JP3734035B2 - ビデオゲームにおけるイベント制御方法およびビデオゲーム装置 - Google Patents

ビデオゲームにおけるイベント制御方法およびビデオゲーム装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三次元モデリングされたワールド内に位置するプレイヤキャラクタが活躍するリアルタイムゲームにおいて、主観的な要素をイベント制御にとりこんで、イベント発生条件の選択肢を増やし、全体としてゲーム性を向上させるビデオゲームの処理におけるイベント制御方法およびビデオゲーム装置に関するものである
【0002】
【従来の技術】
ほとんどのビデオゲーム装置においては、種々のイベントが、ゲームの進行に大きな役割を果たす。こうしたイベントについては、プレイヤの入力操作により入力されたデータに基づきプレイヤキャラクタを移動させて、プレイヤキャラクタの動作、すなわち移動、攻撃、会話などによって生じさせるトリガ制御が、一般に行われてきた。
【0003】
たとえば移動については、プレイヤキャラクタが所定のエリアに入ること、または、所定のキャラクタもしくはアイテム等に近づくこと、がイベント発生の条件となっていた(例えば、下記、特許文献1)。すなわち、これらの条件が充たされたときに、そのエリアが属するワールドから他のワールドへ移動したり、そのキャラクタがプレイヤキャラクタに話し掛けて来たり、そのアイテムを取得したりする制御を行っていた。また、攻撃会話などについても同様であり、プレイヤの注目の対象といった純粋に主観的な状態をイベントトリガの要素としてゲームの制御に取り込むことがほとんど行われていなかった。
【0004】
一部のゲームでは、マウスカーソル(ポインターカーソル)が二次元画像の所定のエリア(たとえば「机」)に位置した時点で、そのエリアの説明(たとえば「たいへん古い机で、埃がたまっています。」)をポップアップするものもあったが、これはゲームの状態を遷移させる「イベント」を発生させるものではなく、同じエリアに何度マウスカーソルをおいても同じ説明がなされていた。そして、ゲームを進行させるイベントを起こすためには、マウスを「クリック」して、プレイヤが操作入力を行うアクションを起こし、たとえば、そのエリアを手作業で調査する(「引き出しを開けました。すると、中から古い地図がでてきました。」)など客観的な動作をする必要があった。
【0005】
また、そもそも三次元モデリングのワールドを現場の(ゲーム世界の仮想三次元空間の中の)プレイヤキャラクタの視界で表示するビデオゲームなどでは、イベントや説明をトリガしうるすべてのエリア(周囲360度、上下180度)が一度に画面表示されることがないため、上述の通常のプレイヤが行うカーソル操作では、そのエリアを画面内に表示する操作と、表示したエリアにカーソルを位置させる操作との二つの操作が必要になり、全体として煩雑で操作性の悪いものとなる可能性があった。
【0006】
さらに、3次元モデリングのワールドにおける主観的な奥行き(プレイヤキャラクタからの距離など)等の要素については、そのゲームの中への取り込みをカーソルにより行うことも、特にリアルタイムゲームにおいては、現実的でなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−153061号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、三次元モデリングされたワールド内に位置するプレイヤキャラクタが活躍するリアルタイムゲームにおいて、主観的な要素をイベント制御にとりこんで、イベント発生条件の選択肢を増やし、全体としてゲーム性を向上させるビデオゲームにおけるイベント制御方法およびビデオゲーム装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、本発明によるビデオゲームにおけるイベント制御方法においては、プレイヤが操作入力を行うことにより、入力されたデータに基づき、プレイヤキャラクタのゲームワールドに対する視界所定の範囲に調節されたことが検出されると、該所定の範囲に関連づけた所定のイベントを発生させることを特徴とするものである
【0010】
これにより、「視界」という主観的な要素をイベント制御に取り込むことが可能になり、イベント発生条件の選択肢を増やし、全体としてゲーム性を向上させることが可能となる。
【0011】
また、前記視界は、プレイヤが操作入力を行うことにより入力されたデータに基づきゲームワールド上での定点所定の座標範囲、方角、上下角、もしくはこれらの組み合わせの条件によって決定されることが有利である。
【0012】
これにより、3次元モデリングされたゲームワールドの現場(ゲーム世界の仮想三次元空間の中)に位置するプレイヤキャラクタの視界に関するもっとも大きな自由度、すなわち、現場から見る方向自体をゲームの中に取り込むことが可能となる。
【0013】
