JP3734689B2 - 新規レバンフルクトトランスフェラーゼ - Google Patents
新規レバンフルクトトランスフェラーゼ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3734689B2 JP3734689B2 JP2000205756A JP2000205756A JP3734689B2 JP 3734689 B2 JP3734689 B2 JP 3734689B2 JP 2000205756 A JP2000205756 A JP 2000205756A JP 2000205756 A JP2000205756 A JP 2000205756A JP 3734689 B2 JP3734689 B2 JP 3734689B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- enzyme
- lftase
- levan
- stable
- gene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レバンフルクトトランスフェラーゼ(以下、LFTaseということもある)に関するものであり、更に詳細には、酵素活性がきわめて高く、しかもその生成にレバンの存在を必要としない従来未知にして新規な遺伝子組換え型LFTaseに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LFTaseはβ−2,6ポリフラクタンを還元末端から二糖単位で切断する作用を有し、β−2,6結合型のポリフラクタン(すなわち、フラクトフラノースのβ−2,6結合による連鎖からなる多糖類)であるレバンに作用させることにより、ジフルクトース・ジアンヒドリドIV(以下、DFA IVということもある))を生成する酵素である。
【0003】
DFA IVは、難消化性の二糖類であって、低カロリーで且つフルクトース系の冷涼感のある甘味を有し、またカルシウム吸収促進作用も有する等、甘味料のほか機能性食品としても有用であることが確認されているが、更に新たな有用な用途の開発も期待され、その量産で希求されている。そのために、高純度のLFTaseを大量に工業生産する方法の確立が望まれており、また、LFTase自体も、試薬あるいは生化学用薬品等としての需要が高まっており、やはりその工業生産が強く望まれている。
【0004】
LFTaseは、アルスロバクター・ニコチノボランスGS−9株(Arthrobacter nicotinovorans GS-9(以下、GS−9菌ということもある))を培養中、培地中のレバンにより誘導発現される誘導酵素である。しかしながら、この酵素の発現量は微量であって、工業的応用は困難であるし、更に、LFTase酵素溶液の生産にはレバンを必須とするため、工程が複雑となり、工業生産上大きな障害となっているだけでなく、現時点においては、レバン自体の工業的大量生産が確立されておらず、この方法によるLFTase生産性の低下は否めない。
【0005】
また、上記したような天然型LFTaseの製法のほかに、遺伝子組換え型LFTaseの製造についても検討された。すなわち、GS−9由来のLFTase遺伝子がSaitoら(Saito et al. : Biosci. Biotech. Biochem., 1997, 61(12), 2076-2079)によってクローン化されており、その1次配列が解明されるとともに、pUCプラスミドベクター系を利用し、大腸菌を宿主とした発現系が構築されている。しかしながら、その発現量は充分に満足できるものとはいえず、未だ改良の余地が残されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、上記した欠点のない新しいタイプのLFTaseを新たに開発する目的でなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、各方面から検討の結果、遺伝子工学的手法に着目し、更に発現効率を高めるためにシステムの設計を行うこととした。
【0008】
すなわち本発明者らは、Saitoらが構築するのに成功したLFTase遺伝子の発現系を大幅に改良して発現効率を高めるため、そしてそれと同時に従来未知の新規にして活性の高い酵素を新規に開発するため、LFTase遺伝子のオープンリーディングフレーム(以下、ORFということもある)のみの新規作成を試み、各種設計の結果、遂にORFの塩基配列の決定に成功した。そして、PCR法によってそのORFの作成を行うこととし、それを実施するため、検討の結果、センスプライマー及びアンチセンスプライマーの塩基配列の決定及びそれらの人工合成を試みそれらにも成功した。そしてGS−9の染色体DNAを鋳型としてPCRを行うことにより、ORFのみの調製に成功した。
【0009】
これを、pET系プラスミドベクター、例えばpET−3aプラスミドベクターのマルチクローシングサイトに連結して、新たな発現プラスミドpET/LFTsaを構築した。ORFの切り出しは、LFTase遺伝子の開始および終止コドン部に、部位特異的変換法で制限酵素NdeIおよびBamHI部位を作製することで行い、特にORFのフレームを合わせた。このプラスミドベクターには大腸菌中で外来遺伝子として連結された遺伝子を効率的に転写、翻訳できる、T7Lacプロモーターが導入されており、Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside(IPTGということもある)により高発現が可能となり、簡易的な操作で部分精製が行えるように工夫した。
