JP3734115B2 - ビリルビン画分の測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生体体液試料(血しょう、血清、尿等)中に含まれるビリルビン画分の測定方法に関する。更に詳細には、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応するビリルビンオキシダーゼを利用した、生体体液試料中のビリルビン非δ画分およびビリルビンδ画分の測定法、及び測定キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビリルビンは老化赤血球由来のヘモグロビンの代謝産物で胆汁色素の主成分である。血液中には、側鎖のプロピオン酸基が肝臓で酵素的に主にグルクロン酸とエステル結合し水溶性が増加した画分(抱合型)と、プロピオン酸基が遊離の状態のままであり水溶性が低い画分(遊離型)が主に存在する。前者はジアゾ試薬と容易に反応するために直接型ビリルビンと称され、後者はアルコールなどの反応促進剤の存在下において初めてジアゾ試薬と反応するため、反応促進剤の存在下全てのビリルビンをジアゾ発色して求められる総ビリルビンから直接ビリルビンを差し引いた、間接型ビリルビンとして促らえられている。
これらの抱合型および遊離型の各ビリルビン濃度を分別定量することにより各種肝疾患、溶血性疾患などによる黄だんの鑑別及び診断を行うことができるため、ビリルビンの測定は臨床検査における重要な項目となっている。
【0003】
一方、ジアゾ試薬との反応性とは別に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるビリルビンの分画分析も研究として行われている。HPLCによると血清中のビリルビンは主にα、β、γ、δの4画分に分離され、それぞれ、α画分は遊離型ビリルビン、β画分は1分子中に2つある側鎖のプロピオン酸基の1つのみがグルクロン酸とエステル結合をしているビリルビン(ビリルビンモノグルクロナイド)、γ画分はプロピオン酸基が2つともグルクロン酸とエステル結合をしているビリルビン(ビリルビンジグルクロナイド)、δ画分はアルブミンとビリルビンが共有結合をしているものと同定されている。また、δ画分はγ画分とアルブミンが非酵素的に反応した結果、生成したものと推定されている(山本 俊夫:日内会誌,78(11),36〜41(1989))。
ジアゾ試薬との反応性による分類では、α画分は間接型ビリルビン、βとγ及びδ画分は直接型ビリルビンに相当するとされる(John J.Lauff:Clin.Chem.,28(4),629〜637(1982))。
β及びγ画分は水溶性低分子化合物であるため腎臓の糸球体を容易に通過し、尿中へ速やかに排出される結果、血液中には長時間存在し得ない。δ画分はこれらとは異なり、ビリルビンとしてよりはむしろアルブミンとして代謝を受け、血中の半減期は他の画分が数10分程度なのに対して2〜3週間にも及ぶと考えられている(John J.Lauff:J.Chromatogr.,226,391〜402(1981)、J.S.Weiss:N.Engl.J.Med.,309,147〜156(1983))。
【0004】
従来からのジアゾ法に基づく血清ビリルビンの測定結果は、黄だん特に高直接型ビリルビン血症において、病状の初期には重要な情報をもたらし得るが、経過観察においては変化が遅く鈍感な検査と位置付けられていた。この現象は、γ画分とアルブミンが反応してδ画分が増加することにより、ビリルビンの代謝速度が見掛け上緩慢となり、病態の改善および/あるいは悪化とビリルビン測定結果にずれを生じる為であることが明らかにされている。即ち、緩慢な代謝過程を有し、しかも直接型ビリルビンの反応性を示すδ画分が検体中に多量に存在する場合、ジアゾ法に基づくビリルビン測定結果は、総あるいは直接ビリルビンによらず臨床的価値が消失することを意味する(山本 俊夫:胆肝膵,11(3),393〜400(1985))。
そこで、病態を敏感に反映し得るビリルビン測定値を模索する意味で、α〜δの各画分を分別定量する試みがなされた。その1つが上述のHPLC法であり(John J.Lauff:J.Chromatogr.,226,391〜402(1981))、煩雑な検体前処理工程を極力省略した形で改良が進められている(Nakamura H.:Bunsekikagaku,36,352〜355(1987)、Yukihiko Adachi:Gastroenterologia Japonica,23(3),268〜272(1988).加藤 裕子:近畿大医誌,第14巻1号 97〜112(1989))。
【0005】
これらHPLC法の結果から、δ/(β+γ+δ)、(β+γ)/δ、あるいはβ/δというビリルビン各画分の比が肝疾患の病態を鋭敏に反映し、特に予後の把握に有用であると報告されている。ビリルビンの各画分の測定は、従来のジアゾ法に基づくビリルビン測定の問題点を解決し、しかも1回の検査結果のみで病状の推移さえ把握しえる情報が得られることから、血清ビリルビンの肝機能検査上の地位を一新せしめたものと評価されている(山本 俊夫:胆肝膵,11(3),393〜400(1985))。
しかしながら、これらHPLC法は煩雑な前処理工程をいかに省略したとはいえ1検体当たりの分析に約1時間を要し、多数の検体を日常分析し得る方法とは言い難く、あくまでも研究用の測定法と考えられる。
