JP3735744B2 - 吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法 - Google Patents

吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法に係り、特に室内機への2次側冷媒の供給制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、吸収式冷暖房装置内に設けられた2次側循環回路を示す系統図である。冷房運転時、室内機側より冷媒ガス管18を介して冷媒ガス26が蒸発器の蒸発器コイル4に導入され、冷却、凝縮して液冷媒27となり、吸込管路11に導かれると共に、レシーバタンク14に溜められる。レシーバタンク14内にはフロートスイッチ15が設けられ、液冷媒が溜るとフロートスイッチ15が作動し、液レベル信号がコントローラ22に入力され、搬送補助装置であるブースター10に起動信号を送りブースター10を起動(ON)させ、吐出管路12より液冷媒を液冷媒管19へ圧送する。
【0003】
レシーバタンク14の液量が減少し、フロートスイッチ15が予め設定された液レベルを検知すると液レベル信号がコントローラ22に入力され、コントローラ22から停止信号がブースター10に送られブースター10は停止する。吸収式冷暖房装置の出力制御は、吐出管路12に設けられた温度センサー20で液冷媒の温度をとらえ、その温度信号がコントローラ22に入力され、高温再生器42の加熱源43に燃焼操作信号を送り、燃焼停止(OFF)−低燃料消費燃焼(LOW燃焼)−高燃料消費燃焼(HI燃焼)の3位置制御を行なっている。尚、符号8は、吸収式冷暖房装置を示す。
【0004】
図5は、従来技術に係る吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法の系統図である。上記蒸発器コイル4で冷却され凝縮した液冷媒27の供給制御を図5の制御系統図で説明すると、先ず冷房運転スタート指令100によりレシーバタンク14に液冷媒が溜る。次に、フロートスィッチ液レベルの判定101で所定の滞留量M0(又は所定の高さH0)以上の場合はブースターON102でブースターの起動を行ない、フロートスィッチ液レベルの判定101の前に戻る。一方、フロートスィッチ液レベルの判定101で所定の滞留量M0(又は所定の高さH0)未満の場合はブースターOFF103でブースターの停止を行ない、同じくフロートスィッチ液レベルの判定101の前に戻る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4に示す加熱源43の燃焼量が増加方向に変化した場合、例えば燃焼モードが燃焼停止(OFF)→低燃料消費燃焼(LOW燃焼)→高燃料消費燃焼(HI燃焼)のように変化した場合は、しばらくして冷凍能力が増加し、吸収式冷暖房装置の1次側循環回路内の圧力が低下し、蒸発コイル4内の圧力及び液温が低下する。このときの吸込管路5での冷媒は、蒸発コイル4内の冷媒に比べ液温が高いことから、相対的に過冷却度が低下して、沸騰し易い状態になる。フロートスイッチ15が所定の滞留量M0を検知していても、ブースター10気泡を吸い込んで空運転となり2次側冷媒を供給出来なくなる。しばらくすると復帰するが、その間室内機側への冷媒の供給量が大きくダウンする。
【0006】
図6は、図5の冷房運転制御方法による燃焼モードに対する液冷媒供給量の状態を示す線図である。図6に示すように、従来の制御では例えば燃焼モードが燃焼停止(OFF)からLOW燃焼に変化した場合、しばらくは液冷媒を供給するが(区間t101〜t102)、しばらくの間(区間t102〜t103)は液冷媒の僅かな供給運転となり、それが自然復帰するのに3〜5分程度かかり、室内機の大巾な出力低下となり室内側に環境の不快感をもたらす。燃焼モードがLOW燃焼からHI燃焼に変化した場合も同様である。尚、t104はLOW燃焼→HI燃への変化時点、区間t103〜t105は液冷媒の供給運転区間、区間t105〜t106は液冷媒の僅かな供給運転区間を示す。
【0007】
本発明の課題は、冷媒及び吸収溶液の1次側循環回路を形成し、冷暖房のための2次側冷媒の加熱又は冷却を行なう吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、高温再生器の加熱量が増加方向に変化した時に、室内機側への2次側液冷媒の供給量を平準化することが出来、室内の快適環境を維持することが出来ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器及び吸収器等を接続して冷媒及び吸収溶液の1次側循環回路を形成し、冷暖房のための2次側冷媒の加熱又は冷却を行なう吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化した時に、前記蒸発器で凝縮した2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することである。
