JP3735830B2 - 婦人体温計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、婦人が基礎体温を測定するための婦人体温計に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性の基礎体温は周期的に高温相と低温相の2相性を持っており、婦人体温計はその基礎体温を測定するために使用される。婦人体温計により基礎体温を毎日記録してトレンドグラフを作成することで、高温相と低温相の周期を測定者は知ることができる。基礎体温のトレンドを正確に記録するために、測定者による読み取り誤差をなくすべく、デジタル式の婦人体温計も利用されている。デジタル式の婦人体温計では、単に体温を測定するにとどまらず、測定した体温を記録してトレンドグラフ自体を作成する機能や、測定した体温の記録や入力されたメモ事項から生理初日を判断し、その日を基準として次回排卵予定日等を推定する推定機能を有するものもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような推定機能を有する従来の婦人体温計ではその基準となる生理初日の判断の精度が十分に高くなければ推定の精度も上がらない。このため、十分な精度で生理初日を判断することが必要であった。
【0004】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、高精度で生理初日を判断できる婦人体温計を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、基礎体温を測定する体温測定手段と、生理事項データを入力する入力手段と、測定された基礎体温に所定日数をこえる連続した欠落があった場合、最近の生理初日に遡って測定された基礎体温を無効とし、所定日数以内の連続した欠落があった場合、欠落した基礎体温を補間する補間手段と、前記体温測定手段により測定された基礎体温および前記入力手段により入力された生理事項データに基づいて、出産予定日を推定する推定手段とを有する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を適用した婦人用電子体温計を図面を参照して説明する。
【0007】
<装置の構成>
図2(a)は体温計本体の蓋31を120度程度開いた上面図、(b)は蓋を閉じた状態の側面図である。この体温計本体は、口中に挿入して体温を検知するためのセンサ部32aを備えたプローブ32と、測定日時や測定された体温、基礎体温のトレンド等などの測定値に関する情報や、電池切れなど装置の制御に関する情報を表示する表示パネル33と、体温測定に付随する各種情報を入力するためのキーパネル34とを備えている。また、図示しないが、パーソナルコンピュータなどをホストとして接続するためのコネクタ等も備える。また、この体温計は定時測定を促進するために目覚まし機能を有しており、別途設定された時刻になると目覚し音を鳴らして利用者に体温測定を促す。
【0008】
より詳しく説明すると、表示パネル7は、日付や測定された体温、あるいは測定された体温のトレンドグラフを表示する他に、次回排卵日,次回生理日,出産予定日といった、基礎体温の測定結果に基づいて推定される日付を表示するための予定表示バー33aを含む。また、基礎体温の測定に付随して入力される、生理メモ,発熱メモ等の各メモ項目を示すためのメモ表示バー33bも含まれる。なお、図2ではすべての表示バー33a,33bが表示されている様子を示しているが、これらはすべて同時に表示されるわけではなく、対応する項目の表示時や入力時に各表示バーが表示される。
【0009】
また、入力部としてのキーパネル34には、電源キー,メモキー,機能キー,確定キー,体温表示・移動キー(+キー及び−キー),アラームキー,取り消しキーの各種キーが備えられている。また、前述の各表示バーに対応して、各表示バーが何を意味するかを示す項目名が記載されている。
【0010】