一方、より実用性の高いビリルビン画分測定法として、Wuらによりドライケミストリー法(Ektachem法)が開発された。これは、特殊なフィルムを用いてδ画分を含む蛋白質を分離除去した後、フィルムを透過した低分子ビリルビン画分はカチオンポリマーと反応せしめられる。この結果、遊離型ビリルビン(α画分)と抱合型ビリルビン(β+γ画分)は反射光スペクトルが相互に変化する結果、400nmと460nmにおいてそれぞれ分別定量され得るといった原理に基づく。δ画分は、ジアゾ法に基づく総ビリルビン測定結果から、遊離型ビリルビン(α画分)と抱合型ビリルビン(β+γ画分)の測定結果を差し引くことによって求められる。即ち、Ektachem法では総ビリルビン濃度、遊離型ビリルビン(α画分)濃度、抱合型ビリルビン(β+γ画分)濃度およびδ画分濃度がそれぞれ分別定量される(Tai−Wing Wu:Clin.Chem.,30(8),1304〜1309(1984))。
【0006】
Ektachem法は1検体に要する測定時間も数分単位であり実用性に優れた画分定量法と考えられる。Ektachem法における測定結果は、先に述べたHPLC法と比較検討され、高直接型ビリルビン血症では良好な一致性を認めたと報告されている。しかしながら、総ビリルビン濃度が正常範囲である場合(1.3mg/dl以下)や高間接型ビリルビン血症の場合は、測定されるδ画分がHPLC法と比較して著しく乖離するとも報告されている(YukihikoAdachi:Gastroenterologia Japonica,23(3),268〜272(1988))。
また、反射光強度における測定のため有色物質の影響を強く受けるといった欠点も有する(Young D.S.:Washington D.C.AACCPress(1990).Young D.S.:1991 Supplement.Washington D.C.AACC Press(1991).
Friedoman R.B.:Washington D.C.AACC
Press(1990))。さらにドライケミストリーであるために特殊な測定装置を必要とし、臨床検査化学における他の測定項目のように多数の検体を同時多項目測定に処し得るといった汎用性に欠ける欠点も有する。
【0007】
さらに実用性を考慮にいれたビリルビン画分定量法も高坂ら(高坂 彰:生物試料分析,9(3),15〜23(1986). 特開昭62−105047)や馬地ら(馬地 久美:臨床病理,37(8),905〜910(1989))により報告されている。
高坂らによる方法はMyrothecium Verrucaria由来のビリルビンオキシダーゼをpH10.0で検体に作用させβとγ画分を酸化消去した後に、ジアゾ直接反応を行いδ画分のみをジアゾ発色に導き測定するが、αとδ画分双方をジアゾ間接反応(アルコールなどの反応促進剤の存在下におけるジアゾ反応)によりジアゾ発色に導き測定し、総ビリルビン濃度測定結果あるいは直接ビリルビン濃度測定結果からそれぞれ差し引くことによりα画分、β+γ画分、δ画分の濃度を測定するものである。
この方法は、まず、Myrothecium Verrucaria由来のビリルビンオキシダーゼによりβとγ画分を酸化消去する際にα画分の一部も同様に酸化消去されてしまうこと、ジアゾ直接反応時にα画分の一部もジアゾ発色すること、さらにδ画分をジアゾ発色させる際、直接反応と間接反応間において反応の程度が異なること、などの非常に複雑な誤差を発生する結果、δ画分がHPLC法と比較して乖離する傾向を示す(高坂 彰:生物試料分析,9(3),15〜23(1986). John J.Lauff:Clin.Chem.,28(4),629〜637(1982). Lo H.D.:Clim.,29,31〜36(1983))。
また、この方法は反応過程が多段階であり基本的には手作業による測定を余儀なくされ、汎用型の2試薬系自動分析装置に適合せず、簡便性に欠ける欠点を有する。
【0008】
馬地らの方法はTrachyderma tsunodae由来のビリルビンオキシダーゼをサリチル酸の存在下でpH8.0で検体に作用させ、αとβとγ画分を酸化消去した後にジアゾ反応を行いδ画分のみをジアゾ発色に導き測定するものである。各画分の測定は高坂らの方法と同様に、δ画分の濃度測定結果及び総ビリルビン濃度測定結果あるいは直接ビリルビン濃度測定結果からそれぞれを差し引くことによりα画分、β+γ画分、δ画分の濃度を測定するものである。
この方法では、サリチル酸の存在下Trachyderma tsunodae由来のビリルビンオキシダーゼは、δ画分も40%程度酸化消去してしまい、δ画分の正確な測定は不可能である。また、この方法も反応過程が多段階であり基本的には手作業による測定を余儀なくされ、汎用型の2試薬系自動分析装置に適合せず、簡便性に欠ける欠点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べてきたように、血清ビリルビンの測定はδ画分の割合が多い場合、従来からのジアゾ法では病態を正確に反映し得ず、ビリルビン画分定量結果のみが病態を敏感に反映し得るものと位置付けられている。そして、このビリルビン分画定量を成し得る為の技術的突破点こそδ画分の簡便な測定法の開発であることは明らかである。しかしながら、日常の検査において、他の項目の様に多数の検体を同時多項目測定に処し得る2試薬系の汎用型自動分析装置に適合した、δ画分の測定試薬は現在のところ存在しない。従って、δ画分測定を可能とする、信頼性の高い自動分析用測定試薬の開発が待ち望まれている。
