JP3734201B2 - パルスレーザの発光タイミング信号送出装置 - Google Patents

パルスレーザの発光タイミング信号送出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気パルス圧縮回路を用いて所定の繰り返し周波数でパルス放電を行うことでレーザ媒質を励起してパルスレーザ発振を行うパルスレーザ放電回路の各パルス光の発光タイミングを正確に検出し、この発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送信することによりレーザ発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度を向上させるようにしたパルスレーザの発光タイミング信号送出装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
半導体装置製造用の縮小投影露光装置(以下、ステッパ装置という)の光源としてエキシマレ―ザの利用が注目されている。これはエキシマレ―ザの波長が短い(KrFの波長は約248.4nm)ことから光露光の限界を0.5μm以下に延ばせる可能性があること、同じ解像度なら従来用いていた水銀ランプのg線やi線に比較して焦点深度が深いこと、レンズの開口数(NA)が小さくて済み、露光領域を大きくできること、大きなパワ―が得られること等の多くの優れた利点が期待できるからである。
【0003】
図13に、エキシマレーザ1とステッパ装置10の制御系の一般的な構成を示す。
【0004】
エキシマレーザ1は、放電電極等が内蔵されるレーザチャンバ2、放電電極間にパルス放電の繰り返し周波数に同期した高周波電圧を印加するパルス電源装置3、レーザチャンバ2から出射されたレーザ光のエネルギーをモニタするエネルギーモニタ4、ステッパ装置10側からのエネルギー指令およびエネルギーモニタ4のモニタ値等に基づいてパルス電源装置3の電源電圧制御,レーザ発振波長制御、レーザガスの供給制御などを実行するレーザコントローラ5などを有している。、
ステッパ装置10は、繰り返しパルス発振のトリガ信号となるパルス発振同期信号TR、レーザ発振の目標エネルギー指令等をエキシマレーザ側に送信するステッパコントローラ11と、ウェハを載置した移動可能なウェハテーブル12などを有しており、エキシマレーザ1から入射されたレーザ光を用いてウェハテーブル12上のウェハを縮小投影露光する。
【0005】
図13のパルス電源装置3としては、 近年、サイラトロン、GTOなどの主スイッチの耐久性の向上のために磁気パルス圧縮回路を使用したものが用いられることが多く、図14に一般的な容量移行型の磁気パルス圧縮放電装置の等価回路を示す。また、図15に図14の回路各部における電圧および電流の波形を示す。
【0006】
この図14の放電回路は、可飽和リアクトルから成る3個の磁気スイッチAL0〜AL2の飽和現象を利用した2段の磁気パルス圧縮回路である。
【0007】
まず、1発目のレーザ発振トリガ信号が受信される前にステッパ装置10側からエネルギー指令値が入力されるので、レーザコントローラ5はこのエネルギーを出すのに必要な電源電圧値を計算し、この計算値に基づき高電圧電源HVの電圧V0を調整する。そして、この時点でコンデンサC0に、磁気スイッチAL0、コイルL1を介して高電圧電源HVからの電荷をプリチャージしておく。
【0008】
その後、ステッパ装置10側からの1発目のレーザ発振同期信号(トリガ信号)TRが受信されると、この受信時点で主スイッチSWがオンにされる(図15、時刻t0)。主スイッチSWがオンになった後、コンデンサC0の電圧VC0の時間積(電圧VC0の時間積分値)が磁気スイッチAL0の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t1において磁気スイッチAL0は飽和し、コンデンサC0、磁気スイッチAL0、主スイッチSW、コンデンサC1のループに電流パルスi0が流れる。この電流パルスi0が流れ始めてから0になる(時刻t2)までの時間τ0、即ちコンデンサC0からコンデンサC1に電荷が完全に移行されるまでの電荷転送時間τ0は、主スイッチSWなどによる損失を無視すれば、コンデンサC0、磁気スイッチAL0、コンデンサC1の各容量、インダクタンスによって決まる。
【0009】
この後、コンデンサC1の電圧VC1の時間積が磁気スイッチAL1の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t3において磁気スイッチAL1は飽和し、低インピーダンスとなる。これにより、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気スイッチAL1のループに電流パルスi1が流れる。この電流パルスi1は、コンデンサC1、C2および磁気スイッチAL1の容量、インダクタンスによって決定される所定の転送時間τ1を経由した後、時刻t4で0になる。
【0010】
さらにこの後、コンデンサC2の電圧VC2の時間積が磁気スイッチAL2の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t5において磁気スイッチAL2は飽和し、これにより、コンデンサC2、ピーキングコンデンサCP、磁気スイッチAL2のループに電流パルスi2が流れる。
【0011】
その後、ピーキングコンデンサCpの電圧VCpは充電の進展とともに上昇し、この電圧VCpが所定の主放電開始電圧に達すると、この時点t6において主電極6間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始される。この主放電によってレーザ媒質が励起され、数nsec後にレーザ光が発生される。
【0012】
この後、主放電によってピーキングコンデンサCpの電圧は急速に低下し、所定時間経過後に充電開始前の状態に戻る。
【0013】
このような放電動作が、トリガ信号TRに同期した主スイッチ5のスイッチング動作によって繰り返し行われることにより、所定の繰り返し周波数(パルス発振周波数)でのパルスレーザ発振が行われる。
【0014】
