速機3の入力軸3aに接続されているとともに、上記入力軸3aと同軸状に第1電動機4が設けられている。上記変速機3は、ベルト式無段自動変速機いわゆるCVTを用いたものであり、終減速装置5を介してドライブシャフト6を駆動している。従って、内燃機関1の動力と第1電動機4の動力とが互いに合流して駆動輪(ドライブシャフト6)に伝達される。なお、上記第1電動機4は、電力の供給により電動機として動作するほか、逆に駆動輪側から駆動されることにより減速エネルギーの回生が可能となっている。
【0019】
また内燃機関1の動力の一部は、クランクシャフト1aからベルト伝動機構を介して取り出され、内燃機関1の冷却に必要なウォータポンプ8や車両の空調装置用コンプレッサ9等の補機を駆動するように構成されている。
【0020】
さらに、上記クランクシャフト1aには、内燃機関1の始動ならびに発電のための第2電動機10が連動している。
【0021】
上記内燃機関1は、例えば火花点火式のガソリン機関からなり、そのスロットル弁11は、パルスモータ等のアクチュエータ12を介して図示せぬコントロールユニットによって開閉制御されるように構成されている。また、本発明が適用される流量制御弁の一例として、排気還流制御弁13が排気還流通路14に介装されている。この排気還流制御弁13は、開度制御用のアクチュエータとしてステップモータを用いたものであり、該ステップモータのステップ数に応じて弁体の位置が定まり、所望の排気還流率に制御される。
【0022】
なお、図1において、15は、変速機3用の電動オイルポンプ、16は、電動パワーステアリングをそれぞれ示している。
【0023】
上記のハイブリッド型自動車は、基本的には、車両の低速低負荷域では、内燃機関1を停止して第1電動機4によって車両が駆動され、また高速高負荷域では、内燃機関1によって、さらに必要な場合には第1電動機4の動力を付加して、車両が駆動されるようになっている。
【0024】
図2は、車両の通常走行状態から減速および加速を行なったときの制御を説明するためのタイムチャートであって、車速Vspが一定の通常走行中は、内燃機関1が運転されており、電磁クラッチ2も接続状態(ON状態)となっている。なお、このとき排気還流(EGR)も行なわれている。
【0025】
そして、図示せぬアクセルペダルが開放されて減速状態となると、内燃機関1の燃料カットが実行される。この段階では、電磁クラッチ2はON状態であるので、車速低下に伴って機関回転数Neも低下する。また、第1電動機4は回生側で動作し、減速エネルギーが回収される。なお、この燃料カット中は、排気還流は行なわれない。
【0026】
減速により車速Vspが例えば25km/h以下となると、電磁クラッチ2が遮断される。これにより、内燃機関1の回転数Neは急激に低下し、該内燃機関1が停止する。その後、車両が信号待ち等で停車している場合は、原則として内燃機関1は停止状態に保たれる。
【0027】
次に、アクセルペダルが踏み込まれると、第1電動機4の動力のみでもって車両が駆動され、発進および加速が行なわれる。そして、車速Vspが例えば25km/hに達すると、内燃機関1が再始動されるとともに、電磁クラッチ2が徐々に接続され、内燃機関1の動力が駆動輪に伝達されるようになる。なお、このとき、要求トルクと等しくなるように内燃機関1の発生トルクが調整され、内燃機関1による駆動に滑らかに移行する。また、内燃機関1の再始動後、電磁クラッチ2が完全に締結状態となる前に、排気還流が開始される。
【0028】
ここで、上記のように、ステップモータを用いた排気還流制御弁13にあっては、ステップモータの制御ステップ位置と実際の弁体位置つまりバルブ開度とが常に対応しているように、イニシャライズ処理を実行する必要がある。この実施の形態では、車両運転開始後の内燃機関1の最初の始動時、車両運転中の再始動時、および機関運転中のスロットル弁全閉時に、それぞれイニシャライズ処理が実行される。そして、車両運転開始後の最初の機関始動時におけるイニシャライズ処理は、ステップモータの制御範囲全域に相当する最大ステップ数(例えば56ステップ)だけステップモータを回転させることにより行なわれ、また再始動時およびスロットル全閉時のイニシャライズ処理は、これよりも小さなステップ数(例えば8ステップ)でもって比較的狭い範囲で行なわれる。
【0029】
図3は、このイニシャライズ処理に関する制御の内容を示すフローチャートであり、以下、これを説明する。
【0030】
先ず、ステップ1では、車両のイグニッションキースイッチがONとなっているか否かを判定する。このイグニッションキースイッチがONであれば、次にステップ2で、内燃機関1が運転中か停止中か判定する。内燃機関1の運転中は、ステップ2からステップ12へ進む。一方、内燃機関1が停止状態であれば、ステップ3へ進み、車両運転中の再始動条件が成立したか否か判定する。イグニッションキースイッチON後の初回は、再始動ではないのでステップ3からステップ4へ進み、イグニッションキースイッチONに伴う初期始動の条件が成立しているか否か判定する。この初期始動の条件は、図4に示すように、冷却水温が80℃未満であること(ステップ21)、第1,第2電動機4,10用のバッテリ(図示せず)の充電量が基準値よりも低いこと(ステップ22)、車両の空調装置がONとなっていること(ステップ23)の3つの条件からなり、これがいずれもYESの場合にのみ、ステップ5以降へ進んで内燃機関1が始動される。これらの条件を満たさない場合は、内燃機関1が停止した状態のまま車両の運転が開始されることになる。