本発明は上記した現状に鑑みなされたもので、現在のところ基準法と考えられるHPLC法と相関性が良好であり、多数の検体を同時多項目測定に処し得る2試薬系の汎用型自動分析装置に適合した、ビリルビン画分定量方法及び測定キットを提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ビリルビンオキシダーゼによるビリルビン酸化反応において、δ画分の酸化を抑制しながら、α、β、γの各画分の酸化反応を昂進させる反応条件をHPLC分析により鋭意検討した結果、カチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤の添加がδ画分の酸化を抑制し、かつ、α〜γ画分の酸化を昂進する事実を発見した。
さらにPleurotus属由来のビリルビンオキシダーゼが、Myrothecium Verrucaria由来のビリルビンオキシダーゼあるいはTrachyderma tsunodae由来のビリルビンオキシダーゼとは異なり、カチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤の共存下においても著しい阻害を受けないことも発見した。
これらの発見を組合わせ更に研究を重ねることにより、δ画分の酸化を実質的に抑制した状態でα〜γ画分をほぼ完全に酸化せしめる本発明技術を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、生体体液試料に、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下、該界面活性剤共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有するビリルビンオキシダーゼを、酸化剤として作用させ、反応したビリルビン非δ画分量または未反応ビリルビンδ画分量を測定することにより、該生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を測定する、ビリルビン画分の測定方法に関する。
更に、本発明は、生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度の測定方法であって、
i)生体体液試料に、総ビリルビンと反応する試薬を作用させて総ビリルビン濃度を求め、一方、
ii)上記方法によりビリルビン非δ画分濃度を求め、次いで、
iii)前記i)で求めた総ビリルビン濃度測定値から前記ii)で求めたビリルビン非δ画分濃度測定値を差し引くことによりビリルビンδ画分濃度を求める、
生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度の測定方法に関する。
更に本発明は、生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を測定するためのキットであって、
i)カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤、および
ii)該界面活性剤共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有するビリルビンオキシダーゼ
を必須成分とするビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度測定キットに関する。
更に本発明は、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有するビリルビンオキシダーゼの、生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度またはビリルビン非δ画分濃度を測定するための使用に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とする生体体液試料とは、生体中の体液から入手できる試料で、主に血漿、血清、尿等をいう。
本発明で用いるカチオン型界面活性剤としては、下記式(I),(II)及び(III )
【化1】
Figure 0003734115
(式中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基、Xm-はm価の陰イオン、nは7〜17の整数を示す。)
で表わされる第4級アンモニウム塩を好ましく挙げることができる。
【0013】
上記一般式(I)において、R1 、R2 およびR3 で示される炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが、炭素数5〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが、炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。R1 、R2 およびR3 は、たがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(I),(II)及び(III )において、1/mXm-の例としては、F- 、C1- 、Br- 、I- のハロゲンイオン、NO3 - 、1/2SO4 2-、1/2SO3 2-、CH3 SO4 - 、p−トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられる。CH3 (CH2 n −で示される基としては、例えば、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