また、この場合に、プレイヤキャラクタの視界から、見る方向自体が上述のカーソルの役目も果たすため、リアルタイムゲームにおいても現実的で簡単な操作を行うことが可能となる。
【0014】
なお、「定点」は、連続するゲームワールド、たとえばある街、その内の一定の座標を意味し、「座標範囲」は、その定点が多少ぶれてもイベントトリガ処理を行うことを意味する。この場合は座標軸上の連続的な移動がリアルタイムにおこなえるビデオゲームにおいても「視界」にもとづくイベント制御が可能である。
【0015】
「定点」を採用した場合には、その「定点」から見たゲームワールド内オブジェクトを準備すればよいという長所がある。また、プレイヤが調節する現在の視界のパラメータが少なくなるため、イベントをトリガするための視界条件の検出も容易となる。したがって、プレイヤキャラクタが「所定の座標範囲」内に入ったときに強制的にプレイヤキャラクタをその「定点」に移動するなどの制御を行うことで対応する。
【0016】
また、前記視界は、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点からの視野角などのズーム倍率によって決定されることが有利である。
【0017】
これにより、3次元モデリングのワールド(仮想三次元空間)における主観的な奥行き(プレイヤキャラクタからの距離など)等の要素をゲームの中に取り込むことが可能となり、イベント発生条件の選択肢をさらに増やすことができる。
【0018】
なお、「視野角」は、同時に見ることができる視点からの視野の角度であり、ズーム倍率が大きいほどより狭い視野角の光を集中して集めることになり、一般的には視野角が狭くなり、「視野角」と「ズーム倍率」は一定の(連続)関数により対応したものとなる。また、「ズーム倍率」自体は、(焦点距離や被写体深度を無視して)たとえば一定距離にある何(センチ)メートル四方のものを(ビデオ画面の視野ウィンドウに)捉えるか、をパラメータとすることができる。また、逆に距離をパラメータとしてその距離にある一定(センチ)メートル四方のものを捉えるようにすることもできる。
【0019】
別の実施形態では、前記視界は、ズーム倍率に替えて、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点からの焦点距離によって決定することもできる。
【0020】
これにより、プレイヤ(人間)の目の機構とメンタルモデルに近い主観的な状態を、ゲームの中に取り込むことが可能となる。
【0021】
なお、注目している焦点距離からはずれたオブジェクトの表面のテクスチャーやエッジをフレームバッファのビットマップ上でぼかす(拡散する)などすることにより、ビデオゲーム画面上でも焦点距離を表現することが可能である。
【0022】
また、前記調節は、方向キーにより、方角、上下角、もしくはこれらの組み合わせを決定するステップと、ズームキーにより、ズーム倍率を決定するステップもしくは焦点キーにより焦点距離を決定するステップとを含む、ことが有利である。
【0023】
これにより、プレイヤは方向およびズーム倍率などという2つのディメンジョンの存在を明確に意識することとなり、3次元モデリングのワールドに潜在していたゲームの特性を十分に生かすことができる。
【0024】
また、カーソルを必要としない簡潔なユーザインタフェースを可能とする。
【0025】
また、前記検出は、所定のオブジェクトの大きさに関する測度のビデオ画面上での値に基づいて行うことが有利である。
【0029】
これにより、プレイヤキャラクタや相手キャラクタ(所定のオブジェクト)が相互に移動している場合であっても、その相対的な位置関係をもとに簡易かつ柔軟な検出が可能となる。
【0030】
なお、典型的には所定のオブジェクト(たとえば兵士キャラクタ)の顔や口の、表示画面ピクセル座標上での直径や半径などを検出することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の例としての一実施形態について説明する。
【0032】
図1は本発明のゲームシステムで使用するゲーム装置1の全体構成を示すブロック図である。ゲーム装置1は、ゲーム装置本体11、入力装置12、出力装置13およびメモリカード14からなり、このゲーム装置1に、CD−ROM(もしくは、DVD−ROM)2やネットワーク3等から、具体的なゲームプログラムを実行するためのソフトウアが提供されることにより、プレイヤの前でその具体的なゲームを実行するゲームシステムとして動作することになる。
【0033】
また、ゲーム装置本体11は、CPUやROM等を内蔵した主制御部111、RAM112、HDD113、サウンド処理部114、グラフィック処理部115、CD−ROMドライブ116、通信インタフェース117、インタフェース部118、および以上の各構成要素を相互に接続するバス119を備えている。
【0034】
主制御部111は、CPUやROM等を用いて、ゲームの制御、すなわち入力(キーセンス、CD−ROM読み込みなど)や出力(画像、音声など)に関する、所定のタイミングを考慮した処理を行う。