図14の磁気圧縮回路によれば、磁気スイッチおよびコンデンサで構成される各段の電荷転送回路のインダクタンスが後段にいくにつれ小さくなるように設定されているので、電流パルスi0〜i2のピーク値が順次高くなりかつその通電幅も順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、この結果主電極6間に短時間での強い放電が得られることになる。
【0015】
ところで、ステッパ装置10側での露光方式は、近年、ステージを停止させて露光を行う一括露光方式からステージを移動させながら露光を行うステップ&スキャン方式に移行しつつある。このステップ&スキャン方式の利点は、大面積を露光できる点にあり、今後、集積度が増すに従ってチップサイズは大きくなる傾向にあり、ステップ&スキャン方式が主流となっていくであろう。
【0016】
このステップ&スキャン方式では、図16に示すように、ウェハ上のICチップ7に対しシートビームと呼ばれるレーザ光を照射した状態でレーザ光またはウェハを所定のピッチΔPで移動させながら露光処理を行うようにしており、この際、ICチップ7上の全ての点の移動積算露光量(例えば図16ではA点の移動積算露光量はP1+P2+P3+P4)が等しくなるように走査ピッチΔPやシートビームの照射面積を設定することで、ICチップ7上の各点で均一な露光が行われるようにする。
【0017】
このように、ステップ&スキャン方式では、ステージ(またはレーザ光)を移動させながら露光を行う。このため、エキシマレーザ側での各パルスレーザの実際の発光タイミングとステッパ側でのウェハ(またはレーザ光)の移動制御のタイミングが完全に同期していないと、すなわちパルスレーザ光が発光していない期間中にステージの移動が行われないと、レーザ照射中にステージの移動が行われることになり、各位置での露光量に大きなばらつきが発生することになる。
【0018】
このように、ステップ&スキャン方式の露光を行う場合は、実際にレーザの発光が起こるタイミングを正確に把握する必要があり、このため従来においては、ステッパ装置側はレーザ発振同期信号TRを出力してから実際にレーザ発振が行われるまでの時間を経験や実測データ等を用いて予測し、この予測に基づきステッパ装置内の各種制御の同期をとるようにしていた。
【0019】
また、ウェハを載せたステージを停止させてひとつのチップ全体を一括レーザ照射する一括露光方式のステッパにおいても、従来は、レーザ照射位置を露光の終了したICチップ位置から次のICチップへと移動させるタイミングや作業開始のタイミングを前述のレーザ発振同期信号TRを用いて前記と同様にして推定するようにしていた。
【0020】
しかしながら、先の図14に示した磁気圧縮回路において、トリガ信号TRが入力されて主スイッチSWが点呼される時点t0から実際にレーザ光が発生する時点t6までの時間td(以下これを発光遅延時間という)は、電流パルスi0、i1、i2の通電幅τ0、τ1、τ2と各磁気スイッチAL0〜AL2の飽和時間σ0、(τ0+σ1)、(τ1+σ2)によって左右される。
【0021】
通電幅(電荷転送時間)τ0、τ1、τ2は、前述したように、各段の電荷転送回路に含まれるコンデンサや磁気スイッチの容量およびインダクタンスによって決定されるので、これは磁気圧縮回路内の雰囲気温度によって大きく影響を受ける。
【0022】
また、飽和時間のばらつきσ0、σ1、σ2は、各磁気スイッチAL0〜AL2に加わる電圧の時間積によって決定されるので、これらは高電圧電源HVの電圧V0によって大きく影響をうける。
【0023】
ここで、エキシマレーザにおいては、前述したように、電源電圧V0は一定に制御されるのではなく、レーザ出力を一定に制御するための制御パラメータの1つとなっており、レーザ運転中は可変制御されている。すなわち、ハロゲンガスの減少によるレーザ出力の低下を考慮して電源電圧を制御するパワーロック制御、連続パルス発振の最初の数パルスが含まれるスパイク領域が他の領域に比べレーザ出力が大きくなるスパイキング現象を解消するために電源電圧を制御するスパイクキラー制御などの各種の要因を考慮して電源電圧V0は可変制御されている。
【0024】
このように、エキシマレーザにおいては、電源電圧V0は制御パラメータの1つであるので、これを一定にしておくことは不可能であり、このため、上記磁気スイッチの飽和時間のばらつきσ0、σ1、σ2は、上記電源電圧の可変制御によって大きく変化することになる。
【0025】
ところで、上記飽和時間のばらつきσ0、σ1、σ2および電荷転送時間τ0、τ1、τ2のばらつきを実験によって調べたところ次のように結果を得た。
【0026】
電源電圧V0が最大電圧のとき、
σ0≒0
σ1≒0
σ2≒0
電源電圧V0が最小電圧のとき
σ0≒800nsec
σ1≒500nsec
σ2≒200nsec
始動時(低温時)
τ0≒1.65μsec
τ1≒550nsec
τ2≒150nsec
連続運転時(高温時)
τ0≒1.5μsec
τ1≒500nsec
τ2≒130nsec
したがって、上記実験によれば、発光遅延時間tdは、電源電圧V0によって最大1.5μsec変化し、また温度ドリフトによって最大220nsec変化することになる。
【0027】
なお、電源電圧V0が最大電圧のとき、飽和時間σ0、σ1、σ2がほぼ0になっているのは、コンデンサ間の電荷転送時間と磁気スイッチの飽和時間が一致するように、すなわちσ0〜σ2が0になるように、電源電圧V0の最大値を設定し、この最大電圧値を超えない範囲で電源電圧制御を行っているからである。このため、この場合には、コンデンサ間の電荷転送の途中に磁気スイッチが飽和する、すなわちσ1、σ2が負の値をとる事態は発生せず、これにより電流パルスのピーク値が低下し、通電幅が増大することは確実に防止される
このように、従来技術においては、実際の発光タイミングをレーザ発振同期信号TRに基づきステッパ装置側で予測するようにしていたが、実際の発光タイミングは電源電圧や温度によってばらつくため、予測した発光タイミングが実際の発光タイミングからずれ、レーザの発光タイミングとステッパ側での制御タイミングとの間にうまく同期がとれないという問題があった。
【0028】
この発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、実際のレーザ発光タイミングより前であってかつ半導体露光装置から送られてくるレーザ発振同期信号よりも実際のレーザ発光タイミングに近い物理量のタイミングをレーザ側で捉え、これに基づく発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送出することにより、レーザの発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度を向上させるパルスレーザの発光タイミング信号送出装置を提供することを目的とする。
