JP3734950B2 - 水素吸蔵合金を利用した熱利用システム - Google Patents

水素吸蔵合金を利用した熱利用システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせて、水素の放出時に生じる吸熱作用を利用して冷熱を得る、あるいは水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して温熱を得る水素吸蔵合金を利用した熱利用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムを、図12を用いて説明する。
水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクルJ1 は、水素吸蔵合金J2 の加熱、放熱および冷熱出力を得るためにシェル&チューブタイプの熱交換器を用いていた。
この従来技術で示すヒートポンプサイクルJ1 は、4つのシェル&チューブタイプの熱交換器J3 〜J6 を用いたもので、各熱交換器J3 〜J6 は水素吸蔵合金J2 と熱媒体とが熱交換可能に設けられている。第1、第2熱交換器J3 、J4 の水素吸蔵合金J2 は水素通路を介して連通し、第3、第4熱交換器J5 、J6 の水素吸蔵合金J2 も水素通路を介して連通して設けられている。
【0003】
作動は、第1熱交換器J3 に加熱用の熱媒体を供給するとともに、第2熱交換器J4 に放熱用の熱媒体を供給する。すると、第1熱交換器J3 の水素が放出されて第2熱交換器J4 に吸蔵される。つまり、水素駆動が行われる。
次に、第1熱交換器J3 に供給していた加熱用の熱媒体を、放熱用の熱媒体に切り替えて供給するとともに、第2熱交換器J4 に供給していた放熱用の熱媒体を、冷熱出力用の熱媒体に切り替えて供給する。すると、第1熱交換器J3 が水素を吸蔵し、第2熱交換器J4 が水素を放出する。この第2熱交換器J4 が水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却される。つまり、冷熱出力が得られる。
そして、上記のサイクルを繰り返す。
【0004】
一方、第2熱交換器J4 から冷熱出力を得ている時は、第3熱交換器J5 に加熱用の熱媒体を供給するとともに、第4熱交換器J6 に放熱用の熱媒体を供給する。すると、第3熱交換器J5 の水素が放出されて第4熱交換器J6 に吸蔵される。つまり、第1、第2熱交換器J3 、J4 で冷熱出力を得ている時は、第3、第4熱交換器J5 、J6 で水素駆動が行われる。
次に、第3熱交換器J5 に供給していた加熱用の熱媒体を、放熱用の熱媒体に切り替えて供給するとともに、第4熱交換器J6 に供給していた放熱用の熱媒体を、冷熱出力用の熱媒体に切り替えて供給する。すると、第3熱交換器J5 が水素を吸蔵し、第4熱交換器J6 が水素を放出する。この第4熱交換器J6 が水素を放出する時、冷熱出力用の熱媒体が冷却される。つまり、第1、第2熱交換器J3 、J4 で水素駆動が行われている時は、第3、第4熱交換器J5 、J6 で冷熱出力が得られる。
そして、上記のサイクルを繰り返す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
水素吸蔵合金が封入される容器(上記の従来技術ではチューブ)の表面を熱媒体が流れて、容器を介して熱媒体と水素吸蔵合金との熱交換が行われるが、容器の熱媒体と触れる部分は平滑であったため、熱媒体と水素吸蔵合金との熱交換効率が悪かった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、容器に触れる熱媒体と容器内の水素吸蔵合金との熱交換効率を向上させることのできる水素吸蔵合金を利用した熱利用システムの提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、上記の目的を達成するために、次の技術的手段を採用した。
(請求項1の手段)
水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、または水素の吸蔵時の放熱を利用したものであって、
内部に水素吸蔵合金を封入した容器の熱媒体と接触する部分には、凹凸が設けられ
前記凹凸は、前記容器に接合される凹凸形成部材によって形成され、
前記凹凸形成部材は、パンチングメタルであることを特徴とする。
【0011】
(請求項の手段)
水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、または水素の吸蔵時の放熱を利用したものであって、
内部に水素吸蔵合金を封入した容器の熱媒体と接触する部分には、凹凸が設けられ、
前記容器は、偏平な容器形状に設けられ、前記容器を構成する一方の面は凹凸を混成した状態で設けられ、前記一方の面に対向する他方の面は前記一方の面の凹凸形状に沿う凹凸に設けられたことを特徴とする。
【0012】
【発明の作用および効果】
(請求項1の作用および効果)
熱媒体と接触する部分に凹凸が設けられたことにより、容器の表面を流れる熱媒体に乱流が生じる、あるいは容器の表面積が増大する。この結果、熱媒体と容器との接触する機会が増大する、あるいは接触面積が増大することにより、熱伝達量が増えるため、容器の表面を流れる熱媒体と容器内の水素吸蔵合金との熱交換効率が向上する。
また、容器の表面に凹凸形成部材を接合して容器の表面に凹凸を設けているため、生産性に優れる。