【0035】
RAM112は、主制御部111のCPUがプログラムを実行するために使用する主記憶装置であり、CPUが実行するプログラムやその実行のために必要となる関連データ等が格納される。
【0036】
HDD113は、主制御部111のCPUがプログラムを実行するために使用する補助記憶装置である。HDD113には、通信インタフェース117を用いてダウンロードした情報やCD−ROM2から読み取った情報、さらにはゲーム状態保存用の情報など、様々なデータやプログラムを格納することができる。
【0037】
サウンド処理部114は、ゲームのBGMや効果音などの音声データを再生するための処理を行う回路である。このサウンド処理部114は、主制御部111からの命令に従い、RAM112やCD−ROM2に記憶されたデータに基づいて音声信号を生成し、これを出力装置13に供給する。
【0038】
グラフィック処理部115は、フレームバッファ(図示せず)を備え、主制御部111からの命令に応じた画像をフレームバッファ上に描画する。また、グラフィック処理部115は、フレームバッファに描画された画像データに所定の同期信号を付加してビデオ信号を生成し、これを出力装置13に供給する。
【0039】
CD−ROMドライブ116は、記録媒体であるCD−ROM2に格納されたデータを読み取る読取装置である。
【0040】
通信インタフェース117は、ネットワーク3に接続されている他の通信可能装置、例えば他のゲーム装置やゲームサーバーとの間で各種データ(場合によってはプログラムも含む)の交換を行う際の通信制御を司る。通信インタフェース117および通信回線31を介して外部の通信ネットワーク3からダウンロードされたデータは、HDD113に格納することができる。
【0041】
インタフェース部118は、入力装置12およびメモリカード14を着脱自在に接続することができるように構成されている。このインタフェース部118は、バス119に接続された各部と入力装置12またはメモリカード14との問のデータ転送を制御する。
【0042】
CD−ROM2には、上述したように、ゲームに関する処理を実現するためのプログラムや、関連データ、画像データ、サウンドデータ他、すなわちゲームソフトウェア(ゲームタイトル)が格納されている。特に関連データは、本発明に関連する種々のデータが格納されており、一般的な初期パラメータやフラグのほかに、たとえば、それぞれ複数の、ゲームワールド(2または3次元座標系)に関するモデリングデータ、オブジェクトデータ、オブジェクト配置データ、オブジェクト移動パターンデータ、イベントトリガ定点データ、イベントトリガ座標範囲データ、イベントトリガオブジェクト測度データ、イベントデータ(会話テキスト、音声データ、アニメーションデータ、効果スクリプトなど)、トリガ対イベント関連づけデータ等が含まれる。
【0043】
入力装置12は、この実施形態では「キーパッド」とも呼ばれ、ゲームに関する様々な指示をゲーム装置本体11に入力するためにプレイヤによって操作されるボタンから構成されている。キーパッド12の上部には、十字キー12aと、□ボタン12b、△ボタン12c、○ボタン12a、及び×ボタン12e備えられている。また、十字キー12aが配設される基部と、ボタン群(12b〜12e)とが配設される基部との連結部には、セレクトボタン12f、スタートボタン12g、アナログコントローラ12h、12iが配設されている。なお、キーパッド12の側部にもR1ボタン12jやL1ボタン12l等の複数のボタンが配設されている。入力装置12は、これらのキー/ボタン操作に応じた指令信号を、インタフェース部118を介してゲーム装置本体11に送る。なお、本実施形態において、図2(a)の十字キー12aは、方角および上下角を調節する方向キーであり、同じく□ボタン12bは、方角などの調整を中止するEXITキーである。また、図2(b)のR1ボタン12j、ズームイン/ズームアウトを調節するズームキーである。
【0044】
出力装置13は、上記プログラムによって制御されたタイミングで送信されたゲーム装置本体11からの映像信号や音声信号に基づいてゲーム画像を表示しかつ音声を出力する。本実施形態では、スピーカ内蔵のモニタ装置、たとえば、テレビジョン(TV)セットが出力装置13として用意されている。この出力装置13は、画像表示用の表示装置(ブラウン管もしくは液晶パネル)131および音声出力用のスピーカ132を備えている。
【0045】
メモリカード14は、フラッシュメモリから構成され、ゲーム装置本体11によって制御されて、特にセーブデータなどのゲームデータを記憶するための補助記憶装置である。メモリカード14へのデータの書込み、およびメモリカード14からのデータの読込みは、インタフェース部118を介して主制御部111が制御する。
【0046】