【0029】
また、この発明では、電源電圧および環境温度の変化を補償することにより電源電圧および環境温度の変化が発生しても常に各パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発生される発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送信するようにして、レーザの発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度をさらに向上させるパルスレーザの発光タイミング信号送出装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
請求項1に対応する発明では、充電電源に対し直列に接続された複数の磁気スイッチとそれぞれが前記充電電源に対し並列に接続された複数のコンデンサとによって複数段の電荷転送回路を構成し、この複数段の電荷転送回路によって電流パルスを複数段に圧縮する磁気パルス圧縮回路と、この磁気パルス圧縮回路に前記充電電源を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、前記磁気パルス圧縮回路の出力端に接続されたレーザ放電電極とを有し、半導体露光装置側より受信した所定の繰り返し周波数を有するレーザ発振同期信号をトリガとして前記スイッチング手段をオンすることにより、所定の繰り返し周波数のパルスレーザ発振を実行するパルスレーザにおいて、前記磁気パルス圧縮回路における予め設定された所定の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する電流検出手段と、この電流検出手段の検出信号を各パルスレーザ発振の発光タイミング信号として前記半導体露光装置側へ出力する出力手段とを具えるようにしている。
【0031】
かかる発明によれば、予め設定された所定の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出し、この検出信号を各パルスレーザ発振の発光タイミング信号として前記半導体露光装置側へ出力する。したがって、半導体露光装置側では入力された発光タイミング信号に基づき実際のレーザ発光タイミングを予測し、この予測タイミングに基づいてウェハ移動などの各種制御の同期をとることができる。
【0032】
電流検出手段によってその立上がりが検出される段としては、例えば請求項4に示すように、磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段が設定される。
【0033】
また、電流検出手段は、例えば請求項5に示すように、前記所定の段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチに直列接続されるインダクタンス手段と、このインダクタンス手段の誘導起電力を検出することにより前記電流パルスの立上がりを検出する電圧検出手段とを有して構成される。
【0034】
このようにこの発明によれば、実際のレーザ発光タイミングより前であってかつ磁気パルス圧縮回路での電流パルス圧縮過程の物理量のタイミングをレーザ側で捉え、これに基づく発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送出するようにしているので、電流パルスの立上がりが検出される段より前の段の電荷転送回路での電源電圧変動および温度変動による電荷転送時間および磁気スイッチの飽和時間のばらつき分は少なくとも吸収されることになり、これによりレーザ発振同期信号を基準としてそのタイミング制御が行われる従来に比べレーザの実発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度を向上させることができる。
【0035】
請求項2に対応する発明では、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるように前記充電電源に対する電圧指令値に応じて前記電流検出手段から出力される検出信号のタイミング調整を行い、このタイミング調整した信号を発光タイミング信号として前記半導体露光装置へ出力する電圧補償手段をさらに具えるようにしている。
【0036】
この請求項2の発明によれば、前記電流検出手段によって検出した電流パルスの立上がり時点からレーザの実際の発光時点までの時間間隔の電源電圧の変動によるばらつきを吸収し、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるようにタイミング調整を行うようにしたので、レーザの実発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度をさらに向上させることができる。
【0037】
請求項3に対応する発明では、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるように磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度を考慮して前記電流検出手段から出力される検出信号のタイミング調整を行い、このタイミング調整した信号を発光タイミング信号として前記半導体露光装置へ出力する温度補償手段を更に備えるようにしている。
【0038】
この請求項3の発明によれば、前記電流検出手段によって検出した電流パルスの立上がり時点からレーザの実際の発光時点までの時間間隔の雰囲気温度の変動によるばらつきを吸収し、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるようにタイミング調整を行うようにしたので、レーザ側での実発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度をさらに向上させることができる。
【0039】