さらに、凹凸形成部材としてパンチングメタルを用いたことにより、表面に凹凸を備える容器を安価に製造できる。
【0016】
(請求項の作用および効果)
熱媒体と接触する部分に凹凸が設けられたことにより、容器の表面を流れる熱媒体に乱流が生じる、あるいは容器の表面積が増大する。この結果、熱媒体と容器との接触する機会が増大する、あるいは接触面積が増大することにより、熱伝達量が増えるため、容器の表面を流れる熱媒体と容器内の水素吸蔵合金との熱交換効率が向上する。
一方、容器は、内部の水素吸蔵合金と、外部の熱媒体とを仕切る容器であるため、熱の伝達性を向上させるべく、可能な限り容器板厚を薄くする要求がある。しかし、セルの製造時における水素吸蔵合金の活性化のための真空引きや、水素の高圧充填、およびセル使用時における加熱による高圧化のため、容器には高圧および低圧に対する耐圧要求があり、耐圧確保のために容器板厚を薄くできない不具合があった。
【0017】
そこで、容器を偏平に設けるとともに、一方の面を凸状に設け、対向する他方の面を凹状に設ける技術を考えてみた場合、真空引き時の低圧下、および水素充填時や使用時の高圧下において、対向する面に引っ張り応力と圧縮応力がかかって応力が打消合い、各容器の変形が小さく抑えられ、結果的に耐圧性が向上し、容器板厚を薄くできることを見出した。
この技術をさらに発展させ、一方の面の凸の曲率および他方の面の凹の曲率を小さくして耐圧性を向上させ、容器板厚をさらに薄くしようとした場合、容器の凸方向の高さ寸法が大きくなってしまう。すると、容器への水素吸蔵合金の装填が困難になり、水素吸蔵合金の装填量が限定されてしまう。
【0018】
そこでさらに、偏平な容器の一方の面に凹凸を混成させ、その一方の面に対向する他方の面に、一方の面の凹凸形状に沿う凹凸形状を設けた。この結果、凹凸の曲率が小さくでき、耐圧性が向上し、容器板厚を薄くできる。また、1つの容器に凹凸が混成した状態であるため、凹凸方向の寸法を小さくできる。この結果、水素吸蔵合金の装填量が規制されずに済む。
つまり、容器を凹凸に設けたことにより容器の表面積が増えて容器の表面を流れる熱媒体と容器内の水素吸蔵合金との熱交換効率が向上するとともに、水素吸蔵合金の装填量が規制されずに容器の容器板厚が薄くでき、この結果からも水素吸蔵合金と熱媒体との熱交換効率が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、実施例および変形例に基づき説明する。
〔第1実施例の構成〕
第1実施例は、本発明の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムを室内空調用の冷房装置に適用したもので、この第1実施例を図1ないし図8を用いて説明する。
【0020】
(冷房装置1の概略説明)
本実施例の冷房装置1の概略構成を、図5を用いて説明する。この実施例では、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2の一例として2段式サイクルを用いた。
【0021】
本実施例の適用される冷房装置1は、大別して、水素吸蔵合金を用いたヒートポンプサイクル2と、水素吸蔵合金を加熱する加熱水(加熱用の熱媒体に相当する、本実施例では水)を作り出す燃焼装置3と、水素吸蔵合金を冷却させる放熱水(放熱用の熱媒体に相当する、本実施例では水)を放熱によって冷却する放熱水冷却手段4と、水素吸蔵合金の水素放出作用によって生じた吸熱によって冷却された冷熱出力水(冷熱出力用の熱媒体に相当する、本実施例では水)で室内を空調する室内空調機5と、搭載された各電気機能部品を制御する制御装置6とから構成される。
【0022】
なお、ヒートポンプサイクル2、燃焼装置3、放熱水冷却手段4および制御装置6は、室外機7として室外に設置されるもので、室内には室内空調機5が配置される。また、本実施例に示す冷房装置1は、1つの室外機7に対して、複数の室内空調機5が接続可能な所謂マルチエアコンである。
【0023】
(ヒートポンプサイクル2の説明)
本実施例のヒートポンプサイクル2は、上述のように2段式サイクルを用いたもので、図6に示すように、水素吸蔵合金が封入された上段容器S1 、この上段容器S1 内に水素通路S4 を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された中段容器S2 、中段容器S2 内に水素通路S4 を介して連通し、水素吸蔵合金が封入された下段容器S3 を備えたセルSを複数用いる。なお、この実施例では、12〜18個のセルSを用いた。
【0024】
水素吸蔵合金は、水素平衡圧力が異なる3種を用いたもので、上段容器S1 内には同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金(以下、高温合金HM)の粉末を封入し、中段容器S2 内には中温度水素吸蔵合金(以下、中温合金MM)の粉末を封入し、下段容器S3 内には同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金(以下、低温合金LM)の粉末を封入したものである。
このことを図8のPT冷凍サイクル線図を用いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側にあるのが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MMである。