主制御部111は、これらのすべての装置の制御を統括するものであり、ROMに格納されている(BIOSなどの)基本ソフトウェアやCD−ROMドライブ116によってCD−ROM2から読み出されてRAM112に格納されるゲームソフトウェア(プログラムおよびデータ)に基づいて、ゲーム装置本体11を制御し、ゲーム装置1の動作を全体として制御する。
【0047】
例えば、CPUは、CD−ROM2から、表示すべき建物やキャラクタの3次元グラフィックデータをRAMに読み出した後、グラフィック処理部115に転送しかつ3次元カメラ視点画像の生成を指示する。この指示に応答して、グラフィック処理部115は、その建物やキャラクタのグラフィックデータをフレームバッファ上に展開し、かつフレームバッファに展開されたデータに基づくビデオ信号を生成する。このビデオ信号は、出力装置13に送られ、こうして出力装置13の表示画面上には建物やキャラクタのカメラ視点画像が表示されることとなる。これはキャラクタの移動や技の音を表すサウンドのデータについても同様であり、この場合、サウンド情報がCD−ROM2、RAM112、サウンド処理部114を介して、出力装置13スピーカ132により出力されることとなる。
【0048】
なお、CD−ROM2は、図3に示すように、主制御部111が実行するゲームプログラムを記憶するプログラム記憶領域2a、各種ゲーム進行上必要となる関連データを記憶する関連データ記憶領域2b、ゲーム特有の背景やキャラクタ、アイコンなどの二次元(ビットマップ)画像データや三次元モデルデータなどを記憶するための画像データ記憶領域2c、および効果音などのサウンドデータを記憶するサウンドデータ記憶領域2dより構成されている。
【0049】
これらの情報は、あるものは一括してまたあるものは随時にRAMやHDDに、あるいはサウンド処理部やグラフィック処理部に送られる。しかし、よく使われる静的データ(建物やよく出現するキャラクタのパラメータなど)およびゲームが終わるまで一貫して維持する必要のある動的データ(主人公キャラクタのレベルやヒットポイントなど)については、そのほとんどがRAM内に整理して格納され、その構成は図4に示すように概ねCD−ROM2と同様の区分がなされている(112a、112b、112c、112d)。ただし、CD−ROM2の関連データ記憶領域2bには静的データ(定数領域)しか含まれなかったのに比べ、RAMの関連データ格納領域112bには現在のプレイヤのゲーム進行を反映した動的データ(変数領域)や計算用ワークエリアも格納されることに留意されたい。なお、定数領域のより詳細な構成については図6に関連して後述する。
【0050】
図5は、当該実施形態による、イベント(トリガ)制御方法を示すフローチャトである。
【0051】
まず、ステップS1で一般的なゲーム開始処理がなされる。これは、ゲームのメインプログラムをCD−ROM2からRAM112のプログラム格納領域112aに読み込みかつこのメインプログラムを主制御部111に実行させて、以降、この図5に示したフローチャートによる制御を行わせる準備を含んでいる。さらに、このフローチャートでは示していないが、フレームバッファなどの初期化およびゲームで使用する変数領域のRAM112上への割り当てや初期化、よく使う画像/サウンドデータの、RAM112への読み込みを含んでいる。
【0052】
ステップS2では、ビデオゲームの進行におけるさまざまな形態のステージ(ゲームワールドの一種)における一般的な制御(レベルやヒットポイントの増加、仲間や情報の収集)、並びに、ゲームワールド間の遷移(例えば図6のワールドID「きのこ岩洞窟」からワールドID「オアシス集落」への遷移)の制御がおこなわれる。この間、プレイヤのキーパッドのボタン操作によるさまざまなキー入力を受け付けることになるが、ステージが、当該実施形態の本フローチャートが想定する仮想3次元空間(「通信スフィア」と呼び、プレイヤが、カメラ視点で視野の方向やズーム倍率さらにはカメラ視点自体を、入力装置12によってコントロールすることができるステージ)である場合には、当該ステージに応じたステップS3以降の処理を行うことになる。
【0053】
なお、当該「通信スフィア」ステージを抜けて、「通信スフィア」(ワールド)の選択画面に戻りたい場合には、ここでプレイヤがEXITキー(図2の□ボタン12b)を押せばよい。システムがこのキー入力操作に対応する入力値(たとえば(整数)−1)を検出した場合には、ステップS9へと抜ける。すなわち、このフローチャートに従った処理の制御を、たとえば、当該3次元ワールド(たとえばワールドID=「きのこ岩洞窟」)における、視野によるイベントトリガの制御を抜けることとなる。
【0054】
プレイヤがEXITキーではないキー入力操作を行った場合、たとえば、方向キー(図2(a)の十字キー12a)やズームキー(図2(b)のR1ボタン12j)を押した場合には、それぞれのキー入力操作にしたがった視野によるイベントトリガの制御を、ステップS3からステップS5にかけての処理により行うことになる。
【0055】