【0010】
このプラスミドベクターを大腸菌BL21(DE3)株に形質転換した形質転換体をEscherichia coli BL21(DE3)−pET/LFTsaと命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−17896として寄託した。このようにして創製した形質転換体は、非常に高いLFTase活性を取得しており、本発明によれば、元株(GS−9菌)の5〜50倍、Saitoらが構築するのに成功した、DNA分子pBB−1を導入した大腸菌JM109株(大腸菌JM109/pLFT−BBI:特開平11−69978、FERM P−16316)の2〜20倍もの高活性を取得できるようになり、更にスクリーニングすれば、これら以上の数十倍の活性を取得することも可能である。また、本発明によれば、酵素製造に従来必要であったレバンが不必要になるという著効が得られることも確認された。
【0011】
このようにして創製した形質転換体を培養することにより、LFTaseの大量発現が可能となった。なお、本形質転換体は、LFTaseを菌体内に生産したため、培養終了後、菌体を破砕し、上清を無細胞抽出液とし、この無細胞抽出液から酵素精製の常法にしたがい、透析、クロマト処理、濃縮、限外濾過処理等を適宜組み合わせて行い、精製酵素を得る。
【0012】
本発明に係るLFTaseは、遺伝子設計によりきわめて綿密な計算の結果、人工的に創製されたものであって、下記する理化学的性質を有する新規酵素であり、しかもその酵素生産量はきわめて高く、その生成にレバンの存在を必須とする誘導酵素ではない等すぐれた効果も有するものである。このようにして調製したLFTaseは、これをレバンに作用させることにより、DFA IVを効率的に製造することができる。その際LFTaseは、単離精製したもののほか、部分精製したもの、あるいは上記した無細胞抽出液(又はその濃縮液)を使用することもできる。
【0013】
(1)作用
本酵素は、β−2,6フラクトシド結合を有するポリフラクタンのレバンを分解し、DFA IVを合成する作用を有する。
【0014】
(2)力価の測定法
本酵素活性は、Saitoら(Saito et al. : Biosci. Biotech. Biochem., 1997, 61(12), 2076-2079)の方法に準じて行った。
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中で、終濃度が10g/Lとなる様にレバンを溶解させた基質溶液に、酵素溶液を混合して、37℃で10分間反応した。その後、反応溶液を沸騰水中で5分間保持することで反応停止とした。生成したDFA IVをHPLCにより定量し、活性値を算出した。
ここで、酵素1単位は、本酵素反応条件下で、1分間当たりに1μmolの反応生成物を生じる酵素量とした。
【0015】
(3)基質特異性
本酵素の触媒可能な糖質関連物質を調査した。その結果、本酵素は、レバンと、鎖長が3から7のレバンオリゴ糖に作用することが判明した。その他の各種糖質には作用しなかった。
【0016】
(4)至適pH及び安定pH範囲
本酵素のpHに対する影響を調査した。安定性の検討は、酵素溶液を各pHの緩衝液中で24時間、4℃で保持した後、溶液をpH6.0の緩衝液で置換し、定法に従い酵素活性を測定した。その結果、本酵素の至適pHは6.0であり、pH4.0から12.0の幅広い範囲で安定であった。
【0017】
(5)至適温度及び安定温度範囲
本酵素の温度に対する影響を調査した。安定性の検討は、酵素溶液を各温度で20分間保持した後、素早く4℃に冷却し、定法に従い酵素活性を測定した。その結果、至適温度は50℃であり、40℃まで安定であった。
【0018】
(6)pH、温度等による失活の条件
(4)及び(5)の記載のpH及び温度の条件、特に安定性において、相対活性が低下している範囲以上が失活の条件であると考察される。また、酵素溶液を沸騰水中に5分間保持した後の酵素活性消失は確認している。
【0019】
(7)阻害、活性化及び安定化
Hg2+イオン、およびAg2+イオン存在下で、著しく活性が阻害された。
【0020】
(8)精製方法
形質転換大腸菌の無細胞抽出液を調製した後、DEAE−Toyopearl650M(東ソ社製)陰イオン交換樹脂などで、効率的に部分精製できる。
【0021】
(9)分子量及び分子量の測定方法
LFTaseタンパク質の分子量測定は、タンパク質の精製純度検定と同時に、Laemmli(Laemmli : Nature(London), 1970, 227, 680-685)の方法に従いSDS−PAGEにより行った。ゲルの濃度は7.5%とした。タンパク質の染色はCoomassie Brilliant Blueを用いた。その結果、分子量は、およそ50,000Daと測定された。この値は、遺伝子のDNA塩基配列から推定されるアミノ酸配列から算出される分子量53,153Daと類似しており、信頼性がある。