【0025】
1つのセルSは、ステンレスあるいは銅など、水素透過の無い金属を用いて、真空ろう付けや溶接等の接合方法により容器S1 、S2 、S3 を偏平容器の最中状に成形し、これらを水素通路S4 が形成された棒状の連結部S5 によって結合した後に、容器S1 、S2 、S3 の内部に粉末状の水素吸蔵合金を充填し、真空引きを行ったのち、活性化処理を施し、水素を高圧充填して開口部に金属蓋をして溶接により密封したものである。
【0026】
各容器S1 、S2 、S3 は、上述のように偏平形状に設けられるとともに、図3に示すように、各容器S1 、S2 、S3 の対向面間に亘って多数の耐圧柱aを配設し、対向面と耐圧柱aとが接合されている。
本実施例に示す耐圧柱aは、耐引張応力、耐圧縮応力に優れた金属製(例えば銅、アルミニウム、ステンレス等)のオフセットフィンF(あるいはコルゲートフィン)によって構成される。各容器S1 、S2 、S3 の内壁とオフセットフィンFとの接合は、ろう付け等の接合技術で接合されたもので、本実施例では容器を形成する際に、一体ろう付けされたものである。なお、本実施例では、熱伝導性向上のために、耐圧柱aを熱伝導性に優れた金属である銅によって形成している。また、また、本実施例では、オフセットフィンF(あるいはコルゲートフィン)を2層積層固着したものを用いているが、1層あるいは3層以上であっても良い。
【0027】
各容器S1 、S2 、S3 の対向面を多数の耐圧柱aを介して接合したことにより、各容器の内部に封入された水素吸蔵合金に水素を付与するための真空引きや水素の高圧充填を行っても、多数の耐圧柱aが対向面の距離を一定に保つため、容器の変形が抑えられる。また、耐圧柱aにオフセットフィンFを用いることにより、水素吸蔵合金と耐圧柱aとの接触面積を大きくでき、熱媒体と水素吸蔵合金との熱交換面積が拡大化する。
このように、耐圧柱aは、容器S1 、S2 、S3 の変形防止と、熱交換面積の拡大化の効果を兼用している。
【0028】
また、偏平形状を呈する各容器S1 、S2 、S3 は、回転軸8の周囲に巻き付けられた状態に設けられている。このため、各容器の一方の面が凸状に湾曲するとともに、対向する他方の面が凹状に湾曲している。このように、各容器の対向面を同方向に湾曲して設けることにより、真空引き時の低圧下、および水素充填時の高圧下において、各容器の対向面に引っ張り応力と圧縮応力がかかり、この結果からも各容器の変形が小さく抑えられる。
複数のセルSは、略円柱形状を呈する回転軸8の周囲に複数のセルSの各連結部S5 が固定されている。この回転軸8は、図示しないセル移動手段によって回転駆動されるもので、このセル移動手段は、例えばモータで、ゆっくりと連続的に複数のセルSを回転させるものである(例えば、1時間に20周ほど)。
【0029】
各容器S1 、S2 、S3 の表面には凹凸が設けられ、表面に沿って流れる熱媒体を乱流にするように設けられている。この凹凸は、容器の表面に接合される凹凸形成部材によって形成されるもので、本実施例の凹凸形成部材は、図1および図2に示すパンチングメタルPMを用いている。このパンチングメタルPMは、熱伝導性の高い銅板(例えば、板厚0.3mm)に多数の長穴PM1 (例えば、幅2mm、長さ25mm)を開けたもので、ろう付けによってパンチングメタルPMの全面が容器の表面に接合される。パンチングメタルPMの長穴PM1 部分が凹部になり、長穴PM1 以外の部分が凸部になる。長穴PM1 の長手方向は、熱媒体の流れ方向に対して直角方向にのびて設けられている。
なお、容器S1 、S2 、S3 の材料として熱伝導性にあまり優れないステンレス板を使用した場合は、使用するステンレス板としてより薄板を用い、その表面に熱伝導性の高い銅等のパンチングメタルPMをろう付けによって接合して容器自体の熱伝導性を向上させて熱交換ロスを低減させると良い。
【0030】
各容器S1 、S2 、S3 は、図3および図4に示すようにデバイダー9によって覆われている。このデバイダー9は、熱媒体を各容器に沿って流すことによって熱媒体の放熱ロスを減少させるとともに、熱媒体の流速を速くして熱交換量を増大させることで熱交換効率をアップさせるもので、さらにセルSが後述する水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γに移動する境界において容器の対向面が異なった熱媒体に触れる不具合を回避して熱交換効率をアップさせるものである。
このデバイダー9は、各容器S1 、S2 、S3 を覆うもので、断熱性に優れた樹脂材料等によって設けられている。このデバイダー9の内面には、熱媒体を容器に沿って流す熱媒体通路9aが形成されている。この熱媒体通路9aは、略溝状に設けられたもので、熱媒体の流速を速くするために、浅く設けられている。また、デバイダー9の外端と中心側上部には、熱媒体通路9aへ熱媒体の供給を行うとともに、熱媒体通路9aを通過した熱媒体を排出する給排口9bが設けられている。
なお、この実施例では、外端の給排口9bが熱媒体を熱媒体通路9aへ供給する供給口であり、中心側の給排口9bが熱媒体通路9aを通過した熱媒体を外部へ排出する排出口である。
【0031】
2段式サイクルのヒートポンプサイクル2は、図6に示すように、上段容器S1 内の水素を強制的に下段容器S3 内に移動させる水素駆動部αと、下段容器S3 内に移動した水素を中段容器S2 に移動させる第1冷熱出力部βと、中段容器S2 内に移動した水素を上段容器S1 に移動させる第2冷熱出力部γとを備える。