テップS3では、方向キー(図2(a)の十字キー12a)の入力操作(バッファの値)に応じて、現在の方向変数(方角変数の定義域:0〜359°、上下角変数の定義域:−90〜+90°)を更新することとなる。たとえば、現在の方角変数の値が45°であり、上下角変数の値が+5°であり、方向キー(十字キー12a)のうちの左方向キーが押された場合には、方角変数の値が1°分マイナスされて44°となる。これは、右方向キー、上方向キー、下方向キーのキー入力操作についても同様である。
【0056】
ステップS4ではズームキー(R1ボタン12jなど)の入力操作(バッファの値)に応じて、現在のズーム倍率変数(定義域:10mm〜1500mm、初期値50mm)を更新することとなる。たとえば現在のズーム倍率変数の値が50mmであり、ズームインキー(R1ボタン12j)が押された場合には、この値が5mm分だけ増加されて55mmとなる。これは、ズームアウトキー(R2ボタン12k)についても同様であり、この場合には5mm分だけズーム倍率変数の値が減少することとなる。また、別の実施形態では、ズームアウトキー(R2ボタン12k)が割り当てられておらず、ズームインキー(R1ボタン12j)を押す(もしくは押し続ける)キー入力操作を行うと、ズームインとズームアウトを繰り返すようサイクリック制御される。さらに別の実施形態としては、これらのキーを1回だけ押せば所定分(たとえば50mm分)だけ自動的にズームインもしくはズームアウトするように制御されるもの、ズームアウトキー(R2ボタン12k)を一度押すだけで瞬間的に最初のズーム倍率に戻るよう制御されるように構成されてもよい
【0057】
続いて、ステップS5においては、更新された方向変数(方角変数、上下角変数)およびズーム倍率変数に基づいて画面表示も更新することになる。なお、この画面表示については、(仮想)カメラの向きおよび倍率に応じた3次元空間内オブジェクトのレンダリング手法により実行するが、この手法自体については、当業者に既知であるため、ここでは詳述しない。
【0058】
ステップS6により、視界によってトリガされるイベントが存在するかどうかが、図6の表に基づいて判断される。この場合、プレイヤがキャラクタID「ゆうな」を操作しており、かつ、ワールドID「きのこ岩洞窟」の通信スフィアにいるため、図6の最初の2行のイベント、イベントID「ヌージ会話34」とイベントID「ヌージ裏切り」とが、トリガされる可能性があることになる。したがって、ステップS7に進むことになる。また、仮に図6の表でトリガされる可能性が存在しなかった場合には。ステップS2に戻り、キー入力を受け付けることとなる。
【0059】
続いて、ステップS7では、方向変数(方角変数、上下角変数)およびズーム倍率変数を、図6の最初の2行のそれぞれのイベントをトリガする条件と比較して、いずれかの行のトリガ条件Xを充たす場合には、ステップS8で行(トリガ条件X)のイベントIDに対応するイベントを発生させる制御を行うことになる。
【0060】
図6は、上述のように図5のステップS6およびステップS7に関連して、視野によるトリガ条件を格納したテーブルであり、このようなテーブルは、ゲーム開発者によって定義されて、CD−ROM2に記憶され、ゲーム開始後は、初期化処理によりRAM112bに格納されることになる。
【0061】
図6の各列の意味について説明すると、まず、キャラクタIDは、上述したように、視野によりイベントをトリガする可能性のあるキャラクタを示している。最初の行の値は「ゆうな」なので、キャラクタ「ゆうな」の視界のみが、イベントID「ヌージ会話34」をトリガすることができる。
【0062】
次のワールドIDは、その行のイベントをトリガする視野の対象となる「通信スフィア」すなわちワールドのIDを示す。
【0063】
次の基準座標は、キャラクタがそのワールド(通信スフィア)内の、一定の座標に位置しなければイベントをトリガできないことを示す。最上行の例では、(5、21、0)±1とあるので、キャラクタ「ゆうな」をまず、ワールド「きのこ岩洞窟」のXYZ座標(5、21、0)に移動させなければイベントをトリガできないことになる。なお、±1は、1だけずれていてもイベントをトリガできることを示す。こういった、座標上の移動は、ロールプレイングゲームの分野で周知であり、ここでは詳述しない。
【0064】
方向範囲は、方向変数が充たしていなければならない北および水平を基準とした角度を示している。最上行では(355、+10)±5とあるので、プレイヤは、北から時計回りに355°すなわち反時計まわりに5°向きをかえた方向、しかも10°仰いだ方向を視野の中心としなければイベントがトリガされないことになる。なお、±5については、XYZ基準座標の場合と同様であり、多少向きがずれていてもイベントがおこりうるよう設定されている。
【0065】
次のズーム範囲は、ズーム倍率変数がみたしていなければならないズーム倍率および許容誤差を示している。これによって、例えば3行目では、基準(50mm)の2倍のズーム(100mm)にしないとイベントが起こらないことになり、この場合は、「ワッカ」と「ゆうな」が再会できないことになる。