【0009】
2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することにより、この所定の時間の間に蒸発器から液冷媒が供給され溜められ、再びこの2次側液冷媒を室内機側に供給する際に、室内機側への2次側液冷媒の供給量を平準化することが出来、高温再生器の加熱量が増加方向に変化した時に発生する液冷媒不足を解消し、室内の快適環境を維持することが出来る。
【0010】
又、高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器及び吸収器等を接続して冷媒及び吸収溶液の1次側循環回路を形成し、冷暖房のための2次側冷媒の加熱又は冷却を行なう吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化してから一定の時間が経過した後に、前記蒸発器で凝縮した2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することである。
【0011】
高温再生器の加熱量が増加方向に変化してから一定の時間が経過した後に、液不足が発生するので、この時から2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することにより、確実にこの所定の時間の間に蒸発器から供給される液冷媒を溜めることが出来、再びこの2次側液冷媒を室内機側に供給する際に、室内機側への2次側液冷媒の供給量を平準化することが出来、液冷媒不足を解消し、室内の快適環境を維持することが出来る。
【0012】
更に、上記いずれかの吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化し、且つ前記2次側液冷媒が一定の滞留量に達した時に、上記いずれかの吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法を行なうことである。
【0013】
高温再生器の加熱量が増加方向に変化し、且つ2次側液冷媒が一定の滞留量に達した時に、更に2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止するか、一定の時間が経過した後に2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止するかにより、上記いずれかの吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法の作用に加え、確実に液冷媒量が溜った状態で、再度2次側液冷媒の安定した供給量を室内機に送ることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
図3は、吸収式冷暖房装置の全体回路の系統図である。この吸収式冷暖房装置1は、冷却水管77a、77bで接続され冷却水を冷却するクーリングタワー78と、この吸収式冷暖房装置1に冷媒ガス管18及び液冷媒管19で接続され空調対象空間に配置されて該空間の空気との熱交換を行う図示されていない空調用室内機とが付設されている。又、冷却水管77bには、冷却水をクーリングタワー78から吸収式冷暖房装置1に循環させる冷却水循環ポンプ70が介装され、更に、2次側液冷媒管19に介装され、冷媒ガス管18及び液冷媒管19内の2次側冷媒を吸収式冷暖房装置1と前記空調用室内機の間で循環させる図示していない2次側冷媒循環ポンプが付設されている。
【0015】
前記空調用室内機に対して、クーリングタワー78と併せて通常、室外機と呼ばれる吸収式冷暖房装置1は、この場合燃料をバーナで燃焼させ、その燃焼熱で希溶液を加熱する加熱源43を有する高温再生器42と、この高温再生器42で加熱された希溶液から冷媒蒸気と中間濃溶液を分離する分離器45と、分離された冷媒蒸気を熱源として前記中間濃溶液を加熱してさらに冷媒蒸気を発生させる低温再生器46と、この低温再生器46を通過した冷媒蒸気及び低温再生器46で発生した冷媒蒸気を冷却して凝縮し液化させ液冷媒を生成する凝縮器48と、この凝縮器48で生成された液冷媒を内装した冷媒分配器51から同じく内装した蒸発コイル4上に滴下、蒸発させ、この蒸発コイル4中の2次側冷媒を冷却する蒸発器50とを有する。
【0016】