なお、水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γは、略120°間隔に設けられたもので、後述する凹部M1 、M2 の配置によって区画されている。
【0032】
水素駆動部αは、上段容器S1 と接触する加熱水(例えば80℃ほど)が供給される加熱域α1 、中段容器S2 と接触する昇圧水(例えば56℃ほど)が供給される中段昇圧域α2 、下段容器S3 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される下段放熱域α3 を備える。
第1冷熱出力部βは、上段容器S1 と接触する昇圧水(例えば58℃ほど)が供給される上段昇圧域β1 、中段容器S2 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される中段放熱域β2 、下段容器S3 と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほど)が供給される下段冷熱出力域β3 を備える。
第2冷熱出力部γは、上段容器S1 と接触する放熱水(例えば28℃ほど)が供給される上段放熱域γ1 、中段容器S2 と接触する冷熱出力水(例えば13℃ほど)が供給される中段冷熱出力域γ2 を備える。なお、第2冷熱出力部γにおいて下段容器S3 と接触する熱媒体の温度は不問であり、その部分を不問域γ3 とする。
【0033】
そして、図示しないセル移動手段により回転軸8が回転することにより、上段容器S1 の群が加熱域α1 →上段昇圧域β1 →上段放熱域γ1 を循環するものであり、中段容器S2 の群が中段昇圧域α2 →中段放熱域β2 →中段冷熱出力域γ2 を循環するものであり、下段容器S3 の群が下段放熱域α3 →下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 を循環するものである。
【0034】
上段容器S1 の群は、上段水槽K1 に覆われ、内部に加熱域α1 、上段昇圧域β1 、上段放熱域γ1 が設けられている。また、中段容器S2 の群は、中段水槽K2 に覆われ、内部に中段昇圧域α2 、中段放熱域β2 、中段冷熱出力域γ2 が設けられている。さらに、下段容器S3 の群は、下段水槽K3 に覆われ、内部に下段放熱域α3 、下段冷熱出力域β3 、不問域γ3 が設けられている。
【0035】
上段水槽K1 、中段水槽K2 、下段水槽K3 は、連続的に繋がって設けられた水槽K(例えば、樹脂製の容器)で、この水槽Kには、図7に示すように、上、中、下段水槽K1 、K2 、K3 内に熱媒体を給排する16本の熱媒体配管10が接続されている。具体的には、上段水槽K1 には加熱域α1 、上段昇圧域β1 、上段放熱域γ1 のための6本の熱媒体配管10が接続され、中段水槽K2 には中段昇圧域α2 、中段放熱域β2 、中段冷熱出力域γ2 のための6本の熱媒体配管10が接続され、下段水槽K3 には下段放熱域α3 、下段冷熱出力域β3 のための4本の熱媒体配管10が接続されている。
【0036】
上、中、下段水槽K1 、K2 、K3 には、熱媒体配管10によって供給される熱媒体を、水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γの上、中、下各域内のデバイダー9の外端の給排口9bに導く凹部M1 が設けられるとともに、中心側の給排口9bから排出される熱媒体を収集させる凹部M2 が設けられており、この凹部M1 、M2 の配置および長さにより略120°間隔の水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γが決定される。
各デバイダー9に設けられた給排口9bは、凹部M1 、M2 が設けられていない水槽Kの内壁に接触、あるいは接近して回転し、凹部M1 、M2 が設けられていない水槽Kの内壁が水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γの仕切りとなっている。
なお、この実施例では、図6に示すように熱媒体を、外側の給排口9b→熱媒体通路9a→中心側の給排口9bに流す例を示すが、逆に中心側から外側へ流しても良い。
【0037】
(ヒートポンプサイクル2における上記以外の構成部品の説明)
図5に示す符号11は、上段昇圧域β1 と中段昇圧域α2 とに昇圧水を循環させる昇圧水循環路で、途中に設けられた昇圧水循環ポンプP1 ’によって昇圧水が循環する。なお、昇圧水は、加熱域α1 で温度上昇した上段容器S1 、上段水槽K1 からの伝熱により温度上昇した水を用いたもので、ヒートポンプサイクル2の作動中、上段昇圧域β1 の昇圧水の温度は例えば58℃程で、中段昇圧域α2 の昇圧水の温度は例えば56℃程になる。
【0038】
(燃焼装置3の説明)
本実施例の燃焼装置3は、燃料であるガスを燃焼して熱を発生させ、発生した熱によって加熱水を加熱するガス燃焼装置を用いたもので、ガスの燃焼を行うガスバーナ12、このガスバーナ12へガスの供給を行うガス量調節弁13およびガス開閉弁14を備えたガス供給回路15、ガスバーナ12へ燃焼用の空気を供給する燃焼ファン16、ガスの燃焼熱と加熱水とを熱交換する熱交換器17等から構成される。
そして、ガスバーナ12のガス燃焼で得られた熱で、加熱水を例えば80℃程に加熱し、加熱された加熱水を加熱水循環ポンプP1 を備えた加熱水循環路18を介して加熱域α1 に供給するものである。
なお、本実施例の加熱水循環ポンプP1 は、昇圧水循環ポンプP1 ’を駆動する兼用のモータによって駆動されるタンデムポンプである。このため、燃焼装置3から加熱水がヒートポンプサイクル2に供給される際は、昇圧水も循環作動するように設けられている。
【0039】
(室内空調機5の説明)
室内空調機5は、上述のように室内に配置されるもので、内部に室内熱交換器19、この室内熱交換器19に供給される冷熱出力水と室内空気とを強制的に熱交換し、熱交換後の空気を室内に吹き出させるための室内ファン20を備える。室内熱交換器19には、下段冷熱出力域β3 および中段冷熱出力域γ2 から供給される冷熱出力水を循環させる冷熱出力水循環路21が接続され、この冷熱出力水循環路21の途中(室外機7内)には、冷熱出力水を循環させる冷熱出力水ポンプP2 が設けられている。
【0040】
(放熱水冷却手段4の説明)
放熱水冷却手段4は、水冷開放型の冷却塔であり、この放熱水冷却手段4によって冷却された放熱水は、放熱水循環ポンプP3 を備えた放熱水循環路22によって下段放熱域α3 、中段放熱域β2 、上段放熱域γ1 に供給される。
放熱水冷却手段4は、下段放熱域α3 、中段放熱域β2 、上段放熱域γ1 を通過した放熱水を、上方から下方へ流し、流れている間に外気と熱交換して放熱するとともに、流れている間に一部蒸発させて、蒸発時に流れている放熱水から気化熱を奪い、流れている放熱水を冷却するものである。また、この放熱水冷却手段4は、図示しない放熱ファンを備え、この放熱ファンの生じる空気流によって放熱水の蒸発および冷却を促進するように設けられている。
なお、この実施例では、放熱水冷却手段4として水冷開放型の冷却塔を示したが、放熱水(放熱用の熱媒体)が空気に触れずに熱交換する水冷密閉型あるいは空冷密閉型の冷却手段を用いても良い。
【0041】
ここで、上記に示す加熱水循環路18、冷熱出力水循環路21および放熱水循環路22は、それぞれシスターンT1 、T2 、T3 を備えており、シスターンT1 、T2 、T3 内の水位が所定水位以下に低下すると、それぞれに設けられた給水バルブT4 、T5 、T6 が開き、給水管23から供給される水道水をシスターンT1 、T2 、T3 内に補充するように設けられている。
また、ヒートポンプサイクル2の下部にはドレンパンPが配置され、ヒートポンプサイクル2に発生したドレン水を排水管24から排水するように設けられている。なお、放熱水冷却手段4で溢れた水も排水管24から排水するように設けられている。
【0042】
(制御装置6の説明)
制御装置6は、室内空調機5に設けられたコントローラ(図示しない)からの操作指示や、複数設けられた各センサの入力信号に応じて、上述の加熱水循環ポンプP1 (昇圧水循環ポンプP1 ’)、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプP3 、給水バルブT4 、T5 、T6 、放熱水冷却手段4の放熱ファンなどの電気機能部品、および燃焼装置3の電気機能部品(燃焼ファン16、ガス量調節弁13、ガス開閉弁14、図示しない点火装置等)を制御するとともに、室内空調機5に室内ファン20の作動指示を与えるものである。
【0043】
(冷房運転の作動説明)
上記の冷房装置1による冷房運転の作動を、図8のPT冷凍サイクル線図を参照して説明する。
冷房運転が室内空調機5のコントローラによって指示されると、制御装置6によって、燃焼装置3、セル移動手段、放熱ファンおよび加熱水循環ポンプP1 (昇圧水循環ポンプP1 ’)、冷熱出力水ポンプP2 、放熱水循環ポンプP3 が作動するとともに、冷房が指示された室内空調機5の室内ファン20をONする。
【0044】
セル移動手段によって、複数のセルSがゆっくりと連続的に回転移動する。これによって、複数のセルSが、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γの順で移動する。
つまり、各上段容器S1 が加熱域α1 →上段昇圧域β1 →上段放熱域γ1 の順で移動し、各中段容器S2 が中段昇圧域α2 →中段放熱域β2 →中段冷熱出力域γ2 の順で移動し、各下段容器S3 が下段放熱域α3 →下段冷熱出力域β3 →不問域γ3 の順で移動する。
【0045】
水素駆動部αへ進入したセルSは、上段容器S1 が加熱水に触れ、中段容器S2 が昇圧水に触れ、下段容器S3 が放熱水に触れる。
上段容器S1 が加熱水(80℃)に触れることにより、上段容器S1 の内圧が上昇し、高温合金HMが水素を放出する。
中段容器S2 が昇圧水(56℃)に触れることにより、中段容器S2 の内圧が中温合金MMが水素を吸蔵しない圧力まで上昇する。
下段容器S3 が放熱水(28℃)に触れることにより、下段容器S3 の内圧が下がり、低温合金LMが水素を吸蔵する。
【0046】
このように、上段容器S1 が加熱域α1 で加熱水に触れ、中段容器S2 が中段昇圧域α2 で昇圧水に触れ、下段容器S3 が下段放熱域α3 の放熱水に触れることにより、上段容器S1 内が80℃:1.0MPa、中段容器S2 内が56℃:1.0MPa、下段容器S3 内が28℃:0.9MPaとなり、上段容器S1 の高温合金HMが水素を放出し(図8の▲1▼)、下段容器S3 の低温合金LMが水素を吸蔵する(図8の▲2▼)。なお、中段容器S2 は昇圧水によって加熱されて内圧が高く、中温合金MMは水素の吸蔵は行わない。