【0022】
(10)反応生産物の同定
本酵素により生産されたオリゴ糖を精製後、C13−NMRにより、スペクトル分析をした。その結果、反応生成物は、DFA IVと同定された。
【0023】
(11)酵素の誘導性
本酵素の誘導発現にはレバンを要しない。
【0024】
本発明に係る新規酵素は、上記した理化学的性質を有する酵素であればすべてのものが包含され、例えば配列番号1のアミノ酸配列(図1)で示されるタンパク質もその1例として例示される。その製造方法にしても、その遺伝子(その塩基配列を配列番号2、図2に示す)を含有した新規形質転換体(FERM P−17896)を培養することにより本発明に係る新規酵素を得ることができるし、その新規アミノ酸配列の1例が明らかにされたので(配列番号1)、合成によっても本酵素を得ることができる。
以下、本発明の実施例について述べる。
【0025】
【実施例1】
(1)Arthrobacter nicotinovorans GS−9株のレバンフルクトトランスフェラーゼ(LFTase)遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)のみの調製
本明細書において多用する遺伝子組み換え操作実験の基礎技術は、斯界において公知のものであり、特に断らない限りSambrookらの方法(Sambrook et al. : モレキュラー・クローニング・ア・ラポラトリー・マニュアル、第2版、1989年)に従って行った。
【0026】
LFTase遺伝子の発現と活性に必要な部分のみを調製する目的で、遺伝子組み換えを行った。ここで指す「必要な部分のみ」とは、「成熟LFTaseに相当する遺伝子のみ」という意味である。Saitoら(Saito et al. : Biosci. Biotech. Biochem., 1997, 61, 2076-2079)が解明した遺伝子情報を基に設計した。
LFTase遺伝子を含む遺伝子DNAの塩基配列を配列番号4(図4)に示し(塩基配列91番目から塩基配列1644番目までがLFTase遺伝子のORF)、それから推定されるLFTaseのアミノ酸配列を配列番号3(図3)に示した。
【0027】
まず設計は、配列表の配列番号4において、塩基配列1番目から90番目までと、LFTaseの構造遺伝子の一部である塩基配列91番目から189番目までを除去する。塩基配列91番目から189番目までは、LFTaseの最初のシグナルペプチド配列に相当するカ所(アミノ酸配列1番目から33番目)で、除去されても成熟部が機能し、酵素活性には全く問題がない。そしてさらに、新たに開始コドンを付加する。また、開始コドンの直前、および終始コドンの直後で、遺伝子が任意に切断できる様に、塩基配列を強制的に置換して、適当な制限酵素部位を設定する。
【0028】
実際には、塩基配列187番目から189番目に開始コドン配列(atg)を付加し、直前を切断できる様に、制限酵素NdeI(catatg)部位を、そして終始コドン部にBamHI(ggatcc)部位を設計した。置換予定の塩基配列を含む20塩基ほどのプライマーを作製し、GS−9菌の染色体DNAを鋳型にPCR反応を行った。Taqポリメラーゼは宝酒造製を用いた。PCR反応後、産物を回収・精製し、制限酵素NdeIとBamHIで処理後、適当なプラスミドベクターに連結し、塩基配列の置換具合をDNAシーケンスにより確認した。なお、LFTaseの構造遺伝子中には、制限酵素NdeIとBamHI部位は存在しないので、途中で切断されない。
【0029】
まとめると、置換された塩基は、次のようになった。
配列番号186番をcからTへ、
配列番号187番をgからAへ、
配列番号188番をcからTへ、
配列番号189番をcからGへ、
【0030】
配列番号1646番をcからGへ、
配列番号1647番をcからAへ、
配列番号1649番をgからCへ、変換した。
配列番号2(図2)に示すように、本発明で使用する重要な個所を切り出したものであって、制限酵素NdeI(catatg)とBamHI(ggatcc)部位を強制的に作り出した。あとの配列(ハイフン部)は、使用しない。
【0031】
上記した設計の実施は、PCR法で行った。LFTaseのORFのみを調製するために、Saitoら(Saito et al. : Biosci. Biotech. Biochem., 1997, 61(12), 2076-2079)の解析したDNA塩基配列を参考にして、下記のDNA塩基配列を有する、27塩基の2種類の合成オリゴヌクレオチドプライマーを作製した。これらのプライマーは、DNA合成装置(アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて人工的に合成した。
【0032】
増幅されたPCR産物(LFTaseのORFのみを指す)の両端が、制限酵素処理で切断でき、プラスミドベクターに連結可能とするために、強制的に塩基配列を置換し、制限酵素部位を作製した。制限酵素部位も開始コドン側と終止コドン側が識別できる様に、NdeIとBamHIの2種類を設定した。センスプライマー、アンチセンスプライマーを配列番号5、6(図5、6)に示し、図中、置換された塩基は下線表示した。
【0033】