上記一般式(I)で表される第四級アンモニウム塩の例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩;ドデシルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリエチルアンモニウム塩;ドデシルトリプロピルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリプロピルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリプロピルアンモニウム塩;ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(ゼフィラミン)、ドデシルジエチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラデシルジエチルベンジルアンモニウムクロリドなどのベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0014】
上記一般式(II)で表される第四級アンモニウム塩の例としては、デシルピリジニウムクロリド、ドデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミドなどのアルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
上記一般式(III )で表わされる第四級アンモニウム塩の例としては、 デシルビピリジニウムクロリド、ドデシルビピリジニウムブロミド、テトラデシルビピリジウムブロミドなどのアルキルビピリジウム塩等を挙げることができる。
上記したカチオン型界面活性剤のなかでも、アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、特にC12〜C16アルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。上記したカチオン型界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明で用いるノニオン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレン鎖を親水性ドメインとするノニオン型界面活性剤が好ましい。このようなノニオン型界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(iso−アルキル)エーテル(アデカトールSO−135、旭電化(株)商品名)、ポリオキシエチレン(n−アルキル)エーテル(エマルゲン707、花王(株)商品名)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(Brij58,アルドリッチ商品名)などのポリオキシエチレン(n−アルキルあるいはiso−アルキル)エーテル;ポリオキシエチレン(n−ノニルフェニル)エーテル(アデカトールNP−675、旭電化(株)商品名)、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル(Triton X−100及びX−40S,ロームアンドハース(株)商品名)などのポリオキシエチレン(n−アルキルフェニルあるいはiso−アルキルフェニル)エーテル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物(プルロニックF68,旭電化(株)商品名),エチレンジアミンのポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン縮合物(テトロニック704,旭電化(株)商品名)などのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー構造を有するノニオン型界面活性剤;オクチルグルコシド,オクチルチオグルコシド,オクチルマルトシドなどのグリコシド化合物等が挙げられる。
これらのなかでも、ポリオキシエチレン(n−アルキルあるいはiso−アルキル)エーテルが好ましい。上記したノニオン型界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、上記したカチオン型界面活性剤単独、あるいはカチオン型界面活性剤と上記したノニオン型界面活性剤とを組み合わせて用いるのが好ましく、特に両者を組み合わせて用いた場合には、後の実施例において示されるように相乗効果を発揮するので特に好ましい。
【0016】
本発明で用いるビリルビンオキシダーゼは、上記したカチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下でビリルビンδ画分とは実質的に反応しないがビリルビン非δ画分(α、β及びγ画分)とはほぼ完全に酸化反応する性質を有するビリルビンオキシダーゼであり、そのような性質を有するものであればいずれのビリルビンオキシダーゼでも用いることができる。