【0066】
その他の条件では、方向やズーム倍率を補助する条件を設けたり、方向やズーム倍率に替わる条件を設定したりすることができる。こういった条件は、周知の情報処理の技術により容易にコーディングしたりパージングしたりすることができる。たとえば2行目では、ズーム倍率を指定しないかわりに、ヌージの顔の直径が画面(フレームバッファ)上で100ピクセル以上になったときにイベントが起こるようにしている。別の実施形態では、こういった指定により、ワールドID、基準座標、方向範囲およびズーム範囲を一切指定することなくイベントをトリガするようにしてもよい。また、3行目では、ステージ2クリアとなっており、ビデオゲーム全体における2番目のステージをクリアしていない限りは、このイベントがトリガされないよう設定されている。
【0067】
図7は、本発明のさまざまな実施形態における、ズーム倍率の測度について説明したものである。これまでに説明してきた50mmあるいは100mmというズーム倍率は、図7を参照して説明する測度で置き換えて記憶し、かつイベントをトリガするために検出することができる。なお、図7において、51は視点、52は視野の中心、53は画面で同時に表示する範囲、54は視野角、55はイベントをトリガするオブジェクトを表す。
【0068】
「見かけの距離」を測度として採用する最上段の実施形態の場合について説明すると、ズームアウトした標準の状態(ズーム倍率50mmに対応)では、遠くにあるオブジェクトは遠くにあるようにすなわち小さく表示される。また、ズームインした状態(ズーム倍率100mmに対応)では、遠くにあるオブジェクトが近くにあるようにすなわち大きく表示される。結局、この場合は「トリガに関連するオブジェクトの」見かけの大きさ(フレームバッファ上でのピクセル数)を測度として検出すればよいことになる。この実施形態については、図8に関連して別途説明する。
【0069】
一方、「幅」を測度として採用する中段の実施形態の場合について説明すると、「トリガに関連しない(移動しない)オブジェクトをどれだけ含んでいるか」によって倍率を測ることになる。たくさんのオブジェクトを画面内に収めれば、それだけトリガに関連するオブジェクトの表示範囲(占有率)が狭くなり、結局「見かけの距離」と同じになるとも考えられるが、トリガに関連するオブジェクトが常に移動している場合でも一定値となるので、より安定した測度として採用することができる。
【0070】
また、「焦点距離」を測度として採用する下段の実施形態の場合について説明すると、この場合には、焦点があう範囲(図中の円)にあるオブジェクトのみをくっきりと画面表示することにより、そのオブジェクトがトリガに関連するオブジェクトとなるので、プレイヤにも理解される測度として採用することができる。
【0071】
図8は、イベントに関連するオブジェクトの見かけの大きさを測度として採用する実施形態をより明解に説明する図である。D6は、ゲームワールドの表示画面、すなわちプレイヤキャラクタの視野であり、図中で上の視野はズーム倍率が小さく、下の視野はズーム倍率が高い。こうしたズーム倍率の違いは、イベントに関連する同一オブジェクト(D61、D61´)の見かけの大きさの違いとなって現れる。すなわち、ズーム倍率が小さいオブジェクトの顔のみかけの直径(B61)は、ズーム倍率が大きい同一オブジェクトの顔のみかけの直径(B61´)よりも小さいことになる。
【0072】
この実施形態は、ズーム倍率の大きさによる見かけの大きさと、ワールド内での距離の近さによる見かけの大きさとを区別しないで、みかけの大きさ自体をトリガ条件とするという、より簡単なゲーム仕様を可能にするという長所がある。
【0073】
図9(a)〜(c)は、本発明の実施形態に基づくビデオゲームの画面遷移の例である。なお、D71からD73はプレイヤに通信スフィア内でのキー操作を案内する表示であり、D71は「方向キー」としての十字キー12a、D72は「ズームキー」としてのR1ボタン12j、D73はこの通信スフィアから「もどる」ための「EXITキー」として□ボタン12bを示している。
【0074】
図9(a)は、図6の「オアシス集落」通信スフィアに入ったばかりの状態の画面を表しており、このときのキャラクタIDは「ゆうな」であり、ワールドIDは「オアシス集落」であり、基準座標は(3、42、0)であり、方向変数は真北かつ水平(0、0)であり、ズーム倍率変数は50mmで、ステージ3までクリアした状態であった。ここで、方向キー(図2(a)の十字キー12a)により真北(0、0)から徐々に北東(5、0)に向きをかえ、さらに向きをかえ北東(55、0)になった時点で、図6の(示さない)5行目のイベントID「ワッカと再会準備」がトリガされて、図9(b)の画面となる。
【0075】
図9(b)の画面では、このイベント「ワッカと再会準備」のシナリオにしたがってキャラクタオブジェクト「ワッカ」(D74)が出現するとともに、その台詞テキストが表示された(D75)。
