JP3735127B2 - 内燃機関用の燃料噴射ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関用の燃料噴射ポンプであって、ポンプケーシング内に挿入されたシリンダブシュのシリンダ孔内でガイドされたプランジャを備えており、該プランジャは、カム伝動装置によって軸方向で往復運動せしめられ、該プランジャの、前記カム伝動装置とは反対側の端面側がポンプ作業室を制限しており、該ポンプ作業室は、圧送導管を介して噴射位置に接続されていて、該圧送導管内には均圧弁が配置されており、該均圧弁の弁体は、ポンプ作業室とは反対側で該弁体に当接する接続部とシリンダブシュとの間に緊締されていて、前記接続部から、噴射弁内に開口する噴射導管が導出されている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第2651586号明細書により公知な、前記形式の燃料噴射ポンプにおいては、ポンプケーシング内に挿入されたシリンダブシュのシリンダ孔内で、プランジャがカム伝動装置によって軸方向で往復運動せしめられる。プランジャは、そのカム伝動装置に向けられた端面側がポンプ作業室を制限しており、このポンプ作業室には、2つの制御開口を介して燃料が供給され、このポンプ作業室は圧送導管を介して噴射箇所に接続されている。この場合、圧送導管内には均圧弁が介在されており、この均圧弁の弁体は、ポンプ作業室に接する側がシリンダブシュのシリンダ孔の端面側に当接し、ポンプ作業室とは反対側が接続部に接しており、この接続部は、ポンプケーシングで緊締されたフランジを介して送り出し弁に当てつけて保持されている。この接続部はまた、送り出し弁とは反対側で雄ネジのネジ山を有しており、この雄ネジに噴射導管がネジ被せられている。このような形式の公知の燃料噴射ポンプによれば、噴射圧力が高い場合に送り出し弁とシリンダブシュとの間のシール、並びに送り出し弁と接続部との間のシールがもはや十分に保証されなくなるという欠点がある。シールしようとする部分の半径方向の膨張程度が大きくこれによってシール面で摩耗が生じる場合は、前記のようなシール上の欠点が送り出し弁においてさらに大きくなる。膨張差は、圧力及び温度によって影響を受け、シール孔の範囲及び接続部における当接面の範囲で特に生じる。噴射圧力が高い場合でも確実なシールが保証されるようにするために、公知の燃料噴射ポンプにおける、送り出し弁とシールブシュ若しくは接続部との間のシールは十分なものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、前記のような公知の燃料噴射ポンプにおけるシール上の欠点を取り除くことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明の燃料噴射ポンプによれば、弁体がシリンダブシュの端面側に向かって突き出る管片を有しており、該管片の端面側がシール面を形成していて、このシール面で弁体が、隣接するシリンダブシュの端面側に当接して、このシリンダブシュの端面側をシールしており、接続部が、均圧弁に向けられた端面側で管状スリーブを有しており、該管状スリーブの端面側が、弁体の対応する管状スリーブの端面側に当接しており、接続部の、均圧弁とは反対側の端面側が半円球状に形成されていて、該半円球状の端面側に、環状フランジの対応する半円球状の端面側が当接しており、該環状フランジは複数の抗張ロッドによってポンプケーシングに緊締されていて、接続部と弁体とをシリンダブシュに押し付けながら保持しており、弁体内に第1の逆止弁が配置されており、該第1の逆止弁がばね負荷された弁部材より成っていて、この弁部材は、プランジャの軸線に対して平行で、かつ、ポンプ作業室から出発して均圧弁を通る、段付き孔の部分内に差し込まれており、該弁部材の弁座は、直径減少部によって形成されていて、弁部材は噴射弁の方向に向かって開放しており、弁体内に第2の逆止弁が配置されていて、該第2の逆止弁は、弁体の外周面から出発する孔内でガイドされており、孔は、段付けされていて弁体の外周面で閉鎖部分によって閉鎖されて、第1の逆止弁の弁部材の下流で前記段付き孔内に開口しており、前記孔はさらに、第2の逆止弁の弁部材の上流でポンプ作業室に接続されており、第2の逆止弁の弁部材は同様に弁ばねのばね力に抗してポンプ作業室に向かう方向で開口している
【0005】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、均圧弁として構成された送り出し弁を収容する弁体が、その軸方向の両端部で短く突き出るスリーブ状の管片を有しており、この管片の端面側がシール面として構成されている。このように構成した本発明の燃料噴射ポンプは、ポンプ作業室及びそれに続く圧送通路内の噴射圧力が高い場合でも、均圧弁の範囲内で確実なシールが保証されるという利点を有している。管片のシール面は、このシール面と協働する、シリンダブシュ若しくは接続部の端面側に気密に当接しており、シリンダ面として役立つすべての表面は面研削されている。この面研削を製造技術的に簡単にするために、軸方向のすべてのシール面は、これらのシール面に堅固に結合された部分がこれらのシール面のレベルを越えて突き出ないように設計されている。
【0006】
構成部分が半径方向で膨張し、ひいてはシールが互いにずれて損傷を招くことの原因は、基本的にその寸法、つまりそれぞれ圧力媒体が貫流する内孔の直径及び壁厚に基づいているので、管片は、半径方向の膨張程度が小さいところの構成部分に設けられており、これによって、管片の寸法全体に亙って及び管片固有の横ずれ運動範囲に亙って、構成部分の半径方向の膨張が互いに補償され、ひいては対応する2つのシール面が互いにずれて損傷を招くことは避けられる。図示の実施例では、シリンダブシュの内径及び壁厚寸法が大きいために、シリンダブシュと弁体との間のシール面における膨張程度は大きいので、管片は弁体に配置されている。弁体の、接続部に向けられた他方の端面側では、弁体に設けられた孔よりも直径の小さい内孔が接続部に設けられているために、弁体の方が接続部よりも膨張程度が大きいので、本発明の構成によれば、接続部均圧体に向けられた端面側に、管状スリーブとして構成された管片を有している。
【0007】
シリンダブシュに均圧弁を押し付ける接続部は有利な形式で、環状フランジを介してポンプケーシングに緊締されており、この場合に、この環状フランジは、接続部に当接する側が半円球状に構成されているので、膨張したりずれた時に、接続部を均一に押し付けるように保証されている。環状フランジを介して接続部を均一に押し付ける作業を補助するために、環状フランジをポンプケーシングに緊締する、円錐形部を備えたねじ結合部が設けられているので、抗張ロッド若しくは緊締ナットが緊締中に傾くことは避けられる。環状フランジを介しての均一な緊締を補助するためにさらに、環状フランジに接するポンプケーシングの端面側が接続部と均圧弁との間のシール面の位置を越えて突き出るまで、ポンプケーシングが、接続部に向かって引き寄せられている。この場合、接続部と弁体とがポンプケーシングの円筒形の部分内で気密にガイドされる。
【0008】
【実施例】
図面には、本発明の1実施例による燃料噴射ポンプの範囲だけが示されている。ポンプケーシング1内には、シリンダ孔5を有するシリンダブシュ3が挿入されており、このシリンダ孔5内でプランジャ7が軸方向案内されている。プランジャ7は、カム伝動装置(図示せず)によって往復運動せしめられる。このプランジャ7は、カム伝動装置とは反対側の端面側9で、シリンダ孔5内にポンプ作業室11を制限しており、このポンプ作業室11に圧送導管13が接続されている。この圧送導管13は、ポンプ作業室11に接する送り出し弁(均圧弁15として構成されている)と、この圧送導管13に連続する接続部17と、ねじ18を介して接続部17にねじ被せられる噴射導管19とから形成されている。この噴射導管19は、燃料を供給しようとする内燃機関の燃焼室内に突入する噴射弁21内に開口している。プランジャ7は2つの制御切欠23を有しており、これら2つの制御切欠23は、プランジャ7と共に2つの傾斜した制御縁を形成していて、長手方向溝29を介してポンプ作業室11に接続されている。この場合に端面側9から、第1の制御縁25は第2の制御縁27よりも遠くに離れて位置している。ポンプ作業室11に燃料を供給し、燃料フィード行程の最後において放圧するために、シリンダブシュ3内に2つの半径方向の制御開口が配置されている。これらの制御開口は互いに軸方向でずらされており、これら2つの制御開口のうちの、プランジャ7に設けられた第1の制御縁25と協働する第1の制御開口31は、第2の制御縁27と協働する第2の制御開口33よりも、均圧弁15から離れた位置に配置されている。このような形式で、第2の制御開口33は確実に、プランジャ7による制御開口の閉鎖制御時に最後に閉鎖され、制御切欠による開放制御時に最初に開放される。この場合にキャビテーション侵食を減少させるために、制御開口33内に送り出し弁37が配置されている。ポンプ作業室11と接続部17との間に配置された均圧弁15は、弁体39と、互いに平行に配置された、逆方向で開放する複数の逆止弁とから成っており、これらの逆止弁のうちの、噴射導管19の方向に開放する第1の逆止弁43は、圧送導管13の一部を形成する、プランジャ軸線に対して平行に延びる、弁体39内の段付き孔41内に配置されていて、それとは逆方向で開放する第2の逆止弁45(第1の逆止弁43と同様に、弁体としてのばね弾性的な球を有している)は、前記段付き孔41から分岐して、ポンプ作業室11内に開口するバイパス導管47内に配置されている。第2の逆止弁45を収容するバイパス導管47は、弁体39の外周面のフランジ状の部分88から延びる半径方向孔86より成っている。この半径方向孔86は、弁体39で閉鎖部分84によって閉鎖され、段付けされ、第1の逆止弁43の段付き孔41内に下流で開口している。この半径方向孔86内には第2の弁45が配置されていて、この第2の逆止弁45の上流側はポンプ作業室11に接続されており、この場合第2の逆止弁45は、閉鎖部分84で支えられた弁ばね49のばね力に抗してポンプ作業室11に向かって開放している。この場合、逆止弁43,45の弁ばね49のばねプレロードを介して、逆止弁43,45のそれぞれの開放圧力が調節可能であって、第1の逆止弁43が噴射弁21への開放圧力を規定し、第2の逆止弁45が圧送導管13内の残留圧力を規定する。均圧弁15の別の変化実施例によれば、均圧弁は、円錐形の弁座を有する弁体を備えており、の弁座で弁閉鎖部材が弁ばねによって当て付け保持されている。この弁閉鎖部材内に、弁閉鎖部材の開放方向に向かって逆方向で開放する送り出し弁が配置されている。
【0009】
シリンダブシュ3に対する弁体39のシールは、軸方向に向けられたシール面72を介して行われる。このシール面72は、スリーブ状の短い管片70の端面側に配置されており、この管片72の端面側は、シールブシュ3に向かって弁体39から突き出ていて、シールブシュ3の端面側の同一の大きさを有する端面のスリーブ73に載せられている。
【0010】
シールブシュ3に一体成形されたスリーブ73は、限定的なシール面を形成するために設けられており、これに対して、弁体39に設けられた管片70は、正確に規定された長さ、壁厚及び直径寸法を有している。接続部17に向けられた弁体39の他方側では、シールが同様に軸方向に向けられたシール面72によって行われる。この場合に、接続部17は軸方向の管状スリーブ69を有しており、この管状スリーブ69の端面側に弁体39が当てつけられている。この管状スリーブ69は、シール面の相対的なずれを阻止するための、対応するシール面の膨張特性に基づいて設計される。
【0011】
軸方向のシール面72を介して確実にシールするために必要な、接続部17の均一な緊締を保証するために、接続部17に環状フランジ74が被せはめられている。この環状フランジは、接続部17の、均圧弁15とは反対側に向けられた端面側76に作用して、ポンプケーシング1内の抗張ロッド65(この実施例では、弁体39と接続部17との間の最も上側のシール面72を越えて突き出ている)を介して緊締されている。この場合に、接続部17に当接する管状フランジ74の端面側78と接続部17の端面側76とは互いに対応し合う半円球状に構成されているので、均一な力の伝達が保証される。ポンプケーシング1内で状フランジ74を緊締する抗張ロッド65はこの場合、緊締ナット66と状フランジ74との間で座金80を有しており、この座金80の、状フランジ74に接する端面側82は同様に半円球状に構成されている。
【0012】
ポンプケーシング1に対する接続部17及び均圧弁15の確実な軸方向ガイド及びシールを得るために、接続部17の、状フランジ74に接する端面側は、接続部17の中央部の高さ位置まで引き延ばされているので、弁体39と、接続部の円筒形の部分は、ポンプケーシングの円筒形の部分内でガイドされるようになっている。
【0013】
以上のような構成の本発明の燃料噴射ポンプによれば、高い噴射圧においても、シール面72が相対的にずれることは避けられ、均圧弁の範囲内で確実なシールが保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 均圧弁の弁体と円筒形ブシュ若しくは接続部との間のシールが軸方向のシール面によって行われ、このシール面は、弁体若しくは接続部の軸方向両端部に設けられた管状スリーブの端面側に配置されている、本発明の1実施例による燃料噴射ポンプの一部の概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプケーシング、 3 シリンダブシュ、 5 シリンダ孔、 7 プランジャ、 9 端面側、 11 ポンプ作業室、 13 圧送導管、 15 均圧弁、 17 接続部、 18 ねじ、 19 噴射導管、 21 噴射弁、 23 制御切欠、 25,27 制御縁、 29 長手方向溝、 31,33 制御開口、 37 送り出し弁、 39 弁体、 41 段付き孔、 43 第1の逆止弁、 45 第2の逆止弁、 47 バイパス導管、 49 弁ばね、 65 抗張ロッド、 66 緊締ナット、 69 軸方向の管状スリーブ、 70 管片、 72 シール面、 73 スリーブ、 74 環状フランジ、 76,78 端面側、 80 座金、 82 端面側、 84 閉鎖部分、 86 半径方向の孔、 88 フランジ状の部分

Claims (2)

  1. 内燃機関用の燃料噴射ポンプであって、ポンプケーシング(1)内に挿入されたシリンダブシュ(3)のシリンダ孔(5)内でガイドされたプランジャ(7)を備えており、該プランジャ(7)は、カム伝動装置によって軸方向で往復運動せしめられ、該プランジャ(7)の、前記カム伝動装置とは反対側の端面側(9)がポンプ作業室(11)を制限しており、該ポンプ作業室(11)は、圧送導管(13)を介して噴射位置に接続されていて、該圧送導管(13)内には均圧弁(15)が配置されており、該均圧弁(15)の弁体(39)は、ポンプ作業室(11)とは反対側で該弁体(39)に当接する接続部(17)とシリンダブシュ(3)との間に緊締されていて、前記接続部(17)から、噴射弁(21)内に開口する噴射導管(19)が導出されている形式のものにおいて、前記弁体(39)がシリンダブシュ(3)の端面側に向かって突き出る管片(70)を有しており、該管片(70)の端面側がシール面(72)を形成していて、このシール面(72)で弁体(39)が、隣接するシリンダブシュ()の端面側に当接して、このシリンダブシュ()の端面側をシールしており、接続部(17)が、均圧弁(15)に向けられた端面側で管状スリーブ(69)を有しており、該管状スリーブ(69)の端面側が、弁体(39)の対応する管状スリーブの端面側に当接しており、接続部(17)の、均圧弁(15)とは反対側の端面側が半円球状に形成されていて、該半円球状の端面側に、環状フランジ(74)の対応する半円球状の端面側(78)が当接しており、該環状フランジ(74)は複数の抗張ロッド(65)によってポンプケーシング(1)に緊締されていて、接続部(17)と弁体(39)とをシリンダブシュ(3)に押し付けながら保持しており、弁体(39)内に第1の逆止弁(43)が配置されており、該第1の逆止弁(43)がばね負荷された弁部材より成っていて、この弁部材は、プランジャ(7)の軸線に対して平行で、かつ、ポンプ作業室(11)から出発して均圧弁(15)を通る、段付き孔(41)の部分内に差し込まれており、該弁部材の弁座は、直径減少部によって形成されていて、弁部材は噴射弁(21)の方向に向かって開放しており、弁体(39)内に第2の逆止弁(45)が配置されていて、該第2の逆止弁(45)は、弁体(39)の外周面から出発する孔(86)内でガイドされており、孔(86)は、段付けされていて弁体(39)の外周面で閉鎖部分(84)によって閉鎖されて、第1の逆止弁(43)の弁部材の下流で前記段付き孔(41)内に開口しており、前記孔(86)はさらに、第2の逆止弁(45)の弁部材の上流でポンプ作業室(11)に接続されており、第2の逆止弁(45)の弁部材は同様に弁ばね(49)のばね力に抗してポンプ作業室(11)に向かう方向で開口していることを特徴とする、内燃機関用の燃料噴射ポンプ。
  2. 接続部(17)と弁体(39)とがポンプケーシング(1)の円筒形の部分内でガイドされている、請求項1記載の燃料噴射ポンプ。
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