このようなビリルビンオキシダーゼとしては、そのような性質を持つビリルビンオキシダーゼ生産能を有する担子菌から得られるものが挙げられる。好ましいビリルビンオキシダーゼとしては、例えば、Pleurotus ostreatus IFO 9669株などのPleurotus属;Melanoleuca melaleuca B−43 FERM BP−570株などのMelanoleuca属;あるいはAgaricus bisporus IFO30774株などのAgaricus属に属する担子菌由来のものが挙げられる。特にPleurotus属由来のビリルビンオキシダーゼが好ましい。
【0017】
本発明によれば、ビリルビンを含む生体体液試料に、上記したカチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下に、上記したビリルビンオキシダーゼを酸化剤として作用させることによって、生体体液試料中のビリルビンのδ画分の酸化を実質的に抑制した状態でα、β及びγ画分をほぼ完全に酸化せしめることができることが見出された。従って、生体体液試料にビリルビンオキシダーゼを作用させた後に、反応したビリルビン非δ画分(α、β及びγ画分)量または未反応ビリルビンδ画分量を測定することによって、生体体液中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を正確に求めることが可能である。
【0018】
生体体液試料にビリルビンオキシダーゼを反応させる際に用いるカチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の使用し得る濃度範囲は、低濃度に過ぎるとビリルビンのδ画分の酸化反応抑制効果およびα〜γ画分の酸化反応昂進効果が十分に得られず、また高濃度に過ぎるとビリルビンオキシダーゼへの阻害が増強され酸化反応が妨害される。従って、反応液中において、0.01〜10%の濃度にて使用するのが好ましい。より好ましくは0.02〜5%、特に好ましくは0.05〜2%の濃度範囲である。
ビリルビンオキシダーゼの使用量は、反応液中で、0.1〜10KU/lの濃度、特に0.5〜5KU/lの濃度が好ましい。
ビリルビンオキシダーゼを作用させる際の反応液のpH範囲は、酵素活性が発現しうる範囲であれば特に限定されないが、pH4.0〜9.0が好ましく、pH5.5〜7.5が特に好ましい。
ビリルビンオキシダーゼを反応させる際の温度は、通常25〜40℃であり、また反応時間は通常3分〜15分である。
本発明の測定方法においては、生体成分の測定に通常用いられる試薬類、例えば緩衝種、防腐剤、キレート化剤等を公知の方法に準じて適宜選択して使用してもよい。
【0019】
生体体液試料にビリルビンオキシダーゼを作用させた後に、反応したビリルビン非δ画分量または未反応ビリルビンδ画分量は、例えば、生体体液試料の光学的変化を測定することにより求めるのが好ましい。自動分析装置に適用できるからである。具体的には、ビリルビンに基づく波長域、430〜460nm、通常450nmにおける吸光度変化を測定することにより求めることができる。
本発明を実施するには、例えば以下のように行えばよい。即ち、生体体液試料の光学的変化に基づいてビリルビン非δ画分濃度の測定を行うには、カチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤を含む緩衝液を第1試薬液とし、これと血しょう、血清、尿等のビリルビンを含む生体体液試料を混合し、この溶液中のビリルビンに基づく波長域(430〜460nm)における吸光度を測定する(吸光度1)。ついで、該溶液にビリルビンオキシダーゼを含む第2試薬液を添加して25〜40℃で、3〜15分間ビリルビンの酸化反応を行った後、再度溶液中のビリルビンに基づく波長域(430〜460nm)における吸光度を測定する(吸光度2)。得られた吸光度1及び吸光度2の値に液量補正等を処した後、酸化反応前後での吸光度変化量を求める。この値と、予めビリルビン濃度既知の標準液を用いて上記と同様の操作により得られた吸光度変化量に基づいて作成した検量線から、生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度を求めることができる。このようなビリルビン非δ画分濃度の測定方法は自動分析装置に適用できる。
【0020】
生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度は、あらかじめ生体体液試料中の総ビリルビン濃度を求め、上記した方法によって得られるビリルビン非δ画分濃度を総ビリルビン濃度から差し引くことによって求めることができる。
総ビリルビン濃度を求める方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、酸化剤としてバナジン酸を作用させて生体体液試料の光学的変化(430〜460nm、通常450nmにおける吸光度変化)を測定する方法(特開平5−18978号公報)、酸化剤として亜硝酸を作用させて生体体液試料の光学的変化(430〜460nm、通常450nmにおける吸光度変化)を測定する方法(WO96/17251)、生体体液試料に反応促進剤の存在下にジアゾ試薬を反応させてアゾ色素を生成させて測定する方法(Clin.Chem.,19,984〜993(1973))などが挙げられる。また、酸化剤としてビリルビンオキシダーゼを作用させて生体体液試料の光学的変化(430〜460nm、通常450nmにおける吸光度変化)を測定する方法(BillyPerry,Basil T.Doumas et al.,Clin.Chem.,32(2),329−332(1986).Shogo Otsujiet al.,Clin.Biochem.,21,33〜38(1988))でも良い。