【0076】
ここでさらにプレイヤがズームキー(図2(b)のR1ボタン12j)により、ズームインを行い、倍率が90mmの図9(c)の画面になると、図6の3行目のトリガ条件が充足されこれによりイベントID「ワッカと再会」がトリガされて、このイベント「ワッカと再会」のシナリオにしたがってD77のゲーム進行上貴重なテキスト情報が得られることとなる。
【0077】
なお、上述の別の実施形態ではワッカの顔の大きさがD74からD76になると、D77のテキスト情報を表示するイベントがトリガされることになる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、「視界」という主観的な要素をイベント制御に取り込むことが可能になり、イベント発生条件の選択肢を増やし、全体としてゲームの興趣性を向上させることが可能となる。
【0079】
特に、3次元モデリングされたゲームワールドの現場に位置するプレイヤキャラクタの視界に関するもっとも大きな自由度、すなわち現場から見る方向自体をゲーム性に取り込むことが可能となる。
【0080】
また、見る方向自体が上述のカーソルの役目も果たすため、リアルタイムゲームにおいても現実的で簡単な操作を行うことが可能となる。
【0081】
また、3次元モデリングのワールドにおける主観的な奥行き(プレイヤキャラクタからの距離など)等の要素をゲーム性に取り込むことが可能となり、イベント発生条件の選択肢をさらに増やすことができる。
【0082】
また、プレイヤ(人間)の目の機構とメンタルモデルに近い主観的な状態を、ゲーム性に取り込むことが可能となる。
【0083】
また、プレイヤは方向およびズーム倍率などという2つのディメンジョンの存在を明確に意識することとなり、3次元ワールドに潜在していたゲームの特性を十分に生かすことができる。
【0084】
また、CPUなどの処理リソースやゲーム時間を節約することが可能となり、また、各定点ごとに特別な(検出処理などについての)コーディングを行うことが容易となる。
【0085】
また、プレイヤキャラクタや相手キャラクタ(所定のオブジェクト)が相互に移動している場合であっても、その相対的な位置関係をもとに簡易かつ柔軟な検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゲームシステムで使用するゲーム装置1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 図1で示した入力装置12の詳細な形態を示す図である。
【図3】 図1で示したCD−ROM2の各記憶領域を示す図である。
【図4】 図1で示したRAM112の各格納領域を示す図である。
【図5】 本発明によるイベント制御方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】 本発明によるイベント制御方法において使用する、RAM112の関連データ
領域112bに格納される、あらかじめ定義されたイベント制御関連データの例
である。
【図7】 ズーム倍率に相当する様々な測度および視界との関係を示す図である。
【図8】 本発明の一実施形態においてイベントに関連するオブジェクトの見かけの大きさにより相対的な位置関係を検出するための一手法について説明する図である。
【図9】 本発明によるイベント制御方法が実施される際のビデオゲーム画面の遷移例を示す図である。
【符号の説明】
1 ゲーム装置
11 ゲーム装置本体
111 主制御部
112 RAM
112a プログラム格納領域
112b 関連データ格納領域
112c 画像データ格納領域
112d サウンドデータ格納領域
113 HDD
114 サウンド処理部
115 グラフィック処理部
116 CD−ROMドライブ
117 通信インタフェース
118 インタフェース部
119 バス
12 入力装置(キーパッド)
12a 十字キー(方向キー)
12b □ボタン(EXITキー)
12j R1ボタン(ズームキー)
13 出力装置
131 表示装置
132 スピーカ
14 メモリカード
2 CD−ROM、DVD−ROM等
2a プログラム記憶領域
2b 関連データ記憶領域
2c 画像データ記憶領域
2d サウンドデータ記憶領域
3 ネットワーク
31 通信回線
51 視界の基準となる点(定点)
51´ 所定の座標範囲
52 視界の中心となる方角(および上下角)
53 画面が表示する範囲
54 視野角
55 イベントに必要なオブジェクト
B61 遠いオブジェクトの顔のみかけの直径
B61´ 近いオブジェクトの顔のみかけの直径
D6 ゲームワールド表示画面(視野)
D61 遠いオブジェクト
D61´ 近いオブジェクト
D71 「方向キー」としての十字キー12aの説明
D72 「ズームキー」としてのR1ボタン12jの説明
D73 「EXITキー」として、「通信スフィア」からの撤退もしくは通信切断(すなわち「もどる」)を指示する□ボタン12bの説明