図1は図2の体温計による体温測定を制御するための体温計(婦人体温計)全体の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1において、CPU41は、所定のプログラムを実行して装置全体を制御するとともに、後述する手順で体温を測定し、測定結果を基に種々の中間データや推定値を求める。時計8は実時間を刻む時計である。表示部7は液晶パネルなどで、測定された体温や、測定値のトレンド、種々の予測値などを表示する。体温測定部1は、プローブ32により計測された温度から前述した方法で平衡温を予測するようにすることができる。入力部44はキーパネル34を含み、優先時刻や各種の制御情報などを入力する。RAM42は、1日1回の測定値及び各メモ項目の設定値を所定日数(例えば240日分)記憶するとともに、各生理期間(生理初日から次の生理初日の前日まで)ごとの各種中間データ等を記憶する測定値記憶部421、操作モードを記憶するモード記憶部422を含むほか、作業領域として使用される。なお記憶部421〜422のために不揮発性の書き換え可能メモリを用いれば、電池によるバックアップをする必要がなくなる。ROM43は、固定されたデータの他、CPU41により実行されるプログラム431を格納する。またこの体温計は、ホストインターフェース45を介して不図示のホスト装置と接続することもできる。
【0012】
<婦人体温計の機能>
図3は、体温の測定やメモ入力、推定結果の計算や表示等、本婦人体温計による各種機能を遂行するための機能モードの遷移を示す状態遷移図である。
(1)停止モード
電源スイッチがオフにされたり、あるいは、電源投入後所定時間経過した場合には停止モードとなる。本婦人体温計は、電源オフの状態であっても、回路全体の電源が断たれるわけではなく、時計8やCPU41等、目ざましタイマや、データ処理モードにおける機能遂行のために、入力部44や表示部7、体温測定部1やセンサ部32a等を除いた部分には微弱ながら電力が供給される。停止モードでは、このように、再起動のために必要な部分に対してのみ電力が供給される。
(2)測定モード
電源スイッチをオンにしたときや、取り消しキーによりリセットされたときは測定モードに入る。この測定モードでは、初期状態で時計8により示される現在日の測定値を表示する。また、体温表示・移動キーの+キーあるいは−キーの操作により、指定された日の測定値とともに、その日のデータとして設定されたメモ項目に対応するメモ表示バー33bが表示される。また、この測定モードではセンサ部32aからの測定値を監視しており、測定開始条件がみたされれば体温測定を開始する。
(3)メモモード
測定モードにおいて、入力部44としてのキーパネル34を構成するメモキーが押されると、メモモードに遷移する。このモードに入ると、測定モードで設定された日付について、生理メモや発熱メモ等、6項目の生理事項に関するメモが入力できる。メモキーが押されるごとに設定する項目が順次移行する。その際、現在設定対象となっている項目に対応するメモ表示バー33bを点滅表示する。操作者はその点滅表示を見て、設定される項目を知ることができる。各項目において確定キーが押されると、そのメモ項目が設定されたことを記憶し、その項目に対応するメモ表示バー33bを表示して測定モードに戻る。また、どの項目も確定されず、6回目のメモキーが押された場合にも測定モードに戻る。
【0013】
このようにして設定されたメモ項目は、測定モードにおいて指定された日付ごとに読み出され、設定されている項目に対応するメモ表示バー33bが表示される。
(4)推定日表示モード
測定モードにおいて機能キーが押されると、推定日表示モードに遷移する。このモードに入ると、既に計算され記憶された各種データから、まず次回排卵日が表示される。このモードで表示される項目は全部で3項目あり、機能キーが押されるごと表示される項目が次回生理日,出産予定日と移行し、3回目の機能キーで測定モードに戻る。
(5)データ処理モード
後述するデータ処理を実行するモードである。このモードは、電源スイッチがオフにされたとき、あるいは、目ざましアラームの設定時刻から5時間経過した後に移行する。ただし、データ処理は1日に1回に行われるだけであり、1日に2回以上このモードに移った場合には、2回目以降ではデータ処理は行われず、直ちに処理終了となって停止モードに移行する。
【0014】
本実施形態の婦人体温計のモードは以上の5モードである。なお、各モードにおいて取り消しキーが押されると測定モードに戻る。また、測定モード以外の各モードにおいては、キー入力がないまま経過する時間を測定しており、所定時間経過すると取り消しキーが押された場合と同じ状態に戻る。測定モードにおいて同様に所定時間が経過すると、自動的に停止モードに移る。また、測定モードから各モードに遷移するためのキー入力は、誤入力を防止するために、所定時間押し続けられた場合に入力されたものとみなされる。
【0015】
<体温測定シーケンス>