【0021】
あるいは、生体体液試料中のビリルビンδ画分は、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下で生体体液試料にビリルビンオキシダーゼを作用させ、未反応の残存するビリルビン量を、上記した公知の方法、例えばバナジン酸あるいは亜硝酸を用いて試料の光学的変化(430〜460nm、通常450nmにおける吸光度変化)を測定する方法、あるいはジアゾ試薬を用いる方法によって、総ビリルビン濃度を求めることなく直接測定することによって求めることもできる。この場合、用いた界面活性剤が存在してもδビリルビンを酸化させる酸化剤を選ぶことが肝要である。
【0022】
あるいはまた、生体体液試料に、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下で、ビリルビンオキシダーゼを作用させる前及び後に、それぞれ生体体液試料を公知のHPLC法(John J.Lauff:J.Chromatogr.,226,391〜402(1981);Nakamura H.;Bunsekikagaku,36,352〜355(1987);Yukihiko Adachi:Gastroenterologia Japonica,23(3),268〜272(1988);加藤裕子:近畿大医誌,第14巻1号 97〜112(1989))によってHPLC分析に付し、ビリルビンオキシダーゼを作用させる前と後の分析値を比較対応させることによって、ビリルビン非δ画分濃度及びビリルビンδ画分濃度を求めることもできる。
【0023】
以上に述べたところから明らかなように、本発明によれば、生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を測定するためのキットが提供される。かかるキットは、
i)上記したカチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤、および
ii)該界面活性剤共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有する上記したビリルビンオキシダーゼ、
を必須構成成分とするものである。これらの成分以外に、通常の生体成分の測定に用いられる試薬、例えば緩衝液、防腐剤、キレート化剤、稀釈液などが追加されていてもよい。またキットは自動分析装置に適用可能なように調整されたものが好ましい。
【0024】
【発明の効果】
以上に述べた通り本発明方法においては、生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度を直接測定することができる。更にビリルビンδ画分も測定することができる。またこれらの測定は生体体液試料に測定試薬を加えて何らの特別な物理的分離手段を要せず測定可能である。更にこれらの測定は生体体液試料の光学的変化を測定することによって実施できるため自動分析装置に適用可能である。また自動分析装置に、従来からの総あるいは直接ビリルビンの測定と同時に、本発明におけるビリルビン非δ画分あるいはビリルビンδ画分濃度測定試薬を設置し該試料中のビリルビン非δ画分及びビリルビンδ画分の測定を行った場合、これらの測定値と、総あるいは直接ビリルビン濃度の測定値を種々組合わせて得られるα画分濃度、(β+γ)画分濃度、(β+γ+δ)画分濃度に基いて自動分析装置の項目間演算機能により、δ/(β+γ+δ)、(β+γ)/δ等の有用な情報を簡便に得ることが可能となる。
【0025】
【実施例】
以下に参考例及び実施例を挙げ本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
参考例1 HPLCによるビリルビン分画分析
HPLCによるビリルビンの分画分析はLauffらの方法(John J.Lauff:Clin.Chem.,28(4)629−697(1982))により行った。ただし、血清検体に対して硫酸ナトリウムによる塩析を行わず、未処理のまま分析に処した。検体中のグロブリンがカラムに吸着し劣化を早める結果となるが、ビリルビンの各画分の変性を防止することを目的とした為である。 HPLCは日立HPLCシステム(Columu Oven L−7300、UV Detector L−7400、Pump L−7100、Integrator D−7500)に関東化学(株)製の逆相系カラムLichrospher 100 RP−18(10μm)を接続して使用した。
ビリルビン画分は、A液:(精製水950容/2−メトキシエタノール50容/りん酸にてpH2.1に調製)とB液:(イソプロパノール950容/2−メトキシエタノール50容/りん酸2.5容)の2液間におけるイソプロパノールの直線勾配により溶出させ、450nmの波長により検出した。
黄だん血清検体を、このHPLCによりビリルビン分画分析に処した場合の典型的な分画パターンを図1に示した。既に報告されているように、α〜δの4画分が観察される。
【0026】
本発明の方法を実施する場合には、血清検体16μlに対して本発明におけるカチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤を含む緩衝液(R−1)480μlを添加し、37℃5分間加温する。さらに120μlの生理食塩水を添加し、37℃5分間加温後0.45μmのメンブランフィルターにてろ過したろ液100μlをカラムに注入する。以下の実施例に示すようにビリルビンオキシダーゼによる各画分の酸化を分析する場合は、生理食塩水に替えてビリルビンオキシダーゼを含む緩衝液(R−2)120μlを添加する以外は上記と同様にして分析に処す。