請求項6に対応する発明では、充電電源に対し直列に接続された複数の磁気スイッチとそれぞれが前記充電電源に対し並列に接続された複数のコンデンサとによって複数段の電荷転送回路を構成し、この複数段の電荷転送回路によって電流パルスを複数段に圧縮する磁気パルス圧縮回路と、この磁気パルス圧縮回路に前記充電電源を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、前記磁気パルス圧縮回路の出力端に接続されたレーザ放電電極と、当該段の電荷転送回路での電荷転送が完全に終了した時点で次段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチが飽和する電圧を制御最大電圧として前記充電電源に電圧指令を出力する制御手段とを有し、半導体露光装置側より受信した所定の繰り返し周波数を有するレーザ発振同期信号をトリガとして前記スイッチング手段をオンすることにより、所定の繰り返し周波数のパルスレーザ発振を実行するパルスレーザにおいて、
前記磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する第1の電流検出手段と、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する第2の電流検出手段と、前記第1及び第2の電流検出手段の各検出時点の時間差を求める第1の演算手段と、前記制御手段から出力される電圧指令値に応じて前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立下がり時点から最終段の1つ前の段の電流パルス圧縮回路を流れる電流パルスの立上がり時点までの時間間隔を推定演算する第2の演算手段と、前第1の演算手段によって求められた時間差から前記第2の演算手段の演算値を減算することにより、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスのパルス幅を演算する第3の演算手段と、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電流パルス圧縮回路を流れる電流パルスのパルス幅が磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度の変化に対応してとり得る各種値と、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発光タイミング信号が常に発せられるよう前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延させるための各種遅延時間との対応関係が予め設定されるメモリテーブル手段と、前記メモリテーブル手段から前記第3の演算手段の演算値に対応する遅延時間を読み出し、該読み出した遅延時間に対応して前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御する温度補償手段と、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発光タイミング信号が常に発せられるよう前記充電電源に対する電圧指令値に応じて前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御する電圧補償手段と、前記温度補償手段および前記電圧補償手段によって遅延制御された前記第1の電流検出手段の検出信号を各パルスレーザ発振の発光タイミング信号として前記半導体露光装置側へ出力する出力手段とを具えるようにしたことを特徴とする。
【0040】
かかる請求項6の発明によれば、当該段の電荷転送回路での電荷転送が完全に終了した時点で次段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチが飽和する電圧を制御最大電圧として前記充電電源の制御を行うようにしているので、少なくとも当該段の電荷転送回路でのコンデンサ間の電荷転送が終了した後に、次段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチが飽和することになり、これにより当該段での電荷転送が完全に終了した後に次の段での電荷転送が開始される。
【0041】
そして、この請求項6の発明では、磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出し、この検出信号に対し温度補償および電源電圧補償を加えることにより、前記検出した電流パルスの立上がり時点からレーザの実際の発光時点までの時間間隔の電源電圧および雰囲気温度の変動によるばらつきを吸収し、これにより発光タイミング信号が当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で常に発せられるようにしている。
【0042】
温度補償に関しては、メモリテーブル手段に磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電流パルス圧縮回路を流れる電流パルスのパルス幅が磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度の変化に対応してとり得る各種値と、温度補償用の各種遅延時間との対応関係を予め記憶しておき、実際に求めた当該パルス発振の際の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスのパルス幅に基づき前記メモリテーブル手段から温度補償用の遅延時間を読み出し、この読み出した遅延時間値を用いて第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御することで、実際に温度を検出しない温度補償を実現している。
【0043】
また、電圧補償に関しては、電源電圧に応じて当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発光タイミング信号が常に発せられるよう前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御するようにしている。
【0044】