更に、吸収式冷暖房装置1は、上記蒸発器50で蒸発した冷媒蒸気を濃溶液に吸収させ希溶液を生成する吸収器49と、この希溶液を加圧し低温溶液熱交換器54、高温溶液熱交換器53の被加熱流体側を経て高温再生器42に送りこむ溶液循環ポンプ57と、分離器45の底部と蒸発器50の底部を冷暖切換弁58を介して連通する管路59と、低温溶液熱交換器54の加熱流体出側を吸収器49の上部に接続する濃溶液管55と、この濃溶液管55と吸収器49の下部を溶液バイパス弁67を介して接続する管路68と、濃溶液管55と蒸発器50に内装された冷媒分配器51を凍結防止弁64を介して連通する管路65と、凝縮器48から冷媒分配器51に液冷媒を導く水冷媒管63と、この水冷媒管63に並列に接続され水冷媒比例弁61を介装する管路62とを含んで構成されている。
【0017】
そして、上記分離器45で分離された中間濃溶液が高温溶液熱交換器53の加熱流体側を経て低温再生器46に導かれ、低温再生器46で冷媒を蒸発させて濃溶液となったのち、低温溶液熱交換器54の加熱流体側を経て濃溶液管55に導かれるように管路が構成されている。吸収器49及び凝縮器48にはそれぞれ冷却水コイルが内装され、吸収器49の冷却水コイルの出口は凝縮器48の冷却水コイルの入口に接続されていて、吸収器49の冷却水コイルの入口は冷却水管77bに、凝縮器48の冷却水コイルの出口は冷却水管77aに、それぞれ接続されている。2次側冷媒の液冷媒管19は蒸発コイル4の液側に、2次側冷媒の冷媒ガス管18は蒸発コイル4のガス側にそれぞれ接続され、液冷媒管19に接続された搬送補助装置であるブースター10の吐出管には2次側液冷媒の温度を検知する温度センサ20が装着されている。
【0018】
上記構成の装置において、冷暖切換弁58は、冷房と暖房の切り替えを行なうもので、冷房時は閉、暖房時は開とされる。水冷媒比例弁61は、蒸発器50の温度(蒸発器温度センサの出力)を入力として開度制御され、溶液濃度の調整を行なう弁である。凍結防止弁64は、蒸発温度が低下して1℃になれば開いて濃溶液を冷媒分配器51に流入させ、冷媒(吸収式冷暖房装置の冷媒には通常水が使用される。以下、水冷媒ともいう)の凍結を防ぐ弁である。溶液バイパス弁67は、冷房立上り時及び低負荷運転時に、蒸発器温度が低下したとき、凍結防止弁64が作動する前に濃溶液を吸収器49の下部にバイパスして吸収器49の吸収能力を低下させ、蒸発器50のそれ以上の温度低下を防ぐためのオン−オフ制御弁である。
【0019】
図3において、2次側循環回路2については先の図4において説明したが、2次側循環回路2は、蒸発器50で凝縮した液冷媒27を液冷媒管19に戻し室内機に再び供給する液冷媒搬送装置或いは液冷媒戻し手段であるブースター10を有している。
【0020】
上記構成を有する吸収式冷暖房装置1において、本実施の形態の冷房運転制御方法は、高温再生器42の加熱量、即ち加熱源43の燃焼量乃至燃焼熱が増加方向に変化してから一定の時間T1が経過した後に、蒸発器50で凝縮した2次側液冷媒27の供給を所定の時間T0だけ停止する。具体的にはブースター10を所定の時間T0だけ停止することである。
【0021】
図1は、上記冷房運転制御方法を線図で示した系統図である。本実施の形態の冷房運転制御方法は、冷房運転スタート指令30によりフロートスィッチ液レベルの判定31で所定の滞留量M0以上の場合は加熱源43で燃焼増加したかの判定32を行なう。フロートスィッチ液レベルの判定31で所定の滞留量M0未満の場合はブースターOFF37でブースターの停止を行ない、フロートスィッチ液レベルの判定31の前に戻る。
【0022】
次に、燃焼増加したかの判定32で燃焼増加した場合は、フロートスイッチ液レベルの判定34を行ない、燃焼増加したかの判定32で燃焼増加しない場合はブースターON33でブースターの起動を行ない、フロートスィッチ液レベルの判定31の前に戻る。
【0023】
フロートスイッチ液レベルの判定34で一定の滞留量M1以上の場合は、燃焼増加して一定の時間経過したかの判定35に移る。フロートスイッチ液レベルの判定34で一定の滞留量M1未満の場合はブースターOFF37でブースターの停止37を行ない、フロートスィッチ液レベルの判定31の前に戻る。
【0024】
燃焼増加して一定の時間経過したかの判定35で一定の時間T1以上の場合はブースターを所定の時間(T0)OFF36の停止を行ない、フロートスィッチ液レベルの判定31の前に戻る。燃焼増加して一定の時間経過したかの判定35で一定の時間T1未満の場合は、フロートスイッチ液レベルの判定34の前に戻る。
【0025】
上記本実施の形態の冷房運転制御方法は、高温再生器加熱源43の燃焼量乃至燃焼熱が増加方向に変化し、且つ2次側液冷媒が一定の滞留量M1に達した時に、2次側液冷媒の供給を所定の時間T0だけ停止するか、一定の時間T1が経過した後に2次側液冷媒の供給を所定の時間T0だけ停止することにより、この所定の時間T0の間に蒸発器50から液冷媒が供給され、確実に液冷媒量が溜った状態で、再びこの2次側液冷媒を室内機側に安定供給し、確実に液冷媒不足を解消すると共に、室内機側への2次側液冷媒の供給量を平準化することが出来、室内の快適環境を維持することが出来る。
【0026】
図2は、図1の冷房運転制御方法による燃焼モードに対する液冷媒供給量の状態を示す線図である。本実施の形態の冷房運転制御方法は、燃焼モードが時間t1で燃焼停止からLOW燃焼に変化した場合、一定の時間T1、例えば2分間(区間t1〜t2)してからブースター10を所定の時間T0(区間t2〜t3)、例えば1分間だけ強制的に停止する。これにより一旦空運転にはいったブースター10は、1分間の停止(T0)中に液冷媒が十分充填され、復帰運転後、即安定した量の液冷媒を供給することが出来る(区間t3〜t5)。図2で燃焼モードがLOW燃焼からHI燃焼に変化した場合も上記と同様な作用を有する。尚、符号t4はLOW燃焼→HI燃焼への変化時点を、区間t4〜t5は一定の時間T1を、区間t5〜t6は所定の時間T0を、それぞれ示す。
【0027】
尚、上記実施の形態の冷房運転制御方法は、水冷の吸収式冷暖房装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、空冷の吸収式冷暖房装置に対しても適用出来ることは勿論である。更に、高温再生器の加熱源は、バーナによる燃焼加熱の他に、排蒸気又は排温水による加熱、電気ヒータによる加熱等が利用出来る。更に、2次側冷媒は、相変化するフロン(HFC−134a)を使用しているが、この他にアルコール、水と潜熱剤の混合物等が使用出来る。
【0028】
【発明の効果】
本発明の吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法によれば、高温再生器の加熱量が増加方向に変化した時に、室内機側への2次側液冷媒の供給量を平準化することが出来、室内の快適環境を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法の一実施の形態を線図で示した系統図である。
【図2】図1の冷房運転制御方法による燃焼モードに対する液冷媒供給量の状態を示す線図である。
【図3】吸収式冷暖房装置の全体回路の系統図である。
【図4】図3の吸収式冷暖房装置内に設けられた2次側循環回路を示す系統図である。
【図5】従来技術に係る吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法の系統図である。
【図6】図5の冷房運転制御方法による燃焼モードに対する液冷媒供給量の状態を示す線図である。
【符号の説明】
1 吸収式冷暖房装置
25 2次側冷媒
27 2次側液冷媒
40 1次側循環回路
42 高温再生器
50 蒸発器
0 所定の時間
1 一定の時間
1 一定の滞留量

Claims (3)

  1. 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器及び吸収器等を接続して冷媒及び吸収溶液の1次側循環回路を形成し、冷暖房のための2次側冷媒の加熱又は冷却を行なう吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化した時に、前記蒸発器で凝縮した2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することを特徴とする吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法。
  2. 高温再生器、低温再生器、凝縮器、蒸発器及び吸収器等を接続して冷媒及び吸収溶液の1次側循環回路を形成し、冷暖房のための2次側冷媒の加熱又は冷却を行なう吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化してから一定の時間が経過した後に、前記蒸発器で凝縮した2次側液冷媒の供給を所定の時間だけ停止することを特徴とする吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法。
  3. 請求項1又は2において、前記高温再生器の加熱量が増加方向に変化し、且つ前記2次側液冷媒が一定の滞留量に達した時に、請求項1又は2に記載の冷房運転制御方法を行なうことを特徴とする吸収式冷暖房装置の冷房運転制御方法。
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