【0027】
実施例1 添加剤によるα、β及びγ画分の酸化昂進およびδ画分の酸化抑制
以下の試薬条件において、Pleurotus ostreatus IFO9669株由来のビリルビンオキシダーゼ(株式会社 盛進)における、α、β及びγ画分の酸化昂進およびδ画分の酸化抑制に影響を及ぼす添加剤をスクリーニングした。
Figure 0003734115
第1試薬をR−1、第2試薬をR−2として、参考例1記載の方法によりビリルビン高値プール血清を反応後、HPLCによるビリルビン分画分析に処した。このときに得られる分画パターンからα及びδ画分に基づくピーク面積を求め、未反応時(生理食塩水をR−2として操作した場合)のピーク面積と比較することにより、α及びδ画分の酸化に及ぼす添加剤の影響を検討した。尚、β及びγ画分は、すべての反応においてピークが消失していることが確認された。未反応時の各画分のピーク面積を100%として、反応後のピーク面積を残存率として計算し、結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0003734115
【0029】
表1から明らかなように、カチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤の添加がδ画分の酸化を抑制し、かつ、α、β及びγ画分の酸化を昂進している。
実施例2 ビリルビンオキシダーゼの由来による反応性の差
以下の試薬条件においてカチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤の存在下、Myrothecium Verrucaria由来のビリルビンオキシダーゼ(天野製薬(株))、Trachyderma tsunodae由来のビリルビンオキシダーゼ(宝酒造(株))、Pleurotusostreatus由来のビリルビンオキシダーゼ(株式会社 盛進)における、各画分の酸化状態をHPLC分画分析により解析した。
Figure 0003734115
【0030】
参考例1記載の方法によりビリルビン高値プール血清を反応後、HPLCによるビリルビン分画分析に処した。実施例1記載の方法と同様に、得られる分画パターンから各画分に基づくピーク面積を求め、未反応時(生理食塩水をR−2として操作した場合)のピーク面積と比較することにより、各画分の酸化状態を検討した。未反応時の各画分のピーク面積を100%として、反応後のピーク面積を残存率として計算し、結果を表2に示した。また、図2に未反応時及びPleurotus ostreatus由来のビリルビンオキシダーゼ(株式会社盛進)による反応後の分画パターンを示した。
【0031】
【表2】
Figure 0003734115
【0032】
表2及び図2から明らかなように、カチオン型界面活性剤および/あるいはノニオン型界面活性剤の存在下では、Myrothecium Verrucaria由来のビリルビンオキシダーゼ(天野製薬(株))あるいはTrachyderma tsunodae由来のビリルビンオキシダーゼ(宝酒造(株))は著しく反応が阻害され、ビリルビン各画分を酸化し得ない。これらに対して、Pleurotus ostreatus由来のビリルビンオキシダーゼ(株式会社 盛進)は阻害を受けず、α、β、γ画分をほぼ完全に酸化し、かつ、δ画分をほぼ100%残存させている。
【0033】
実施例3 本発明方法と従来のHPLC法との相関性
25例の血清検体を、参考例1記載の方法によりHPLCによるビリルビン分画分析に処した。それぞれの分画パターンから全ピーク面積に対するビリルビン非δ画分相当ピーク面積(α+β+γ)の割合を求め、総ビリルビン濃度測定値を乗じてHPLCにおけるビリルビン非δ画分濃度とした。このHPLCにおける非δ画分濃度に対して、本発明方法におけるビリルビン非δ画分濃度の相関性を図3に示した。
また、それぞれの分画パターンから全ピーク面積に対するビリルビンδ画分相当ピーク面積(δ)の割合を求め、総ビリルビン濃度測定値を乗じてHPLCにおけるビリルビンδ画分濃度とした。総ビリルビン濃度から本発明方法におけるビリルビン非δ画分濃度を差し引くことにより求められるビリルビンδ画分濃度とHPLCにおけるビリルビンδ画分濃度との相関性を図4に示した。
【0034】
図3から明らかなように、HPLCにおけるビリルビン非δ画分濃度と、本発明方法におけるビリルビン非δ画分濃度は、回帰式Y=0.98X−0.29相関係数r=0.999と極めて良好な相関性を示し、本発明方法における測定結果の正確性が証明された。
図4から明らかなように、HPLCにおけるビリルビンδ画分濃度と、本発明方法におけるビリルビンδ画分濃度は、回帰式Y=1.23X−0.04 相関係数r=0.990と極めて良好な相関性を示し、本発明方法における測定結果の正確性がさらに証明された。
23%の傾きの差は、HPLCの流出条件において濃度勾配を有する有機溶剤中で各画分が存在するため、親水性画分において特に大きな分子吸光係数の変動がおこった為と考えられる。
以下に総ビリルビン濃度の測定方法及び本発明に基づくビリルビン非δ画分濃度の測定法を示す。
【0035】
(1)総ビリルビン濃度の測定方法