そして、水素駆動部αを通過したセルSは、その後第1冷熱出力部βへ移動する。
【0047】
第1冷熱出力部βへ進入したセルSは、上段容器S1 が昇圧水に触れ、中段容器S2 が放熱水に触れ、下段容器S3 が冷熱出力水に触れる。
上段容器S1 が昇圧水(58℃)に触れることにより、上段容器S1 の内圧が高温合金HMが水素を吸蔵しない圧力まで上昇する。
中段容器S2 が放熱水(28℃)に触れることにより、中段容器S2 の内圧が下がり、中温合金MMが水素を吸蔵し、下段容器S3 の低温合金LMが水素を放出する。
低温合金LMが水素を放出するため、下段容器S3 内で吸熱が生じ、下段容器S3 に触れる冷熱出力水が例えば入水時13℃のものが7℃まで冷やされる。なお、低温合金LMは、冷熱出力水が13℃くらいでは、下段容器S3 の内圧が中段容器S2 の内圧より高くなるように設けられている。
【0048】
このように、上段容器S1 が上段昇圧域β1 で昇圧水に触れ、中段容器S2 が中段放熱域β2 で放熱水に触れ、下段容器S3 が下段冷熱出力域β3 の冷熱出力水に触れることにより、上段容器S1 内が58℃:0.5MPa、中段容器S2 内が28℃:0.4MPa、下段容器S3 内が13℃:0.5MPaとなり、下段容器S3 の低温合金LMが水素を放出し(図8の▲3▼)、中段容器S2 の中温合金MMが水素を吸蔵する(図8の▲4▼)。下段容器S3 の低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用により下段容器S3 に触れる冷熱出力水から熱を奪い冷熱出力水の温度を低下させる。なお、上段容器S1 は、昇圧水によって加熱されて内圧が高く、高温合金HMは水素の吸蔵は行わない。
そして、第1冷熱出力部βを通過したセルSは、その後第2冷熱出力部γへ移動する。
【0049】
第2冷熱出力部γへ進入したセルSは、上段容器S1 が放熱水に触れ、中段容器S2 が冷熱出力水に触れ、下段容器S3 が不問水に触れる。
上段容器S1 が放熱水(28℃)に触れることにより、上段容器S1 の内圧が下がり、高温合金HMが水素を吸蔵し、中段容器S2 の中温合金MMが水素を放出する。
中温合金MMが水素を放出するため、中段容器S2 内で吸熱が生じ、中段容器S2 に触れる冷熱出力水が例えば13℃のものが7℃まで冷やされる。なお、中温合金MMは、冷熱出力水が13℃くらいでは、中段容器S2 の内圧が上段容器S1 の内圧より高くなるように設けられている。
【0050】
このように、上段容器S1 が上段放熱域γ1 で放熱水に触れることにより、上段容器S1 内が28℃:0.1MPa、中段容器S2 内が13℃:0.2MPa、下段容器S3 内は不問状態となり、中段容器S2 の中温合金MMが水素を放出し(図8の▲5▼)、上段容器S1 の高温合金HMが水素を吸蔵する(図8の▲6▼)。中段容器S2 の中温合金MMが水素を放出する際、吸熱作用により中段容器S2 に触れる冷熱出力水から熱を奪い冷熱出力水の温度を低下させる。なお、下段容器S3 の温度は無関係で、下段容器S3 の低温合金LMは水素の吸蔵は行わない。
そして、第2冷熱出力部γを通過したセルSは、その後水素駆動部αへ移動する。
【0051】
なお、ヒートポンプサイクル2の下段冷熱出力域β3 および中段冷熱出力域γ2 で熱を奪われた低温の冷熱出力水は、冷熱出力水循環路21を介して室内空調機5の室内熱交換器19に供給されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0052】
〔実施例の効果〕
各容器S1 、S2 、S3 の表面には、パンチングメタルPMを接合して設けた多数の凹凸によって、各容器S1 、S2 、S3 の表面を流れる熱媒体に乱流が生じる。この結果、各容器S1 、S2 、S3 の表面に向かう熱媒体の流れが形成されて、熱媒体と容器との接触する機会が増え、熱媒体と容器との熱伝達量が増えることによって、各容器S1 、S2 、S3 内の合金LM、MM、HMとの熱交換効率が向上する。また、パンチングメタルPMによる凹凸によって、各容器S1 、S2 、S3 の表面積が増え、容器の表面と熱媒体との接触面積が増えて熱媒体と容器との熱伝達量が増えることによって、熱交換効率が向上する。
各容器S1 、S2 、S3 にパンチングメタルPMを接合することで、容器の表面に凹凸を設けているため、容器自体を加工して凹凸を形成するより、容易かつ安価に製造できるため、容器の生産性に優れる。
【0053】
〔第2実施例〕
図9および図10は第2実施例を示すもので、図9はセルSの斜視図、図10はセルSの断面図である。
上記の実施例では、各容器S1 、S2 、S3 の表面に凹凸を設ける手段として、凹凸形成部材(パンチングメタルPM)を容器の表面に接合して設けた例を示したが、この第2実施例では容器自体に凹凸を設けたものである。具体的に本実施例では、各容器S1 、S2 、S3 は偏平な容器形状に設けられるとともに、容器を構成する一方の面に凹凸を混成した状態で設け、一方の面に対向する他方の面を一方の面の凹凸形状に沿う凹凸に設けたものである。なお、容器の内部には、内部対向面間に接合される多数の耐圧柱(図示しない、コルゲートフィンやオフセットフィン等によってなる)が設けられ、容器の変形を防いでいる。
【0054】