測定モードにおいて、使用者がプローブ32の先端のセンサ部32aを口中に挿入して体温の測定を開始すると、体温測定部1は、センサ部32aから入力された温度に基づいて所定の手順に従って体温の測定を開始する。そして測定が終了すると得られた測定値をRAM42に記憶する。このために、体温測定部1は、センサ部32aにより検出される温度データを所定時間おきにサンプリングしている。本体温計では、サンプルデータが30℃を越えてかつ温度上昇率が0.25℃/4秒以上になれば、その時点を起点として体温の測定を開始する。
【0016】
測定を開始すると所定サンプリング周期(例えば2秒)ごとにセンサ部32aにより検知される温度をサンプリングし、そのサンプルデータをもとに所定の方法で体温を測定する。ここでは測定にピークホールド方式を用いる。ピークホールド方式では、温度を定期的にサンプリングしてそれらサンプリングされた温度のうち最高値を保持する。温度測定部1は、サンプルデータの上昇率が所定の値、例えば0.019℃/16秒以下になった時点で測定を終了し、その時点で得られた最高値を測定値として、CPU41によりRAM42に記憶させる。また、測定に用いるサンプルデータはセンサ部32aからの計測値をそのまま用いず、ある時点におけるサンプルデータとして、そのデータそのものとその前後合わせて3つのサンプルデータの算術加算平均を求め、それをその時点のサンプルデータとして用いる。こうすることでサンプリングごとのばらつきを抑えてより正確に測定を行うことができる。こうして一回の測定を終えると、表示制御部6によりRAM42から測定値が読み出されて表示部7に表示される。
【0017】
<データ処理の内容>
データ処理モードでは、蓄積した測定値を用いて生理初日を判定し、生理初日がそれまでの日付から更新されたなら、更新前の生理初日から更新された生理初日の前日までの、最新の月経周期について、その平均高温相期間,平均低温相期間を求めるほか、それまで蓄積された過去の月経周期についてのデータを用いて、平均月経周期や基準体温を計算する。さらに、測定が行われた当日(以下、本日と呼ぶ)が高温相か低温相か判定して排卵日を検出し、平均体温を算出する。最後に、これらのデータを用いて、次回生理日,次回排卵日,出産予定日を予測する。
【0018】
図4は、月経周期の例を示す図である。丸付き数字は各生理周期における生理初日を表し、この間の符号a〜hがそれぞれ月経周期となる。各月経周期には、生理初日から始まる低温相H〜Nと、排卵日◎から始まる高温相とが含まれる。本婦人体温計は、ある月経周期の中にいるときに、次回の排卵日および生理日を高精度に予測(推定)するとともに、測定結果から妊娠と判定されれば出産予定日も予測(推定)する。また、図4を参照して各種データ処理の説明をするが、その際、図4の月経周期aの途中から測定が開始され、符号▲1▼が最初に確認される生理初日であるものとする。処理の内容は次のようなものである。
【0019】
(1)計算タイミング
図5は処理全体を示すフローチャートである、図5に示された演算処理は、電源スイッチのオフ時、または目覚ましアラーム設定時間経過5時間後にデータ処理モードに移行し、1日1回行われる。2回目以降は何も行われずに処理は終了する。なお、目覚まし時間の初期値は、午前6時ちょうどに設定されているものとする。次に、各ステップにおける処理をより詳しく説明する。
【0020】
(2)生理初日判断
・生理メモ入力が所定日数以上、例えば3日以上連続した場合、生理メモ入力の初日を生理初日と判定する。所定日数未満、例えば3日未満の場合は生理誤認とする。
・生理メモが無く低温相が開始された場合、低温相の開始日を生理初日とする。
ただし、高温相が開始される前に生理メモが入力された場合、生理初日を訂正する。
【0021】
(3)平均月経周期(非表示)
図4における符号▲1▼〜▲8▼が生理初日であり、区間b〜hが月経周期となる。すなわち、生理初日から次回生理初日の前日までが1月経周期となる。
・平均月経周期は生理初日確定後に計算し、次回生理初日確定まで計算結果は保持される。例えば、図4の月経周期gにいる場合、平均月経周期は周期gの生理初日▲6▼の確定後に計算され、次の周期の生理初日▲7▼の直前まで保持される。
・平均月経周期は、最近所定回(6回)分の月経周期から最長周期と最短周期を除いた所定回(4回分)の月経周期を平均して得られる。
・平均される所定回(4回)分の月経周期の内、所定回(3回)分以上有効月経周期(後述)があれば、計算した平均月経周期は有効とする。
・測定開始以来所定周期分、例えば6周期分のデータが得られていない場合には、暫定処置として、所定回数、例えば3回分以上の有効月経周期があればその平均を平均月経周期とする。例えば、図4の区間eにおいては、平均月経周期=(b+c+d)/3とする。ただし、b、c、dは有効月経周期である。