ジアゾ法に準じた測定結果が得られ、ジアゾ法の有する種々の問題点を解決した、亜硝酸酸化法に基づく総および直接ビリルビン濃度測定方法を、本発明者はすでに報告している(WO96/17251)。総ビリルビン濃度は、以下に示す測定試薬及び測定条件を用いて、この亜硝酸酸化法により求めた。
Figure 0003734115
測定条件 :
日立7150型自動分析装置において、検体量8μl、R−1 240μl、R−2 60μlの条件で、主波長450nm、副波長546nmにおける吸光度変化を2 Point End法にて求め、標準液の吸光度変化に基づく検量線から検体中のビリルビン濃度を求めた。
即ち、総ビリルビン濃度の測定を行うには、自動分析装置上で上記市販の測定試薬における第1試薬液と、血清検体を混合し37℃で、5分間インキュベーション後、この溶液中のビリルビンに基づく吸光度を主波長450nm、副波長546nmにて測定する(吸光度1)。ついで、該溶液に亜硝酸を含む上記市販の第2試薬液を添加して37℃で、5分間ビリルビンの酸化反応を行った後、再度溶液中のビリルビンに基づく吸光度を測定する(吸光度2)。得られた吸光度1及び吸光度2の値に液量補正等を処した後、酸化反応前後での吸光度変化量を求める。この値と、予めビリルビン濃度既知の標準液を用いて上記と同様の操作により得られた吸光度変化量に基づいて作成した検量線から、検体中の総ビリルビン濃度を求めるものである。
【0036】
(2)ビリルビン非δ画分濃度の測定方法
以下の試薬条件において、血清検体中のビリルビン非δ画分濃度の測定を行った。
Figure 0003734115
測定条件 : 測定試薬として、上記の第1試薬及び第2試薬を用いた以外は前記(1)記載の総ビリルビン濃度の測定方法と同一の測定条件にて測定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】黄だん血清検体を、HPLCによりビリルビン分画分析に処した場合の典型的な分画パターンを示す。
【図2】黄だん血清検体の未反応時、及び本発明方法による反応後の分画パターンを示す。
【図3】HPLCにおけるビリルビン非δ画分濃度(従来法)と、本発明方法におけるビリルビン非δ画分濃度との相関性を示す。
【図4】HPLCにおけるビリルビンδ画分濃度(従来法)と、本発明方法におけるビリルビンδ画分濃度との相関性を示す。

Claims (8)

  1. 生体体液試料に、カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下、該界面活性剤共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有する担子菌由来のビリルビンオキシダーゼを、酸化剤として作用させ、反応したビリルビン非δ画分量または未反応ビリルビンδ画分量を測定することにより、該生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を測定する、ビリルビン画分の測定方法。
  2. ビリルビンオキシダーゼがPleurotus属由来のビリルビンオキシダーゼである請求項1の方法。
  3. カチオン型界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウム塩を用いる請求項1または2の方法。
  4. ノニオン型界面活性剤として、ポリオキシエチレン鎖を親水性ドメインとするノニオン型界面活性剤を用いる請求項1から3のいずれかの方法。
  5. 反応したビリルビン非δ画分量または未反応ビリルビンδ画分量を、該生体体液試料の光学的変化を測定することにより求める、請求項1から4のいずれかの方法。
  6. 生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度の測定方法であって、
    i)生体体液試料に、総ビリルビンと反応する試薬を作用させて総ビリルビン濃度を求め、一方、
    ii)請求項1から5のいずれかの方法によりビリルビン非δ画分濃度を求め、次いで、
    iii)前記i)で求めた総ビリルビン濃度測定値から前記ii)で求めたビリルビン非δ画分濃度測定値を差し引くことによりビリルビンδ画分濃度を求める、
    生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度の測定方法。
  7. 生体体液試料中のビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度を測定するためのキットであって、
    i)カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤、および
    ii)該界面活性剤共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有する担子菌由来のビリルビンオキシダーゼ
    を必須成分とするビリルビン非δ画分濃度またはビリルビンδ画分濃度測定キット。
  8. カチオン型界面活性剤および/またはノニオン型界面活性剤の共存下でビリルビンδ画分とは反応しないがビリルビン非δ画分とは酸化反応する性質を有する担子菌由来のビリルビンオキシダーゼの、生体体液試料中のビリルビンδ画分濃度またはビリルビン非δ画分濃度を測定するための使用。
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