D74 遠いオブジェクトの顔
D75 方向を合わせるだけでトリガされるイベントのテキスト
D76 近いオブジェクトの顔
D77 方向と距離(ズーム)を合わせた後に表示されるイベントのテキスト

Claims (8)

  1. 三次元モデリングされたゲームワールド内に位置するプレイヤキャラクタをプレイヤの操作入力により動作させて、当該プレイヤキャラクタのゲームワールドに対する視界がプレイヤの操作入力により操作された場合に、前記視界の中に所定のオブジェクトが入ることによりイベントを発生させて、ゲームを進行させるビデオゲームの処理の実行をコンピュータの処理により行うビデオゲームにおけるイベント制御方法であって、
    イベントを発生させるトリガ条件とする要素のキャラクタID,ワールドID,基準座標、方向範囲、ズーム範囲、イベントIDの各データを格納するトリガ条件制御テーブルの各データを読み込むステップと、
    プレイヤの操作入力により入力されたデータに基づき前記プレイヤキャラクタの視界が操作されたことを検出するステップと、
    前記トリガ条件制御テーブルの各データを参照し、前記操作されたプレイヤキャラクタのゲームワールドに対する視界が所定の範囲に調節されてイベントを発生されるトリガ条件が満たされたか否かを判定するステップと、
    前記トリガ条件が満たされたことを判定した場合に前記イベントIDのイベントを発生させるステップと
    の処理をコンピュータにより実行する
    ことを特徴とするビデオゲームにおけるイベント制御方法。
  2. 前記視界の所定の範囲が、ゲームワールド上での定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点において方向キーにより操作入力されたデータに基づく方角、上下角、もしくはこれらの組み合わせによって決定される
    ことを特徴とする請求項1に記載のビデオゲームにおけるイベント制御方法。
  3. 前記視界の所定の範囲が、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点においてズームキーにより操作入力されたデータに基づく視野角のズーム倍率によって決定される
    ことを特徴とする請求項2に記載のビデオゲームにおけるイベント制御方法。
  4. 前記視界の所定の範囲が、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点においてズームキーにより操作入力されたデータに基づく焦点距離によって決定される
    ことを特徴とする請求項2に記載のビデオゲームにおけるイベント制御方法。
  5. 三次元モデリングされたゲームワールド内に位置するプレイヤキャラクタをプレイヤ操作入力により動作させて、当該プレイヤキャラクタのゲームワールドに対する視界がプレイヤの操作入力により操作された場合に、前記視界の中に所定のオブジェクトが入ることによりイベントを発生させて、ゲームを進行させるビデオゲームの処理の実行をコンピュータの処理により行うビデオゲーム装置であって、
    イベントを発生させるトリガ条件とする要素のキャラクタID,ワールドID,基準座標、方向範囲、ズーム範囲、イベントIDの各データを格納するトリガ条件制御テーブルの各データを読み込む手段と、
    プレイヤの操作入力により入力されたデータに基づき前記プレイヤキャラクタの視界が操作されたことを検出する手段と、
    前記トリガ条件制御テーブルの各データを参照し、前記操作されたプレイヤキャラクタのゲームワールドに対する視界が所定の範囲に調節されてイベントを発生されるトリガ条件が満たされたか否かを判定する手段と、
    前記トリガ条件が満たされたことを判定した場合に前記イベントIDのイベントを発生させる手段と
    を備えることを特徴とするビデオゲーム装置。
  6. 前記視界の所定の範囲が、ゲームワールド上での定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点において方向キーにより操作入力されたデータに基づく方角、上下角、もしくはこれらの組み合わせによって決定される
    ことを特徴とする請求項5に記載のビデオゲーム装置。
  7. 前記視界の所定の範囲が、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点においてズームキーにより操作入力されたデータに基づく視野角のズーム倍率によって決定される
    ことを特徴とする請求項6に記載のビデオゲーム装置。
  8. 前記視界の所定の範囲が、さらに前記定点もしくは所定の座標範囲に入ったときに強制的に移動させた所定の点においてズームキーにより操作入力されたデータに基づく焦点距離によって決定される
    ことを特徴とする請求項6に記載のビデオゲーム装置。
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