これとは別にSaitoらの手法により調製したGS−9菌の染色体DNAと、上記2種類のプライマー、およびPCR反応用試薬とを混合し、PCR反応を行った。TaqDNAポリメラーゼは宝酒造製の標準品を用いた。PCR反応条件は、総液量が100マイクロリットル、サイクル数が35回、1サイクルが98℃の1分間、68℃の3分間とした。
増幅されたLFTaseのORF断片、約1,500塩基対のDNA塩基配列、特に置換された部位のDNA塩基配列の確認は、シーケンスレベルで行った。得られたDNA塩基配列を配列番号2(図2)に示す。
【0034】
(2)LFTaseのORFとプラスミドベクターの連結
(1)のPCR反応液(LFTaseのORF断片を含む)をエタノール沈殿法で回収・精製後、制限酵素NdeIとBamHIで2重消化した。これを更にエタノール沈殿法で回収・精製した。
これとは別にpET−3aプラスミドベクター(宝酒造製)を制限酵素NdeIとBamHIで2重消化し、エタノール沈殿法で回収・精製したものを調製し、先に精製されたPCR産物とライゲーション反応により連結した。ここで作製されたプラスミドベクターを、pET/LFTsaと命名した(図7)。なお、従来のpLFT−BB1の構築も示した。
【0035】
(3)プラスミドベクターpET/LFTsaの形質転換
(2)で作製した、プラスミドベクターpET/LFTsaはHanahan(D. Hanahan : Techniques for transformation of E. coli, in DNA Cloning : A Practical Approach, Vol.1, ed. by D. M. Glover, IRL Press, Oxford, 1985, 109-135)の手法に従い、ヒートショック法で、大腸菌BL21(DE3)株のコンピテント細胞(宝酒造製)に形質転換した。選択培地で培養し、単一化された遺伝子組換え大腸菌をEscherichia coli BL21(DE3)-pET/LFTsaと命名し、これを工業技術院生命工学工業技術研究所に、FERM P−17896として寄託した。
【0036】
(4)Escherichia coli BL21(DE3)-pET/LFTsaによるLFTaseの生産
Escherichia coli BL21(DE3)-pET/LFTsa(FERM P-17896)を、100マイクログラム/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地で、対数増殖中期まで培養した(37℃)。この菌液0.2mlを、終濃度で1mMとなる様にIsopropyl-β-D-thiogalactopyranoside(IPTG)を含む100mlの同培地に接種し、37℃で24時間振とう培養した。培養後、大腸菌菌体を遠心分離し培養上清とに分けた。菌体は10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)で2回洗浄後、同緩衝液に再懸濁し、超音波破砕機で破砕した。破砕液を遠心分離し、この上清を無細胞抽出液とした。この溶液が、LFTase溶液である。
【0037】
このようにして調製した大腸菌BL21(DE3)−PET/LFTsaの無細胞抽出液のLFTase活性を定法にしたがい測定したところ、105.1単位/培養液(ml)であった。本発明によれば、元株(GS−9菌)の約30倍、Saitoらの系の約5倍と非常に高い生産性が得られた。なお、遺伝子組換え体は菌体内に酵素を生産したため(GS−9菌は菌体外に分泌発現)、酵素単位は培養液1ml当りの数値に換算して比較した(表1)。
【0038】
【0039】
この無細胞抽出液から発現LFTaseの部分精製を行った。この無細胞抽出液を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に対し一晩透析した。そして担体として緩衝液で平衡化したDEAE Bio−Gel A(バイオ−ラッド製)を用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに供した。
吸着したタンパク質の溶出は緩衝液中に含まれる塩化ナトリウム濃度を0−0.4Mまで直線的に変化させて行った。定法に従い、LFTase活性画分を測定し、活性画分を遠心限外ろ過膜で濃縮した。
この粗酵素液を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に対し一晩透析した。この溶液を組み換え酵素の部分精製液(100U/ml)とした。
【0040】
(5)LFTaseを用いたDFA IVの製造
セラチアNN菌(Serratia levanicum NN株 : FERM P-17895)を、Yokotaら(Biosci, Biotech. Biochem., 1993, 57, 745-749)及びKojimaら(J. Ferment. Bioeng., 1993, 75, 9-12)の方法にしたがい、前培養した後、本培養した。なお、本培養においては、200Lの発酵タンクを使用し、蔗糖は40kg使用し、温度30℃、攪拌80rpm、通気1vvmで培養し、温度、pH、粘度を経時的に測定した。
【0041】