このようにこの請求項6の発明では、電源電圧および環境温度の変化を補償することにより電源電圧および環境温度の変化が発生しても常に各パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発生される発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送信するようにしているので、レーザの発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度をさらに向上させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0046】
図1にこの発明の第1の実施形態を示す。この第1の実施形態においては、先の図14に示したものと同様の2段の磁気パルス圧縮回路を用いており、各部での電圧VC0,VC1,VC2,VCpおよび電流パルス波形i0,i1,i2も図15に示したものと同様である。
【0047】
すなわち、この実施例回路では、高電圧電源1、主スイッチSW、3個の磁気スイッチAL0〜AL2、コイルL1、4個のコンデンサC0,C1,C2,Cp、および放電電極6を有しており、コンデンサC0から磁気スイッチAL0、主スイッチSWを介してコンデンサC1に至る電流ループi0を形成する第1段の電荷転送回路、コンデンサC1から磁気スイッチAL1を介してコンデンサC2に至る電流ループi1を形成する第2段の電荷転送回路、コンデンサC2から磁気スイッチAL2を介してピーキングコンデンサCpに至る電流ループi2を形成する第3段の電荷転送回路が形成されている。
【0048】
磁気スイッチAL0〜AL2の飽和時および非飽和時のインダクタンスは順に小さくなるように設定され、また各段のコンデンサ容量は等しくなるように設定されているため、先の図15に示したように、各段の電荷転送回路を流れる電流パルスの波高値が順次増幅され、そのパルス幅が順次圧縮されることになる。
【0049】
なお、この図1の放電回路においても、コンデンサ間の電荷転送時間と磁気スイッチの飽和時間が一致する、即ちσ1〜σ2が0になる電源電圧を最大電源電圧V0とし、この最大電圧値V0を超えない範囲で電源電圧制御を行っている。
【0050】
ここで、この図1の実施形態においては、最終段の1つ前の段の電荷転送回路、即ち第2段の電荷転送回路を流れる電流パルスi1の立上がり時点t3(図15参照)を検出する電流パルス検出センサ20を設け、この電流パルス検出センサ20の検出信号Saを信号出力部21を介して発光タイミング信号Htとしてステッパ装置10に送信するようにしている。
【0051】
図2は、エキシマレーザ1とステッパ装置10の制御系の構成を示すものであり、先の図13に示した構成に対し、パルス電源装置3からステッパ装置10に出力される発光タイミング信号Htが追加されている。
【0052】
この発光タイミング信号は図15に示すようにt3時点で発生される。したがって、発光タイミング信号が発生されてからレーザが発光するまでの遅延時間のばらつきは、従来技術の箇所で述べた実験結果によれば、
電源電圧V0が最大電圧のとき、
σ2≒0
電源電圧V0が最小電圧のとき
σ2≒200nsec
始動時(低温時)
τ1≒550nsec
τ2≒150nsec
連続運転時(高温時)
τ1≒500nsec
τ2≒130nsec
となる。
【0053】
発光タイミング信号が発生される時点t3からレーザが発光する時点t6までの期間を発光遅延時間td´とすると、このtd´は電源電圧によって最大200nsec変化し、また温度ドリフトによって最大70nsec変化することになる。
【0054】
したがって、電流パルス検出センサ20によって電流パルスi1の立上がりを検出し、この検出信号Saを発光タイミング信号Htとしてステッパ装置側に出力するようにすれば、この発光タイミング信号が出力されてから実際にレーザが発光するまでの発光遅延時間td´のばらつき(電圧で200nsec、温度で70nsec)は、従来方式における発光遅延時間tdのばらつき(電圧で1.5μsec、温度で220nsec)に比べ、大幅に小さくなる。
【0055】
したがって、半導体露光装置側では実際のレーザ発光タイミングを知るのに、このレーザ側から送られてきた発光タイミング信号を基準にするようにすれば、従来に比べより正確に発光タイミングを知ることができ、レーザの発光タイミングとステッパ側での制御タイミングとの同期精度を向上させることができる。
【0056】
つぎに、図3〜図7に電流パルス検出センサ20の具体例を示す。
【0057】
図3においては、磁気スイッチAL1に直列にインダクタンス手段としての磁心(またはコイル)22を接続するようにしている。図3(b)に示すように、電流パルスi1の電流変化による自己誘導により磁心22には誘導電圧vsが発生するので、この誘導電圧vsを検出することで、電流パルスi1の立上がり時点t3を検出することができる。
【0058】
図4においては、磁気スイッチAL1の2次巻線23に誘導される誘導起電圧vs(図4(b)参照)を検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立上がり時点t3を検出するようにしている。
【0059】
図5においては、磁気スイッチAL1に直列に1次コイル24を接続し、この1次コイル24を流れる電流パルスi0の電流変化によって発生する2次コイル25の誘導電圧vs(図5(b)参照)を検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立上がり時点t3を検出するようにしている。
【0060】
図6においては、磁気スイッチAL1のリセット回路26(磁気スイッチのB−H特性を所定の初期状態にする回路)中に空心コイル27を接続し、この空心コイル27の誘導電圧vsを検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立上がり時点t3を検出するようにしている。
【0061】
図7においては、コンデンサC1と並列に抵抗r1、r2を接続し、その分圧vs(図7(b)参照)を検出することに基づいて電流パルスi1の立上がり時点t3を検出するようにしている。
【0062】
図8にこの発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態においては、前記と同様の2段の磁気パルス圧縮回路を用いており、各部での電圧VC0,VC1,VC2,VCpおよび電流パルス波形i0,i1,i2も図15に示したものと同様である。
【0063】