さらに、本実施例のセルSを具体的に説明する。
容器S1 、S2 、S3 および連結部S5 は、図10の(b)に示すように、合金HM、MM、LMをそれぞれ独立して装填する3つの装填室を備えた合金装填部材Saと、水素通路S4 を形成する通路部材Sbとを、各合金装填部材Sa内に水素吸蔵合金を装填した状態で組付け、真空ろう付けや溶接等の接合方法により一体化して形成したもので、一部に設けられた開口部(図示しない)から真空引きを行ったのち、活性化処理を施し、水素を高圧充填して開口部を溶接等により密封したものである。なお、合金装填部材Saおよび通路部材Sbは、ステンレスや銅など、水素透過の無い金属板を用いてプレス加工によって製造したものである。
【0055】
1つのセルSの外形は、図9に示されるもので、各容器S1 、S2 、S3 はそれぞれ偏平容器形状を呈し、各容器S1 、S2 、S3 の一辺が、内部に水素通路S4 を形成する連結部S5 によって連結され、各容器S1 、S2 、S3 および連結部S5 は連続した凹凸形状に設けられている。この凹凸は湾曲した曲面によって構成されるもので、1つの容器を構成する一方の面が凹凸が混成した状態に設けられ、一方の面に対向する他方の面が、一方の面の凹凸形状に平行的に沿う凹凸に設けられたものである。
この凹凸を言い換えて説明すると、1つの容器において、1つ以上の凸部と、1つ以上の凹部とが存在する凹凸混成なものである。具体的な凹凸形状は、図10の(a)に示すように、軸方向(容器の連結方向)のみに設けられたもので、各容器S1 、S2 、S3 において、1つの凸部と2つの凹部とが存在する丸みを帯びた逆W字形に設けられている。
【0056】
このような凹凸を各容器S1 、S2 、S3 や連結部S5 に設けると、セルSの製造時における真空引き時の低圧下や水素充填時、および使用時の高圧下において、対向する面に引っ張り応力と圧縮応力がかかって応力が打消合い、セルSの変形が小さく抑えられ、結果的に耐圧性が向上するため、各容器S1 、S2 、S3 の合金装填部材Saの容器板厚を薄くでき、容器板厚による熱伝導性を向上できる。
また、各容器S1 、S2 、S3 に凹凸を設けたことにより、容器の表面積が増えて、容器と熱媒体との接触面積が増えて、熱伝達量が増大し、容器の表面を流れる熱媒体と容器内の水素吸蔵合金との熱交換効率が向上する。
【0057】
容器S1 、S2 、S3 の凹凸形状は、湾曲した曲面で構成されるため、局部的な応力集中が緩和され、耐圧性が向上し、この技術によっても容器板厚を薄くできる。
複数のセルSは、回転軸8の周りに放射状に集積配置されるが、凹凸ピッチが小さいため、凹凸の曲率を小さくしても凹凸方向(集積方向)の寸法を小さくでき、放射状に配置したセルS同士の干渉が抑えられる。この結果、セルS同士の干渉によりセルSの数を減らす必要がない。
【0058】
なお、この第2実施例では、容器の凹凸の一例として、1つの容器において1つの凸部と2つの凹部を設けた例を示すが、1つの凹部と2つの凸部を設けたり、凹凸のピッチを他のピッチに設けたり、凹凸方向の寸法を他の寸法に設けても良い。
この第2実施例では、容器の凹凸の一例として、セルSの軸方向(例えば、x軸方向とする)に凹凸を設けた例を示したが、水素通路S4 に対して直交方向(例えば、y軸方向とする)に凹凸を設けても良い。つまり、セルSの軸方向から見て容器が凹凸湾曲するように設けても良い。また、x軸、y軸の両軸に凹凸を設けても良い。また、連結部S5 も湾曲させた例を示したが、直線的に設けても良い。
この第2実施例では、凹凸形状を湾曲する曲面に設けた例を示したが、ジグザグなど、直線的に凹凸形状が変化するものであっても良い。
第3実施例として、ゴルフ球のディンプルのような小さな凹凸を多数設けるなどして、容器の表面積を増大させるように設けても良い。
【0059】
〔変形例〕
記の実施例では、各容器の周囲にデバイダー9を設けた例を示したが、デバイダー9を用いなくても良い。
具体的な一例を示すと、図11に示すように、各容器S1 、S2 、S3 を回転軸8の周りに巻き付けられた状態で配置するとともに、容器S1 、S2 、S3 と、隣接する他の容器S1 、S2 、S3 との間に略同幅の隙間を設け、その隙間に熱媒体が流されるように設けても良い。このようにデバイダー9を廃止しても、水槽K内の水素吸蔵合金の分布密度が高まる効果を有するとともに、隙間が略同幅であるため、その隙間を流れる熱媒体の流れが速くなり、水素吸蔵合金と熱交換する熱媒体の熱交換量が増えて、ヒートポンプサイクル2の効率を高めることができる。
【0060】
上記の第1、第2実施例では、複数のセルSをセル移動手段によって連続的に回転させた例を示したが、セルSを間欠的に回転移動させても良い。
上記の実施例では、説明を容易化するために、図面の上下に応じて上段容器S1 、中段容器S2 、下段容器S3 とした例を示したが、上下の配置を変更したり横に配置するなどしても良い。このような場合は、勿論、各容器に供給する各熱媒体もヒートポンプサイクルが成り立つように入れ替える。
【0061】
上記の実施例では、複数のセルSを水槽K内で回転させることで各容器に触れる熱媒体の種類を切り替える例を示したが、複数のセルSを固定し、熱媒体の種類を切り替えて各容器に触れさせるように設けても良い。つまり、例えば、複数のセルSを固定し、回転によって複数の熱媒体を切り替えて出力する回転式の分配器と、分配された複数の熱媒体を再び収集して熱媒体源へ戻す収集器とによって、デバイダー9の内側の熱媒体通路9aに熱媒体の種類を切り替えて供給しても良い。