【0022】
同様に区間fにおいては、平均月経周期=(b+c+d+e)/4とする。ただし、b、c、d、eは有効月経周期である。
【0023】
また、区間gにおいては、最長を除く所定回(3回)分以上の有効月経周期の平均を平均月経周期とする。
・月経周期は、所定日数、例えば21日以上42日以下を有効とする。
・平均月経周期の算出に用いられる月経周期(最大4周期)内の最長周期と最短周期が、(最長周期 < 最短周期 × 2)の関係を満たしていれば、平均月経周期は有効である。
【0024】
例えば、区間a、b、c、dにおいては平均月経周期は得られない。また、最近所定月経周期、例えば6月経周期の中に有効月経周期が所定数、例えば3つ以上ない場合や、有効なものが所定数、例えば3つ以上あっても(最長周期 < 最短周期 × 2)が満足されない場合、または計算の結果平均月経周期が有効外の場合、平均月経周期のデータは無いものとする。
【0025】
このように、平均月経周期とは、最近所定回(6回)分の月経周期から最大と最小を除き、さらにそのうち少なくとも所定回(3回)分の有効月経周期の平均である。
【0026】
(4)平均高温相期間(非表示)
図4において、符号▲1▼〜▲8▼は生理初日、◎は排卵日(後述の排卵日検出により判定)、区間A〜Gは高温相期間(排卵日の翌日から生理初日の前日まで)、区間b〜hは月経周期である。
・平均高温相期間は生理初日確定後に計算され、次回生理初日確定まで計算結果が保持される。
・平均高温相期間は、最近所定回分、例えば6回分の高温相期間から最長期間と最短期間を除いた所定回分、例えば4回分の高温相期間を平均して得られる。
・平均される所定回分、例えば4回分の高温相期間の内、所定回分、例えば3回分以上有効高温相期間(後述)があれば、計算した平均高温相期間は有効である。
・測定開始以来所定回分、例えば6回分のデータが得られていない場合には、暫定処置として、区間eにおいては、平均高温相期間=(A+B+C)/3とする。ただし、A、B、Cは有効高温相期間である。
【0027】
同様に区間fにおいては、平均高温相期間=(A+B+C+D)/4とする。ただし、A、B、C、Dは有効高温相期間である。
【0028】
また、区間gにおいては、最長を除く有効な所定回分、例えば3回分以上の高温相期間の平均を平均高温相期間とする。
・高温相期間は、所定日数、例えば12日以上16日以下を有効とする。有効外の高温相期間は計算から除外する。
【0029】
例えば、区間a、b、c、dにおいては平均高温相期間は得られない。また、最近月経周期、例えば6月経周期の中に有効高温相期間が所定数(3つ)以上ない場合や、計算の結果、平均高温相期間が有効外の場合、平均高温相期間データはないものとする。
【0030】
(5)平均低温相期間(非表示)
図4において、符号▲1▼〜▲8▼は生理初日、◎は排卵日(後述の排卵日検出により判定)、区間H〜Nは低温相期間(生理初日から排卵日まで)、区間b〜hは月経周期である。
・平均低温相期間は生理初日確定後に計算され、次回生理初日確定まで計算結果が保持される。
・平均低温相期間は、最近所定回分、例えば6回分の低温相期間から最長期間と最短期間を除いた所定回分、例えば4回分の低温相期間を平均して得られる。
・平均される所定回分、例えば4回分の低温相期間の内、所定回分、例えば3回分以上有効低温相期間(後述)があれば、計算した平均低温相期間は有効である。
・測定開始以来所定回分、例えば6回分のデータが得られていない場合には、暫定処置として、区間eにおいては、平均低温相期間=(H+I+J)/3とする。ただし、H、I、Jは有効高温相期間である。
【0031】
同様に区間fにおいては、平均高温相期間=(H+I+J+K)/4とする。ただし、H、I、J、Kは有効低温相期間である。
【0032】
また、区間gにおいては、最長を除く有効な所定回分、例えば3回分以上の低温相期間の平均を平均低温相期間とする。
・低温相期間は、所定日数、例えば5日以上30日以下を有効とする。有効外の低温相期間は計算から除外する。
【0033】
例えば、区間a、b、c、dにおいては平均低温相期間は得られない。また、最近所定月経周期、例えば6月経周期の中に有効低温相期間が所定数(3つ)以上ない場合や、計算の結果、平均低温相期間が有効外の場合、平均低温相期間データはないものとする。
【0034】
(6)次回生理日予定(表示)
図4において、符号▲1▼〜▲6▼は月経初日メモ入力日、区間a〜gは月経周期である。