先の第1の実施例においては、電流パルスi0の立上がり時点t3を検出し、この検出信号を発光タイミング信号とするようにしたので、この発光タイミング信号には、時点t3から発光時点t6までの期間td´における電源電圧および温度によるばらつきによる誤差分が含まれている。
【0064】
そこで、この実施例では、この発光遅延時間td´中の電源電圧および温度によるばらつき分を吸収し、発光タイミング信号が常に実発光時点から一定の時間だけ前の時点に発せられるように、電流パルス検出センサ20の検出信号Saをタイミング調整した後、ステッパ装置10側に出力するようにしている。
【0065】
例えば、ステッパ側に対する発光タイミング信号Htの送出時点は、発光遅延時間td´が最も短くなる状態のときの、電流パルス検出センサ20の検出時点t3とする。発光遅延時間td´の最小値が例えば500nsecであるとすると、常に実際にレーザ発光が行われる時点t6から常に500nsec前に発光タイミング信号が送出されるように、電流パルス検出センサ20の検出信号をタイミング調整するのである。
【0066】
したがって、電流パルス検出センサ20の検出信号が出力された時点が発光前の550nsecであると判断された場合は、この検出信号を50nsecだけ遅延させてから発光タイミング信号としてステッパ装置10側に送信する。
【0067】
図8の実施形態では、このような制御を行うようにしており、以下その構成及び作用について説明する。
【0068】
電流パルス検出センサ20は、先の第1の実施形態と同様、電流パルスi1の立上がり時点t3を検出する。この電流パルス検出センサ20の検出信号Saは電圧補償部40および温度補償部50に入力されている。
【0069】
電流パルス検出センサ30は、第1段目の電荷転送回路を流れる電流パルスi0の立上がり時点t1を検出する。その具体構成は図3〜図7に示した電流パルスセンサと同様である。電流パルス検出センサ30の検出信号Sbは温度補償部50に入力されている。
【0070】
なお、上記電流パルス検出センサ20、30の出力Sa,Sbをそのまま通常の電気ケーブルを介して電圧補償部40および温度補償部50に入力するようにした場合、磁気パルス圧縮回路から発生される高速、高電圧パルスと電磁結合して前記検出出力Sa,Sbに多大なノイズが混入し、その後の信号処理が非常に困難になる。そこでこの場合は、上記電流パルス検出センサ20、30の出力Sa,Sbを発光ダイオードなどを用いて光信号に変換し、該変換した光信号を光ファイバを介して電圧補償部40及び温度補償部50に入力するようにしている。
【0071】
電圧補償部40は、電源電圧の変動による発光遅延時間td´のばらつきを補償するものであり、この場合は電源電圧変動による磁気スイッチAL2の飽和時間(τ1+σ2)のばらつきσ2を補償する。
【0072】
図9は、電圧補償部40の一例を示すもので、遅延時間変換部41および遅延部42で構成されている。遅延時間変換部41は、電源電圧指令値を電圧補償用の遅延時間Tdyに変換するもので、例えば、最小電圧から最大電圧までの範囲内での各種電源電圧値と、電圧補償用の遅延時間Tdyとの関係が設定記憶されたメモリテーブルで構成されている。
【0073】
前述したように、ステッパ側に対する発光タイミング信号Htの送出時点を発光遅延時間td´が最も短くなる状態のときの、電流パルス検出センサ20の検出時点t3とするようにした場合は、各種電源電圧に応じた磁気スイッチAL2の飽和時間ばらつきσ2を計測または計算によって求め、このσ2と電源電圧との対応関係をそのままメモリテーブルに記憶するようにすればよい。
【0074】
遅延部42では、図10にその入出力のタイムチャートを示すように、遅延時間変換部41から出力される遅延時間Tdy分だけ電流パルス検出センサ20の検出信号Saを遅延することにより、発光タイミング信号Htの電源電圧補償を実行する。
【0075】
このようにして、図8の電圧補償部40からは電源電圧に起因する発光タイミングの変動が補償されたタイミング信号Sa´が出力される。
【0076】
次に、図8の温度補償部50は、磁気パルス回路内の温度の変動による発光遅延時間td´のばらつきを補償する。すなわち、この場合は、電流パルスi1が流れる第2段の電荷転送回路の電荷転送時間τ1および電流パルスi2が流れる第3段の電荷転送回路の電荷転送時間τ2の温度ばらつきを補償する。
【0077】
図11は、温度補償部50の内部構成の一例を示すもので、この場合は、温度を実際に検出することなく温度補償を行うようにしている。
【0078】
時間差カウンタ51では、電流パルス検出センサ20の検出信号Saと電流パルス検出センサ30の検出信号Sbの時間差をカウントすることで、電流パルスi0の立上がり時点t1から電流パルスi1の立上がり時点t3までの経過時間(τ0+σ1)を求め、この時間差データをτ0算出部52に出力する(図12(a)〜(c)参照)。
【0079】
τ0算出部52では、電圧指令値によって電流パルスi0の立下がり時点t2から電流パルスi1の立上がり時点t3までの経過時間σ1を推定し、時間差カウンタ51から入力され時間差データ(τ0+σ1)から前記推定した時間データσ1を減算することにより、電流パルスi0のパルス幅τ0を求める。したがって、τ0算出部52内には、例えば電源電圧とσ1との対応関係が記憶されたメモリテーブルを有している。
【0080】
遅延時間算出部53は、τ0に関して磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度の変化に対応してとり得る各種値と、発光タイミング信号Htを実発光時点から一定の時間だけ前の時点に常に発生させるための温度補償用の遅延時間Tdy´との対応関係が記憶されたメモリテーブルを有している。上記遅延時間Tdy´には、温度の変動に応じたτ1、τ2の変動分が考慮されており、該遅延時間Tdy´をτ0値と対応付けられるように設定している。すなわち、τ0が決まれば、τ1、τ2との各値は予測できるので、これらτ1およびτ2を用いれば、実際の発光時点t6が電流パルスi1の立上がり時点t3から何nsec後であるか(この場合は、温度補償だけであるのでσ2=0とする)を予測することができる。そして、この予測した実発光時点までの時間τ1+τ2に基づき、発光タイミング信号Htを常に実発光時点から一定の時間だけ前の時点に発生させるためには、電流パルス検出センサ20の検出信号Saをどのくらい遅延させればよいかを計算することで、上記遅延時間Tdy´を求めることができる。