培養10時間後を目安とし、培養液粘度が最も増加して、pHが4.0付近まで低下した時に培養を中止し、pHを5.5に調整し、温度を4℃に冷却した。この条件は1週間以上保持される様に制御した。粘度は40であった。
【0042】
このようにして得たレバン含有液200Lに、(4)で得たLFTase液(100U/ml)10mlを添加して、40℃で24時間インキュベートした。
【0043】
得られた酵素反応液(DFA IV 320gを含有)10Lにパン酵母(ニッテンイースト、商品名)300g(水分66%)を添加し、30℃で24時間通気培養した。その培養液を濾過した後、濃縮してBx50に調整した。内径12cm高さ79cmの樹脂製カラムにNa型とした強酸性陽イオン交換樹脂Amberlite CR-1310(商品名)7.6Lを充填し、これに前記濃縮液を0.02から0.10L/L−R/1サイクル、空間速度0.13〜0.53、温度80℃の条件で通液し、温水で押し出した。DFA IV純度の高い画分を採取し、DFAIV画分とした。この操作を10回実施して得られたDFA IV画分を混合し、混合液6.6kgに活性炭を加えて脱色した。珪藻土濾過によって活性炭を除去し、濾液を70℃で減圧濃縮した。その後、冷却結晶化(70→25℃)を行い、その結晶化物を遠心分離機で分離し、純度99.9%のDFA IV結晶120gを得た。
【0044】
【発明の効果】
本発明に係るLFTaseは(同酵素遺伝子も同様)、従来未知の新規物質である。本酵素はβ−2,6ポリフラクタンを還元末端から二糖単位で切断する作用を有する。本酵素は非常に活性が高く、これをレバンに作用させることにより、各種機能性を有するDFA IVを効率的に製造することができる。しかも本酵素は、遺伝子組換え型であり、活性が高いだけでなく、工業的に大量生産できるという特徴も有する。
【0045】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るLFTaseのアミノ酸配列を示す。
【図2】本発明に係るLFTase遺伝子DNAの塩基配列を示す。
【図3】GS−9由来のLFTaseのアミノ酸配列を示す。
【図4】GS−9由来のLFTase遺伝子DNAの塩基配列を示す。
【図5】センスプライマーの塩基配列を示す。
【図6】アンチセンスプライマーの塩基配列を示す。
【図7】LFTaseの大量発現系の構築図である。
Claims (2)
- 配列番号2の塩基配列で示されるレバンフルクトトランスフェラーゼ(LFTase)遺伝子のDNAを含有するプラスミドで形質転換してなる形質転換体エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)BL21(DE3)−pET/LFTsa(FERM P−17896)。
- 請求項1に記載の形質転換体を使用すること、を特徴とする下記の理化学的性質を有する新規LFTaseの製造方法。
(1)作用
β−2,6フラクトシド結合を有する、ポリフラクタンのレバンを分解し、ジフルクトース・ジアンヒドリドIV(DFA IV)を合成する作用を有する。
(2)基質特異性
レバン及び鎖長が3から7のレバンオリゴ糖に作用する。
(3)至適pH及び安定pH範囲
至適pH:6.0
安定pH範囲:4.0〜12.0
(4)至適温度及び安定温度範囲
至適温度:50℃
安定温度範囲:本酵素は40℃まで安定であった。
(5)分子量
分子量:約50,000Da(SDS−PAGE、ゲル濃度7.5%)
(6)酵素の誘導性
本酵素の誘導発現にはレバンを要しない。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000205756A JP3734689B2 (ja) | 2000-07-06 | 2000-07-06 | 新規レバンフルクトトランスフェラーゼ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000205756A JP3734689B2 (ja) | 2000-07-06 | 2000-07-06 | 新規レバンフルクトトランスフェラーゼ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002017366A JP2002017366A (ja) | 2002-01-22 |
JP3734689B2 true JP3734689B2 (ja) | 2006-01-11 |
Family
ID=18702792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000205756A Expired - Fee Related JP3734689B2 (ja) | 2000-07-06 | 2000-07-06 | 新規レバンフルクトトランスフェラーゼ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3734689B2 (ja) |
-
2000