【0031】
ステップ5では、内燃機関1の始動のために、第2電動機10をONとする。次のステップ6では、内燃機関1の回転数Neが1000rpmを越えたか、又は「第2電動機駆動トルク<内燃機関発生トルク」を判定し、それまで第2電動機10の駆動を継続する。いずれかが成立した場合、ステップ7で始動完了と判定し、ステップ8で第2電動機10を停止する。
【0032】
このようにして始動完了を確認した後に、イニシャライズ処理を行なうが、先ずステップ9で、排気還流制御弁13の駆動源となるいわゆる12Vのバッテリ(図示せず)の電圧が10V以下に低下していないか確認し、かつステップ10でスロットル弁11がアイドル位置にあることを確認して、これらの条件を満たす場合に、ステップ11へ進んで、イニシャライズ処理を開始する。特に、この場合は、フルステップ(例えば56ステップ)でのイニシャライズ処理が行なわれる。なお、フローチャートには明示されていないが、万一、イニシャライズ処理の途中でバッテリ電圧が10V以下となったり、非アイドル状態となったときには、イニシャライズ処理は中断される。
【0033】
また、ステップ2で内燃機関1が運転中であると判定された場合は、ステップ12へ進み、内燃機関1のスロットル弁11がアイドル位置にあるか否かの判定を行なう。アイドル状態であれば、ステップ13で、排気還流制御弁13の駆動源となるバッテリの電圧が10V以下に低下していないか確認し、ステップ14へ進んで、イニシャライズ処理を開始する。特に、この場合は、短時間で処理を完了させるために、最小限のステップ数(例えば8ステップ)でのイニシャライズ処理が行なわれる。なお、フローチャートには明示されていないが、万一、イニシャライズ処理の途中でバッテリ電圧が10V以下となったり、非アイドル状態となったときには、イニシャライズ処理は中断される。
【0034】
また内燃機関1の停止中に、前述したように車速Vspの上昇等による再始動の要求が出された場合には、ステップ3からステップ15へ進み、第2電動機10をONとする。そして、この再始動の際に、ステップ16でバッテリの電圧が10Vよりも高ければ、ステップ17へ進んで、イニシャライズ処理を開始する。特に、この場合は、短時間で処理を完了させるために、ステップ14と同様に、最小限のステップ数(例えば8ステップ)でのイニシャライズ処理が行なわれる。なお、フローチャートには明示されていないが、万一、イニシャライズ処理の途中でバッテリ電圧が10V以下となったときには、イニシャライズ処理は中断される。ステップ18では、再始動が完了したか否かを、例えば機関回転数Neから判定し、再始動が完了した段階で、ステップ19へ進んで第2電動機10をOFFとする。
【0035】
つまり、この再始動の場合には、再始動の完了を待たずに、再始動要求が出された時点でイニシャライズ処理が開始される。従って、図2に示したように、再始動の直後に排気還流を開始する必要がある場合に、イニシャライズ処理による遅れを生じずに、直ちに排気還流を開始できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るハイブリッド型自動車の駆動系を示す構成説明図。
【図2】車両の通常走行状態から減速および加速を行なったときのタイムチャート。
【図3】この発明に係るイニシャライズ処理の制御を示すフローチャート。
【図4】内燃機関の始動条件の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…電磁クラッチ
4…第1電動機
10…第2電動機
13…排気還流制御弁

Claims (4)

  1. 車両の運転中に車両運転条件に基づいて内燃機関の停止および再始動が実行される車両用内燃機関において、ステップモータを用いた流量制御弁のイニシャライズ処理を内燃機関の再始動時に実行するとともに、車両運転開始後の最初の機関始動時に実行するイニシャライズ処理のステップ数に比べて、車両運転中の再始動時に実行するイニシャライズ処理のステップ数が少なく設定されていることを特徴とする車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置。
  2. 上記車両が、該車両の停止中は内燃機関が停止するハイブリッド型自動車であることを特徴とする請求項1記載の車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置。
  3. 関運転状態でのスロットル弁全閉時にもイニシャライズ処理を実行することを特徴とする請求項2記載の車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置。
  4. 上記流量制御弁が、ステップモータを用いた排気還流制御弁であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用内燃機関における流量制御弁の制御装置。
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