【0081】
遅延時間算出部53では、メモリテーブルからτ0 算出部52から出力されるτ0値に対応する遅延時間Tdy´値を選択し、該選択した遅延時間Tdy´値を遅延部54に出力する。
【0082】
遅延部54では、図12(d)にそのタイムチャートを示すように、遅延時間算出部53から出力される遅延時間Tdy´分だけ電流パルス検出センサ20の検出信号Sa(この場合は電圧補償部40の出力信号Sa´)を遅延することにより、発光タイミング信号Htの温度補償を実行する。
【0083】
このようにして、図8の温度補償部50からは雰囲気温度の変動分が補償された発光タイミング信号Htが出力される。
【0084】
このようにこの第2の実施形態では、電源電圧および環境温度の変化を補償することにより電源電圧および環境温度の変化が発生しても常に各パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発生される発光タイミング信号を半導体露光装置側へ送信するようにしているので、レーザの発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度をさらに向上させることができる。
【0085】
なお、上記実施例においては、2段の磁気パルス圧縮回路に本発明を適用するようにしたが、3段以上磁気パルス圧縮回路に本発明を適用するようにしてもよい。また、本発明では、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出するようにしたが、レーザ同期トリガ信号TRより後の磁気パルス圧縮途中のタイミングを検出できるものであれば、電流パルスの立上がり時点を検出する電荷転送回路の段数は任意に設定するようにすればよい。
【0086】
また、実施例では温度を実際に検出しないで温度補償を行うようにしたが、実際に温度センサを設け、該温度センサの検出温度を用いて発光タイミング信号の温度補償を行うようにしてもよい。
【0087】
また、実施例では、コンデンサ間の電荷転送時間と磁気スイッチの飽和時間が一致するように、すなわちσ0〜σ2が0になるように、電源電圧V0の最大値を設定し、この最大電圧値を超えない範囲で電源電圧制御を行うようにしているが、このような電源電圧制御を行わない装置に対しても本発明を適用することができる。
【0088】
また、上記実施例では、温度補償および電圧補償はレーザ側で行うようにしたが、これら補償のために必要なデータを発光タイミング信号とともにレーザ側からステッパ側に送信し、温度補償および電圧補償をステッパ側で行わせるようにしてもよい。また、上記実施例では、発光タイミング信号が常に実発光時点から所定時間前に発せられるようにレーザ側で温度補償および電圧補償を行うようにしたが、電流パルス検出センサ20の検出信号を発光タイミング信号としてステッパ側に送出するとともに、この発光タイミング信号から何nsec後に実発光が発生することを示す数値データをステッパ側に送出するようにしてもよい。
【0089】
さらに、上記実施例では、レーザ装置をステップスキャン方式の露光制御を行う半導体露光装置に接続し、レーザ装置から発生された発光タイミング信号をステップスキャン方式の半導体露光装置に入力するようにしたが、レーザ装置が一括露光方式の半導体露光装置に接続されるような場合であっても上記発光タイミング信号を一括照射方式の半導体露光装置に入力するようにしてもよい。一括露光方式においては、ウェハが載置されたステージを停止させてひとつのICチップ全体を一括レーザ照射して露光を行うが、レーザ照射位置を露光の終了したICチップ位置から次のICチップへと移動させる際にはステージの移動制御を行わなくてはならない。そこで、一括照射方式の半導体露光装置においても、レーザ装置側から送られてくる上記発光タイミング信号を利用して、ステージ移動開始のタイミングや作業開始のタイミングを決定するようにすれば、レーザの発光タイミングと半導体露光装置側での制御タイミングとの同期精度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す回路ブロック図。
【図2】この発明を適用した場内のエキシマレーザ及びステッパの制御系の構成を示すブロック図。
【図3】電流パルス検出センサの具体構成例をおよびその場合の電流および電圧波形を示す図。
【図4】電流パルス検出センサの他の具体構成例をおよびその場合の電流および電圧波形を示す図。
【図5】電流パルス検出センサの他の具体構成例をおよびその場合の電流および電圧波形を示す図。
【図6】電流パルス検出センサの他の具体構成例を示す図。
【図7】電流パルス検出センサの他の具体構成例をおよびその場合の電流および電圧波形を示す図。
【図8】この発明の第2の実施形態を示す回路ブロック図。
【図9】電圧補償部の内部構成例を示す図。
【図10】図9の遅延部の入出力信号のタイムチャート。
【図11】温度補償部の内部構成例を示す図。
【図12】図11の各部の信号のタイムチャート。
【図13】従来のエキシマレーザ及びステッパの制御系の構成を示すブロック図。
【図14】従来技術を示す図。
【図15】磁気圧縮回路の各部の電圧および電流波形を示す図。
【図16】ステップスキャン方式の縮小投影露光を説明する図。。
【符号の説明】
1…エキシマレーザ 2…レーザチャンバ 3…パルス電源装置
4…エネルギーモニタ 5…レーザコントローラ 6…主放電電極
7…IC 10…ステッパ装置 11…ステッパコントローラ
12…ウェハテーブル 20…電流パルス検出センサ
22…コア 30…電流パルス検出センサ 40…電圧補償部
50…温度補償部 AL0〜AL2…磁気スイッチ
HV…高電圧電源 SW…主スイッチ
C0〜C2a…コンデンサ Cp…ピーキングコンデンサ

Claims (6)

  1. 充電電源に対し直列に接続された複数の磁気スイッチとそれぞれが前記充電電源に対し並列に接続された複数のコンデンサとによって複数段の電荷転送回路を構成し、この複数段の電荷転送回路によって電流パルスを複数段に圧縮する磁気パルス圧縮回路と、
    この磁気パルス圧縮回路に前記充電電源を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、
    前記磁気パルス圧縮回路の出力端に接続されたレーザ放電電極と、
    を有し、