- 2000-07-06 JP JP2000205756A patent/JP3734689B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002017366A (ja) | 2002-01-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP4365285A1 (en) | Glycosyltransferase mutant and method for catalytic synthesis of rebaudioside m by means of using same | |
CN108034648B (zh) | 一种热稳定性提高的d-阿洛酮糖3-差向异构酶突变体 | |
JP5224572B2 (ja) | デキストラン生成酵素遺伝子、デキストラン生成酵素およびその製造方法、デキストランの製造方法 | |
EP3818156A1 (en) | Methods and compositions for preparing tagatose from fructose | |
CN115261365B (zh) | 色氨酸合成酶突变体及其应用 | |
KR100427529B1 (ko) | 말토오스를 트레할로오스로 변환하는 재조합형 열안정성 효소 | |
JP2017108740A (ja) | 改変型meso−ジアミノピメリン酸脱水素酵素 | |
CN111424006B (zh) | 一种重组细胞及其合成α,β-不饱和醛的应用 | |
JP3734689B2 (ja) | 新規レバンフルクトトランスフェラーゼ | |
WO1999013059A1 (en) | β-FRUCTOFURANOSIDASE AND GENE THEREOF | |
WO2019161634A1 (zh) | 莱苞迪甙a的制备方法、莱苞迪甙a制备用酶及应用 | |
JP3650632B2 (ja) | マルトースをトレハロースに変換する組換え型酵素 | |
CN112852702B (zh) | 一种重组枯草芽孢杆菌催化高浓度乳糖合成塔格糖的方法 | |
JP4021123B2 (ja) | ラフィノースの新規製造方法 | |
CN116286712B (zh) | 鼠李糖基转移酶突变体、编码基因、制备方法及应用 | |
US6841368B1 (en) | Enzymatic production of difructose dianhydride IV from sucrose and relevant enzymes and genes coding for them | |
JP3427984B2 (ja) | 新規耐熱性シュクロオリゴ糖生成酵素およびその用途 | |
JP2002017391A (ja) | ジフルクトース・ジアンヒドリドivの大量製造法 | |
JP3174355B2 (ja) | Dta遺伝子の塩基配列及びその利用法 | |
CN117683750A (zh) | 重组α-葡萄糖苷酶及其制备方法 | |
CN116836965A (zh) | 一种n-乙酰葡萄糖胺异构酶突变体及其应用 | |
JP2001321178A (ja) | 耐熱性α−ガラクトシダーゼ | |
CN116463311A (zh) | 一种糖基转移酶突变体及其应用 | |
CN118006592A (zh) | 一种来自甲酸芽殖菌的d-阿洛酮糖3-差向异构酶及其应用 | |
CN116622665A (zh) | 一种生物催化生成o-糖苷的方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20031031 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20031210 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050510 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050707 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051018 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051019 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081028 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091028 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091028 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101028 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111028 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111028 Year of fee payment: 6 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121028 Year of fee payment: 7 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |