JP2001234832A - 内燃機関のための燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関のための燃料噴射弁において、密
閉度を高めるため、弁体３の弁保持体１への押圧力を高
め、供給通路８の移行位置の領域における押圧力の局部
的な上昇を可能にする。 【解決手段】 少なくとも１つの弁体部分１；３の供
給通路８における少なくとも１つの位置に、弁体部分
１；３の接触面１０１；１０３から間隔をおいて半径方
向の拡張部４０が形成されている

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のための
燃料噴射弁であって、少なくとも２つの弁体部分を有し
ており、これらの弁体部分のそれぞれの接触面が少なく
とも１つの他の弁体部分に接触していて、装置により互
いに押し付けられ、前記弁体部分内に供給通路が形成さ
れており、該供給通路が接触面を通って１つの弁体部分
から該弁体部分に接触している他方の弁体部分に貫通し
ており、弁体部分の接触面が供給通路の貫通部のまわり
の領域において互いに接触していて、該領域においてシ
ール面を形成している形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】ＰＣＴ／９６／０２３７８から公知の燃
料噴射弁においては、中央孔が弁体内に形成されてお
り、この中央孔内には、ピストン状の、長手方向に摺動
可能な弁部材が配置されている。弁部材の燃焼室側の端
部には弁シール面が形成されており、弁部材はこの弁シ
ール面と、少なくとも１つの噴射開口の制御のため中央
孔の燃焼室側端部に形成された弁座と協働する。弁体
は、緊定ナットの形式の装置によって、軸方向に弁保持
体に対して緊定されている。

【０００３】燃焼室に向かって弁部材が先細りになるこ
とにより、弁部材に圧力肩部が形成されており、この圧
力肩部は弁体内に形成された圧力室に配置されており、
この圧力室は、弁体内及び弁保持体内に延びる供給通路
を介して燃料を満たすことができる。供給通路は弁保持
体と弁体との接触面を通って貫通し、緊定ナットの押圧
力によってシールされる。供給通路の貫通部の領域にお
いて十分な押圧力を達成するため、及びこのことによっ
て確実なシールを行うため、端面は高度な正確さをもっ
て平坦に表面加工されていなければならず、このことに
大変労力がかかり、従って費用がかかる。

【０００４】密閉度を高めるため、弁体の弁保持体への
押圧力を高めることが必要である。しかしながらこれ
は、供給通路の移行位置の領域においてのみが望まし
い。なぜなら緊定ナットの弁体へのあまりに大きな力作
用がかかるとき、弁体の変形が生じうるからであり、こ
のことは弁体の孔内での弁部材の案内に不都合な影響を
及ぼす。供給通路の移行位置の領域における押圧力の局
部的な上昇は、これまでの公知の構造では不可能であ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の燃料噴射弁において供給通路の移行位置の領域におけ
る押圧力の局部的な上昇を可能にし、弁体の弁保持体へ
の押圧力を高めることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明に
よれば、少なくとも１つの弁体部分の供給通路における
少なくとも１つの位置に、弁体部分の接触面から間隔を
おいて半径方向の拡張部が形成されていることによって
解決されている。

【０００７】

【発明の効果】請求項１に記載の特徴を有する本発明に
よる燃料噴射弁は、前記公知例に対して、供給通路内の
燃料の液圧的な力が、供給通路の貫通位置の領域におい
て２つの弁体部分の接触面の押圧力を高めるために利用
されるという利点を有する。弁体部分の接触面の近くに
おいて、供給通路に半径方向の拡張部を設けることによ
って、供給通路内に存在する燃料の液圧的な力により半
径方向の拡張部が、供給通路の軸方向で拡大する。例え
ば弁体部分が弁体及び弁保持体であるならば、弁保持体
内に形成された半径方向の拡張部の弁体側の端面が、弁
体の方向に押し付けられる。このことにより供給通路の
貫通部の領域における接触面での弁体と弁保持体の押圧
力が上昇し、供給通路のより良好なシールが生じ、接触
面の品質に対する要求がより少なくなる。このとき、双
方の互いに接触している弁体部分において、供給通路に
このような半径方向の拡張部を形成すること、または２
つの弁体部分のうち１つだけで形成することが可能であ
る。

【０００８】本発明の有利な構成では、半径方向の拡張
部が供給通路の内壁面に環状のリング溝として形成され
ている。このことは、単純で費用のかからない製造を可
能にし、半径方向の拡張部の回転左右対称の構成によ
り、接触面による供給通路の貫通部の領域における同等
の押圧力をもたらす。有利な形式では、供給通路から半
径方向の拡張部への移行縁が丸く面取りされて形成され
ており、これによってこの位置において供給通路を通る
燃料流に渦流が形成されない。

【０００９】本発明のその他の利点及び有利な構成は、
発明の詳細な説明、図及び請求項から得られる。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を、図面
を用いて詳しく説明する。

【００１１】図１には、コモンレール系において使用さ
れる燃料噴射弁が縦断面図で示されている。弁体３とし
て形成された弁体部分が、緊定ナット４として形成され
た装置を用いて軸方向に、弁保持体１として形成された
第２の弁体部分に緊定されている。弁体３内には孔７が
形成されており、孔７には燃焼室側の端部に少なくとも
１つの噴射開口１６が形成されており、この噴射開口１
６を介して燃料が直接内燃機関の燃焼室に噴射されう
る。孔７内には、ピストン状の弁部材５が配置されてお
り、この弁部材５は孔７において燃焼室とは反対側の区
分内において案内されていて、燃焼室に向かって、圧力
肩部１１を形成しつつ先細りになっている。燃焼室側の
端部において弁部材５には弁シール面１２が形成されて
おり、この弁シール面１２は、少なくとも１つの噴射開
口１６の制御のために、孔７の燃焼室側の端部に形成さ
れた弁座１４と協働する。

【００１２】圧力肩部１１は、弁部材７を取り囲む圧力
室１０内に配置されており、この圧力室１０は弁座１４
の方向で環状通路に移行し、弁座１４にまで達してい
る。圧力室１０は、弁体３内及び弁保持体１内に形成さ
れた供給通路８を介して燃料を満たすことができ、供給
通路８は、弁保持体１の脇に配置された燃料接続部２０
から、弁保持体２０の長手方向軸線に対してほぼ平行に
延び、弁体３を通って圧力室１０に横から交わるまで延
びている。燃料接続部２０は、高圧導管５２を介して燃
料高圧室５０と接続しており、この燃料高圧室５０に、
燃料は、燃料タンク６０から高圧ポンプ５６を用いて供
給導管５４を通じて供給される。この燃料高圧室５０内
では、燃料の所定の圧力レベルが維持され、よって燃料
噴射弁の供給通路８においても所定の圧力レベルが維持
される。燃料噴射弁の全運転中、供給通路８内では高い
燃料圧が存在しているので、弁体３と弁保持体１との接
触面における良好なシールが、燃料噴射弁の申し分のな
い機能のために重要である。

【００１３】弁保持体１内には案内孔１３が形成されて
おり、この案内孔１３内には圧力ピン６が軸方向可動に
配置されている。圧力ピン６は、圧力ピン６の燃焼室側
の端面２８で弁部材５に接触し、燃焼室とは反対側の端
面２８で制御室２６を区切っている。制御室２６は、供
給絞り２２を介して供給通路８に接続しており、マグネ
ット弁３０を用いて開閉可能な排出絞り２４を介して放
圧されうる。このように制御可能な燃料の排出及び供給
によって、制御室２６内における燃料圧が制御でき、よ
って圧力ピン６の、燃焼室とは反対側の端面２８への負
荷も制御できる。

【００１４】燃料噴射弁の作用形式は、以下の通りであ
る。燃料噴射弁が閉じられている場合、供給通路８内は
燃料高圧室５０と同等の燃料圧が存在しており、圧力室
１０内も同様である。初めはマグネット弁３０が閉じら
れているので、制御室２６内における燃料は排出絞り２
４を介して流出せず、従って制御室２６内の燃料高圧は
供給通路８内の圧力に相当する。これによって弁保持体
１の軸方向において、圧力ピン６の、制御室２６を区切
っていて燃焼室とは反対側に位置する端面２８に対して
液圧的な力が生じ、従って弁部材５の弁シール面１２は
圧力ピン６を介して弁座１４に押し付けられる。圧力室
１０内の燃料圧によって、圧力肩部１１への液圧的な力
も生じ、この液圧的な力は圧力ピン６の閉鎖力に抗して
作用する。圧力ピン６の、燃焼室とは反対側の端面２８
が、圧力肩部１１よりも大きな軸方向作用面を有してい
るので、弁部材５への燃焼室方向に作用する液圧的な力
が優位となり、従って弁部材５は閉鎖位置に停止する。
噴射動作の初めにマグネット弁３０が制御室２６の排出
絞り２４を開放し、よって燃料が制御室２６から排出で
きる。排出絞り２４は、供給絞り２２よりも小さな流れ
抵抗を有しているので、制御室２６内の燃料圧は低下す
る。これによって圧力ピン６の燃焼室とは反対側の端面
２８への液圧的な力も、圧力肩部１１への液圧的な力よ
り小さくなるまで減少する。圧力肩部１１への液圧的な
力により、弁部材５は燃焼室から離れる方向に移動し、
弁シール面１２は弁座１４から持ち上がって離れる。こ
れによって圧力ピン６も、その端面２８が案内孔１３の
燃焼室とは反対側の端部に接触し、弁部材５の開放行程
運動を制限するまで、燃焼室から離れる方向に移動す
る。弁シール面１２の上昇により、少なくとも１つの噴
射開口１６は圧力室１０に接続し、燃料は噴射開口１６
を介して燃焼室に噴射される。この場合、噴射動作の
間、燃料は燃料高圧室５０から高圧導管５２を介し供給
通路８を通って圧力室１０に流れ、従って圧力室１０内
における燃料圧は高いレベルにとどまる。噴射動作の最
後は、マグネット弁３０が排出絞り２４を閉鎖すること
によって導入される。これによって、制御室２６におけ
る燃料圧が供給通路８内の圧力に上昇するまで、燃料が
供給絞り２２を介して制御室２６に流入できる。燃焼室
とは反対側の、圧力ピン６の端面２８への液圧的な力
が、再び圧力肩部１１への液圧的な力を上回ることによ
り、圧力ピン６は燃焼室に向かって移動させられ、これ
により弁部材５はその弁シール面１２で弁座１４に押し
当たり、再び少なくとも１つの噴射開口１６を閉鎖す
る。

【００１５】図２には、弁保持体１と弁体３との接触面
を通る供給通路８の貫通部の領域における、燃料噴射弁
の拡大図が示されている。弁保持体１の接触面１０１の
付近に、しかし弁保持体１から間隔をおいて、半径方向
の拡張部４０が供給通路８内に形成されており、同様に
弁体３内を延びる、供給通路８の区分においても弁体３
の接触面１０３の付近に拡張部４０が形成されている。
供給通路８内の圧力により、半径方向の拡張部４０の壁
面に対し、力成分が半径方向にも、供給通路８の長手方
向軸に関して軸方向にも作用する。半径方向に作用する
力は、左右対称により相互に相殺され、せいぜいのとこ
ろ半径方向の拡張部４０の、技術的には問題にならない
わずかな半径方向の拡大しか引き起こさない。これに対
して、軸方向に作用する供給通路８の力は、半径方向の
拡張部４０の軸方向の拡大を引き起こす。弁保持体１内
に形成された半径方向の拡張部４０において、弁体３側
の圧力肩部１４０は、弁体３の方向に押し付けられる。
同様のことが弁体３において、弁体３内に形成された半
径方向の、ここでは弁保持体１側を向いた、圧力肩部１
４０を有する拡張部４０にも起こる。これにより弁保持
体１の端面１０１と弁体３の端面１０３とは、供給通路
８の貫通部の領域において互いに向かって押し付けら
れ、従って貫通位置における供給通路８の確実なシール
が達成される。弁保持体１と弁体３との押圧力をこのよ
うに液圧的に強化することにより、緊定ナット４の力を
減少させることができ、このことは燃料噴射弁全体の変
形を、より少なくする。半径方向の拡張部４０への供給
通路８の移行部４２は、有利な形式では丸く面取りされ
て形成されている。このことによって角張った移行部に
おけるよりも渦流が少なくなり、燃料は妨げられること
なく半径方向の拡張部を通って流れることができる。

【００１６】図１に図示された燃料噴射弁の代わりに選
択的に、弁体３を中間ディスクを介して、軸方向で弁保
持体１に圧着することも可能である。この場合、本発明
による半径方向の拡張部は、供給通路８のそれぞれの通
路に２つの弁体部分の接触面を通って形成されうる。弁
保持体１を、複数の弁体部分から形成することも可能で
あり、これによって本発明による半径方向の拡張部は、
これらの弁体部分の供給通路の貫通位置においても形成
される。

【００１７】本発明による半径方向の拡張部が、所定の
圧力レベルをもつ燃料高圧室に接続されない燃料噴射弁
の供給通路８内で形成されるということも可能である。
例え噴射動作が供給通路８内の圧力レベルを介して制御
される場合、つまり供給通路８内の圧力が噴射動作の間
一定でない場合でも、相当な半径方向の拡張部４０によ
り、供給通路８の貫通位置の領域における高められた押
圧力が生じる。

【００１８】本発明による半径方向の拡張部４０を、１
つの弁体部分においてのみ形成することも可能である。
このような場合でも、２つの弁体部分の接触面を通る供
給通路８の貫通部の領域における押圧力は上昇させられ
る。この実施形式は、例として弁体部分（例えば弁体３
と弁保持体１との間に配置された中間ディスク）が、本
発明による半径方向の拡張部４０をその中に形成するに
は薄すぎる場合に有効である。

【００１９】半径方向の拡張部４０の半径方向の最大の
大きさは、有利には供給通路８の直径の、約１．５から
２．５倍までであり、特に約２倍が有利である。半径方
向の拡張部４０の、端面１０１もしくは端面１０３まで
の軸方向の間隔は、軸方向の十分に大きな押圧力を達成
するには、この場合２ｍｍより小さくすることが望まし
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による燃料噴射弁の実施例を示す図であ
る。

【図２】２つの弁体部分の接触面を通る供給通路の、貫
通領域の拡大図である。

【図３】図２で示された部分図の、半径方向の拡張部の
領域の、その他の拡大図である。

【符号の説明】

１ 弁保持体、 ３ 弁体、 ４ 緊定ナット、 ５
弁部材、 ６ 圧力ピン、 ７ 孔、 ８ 供給通路、
１０ 圧力室、 １１ 圧力肩部、 １２弁シール
面、 １３ 案内孔、 １４ 弁座、 １６ 噴射開
口、 ２０ 燃料接続部、 ２２ 供給絞り、 ２４
排出絞り、 ２６ 制御室、 ２８ 端面、 ３０ マ
グネット弁、 ４０ 拡張部、 ４２ 移行部、 ５０
燃料高圧室、 ５２ 高圧導管、 ５４ 供給導管、
６０ 燃料タンク、 １０１ 端面、 １０３ 端
面、 １４０ 圧力肩部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｆ０２Ｍ 51/06 Ｆ０２Ｍ 51/06 Ｔ 61/16 61/16 Ａ Ｋ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のための燃料噴射弁であって、
   少なくとも２つの弁体部分（１；３）を有しており、こ
   れらの弁体部分のそれぞれの接触面（１０１；１０３）
   が少なくとも１つの他の弁体部分（１；３）に接触して
   いて、装置（４）により互いに押し付けられ、前記弁体
   部分（１；３）内に供給通路（８）が形成されており、
   該供給通路（８）が接触面（１０１；１０３）を通って
   １つの弁体部分（１）から該弁体部分に接触している他
   方の弁体部分（３）に貫通しており、弁体部分（１；
   ３）の接触面（１０１；１０３）が供給通路（８）の貫
   通部のまわりの領域において互いに接触していて、該領
   域においてシール面を形成している形式のものにおい
   て、少なくとも１つの弁体部分（１；３）の供給通路
   （８）における少なくとも１つの位置に、弁体部分
   （１；３）の接触面（１０１；１０３）から間隔をおい
   て半径方向の拡張部（４０）が形成されていることを特
   徴とする、内燃機関のための燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 供給通路（８）における少なくとも１つ
   の半径方向の拡張部（４０）が、弁体部分（１；３）の
   接触面（１０１；１０３）の近くで形成されている、請
   求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 半径方向の拡張部（４０）と、弁体部分
   （１；３）の接触面（１０１；１０３）との間隔が、２
   ｍｍ未満である、請求項１または２記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 半径方向の拡張部（４０）が、環状のリ
   ング溝として供給通路（８）に形成されている、請求項
   １から３までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 リング溝として形成された半径方向の拡
   張部（４０）が、丸く面取りされた断面を有する、請求
   項４記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 半径方向の拡張部（４０）の直径が、供
   給通路（８）の直径の１．５から２．５倍、有利には約
   ２倍を最大とする、請求項１から５までのいずれか１項
   記載の燃料噴射弁。