    半導体露光装置側より受信した所定の繰り返し周波数を有するレーザ発振同期信号をトリガとして前記スイッチング手段をオンすることにより、所定の繰り返し周波数のパルスレーザ発振を実行するパルスレーザにおいて、
    前記磁気パルス圧縮回路における予め設定された所定の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する電流検出手段と、
    この電流検出手段の検出信号を各パルスレーザ発振の発光タイミング信号として前記半導体露光装置側へ出力する出力手段と、
    を具えるようにしたことを特徴とするパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
  2. 前記出力手段は、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるように前記充電電源に対する電圧指令値に応じて前記電流検出手段から出力される検出信号のタイミング調整を行い、このタイミング調整した信号を発光タイミング信号として前記半導体露光装置へ出力する電圧補償手段を具えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
  3. 前記出力手段は、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で前記発光タイミング信号が常に発せられるように磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度を考慮して前記電流検出手段から出力される検出信号のタイミング調整を行い、このタイミング調整した信号を発光タイミング信号として前記半導体露光装置へ出力する温度補償手段を具えるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
  4. 前記電流検出手段は、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出するものである請求項1記載のパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
  5. 前記電流検出手段は、
    前記所定の段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチに直列接続されるインダクタンス手段と、
    このインダクタンス手段の誘導起電力を検出することにより前記電流パルスの立上がりを検出する電圧検出手段と、
    を具えるようにしたことを特徴とする請求項1記載のパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
  6. 充電電源に対し直列に接続された複数の磁気スイッチとそれぞれが前記充電電源に対し並列に接続された複数のコンデンサとによって複数段の電荷転送回路を構成し、この複数段の電荷転送回路によって電流パルスを複数段に圧縮する磁気パルス圧縮回路と、
    この磁気パルス圧縮回路に前記充電電源を断続するスイッチング動作を行うスイッチング手段と、
    前記磁気パルス圧縮回路の出力端に接続されたレーザ放電電極と、
    当該段の電荷転送回路での電荷転送が完全に終了した時点で次段の電荷転送回路に含まれる磁気スイッチが飽和する電圧を制御最大電圧として前記充電電源に電圧指令を出力する制御手段と、
    を有し、
    半導体露光装置側より受信した所定の繰り返し周波数を有するレーザ発振同期信号をトリガとして前記スイッチング手段をオンすることにより、所定の繰り返し周波数のパルスレーザ発振を実行するパルスレーザにおいて、
    前記磁気パルス圧縮回路の最終段の1つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する第1の電流検出手段と、
    前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立上がり時点を検出する第2の電流検出手段と、
    前記第1及び第2の電流検出手段の各検出時点の時間差を求める第1の演算手段と、
    前記制御手段から出力される電圧指令値に応じて前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスの立下がり時点から最終段の1つ前の段の電流パルス圧縮回路を流れる電流パルスの立上がり時点までの時間間隔を推定演算する第2の演算手段と、
    前第1の演算手段によって求められた時間差から前記第2の演算手段の演算値を減算することにより、前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電荷転送回路を流れる電流パルスのパルス幅を演算する第3の演算手段と、
    前記磁気パルス圧縮回路の最終段の2つ前の段の電流パルス圧縮回路を流れる電流パルスのパルス幅が磁気パルス圧縮回路の雰囲気温度の変化に対応してとり得る各種値と、当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発光タイミング信号が常に発せられるよう前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延させるための各種遅延時間との対応関係が予め設定されるメモリテーブル手段と、
    前記メモリテーブル手段から前記第3の演算手段の演算値に対応する遅延時間を読み出し、該読み出した遅延時間に対応して前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御する温度補償手段と、
    当該パルスレーザの実発光時点より予め設定された所定時間だけ前の時点で発光タイミング信号が常に発せられるよう前記充電電源に対する電圧指令値に応じて前記第1の電流検出手段の検出信号を遅延制御する電圧補償手段と、
    前記温度補償手段および前記電圧補償手段によって遅延制御された前記第1の電流検出手段の検出信号を各パルスレーザ発振の発光タイミング信号として前記半導体露光装置側へ出力する出力手段と、
    を具えるようにしたことを特徴とするパルスレーザの発光タイミング信号送出装置。
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