・次回生理日は、所定回分、例えば4回目の生理初日が確定した以降、平均月経周期、平均高温相期間の計算が終了後計算する。なお、図4の区間a〜dにおいては次回生理予定日は求められないため、その場合の次回生理日のデータはないものとする。
・次回生理日は、所定期間、例えば3日乃至7日間の期間(××月××日〜××月××日)として算出(推定)する。
・本計算処理を行っている当日が低温相(後述の相判定により判定)の場合
とする。ただし、可能期間は、平均月経周期の計算に使用した月経周期の分布を正規分布として1.5σ相当/2とする。なお、可能期間は日単位、小数点第1位で四捨五入とする。
・本計算処理を行っている当日が高温相(後述の相判定により判定)の場合
とする。ただし、可能期間は、平均高温相期間の計算に使用した高温相期間の分布を正規分布として1.5σ相当/2とする。なお、可能期間は日単位、小数点第1位で四捨五入とする。
【0035】
このようにして推定された次回生理日を表示する際には、表示当日の条件に応じて次のように表示制御される。
・表示当日が次回生理日の期間に含まれない場合、計算された次回生理日をそのまま表示する。
・表示当日が計算された次回生理日の期間に入っており、その期間の最後の日から所定日数前、例えば3日前までの場合、表示される期間は、表示当日の日付〜次回生理日の期間の最後の日とする。すなわち、表示当日〜最近の生理初日+平均月経周期+可能期間、あるいは表示当日の日付〜最近の排卵日+平均高温相期間+可能期間となる。
・表示当日が次回生理日の最終日−3日以降の場合、生理初日まで、表示は、表示当日の日付〜表示当日の日付+3日とする。
・計算の結果、次回生理日が所定日数、例えば8日間以上の期間にわたる場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
・表示当日が高温相で、排卵日からの日数が所定日数、例えば17日以上の場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
・平均月経周期または平均高温相期間が確定していない場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
【0036】
(7)基準体温(非表示)
図4において、符号▲1▼〜▲8▼は生理初日、◎は排卵日、区間A〜Gは高温相期間、区間H〜Nは低温相期間、区間b〜hは月経周期である。基準体温は生理初日確定後に計算され、以降次回生理初日が確定するまで保持される。
・基準体温は、
基準体温=(過去所定回分(例えば3回分)の高温相平均体温+過去所定回分(例えば3回分)の低温相平均体温)/2
として求められる。ただし、高温相平均体温および低温相平均体温は後述の平均体温により得られる。
【0037】
例えば、生理初日▲4▼における基準体温は、
基準体温=((区間Aの平均体温+区間Bの平均体温+区間Cの平均体温)/3+(区間Hの平均体温+区間Iの平均体温+区間Jの平均体温)/3)/2
である。
【0038】
また、生理初日▲1▼においては基準体温は更新されない。
【0039】
生理初日▲2▼においては、
基準体温=(区間Aの平均体温+区間Hの平均体温)/2
生理初日▲3▼においては、
基準体温=((区間Aの平均体温+区間Bの平均体温)/2+(区間Hの平均体温+区間Iの平均体温)/2)/2
である。
・区間a〜bにおける基準体温は、基準体温=36.5℃として予め与えられる。
【0040】
(8)平均体温(非表示)
平均体温としては、高温相平均体温と低温相平均体温のそれぞれを、初回の生理初日確定以降計算する。
・高温相平均体温は、高温相開始から所定日目、例えば3日目の体温を初期値として、低温相開始の所定日前、例えば3日前までの体温で平均体温を計算する。
・低温相平均体温は、低温相開始から所定日目、例えば3日目の体温を初期値として、高温相開始の所定日前、例えば3日前までの体温で平均体温を計算する。
【0041】
(9)相判定(非表示)
測定当日の相を判定する。
・当日体温≧基準体温の場合、高体温とする。
・当日体温<基準体温の場合、低体温とする。
・相判定は記録開始から最初に低温相が確認されてから所定日毎、例えば1日毎に判定する。
・当日で低体温が所定日数、例えば3日連続した場合は当日から所定日数、例えば2日遡って低温相開始とする。または生理初日が確定した時点で、生理開始日から低温相開始とする。
・当日で高体温が所定日数、例えば3日連続した場合は当日から所定日数、例えば2日遡って高温相開始とする。ただし、連続した所定日数内、例えば3日内に発熱メモ入力がある場合または体温が37.5℃以上の場合は、その測定結果は計算から除外する。
【0042】
(10)排卵日検出(非表示)
・排卵日は、相判定において高温相の開始日が更新された後に計算する。
・排卵日は低温相の最後の日なので、相判定後下式で求められる。
【0043】
排卵日=高温相開始日−1
(11)次回排卵日予定(表示)
次回排卵日は、所定回数目、例えば4回目の生理初日が確定した以降、平均月経周期、平均低温相期間の計算の終了後に計算(推)する。なお区間a〜dにおいては計算できないために「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
・次回排卵日は所定期間、例えば3〜7日間の期間(××月××日〜××月××日)として表示する。
・当日が低温相の場合、
とする。ただし、可能期間は、平均低温相期間の計算に使用した低温相期間の分布を正規分布として1.5σ相当/2とする。なお、可能期間は日単位、小数点第1位で四捨五入である。
・当日が高温相の場合、
とする。ただし、可能期間は、平均月経周期の計算に使用した月経周期の分布を正規分布として1.5σ相当/2とする。なお、可能期間は日単位、小数点第1位で四捨五入である。
【0044】
このようにして推定された次回排卵日を表示する際には、表示当日の条件に応じて次のように表示制御される。
・表示当日が次回排卵日の期間に含まれない場合、計算された次回排卵日をそのまま表示する。
・当日が計算された次回排卵日の期間に入っており、その期間の最後の日から所定日前、例えば3日前までの場合、表示される期間は、表示当日の日付〜次回排卵日の期間の最後の日とする。すなわち、表示当日〜最近の生理初日+平均低温相期間+可能期間、あるいは表示当日の日付〜最近の排卵日+平均月経周期+可能期間となる。
・表示当日が次回排卵日の最終日−3日以降の場合、排卵日まで、表示は、表示当日の日付〜表示当日の日付+3日とする。
・計算の結果、次回排卵日が所定日数、例えば8日間以上の場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
・当日が高温相で、排卵からの日数が所定日数、例えば17日以上の場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
・平均月経周期または平均低温相期間が確定していない場合、表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
【0045】
(12)出産予定日予測(表示)
最後の排卵日からの日数が所定日数、例えば20日をこえ、当日(最新測定体温)が高体温の場合、下式で推定する。
【0046】
出産予定日=排卵日+265日
・出産予定日が求められていない場合、その表示は「−−月−−日〜−−月−−日」とする。
【0047】
(13)測定体温の欠落データ(取り忘れ)後処理
基礎体温は原則として毎日測定されるべきものであるが、もし測定し忘れなどでデータが欠落している場合には、内部データとして、欠落日前後の測定体温から計算で求める。ただし、欠落したデータの表示は行わない、欠落日の体温表示は「−−.−−℃」となる。欠落したデータは、欠落の直前の測定値と直後の測定値とを、線形に補間するように補填される。すなわち、次の例のようになる。・測定体温データ欠落が1日分(第N日)の場合、第N−1日の測定値がa、第N+1日の測定値がbとすれば、
日付 | N−1日 | N日 | N+1日
体温 | a | a+(b−a)/2 | b
・測定体温データ欠落が2日分(第N日、第N+1日)の場合、
日付 |N−1日| N日 | N+1日 |N+2日
体温 | a |a+(b−a)/3|a+2(b−a)/3| b
・同様に測定体温データの欠落がm日にわたる場合、欠落前日体温をa、欠落後の体温をbとして
欠落n日目の体温=a+n(b−a)/(m+1)
測定体温欠落データの連続日数mは所定日数、例えば8日まで許容する。その所定日数、例えば8日をこえる欠落があった場合、最近の生理日に遡り、体温データを無効とする。
・測定体温の有効データが、月経周期内の日数の所定比率以上、例えば50%以上の場合、その月経周期内のデータを有効とする。所定比率未満、例えば50%未満の場合、その月経周期内のデータを無効とする。
【0048】
<データ処理の手順>
以上、個々の項目ごとに処理の内容を説明したが、図5〜図9により、一連の処理としてデータ処理手順を説明する。図5は処理全体の流れを示すフローチャートであり、図1におけるCPU41によりROM43に格納されたプログラムを実行することで実現される。以下、フローチャートを参照しつつ、処理の内容について説明する。なお、図6〜図9は、上述した各処理の一部の内容をフローチャート化したものであるので、簡単に触れるにとどめる。
【0049】
図5において、まず本日の体温測定が既に済んでいるか判定する(ステップS501)。済んでいれば処理は終了する。済んでいなければ、まず欠落データを補間する(ステップS501)。すなわち、所定日数、例えば8日以上欠落があれば、最近の生理初日以降のデータを無効化し、所定日数以下、例えば7日以下であれば、n日欠落したm日目のデータを(a+n(b−a)/(m+1))の式により補間する。これは上述した項目(13)に説明した通りである。
【0050】
次に、生理初日を判定する(ステップS503)。この詳細は前述した項目(2)の通りであるが、改めて図6に示した。すなわち、生理メモ入力が所定日以上、例えば3日以上連続したならその初日、すなわち当日の所定日前、例えば2日前の日付で生理初日を更新する(ステップS803)。また、ステップS5109で低温相の開始日が更新されると、ステップS503に戻って、その低温相開始日で生理初日を更新する(ステップS808)。また、ステップS808で生理初日が更新された場合には、高温相になる前に生理メモが入力された日付けで生理初日を更新する(ステップS806)。生理初日はこれら3つのいずれかをきっかけとして更新される。
【0051】
次に、直前の月経周期が確定したならば、すなわち、あらたな生理初日が確認されてから初めての処理であり、かつ、直前の月経周期のデータが有効であれば、平均月経周期の計算(ステップS506)、平均高温相期間および平均低温相期間の計算(ステップS507)、基準体温の計算(ステップS508)を行う。これら3つの値は、上述した項目(3)〜(5)および(7)に説明した要領で算出される。
【0052】
ステップS506−S508は、1回の月経周期で1回行われる処理である。これに対して、ステップS509−S514は毎日体温が測定されるごとに実行される。
【0053】
まず、相判定並びに排卵日の検出が行われる(ステップS510)。その詳細は、上述した項目(9)および(10)で説明した通りであるが、改めて図7に示す。すなわち、原則的には所定日間、例えば3日間連続して低体温あるいは高体温であれば、その初日をそれぞれ低温相あるいは高温相の開始日とする(ステップS1103,S1106)。ただし、所定日間、例えば3日連続低体温でなくとも、生理初日がその日に更新されていれば、更新された生理初日を低温相の開始日とする(ステップS1108,S1109)。また、所定温度を越えている場合あるいは発熱メモが入力された場合には、その日の測定値は採用しない。また、高温相開始日の前日をその月経周期における排卵日とする(ステップS1107)。
【0054】
ステップS509において相判定が行われると、本日づけで低温相開始日が更新され、かつ、生理初日が更新されていないことを、ステップS510において判定する。この結果が肯定判定であれば、生理初日を低温相開始日で更新する必要があるため、ステップS503に戻り生理初日の更新を改めて行う。それにともなって、生理初日が新たに判定されて、その直前の月経周期に関するデータ処理がステップS504−S508で行われることになる。
【0055】
これ以降は、平均体温計算(ステップS511)、次回生理日予測(推定)計算(ステップS512)、次回排卵日予測(推定)計算(ステップS513)、出産予定日予測(推定)計算(ステップS514)を順次行って、データ処理モードにおける処理を終了する。
【0056】
平均体温は、項目(8)で説明した通り、高温相・低温相の交代が確認された時点で、直前の相の開始日から所定日目、例えば3日目から今回の相の開始日の所定日前、例えば3日前までの体温の平均を求める。
【0057】
次回生理日は、図8(A)のように、現在高温相であれば最後の排卵日を基準にして平均高温相期間を加え、その日を中心としてばらつきを加味して予測(推定)する(ステップS1305)。また、現在低温相であれば最後の生理初日を基準にして平均月経周期を加え、その日を中心としてばらつきを加味して予測(推定)する(ステップS1303)。これは、項目(6),(11),(12)において説明した通りである。
【0058】
次回排卵日は、図8(B)のように、現在高温相であれば最後の排卵日を基準にして平均月経周期を加え、その日を中心としてばらつきを加味して予測(推定)する(ステップS1404)。また、現在低温相であれば最後の生理初日を基準にして平均低温相期間を加え、その日を中心としてばらつきを加味して予測する(ステップS1406)。
【0059】
出産予定日は、図9のように、最後の排卵日から所定日以上、例えば20日以上経過して、しかも高温相である場合に、最後の排卵日から265日目を出産予定日として求める(ステップS1503)。
【0060】
測定された体温や上述のようにして計算された値は全てRAM421に格納され、240日間にわたって保存される。すなわち、例えば月経周期や高温相期間,低温相期間,平均体温等、月経周期の1周期毎に算出される値であれば、おおよそ6〜10周期分程度が保存される。このため、平均高温相期間や平均低温相期間等、その前の多くの月経周期におけるデータに基づいて得られる値を算出するためにも、十分なデータを保存しておくことができる。
【0061】
上述した構成および処理手順により、測定された基礎体温および生理メモや発熱メモなどの生理事項から得られた、生理初日や平均月経周期、排卵日や平均高温相周期・平均低温相周期といった生理的な周期を基に、現在の相(低温相あるいは高温相)に応じて、次回生理日あるいは次回排卵日を予測する。この際、生理初日の判定を、単に生理メモの入力のみならず低温相の開始日に基づいても行うために、仮に生理メモの入力がなくとも正確に生理初日を判定できる。このため、より精度の高い生理日や排卵日の予測が可能となる。
【0062】
さらに、3日連続して高体温の場合にはじめてその初日を高温相の初日と判定するため、低温相の最終日が排卵日であるとの判定が高精度に行える。また、高温相の開始日の精度が高くなることにより、高温相周期を用いたりあるいは現在の相に応じたデータ処理の精度が高くなる。
【0063】
さらに、欠落した基礎体温データを、欠落期間の前後で実測された値を線形に補間するように推定するため、欠落した期間が高温相と低温相との境界を含んでいる場合であっても、相の境界を、その誤差の最大値が最小となる様に推定することができる。
【0064】
さらに、基礎体温データから得られる生理的な諸周期を使用する際に、有効な値であるための条件を設定し、それに適合する値に限って使用するために、信頼できる値だけを使用して、各種の値を算出できる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る婦人体温計は、所定日数生理メモが連続して入力されたならその初日を生理初日と判断する。そのため、判断の精度を向上させることができる。さらに、その判断基準として、生理メモの入力が所定日数分連続した場合の初日、低温相の開始日、低温相の開始日を生理初日と判断した場合でも高温相になるまでに生理メモ入力があればその日、というように、複数通りの判断基準を有するため、基礎体温だけからも判断できるし、生理メモだけからも判断できる。このため、入力漏れがあっても、判断の精度をそこなうことが無くなる。
【0066】
【図面の簡単な説明】
【図1】婦人体温計のブロック図である。
【図2】婦人体温計本体の外観図である。
【図3】婦人体温計の処理モードの遷移を表す状態遷移図である。
【図4】女性の生理的な周期の一例を示す図である。
【図5】本発明にかかる婦人体温計によるデータ処理手順のフローチャートである。
【図6】生理初日を判定する手順のフローチャートである。
【図7】相判定および排卵日検出の手順のフローチャートである。
【図8】次回生理日および次回排卵日を予測する手順のフローチャートである。
【図9】出産予定日を予測する手順のフローチャートである。
【符号の説明】
Claims (2)
- 基礎体温を測定する体温測定手段と、
生理事項データを入力する入力手段と、
測定された基礎体温に所定日数をこえる連続した欠落があった場合、最近の生理初日に遡って測定された基礎体温を無効とし、所定日数以内の連続した欠落があった場合、欠落した基礎体温を補間する補間手段と、
前記入力手段により生理事項データとして生理メモが所定日数以上連続して入力された場合、その初日を生理初日と判断する判断手段と
を有することを特徴とする婦人体温計。 - 前記補間手段は、欠落した基礎体温を欠落期間前後の測定値から線形補間し、
前記判断手段は、さらに、低温相開始日が更新されたなら、その低温相開始日を生理初日と判断し、低温相開始日が生理初日と判断された場合に、高温相になる前に生理メモが入力された場合には、その生理メモの入力日を生理初日とあらためて判断することを特徴とする請求項1に記載の婦人体温計。
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