【0062】
上記の実施例では、冷房運転のみを行う例を示したが、燃焼装置3で加熱された加熱水を室内空調機5の室内熱交換器19に導いて温風吹出による室内暖房を行うように設けても良い。また、室内空調機5の他に、床暖房マット、浴室乾燥機などに加熱水を供給可能に設け、床暖房や浴室乾燥を行うように設けても良い。
【0063】
上記の実施例では、昇圧用の熱媒体として、加熱域α1 で温度上昇した上段容器S1 を冷却して温度上昇した熱媒体(実施例中では昇圧水)を用いた例を示したが、加熱手段(例えば、燃焼装置による昇温、電気ヒータによる昇温、排熱を利用した昇温など)によって昇温した熱媒体を用いても良い。
上記の実施例では、ヒートポンプサイクル2の一例として、2段式サイクルを用いた例を示したが、1段式サイクルに用いても良いし、第2容器を3つ以上分割して3段式以上のサイクルとして用いても良い。
【0064】
上記の実施例では、1つの室外機7に複数の室内空調機5が接続可能なマルチエアコンを示したが、1つの室外機7に1つの室内空調機5が接続されるエアコンに本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、ヒートポンプサイクル2によって得られた冷熱出力用の熱媒体(実施例中では冷熱水)で室内を冷房する例を示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転に用いるなど、本発明を他の冷却装置として用いても良い。
上記の実施例では、1つのヒートポンプユニット(1つの水槽K内に複数のセルSを収納したユニット)を用いた例を示したが、複数のヒートポンプユニットを搭載して冷却能力を増大させ、ビル用空調システムなど大きな冷却能力が要求される冷却装置に用いても良い。
【0065】
上記の実施例では、加熱用の熱媒体(実施例中では加熱水)を加熱する加熱手段として、ガスを燃焼するガス燃焼装置を用いたが、石油を燃焼する石油燃焼装置など、他の燃焼装置を用いても良いし、内燃機関の排熱によって加熱用の熱媒体を加熱する加熱手段、ボイラーによる蒸気、電気ヒータを用いた加熱手段など、他の加熱手段を用いても良い。なお、内燃機関の排熱を利用する際は、車両用に用いることもできる。
【0066】
上記の実施例では、各熱媒体の一例として、水道水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良いし、空気など気体の熱媒体を用いても良い。
上記の実施例では、水素吸蔵合金が水素を放出する際の吸熱作用により冷熱出力を得る冷却装置を例に示したが、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際の放熱作用により温熱出力を得る加熱装置(例えば暖房装置など)に本発明を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】容器の側面図である(第1実施例)。
【図2】セルの部分斜視図である(第1実施例)。
【図3】デバイダーが設けられたセルの断面図である(第1実施例)。
【図4】デバイダーが設けられたセルの斜視図である(第1実施例)。
【図5】冷房装置の概略構成図である(第1実施例)。
【図6】ヒートポンプサイクルの作動説明図である(第1実施例)。
【図7】ヒートポンプユニットの斜視図である(第1実施例)。
【図8】PT冷凍サイクル線図である(第1実施例)。
【図9】セルの斜視図である(第2実施例)。
【図10】セルの断面図である(第2実施例)。
【図11】複数のセルが回転軸の周囲に装着された状態を示す断面図である(変形例)。
【図12】冷房装置の概略構成図である(従来例)。
【符号の説明】
HM 高温合金(水素吸蔵合金)
MM 中温合金(水素吸蔵合金)
LM 低温合金(水素吸蔵合金)
S セル
S1 上段容器
S2 中段容器
S3 下段容器
PM パンチングメタル(凹凸形成部材)

Claims (2)

  1. 水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、または水素の吸蔵時の放熱を利用した水素吸蔵合金を利用した熱利用システムであって、
    内部に水素吸蔵合金を封入した容器の熱媒体と接触する部分には、凹凸が設けられ
    前記凹凸は、前記容器に接合される凹凸形成部材によって形成され、
    前記凹凸形成部材は、パンチングメタルである
    ことを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
  2. 水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、または水素の吸蔵時の放熱を利用した水素吸蔵合金を利用した熱利用システムであって、
    内部に水素吸蔵合金を封入した容器の熱媒体と接触する部分には、凹凸が設けられ、
    前記容器は、偏平な容器形状に設けられ、前記容器を構成する一方の面は凹凸を混成した状態で設けられ、前記一方の面に対向する他方の面は前記一方の面の凹凸形状に沿う凹凸に設けられた
    ことを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
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